地域に開かれた特色ある学校づくりを実現するためには、各学校において、それぞれの教育理念や教育方針に基づき、地域の状況等に応じた自主的・自律的な学校運営を行うことが必要である。このような観点から、平成10年の中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」では、
などの提言が行われている。(詳細下記)
この答申から5年が経過し、各教育委員会において学校の裁量拡大についての取組が進められており、文部科学省では、答申から5年後の状況(平成16年度)を把握するため、答申前の状況(平成10年度)と比較する形で、都道府県及び市町村教育委員会の取組状況を調査した。
都道府県・指定都市教育委員会:60
その他の市町村教育委員会:3,115
平成16年度及び平成10年度の取組状況
100%
都道府県・指定都市教育委員会の担当課が回答するアンケート方式
(学校管理規則の見直し)
(学校予算の在り方の見直し)
注)「学校管理規則」 : 学校の施設設備、組織編制、教育課程、教材の取扱いなど学校の管理運営の基本的事項について教育委員会が定める規則を、通常「学校管理規則」と称している。教育委員会が行う学校設置者としての管理業務のうち、教育委員会が処理する事務、校長限りで処理できる事務の範囲を定めるなど、双方の役割分担をあらかじめ明確化することにより、業務の円滑化を図る役割を果たしている。
参考:地方教育行政の組織及び運営に関する法律
第33条 教育委員会は、法令又は条例に違反しない限度において、その所管に属する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとする。(以下略)
各学校において、1.教育課程の編成、2.副教材の使用、3.宿泊を伴う学校行事の決定、4.休業日の変更、5.学期の設定を行う際に、許可制・承認制による関与を行わない(=学校に裁量権がある)教育委員会の数を調査したところ、次の通りである。
例えば、学校の行う教育課程の編成について、許可・承認による関与を行わない教育委員会が、市町村立学校で約7割など、答申前の平成10年度に比べて、いずれの項目においても、学校の自主的判断に委ねる教育委員会が大幅に増加している。
平成10年度 | 平成16年度 | |
---|---|---|
1.教育課程の編成 | ||
都道府県・指定都市立学校 | 33教委(55.0%) ⇒ 52教委(86.7%) | |
市町村立学校 | 1,479教委(47.5%) ⇒ 2,093教委(67.2%) | |
2.副教材の使用 | ||
都道府県・指定都市立学校 | 41教委(68.3%) ⇒ 58教委(96.7%) | |
市町村立学校 | 1,313教委(42.2%) ⇒ 2,022教委(64.9%) | |
3.宿泊を伴う学校行事の決定 | ||
都道府県・指定都市立学校 | 23教委(38.3%) ⇒ 43教委(71.7%) | |
市町村立学校 | 841教委(27.0%) ⇒ 1,590教委(51.0%) | |
4.休業日の変更 | ||
都道府県・指定都市立学校 | 18教委(30.0%) ⇒ 44教委(73.3%) | |
市町村立学校 | 663教委(21.3%) ⇒ 1,249教委(40.1%) | |
5.学期の設定 | ||
都道府県・指定都市立学校 | 6教委(10.0%) ⇒ 30教委(50.0%) | |
市町村立学校 | 503教委(16.1%) ⇒ 711教委(22.8%) |
予算についての学校の裁量権限の拡大の方法には、1.学校からの企画・提案に応じて競争的に経費措置をする予算枠を設ける場合、2.あらかじめ使途を特定せず校長の裁量により使途を決定できる経費を措置する場合、3.予算執行に関し、校長限りで決済できる金額の上限を引き上げる場合がある。
例えば、学校に対して校長が使途を決定できる経費を措置する教育委員会が倍増するなど、いずれのケースの取組も、着実に広がってきている。
平成10年度 | 平成16年度 | |
---|---|---|
1.学校提案による予算の措置 | ||
都道府県・指定都市 | 6団体 ⇒ 21団体 | |
市町村 | 150団体 ⇒ 287団体 | |
2.使途を特定しない経費の措置 | ||
都道府県・指定都市 | 7団体 ⇒ 14団体 | |
市町村 | 100団体 ⇒ 233団体 | |
3.校長の専決で執行できる金額の引上げ | ||
都道府県・指定都市 | 平成11年度以降、10団体で実施 | |
平成11年度以降、125団体で実施 |
生涯学習政策局政策課