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資料4


「大学入学資格検定の在り方について(中間報告)」に対するパブリックコメントの概要


1.意見者の内訳
意見者 意見者・団体数
高等学校教育関係(関係団体等)  
 全国高等学校長協会
 全国定時制通信制高等学校長会
 日本教職員組合等
PTA  
 日本PTA全国協議会
青少年団体
大学関係(関係団体等)  
地方公共団体(関係機関等)  
一般

2.意見の要旨
項目 意見の要旨
2基本的な考え方
 今回の中間報告の論議が、終始、高校生活にうまく適応できない生徒等の立場で行われたことは高く評価したい。

 「新試験」の就職等についての活用は、高校中退者などが今日の「学歴社会」の下で不利益を被らないという意味で賛成できる。

 全日制高校生に受験資格が開かれたことは、高等学校教育の弾力化を図る意味でも大きな前進である。

 新試験によって、高等学校教育がないがしろにされるのではないかという懸念の声も聞くが、人格形成における高校生活の意義を疑うものはいないと思うので杞憂である。

 「学力を測る試験のみで高等学校卒業資格が付与されると、安易な中退が増加するなど、高等学校教育に悪影響を及ぼすのではないかとの指摘があるが、高等学校教育はそれほど脆弱なものではない。

 高校教育の重要性は言うまでもないことだが、一方で高校中退者が10万人もあり、かつ大検受検者の6割を中退者が占めているのも事実です。様々な理由で高校を中退する子どもたちの進路・学力の保障は、我々教職員にとっても重要な課題です。

 中学卒業者の97%が進学してくる高等学校には多様な生徒が在籍しており、中には中途退学したり、不登校になったりする者もいる。これらの生徒に上級学校進学等の機会を与える「新試験」は、高等学校の補完機能を果たすものであり、彼らの将来を切り拓く道筋を確保する方策の一つという意味で賛成である。

 今回の中間報告では、高校中退者や不登校の生徒など高校生活にうまく適応できない者の学校外での学習成果を適切に評価するシステムをするための具体的な提言は意義があり、評価できる。

 日常的に学校外での教育活動に関わる者としては、青少年の成長に向けて学校教育(フォーマル教育)と家庭教育(インフォーマル教育の一部)、そして青少年団体での青少年の体験活動を中心に行われる教育活動を担うノンフォーマル教育が一体となって青少年への教育を包含することを最重点として考えたい。そのため、高等教育への道を選択する場合においても高等学校年代の者にとって、個々の置かれている状況においての選択の幅がもっと広い方が望ましいと考えており、いつでも自由に選択して学校選びが拡がる新しい試験は評価できる。

 人々が生涯のいつでも、自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような「生涯学習社会」の実現を目指すということを共通認識として、生涯学習が学校教育、家庭教育、社会教育など人間の生涯を通じた幅広い学習機会の場で行われることが、今後の生涯学習振興の基本的な考え方から鑑みても、生涯学習の大枠の中で展開される学校教育での今回の中間報告は、全体として評価できる。

 21世紀における国際的な教育の在り方として、ユネスコ、とくに21世紀教育国際委員会報告にもあるように、人生の諸段階、生活の諸領域におけるフォーマル、ノンフォーマル、インフォーマルな教育・学習のすべてを含む総合的、統一的な概念として現在認識されていることを踏まえ、フォーマル教育である学校教育の中にあって人生の諸段階、言いかえれば、生涯のいつでも学ぶことができるとの観点からみても、高等教育への道のりとして今回の中間報告は意義があると考える。
3新試験の内容について
(1)教科・科目について
 「現行の大検から水準を含めて、大きく変えないようにするべきである。」という意図については賛成できる。

 基本的には中間報告の案に賛成。なお、「英語」を必須受験科目としたことについては、新学習指導要領でも必履修となっており、今日の社会的な必要性からも妥当。ただし、高齢者などへの配慮が必要。

