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1 大学入学資格検定を取り巻く現状
   
 
受検者層の変化〕

 大学入学資格検定(以下「大検」という。)は、昭和26年に、経済的理由などにより高等学校に進学できなかった勤労青少年を対象に大学入学資格を付与することを目的に発足して以来、大学進学などへの途を開く制度として機能してきている。
 近年、高等学校進学率の上昇に伴い勤労青少年の受検割合が逐年低下するとともに、高等学校中途退学者(以下「高校中退者」という。)が年間約9〜10万人という状況の中で大検の受検者の6割程度を高校中退者が占めるようになるなど、創設当時と比べ受検者の態様が大きく変化してきている。

大学入学資格の弾力化〕

 大学入学資格については、教育の国際化の観点や、社会人や様々な学習歴を有する者への入学機会の拡大等を図る観点から、平成15年9月に制度改正が行なわれた。
 この結果、大学の個別審査により、高等学校卒業と同等以上の学力があると認められる者に当該大学への入学資格を認めることが可能となった。
 この度の大学入学資格の弾力化は、大検が後期中等教育に代わる唯一の高等教育への経路ではなくなったことを意味し、大検のその他の機能にも着目した見直しを行う好機となった。

大検の社会における活用〕

 高等学校への進学率が97%に達する中で、実社会において高等学校を卒業していないことが就職及びその後の処遇等において不利益となる場合がある。毎年約9〜10万人に上る高校中退者がいる状況の下、これらの者の職業生活への接続についてより積極的な取り組みが必要である。
 このため、文部科学省においては、高校中退者の職業生活等への接続を円滑にする観点から、大検合格が各種職業資格の受験資格や採用後の処遇において高等学校卒業と同等に取り扱われるように各方面の理解を求めてきており、一定の効果があがっている。しかし、依然として一部には高等学校卒業と同等に取り扱われていない事例も残っている。

高等学校の生徒の多様化と高等学校教育の弾力化〕

 高等学校への進学率が高いまま維持されている中、高等学校進学者の志望動機、関心、学力が多様化しており、高校中退者の中退理由においては「学校不適応」、「進路変更」などが6割程度を占めるようになっている。このような状況の下、多様化する高校生に 高等学校教育が柔軟に対応することが必要になっており、中高一貫教育の導入、総合学科や単位制高等学校の拡充など、制度の弾力化が進められている。


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