教育制度分科会(第20回)・初等中等教育分科会(第50回)合同会議 議事録

1.日時

平成19年2月25日(日曜日) 13時~16時30分

2.場所

学術総合センター 2階 中会議場

3.議題

  1. 「今後の教員給与の在り方について」(答申案)について
  2. 学校教育法の改正について
  3. 教育職員免許法等の改正について
  4. 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正について
  5. その他

4.出席者

委員

 梶田分科会長、木村副分科会長、田村副分科会長、安彦委員、岩崎委員、梅田委員、衞藤委員、奥山委員、角田委員、寺崎委員、中村委員、平野委員、天笠委員、荒瀬委員、井上委員、市川委員、大南委員、小川委員、押尾委員、陰山委員、片山委員、門川委員、黒須委員、甲田委員、高倉委員、高橋委員、渡久山委員、野澤委員、藤井委員、北條委員、武藤委員、山極委員、山本委員

文部科学省

 結城事務次官、田中文部科学審議官、玉井官房長、金森総括審議官、倉持政策評価審議官、加茂川生涯学習政策局長、銭谷初等中等教育局長、合田大臣官房審議官、布村大臣官房審議官、辰野大臣官房審議官、徳久初等中等教育企画課長、尾崎財務課長、常盤教育課程課長、田河幼児教育課長、大木教職員課長、藤原企画官、淵上教育制度改革室長

オブザーバー

 鳥居文部科学省顧問

5.議事録

【梶田分科会長】
 それでは、ただいまから中央教育審議会第20回教育制度分科会及び第50回初等中等教育分科会を合同で開催いたします。
 午前中、皆さん、本当にご苦労さまでした。お疲れの面もあるかとは思いますけれども、午前中の総会での議論を踏まえて、より一層、具体化したいなと。具体的な方向にいきたいなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 午前中に引き続いて、3つの法案といいますか、実際に4つになりますが、この審議に入るといいんですけれども、実はその前に皆さんに、もう一つ大事な問題につきましてご審議いただきたいと思っております。それは教職員給与の在り方に関するワーキンググループがずっとご審議いただいていた、その内容につきましてご報告いただきまして、これについて答申案を総会に提出していいかどうか、これを皆さんでご検討いただきたいと思っております。この教職員給与の在り方に関するワーキンググループは、初等中等教育分科会のもとに設けられたものでありますけれども、実はその答申案の内容が教育制度分科会、初等中等分科会、両方にかかわるものであるということで、この合同の会議に提出いたしまして、皆さんのご審議をいただきたいと思っております。具体的に言いますと、教職員の給与の問題、これは即、初等中等教育の全体にかかわりますけれども、同時に学校教育法を今改正するということを検討していただいております。その中で想定されております副校長とか主幹とか指導教諭の給与面での待遇をどう考えるかということも含まれております。そういうことがございますので、この合同会議でお願いをしたいと思います。
 今日は、この問題に1時間程度とるかなと思っております。よろしくお願いします。
 それでは、まず最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 本日配付をさせていただいている資料のご確認をお願いいたします。議事次第にございますけれども、資料1-1といたしまして「教員勤務実態調査暫定集計概要」、資料1-2といたしまして「教員・保護者意識調査の概要」、資料2-1といたしまして「今後の教員給与の在り方について(答申案)」、資料2-2といたしましてこの答申案の参考資料、資料3といたしまして次回以降の開催予定、参考資料1といたしまして前回の本分科会の議事概要の速報版でございます。以上の資料につきまして不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと存じます。
 なお、本日はこのほかに3法の改正に関する骨子案を配付させていただく予定ですけれども、なお作成中でございますので、後ほどお配りをさせていただきたいと存じます。
 また、前回配付をさせていただきました議事概要と同様に、本日お配りをしております議事概要もあくまで速報版として事務局で作成をしたものでございます。正式な議事録につきましては、後日、委員の先生方にお送りをして内容のご確認をいただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、今後の教職員給与の在り方について答申案、この問題につきましてご検討をお願いしたいと思います。先ほど言いましたように、両分科会の合同会議でこれをやるという理由につきましては、先ほど申し上げましたけれども、これをまず取り急ぎやらなければいけないということを一言申し上げておきます。これは行政改革推進法という法律を小泉内閣が残していかれたわけですけれども、この中に人材確保法の廃止を含めた公立学校の教職員の給与の在り方の見直しというのが入っております。これを平成18年度中に結論を得て、平成20年4月を目途に必要な措置を講じるとなっております。つまり、3月までにこれについての結論を出して、1年後の予算にこれを反映するとなっております。そういうふうに法律で日程が決められておりますので、この問題につきまして、今、ワーキンググループで詳細に検討していただきましたので、これを伺いまして、我々分科会としての意見を集約し、そして、その結果を総会に報告をしたいと思っております。
 それでは、まず、このワーキンググループの主査をお務めいただきました田村先生からご説明をいただきまして、補足説明を事務局からお願いしたいと思います。

【田村副分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、後ほど尾崎課長から詳しいご説明をいただきますが、実は昨年の7月から初等中等教育分科会のもとに教職員給与の在り方に関するワーキンググループというのが設置されまして、以来16回、そんなにやったかなと思うんですけれども、数えたらほんとうに16回やって、すごくやったと思いますが、井上先生、小川先生のお助けをかりながらメンバーで公立学校教員の給与の在り方について検討を行ってまいりました。
 これまでのワーキンググループにおける審議を踏まえまして、配付させていただいております資料のように、中央教育審議会の答申案として、今後の教員給与の在り方についてを取りまとめております。どうぞお手元の資料の2-1をごらんいただきたいと思います。
 この資料の目次に沿って全体像を紹介させていただきます。
 答申案につきましては、4つの章に分けております。
 第1章に、「教員給与をはじめとした処遇の在り方についての基本的な考え方」について整理をしております。既にいろいろとお話を多くの先生方からしていただいておりますが、この視点は、教員というのは、ご存じのように基本的に子供たちと接する時間が多いことが必要で、それさえ多ければ、極端な話、給料は幾らでもいいという感じがあるわけで、ですから、その視点を外して議論してもほとんど意味がないわけです。陰山先生が先般おっしゃっていましたが、そのとおりの感じですので、とにかく目標は、先生方が子供たちと接する時間をどうすれば多くできるかという視点を中心にして議論を進めてまいりました。
 給与の問題、それから「教員の校務と学校組織運営体制の見直し」というのが第2章以降で取り上げられているわけですが、これらもすべて、いかにして教員が生徒と接するか、その時間を増やすかという視点で分析をしてまいりました。今、やはり時代の変化だと思いますが、これは小川先生がおやりいただいたんですけれども、実態調査した結果、教員の働いている時間のかなりの部分が、びっくりするぐらい多くの部分が、子供たちとのかかわりではなくて親とか地域とか、そういう方に割かれてやっているんですね。ですから、そのところは何とか直せないかということで考えたという視点がございます。
 昨年の7月から教員勤務実態調査暫定集計ということを進めておりまして、月ごとに分かり次第、公表しながら議論をしてまいりました。先生方が子供たちに向き合い、きちんと指導できる時間を確保するということができるか。そのためには学校事務の軽減、効率化、事務処理体制の強化、あるいは教員のサポート体制の充実を図るという観点から、いろいろなことを考えさせていただきました。
 まず、副校長、主幹、あるいは指導教諭といった新たな職の設置ということを考え、そして、学校の組織運営体制を見直すことが必要ということで、第2章においてその意見をまとめております。
 第3章では、先ほど申し上げましたようなことが実際にできるように、給与の体系についてメリハリのある体系をつくろう。つまり、なべぶた型というのは、経営学的には最新の新しいやり方で、みんなそうしようという流れなんですが、実は教員の実態を見ますと、なべぶた型でやってきて限界にきているという感じです。つまり、教員が生徒に徹するんじゃなくて親と接するときに、今の組織のままだと全部、教員がやらなければいけないということになりますから、いろいろ組織体制を考えることで、その部分を少しでも軽減できないだろうかというような発想から、こういった考え方が出ております。安定的に教員に優秀な人材を確保するということももう一つの重要な視点でございますので、第3章では人材確保法を堅持するという基本を維持しながら、教員給与の優遇措置の在り方について、メリハリをつけるという意味で見直す必要があるとまとめております。
 また、教員給与にメリハリをつける観点から、先ほど述べました主幹や指導教諭に応じた給与上の級の創設、あるいは能力、実績にかかわらず、一律に支給されている手当の見直し等が必要である。これは公務員という制度ですと一律というのが原則になるんですけれども、そこを社会の変化、実態に合わせて見直すということをする必要があると提言いたしました。
 第4章では、教員の時間外勤務の縮減に積極的に取り組むべきであるとした上で、教員の勤務対応の特殊性などを踏まえ、勤務時間の弾力化を検討していくことが必要であるとしております。
 なお、教職調整額の見直しや1年間の変形労働時間制の導入につきましては、これはかなり議論を詰めたのでございますが、結局、意見を集約するまでには至りませんでしたので、現在集計中の教員勤務実態調査の最終報告、今のところ11月まで分かっているんですが、最終報告の結果を踏まえながら、今後さらに検討していくことが必要であろうという報告書になっております。
 以上が今後の教員給与の在り方に関する答申案の概要でありますが、詳細につきましては尾崎課長からご説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