 実技科目を新試験から除外することによって、実技科目を軽視することにならないか。
(2)受験対象者について
 全日制の生徒で不登校で苦しんでいる子どもたちの精神的な負担が軽減されるものと思われる。

 各高校で積極的に活用すべき。

 定時制、通信制課程高校の立場でも、全日制高校の生徒へも受験資格が拡大されたことは評価できる。

 修学形態の多様化により、全日制在籍者に対して新試験の受験資格を認めることは妥当性がある。なお、単位認定を全日制に拡大することは中退者を減らす方策としては有効性があると考えられるが、指導上の混乱も想定される。きちんとした対応が必要。

 定時制・通信制課程は、従来大検の受検及び学校での単位認定が認められてきた。しかしそれは、全日制と異なる学習条件の下での限定的なものである。全日制高校の教職員としては、全日制の教育活動を阻害する恐れがあり、導入する理由はないと思われる。

 「高卒」でさえ職業生活への接続は困難な時代に「高卒程度」がどれほどの意味を持つのか疑問。「高校卒業資格認定」にすべき。「高卒認定」とすることで「安易な中退」を増加させるとの議論は、「先ず高校ありき」という立場に立っており、是認できない。高校中退の本質は「多様化」であると「中間報告」の中にもある通りで、とにかく高校に居させる、高校に戻すばかりにとらわれて生徒不在の展開は不毛と言わざるを得ない。生徒たちは「みんな一緒の組織」の中にいる方が「自由な代わりに孤独で自己責任を問われる環境」より楽であることを良く知っている。それでもなお、高校という組織に背を向けて「大検」と受検するというのは並々ならない決意が必要なことなのである。

 従来の大検が、その「名称」の持つイメージから「大検」は大学受験をするための「手段」との認識があり、高校中退者または高校未進学者がその試験を受けずに社会へ(閉じこもりの問題を含めて)出て行くケースがあったように思う。
 学力低下が叫ばれる中、この試験が「手段」から「目的」に変わる対象者(主婦層も含む)がいて、その対象者がこれからの長い人生の中で、基本的な学力を身につけ、豊かな生活を送る意味でも、その「名称」には特に大きなこだわりを持って臨んでほしい。
(3)年齢制限について
 満18歳に達した翌日まで新試験の合格者とはならないとしていることは高校教育の影響を考えると賛成できる。

4社会的認知度を高める方策
 「名称」の持つ役割は大きい。社会的認知度を高める為に方策も名称をダイレクトに「高等学校卒業認定試験」としたらどうか。

 従来の「大学入学資格検定」から「高等学校卒業程度認定試験」に改めることは、就職等における社会的通用性を高める上で大きな効果があると期待できる。

 名称も「高等学校卒業程度認定試験」になることにより、企業などでも高卒と同様に処遇されるよう期待している。企業や自治体は、独自に採用試験を行うのだから、新試験にももっと門戸を開いて欲しい。

 高校卒業資格そのものの付与まではできないとしても、「高等学校卒業程度認定試験」が高校卒業と同様と扱われ、活用されることを期待する。

 「大検」の受検者の6割が高校中退者であることを踏まえると、高校関係者もこれらの生徒の将来を開くための新試験の社会的適用性が高まるよう努力するべき。
その他
 名称については、様々な議論があるようだが、現行の名称が適当。

 新試験により高等学校中途退学者への支援体制は進むが一方で高等学校中途退学者を出さないようにするための検討も必要。

 大検制度の見直しは、公教育としての高校教育の存在意義そのものにつながり、中退問題の解決をはじめ、子どもたちの学力保障につとめるなど、あらためて後期中等教育を充実させることが必要。

 大学関係者を含めて関係者は、新試験による高等学校卒業程度認定試験(仮称)による入学者の大学及びそれ以後の追跡調査を実施し、新システムによる結果の評価を行うことが必要。

 国、地域、企業及び教育関係者は、この中間報告を受けて若い時のつまずきが青少年の将来を閉ざすことのないよう関係者の積極的な取り組みを行うよう期待する。



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