教育委員会制度の見直しに関する意見

平成25年7月31日
全国知事会

 教育委員会制度については、去る4月15日に示された教育再生実行会議の提言を踏まえ、現在、中央教育審議会において議論が行われているところである。現行制度においては、教育委員会委員長と教育長、さらには首長との関係がわかりにくいことから責任の所在が不明確であることに加え、委員会が非常勤の委員から構成されていることなどから意思決定に係る迅速性の欠如や審議の形骸化が指摘されているところである。
 教育委員会制度の見直しは、地方が担い手となっている教育の在り方そのものに関することであるとともに、地方の行政体制の在り方など地方自治制度の根幹に関わるものでもあることから、幅広い視点から検討を行い、地方の意見を適切に反映されるよう、以下のとおり強く申し入れる。

1.地方教育行政の最終的な責任者について

 地方教育行政の最終的な責任者は、選挙で選ばれた、住民の意向を反映できる首長とすること。

2.教育長の位置付けについて

 現行の教育委員会制度を改革する場合、教育長は、住民に対して直接責任を負う首長の下で実務的に教育事務をつかさどる機関とすべきであること。その際、首長には任命権や罷免権、またその実効性を確保するための指揮監督権など、教育長の適切な事務の執行を確保するために必要な権限が認められるべきであること。

3.教育委員会の位置付けについて

 現行の教育委員会制度を改革する場合、政治的中立性、継続性、安定性を確保する観点から、教育委員会を、首長と教育長に対する監視機能や、教育の基本方針などに関与する法的な権限を持った附属機関とすべきであること。また、委員の任命については、首長が議会の同意を得て行うこととすべきであること。

4.国の関与について

 教育再生実行会議の提言においては、「現在、『児童等の生命・身体の保護のため緊急の必要があるとき』に限定されている国の自治体に対する改善・指示権につき、『教育を受ける権利が侵害されたりする場合』にまで拡大する」とされているが、平成24年に国等による違法確認訴訟制度が創設され、是正の要求等の関与についてはその実効性が高まっている。このような中、あえて国による指示権の範囲を拡大する合理的な理由はないため、国の関与の強化は一切行わないこと。また、地方教育行政の抜本的な見直しを行う中で、地方の自主性・自律性の拡大を図る地方分権の観点からも、国の関与については最小限のものとすること。

5.今後の進め方について

 制度の見直しに当たっては、必要に応じ国と地方の協議の場を活用するなど、具体的な制度設計について地方の意見を十分反映することができるようにすること。なお、その権能や人口規模が多様である市町村の意見も十分に聴くべきであること。

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