【尾崎財務課長】
 引き続いて、田村主査の補足説明をさせていただきます。
 このご議論の前提となりました実態調査の関係を、まず先にご説明させていただきます。お手元の資料1-1を、まずご覧いただければと思います。
 教員給与の在り方を検討する前提として、教員の勤務の実態を把握する必要があるということで資料1-1をご覧いただきますと、表紙に書いてございますとおり、7月から12月までの6カ月間について、まず勤務実態調査をやると。各月、学校を変えながら、各月、小・中学校180校ずつぐらいでやってまいったわけでございます。そのうち、11月までまとまっておりますけれども、まず、2ページをご覧いただければと思います。
 2ページは教員の勤務日の1日当たりの勤務時間について、学校種別、職種別の集計を行ったものでございます。大きく左、真ん中、右と分かれてございますが、左側が勤務時間トータル、真ん中が残業時間、これは始業前と終業後と両方含んだものでございます。それから、教員に特有の業務といいましょうか、よくあります持ち帰りの時間についても調査をいたしております。それで、ご覧いただきますとおり、勤務日1日当たりの残業時間、真ん中の一番下を見ていただきますと、これを1カ月当たりに直したものが黄色の部分でございますが、そのすぐ上に1日当たりの時間がございますけれども、これで見ていただきますと、第1期、第2期、第3期、第4期、第5期と書いてありますが、第1期が7月分でございます。7月分の夏休みを除いた部分。第2期が8月の夏休み部分。第3期、第4期、第5期が、9月、10月、11月分でございます。ご覧いただきますと、夏休みを除きますと大体2時間程度の毎日の残業となっている。これはあまりばらつきが見られないということでございます。
 それから、この表で横長に黄色がずっと塗ってある部分が教諭の勤務時間でございますけれども、真ん中の残業時間のところをそれぞれご覧いただきますと、小学校の上段の黄色の部分と中学校の部分を比べてご覧いただきますと、中学校の方が残業時間が長くなっております。これは中学校では部活動の指導に時間をとられているということが原因だということでございます。
 それから、各黄色の横長のすぐ上が教頭、副校長の時間でございますけれども、真ん中の残業時間のところをご覧いただきますと、それぞれ黄色の教諭よりも、すぐ上の教頭の方が大体1時間ずつぐらい長くなっているという状況がございます。これも先ほどご指摘ありましたけれども、外部対応、その他マネジメントの時間というものが、教頭先生の段階でしわ寄せが行っているという実態があるということかと思います。
 一方、第2期、8月の夏休みの部分をごらんいただきますと、勤務日1日当たりの残業時間は当然ながら少なくなっておりまして、全職種平均で、一番底の部分をご覧いただきますと22分ということで非常に少ないということでございます。
 次の3ページをごらんいただきたいと思います。これは勤務日1日当たりの教諭のデータを、その職務内容を4つの分類といいましょうか、大きく4つのジャンルに分類をしております。どういう分類かといいますと、一番下のところに部分ごとの合計が書いてございますけれども、緑色の業務が児童生徒の指導に直接的にかかわる業務ということで、例えば上の2段目のbが授業、hが部活動といったものが代表的なものでございます。それから、茶色の部分が児童生徒の指導に間接的にかかわる業務ということで、授業の準備ですとか、成績処理といったものでございます。黄色が学校の運営にかかわる業務ということで、典型的な業務はm、nあたりにございますが、会議ですとか、事務・報告書作成といった業務でございます。
 それから、灰色の部分が保護者、地域、その他の外部対応ということでございますけれども、これで傾向をご覧いただきますと、夏休み、8月分を除きますと、子供とかかわらない黄色の業務、とりわけmの会議ですとか、nの事務・報告書の作成といったようなものをご覧いただきますと、一番下のところの黄色、それから外部対応の灰色をご覧いただきますと、1時間40分、あるいはそれを超えるような業務になっているということで、デスクワーク的な事務負担が大きいということがデータとして出てございます。
 それから、下のほうに白抜きでvの部分に休憩・休息というのがございます。これは制度上、もちろんちゃんと設けられているわけでございますけれども、実態としては、休憩・休息というのがなかなかとれていないという実態がございます。
 一方、8月、第2期の部分の小・中学校の平均をご覧いただきますと、一番下の色分け合計をご覧いただきますと、夏休み期間中は、当然、授業その他の子供に直接かかわる時間というのが減りますので、逆に黄色のデスクワーク的な事務・報告書作成ですとか会議、あるいは外部対応といった時間が合計で4時間半程度になるということで、極めて長くなっているという事情がございます。
 次に4ページをご覧いただきたいと思います。4ページは部活動の顧問、「運動部顧問」、「文化部顧問」、「顧問をしていない」という役割ごとに、属性ごとに4ページの中学校の先生方の残業時間を見たものでございます。これで見ていただきますと、「顧問をしていない」、「文化部顧問」、「運動部顧問」となるに従って残業時間が長くなっていると。運動部顧問で1時間程度、文化部顧問で30分程度、顧問をしていない先生よりも残業時間が長くなっているという特徴がございます。これは各月通じての特徴だということでございます。
 次の5ページ、6ページをご覧いただければと思います。これは今まで申し上げてきた数字は、それぞれに属する教諭、あるいは教頭の全平均でございますけれども、それぞれの教諭ごとのばらつきはどうなっているのだというものを分布図であらわしたのが、5ページが小学校、6ページが中学校となっております。どちらも共通に見てとれる傾向でございますけれども、例えば5ページの左上、7月分の通常期、学期末ですね、1学期末の状態を見ますと、ゼロ分の先生方もおられるかわりに、平均で1日当たり6時間38分の残業になっている先生もいるということで、残業時間に極めてばらつきが出てきているという状況がうかがえます。
 以上、7月から11月までの勤務実態調査の大まかな傾向でございます。まだ12月分が残っておりますし、また、いろいろな観点からの分析もまだ必要かと思います。今後さらに集計結果を追加の分も踏まえて分析をしていきたいと。また、それになるべく客観的な評価を加えていきたいと思っているところでございます。
 この資料1-1の後に、それぞれ各月ごとの個票といいましょうか、資料1の参考資料ということで、7月分、8月分、9月分、10月分、11月分、5分冊になっておりますけれども、お手元にお届けしておりますので、後ほどご覧いただければと思います。
 それから、次に資料1-2をご覧いただければと思います。資料1-2は、教員、保護者の意識調査でございます。表紙に書いてございますけれども、これは昨年の10月に教員と保護者、それぞれに意識調査をやったものでございまして、教員の対象が約8,000人、保護者の対象が約7,000人弱となってございます。
 1枚おめくりをいただきまして、調査結果のポイントということで整理をさせていただいております。資料1-2のすぐ後に参考資料としてもう少し分厚いものをつけてございます。このポイントのそれぞれの文末にページ数を引用してございますので、後ほどご覧いただければと思いますが、時間の関係でポイントだけで要点をご説明させていただきます。
 まず、教員の意識のほうでございますが、黒丸が5つ並んでございます。教員は教師という職業にやりがいや誇りを持っているが、残業や休日出勤も多く、休暇をとりづらいと考えていると。
 それから、何を忙しいと考えているかということについては、授業は大して忙しいとは思わない。それよりも成績処理ですとか、授業の準備、あるいは事務・報告書の作成といったようなものに負担感を覚えている、忙しさを感じているということでございます。
 それから、忙しさを解消するための方策を問うたところ、これが3つ目の黒丸でございますけれども、教職員を増やして役割分担をしてほしい。それから、事務的な業務の合理化が必要だ。それから、勤務時間を弾力的に運用させることが必要。これは勤務の密度に程度の差がございますので、夏休み中の勤務時間と忙しい学期中の勤務時間が融通できるようにしたほうがいいという趣旨のお答えかと思います。
 4つ目でございますけれども、学校のやるべきこと、教師のやるべきこと、家庭でやるべきことと、何をどう思いますかと聞いたところ、教科指導は当然ながら学校でやるべきことという答えでございますけれども、それ以外に集団生活を通じて他人への思いやりの心を育てるというのが教員の重要な役割だと。一方、しつけは家庭でもうちょっとやってほしいというご意見でございます。
 最後ですが、給与の関係で質問したところ、他の公務員よりも高い倫理性が求められ、仕事の内容や量から見ても、教員の給与は一般公務員よりも高くてもよいのではないか。また、能力や成果・実績に応じて給与に差をつけることについてはあまり積極的ではないという傾向でございます。
 片や保護者の意識ですが、あまり教員と変わらない反応が上の3つは大体そうかと思いますが、一番下でございますが、給与の関係では教員と意見が分かれてございます。学校の先生には他の公務員よりも高い倫理性を求め、指導力不足の教員や問題教員には厳しく処分したり、給料を減らすべきだと考えているということでございます。これはそれぞれの該当ページをご覧いただきますと数字的な分析もございますので、後ほどご覧をいただければと思います。
 こういう調査を前提として会議でこういうものを踏まえながらご検討いただいた結果、要点は先ほど田村主査からお話をいただいたとおりでございますが、大きなポイントについて少しだけ補足をさせていただきたいと思います。
 資料2-1、「今後の教員給与の在り方について(答申案)」をご覧いただければと思います。
 まず、6ページでございますけれども、これは第2章の「教員の校務と学校の組織運営体制の見直し」という中の2番の「組織運営体制の見直し」という部分でございます。下半分のところでございますけれども、6ページから7ページにかけまして、既に合同分科会でもご議論いただいておりますとおり、なべぶた型組織といったものを踏まえて、より円滑な学校運営を実施していくために教頭の業務のサポートが必要。これは勤務実態調査で先ほど教員の勤務の状況をご覧いただいたとおりでございますけれども、そういったことを踏まえて、6ページの一番下の丸でございますけれども、副校長、主幹の指摘がございます。
 それから、次の7ページで、副校長、主幹とは別に指導力にすぐれた教員の処遇ということで7ページの一番最後の丸になりますけれども、すぐれた指導力を持つ教員を指導教諭という新しい職の位置づけをしてはどうだということでございます。
 それから、もう一枚おめくりをいただきまして8ページでございます。政府の行革推進法、あるいは政府の閣議決定等で教員給与の在り方についてのメリハリづけというようなものが私どもの宿題になっているわけでございますけれども、メリハリある教員の給与の在り方ということについてのまとめでございます。
 まず8ページでございますが、2つ目、3つ目の丸でございます。現在、教員給与の考え方の基本を支えておりますのが、2つ目の丸にございますけれども、昭和49年に制定されました、略称でございますが、人材確保法、あるいは人確法という言い方をしますけれども、正確には、そこにございますとおり、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法という、この人確法につきまして、これは当時、高度経済成長の中で優秀な人材を教職として確保するのがなかなか難しかった、そういったときに制定された法律でございます。
 その次の丸にありますとおり、各都道府県で公立学校教員の給与を定める際に、一般公務員の給与を下回らないようにするための役割を果たしてきているわけでございます。仮に人材確保法を廃止した場合には、厳しい財政状況もございまして、教員の給与水準が一般の公務員より低くなってしまうおそれがあるというまとめをいただいているところでございます。
 また、これを受けまして、次の9ページでございますが、9ページの1つ目、2つ目の丸で、次代を担う子供たちの人間形成にかかわる教員の職務の重要性というものを考えれば、安定的に優秀な人材を確保していくためにも教員の給与の優遇措置を定めた人確法の精神は今後とも大切にすべきであり、人材確保法を堅持することが必要である。
 それから、2つ目の丸で、ただし、昨年の7月の閣議決定でも指摘があるとおり、人確法の精神は維持しつつも、めり張りをつけた教員給与体系を構築する観点から在り方を見直すべきであるというご指摘になっております。
 給与の見直しでメリハリづけの観点から、まず一つ大きな柱が、そのページの下のほうにございます給料の見直しで既にご議論いただいております、現在、校長、教頭、教諭、助教諭という4段階の給与になっているわけでございますけれども、10ページにございますけれども、主幹、あるいは指導教諭という新しい職の位置づけに伴って、職務の級ということで新たな級を創設することが望まれると。また、副校長についても、教頭との関係を整理した上で、職務に応じた処遇を行うことが望ましいという提言になってございます。
 また、メリハリづけのその2といたしまして、10ページに教職調整額の見直しという項目がございます。この教職調整額と申しますのは、10ページの中ほどにございますとおり、昭和46年に作られた制度でございますけれども、教員の職務が自発性、創造性に期待する面が大きいと、一般の公務員と同様な時間管理が必ずしも適当ではないということで、時間外勤務手当は教員になじまないという考え方のもとに定められたものでございます。根拠は国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、長い名前ですが、略称、よく給与特別措置法とか、給特法という言い方をしますけれども、この法律に基づきまして教職調整額という制度が定められました。それはそこの1にございますとおり、勤務時間の内外を包括的に評価をして、これは全教員一律でございますけれども、給料の4パーセント相当の教職調整額が現在支給をされております。これを見直すべきだというのが、この方向性でございます。
 先ほども申し上げましたとおり、例えば部活動、その他、教員の勤務が、教員の職務内容に応じまして勤務時間の差が著しく大きくなってきている。それを踏まえまして、11ページでございますけれども、教職調整額の在り方について見直しを加えるべきだと。その場合に、11ページの中ほどの3にございますけれども、教職調整額の基本的性格を残しながら、その中でメリハリづけを考えるべきであるというご意見と、その意見が多かったかと思いますけれども、下から2つ目の丸にございますとおり、一般公務員と同様に時間外勤務手当方式に切り替えることも検討してはどうかというご意見も一部ございました。
 それから、メリハリづけの3でございますが、12ページをご覧いただきたいと思います。各種手当についてでございます。現在、教員に出されている手当の中で、12ページの中ほどに義務教育等教員特別手当、これは小・中・高等学校の教員に一律に支給されてございます。また、その次の丸にございます特殊教育小学校の勤務関係者に支給される給料の調整額、これも一律に支給をされるものでございますけれども、こういったものについては廃止、縮減の方向で見直すべきだというご意見を頂戴しました。
 片や、12ページの一番下にございますけれども、部活動手当につきましては、先ほどの実態調査でご覧いただきますとおり、担当する教員としない教員でかなり差が出ていると。それを踏まえて、部活動手当の充実、そういったものを考えるべきであるというご意見も頂戴しているところでございます。
 最後でございますが、15ページでございます。これも先ほど田村主査からお触れいただきましたが、こういう給与の見直しとあわせて、教員の勤務時間の適正化、あるいは夏休み、冬休み等の長期休業期間とその他の学期中の勤務時間の弾力化などについても検討していくべきだというようなご指摘をいただいているところでございます。
 補足説明は以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、この答申案、今後の教員給与の在り方について、これと今ご報告いただきました教員の勤務実態調査、それから教職員及び保護者の意識調査。まず、調査の結果についてもご質問があればお願いしたいと思いますし、また、この答申案につきましても、ご質問、ご意見、双方含めてご発言あればお願いしたいと思います。

【大南委員】
 中座をする関係で、大変細かい点で恐縮ですが、意見を述べさせていただきます。
 先ほどご説明がございましたが、答申案の12ページ、特殊教育関係者に支給される給料の調整額ですが、これは十何年か前から、盲学校、ろう学校、養護学校の校長会でも話題になっているところであります。ここにもありますように、特別支援教育が実施をされていきますと、すべての教員が障害のある幼児、児童生徒にかかわっていくことになります。ですから、ここにあります廃止を含めての検討はぜひお願いしたいと思うんですが、それに加えて、免許法の改正で、盲学校、ろう学校、養護学校、別々になっていました教員免許状が特別支援学校教諭免許状で一本化されてまいります。それに伴って、例えば小学校の教員免許状をとった上で26単位を加えて特別支援学校教諭免許状になる。そういうことで、ぜひ免許状を持っている教員と持たないで特別支援学校に勤務をする教員との調整額の差というか、何かそれを考えていただく必要があるのではないか。特別支援学級においても、現在、特殊学級ですが、これも特別支援学級になったときに、特別な免許状、あるいは学会等が出しております資格認定証を持っている教員と持っていない教員との差というのをぜひご検討いただければと思います。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。片山委員、それから門川委員、お願いします。

【片山委員】
 先ほどの実態調査などを伺っていて、ちょっと気になったことを幾つかお話ししたいんですが、一つは、教員には教職調整額を支払って残業手当がないということで、おそらく残業の管理もこれまでしてないと思うんですね。一般行政職ですと残業の管理をきちっと、まあ、やっていないところもありますけれども、我々のところはきちっとやって、した者には払う、それから、あまりにも職員間で繁閑の差があるときには仕事の配分を見直すということをやるわけです。教員の場合は残業手当を払いませんから、おそらくそういう面でのマネジメントができていないのではないかと思うんですね。残業手当を払わないということと、それから、教員の間に残業なんかで著しい格差があることについて、そのままにしておいていいということでは多分ないと思うんです。ですから、もうちょっとマネジメントを学校現場でやらなければいけない。それがおそらく今回の学校の管理体制を充実させようということにつながるのかもしれませんけれども、ということが一つ、気になります。
 もう一つは、夏休みに何でこんなに仕事をしているんだろうかというのが率直な印象なんですけれども、おそらくぶらぶらしているのではないかと世間から言われるので、強迫観念にとらわれて、何かやらなければいけないというので無理やり仕事をつくったり、研修をこさえたりしている面があるのではないか。私、無理しなくてもいいと思うんですね。知的職業ですから、大学の先生なんかを見てみるとよくわかりますよね。毎日毎日、大学の先生、夏休みに来いなんてやっていないですよね。その間、自分でちゃんと自己研さんを積む人が多分多いでしょうし、そうでない人もいる。それは差が出てきて、その教員に対する評価にいずれつながるのだろうと思うんですけれども、小学校、中学校の先生だって同じ面があると思うんですね。ですから、夏休みに何も無理して出てきて残業までしているなんていうのは、ちょっと異様な感じを受けるんですね。何か業というか、我慢比べをしているような印象があるんですけれども、これは世間の理解も必要だと思います。給料をもらっておきながら夏休みにぶらぶらしているのはおかしいではないかと言う人がいますから、世間の理解もちゃんと得なければいけませんけれども、もうちょっとノーマルな形のほうに持っていかないと、夏休みでせっかく教員がはつらつと、生き生きと、自分を高めるいい機会なのに、あたら自分を殺してしまうようなことに現状はなってはいないかということ。教員は言いにくいでしょうから、周りから言ってあげなければいけないのではないかなという気がしました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 門川委員、お願いします。

【門川委員】
 この実態報告を聞きまして、率直に言って、先生方の残業時間はこの程度やないなと思います。持ち帰りの仕事だけでなく、京都の先生方が非常に頑張っていただいているんだとは思いますけれども、校長先生、教頭先生は、土曜日、日曜日、ほとんど毎週出ている、夜も出ている、そういうことはほとんど報告されていないというのがこの調査の実態やないかなと。あるいはクラブ指導でも、伏見工業高校のラグビーが有名ですけれども、サッカーも京都で優勝するほど活発なんですけれども、7時には出てきて早朝練習を毎日しております。そういう状況でありますし、実態はこれどころやないなと。頑張っている先生は、持ち帰り仕事もそうとうやっている、やっていても、そのことを言われないという実感をしております。
 それで、これらの見直しを実施していくために、もちろんメリハリをつけて、頑張ってない先生の手当を減らすということは賛成であります。しかし、トータルとして財源の増額が大事であります。財源の確保とともに、こうしたいろいろな改革を実施していく。部活動の手当を増やすということですけれども、3倍か5倍ぐらいに増やすべきやな。日曜日の1日6時間以上して1,500円ですか。時間給と勘違いされるほど安いんですね。そういうことですので、大幅な増額をしていって、頑張っていらっしゃる先生を激励していくということが一つ大事ではないかなと思います。
 もう1点は、先ほどの場で言えなかったんですけれども、副校長とか主幹とかいう新たな職を設置していくことは大事でありますし、同時に、それらに対して給与上の処遇をきちっとしていくということは大事だと思っています。例えば京都市では副教頭という職を新たに作ってうまく機能しているわけです。地域の独自性を踏まえて、職名を画一的にしないでいただきたい。地方自治体にある程度任せていただくということが大事ではないかなと思います。例えばですけれども、京都市では助役のことを副市長と言っています。市民にはその方がわかりやすい。ところが、地方自治法上は助役を置かなければならないということになっていますから、自治省に出す書類は助役と書かないといけない。電車に乗っても駅にも助役がいはるんです。よくわからないということで副市長。校長、教頭、副教頭という言い方をして、どのように違うのか市民には現場で非常に有効に機能し出している。ただし、給与上の処遇はできない。そういうことで、職名について地方の実態を認めていただけるような措置をお願いしたいなと思います。
 もう一点ですけれども、義務教育において給与の支払いをするところの都道府県と服務監督する市町村という制度は様々な矛盾を生んでいます。政令指定都市については一致していこうということを言われていますし、それは早期に実施していただきたいと思います。服務監督する、あるいは勤務について命令を出すところと給与負担とは違いますから、どうしてもそこで齟齬がある。そこで市町村が独自に手当を出せるという制度を認めるべきではないかなと思うんです。例えば何ぼ都道府県で予算措置していただいても、2月、3月になったら、頑張っている学校ほど旅費がなくなるんです。あるいは、自主性、創造性で一生懸命頑張っている先生に何か手当てしたいといっても、国及び府の制度が邪魔して、市町村独自のそういうことができない。何とか構造改革特区の制度を活用してお願いできへんかな思ったら給料の二重渡しになる、二重払いになるということが制度上の問題として断念せざるを得なかったわけです。市町村で独自に勤務の実態、地域の実態に応じて、重ねて手当を出せるとか、別の手当を出せるということも地方の自主性によってできるという制度設計ができないものかなと、そのように思っています。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 中村委員、お願いします。

【中村委員】
 答申の内容は、これでよろしいと思うんですけれども、2点についてご質問したいんですけれども、まず、給与の在り方の出発時点が、財務大臣、文科大臣の2.76パーセント削減といいますか、これが所与の条件であったわけですけれども、これがこの答申をやることによって実現可能性があるのかどうなのか、いや、これじゃ可能性がないので、もう一回見直せと、こういうことになるのかどうか、それがちょっと心配だというのが1点です。
 それから、これは結果的に国庫負担の算定根拠になるということになると思いますけれども、先ほどの日程上、国の方では国庫負担、予算上の関係があって、この時点で、あるいは中教審で正式にということですけれども、実際の人件費を決めているのは都道府県の人事委員会の勧告を待って決めていると。こういう事情を考えますと、それぞれが夏後半から秋の初めにかけて各都道府県の人事委員会の勧告が出ちゃうんですね。そのときに国の予算がどうなるのかわからない時点で各都道府県の人事委員会がどういう勧告を出すのか、これがそれぞれ47都道府県で全部違うことになりかねない。そのときに、せっかくここで教員給与の在り方でなるべく全国一律にということにしているんですけれども、地方は国の決定を待って21年度から導入とか、何かそういうタイムラグが考えられるのかどうなのか、それまでの間、国庫は現行制度で保障するとか、その辺がどうなるのか、これがわからないものですから、この2点をご質問したいと思います。

