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資料2

大学入学資格検定の在り方について(中間報告骨子案)


1 大学入学資格検定を取り巻く現状

受検者層の変化〕
 近年、高等学校進学率の上昇に伴い勤労青少年の受検割合が逐年低下。また、高等学校中途退学者(以下「高校中退者」という。)が年間約9〜10万人という状況の中で大検の受検者の6割以上を高校中退者が占めるようになるなど、創設当時と比べ受検者の態様が大きく変化。

大学入学資格の弾力化〕
 この度の大学入学資格の弾力化は、大検が後期中等教育に代わる唯一の高等教育への経路ではなくなったことを意味し、大検のその他の機能にも着目した見直しを行う好機。

大検の社会における活用〕
 毎年約9〜10万人に上る高校中退者がいる状況の下、これらの者の職業生活への接続についてより積極的な取り組みが必要。

高等学校の生徒の多様化と高等学校教育の弾力化〕
 多様化する高校生に高等学校教育が弾力的に対応することが必要。


2 基本的な考え方

 我が国は、国民の誰もが生涯のいつでも、どこでも、自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような生涯学習社会の実現を目指しているところ。
 大検も、何らかの理由で、高等学校を卒業できなかった者の学習成果を評価するシステムとして機能してきているが、新試験については、その機能をより充実させる方向で設計することが必要。
 具体的には、高校中退者等の学校や職業への接続をより円滑にするという観点から、大学等への進学、就職いずれにも活用できるような高等学校卒業程度の学力を認定する試験とするため、以下の3つの点を基本的な考え方とするべき。

1 大学入学資格付与の機能を維持
 試験の合格者に、一律に大学入学資格を付与するというこれまでの大検の機能を維持すること。

2 就職等においても活用されるよう社会的通用性を高める必要性
 高等学校卒業程度の学力を認定する試験としての性格をより明確にし、その合格者が各種職業資格や採用試験の受験資格、採用後の処遇においてより広く高等学校卒業者と同様に扱われるようにすること。
 そのために適切な名称(「高等学校卒業程度認定試験」など)とすることを含め、具体的方策を検討すること。

3 高等学校中途退学者などがより受験しやすい試験
 様々な理由で高等学校という教育システムでは対応できない者へのセーフティネット(安全網)としても新試験がより十全に機能し、より多くの者が高等教育や職業への途を切り開く上で新試験を活用できるようにすること。


3 新試験の内容について

1. 受験科目・水準について
(1) 教科・科目について
 新試験では、就職や進学などいずれの進路を選択する場合においても、最低限必要となる学力を問うものとすることが必要。
 新試験が高等学校卒業程度の学力を認定するものとして社会に広く受け入れられるよう、多様化が進む高等学校教育において最低限全ての高校生に共通に必要な教育内容を包含することが必要。
 新試験においては、新高等学校学習指導要領において全ての生徒に履修させる教科の範囲内で、認定する学力水準は維持しつつも、実技教科を削減するなどして、高校中退者等が受験しやすい科目構成とすることが必要。
 なお、新学習指導要領において必履修とされた英語については、大学等における教育や、社会生活における重要性を踏まえ、全員が受験する科目とすることが必要。
 以上を勘案し、新試験は、必ず受験しなければならない国語、地理歴史、公民、数学、理科、英語の6教科で構成することが適当。

(2) 問題の内容、水準及び合格水準について
 現行の大検が、選抜試験ではなく資格試験であることや、高等学校卒業と同等以上の学力を認定する国の検定として社会的にも評価を得ていることを踏まえ、新試験の問題の水準及び合格水準を現行の大検から大きく変えないようにするべき。

(3) 受験科目の免除
 現行の大検と同様に受験科目の免除を引き続き行うことが適当。

2. 受験対象者について
 全日制高等学校においても、生徒の能力・適性・興味・関心等の多様化の実態を踏まえ、生徒に目標を与えて意欲を喚起したり、学校生活にうまく適応できない生徒の学習成果を評価したりする際の一方策として新試験を活用できるようにするべき。
 定時制、通信制に加えて全日制の高等学校の在学生に新試験の受験資格を与えるべき。
 あわせて、学校長の判断で新試験の合格科目に対応する科目について単位認定できる制度を全日制高等学校にも拡大するべき。

3. 年齢制限について
  高等学校教育及び大学などの高等教育への接続の問題として我が国の学校教育制度に大きな影響を与えることから、今後、学校教育制度全体の中で慎重に検討するべき課題。


4 社会的認知度を高めるための方策

 自治体や企業等へ積極的に働きかけることで新試験及びその合格者に対する社会的認知度を上げることが必要。
 高等学校在学者及び高校中退者について都道府県教育委員会から新試験の概要等について積極的に情報提供を行うなどして、制度に関する理解を浸透させることが必要。
 大学入学資格検定の合格を経て社会的に活躍している人々の事例を紹介するなど効果的なPRを行うことが必要。


5 業務の外部委託

 国で実施する業務と外部に委託できる業務を区分した上で可能な業務から外部機関に委託するべき。
 新試験の実施会場については、受験生の利便及び経済的負担の軽減に配慮し、現行の大検と同様に全国47会場で実施するべきであり、地方公共団体の協力が必要。


6 その他 [部会で議論された課題等]

 部会における議論では、新試験について、1あくまでも高等学校卒業と同等以上の学力認定にとどめるべきであるという意見と、2高等学校卒業資格の付与まで行うべきであるとの意見の両論。
 各々の主な意見は次のとおり。(略)
 両方の意見に傾聴すべき点が多いが、当部会では諮問の趣旨を踏まえ、
1  高等学校卒業と同等以上の学力認定を行うことを基本的な性格とする新試験として制度設計を行うこと
2  新試験の合格が、実質的に高等学校卒業資格取得と同様の効果が得られるよう、各種職業資格や採用試験の受験資格における通用性を高める方向で引き続き努力すること
が適当であると判断。
 なお、新試験合格者に高等学校卒業資格を付与するかどうかについては、
1  学校教育制度全体との関係
2  課程修了を校長が認定する制度をとっている現行の高等学校制度の下で、技術的にどのような制度設計が可能か
などの論点。
  この関連で、新試験により、生涯学習社会における学習の評価の仕組みは一段と充実するが、さらに一歩進んで、国民の誰もが生涯のいつでも、どこでも、自由に学習の機会を選択して、高等学校レベルの学力の取得を目的として、学ぶことができるよう、単位累積制度などの新システムの必要性も検討するべきとの意見も。
 この他にも、高等学校卒業者全員に学力認定を行う試験を課し、大学入学の基礎資格とすることにより、しっかりとした基礎的教養を身に付けさせるべきであるなどの意見も。

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