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資料7


地方教育行政部会の審議状況について
-これまで出された論点と主な意見-
(案)

平成16年7月15日

 今後の地方教育行政の在り方

(1)  市町村や学校の権限と責任の拡大について
 住民や子どもに近い市町村や学校の人事・予算などに関する権限を拡大することにより、市町村や学校が自らの判断で様々な工夫を行いながら、住民のニーズに応じた質の高い教育を行っていくとともに、その内容について説明責任を果たすような制度としていくべきとの意見があった。

(2)  全国的な教育水準の確保について
 義務教育については、全国的な教育水準の確保が重要であり、ナショナル・スタンダードを示して地域格差がないようにすべきとの意見があった。

(3)  保護者、地域住民の教育行政への参画について
 保護者、地域住民が教育行政に積極的に参画していくことが重要であり、教育行政に関する情報の提供など、開かれた教育行政を進めるべきとの意見があった。

(4)  制度改革と運用改善について
 社会状況の変化に応じ、合理性・有効性を検討しつつ制度を見直していくべきとの意見や、教育委員の人選など可能な運用改善をまず行った上で制度改革を検討すべきとの意見があった。


 教育委員会制度の在り方

(1)  中立性の確保について
 政治的対立の厳しいところでは、教育委員会制度によって政治的中立性を確保することが必要との意見があった。

(2)  継続性、安定性の確保について
 教育行政は、首長の交替による影響を受けず、継続性、安定性が確保されるべきとの意見がある一方、首長の交替による自治体全体の方針変更に伴い、教育行政もその自治体の行政の一部としてその方針に沿うことが必要との意見があった。

(3)  教育行政の首長からの独立について
 教育の中立性、継続性、安定性を確保するため、首長から独立した執行機関が教育行政を担当すべきとの意見がある一方、仮に首長の教育政策に問題がある場合は選挙で選ばれなくなること、また議会によるチェックも働くことから、首長が教育行政を担当してもよいとの意見があった。

(4)  レイマンコントロールについて
 専門家のみが教育行政を行うと政策に偏りが生じかねないことから、地域住民の意向を教育行政に反映するレイマンコントロールの考え方は今後も維持すべきとの意見がある一方、複雑化した現代の行政において、専門家以外の者が政策を決定していくことは実際には難しいとの意見があった。

(5)  合議制について
 合議制は決定が非効率で責任の所在も不明確であるとの意見がある一方、教育行政の執行機関が様々な分野の代表者で構成されている方が住民の支持を得やすいとの意見があった。

(6)  教育委員の人選について
 教育委員の人選は、教育委員会が機能する上で非常に重要であり、人材の充実・確保を図るべきとの意見があったが、小さな町村では教育委員に人材を確保することは困難との意見もあった。
 教育委員の人選にあたって、公募や公選などを導入してはどうかとの意見があった。

(7)  教育長・教育委員会事務局の在り方について
 教育委員会が執行機関として実質的に方針を決定し、事務局はその方針に従って事務を行っていくべきとの意見や、委員としての活動を支援する専門の職員を配置すべきとの意見があった。
 学校に対して専門的指導が行えるよう、指導主事の配置の充実など教育委員会事務局の体制を整えるべきとの意見があった。

(8)  制度改革について
 教育委員会の設置を地方公共団体の判断に委ねること(任意設置)については、地方が自己の組織について決定権を持つべきとの観点から任意設置とすべきとの意見がある一方、教育委員会を設置するか否かは教育行政の基本事項であり、地方の判断に委ねるべきでないとの意見があった。
 市町村の人口規模や行政資源は様々であり、教育委員会制度を人口規模などに応じて多様なものとすべきとの意見があった。
 具体的な制度改革としては、以下のような提案があった。
 教育委員会を置かないこととする場合、教育の政治的中立性を担保するため、首長のもとに教育審議会を置いてはどうか。
 意思決定の迅速化と責任の明確化のため、教育委員を常勤職としてはどうか。
 教育委員の選任に住民の意向を反映させるため、公募や公選で選任するようにしてはどうか。
 地方の実情に応じ、教育委員の人数を弾力化し地方の判断に委ねてはどうか。また、教育委員の人数を増やしてはどうか。
 教育長と教育委員長の関係が分かりにくいことから、教育長が教育委員長を兼任できるようにしてはどうか。
 教育長の専門性を高めるため、教育長を資格が必要な職としてはどうか。