【梶田分科会長】
 この点につきましては、事務局の方で、もし今の段階でわかっているならばお願いします。

【尾崎財務課長】
 まず、2.76パーセントをご存じでない委員の方もおられますので、補足を申し上げますと、教員給与は、昨年の政府・与党の歳出構造改革の大きな方針の中で、一般の教員の42歳ぐらいの年齢の職務に伴う手当を加えますと、一般公務員よりも平均2.76パーセントぐらい高くなっている。これにつきまして歳出構造改革の骨太の方針、その他の方針の中では、とりあえず、この差額、出っ張っている2.76パーセントについて縮減すべきであるという指摘が一つございます。
 それ以外に、今ここで縷々おまとめをいただいているような教員給与の在り方そのものについて、優遇措置の在り方について見直すということで、この提言に至っているわけでございますが、今、中村委員からご指摘のありました2.76パーセントにつきましては、当初、財政当局の意見は、歳出構造改革期間の初年度である今年の4月から、19年度からやるべきである、縮減に取り組むべきであるというご主張だったわけでございますけれども、年末の財務大臣と文部科学大臣の事前大臣折衝の場で、伊吹大臣の極めて強力なご主張があったわけでございますけれども、メリハリづけの全体を検討する中で縮減措置の在り方も考えるべきであると。先に減というのはおかしいのではないかというご主張をいただきまして、結果的には2.76パーセントの縮減については20年度の検討とするということになってございます。
 というわけで、今回の4月以降の縮減には、直ちにはその問題には取りかからないということでございますので、今、この基本方針をお認めをいただいた段階で、政府・与党としてある程度定性的なといいましょうか、枠組みとしての方向性を定めていくこととあわせて、その縮減の在り方は、また政府の中で量的な検討をしていくということになります。したがいまして、それが単年度になるのかということも今後の議論ということになりますので、そこはまだ確定をしていないところがあろうかと思います。
 それから、今申し上げましたとおりで、縮減をやるにしても、例えば2.76パーセントを減らしたままで、その後どういうふうになるのかということにつきましては、例えば大臣の国会答弁の段階では、現在の教員の勤務実態、今縷々ご報告をしましたとおり、勤務実態を踏まえた検討とすべきであるということでございます。その観点から言いますと、なお、いろいろな検討を詳細に加える必要があろうかと思いますけれども、先ほどご報告を申し上げましたとおり、教職調整額が導入された昭和46年のちょっと前に勤務実態調査を、今から約40年ほど前になりますけれども、文部科学省がいたしました段階では、4パーセントを算定する基本のデータとしては月8時間程度の残業時間だということを前提に制度の導入をした経緯がございますので、それから見ますと、先ほどご覧いただきましたとおり、40年を経て教員の残業の実態というのが大きく、また、ばらつきも出ているということでございますので、これをどういうふうに理解をし、どういうふうに制度の中で盛り込んでいくのか。教職調整額の質的な設計だけではなくて、基本的な量的な設計ということについても20年以降の政府内での検討ということで詰めていなければいけない要素だと思っております。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 荒瀬委員、寺崎委員、そして陰山委員、甲田委員。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。
 私は高校教員でありますけれども、教員になるときに、時間をとるか、お金をとるかということはやっぱり考えました。お金はなくても時間があるほうがいいという若気の至りでそういうことを思いました。今になってみると、時間もないし、お金もないしと、わなにはまったような気持ちでおりますけれども、その意味で、人材確保法が堅持されるというのは大変うれしい言葉でありまして、この部分だけが光り輝いて見えるような、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、やっていかなければならないと思っております。
 教員の仕事というのは際限がないんですね。ここで終わりということが当然ございません。親が子を育てるのに、すべての愛情を注ぎ、すべての時間を注ぐということとほぼ似た形で、教員というのは子供たちの成長に向けて自分たちの力を注ぎ込むわけであります。その注ぎ方というのは、しかし、人によってさまざま違っていまして、そういう意味では学校というのはいろいろな人がいたらいいのではないかなと思います。
 その意味で、先ほどご説明いただきました資料1-2の2枚目の部分でありますけれども、「教員・保護者意識調査結果のポイント」というところで、教員の意識の一番下の黒丸の部分、自分たちが他の公務員よりも高い倫理性が求められているから、よって給与が高くてもよいと考えているという点と、もう一点、能力や成績・実績に応じて給与に差をつけることについてはあまり積極的でないというのは、これは学校の中の組織が、必ずしも何らかの生産過程にあって製品を生み出していくという極めて目に見える結果だけを追い求めているのではないという職業的な実態から、こういう意識になっているものだと思われます。したがいまして、私は前から申し上げておりますように、なべぶた組織というのは大変いい組織だと思ってはいるのでありますけれども、しかしながら、改善が必要だということも当然それは理解できますので、今回新たな職が設置されて、それが置くことができるとなることにつきましては、それは大変いいのではないかと思っておりますけれども、全般的に教員の中にこういう意識が強くあるということを踏まえて、その上で進めていきませんと、結果的に新たな管理統制につながっていく。単に職階制度が持ち込まれただけだとなってしまっては、せっかくの改正の趣旨が生かされなくなってしまいます。その点を非常に心配するものです。したがいまして、このところの説明を十分に今後していくということも、あわせてどうぞよろしくお願いをしたいと思っております。
 もう一点、実はこれは自縄自縛になるようなことを申し上げますけれども、新たな職がもし導入されたとしまして、副校長、あるいは主幹、いずれも仮称となっておりますけれども、そういった人たちは校長の職務の手助けをする。また、事務長制度が確立されていきますと、ますます校長というのは、実は学校の中で一番、時間的に余裕が生まれていくのではないか。私は、校長というのは実務、実業をやる学校の中で唯一、虚業にかかわっている人間だと思っておりますけれども、そういう意味では、校長がほんとうにそれぞれの学校をどういうふうな学校にしていこうと思っているのか、どういう教育方針を持っているのかということを、これはぜひとも設置者である教育委員会との間で十分に協議をするということも、あわせてこの改正の方向の中では、まあ、中に盛り込むことは難しゅうございますが、精神としては入れていただけたらどうかなと思っています。
 ちょっと極端なことを申しますけれども、私は、校長というのが、学校に勤めておりますと、何か一つ上がりのような立場でございまして、なってしまうとおしまいという、そういう感も、いざなってみますと確かにあるわけでありまして、おれはこれで終わりかというところがあるわけです。ですから、ちょっと乱暴なことを申しますけれども、大胆なことを考えますと、例えば校長というのは自由契約にしてしまうとか、方針をしっかり持っていて、こういう方向でやっていくんだという、それがそれぞれの学校にふさわしいような形であるかどうかを教育委員会が問いかけていくというようなことさえも必要ではないかと思いますが、あまり言うと全国の校長先生からしかられるといけませんので、この辺にしますけれども、法そのものではなくて、それに伴うものとして、ぜひご協力いただきたいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、寺崎委員、お願いします。

【寺崎委員】
 小学校の学校の現場からということでお話をさせていただきます。
 冒頭お話がありましたように、教職は子供と接する場であり、そして教師が魅力を感じる職場であってほしいというのは我々もいつも念じているところでありますけれども、今回、そういう意味で勤務実態調査で出てきている結果、それから教員・保護者意識調査の概要というのは、ほぼ我々が把握しているものであろうと、妥当な線ではないかなと思っております。先ほども実態ではもっと厳しいところもあるのではないかということがありましたし、そういう教員も確かにおります。一方では、ほとんど残業をしていないような教員もいますが、これはほぼ持ち帰り残業で家庭に帰らなければいけないような実態がありまして、ほぼ家庭に持ち帰ってやっているというのが実態で、全くゼロというような教員は皆無であると受けとめております。
 それから、残業管理のマネジメントについてのお話がありましたけれども、資料1-1の一番最後に業務の分類というのが出ております。改めて私も見ると、こんなにいろいろなことをやっているのかというのを実感いたしますが、こういったものの中で、じゃ、どれが該当するのかということは、改めてまた管理をやっていくと、結果的にそれが管理職の管理ということになって締めつけになっていくという可能性もやはりあるのではないかと危惧しているところです。しかし、一方では、そういったマネジメントとしては、今後の校長はそういう意識をしっかり持って教員の管理に当たっていかなければいけないだろうということは思っているところです。
 それから、答申の案につきましては、ざっと見た程度ですが、この方向で私はいいのではないかと思っております。ただ1点だけ、ちょっと危惧しているのは、13ページの「教員評価と処遇への反映」というところで、教員評価は、現在、私どもが把握しているところでは、すべての都道府県で人事考課制度を導入しつつあります。1県だけまだなところがたしかあったと思うんですが、そういう中で非常に危惧しているのは、性急にこれを行おうとしている県がかなりあります。東京都の場合、平成12年から一般教員を始めて、改善、改善、改善を図りながら緩やかに移行しているんですね。したがって、現場においては、ほとんど大きな混乱は起きておりません。しかし、最近、各県の状況を聞くと、そういった東京の様相をさらに前進させるといいますか、単に導入をして混乱を起こしているような状況があります。したがいまして、こういった制度を導入するに当たっては、やはり十分に準備を整え、緩やかに移行していくことが必要ではないかと思っています。
 以上です。

【梶田分科会長】 陰山委員。

【陰山委員】
 ありがとうございます。
 まず、この答申の中に幾つか盛り込んでいただきたいことがあります。
 まず一つは、勤務実態調査の中で子供にかかわらないことを増やすなということを現場並びに保護者にメッセージとして送っていただきたい。これは我々自身の反省なんですけれども、教員の意識調査のところにもちょっと出ているんですけれども、忙しさを解消するために教職員を増やしても実はあんまりよくないんです。なぜかというと仕事を増やすから。日本の教師はまじめ過ぎるものですから、書いてありますように役割分担をするとともにということで、役割分担をして役割を与えたら、自分の役割の仕事をまた増やすんですね。ですから、トータルとして仕事を減らしていくんだ。それは何のためにかといったら、子供にかかわりきるんだという、そこのところに落とし込んでいかないと、幾ら人材を投入してみても事務仕事が増えるばかりなんです。ですから、ここら辺もマネジメントの方向性を変換する必要があるだろうと思います。
 もう一点は、変形勤務時間のことも関係があるんですけれども、現在、各都道府県とも、夏期休業中に教師は休んでいてずるではないかということがあったもので、実はものすごくたくさん仕事をつくってしまったんです。また変なもので、作ってしまった仕事は減らしにくいんですね。ですから、これを減らすためにも、研修日というものを設定しないと、教職員を研修させることは難しいと思います。笑い話のようなんですけれども、夏休みにすら全職員を集めることが難しくなっています。夏休みのときに、お盆だとか何だとかいうので個人の家の用事なんかも入ってまいりますね。それから介護の問題もありますし、これも誤解のないようにしていただきたいんですけれども、残業時間ゼロの方は、おそらく保育所に子供を通わせるとか、介護をする人を抱えている場合だろうと思います。通常の学校の先生は、今どき残業時間ゼロでやる人というのは、よっぽどの学校でない限りないだろうと思います。
 もう一つ、お願いをしたいのは、業務の縮減について具体的に別途記載するという項目を入れていただいて、検討の上、比較的早い段階で、こういうことについては縮減するんだということを現場にメッセージとして送っていただきたいなと思います。とにかく教職員のほうが現在へたばってしまっているものですから、とにかくいいメッセージが確実に送られる。この部分が改善されるよという具体的なメッセージを現場に送っていただきますようによろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 甲田委員、藤井委員、天笠委員、そこまでで一応ですね。

【甲田委員】
 自分が若かったころ、お金じゃなくて、やっぱり時間だったなと。ただし、そのときに子供とつき合っているのは時間もお金も全然関係なかったような気がいたします。新たな職の設置と、それから、めり張りのある給与、ここに書かれていることは、教育長いらっしゃいますけれども、東京では既に取り組んで15年からやっているという表記がございました。主幹制度については、学校の管理運営規則の改正と同時に相まってやっているからうまく動いてきたんだろうなと思います。ただ、大きな課題は、主幹のなり手が不足してきているということであります。先生方を校長室に呼んで「どうだ」と勧めましても、なかなか「うん」とは言わないわけです。「十分な力量が…」「じゃ、来年ね」というような形で校長が判断して勧めても、「いやあ、校長、勘弁してくださいよ」というような返答が返ってくるわけであります。これはやはり使命感の欠如とはなかなか言いにくいものであります。ただ、先生方の「よし、やったろうじゃないか」というリーダー性をやっぱり育ててこなかったからではないかなという気がいたします。
 東京都の場合、主幹の配置が小学校2名、中学校3名と。19年度に完成しますよという計画でございました。それから、高等学校については、全日制6名というような非常に多い主幹を設定して、平成21年に完成するとしておりましたけれども、完成年度の下方修正をしなければいけないのかなということで非常に心配をしております。ちなみに、主幹の受験倍率、これは面接の受験なんですけれども、15年度が1.38倍ありました。ところが、17年度になりますと1.14倍に落ちております。若干下降線をやっておりますけれども、管理職合格者を主幹に配置したとしても、このままでは完成が非常に困難な状況ではないかなと、そのように聞いております。この倍率がこのままでいいとはとても思えないわけです。それは私どもが日常の中で、校長、副校長にかなり責任はありますけれども、そのリーダー性をいろいろなところで育ててこなかったからではないかなと思います。
 先生方に主幹はどうだと勧めたときの先生方の答えは、大きく2つにまとめることができるのではないかなと思っています。一つは、主幹にならなくても、自分の教育観であるとか、あるいは人生観に沿って教師をやっていけるから主幹にならなくてもいいですよということですね。もう一つは、先ほどから話が出ているように、授業とか特別活動とかにおいて生徒ときちんと向き合いたい、そのことから非常に多忙である現状から役割を全うする自信が持てないと、こういう2つであります。
 したがって、ちょっと長くなりましたけれども、教師という仕事自体が昇任インセンティブ、ここで示しているようなメリハリをつけて、そっちに行きたいというような昇任インセンティブが非常に働きにくい職であることもありますけれども、学校が抱えるさまざまな課題に迅速に対応するためには、今言った2つはどうしても克服しなければいけないですね。そのためには人材育成を若いときから、きちん、きちんと計画的にやっていく、いろいろな組織の取り組みが必要なのだろうなと思います。現在、国立の教員研修センターでの中央研修なんかでも、定足数の充足率がちょっと下降しているということを聞いておりますけれども、リーダー育成するためのさまざまな取り組みが必要なのだろうなと思います。ですから、育成の対象者みたいなものについては、1年間ぐらいは受け持ち時間を半分にして研修させるとか、あるいは、ここで示されましたようなフレックス勤務を可とするとか、そういったような思い切った策を講ずる必要が、これと同時に展開していく必要があると思っております。
 ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 申し訳ありません。時間が押してきてしまいましたので、藤井委員、天笠委員、高橋委員に短くご発言いただきまして、この問題を切りたいと思います。

【藤井委員】
 それでは、簡潔に3点ほどお願いします。
 まず1点目は、新しい職の設置に関しまして、答申案の7ページの一番上にございますが、まず初めにライン強化という感じが今回非常に強くするわけでございまして、初めに職ありきというイメージが大変出ますと、学校現場でどのように受け入れるかという問題が出てくると思うんですが、基本になる学校の運営組織をどうするか、こちらから入っていって、こういう職が必要であると、こういう関係にしていただくと案外受け入れやすいのではないかというような感じがいたします。
 2点目は、部活動に関してでございますが、給与上の手当の充実ということが13ページでうたわれてございます。ただ、学校現場では、今、教育課程上の位置づけが全くございません。給与だけの問題としてではなくて、教育内容の問題として部活動をしっかり位置付けていただけるような配慮が必要ではないかと思います。
 3点目でございますが、15ページですか、勤務時間の関係でございます。勤務体系全体としてのありようはわかるのでございますが、日々の勤務として、ここにも出ておりますように勤務時間の中での休憩時間がとれないという問題がございまして、これは学校現場では労基法との関係で言えば、しっかりと45分等の休憩時間をどうとらせるか、こういった詰めをもう少ししていただけると大変ありがたいと思っております。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。じゃ、天笠先生。

