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2.教育委員会制度の在り方

  (1) 教育行政の首長からの独立について
 教育委員会制度は、首長に教育について考えさせないようにするという欠点がある。問題のある首長は選挙で排除されるし、議会によるチェックもある中で、教育委員会制度に固執する必要はない。
 教育は、一自治体の問題としてではなく国家の問題として捉えるべき。この場合、その中立性、安定性、継続性を確保することは大事であり、教育行政の執行体制として、長から独立の機関が担うべき。
 首長が替わり、従来と違うことや新たな選択を迫ることになれば、学校現場に混乱が起きる。教育が首長から距離を置いていることは大事。
 首長から独立した執行機関の教育委員会が、チェックアンドバランス機能を果たす必要性は理解できるが、新しい教育や変化が求められる時代には、これらは弊害ともなる。
 教育委員会がなかったとしてもできないことはない。首長と教育長のコンビで教育が実践されるべきで、首長が教育行政について選挙民から評価されることを信頼すべき。
 首長は教育の要素のみで選ばれるわけではないため、教育に関心が無い首長が選ばれた場合、教育が不活性になり教育環境が悪化する恐れがある。また現行の教育委員会制度では、そのような首長であっても誰も責任をとらない、きちっと説明責任が果たされないといった状況になりかねない。

  (2) レイマンコントロールについて
 レイマンコントロールは、専門家だけの判断に偏することなく、住民のニーズを適切に施策に反映させる仕組みである。
 レイマンコントロールには緊張感を持たせるという役割がある。裁判員制度と同じで、専門家だけだと偏った方向へ行くという考え方が、レイマンコントロールに道を開いている。
 レイマンは重要なコンセプトである。これまで素人という意味合いが強かったが、むしろ予断や偏見を排して事柄に臨む人たちと考えるべき。
 レイマンは素人でなく、一般常識人と捉えるべき。一般常識人たる国民の代表が、教育について意見を言う機会を大事にしないと、特定の人間だけで教育が動いてしまうことになる。
 教育の問題は、誰もが真剣に考えることができるものであり、教育委員は大局的な判断をなすことができる。議論が伯仲することはあるが、それによって事務が遅滞することはない。
 レイマンコントロールの本来の趣旨は、選挙によるイデオロギーのブレを防ぐことにある。しかし審議会の設置などでそれは防げる。形式的なレイマンコントロールによって、イデオロギーのブレを防ぐというのは時代錯誤。

  (3) 合議制について
 地域住民から見て、教育委員が地域のあらゆる分野、各界各層からの代表者で構成されているほうが広く支持されやすい。
 合議制の組織は、独任制の組織に比べ問題がある。一つには決定の非効率、二つには責任が不明確となることである。

  (4) 教育委員の人選について
 市町村の教育長の大半が校長経験者であったり、委員の大半も名士であったりする。人材の充実・確保を図るべき。
 人格識見のすぐれた人材の発掘と登用に最大の努力をすれば、教育委員会の形骸化、委員の名誉職化という問題は解決できる。
 教育委員の形骸化といった問題は、委員を選任した長や、同意した議会にも責任がある。
 小さな町村では教育委員に人材を確保することが困難。
 教育委員が名誉職にならないよう、現場主義を徹底し、できるだけ学校現場や教職員、社会教育委員の会合に出席すべき。

  (5) 教育長・教育委員会事務局の在り方について
 教育委員会は一般人の意見を反映する点で民主的な制度とされているが、行政は複雑で高度になってきている。このため事務局が多くの事務を処理し、それを承認するという仕組みになってきており、事務局の複雑さや不透明さに対して、国民の不信の念が生まれている。
 教育委員会と事務局の関係だが、現実は、膨大な事務量を抱える事務局が、教育委員会を審議会的に扱っている。
 教育委員の多くは、教育政策に自分たちの決定事項が反映されず、無力感を感じている。委員と教育委員会事務局とのつながりがうまくいっていない。
 教育委員も教育委員会運営の責任を持ち、教育長が不適格と判断した場合は交代できるような制度にすべき。
 教育長は自ら議案を提出し、自ら審議に加わる中で、非常勤の委員がそれを否定するのは難しい。
 議会での発言はほぼ教育長が行うが、教育委員長の教育委員会における発言と対社会への発言・責任が不明確。教育委員長と教育長の責任分担を明確にすべき。
 事務局が用意する説明資料は、簡潔かつ適切でわかりやすいものにすべき。
 首長部局から独立した教育委員会事務局職員の人事、すなわち教育委員会による事務局職員の人事権の把握(せめて室長、課長クラスの人事考課)や教育委員会自体の政策評価が必要。
 一般的に、町・村の職員の、教育委員会事務局と首長部局との人事交流が普通に、頻繁に行われるためか、教育行政に秀でた職員がなかなか育たない。指導主事の配置も含め、専門職員の育成をどうするかが教育委員会の活性化に向けて重要。

