教育委員会制度等の在り方についての意見

平成25年6月7日
広島県安芸太田町教育委員会
教育長 二見 吉康

意見発表の内容
(1)教育委員会制度の実情について(現行制度のメリット、デメリットなど)
 ア 独立した教育委員会のメリット
   ・教育行政における政治的中立性や継続性・安定性の確保
   ・首長が広範な事務を処理する中で専門の機関が教育を担当
   ・一定の教育水準を確保すべき義務教育実施の確実な担保
 イ 小規模町村における教育委員会及び事務局の実態
   ・教育長は、教職経験者が7割近く、学校教育の専門性が高い。
   ・教育委員による学校訪問指導は、適時に実施可能で、教職員の把握も詳細にできる。
 ウ 教育委員・会議の状況
   ・教育委員会会議は、定例会は月一回、プラス臨時会が数回であり、実質的に活動不足である。会議の傍聴者数や会議録の公開状況は低い。
   ・委員報酬は、小規模自治体ほど少額にとどまっている。
 エ 教育委員会事務局の状況
   ・一般行政職員から異動してきた職員と極少数の学校教職員経験者で構成し、教育行政の専門家が少なく、管理運営の能力が不足している。
   ・指導主事(充て指を含む)の配置状況は、人口8千人未満の自治体で1.0~1.1人程度である。
(2)教育再生実行会議の提言を踏まえ、今後の制度の在り方を検討する際に留意すべき事について
 【地方教育行政の権限と責任】 
  ア 首長による教育長の任命については、現状を追認するものであり、地域住民の理解は得やすい。
  イ 基本的には,現行の制度の問題点というよりも、現行制度を十分に機能させるための条件が不足しているのではないか。
  ウ 教育委員会の機能としては、合議制の行政機関として、教育長および事務局の指揮監督、監視、教育方針や施策の検討・決定を遂行する。諮問機関にとどまらないことが必要である。
  エ 教育長および教育委員の選任にあたって、任命にあたる首長と同意する議会は、選任の責任を負うべきである。説明責任を果たすことが必要である。
    教育長の罷免については,首長はまず任命責任を明確にし,議会の同意は3分の2以上とし,この際も首長と議会の説明責任を果たすことが必要である。
  オ 教育委員会の開催・活動回数を高め、学校現場を把握する機会を増やし、活動内容を積極的に発信できるよう処遇を改善する必要がある。
  カ 教育委員会事務局の専門性高め、学校現場への支援体制を充実させるため,地方公共団体の規模に応じた基準を示し,指導主事をはじめとする各種専門スタッフの配置を義務付け、配置に必要な財政を措置する。
 【国・都道府県・市町村の役割】
  ア 地方公共団体の教育行政に対して,是正の要求・改善の指示を行うことについて、現行の法令(地教行法48条~51条)に基づき、より迅速に対応できるシステムを検討すべきである。
  イ 県費負担教職員の人事権の委譲については、特にへき地や離島の地域の町村において人材を確保することの困難が予測され、これまでの議論のとおり、小規模市町村の理解が得られる広域的な人事調整の具体的な仕組みについて検討する必要がある。
 【地域住民の意向の反映】
  ア 過疎化・少子化・高齢化がさらに進行し、学校が集落の拠点の役割を担い、地域の文化や体育的活動の牽引役となっている一方で、学校は、学校行事や周辺美化、また子どもたちの見守り等に地域の協力を求めるなど、互助の関係になっている。都市部との違いを受け止めながら進めていくことが必要である。
  イ 子どもたちが地域住民との多様なかかわりが持てるような複合施設(学校・公民館・図書館・社会教育施設等)を設けるなど、地域総がかりの学校支援につないでいく方策を検討されたい。

 

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