【天笠委員】
 簡単に3つ申し上げます。
 まず一つ目は、改めて人確法の堅持が打ち出されたということ、これを高く評価したいと思います。これが1点目であります。
 次に2点目として、とはいうものの、新たな級等々を設置することによって対応していこうという、この点についてなんですけれども、この辺のところはもう少し検討を深めていただくことが必要なのかなと、そんな思いがあります。
 それは一つは、学校の組織が、こういう職位を置くことによって複雑になっていくということがないかどうか。マネジメントと置くことの職位との関係ということについては、さらに検討を私はお願いできないかなと思っております。給与の面で工夫して、こういう知恵が出た、アイデアが出たということは評価したいと思いますけれども、なお、マネジメントとの接合についてということを検討をお願いしたいということと、その背景としては、例えば学校の規模が小規模化という全体としての流れが今あって、それにどう対応していくかということがマネジメントの課題ではないかと思うわけで、このあたりのところということです。
 もう一つは、学校裁量、あるいは校長裁量とか権限の拡大という、ここら辺のところをどう考えていくのかどうなのか、あるいは学校裁量予算とか、こういう点についてもいろいろ指摘されているわけなんですけれども、これらについては、当然、課題もままありますので、ここにすぐ結びつくというのは非常に難しいことかもしれませんけれども、こちらのほうについても検討をお願いしたいということであります。
 もう一つ、最後に3点目でありますけれども、このメッセージがこれから教職を目指そうとする方々にある種のアピール、そういうものを込めたものだということで、そういう観点からメッセージ性をぜひ強めていただければと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。それでは、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】
 私は、まず最初に人材確保法が堅持されたということについては、現職校長として大変ありがたいことだと思っております。まず、このことに感謝を申し上げます。
 2つ目に、財源の確保につきましては、なお一層ご努力をいただきたいということを申し上げさせていただきたいと思っております。勤務実態調査にございますが、ほぼ全員の教員が通常期のほぼ全日にわたって残業を行っている。いわば残業が日常化しているということでありますが、私は、そうした超過勤務手当分につきましては、ぜひ社会通念上、妥当性のある金額でお支払いをいただきたいと。また、私は教員の専門性に見合う給与としていただきたいということでございまして、先ほどの現職教員の免許更新制の導入のこともございましたが、そうした専門性が言われて、また実際行われて、しかも、そのために教員自身が相当のコストを支払っていくことを要するということになってくれば、なおのこと、そうした専門性に見合う教員給与ということをぜひお考えをいただきたい。
 そして、3つ目でございますけれども、残業がこれだけ長時間にわたって、ほぼ日常化しているというようなことについては、やはり正していかなければいけない内容ではないかと思っておりますので、ぜひ教職員定数の見直し、改善ということにつきまして、ご努力されていることは承知しておりますが、なお一層、ご尽力をいただきたい。このようなことを要望で述べさせていただきました。
 よろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 非常に貴重なご意見をいろいろといただきまして、ありがとうございました。
 教育は、皆さん、ご存じのように装置産業ではありませんので、生身の教師が張り切ってやらんことにはどうにもならない、そういう仕事であります。そういう意味では、今日ここでご検討いただいた点は、ほんとうに教育の根幹にかかわることだと思っております。個人的には、もう少しパンチをきかせる余地がないかなと思いますが、技術的なこともあるかもしれません。
 ということで、今日いただきましたご意見を、もしお許しいただければ私にご一任いただきまして、事務局のほうで協議させていただきまして、次の総会に、この分科会として報告したいと思いますが、ご了承いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。それでは、そうさせていただきます。この答申案につきましては、次の総会にお諮りをしたいと思います。
 それでは、引き続いて、学校教育法の改正につきまして、これまでの分科会の議論、それから午前中の総会でのご意見を踏まえまして、事務局で骨子案を大急ぎで作っていただきましたので、これを今配っていただきます。それで、これにつきまして皆さんにご検討いただきたいと思います。

(資料配付)

【梶田分科会長】
 それでは、今配っていただいておりますが、申し訳ありません、配付の途中ではありますけれども、常盤課長から説明を少しずつ始めていただいてと思います。よろしくお願いしたいと思います。

【常盤教育課程課長】
 それでは、学校教育法の改正案の骨子についてご説明をさせていただきます。
 学校教育法の改正に関しましては、これまでもこの分科会でご議論をいただいてきたわけでございます。その内容を踏まえまして改正案の骨子というもので整理をさせていただいてございます。お手元にお配りいただけましたでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 学校教育法の改正案骨子でございます。
 1といたしまして「学校種の目的及び目標の見直し等」、(1)「義務教育の目標及び年限に関する事項」ということでございます。四角の中にくくって書かせていただいておりますけれども、これまでのご意見を踏まえまして、教育基本法に義務教育の目的に関する規定が置かれたことを踏まえて、義務教育の目標に関する規定を学校教育法に新設をする。また、教育基本法の改正によりまして、義務教育の年限は別の法律で定めると規定されたことに伴いまして、義務教育の年限を規定するという、この2つの内容を盛り込んでございます。
 義務教育の目標につきまして、これもこれまで既にご説明をしてきているとおりでございますが、これまでの審議におきまして、学校教育法の各学校種の目標、規定につきましては、教育基本法の理念を受けて、学校に対して教育の方向性を示すという性格のものである。また同時に、学習指導要領等で定める教科構成、教科等の教育内容の大枠を定めるというご議論をいただいているわけでございます。今回お配りいたしました資料におきましても、義務教育の目標につきましては、これまでの改正の方向性で配ったものと基本的に同様の形で整理をさせていただいているわけでございます。教育基本法で明確になった教育理念を現在の小・中学校の目標規定を元にして必要に応じ加えるという考え方で整理をしております。
 具体的には、実は前回の分科会で、もう少し具体的に教育基本法との関係について考え方をはっきりさせるべきではないかというご意見もいただいたわけでございますが、ここに記している内容につきましては、現在の学校教育法の小・中学校の目標規定をベースにしているわけでございますけれども、それにつけ加えている部分といたしましては、基本法に新たに規定として加わった文言がございますので、従来の基本法にない新しい教育基本法に盛り込まれた文言であり、かつ、現在の学校教育法には規定がないというものについて、ここでは整理をして盛り込ませていただいているわけでございます。
 ただ、教育基本法に新たに加わったものの中にも、例えば幅広い知識と教養とか教科の内容と直接かかわらないといいましょうか、もう少し高い立場から書かれているような内容については、ここでは必ずしもそこまで加えるということはしていないということで、この改正案の骨子のレベルでは整理をさせていただいているわけでございます。そして、1ページ目の一番下にございますように義務教育の年限は現行制度どおり9年と規定をするということでございます。
 続きまして、2ページでございます。2ページにおきましては幼稚園に関する事項でございます。幼稚園についても、これまでの議論を踏まえまして、目的につきましては、現在の第77条に加えまして、義務教育以後の教育の基礎を培うという趣旨を明確にするということをしております。また、これに伴いまして、発達や学びの連続性が明確となるように、学校種の規定順、現在は学校教育法の第1条は小学校から始まっておりますが、これを幼稚園から始める規定の順序とするということでございます。目標につきましても、教育基本法の改正や新たに規定する義務教育の目標などを踏まえて改正をしたいということでございます。さらに、幼稚園のところの一番下の丸でございますが、家庭・地域における幼児期の教育支援、預かり保育の位置付けの明確化ということを盛り込んでいるわけでございます。
 3番目に、小学校に関する事項でございます。義務教育の目標規定が置かれること等に伴いまして、小学校の目的につきましては、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施す。目標については、義務教育の目標を基礎的な程度において達成するよう努めるということでございます。
 中学校につきましては、小学校教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施す、目標としては義務教育の目標を達成するよう努めると、それぞれ規定をするということで記述をさせていただいております。
 また、高等学校に関する事項、そして、中等教育学校に関する事項でございますが、高校については、高校教育の多様化ということを前提といたしまして、現行の目的・目標規定をもとに、それと同様に包括的な定めとすることが妥当であるというご意見をいただいておりますので、それを踏まえて、このように記述をさせていただいております。
 また、中等教育学校についても同様の改正ということで記述させていただいております。
 次に、4ページ目になりますが、「学校の評価等に関する事項」でございます。前回ご指摘がございましたように、学校の裁量を拡大し、自主性・自律性を高める上で、その取り組みの成果の検証が重要であるということでございますので、学校評価や、その前提となる情報提供の充実を図るために規定を新設いたしております。
 3の「副校長その他の新しい職の設置に関する事項」。ただいまの審議でも職の設置についてもご議論いただいたわけでございますが、副校長その他の新しい職の設置について制度化ということで書かせていただいております。学校における組織運営体制や指導体制の確立という観点から、各学校の任命権者の判断によりまして、副校長、主幹、指導教諭を置くことが可能な職として位置づけるということで、それぞれの職務の規定をするということでございます。具体的には副校長は、校長を補佐するとともに、校長から任された校務についてみずからの権限で処理をする。主幹につきましては、校長、副校長及び教頭を補佐するとともに、校長から任された校務について校長等が判断・処理できるよう取りまとめ整理をし、あわせて児童生徒等の教育を担当する。指導教諭につきましては、他の教諭等に対して教育指導に関する指導・助言を行うとともに、児童生徒等の教育を担当するということで整理をさせていただいております。
 繰り返しになりますが、基本的には改正の方向性ということで、これまで整理してきたものを踏襲をした形で骨子ということに改めさせていただいております。以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 午前中の総会で、学校教育法の改正につきましては、かなり包括的にご意見をいただきました。時間の関係もありますので、この分科会におきましては、この骨子案に即してといいますか、この骨子案に盛り込まれているところで、皆さん、ご意見をいただきたいと思います。何かございますでしょうか。平野委員、そして荒瀬委員、井上委員。

【平野委員】
 学校の評価等に関する事項の中で、教育活動の情報提供について以前から充実していただきたいなとお願いしたいと思っていたところ、今、この骨子案に入っていたので大変ほっとしていますし、うれしく思いました。教育で成果の上がった各地の事例を情報として一般の人が手軽に一括で知ることができる方法を作っていただけないでしょうかと実は具体的にはお願いしたいと思います。
 教育関係者同士では研修会が数多く行われているらしくて、情報交換があるんでしょうけれども、一般の人が個々の事例をたどるのに、例えばインターネットを使っても、いろいろなホームページをその都度開かなくてはならず、ある一つの情報に出くわすかどうかは偶然の成り行きということにもなりかねないんですね。私が会議の席で知ったある事例があります。それは東京都立高校の中途退学者が過去10年間で激減したということです。10年前は5,000人以上いた中退者が昨年度までに半数以下になった。また、そのための独特の教育システムがあるということを知りました。実はこれは去年、私が文部科学省の部会に出て知ったことなんですね。
 今申し上げたのは一つの例なんですけれども、ほかの事例についても、例えばその事例のある学校の近くに住む地域の人はそれをどう見るか、一般家庭の人はどう考えるか、また、他県の人、ずっと離れたところに住んでいる人たちはどう見るかということについては、情報が提供されることによって、その人たちには考えるチャンスが与えられると思うんです。国民が、個々の事例について考えるチャンスというのが平等に与えられると思うんですね。情報提供サービスをしないというのは、サービス不足どころか不親切だと私は思います。ぜひこのことについて、私は国の責任として、各地の情報を収集して、一括して提供していただき、まずはインターネットでどの角度からも検索しやすいようにさまざまな分類をして、さらに一歩進んだ積極的な紹介活動なども行っていただければと思います。
 あわせて、国が今どういうことを考えているのかということを知りたい人も多いと思いますので、国からのメッセージなども同じページから検索していきやすいように情報システムを整えていただければと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。荒瀬委員、お願いします。

【荒瀬委員】
 資料の3ページの(5)「高等学校に関する事項」というところにつきまして1点申し上げたいことがございます。
 丸の一つ目に、高等学校の目的について書いてありますが、2行目のところに「高度な普通教育及び専門教育を施すといった趣旨を規定すること」となっております。高度な普通教育及び専門教育を施すということが具体的な目標になっていくと、その高度さというのが、どこにいっているのかなということを少し思います。かつ、先ほどもご説明の中にもありましたけれども、高等学校は97パーセント以上の中学校卒業者が入学してくることによりまして、学校ごとに、あるいは学校内におきましても大変多様化しております。その多様化に対応するという点で、もう少し包括的な内容の目的でないと難しいのではないかなと。これはこの後、学校教育法の施行規則であるとか、あるいは具体的には学習指導要領において、どのような内容をやっていくのかということが具体的な形で示されていくわけでありますので、この目的の部分の「高度な」というところに、それでいいのかなという思いを持ちます。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。井上委員、お願いします。

【井上委員】
 学校教育法の改正の骨子案については、今まで議論されたことがまとめられていて、おおむね妥当だと思うわけでございますが、1点だけ気になりますのは、憲法あるいは教育基本法との関連において、幼稚園に関する事項を、小学校以降の教育の発達とか、あるいは学校の連続性が明確になるように、学校種の規定順について幼稚園を最初に規定することというのがあるんですが、これを憲法、教育基本法との関係でもう少し考えますと、憲法の26条では、教育の権利については義務教育についての規定があるわけでございまして、他の教育については一般的な教育を受ける権利が含まれてくると思うわけでございます。
 それと、今回の改正教育基本法では、教育の理念なり目的・目標に続いて、教育の実施に関する基本の最初に義務教育に関する規定が5条に来ていて、その後、学校教育、大学あるいは幼児教育と並んでおりまして、憲法なり教育基本法では、教育の中で国として直接かかわりのある重要なものとして義務教育を位置づけていると思うわけで、それとの整合性で幼児教育から規定するというのは一つの考え方であることはよくわかるんですが、整合性を図る必要はないかどうか。この点についてはさらに検討していただけたらと、このように思っています。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、市川委員、山極委員、門川委員、その順番でまいります。

【市川委員】
 義務教育の目標は何かというときに、最近の中教審での答申などにもいろいろ出てきていることの中で、私は一つ重要だと思っているのは、基礎・基本の習得と同時に、自ら学び、自ら考える力を育てるとか、一昔前には自己教育力という言葉も随分使われました。これは何も一時期のはやりの理念ではなくて、おそらくこの20年、30年で、これからの生涯学習の時代を迎えての必要な理念として出てきたものではないかと思います。ですから、今の学校教育法を見ますと、初めは自主・自律とか、社会生活を営むこととか、生命や自然の尊重とか、そういうことが出た後に、教科の各論的なものにいきなり入っていくような気がするんです。
 最近、中学校部会でも、各教科を横断して育てていくような力というのが非常に重要だと言われています。中学校部会だけではないと思います。その中に、例えば自ら学び、自ら考えるための学習のスキルであるとか、コミュニケーション力であるとか、そういうものをすべての教科で育てていく。こういうことが義務教育の目標として何か書き込まれてもいいのではないかという気がしています。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 山極委員、お願いします。

【山極委員】
 法案ですから、これでいいと思いますけれども、学校評価のところで、これでいいと思いますけれども、情報提供には、学校評価の前提としての情報提供と学校評価をやった結果としての情報提供とあると思うんです。この2番目の丸は学校評価をした結果を地域に情報提供しなさいということだと思うんですけれども、学校には、いろいろなエビデンスというか、データがあるわけですね。それを情報提供し、それについて学校評価をしていくという立場もあると思うんです。今、学校評価というのがはやっているんですけれども、見ていると、プラン・ドゥー・チェックを行っていますが、レベルの低いプランをつくってはい回っているんですね。プランというものは常にレベルを上げていくためには、学校に必要な情報というものは外からどんどん入ってくる。それに向かって目標を高くしていくという、これが大事かと思いますけれども、さっき言ったように、これは法案ですので、そんな詳しいことまで書く必要はないかなと思っています。
 それから、1ページの目標のところで、現行の学校教育法は、例えば自然現象で言えば日常生活の云々と書いてあるのですが、これはなくしたほうがいいので、これでいいと思います。ただ、「科学的な観察と処理する基礎的能力」で「科学的な観察」という言葉がどうなのかなと。これは前回も使っていた言葉なんですけれども、その辺がちょっと気になって、上と同じように科学的な理解と考察、処理する基礎的な能力とかも考えられますが、さっき言ったように法案ですので、許容範囲かなと思っていました。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、門川委員。

【門川委員】
 学校評価等に関する事項なんですけれども、下の段に情報提供のことが書かれています。保護者、地域住民、その他の関係者に情報提供するということは大事なんですけれども、教育基本法の改正点の一番大きな部分は、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携・協力ということが書かれたことだと思います。法律でもって教育における学校・家庭・地域それぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めることとするという国民の努力が書かれているわけですね。一方で、給食費も払わない、学校の文句ばかり、教師の批判ばかりする、そして、私の言うことを聞いてくれへんかったら転校させる、担任変えろという保護者がいて、教師の責任ではないところで、学校が子供の指導のために一生懸命努力する以外のところで非常に苦労している。これが公教育の大きな問題になっている。学校運営に支障をきたし、ひいては子供の教育を受ける権利の保障や教育力低下にもつながっている。そこで、教育基本法にここまで明確に書かれたわけですから、私は、この2点目のところに、学校は情報提供するととともに、家庭・地域は努力・協力するということを明確に書いていくべきだと思います。
 私どもは言うているんですけど、まず、子供の教育について、育てるべき子供像というものを、学校・家庭・地域で共有する努力をする。その次に、どういう課題があるのか、どういう問題点があるのかという情報を共有する。そのために学校は説明責任を果たす、これが大事であります。同時に、情報を共有すれば課題意識が共有される。その課題意識を行動の共有に高めていく。そして、評価も共有する。親も地域も家庭もみずからも振り返る。みずからを振り返って、改善すると同時に、学校もみずから振り返って改善する。そうした三者の連携・協力、そのために努力する。これが学校だけが努力しなさいというなら今までの延長なんですね。教育基本法改正の趣旨が生かされていない。そういう情報を提供し、情報を共有し、課題意識、問題意識、危機感を共有し、それをともに協力・協働して行動の共有に高めて、評価も共有し、子育ての喜びも共有していく。地域のコミュニティーの力を高めていく。そこまで教育基本法にも趣旨が書かれているわけですから、この部分について、そこまで踏み込んで、ほんまにみんなで教育をよくするんやというところにまで踏み込むべきやと思うんです。お願いします。