  (6) 制度改革の選択肢
  1  自治体の状況に応じた多様な制度とすることについて
 規制緩和、制度選択の自由の余地を広げ、どのような制度をとるか選択の余地を残すべき。
 「画一」から「多様性」へ、「一律」から「選択」へと制度運用を試みるべき。
 現行の教育委員会制度がよいとする自治体もあれば、首長へ一元化、あるいは首長から独立した独任制の教育担当者を設けるといった仕組みも考えられる。これらを制度設計して実験すればよい。
 政令市、中核市、特例市、その他の市町村は、抱えている問題や行政資源もそれぞれ違い、これを一律に議論することは無理。現行の地教行法について、可能な部分を標準法化することや、規模の違いによって教育委員会の運営や構成に選択肢を与えるようにしても良いのではないか。
 地域が柔軟に教育施策に取り組めるよう、都市の規模、能力、意欲に応じて権限を移譲し、教育委員会の活性化を図ることが重要。
 一定のミニマムの基準は満たさなければならないが、現行の教育委員会制度以外の形態で合理的なものがあれば、それを選択する余地があっても良い。
 国や都道府県からの各種権限移譲を強く求める大都市から、教育事務所を含め県教育委員会の指導・助言がなければ対応できない町村まで千差万別あるのが実態。大都市の教育と小規模の教育を同レベルで考えるのは妥当でなく、幾つかのモデルなり制度の多様化を検討し、それぞれの実態にあった対応ができるようにすべき。

  2  教育委員会の設置を地方公共団体の判断に委ねることについて(任意設置)
 教育委員会の必置規制を廃止すべき。ただし教育委員会制度そのものを廃止するのではなく、設置しなくともよいとすべき。
 地方分権では、それぞれの地方が自ら望ましい組織を考えていくことが、自己決定、自己組織権として重要。地域が責任を負うのが地方分権の理念だとすると、現在の教育委員会制度は地方の裁量を縛っているのではないか。
 いくつかの選択肢から選択するという考え方は、分野や規模に応じたものでは有り得るが、教育委員会制度そのものの設置の是非といった根幹に関わる問題では導入すべきでない。
 教育委員会制度の在り方を住民の選択に委ねた場合、住民の意向をどのように把握するのか。また、この場合は首長が変わる度に制度が変わってしまい、教育の安定性を図ることができない。
 教育委員会を廃止した場合、首長による教育の直轄・議会の過度の介入や、権限を有する教育長や部長など少数の官僚による教育施策の決定と学校への権限移譲・事務一任といった事態になる恐れがある。
 現在の教育委員会制度は基本的に堅持すべき。教育委員会制度の廃止や首長部局への移管については、教育行政が活性化される保証はなく、むしろ継続性・安定性の面での危険性がある。

  3  その他の制度改革
 【教育審議会の設置】
 教育委員会と教育審議会の機能は全く別。教育委員会は政策決定をする執行機関であり、教育審議会はあくまで諮問機関である。教育委員会を廃止し、教育審議会を導入した場合、政策決定を独任制の教育長だけが担うことになり、首長・教育長の権限が強化され、大変危惧される。
 【教育委員の常勤職化】
 教育委員は選挙で選ばれるわけではなく、また非常勤であることから非力である。
 教育委員の常勤化を含め、委員の待遇を見直すべき。
 教育委員が非常勤、合議制というところに限界がある。委員は月一回の定例会しか集まらず、また自分の本当の職業を持っているため、結局事務局主導型になる。教育委員は、市民の良識、市民の見識を十分に発揮できるようにすれば十分だ。
 教育委員長の常勤化など教育委員の一部の常勤化など、自治体の首長や議会の選択に任せてもよいのではないか。
 【教育委員の公募・公選による選任】
 教育委員の準公選制など、自治体の首長や議会の選択に任せてもよいのではないか。
 本当に民意の反映というのであれば、公選制の仕組みが考えられてもよい。
 改革派の町長のもと、教育長の公募制を採用した町では、当該町長の辞任と共に公募教育長の進退について裁判で争われ、教育行政上の混乱、空白が生じている。
 【教育委員の人数の弾力化】
 教育委員の数を条例で定めるなど、自治体の規模に対応できるよう委員数を柔軟化させるべき。
 委員の人数を増やした場合、選任が大変な上、それぞれの責任の所在が不明確になる。
 【教育長と教育委員長の兼任】
 教育長と教育委員長の2本立ての制度が小規模の市町村にとって必要なのか。教育長が教育委員会を代表するという選択肢があってもよい。
 【教育長の資格職化】
 教育長のリーダーシップと専門性を高めることが必要。例えば、教育長の「資格制」を再検討する余地がある。


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