教育制度分科会(第11回) 議事録

1.日時

平成15年10月16日(木曜日) 13時~14時

2.場所

東條インペリアルパレス6階 「九重の間」

3.議題

  1. 第2期教育制度分科会長・副分科会長の選任
  2. 教育制度分科会運営規則の決定等
  3. 「大学入学資格検定の在り方について」の自由討議
  4. 大学入学資格検定部会の設置について(案)
  5. その他

4.出席者

委員

 鳥居分科会長、木村副分科会長、茂木副会長、梶田委員、國分委員、田村委員、渡久山委員、丹羽委員、山本委員

文部科学省

 矢野文部科学審議官、銭谷生涯学習政策局長、永野国際統括官、有本生涯学習政策局担当審議官、松元生涯学習総括官、布村生涯学習政策局政策課長、芝田生涯学習推進課長、辰野初等中等教育企画課長、その他関係官

5.議事録

(1)新しい分科会長について、鳥居会長がふさわしい旨発言があり、承認された。副分科会長については、鳥居会長から木村副会長の指名があった。

(2)教育制度分科会運営規則等及び今後議事要旨を公開する際に記名の形で公表することについて承認された。

(3)「大学入学資格検定の在り方について」の諮問及び関連資料について、事務局より説明があり、その後意見交換が行われた。

梶田委員
 大検を大学入学資格の検定の試験から高卒程度を認定する試験に比重を移していくという点は非常によいことだと思うが、伺いたい点がある。現在大検は定時制の高校の通学者は18歳になる前に受験できるが、全日制の高校の通学者は受験資格がなく、全日制高校の通学者の受験を認めるのか、合格年齢を変えるつもりはあるのか。

芝田生涯学習推進課長
 その辺の議論はまだこれからという段階である。その際、高卒の中身は単なる学力面の成果に限られたものではなく、同年代の生徒との交流や人格形成など様々な面があることを踏まえて議論する必要があると思う。一方、大検を社会で通用し、活用される試験とするためには、全日制の高校との関わりあいも考えることも論点であると思うので、今後十分に審議をいただきたい。

鳥居分科会長
 今回の諮問は、広く考えると、初等中等教育についての包括諮問の2番目の審議事項である義務教育など学校教育に係る諸制度の在り方についての審議とも関係してくるのではないか。

國分委員
 定時制、通信制の高校の通学者や高校の中退者が大検を受ける際は、既に取得した単位については認められるのか。

芝田生涯学習推進課長
 該当する教科があるものについては認められ、大検のその教科の試験が免除される。なお、受験資格に関してであるが、大検の受験は試験を受ける年度末までに16歳になる者という制限があるとともに、合格しても大学入学資格が与えられるのは、全体の学校体系との整合性を考えて18歳になった後とされている。

鳥居分科会長
 前回の総会の議論でも高校の卒業には教科以外に同年者との交流や体を鍛えるなど様々な要素が含まれているのではないかという意見があったが、この点についてはどうか。

山本委員
 その点については、大検合格者の方が、社会で働き異年齢の人との交流が多いなど、高卒者よりかえって人間形成ができているという意見もある。

田村委員
 諮問では、高卒程度の学力を認定する試験とされており、高卒を認定する試験とはされていない。大検を学力の認定に限定するのか高卒の認定まで広げるのかということを考えておく必要がある。山本委員のご指摘は分かるが、大学や高校に通うことには学力以外の面がある。仮に、高卒の認定ということにまで広げるのであれば、奉仕活動を行うなどの条件を付すということも考えられる。

梶田委員
 現在の高校中退は経済的要因や学力的要因ではなく、心理的な要因が多い。大検を高卒の資格を扱う試験にしてはいけないということではなく、中退者のためのバイパスを作っておかなければならないと思うが、就職時等における取り扱いとしては別の面で変えなければならない問題はあると思う。

山本委員
 中退者の中には通信制に行って高卒資格を得ている者もおり、スクーリングの有無があるとはいえ、自己学習をして大検に合格した者とあまり変わらないのではないか。聞いているところでは、大学入学者でトラブルがあるのは大検の合格者だけではなく、通信制の高校から大学に入学した者や高校中退後に通信制の高校に入った者にもあるということである。定時制高校の場合には生徒が通学し、教員も日頃から生徒に接し、世話をしているという違いがある。

茂木副会長
 この議論は学力に絞らないと難しいと考える。なお、中学の時には不登校であった子が、その後、20歳ぐらいになってから、勉学に励んで、大検に合格して大学に行き、社会に出て活躍している例もあり、高校中退者等に対して勉強したくなった時に勉強させるため大学や社会へのバイパスを作っておくことは必要と考える。

渡久山委員
 昔の現場の記憶では、高校中退者や経済的に困難な面のある子どもが定時制高校で4年間、夜に学習するのは困難で、大検が救いとなっていたが、試験が年1回だったとか、願書の届出期間が2週間程度という問題があった。現在、高校中退者が10万人程度おり、その中には、経済的な理由や勉強嫌いということではなく、希望校に入れなかった、入学した高校に合わなかったという子どもがいて、こうした子に検定を作っておく必要がある。もう少し幅広く存在を宣伝し、門戸を広くすることにより、利用する子どもを増やした方がよいと思う。また、日本では資格試験が少なく選抜試験が多数を占めているため、学習が教養のための学習ではなく受験のための勉強になっているとともに、大学に入るために勉強しているという面がある。18歳前後で全員に受験させて、大検を大学入学のための資格試験とすることはできないか。

田村委員
 そうした場合、多くの生徒が大検を受けて大学に行くようになり、高校に行かなくなると社会問題化するのではないか。バイパスはあくまでバイパスであって、学校で学ぶことが中心であるという仕組は堅持しておく必要があると思う。

鳥居分科会長
 今後、大検の性格を高卒の認定とするか、高卒と同程度の学力の認定とするかを整理していく必要がある。

國分委員
 総会では、高校の校長の方から、高校では勉強だけでなく部活動や3年間の様々な友人関係等、人間形成に役立つ面があるという指摘があった。しかし、実態としては、大検受験者には高校生活で得られるもの以上の社会人としての経験を得ている場合もあるし、高校卒業者の学力のレベルも高校によってはどうかという場合もあるかもしれない。学力があるから高卒と認めるということにするのであればきちんと論理を詰めておく必要がある。また、大検の見直しにあたっては、高校教育に悪影響が出ないようする必要があり、大検というバイパスは必要であろうが、相当の実力と努力がないと合格できないというものにしておくことが必要と思う。昔の旧制専門学校入学資格検定試験は結構難しかったと聞いている。

鳥居分科会長
 学力の認定という面を徹底した場合、制度を下手に設計とすると、高校生の多くが在学中に大検を受験するという事態が起こりうる。

渡久山委員
 現場でも学校を退学して大検を受けたいという生徒がいるが、ほとんどの教員は学校に通うように指導しており、また、現在の大検は受験者が少なく合格率も35%程度であり、まだ救われている子どもは必ずしも多くないのではないか。今回の見直しによっても、大多数が学校に通わなくなるということはないと思う。

鳥居分科会長
 科目についても、数学2と数学Aは選択科目で数1は必修だという問題もあると思う。

(4)大学入学資格検定部会の設置について承認され、同部会の委員は資料7-2のとおりにすることとされた。

(5)閉会。

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生涯学習政策局政策課