【梶田分科会長】
 今、非常に重要なことをご指摘いただきました。条文の検討をお願いしたいと思います。
 それでは、岩崎委員、渡久山委員、北條委員までで、この問題は終わらせてもらいたいと思います。

【岩崎委員】
 学校の評価につきましては先ほども出ておりましたけれども、学校の運営方針につきまして学校長が年度当初に説明をしたり広報したりしておりますけれども、ただ、評価ということになりますと、ここにありますように情報提供するということに終わって、それで満足をしていないかなというのが私は現場にいて思うわけでございます。情報提供とともに、保護者の評価というのは断片的だと思っておりますし、地域住民も教育内容についてまで評価できるかというと、そうではないように私は感じております。このために、評価というならば、評価される側は大変だろうとは思いますけれども、子供たちが本当に学校へ来てよかったとか、私たちの教育はこういうふうに展開してよかったと本当に実感できるというためには、やはり専門的な方の評価も私は含めるべきだと考えております。
 だから、評価をすることによって、先ほどおっしゃったように家庭や地域の協力を得られるということも大事でございますが、本筋に向かって評価ということも一つ入らないと、本当の評価にはならないのではないかなと思います。当然、県の教育委員会等の教育課程の計画訪問等の機会もありますが、それも本当に一辺どおりのものでございますので、ぜひそういう専門的な評価も含めるべきだということを私自身が考えておりますので、ご意見をいただけたらと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、渡久山委員、お願いします。

【渡久山委員】
 1点だけなんですが、幼稚園に関する事項なんですけれども、幼稚園の目的は幼児を保育するとなっているんです。しかし、今度改正された教育基本法でも幼児期の教育となっています。現行の幼稚園でも教育要領、この中にも地域・家庭における幼児期の教育を支援するとなっています。そうしますと、幼児を保育するというだけでは保育所と変わらないではないかという誤解も受けるんです。ですから、これはもっと積極的な、あまり保守的にならずに、これは変えるか、あるいは保育と教育を並行させて記述するか、何らかの工夫が要るのではないかという気がいたしますので、あえて意見を申し上げたいと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 北條委員。

【北條委員】
 先ほど学校種の順序の規定と憲法の規定、義務教育の規定との関連について大変重要なご指摘をいただきました。ありがとうございました。
 ただ、このたびの改正につきましては、先の中教審の幼児教育部会におきましても議論いたしましたことですが、あくまでも学校種の規定順ということでご理解をいただきたいと思います。義務教育の規定は、その規定とは相対的に別の規定がなされていると理解をいたしております。
 それから、ただいまの保育の問題も、ずっといろいろご意見をいただき、ごもっともな意見をずっといただいておるところでございます。このたびの改正に当たりましては、幼稚園教育というのが学校教育の最初の始まりの時期を担うということを明確にしていただく。すなわち、教育の場なんだということを、まず初めに明確にしていただけると理解しております。その上で「保育」という言葉は、小学校以上の教科指導とは相対的に異なる、生活を含む、また、教育と養護を一体的にとらえる、総合的な指導を行う、遊びを通して行う。こういった幼稚園教育の、いわば独自性を示すものとして教員養成段階からしっかりたたき込まれている事柄でございます。これは今後も考えていかなければいけない問題だと思いますが、この時期に「保育」という言葉が一気に消えてしまいますと、全国の公立の幼稚園、私立の幼稚園、たくさんございますが、そういうところで大変な混乱を引き起こしてしまいますので、このたびの改正につきましては、やはり幼稚園教育の方法の独自性を示すものとして「保育」という言葉を残していただくのがありがたい、適当なところだと考えております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、この問題、非常に具体的なところでご意見をいただきました。次回はもう少しこれを詰めて、これを議論して、いよいよまとめに入りたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここで休憩をとりまして、あと14分ぐらいすると半になりますので、3時半から再開をしたいと思います。お願いいたします。

(休憩)

【梶田分科会長】
 それでは、休憩も短くて恐縮でありますけれども、審議を再開したいと思います。
 教育職員免許法等の改正につきましても骨子案を出していただいております。これを皆さんにご審議いただきたいと思うわけですが、この資料につきまして大木教職員課長よりご説明をお願いいたします。

【大木教職員課長】
 それでは、先ほど学校教育法関係の資料とともに、別途、後に配付をされました「教育職員免許法等の改正に関する骨子案」ということで二枚物の資料でございますが、それに即しましてお話を差し上げたいと存じます。
 前文にございますように、それから先ほど来、梶田先生からもご紹介ありますように、教員の免許更新制度に関しましては、既に昨年夏の中教審の答申でかなり子細な内容について提言がなされておるわけでございます。その後、そこにございますように、教育再生会議の第1次報告にも、このことは盛り込まれました。具体的に申し上げますれば、時代の変化や要請に合わせた教育を行う能力や資質を確保するため、教員免許の更新制を導入することが必要と。そして、「ただし」といたしまして、10年ごとに30時間の講習受講のみで更新するのではなく、厳格な修了認定とともに、分限制度の活用により不適格教員に厳しく対応することを求めると、こういう二段構えになってございます。
 少し申し上げますれば、10年ごとに30時間の講習、それはそれでいいけれども、運転免許の更新のように、それで自動的に認めるということではなくて、きちっと修了認定を行うべしという点と、それから免許の更新制だけでは限りがあるので、分限制度の活用により不適格教員に厳しく対応するという視点が必要だということでございます。
 これらのことにつきましては、与党の中でも、かねてよりさまざまな議論がございまして、その中で教員免許の更新制につきまして、修了認定を厳格に行うなど、しっかりやるべしという提言とともに、指導力不足教員の問題につきましても、いろいろな席でもって指摘をされるところでございます。
 以下、各論に入ってまいりますが、まず、四角の1点目でございますけれども、教員免許法の改正部分、教員免許更新制の導入部分でございます。(1)有効期間でございますけれども、お話ししておりますとおり、10年間の有効期間ということにしてございます。それから、有効期間の更新ということで、現職教員等からの申し出により更新が行われるということでございます。括弧に「教員となる見込みがある者など」と書いてございますが、採用内定者でありますとか、それから校長、あるいは指導主事といったものが、この中に当たってまいります。
 それから、前の説明でここのところが表現が多少問題がありましたが、免許管理者の部分につきまして書きかえております。1点目が、免許状更新講習を修了した者、それから勤務実績その他の事項を勘案して講習を受ける必要がないと認めた者であるときは、免許状の有効期間の更新を行うという点が2点目でございます。
 ちなみに、勤務実績その他の事項ということで、これに含まれてまいりますのが、優秀教員として認められた者であったりとか、校長や指導主事もこれに入ってくるという考え方であります。
 更新がなされなかった免許状は、その下でございますが、効力を失うことになります。災害、その他の事情があるときには延長はあり得べしという運用にいたしたいと思っております。
 それから、これは法律施行前の免許状取得者を念頭に置いた規定でございますが、現に免許状を有する者の取り扱いにつきましても、説明いたしませんけれども、同じ仕組みでもってやっていくと。講習修了の確認により効力を持たせていくということにいたしてございます。
 なお、前回までのこの場でもってご指摘がございましたように、法律で書く部分が非常に少ないのに対しまして、省令、あるいは実際に運用をどうするのかという部分が非常に大きくなってまいります。そこに3点挙げてございますけれども、このほかにも内容を充実すべきとか、それから費用の問題をどうするかとか、先ほど来、話をいたしております厳格な基準をつくり、それによってどのように修了認定していくのかという個別具体の仕組みも省令以下の事項で規定していくことになりますので、この点はしっかりとした議論を今後とも続けていき、そして、パブリックコメント等も含めながら、きちんとした内容の省令等に仕上げていきたいと思っております。
 2ページ目が、教育公務員特例法の改正の関係で、「指導が不適切な教員の人事管理の厳格化」についてでございます。
 (1)でございますけれども、「指導が不適切な教員の認定及び研修の実施等」ということで、任命権者は、教育や医学の専門家や保護者などの第三者からなる判定委員会の意見を聞いて、指導が不適切な教員の認定を行うということにいたしてございます。なお、教育再生会議の提言におきましては、教員の評価ということにかかわりまして、保護者や児童生徒等からの意見も反映すべしと。評価という、より広い概念ではございますが、そういう提言がございます。それを一つ先駆けといいますか、指導力不足教員の認定の部分につきましては、保護者を判定委員会に入れるという意味合いで、その趣旨を一つ入れ込んでおるところでございます。
 2番目の丸が、任命権者による指導力不足教員に対する研修の実施。
 3点目が、研修期間は、実施期間を政令で規定し、過度に長期にならないようにすること。
 最後の4番目の丸が、指導が不適切であると認定された者の研修期間中の免許状の取り扱いについて必要な措置を講ずる。すなわち、現在、法制的な部分は調整中でございますけれども、研修中であれば、免許の効力を、その期間、停止するような措置などが考えられるところでございます。
 それから、研修修了におきましても、きちっと改善状況が図られたということにかかわりまして、認定行為が任命権者により必要だろうと思っております。そして、2番目の丸が、研修修了時でございますが、指導が不適切であると認定した者につきましては、免職その他、必要な措置を講ずるものとするということにいたしてございます。
 それから、これは免許と指導力不足教員の認定と両方にかかわるものでございますが、3番目といたしまして、最後に免許法で規定することになりますが、必要な適格性を欠く場合、勤務実績がよくない場合に分限免職処分ということが考えられるわけでございますが、それを受けたときには免許状の効力は失われると。これは懲戒免職処分につきまして同じような規定が既にございますが、同様のものといたしておるところでございます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 これは午前中の段階での議論でも、この趣旨そのものには、そう大きな異論はなかったかと思います。もちろん具体の省令で定める事項につきましては、今、大木課長からも話がありましたように、もう少し詰めなくてはいけない面があります。これは多分、教員養成部会あたりでも見ていただくチャンスがあるのではないか。あるいは初等中等教育分科会でもご意見をいただくときがあるのではないかと思います。
 本日は、法案の事項に限って、細かいことを検討していくと、これだけも3時間、4時間かかりますので、法案にかかわる、この骨子案に載っている事項に限って、皆さんに再度だめ押しのご意見があればお願いしたいと思います。
 市川委員、陰山委員、黒須委員、野澤委員、岩崎委員。

【市川委員】
 簡単な質問です。「講習」という言葉と「研修」という言葉の違いなんですが、免許状更新講習は「講習」で、2枚目の指導が不適切な教員の場合は「研修」なんですが、「講習」という言葉と「研修」という言葉は何か内容的な違いを意識して使われているのかなと思ったんですけれども、もし違いがあるのでしたら教えてください。

【大木教職員課長】
 端的に言いますれば、「講習」という言葉は、中教審答申において提言された文言そのままでございますので、それをそのままいただいております。実際の実務上も、一般の現職教員に対する研修と免許制度にかかわるという意味合いにおいて、同じように授業を受けるということであっても内容が違うと思いますので、書き分けたほうが適切かなということで、法制的にもこういう方向で今詰めを進めておるところでございます。

【陰山委員】
 私も質問です。不適格教員の排除について、分限免職と免許の更新をしないということの二段構えになっていると思うんですけれども、これの違いはあるんでしょうか。といいますのは、非常に不適格教員であるということが認定されれば分限処分だよと。ところが、そういうことがないのに免許の更新制の段階で切られるということがあるとするのならば、この運用はどうなのだという疑念が出てくる場合もあり得るのではないか。私が心配しておりますのは、違法な運用ではないか、恣意的な運用ではないかということが出てきた場合に、訴訟とか、そういうものが乱発されないかということがあって、それによって、学校の現場が不要な混乱がしないかということが若干気になるものですから、この辺はある程度明快な線があったほうがいいような気がするんですが、どうでしょうか。

【大木教職員課長】
 免許法の改正のところに、実はその2つを一緒くたにこの間まで書いておったんですが、そういう意味合いで同じ失効ということで混乱しはしないかということがあったものですから、今回離して1番と3番に分けて書いてございます。
 それはそういう意図でございますが、ご質問の点を申し上げますと、簡単な後のほうから申し上げますと、分限免職に伴い失効ということに関しましては、これは懲戒免職、既にある制度についてもそうなんですけれども、どこかの県で分限免職なり懲戒免職を受けて、免許自体が有効でございますと、他県ではそれは採用可能性がもちろんありますし、私学でももちろん採用可能性は出てくると。任命権者が異なれば、それは明確にわからない部分が出てくるということで、こういう制度にいたしたところでございます。これは中教審答申でも提言がされた部分でございまして、いわば分限免職という明確な処分でございますから、それに伴い免許状は効力を失うということは、これはある意味明確であろうかと思っております。
 問題は、更新講習のほうでございますけれども、大学での講習の修了認定、受講した場合に、それをきちっと評価した上でもってできているかどうかということを認定するという仕組みでございますけれども、これは先ほど来申し上げましたように、非常に恣意的な運用というお言葉がございましたけれども、そこの認定がきちっとできておらないと、後々いろいろ問題になってくるケースもございますので、中教審の答申の中では、開設主体が、国が定める認定基準に基づき、あらかじめ各講習科目の修了目標を定め、受講者の実能力を適切に判定した上で修了の可否を決定という文言になってございますが、私どもとしましては、国が定める認定基準に基づいて修了目標というだけではなくて、到達するためには、どれだけの資質が必要だとか、そういうことをさらに細かく、場合によっては国のほうでもって示す必要があると思っておりますし、大学のほうにも、それに基づいて、筆記試験なり、それから実技試験なり、やり方はいろいろあろうかと思いますけれども、きちっと評価をして認定をしたという厳格な運用が必要だろうと思っております。そうしたこともあって、修了認定については厳格にやるべしと再生会議のほうでも与党のほうでも言われておりますが、まさにここにかかわってくる部分だろうと思っております。

【梶田分科会長】
 大木課長、ありがとうございました。
 じゃ、黒須委員、お願いいたします。

【黒須委員】
 まず、免許状の更新ということ、しかも、有効期間10年間、基本的に私は大変結構なことだと思います。ただ、これはなぜ10年間で免許状を更新しなければならないかと、そういう制度ができるかというと、これは教員として不適格者が少なからず存在をするということですよね。これを前提としているのではないかなと私は思うんです。ただ、同時に、今の実態を見ていますと、教員の育成というものに、もうちょっと力を入れなければいけないのではないかなと思うんです。例えば私は八王子ですけれども、今、2,000人の教員がいます。そのうち400人が1年生から4年生までなんです、年間100人、新しい教員が来ますから。そうすると、それをきちんと指導をする仕組みになっているかどうかというのは私は十分ではないと思うんです。ですから、先ほど主幹とか指導教諭を設置をするという、これはいいことだと思うんですよ。ただ、ややもすると、これが組合主導型のものになってしまわないかということを心配しているんです。本来の目的どおりにできるような仕組みというものをきちんとして、そして免許状更新もいいけれども、育成もきちんとするということをやっぱり考えなければいけないのではないか。
 もう一点は、指導力不足教員についてですけれども、これは確かに一部います。保護者にとっても、それから子供にとっても、もちろん学校にとっても好ましいことではないわけですね。ただ、これは見きわめるのを、もうちょっとスピーディーにやるというシステムをつくらないといけないのではないかと思うんです。例えば東京都では、指導力不足だといって研修に出しますよね。1年単位で出します。それを3年間やるんですよ。指導力不足だといって、そして必要性があって出すわけだから、まず指導力不足だということが前提になっているわけですね。にもかかわらず、1年、1年、1年と3年もかけるんです。これはまさに税金のむだ遣いだと思うんです。もっと速くスピーディーに結論を出せるような方法も考えなければいけないのではないかと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 今回の免許更新制は、たくさん不適格教員がおるからということではなくて、10年もすれば子供が変わるんですね。10年もすれば親がものすごく変わっているんですね。カリキュラムも変わるんです。大体10年に1回、学習指導要領が変わりますでしょう。だから、常に10年に1回ぐらいは、もう一度勉強し直してもらわんとね。そういう意味でリニューアルということなんです。皆さん、よくおわかりと思いますけれども、教師というのは特別な人間がやっているんじゃないですよ。この部屋に座っている我々と同じような普通の人間が教師をやっている。だから、ある意味で特別でもない。逆に言うと、特別に教師が悪いという、とんでもないというのは、私はこれは暴論だと思っているんです。今、そういうのがはやりますけど、暴論だと思っております。
 ただし、きちっとやらなければいけないかというので、去年の7月に出した答申では3つのことを言っているわけです。免許更新制と並んで、大学の教員養成の課程を抜本的に変えようと。それも外部評価してだめなところは教職課程の認可を取り消そうという、そこまでいっているわけですね。もう一つが、教職大学院。もう一度、きちっと勉強してもらう仕組みを再整備しようということを言っておりますので、ぜひそういう枠の中で免許更新制というのをご理解いただければなと思っております。すみません。
 じゃ、野澤委員、お願いします。