 首長と教育委員会との関係

(1)  首長と教育委員会との連携方法について
 首長と教育委員との定期的な協議の場の設定、審議会の設置、自治体の策定する基本構想の活用などにより、首長と教育委員会の連携を深めるべきとの意見があった。
 予算の編成・執行、事務局職員の人事について、首長は教育委員会の自主性に配慮すべきとの意見があった。

(2)  教育行政への議会の関わりについて
 議会が教育行政について関心を持ち、議論していくようにすべきとの意見があった。

(3)  生涯学習、文化、スポーツ等における首長と教育委員会の役割分担について
 生涯学習、文化、スポーツについては、学校教育とあわせて教育委員会が所管すべきとの意見がある一方、これらの施策はまちづくりの一部であり首長との関係も深いとの意見があった。また、首長か教育委員会かという縦割りの議論ではなく、自治体全体としてどう取り組むのかを考え、両者が連携していくべきとの意見があった。
 幼児教育は教育委員会が関与していくべきとの意見があった。
 私立学校について、教育委員会の所管とするなど、教育委員会の関わりをより深めることを検討すべきとの意見があった。


 都道府県と市町村との関係

(1)  国、都道府県、市町村の関係について
 国の指導が、都道府県、市町村、学校と進むに従って強く受けとめられ、教育が画一的となる傾向があるが、都道府県、市町村、学校それぞれが何ができるかを主体的に考えることにより、そのような状況を改めるべきとの意見があった。
 全国を通じて一定水準の教育を確保するとともに、地域の特性を活かすことが必要であり、都道府県の指導性と市町村の自主性のバランスが重要との意見があった。

(2)  市町村教育委員会の在り方について
 子どもや住民に最も身近な市町村教育委員会が責任を持って教育行政を担う仕組みが必要であり、小規模市町村では共同処理方式など広域化が必要との意見があった。
 政令指定都市については、原則として都道府県と同等の権限を与えるべきとの意見があった。

(3)  都道府県教育委員会の在り方について
 義務教育の実施における都道府県教育委員会の役割は、評価や条件整備の機能に特化していくべきとの意見や、国や都道府県は市町村の求めに応じて職員派遣などの支援をすべきとの意見があった。

(4)  教職員人事権の市町村への移譲について
 教職員の人事権を市町村に移譲する方向で検討すべきとの意見がある一方、懲戒処分も含めた人事関係事務を現在の市町村の事務体制で処理することは難しいといった意見や、一定水準の人材を県内全域で確保するため広域人事を行う必要があることから都道府県が人事権を持つべきとの意見があった。
 中核市については、すでに研修の権限が移譲されており、教職員の任免や配置などの権限についても移譲すべきとの意見があった。


 学校と教育委員会との関係

(1)  学校の裁量拡大について(学校への権限委譲)
 教職員の人事権について、配置については教育委員会が調整権を持ちつつ、任免・勤務評定・給与については校長が権限を持つべきとの意見がある一方、人事関係事務の処理が学校にとって負担となるといった意見や、人事によって学校を良くしようとするのではなく、現在の職員の資質向上に努力すべきとの意見があった。
 学校の予算については、教育委員会が総枠を決め、使途を校長に委ねるべきとの意見があった。
 学校の裁量拡大に伴って、教職員の配置の見直しや学校組織の強化など条件整備が必要との意見があった。

(2)  学校評価について
 学校評価は、保護者・地域・学校の三者が情報を共有し、学校運営に共同参画することを目的とすべきであり、学校の序列化につながってはいけないとの意見がある一方、利用者が学校を選択できる仕組みを作り、消費者主体のサービスを実現すべきとの意見があった。
 自己評価の義務化や第三者評価の実施が必要との意見があった。

(3)  学校に対する教育委員会の支援について
 指導主事の配置の拡大や学校訪問の機会の増加、指導主事以外の学校を支援する職員の配置などが必要との意見や、校長会や教頭会を通じて学校現場の意見を吸い上げ施策に反映させるべきとの意見があった。

(4)  地域住民の学校運営への参画について
 保護者は学校に不平を言うだけではなく、学校とよく話し合って同じ方向を向いて連携・協調すべきといった意見や、地域が学校を育てると同時に学校が地域を育てるという双方向の関係が必要との意見があった。



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