【野澤委員】
 不適切教員の認定というところですけれども、小・中学校の先生方についてのお話はよくわかるんですが、幼稚園の問題について少しお話をしておきたいと思うんです。幼稚園のほとんどが定員割れでございまして、うちなんか充足率70パーセントレベル。そのために認定こども園、あるいは民間移管、あるいは預かり保育という形でいろいろご苦労されていらっしゃる。そこのところの状況みたいなものをきちんと押さえた形で、不適切な教員というものをどういう形でやっていくかという問題を考えておかないと、そこまで全部含めた形で表向き書かれたとしても、その後の細かいところをきちんとやっていただいたほうがよろしいのではないかというお話だけさせておいてください。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、岩崎委員、渡久山委員、荒瀬委員。

【岩崎委員】
 指導が不適格な教員の認定ということでございますけれども、認定の以前に、ほんとうに教員が不適格かどうかということにつきまして前回もちょっと意見を出させていただきましたけれども、既に整備されて、県の教育委員会サイドで研修が進められているんですけれども、学校長なり市町村教育委員会が判断する、その判断基準というものは、ある程度示していった方がいいのではないかということを思います。できるだけ早い時点で示していただいて、それに基づいて教育委員会も学校長も申請していくと、そういう文言を一言加えていただければと思っております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは、時間があれなもので、渡久山委員、荒瀬委員で一応切らせていただきます。

【渡久山委員】
 2ページにございます、今とも関連するんですが、指導が不適切な教員と認定された場合、あるいは、次の3番にあります分限免職処分を受けた場合、ややもすると身分、あるいは失効するという可能性があるわけですね。ですから、それに対して、きちっとした不服申し立ての権利を留保するという形も一つ要望としてしておきたいと思います。

【荒瀬委員】
 2点あります。
 1点目は、不適格の話が今もたくさん出ましたけれども、不適格というのは、それは相当な度合いを指すんだと思うんですね。先ほどの教員の意識についても申し上げましたけれども、いわゆる頑張っている人と頑張っていない人というのも、これは校内において、どういう仕事をするかということによってもまた変わってまいりますので、あまり最初から目をつけるような形でやってしまってはとんでもないことになってしまうので、きちっとした対応が必要だと。それには現場の管理職がきちっと見ていないとだめだということで、その意味でも先ほどの学校教育法の改正案の中で置くことのできるポストというのが有効に働けばいいなということを思います。
 もう1点は、更新制のお話なんですけれども、有効期間の更新というところの2つ目の丸のところで「免許管理者は」とあるんですが、この免許管理者と任命権者とは同じなんでしょうか、違うんでしょうか。これは単純な質問です。どうしてかといいますと、私は京都市の教員でありますけれども、免許は京都府の教育委員会が出しています。ですから、もし免許管理者というのが都道府県になるのであれば、市町村立の学校の教員はどうなるのかなということを思いました。

【梶田分科会長】
 その点については、大木課長、お願いします。

【大木教職員課長】
 免許管理者というのは都道府県の教育委員会でございます。したがいまして、例えばお話のような市立高校の先生方、それから町村立の幼稚園の先生方、こうした方々は都道府県の教育委員会がやはり見ていくと。県費負担教職員とか県立学校の職員だけではなくて、そういう人たちも県内にいらっしゃる限り見ていくということになっております。

【梶田分科会長】
 免許の問題と採用、処遇等々が違うものですから、そこのところです。

【荒瀬委員】
 今のお話になりますと、実際のところ、そこの2つ目の黒丸のところに「勤務実績その他の事項を勘案して」とありますけれども、勤務実績その他の事項というのが、実際のところ、設置者といいますか、任命権者でなければわからないというようなことが生じてくるのではないかと思います。その点については一定整理が必要ではないかなと。むしろ私は、指定市なんかは免許管理者にならないのかなと、なってはどうかなということも思うのでありますけれども。

【大木教職員課長】
 既に免許状を、例えば一種免許状から専種免許状にアップグレードするとか、そういう場合にも勤務実績を見るという仕組みが既にございまして、更新制においても服務監督を実際に行っていただいておられる方々から、免許管理者であるところの都道府県教育委員会に対して何らかの勤務実績がわかるような資料がいくなり、上申をするなり、そういった手続につきましては細目の部分でございますので、省令等でもってきちっと定めていくという手続が必要になってこようかと思っております。

【梶田分科会長】
 この問題は一応はこういうことで、今回、免許法等々、改正いたしますが、この問題は、これも教育制度分科会、あるいは初中分科会の教員養成部会等々で議論を続けていくことになると思いますので、またよろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、免許法問題及び教育公務員特例法の問題は一応このあたりにいたしまして、それでは、次に地教行法の改正につきまして皆さんに議論していただきたいと思います。新しい資料は出ております。そして、またご説明いただきますが、これはあまり詰まっていない形で資料が今日出ております。実は今日の午後の分科会、地方6団体関係者、つまり、知事会代表、市長会代表、町村長会代表が、やんごとなきあれで今日ご欠席であります。ということで、なかなか具体のところを出して、あまり具体に入り過ぎるということで、資料の上では、この前とあまり変わらないものが出ておりますけれども、私の理解では、これは個人の理解ですけれども、午前中の話し合いの中でも、現在の地方自治法を踏まえてというところでは、表現の違いはありますけど、皆さん、ほぼ一致しているというようなことを私は感じております。そういうことを前提に資料のご説明をいただき、皆さんにご意見をいただきたいと思います。
 尾崎課長、お願いいたします。

【尾崎財務課長】
 それでは、追加でお手元にお届けをいたしました「地教行法の改正に関する骨子案」という2枚とじの資料をごらんいただきたいと思います。
 ただいまお話がございましたとおり、今日の総会までのご議論すべてを反映し尽くしているわけではございませんけれども、口頭ではございますけれども、必要に応じて補足をさせていただきますのと同時に、また、次回以降にその辺のことは改定をしていきたいと思っております。
 まず、一つ目でございますけれども、「教育委員会の責任体制の明確化」ということで、これは前回も、それから今日の午前中の総会でもご発言がございましたけれども、新しく定められました改正教育基本法、その教育行政についての記述、あるいは義務教育についての国の責任等を踏まえた考え方を大事にすべきだというお話がありました。
 具体的に補足をさせていただきますと、改正基本法におきましては、その16条で教育行政は国と地方公共団体との適切な役割部分及び相互の協力のもと、公正かつ適正に行われなければならないと定められました。これは従来にはなかった記述でございます。また、義務教育についてですけれども、第5条3項におきまして、国及び地方公共団体は義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため(中略)その実施に責任を負うということで、国、地方公共団体ともの実施の責任ということも明確にうたわれたところでございます。
 それを受けまして、一つ目の丸でございますけれども、地方教育行政は、教育の機会均等と教育水準の維持向上、今申し上げたとおりでございます、それから、地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適切な役割部分・協力のもと、公正・適切に行わなければならないことという形で教育委員会の責務を明らかにしてはどうかということでございます。
 なお、この点に関連をいたしまして、与党のほうでご提言が既にあり、また、昨今、経過報告しております際に与党のほうからもご指摘があるんですけれども、教育委員会制度の目的そのものを教育基本法の全体の趣旨を踏まえて明らかにすべきではないかというようなご指摘を受けているところでございます。
 次の2つの丸でございますけれども、これも従来いろいろとご議論いただいているところでございますが、合議制の5人、6人、3人の教育委員会と、その事務の委任を受けて執行を担う教育長と、その役割分担に関する記述でございます。
 1つ目でございますけれども、地域の基本的な教育方針・計画の策定や教育委員会規則の制定・改廃など、合議制の教育委員会がみずから管理・執行する必要がある事項を明確化すること。これは合議制の教育委員会は執行機関ではないかと、その基本を大切にすべきであるというお話がございました。そのことを踏まえての記述でございます。
 また、現行、地教行法では、教育長と合議制の教育委員会との関係につきまして、教育委員会の権限に属する事務の一部を教育長に委任できるといったような形で、具体的な役割部分とか、そういったことについての明確な線引きがあるわけではございませんが、昨今の指摘を踏まえて、3つ目の丸でございますけれども、今申し上げました合議制の教育委員会がやるべきことというものをはっきりさせた上で、教育委員会は前記以外の事務については教育長に委任できることを明確化することという形でセットの記述とさせていただいております。
 4つ目でございますけれども、評価にかかわる記述でございます。教育委員会は、第三者の知見を活用しつつ、教育長に委任した事務も含め、教育委員会の事務の管理・執行状況について点検・評価を行い、議会に報告すること。2つ目、3つ目の丸で合議制の教育委員会と教育長の役割部分ということはある程度想定をした上で、その両方について自己評価、第三者的な評価をやるという趣旨で記述をしております。
 なお、この点に関しましても、与党の方の経過報告でご意見が幾つかございまして、例えば純粋無垢の第三者評価といいましょうか、例えば非常勤の第三者機関によって行われるのであれば、非常勤の機関が非常勤の合議制の教育委員会を評価するということの合理性がよくわからないというご指摘があったところでございます。
 それから、大きな2番目でございます、教育委員会の体制強化。
 1つ目は、従来の記述にほぼ近うございますけれども、市町村は、教育委員会の共同設置、広域連合、事務組合などにより、広域で教育行政事務を処理する体制の整備・確立に努めるものとすること。ここに例示しております共同設置、広域連合、事務組合といいますのは、事務の共同処理についての地方自治法の一般原則の手法でございます。
 その次の丸は、市町村教育委員会は指導主事の設置に努めるものとすることとしております。指導主事につきましては、都道府県教育委員会には置くべき職員ということで明確に頭出しの例示としてあるわけでございますけれども、現行法では、市町村の教育委員会の場合には都道府県教育委員会に準じて所要の職員を置くといったような形で指導体制のことについてはややあいまいな形になってございます。その意味でこういう記述とさせていただいております。
 1ページ目の最後でございますけれども、教育委員の責務・果たすべき役割を明確にするとともに、文部科学大臣・都道府県教育委員会は、教育委員に対する研修の実施に努めるものとすることと。従来、資質の向上という抽象的な書き方にしておりましたけれども、ご意見を踏まえて研修の実施と改めております。
 1枚おめくりをいただきたいと思いますが、2ページ目でございます。「教育における地方分権の推進」という第3項目でございます。
 1つ目は、教育委員の人数についての弾力化の記述、及び保護者に関する記述でございます。教育委員の数については5人を原則としつつ、都道府県・市の教育委員会は6人以上、町村の教育委員会は3人以上とすることができるようにすること。また、保護者が必ず含まれるようにすること。これは記述は変わってございません。
 その次の教育委員会と首長部局の各地方公共団体の判断による弾力化、文化、スポーツに関する事務の弾力化についても記述は変わってございません。
 その次でございますけれども、私学に関する記述でございます。首長の私立学校に関する事務のうち、学校教育に関する専門的な指導・助言・援助については、私立学校の独自性にかんがみ、その自主性を尊重しつつ、首長の求めに応じ、教育委員会ができるようにすること。私学の特性という書き方を前はしておりましたけれども、ニュアンスを正確に言えば独自性ということではないかというご指摘がありました。それから、指導・助言・援助の指導ということについてもご指摘をいただいているところでございますけれども、これはまだ意見が両方あるということで、こういう形で表現をさせていただいております。
 その次、人事に関する3つでございます。
 まず1つ目が、県費負担教職員の人事に関し、一定の人事に関する権限(分限・懲戒や市町村内における転任など)を市町村教育委員会に移譲すること。この点につきましては、やや記述を前回の検討の方向よりは具体化しておりまして、ご意見がありましたのを踏まえまして、一定の人事に関する権限の内訳といたしまして分限、懲戒というご意見がありましたので、それを例示をさせていただきました。また、各市町村に人事を任せる際に、公益的な調整という条件整備ができていないと無理ではないかというようなご意見を重ねていただいておりますけれども、そういったことを踏まえまして、一つの案でございますけれども、同一市町村内における転任というのも一定の人事の権限の範囲として考えられるかなということで、こういう記述とさせていただいています。
 次の丸でございますが、都道府県教育委員会は、県費負担教職員の人事に当たり、市町村教育委員会の内申を尊重するものとすること。市町村教育委員会は、内申に当たり、校長の意見を尊重するものとすること。これは変わってございません。
 それから、4番目でございます。「教育における国の責任の果たし方」ということで、文部科学大臣は、地方自治の原則を尊重しつつ、地方公共団体の教育に関する事務が法令違反や著しく不適正な場合であって、指導・助言等を行っても、なお改善・是正されない等、やむを得ない場合に限り、全国的な教育水準の確保や教育事務の適切な実施のため、必要な措置(勧告・指示)ができるようにすることということでございます。これは地方分権を尊重すべきである。それは当然のことだけれども、改正教育基本法の記述、それから昨今の教育の紛争の状況を踏まえて、国の責任を明らかにすることと両方のご意見があるわけでございます。また、先ほどご指摘がありましたとおり、自治事務といえども是正の指示というものは、一定の要件、ルールのもとに地方自治法の一般原則の中で是正の指示が可能ではないかというご指摘があることを踏まえまして、前回の記述よりも指導・助言等を行っても、なお改善・是正されない等、やむを得ない場合に限りという手続面での記述を追加しているところでございます。
 なお、この点に関しましては、与党の提言の中でも、国が求める是正措置が確実に実行され、教育行政における不適切な状況が早期に回復されるよう関係法令を改正することが望ましいという提言をいただいております。また、最近報告をしてご意見を伺っているところでも、これは両方のご意見があるわけでございますけれども、大体取りまとめ的にご発言をなさった議員の方からは、いろいろなご意見が出たけれども、なるべく学校を中心とした地方の自主性に任せていくんだと、ただし、自主性を高めるのなら、国が最終的な責任を負うんだと、こういう方向で大方の意見は一致していると考えてもいいのではないかというようなご発言があったところでございます。
 その次の丸でございますけれども、調査の協力の関係。その次の丸、教育長の任命について一定の関与を行うことという部分については記述は変更してございません。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 前回の総会でのご意見、あるいはいろいろと分科会で出てきたそれまでの意見、これが十分に反映されているかどうかというのは、まだいろいろと皆さん、ご意見あるかもしれませんが、まだ若干、カオス的な部分も残っているというところでご理解いただきまして、本日は、この骨子案に出てきたところを土台として皆さんに率直なご意見をいただきたいと思います。
 小川先生、市川先生、片山委員、藤井委員、野澤委員、山本委員、田村委員、そういうふうにいきます。

【小川委員】
 基本的な骨子はこれでいいかなと思いながら、まだ整理とか議論が必要なのかなということで幾つか。
 1ページ目の1の一番下の4つ目の丸の「第三者の知見を活用しつつ」ということに伴う評価・点検なんですけれども、先ほどの課長の説明のように、再生会議のように第三者機関を首長の方に作って教育委員会を評価する云々ということは、かなり屋上屋を架すような考え方で、私も基本的にそれは賛成できません。基本的には自分の議会に対して自己評価をしながら議会に報告し、議会からの評価・チェックを受けるというのがまずやるべきことだと思うんですね。これは法律の文章としてはわかりづらいんですが、「第三者の知見を活用しつつ」という、これがどういうイメージなのかというのを少し説明いただきたいと考えます。
 2つ目は、4の「教育における国の責任の果たし方」で、必要な措置ということで、午前中の総会でも是正・指示云々というところを中心にして議論してきて、今の地方自治法の体系の中での可能な措置であるということで一応確認はしているかと思うんですけれども、もう一方で、議論すべき是正要求の件については、ここの分科会でもきちんと議論をしていないので、果たして今の地方自治法の是正要求の要件というのが教育行政の性格とか運用を考えたときにどうなのだろうか。その辺のところはもう少し議論しながら、この是正要求と是正指示の関係等も、もう少し整理する必要があるのかなと感じました。
 それと、4の最後の丸の教育長の任命について一定の関与というのは、これは基本的に、今までさまざまな議論を聞いても、多くの方が1999年の自治法改正等々を踏まえると、やはり問題ではないのかなという指摘がありましたけれども、私も、基本的にはこれについては疑問を感じていますので、できればその辺についても審議の過程で、ある時期では削除するという判断をすべきではないのかなと思っています。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。市川委員。

【市川委員】
 一つは素朴な疑問というか質問で、もう一つは意見です。
 質問といいますのは、教育委員会という名称なんですけれども、2つの意味で使われますよね。私は、教育に携わるようになって、最初、すごく混乱したんですが、要するに5人の委員から成るコミッティのことを教育委員会と呼ぶ場合と、役所の一組織として教育委員会ということがありますね。つまり、事務方とか指導主事などを含む一組織、これを教育委員会と呼ぶ場合もあって、教育委員会のだれだれですと言ってきたときに、この方は教育委員の一メンバーなのかなと思うと実は職員の方だったり。なぜこういう紛らわしい呼び方になっているのか、必然性があるのかというのを教えていただきたいというのが素朴な疑問です。必然性がないのであれば、私は役所の一組織というのは教育局とか、名称を分けていただいて、コミッティと分けたほうが、この際すっきりするのではないかと思っているぐらいです。これは教えていただければと思います。
 もう一つは意見なんですが、2ページ目に私立学校に関することが出てきたんですが、これは確かに場合によっては私立学校の独自性にかなり介入するような危険性もあるんですけれども、一方では、道徳であるとか、総合的な学習の時間であるとか、内容の自由度がかなりあるものに対して、学習指導要領の時間数がきちっと確保されて私立学校でも行われているのかどうか。これは私はどこかでチェックする機会があってしかるべきだろうと思います。私立学校といえども、学習指導要領の時間数を守る。その上での独自性だと思いますので、これが内容的に何か受験科目に化けてしまったりとか、今回のような履修漏れのようなことになると、社会的な信頼を失ってしまうことにもなりますので、ここは透明にチェックするということが私立学校にとっても、その地域にとっても大事なことではないかと思います。これは意見です。

【梶田分科会長】
 尾崎課長、さっき小川委員から第三者の知見を活用しつつという、そこのところの具体的なイメージということもありました。それから、今、市川委員から、教育委員会ということを混同しないように、言葉の上での行政委員会と事務局と使い分ける言葉はないかというお話がありました。2点について。

【尾崎財務課長】
 まず、評価の点でございますが、小川委員からご指摘のありましたここの書き方が、先ほど申し上げましたように合議制の教育委員会のみずから行う執行状況についての自己評価という側面と、それと委任をしたときの教育長に対する評価という側面と、あわせて書いているような格好になっておりますので、ややわかりにくいのかと思うんですが、合議制の教育委員会のみずからの評価のときに、ある意味ではお手盛りにならないように第三者の知見を活用するということが必要なのだろうという問題意識でございますが、そのときのやり方につきましては、その評価の側面で、例えば第三者の有識者に入っていただくとか、その運用については、まだいろいろな選択肢があるのかもしれません。意味としては、その2つのことを盛り込んだものでございます。
 それから、合議制の教育委員会と教育長の統括のもとにある事務局との関係が、教育委員会という用語が二重の意味で使われて紛らわしいというご指摘、これはたまたまいただくご指摘でございますけれども、法令上は教育委員会に事務局を置くということでございますので、正しい言い方をすれば教育委員会事務局の職員ということになるわけでございますが、通例としては、これは地方によります。教育局と言われることもあれば、教育庁という通称を使う場合もございます。申し上げましたように、正確には合議制のレーマンの教育委員から成る5人の教育委員会が執行機関でございまして、教育長が、先ほど申し上げましたように事務の一部の委任を受ける。そうした委任を受けた教育長が統括して事務局を動かすと、そういう構造になっているわけでございまして、法令上は用語はちゃんと使い分けているわけでございますが、世の中では、どうしても事務局をひっくるめて教育委員会という言い方がされるものですから、その辺が誤解を呼んでいるのかもしれません。
 ただ、申し上げましたとおり、ちょっと繰り返しになりますが、地方、地方で使い分けた言い方というのは大体工夫をされている。教育局、教育長、そういったことも例としてはございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。片山委員、お願いします。

【片山委員】
 私は今回のこの骨子に欠けている視点があると思うんです。特に私は自称、分権自治原理主義者なものですから、そういう立場からしますと少し欠けている面がある思うので、それを申し上げたいと思いますが、今回、この問題が起きた背景は、一番衝撃的だったのは、いじめ自殺に対して各地の市町村の教育委員会がしゃんとしてなかったいうことが一番大きいと思うんですね。保護者の皆さんが本当に心配をしていて、切実な問題に対してアカウンタブルでないということ、これが一番大きかったと思うんですね。そのときに、保護者がどうすればいいのかということですが、市の教育委員会に行ってものれんに腕押し。教育委員会をつくったのは誰かというと、メーカーは誰かというと首長と議会なんですね。首長が教育委員を任命する。その際に議会の審議を経て、承認を受けている格好になっているわけです。ですから、ほんとうはメーカーである首長とか議会に不満を言えば、そこで改善がなされる。こうなれば自治は機能するわけですね。ところが、首長に言っても、いや、あれは教育委員会の問題だからと言って少し肩すかしを食う。議会に言っても何の反応もない。こういうことが我が国の地方に行くとあるわけですね。このときに、じゃ、どうやってこれを改善しますか。保護者から言えば、どこに行ったって何の解決にもならない。みんな無責任だということになって、そんなことではいけないから国が最終的には責任をとりましょうというので今回のようなことになっているんだろうと思うんです。
 ただ、私は、そういう方向もあり得るんですけれども、今回の問題で一番の基本は、民主主義、デモクラシーが不足していると思うんですね。自分たちが選んだ代表が構成しているはずの身近な教育委員会が非常に縁遠い。自分たちでハンドリングできない、コントロールできない。まさしくこれはデモクラシーの不足なんですね。これが一番の原因です。ですから、根本的に解決しようと思ったら、いかにデモクラシーを充足させるかという方向がないといけないと思うんですね。この視点をぜひ忘れないようにしていただきたいと思うんです。簡便に水戸黄門を呼んできて、ちょっとやってくださいということについつい行くんです。ですけど、水戸黄門という解決というのは本質的な解決ではありません。水戸黄門がいなくても、自分たちでちゃんと解決できる、地域で解決できるという、これが一番の基本だと思うんですね。
 じゃ、どうすればいいのかということなんですけれども、例えば隣の韓国でも似たようなことがありまして、韓国は昨年の12月にすったもんだして、この関係の法律を変えたんですね。どうやったかというと、議会の中に教育議員というカテゴリーを設けて、一定のポジションと権限を与えるようにしたんです。教育議員はどうやって選ぶかというと、普通の一般の議員と違って教育関係者の中から選ぶんです。だから、選挙のやり方が違うんです。PTAとか教員とか教育関係者の中から一定の人数を選んで、それを議会の中の一つの常任委員会みたいなところに入れて、教育問題についての決定権、審議権を与えるという、こういう解決をしているわけです。これは非常に議論があったんですけれども、一つの実験、試みとしてやっているわけで、これは私はデモクラシーを充足させる方向での解決だろうと思うんですね。こういうことが本当は我が国でも検討されていいと思うんです。私が最初、2月14日のときに申し上げた、議会をもうちょっとしゃんとさせなければいけないというのは実はそういう意味合いを込めて申し上げたんです。
 もう一つは、教育長も含めて、教育委員がしゃんとしていないときに首長に言ってもらちがあかないならば、自分たちが解任するという直接請求というのがあるわけです。リコールというのがあるんですね。これがまた機能してないんです。我が国の地方自治法の中に、教育委員を含めたリコール、解職請求制度はあるんですけれども、あまりにも手間暇がかかって、労多くして益なしの面があるものですから、誰もやろうとしないんですね。よほどのことがないとやらない。本当はもう少しリコールというものが、簡便にと言うと変ですけれども、もうちょっと身近な形でできるようになったほうがいいと私は思うんです。ですから、これは教育委員だけの問題はなくて、首長とか議員もそうなんですけれども、民主主義で選んだ者が当たり外れで外れがあったときに、主権者である住民が直接解任の手続をもっと容易にやれるという仕組みに変えなければいけない。これが地方自治法の制度改正だと思うんです。
 今回、文部科学省の範囲の中だけで考えようとされるから、こういう水戸黄門スタイルになるんですけれども、本当は総務省なんか、もっと真剣に考えなければいけない。地方6団体も現状がいいと言うだけではなくて、現状は悪いところがあるんですから、もっと自治制度の根幹から見直しをして、民主主義の不足を解消するにはどうすればいいかということを考えなければいけないと私は思うんです。
 ですから、ちょっと時間はかかるかもしれないんですけれども、2つの問題、議会を教育的に変えるにはどうすればいいのか。韓国が一つのモデルになります。それから、不具合が生じたときにやめさせるというのを、もうちょっと身近にできないかというリコールの制度改正の問題。これをぜひ視点として持っていただきたいなと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。非常に教育委員会制度の根幹にかかわることだと思います。これは今回、うまく入り込めるかどうかわかりませんが、これは教育制度分科会で念頭に置いて議論していかなければいけないなと思います。
 次に野澤委員、お願いいたします。

【野澤委員】
 実態の状況みたいなことから中心にお話ししますけれども、教育委員会、教育部長、事務局の問題もあると思いますけれども、役割をきちんと書くことについては結構なことだと思います。
 ただ、私も教育委員会を長く見てきましたけれども、昔の教育委員会とは既に全く変わっております。今、大変な努力をそれぞれしているということもおわかりをいただいておきたいと思いますが、ただ、非常勤の特別職でありまして、月に一、二回、会議をやるだけ、あるいは現場に行くというのを最近はかなりやり始めていますけれども、学校現場なんかに行って様子を見てきながら、いろいろ会議をやるというような形で、かなり変わり始めていることは確かなんですけれども、実際に、じゃ、何ができるかということになりますと、これは中心になるのは教育長であらざるを得ない。びっくりすると思いますけれども、市民の皆さんに教育委員会の委員長と教育長の仕事の区分けを聞いてみたら絶対わからないです。話せる人は少ないです。そういうような状態の中でずっと来てしまった教育委員会制度というのをどうするのかという問題だろうと思っていますので、その辺のところについてはっきりさせていくということが一つ、非常に大事なことだろうと思います。
 それから、教育委員会の事務局について言いますと、これは首長部局の一つの部だととらえている方というのが非常に多いです。ですから、そこについてもきちんとした理解を市民の皆さんにしてもらっていくようなことをしていかないと、我々が中から見ているだけでは、決してそんな方向に行っていないということについてもぜひ書き込んでいただけるような形のことができればなという思いがいたします。
 それから、勧告・指示の問題ですけれども、これについては法令違反があるようですから、そういった意味では実際に私は市町村の教育委員会というのは、それぞれ都道府県の教育委員会でいろいろ相談しながら、そこでご指示をいただいたり指導をいただいたりしながら、そこの中で解決できると思っていますが、書くなら書くのも仕方がない、あってもいいのかなというレベルのものであります。
 それから、教育長の任命については、この前もちょっとお話し申し上げました。昔、教育委員会をやっておりまして、そこで委員さんの互選で決まる。もちろん最初から決まっているわけですけれども、決めると、それから休憩をとって、その間に東京都の教育委員会に電話をしまして、それでオーケーというのをもらって、それからやると。あんなところでもしだめだと言ったら、どんなことになるのか。要するに実際、議会を全部ひっくり返すことになりますし、首長のメンツは丸つぶれでございまして、どんなやり方を一定の関与という形でするのかというのが全くわかりません。
 というお話だけさせていただきます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 次は山本委員、お願いいたします。

【山本委員】
 2ページの4の「教育における国の責任の果たし方」の最初の丸でございますけれども、2行目から3行目にかけて「指導・助言等を行っても、なお改善・是正されない等、やむを得ない場合」と踏み込んでいただいたので結構だと思いますが、これは最大の争点は、やむを得ない場合、どう判断するのか、これは何だということになると思うんです。これにつきましては、今日午前中も木村先生から専門家による判断とか、それから田村先生も前に二度ぐらい、そういう話をなさっていますので、その辺をここに入れる必要があると思います。これはいろいろなケースがあるので具体的に書けませんから、例えばやむを得ないと認められる場合に限りとか、それは法律でどういう言葉がいいかわかりませんが、さっきの免許状のほうですと認められる場合というのが入っています。何かそういうのを入れて、それの中身はこういうことだと解させて集約していったらどうかと思います。
 以上、意見でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 岩崎委員、お願いいたします。

【岩崎委員】
 私どもは人口6万余りの市でございますが、そんな中で、先ほどご意見がありましたように教育委員の勤務は非常に変わってきたと私は思っております。定例教育委員会をはじめ、学校訪問は月に1回以上は必ずございますし、その中で研修も積んでいただいておりますし、所管の行事にも必ず出席をしていただくようにお願いをしております。そして、委員の皆さん方独自で情報収集もしていただいているわけでございますけれども、それに加えまして、緊急の問題、生徒指導上の問題が起こりましたときには、必ず事務局内で緊急対応いたしますけれども、即教育委員会を開いていただいて、その結果を議会に報告するというシステムをとっております。
 こういう中で、まず、「教育委員会の責任体制の明確化」の4つ目の丸でございますけれども、点検・評価を行い、議会に報告するということが私は必要であるのかどうかということをおこがましくも思っているところでございます。もしも評価されるのであるならば、どんな観点で評価されて、それをどのように生かしてくださるのか。ほんとうに学校とか教育委員会が納得と信頼が得られるものであってほしいなということを思っております。
 とかく私ども、教育に関する指摘というのが多いですけれども、お褒めいただくことは私はあまり経験がないなと思っております。私自身は、指摘ばかりではなくて、子供が育っている部分、地域で認めていただいている部分を知らせてくださいということで、園あるいは地域からお声をいただいております。そのことによって元気をもらっているという事実もあるということ。このために評価ということについては慎重にお考えいただきたいなと意見として持たせていただいております。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 安西委員お願いします。その次、続けて押尾委員、高橋委員、藤井委員、田村委員。

【安西委員】
 2ページ目の3の「教育における地方分権の推進」の3つ目の「首長の私立学校に関する事務のうち」というところでございますけれども、これからの日本の教育における私学の重要性ということ、特に多様な教育の仕方を展開していくということが、これから日本が金太郎飴ではない教育のインフラをつくっていくために非常に大事だと思います。
 そういう中で、3つ目の丸のところでありますけれども、私立学校につきまして、「専門的な指導・助言・援助」と書いてありますけれども、既に意見は出ているということでありますが、指導というのは非常に強い。実勢をむしろ重んじるということが大事だと、ますます思います。一つ、こういうことが出てきている理由には、科目単位未履修のことがあるかと思いますけれども、私の見ているところでは、学習指導要領が一律に適用される、そこに問題があるのであって、生徒の成長の度合いがまちまち、知的にも体力的にも何でもそうでもありますけれども、生徒によって個別に随分違う中で、学習指導要領のほうを一律に適用しようとするということは、同じ大きさの洋服を違う大きさの生徒にみんな着せようということでありまして、入試等が絡んでいるのではないかというご指摘もありましたけれども、むしろ根本的には学習指導要領の弾力的な運用、あるいは学習指導要領の位置づけの見直しというんでしょうか、それが非常に大事だと思います。
 そういうことも含めて、先ほどありましたけれども、何かあったら国の介入といいましょうか、国の指導を増やすのだという考え方よりも、むしろ私は現場、また、それに近いところでもって、いろいろなことが修正され、また、子供にとってのいい教育ができていくようなメカニズムをきちっと考えていくほうが大事で、国の指導を強めていくということは、むしろ逆の方向に日本が行くのではないかということを多少考えるところがございます。
 以上、申し上げておけばと思います。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 押尾委員、お願いいたします。

【押尾委員】
 2つございまして、1つは、1番の「教育委員会の責任体制の明確化」の中で、教育委員そのものはレーマン、知見を持った方々が選ばれている。そういう目で、要は教育委員会事務局のやっていることについてきちんと見ていただくというのを明確にすることが大事なのかなと。第三者と言われるような方々を入れることそのものが、また、その方はだれが選ぶのかという、さまざまな課題が出てきますので、基本的には教育委員がきちんとご自身の責任と権限でやられるのがいいのかなと。今、教科書の採択を教育委員がなされますけれども、そのぐらいのきちんとした責任とご自身の明快な判断でやっていただくのがいいのかなと思います。
 2つ目が、「教育における地方分権の推進」の中で、一つは、首長の求めに応じて私立学校を教育委員会がやるということなんですけれども、現在でも私立学校に対しては、首長部局が補助金等でそれぞれ支援するということをとっています。そのときに教育環境の改善を趣旨とした補助金の制度というものでやっておりまして、私立学校からの教育内容がどうのこうのについては、市や町村のほうについては、内容的なものはほとんど伝わってこないということがございます。私どもの横浜も私立の学校にも補助金を出して、援助ということでやっておりますけれども、果たして今度はそこで首長の方で教育課程の内容についてまで、それをきちんとつかんで、それを判断した上で教育委員会に連絡ができるというシステムが果たしてできるかと。ですから、ここまでやるためには、首長部局の中に、それなりの専門家がいて、私立学校の教育課程の実態について、絶えずきちんとした把握をしていない限りは、この制度そのものができなくなってしまうだろう、形だけで終わってしまうという、そういう懸念がございますので、ぜひその辺についても、また検討していただければと思います。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 高橋委員、お願いします。

【高橋委員】
 私は、2ページ目の3の「教育における地方分権の推進」についてお話をさせていただきます。午前中の総会においても述べたことと重なるわけですが、私の考え方を少し追加して述べさせていただきます。
 特に人事に関しまして、一番最後の丸のところに「校長の意見を尊重するもの」と書き込んでいただきましたことについては実は大変ありがたく思っております。と同時に、にもかかわらず、おそらく大方の校長は、このことについては必ずしも賛成しないのではないかなと思っております。
 それはなぜかと申しますと、教員はさまざまな地区を経験することで職能的な成長を得られることが多いということがございます。また、区市町村によって、さまざまな教育環境があるわけでございまして、そうした状況の中で、すべての区市町村において一定の教育水準を確保するということからして、都道府県教育委員会がこの人事を担当したほうがよろしいというようなことがやはりあるからでございます。3つ目でございますが、これは私の言葉で端的に申し上げると、校長の意見ということを集約的に言えば、自校にいい教員を残し、いい教員が欲しいということになるわけですが、このことをすべての校長が言い出したところで、実はその現実性は極めて薄いということであろうと思います。
 私は、異動等の人事については、既に各都道府県教育委員会が、それぞれの実情に応じて異動要綱を定めて実施しているところでございますので、ここまで書き込むのではなくて、都道府県にゆだねるということでお示しいただくことだけでも十分なことではないかと。また、そのことが地方分権の推進に資するのではないかと、このように思っております。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 次、藤井委員にお願いしますが、あと、田村委員、角田委員、井上委員、渡久山委員、それで本日はほぼ時間が来ておりますので終わりにしたいと思います。

【藤井委員】
 かつて文科省のほうで教育の構造改革の中で、いわゆるインプット、アウトカム、あるいはプロセスというような案が国家戦略として示されておるわけでございますが、これは教育における国と地方の関係を示されたと思いますけれども、これは各地方自治体の中における、例えば首長と議会と教育委員会の関係においても、どこまでそのプロセスの部分を任せるか、こういった議論が今展開されているのではないかと感ずるわけでございます。
 教育再生会議でも、小規模市町村の問題が取り上げられておりますが、私どもも、それに該当する小さな教育委員会でございますが、現行法に沿って、いくら小さくても努力しているところは努力している実態もあるわけでございまして、事実、私どもも、例えば今回、指導主事を設置しろということでございますが、現在、町費でもって4名の指導主事を配置してございます。また、学校数がうちの場合は8校しかないんです。ですから、指導主事の数は2校に一人いるような計算になるわけでございます。
 それから、議会に評価を報告しろということでございますが、これも教育委員会と議会の文教常任委員会などと年間を通しての定期的な話し合い等を持っておりまして、改めて報告をするよりも、日常的なお互いのやり取りの中で十分点検・評価を受けていると私どもは思っているわけでございます。
 ただ、一生懸命そうやっておりますけれども、権限がおりてきても、それが教育の水準確保という点でなかなかできないということもございまして、地方分権の中で人事権の移譲の問題がございます。これを市町村に移譲するということは、離島、山間あるいは小規模市町村にとりましては、優秀な教員の確保に著しく支障を来す、支障をもたらすというものであり、これは時期がまだ早いのではないかと。
 また、括弧の中に懲戒・分限権を市町村に移譲するということは、都道府県が任用した職員を市町村の判断で免職して本当にいいのかという点では問題があるように思っているわけでございます。仮に免職だけを都道府県に留保して、それ以外を市町村に移譲するとしても、免職とするか、停職とするかという判断基準は個々のケースに応じて決めざるを得ないわけでございまして大変難しい問題ではないかと思っております。むしろ現在も市町村内の学校の異動については、基本的には市町村教員の意見が尊重されておるわけでございまして、広域調整を行う権限を都道府県に残しつつ、市町村内の転任については市町村に移譲するというような工夫が必要ではないかと思っているところでございます。
 以上、よろしくお願いいたします。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 田村委員、お願いします。

【田村副分科会長】
 たびたび同じ問題を発言するのもちょっと恐縮なんですが、先ほど話も出ましたが、首長の私立学校に関する問題、3番の「教育における地方分権の推進」の3つ目の丸の部分なのでございますが、部会長がおっしゃっているように、改革をするのは個々の学校が生き生きと教育活動ができるようにするためにというのが基本原則だというお話がありました。この3つ目の丸が出てきた背景には、いわゆる履修にかかわって漏れてしまったと。これは公立・私立ともにあるんですけれども、私立のほうが比率が高かったという問題があって、これは関係者としては申しわけないと思うんですが、これは二度と起こさないようにするためということで、こういう考え方を提案されたんだと思って受けとめております。
 ただ、バランスといいましょうか、角を矯めて牛を殺すといいましょうか、ちょっと大げさな言い方になりますが、基本的に履修漏れにかかわっていますと、県によって対応は違うんですけれども、既に履修漏れした学校は、私立学校に対する県の補助金が削減されているんですね。ですから、二度とやらないだろうと思います。ですから、二度とやらないという状況にありながら、公立学校に対するご指導のような指導・助言・援助をそのまま使って、そういったご指導をされるというのは、これは強行すると私学の現場は萎縮するのではないかということを心配します。もうちょっと自主性を尊重して、やったことはいけないことですから二度とやってはいけないんですけれども、もうちょっと引いた形で国の指導、あるいは教育委員会の私立学校に対する対応の仕方を考えていただいたほうが、結果的にはいい結果になるのではないかと私は信じておりますので、この点については、ぜひひとつご検討をお願いしたいと思います。
 履修漏れがいいと言っているわけではありませんので、そこは誤解のないようにですね。しかし、本当にいい教育を実現するためには、安西先生がおっしゃっていましたけれども、個々の学校が頑張る以外ないわけでありますので、それに少し勇気づけをしていただくような方法をぜひお考えをいただきたいと思います。
 なお、「教育における国の責任の果たし方」ということで1番目の丸がありますが、私は、今回のように教育を取り巻く環境が変わってしまった。つまり、メディアが非常に発達して、一つの地方で起きた事件が、あっという間に全国レベルに広がってしまう。こういう状況の変化がありますから、国の対応も変わってしかるべきだろうと思います。厚労省では、安全にかかわる行政について、鳥インフルエンザができたため、地方分権のその部分をやめたと聞いております。国がやらないと対応ができないわけですね。同じような意味で、文科省も教育という非常に重要なことを責任を持ってやるという部分が限定をした上で国がやるという仕組みをつくっておかないと、これからますますそういう問題が起きる可能性があるのではないかと思いますので、これはぜひ考えてつくっていただけるといいなと考えております。
 2点、申し上げました。ありがとうございました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 角田先生、お願いします。

【角田委員】
 私は2番の「教育委員会の体制強化」というところについて申し上げたいと思います。先ほどからいろいろと議論が出ておりますけれども、要は現場がいかにいい教育をするのか、きちんとした法を守っていくのか、これが一番重要なところなのだろうと思っています。そのために、丸の2のところにある「市町村教育委員会は指導主事の設置に努めるものとすること」、これが現場にとっては非常に大きな力になるのではないかと思います。先ほど藤井委員から、うちは2校に一人の割合で指導主事がいらっしゃるというお話がございました。これは非常にまれなケースでございまして、大部分のところが一人配置であったり、あるいはゼロというところがあるのではないか。結局、学校の授業をよくする、あるいは学校の教育力を高める、教師の指導力を高めるというときに、学校の校内研修ももちろんそうですけれども、その校内研修を指導し、学校の力をレベルアップしていく、あるいは教育課程を専門の見方で指導・助言していく、この指導主事がしっかりしているかどうかというのが非常に大きな役割を果たすのではないだろうかと私は思っております。
 今回、「設置に努めるものとする」、これは努力目標なんだろうと思います。できることであれば設置しなければならないという形に私は改めていただけるとありがたいと思うんですが、今までが「所要の職員を置く」という表現になっていた。その「置く」というところから「努めるものとする」となったところで、もしかすると若干、指導主事は置かなくてもいいんだよ、置く努力をする努力目標なんだよというニュアンスが強くなったんだとすると、周りの制度は盛んに学校のレベルアップをしなさいとか、そのためのシステムを変えるということをしているにもかかわらず、現場の力を高めるためのものが弱くなっていくという危険性があるのではないか。これは法律の表現で、こういうふうなものなのだということであれば結構だと思いますけれども、しかし、私としては、指導主事というものの設置についてもう少し前向きに、積極的に考えていただきたいというのが一つでございます。
 もう一つは、3番の「教育における地方分権の推進」の最後のところの「校長の意見を尊重するものとする」ということでございます。先ほど高橋委員から校長の意見ということについてやや否定的な話がございましたけれども、私は人事というものについて必ずしも人事権だけの問題ではない、いわゆる異動の問題だけではなしに、校内に配当された教員をどういうふうに活用するかということも含めて人事だととらえると、今回は否定をされましたけれども、平成17年10月に教職員定数の改善に関する調査協力者会議というところで、これからの学校については、校長や市町村教育委員会の権限によってつけ方をいろいろと変えるんだというのが出ていたわけです。このことは今後、教職員定数のことが今ちょっと頓挫していますけれども、私は必ずそういう問題が大事な問題になってくる。そのときに、校長がうちの学校ではチーム・ティーチングでやるんだ、あるいは教科担任制にするんだ、これは小学校の場合ですけれども、そういうようなことが校長の権限で、あるいは教育委員会の権限と両方の連携の中でできるという意味では、「校長の意見を尊重するものとする」ということはぜひ残していただきたいと思っております。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 井上委員、お願いいたします。

【井上委員】
 2点申し上げたいと思います。
 まず1点は、2ページの3の「教育における地方分権の推進」の上から5番目の丸でございますが、この点については特に今まで意見がなかったので申し上げたいと思いますが、県費負担教職員の人事については、任命権者の都道府県教育委員会が広域的に公正かつ適切に行うということが必要でございますが、その際の市町村教育委員会の内申については、かつて内申すべきときに市町村教育委員会が内申しなかったという事例があって、そのような異常な場合には都道府県教育委員会が任命権を行使することができるという最高裁判決がありますので、そういう意味では内申を尊重するものとするという規定が妥当であると考えております。
 それから、4の「教育における国の責任の果たし方」は、今まで各委員からもご意見が出てきているところでございますが、先ほどから総会においても、最終的に教育に関する責任を国が果たすことについては異論がないと思うわけで、要は国の責任の果たし方をどうするかという問題だと思うわけでございます。したがって、ここに要件、あるいは手続等を明確にし、それによって、それが極めて限定的なものであってやむを得ない場合であるということを明確にした上で、最終的に全国的な教育水準の確保とか教育事務の適切な実施のために、必要な措置として、ここで勧告が入っておりますが、今まで勧告についてはあまり議論がなかったと思うので、むしろ、上に書いてある地方自治法の具体的な是正の指示と一本化して、最終的な責任を国が果たせるようにするというほうがすっきりしているのではないかと思いますので、その点について発言させていただきました。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは、最後、渡久山委員、お願いします。

【渡久山委員】
 今回の地教行法の改正というのは、このリード文にもございますように、教育基本法の改正、今まで答申されました中央教育審議会の答申、それから再生会議の報告だと思いますが、特に平成17年の中教審の答申、鳥居前会長がいらっしゃいます、あるいは木村副会長もいらっしゃいますが、非常に尊重されるべきだと思います。この趣旨は何かというと、地方分権の問題もさることながら、できるだけ教育権限を市町村、あるいは学校、校長へ移譲しようではないかという趣旨が非常に濃厚でした。特に地域においては、地域協議会の学校づくり、いわゆるコミュニティースクールを含めて、住民の意見を大事にしようという考え方が非常にあったと思います。ですから、そういう方向性というものが基本的には流れていくべきではないかなという気がいたします。これが一つです。
 もっと具体的な話でいきますと、1の教育委員会の権限の問題で、3の教育委員会の評価について第三者の知見とありましたね。私は、現行法でも、先ほど片山知事も言われましたし、あるいは京都の門川教育長も言われまして、そういうようにして、うまくいっているところはうまくいっているんですね。それに対してなぜ第三者評価が必要なのかと疑うぐらい、そういうことが具体的に今日は出ました。
 ただ、野澤委員が言われたように、万が一、首長の意見と違った教育長を任命した場合にどうなるかというところに、レーマンコントロールよりはパワーコントロールがどうしても働いてきているという側面が現在の教育委員会の実態ではないだろうかという気がいたします。そうでありましたら、平成10年の中教審答申をもう少し大事にして、この辺で果たして見直しができるかどうかというのが一つ問われるのではないかなという気がいたします。
 2つ目は、「教育における地方分権の推進」という2ページの問題ですが、教育委員に保護者を入れるということは非常に大事なことだと思います。ややもすると、首長の気に入った者だけが入っているという教育委員会の現状もあるわけです。だからこそ機能しないわけです。そういうこともありますから、これは非常に大事で、ただ、それだけでなくて、また地域の皆さんにも入っていただくということも非常に大事ではないかなと思います。同時に、このあり方は、午前中に寺島委員が言われたような、市町村合併等のいろいろな問題もありますから、そのとき、あるいはその地域に応じた考え方が生きてきていいのではないかなという気がいたします。
 次に、県費職員の人事に関して、先ほど藤井委員からも、市町村の権限の中に分限・懲戒というのがありましたね。これは私、慎むべきだと思います。なぜかというと、給与権というのは県にありますから、そうすると、分限や懲戒については単なる身分問題ではなくて、給与の問題等、いろいろな問題が起こりますので、これはあくまでも給与負担者が行うべきであって、市町村に移譲することについては慎重でなければならないと思っています。
 それから、その他といったところがいいかと思いますが、実は今度の改正教育基本法の特徴の中には、第16条、第17条の財政措置の問題と、それから教育振興基本計画の策定というのがありますね。国が策定をして、それを参酌して地方が確定するということがありますから、今度の地教行法の中に、これを盛り込むべきかどうかですね。これは事務当局のほうでもちょっと検討していただいて、ありましたら、それも積極的に入れていただく。16条は、それに対する財政措置という国も公共団体もしなければならないというところがございますので、その辺のことについては今後もっと検討していただければ幸いです。
 以上です。

【梶田分科会長】
 ありがとうございます。地方版の教育振興基本計画の問題も確かに非常に重要なことだなと思います。
 今日、本当に長時間、ありがとうございました。この問題、まだまだ収れんしないというところ…、今の当面の問題については、私はかなり収れんしてきたなと思いますけれども、個別の学校、個別の教室まで届く仕組みをどういうふうに再構築するかという点では、まだまだ検討課題があるなと思っております。これは教育制度分科会、まだ2年近くありますので、この中で議論しなければいけないなと思っております。
 地教行法の改正につきましては、あと1回、皆さんで、これはヒアリングの結果を踏まえて、同時に、その時点までに集まっておりますパブリックコメントの結果を踏まえて、皆さんに論議していただく機会がございますので、このところでもう少し詰めていきたいと思います。
 それでは、事務局のほうから次回以降の予定をお願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 資料6にございますように、次回は28日(水曜日)に終日審議を予定しておりますが、この日は関係団体からのヒアリングを行いまして、その後、若干お時間をちょうだいして審議を行うということを予定しております。その次は3月3日(土曜日)の午後に審議を行うことを予定しております。詳細は決まり次第、ご連絡させていただきます。
 以上でございます。

【梶田分科会長】
 ありがとうございました。
 本当に長時間、皆さん、ご苦労さまでした。

─了─

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