(2)現職研修の改善・充実

-初任者研修や10年経験者研修の今後の在り方等-

 教員養成・免許制度の改革の趣旨を踏まえ、初任者研修等の教職経験に応じた研修については、研修内容・方法や受講者の評価の在り方を見直すなど、必要な改善・工夫を図ることが必要である。
 10年経験者研修については、必要に応じて、研修内容・方法等の見直しを行うとともに、更新制導入後の諸状況を総合的に勘案しながら、将来的な在り方についても検討を行う必要がある。

 初任者研修や10年経験者研修等の教職経験に応じた研修については、都道府県教育委員会等においては、これまでの実施状況を検証するとともに、今回の教員養成・免許制度の改革の趣旨を踏まえて、研修内容・方法や受講者の評価の在り方を見直すなど、必要な改善・工夫を図ることが必要である。
 また、都道府県教育委員会等における研修が多様化する中で、国においては、研修の成果の把握や評価方法等についてモデルを作成するなど、全国的な水準を確保するための方策について検討することが必要である。併せて、国や都道府県教育委員会等においては、非常勤講師や民間企業の経験者など、多様な経歴を有する教員が増加している状況を踏まえ、個々の教員のキャリアに応じた柔軟な研修体系や研修内容について検討することが必要である。

 更新制を導入することとした場合、平成14年の本審議会の答申に基づき制度化された10年経験者研修との関係が課題となる。この点については、更新制は、すべての免許状保有者を対象として、その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に必要な刷新(リニューアル)を図る制度であるのに対して、10年経験者研修は、公立学校の現職教員を対象として、個々の能力、適性等を評価して、それに応じた個別的な研修を課すものである。このように両者は、制度の趣旨や位置付け、対象者等が基本的に異なるものであるが、他方、現実には、教員によっては、免許更新講習の内容と10年経験者研修の内容が類似したものになったり、これらの受講が同時期に重なることも予想される。このため、10年経験者研修については、当面は存続させることを基本とするものの、必要に応じて、研修内容・方法等の見直しを行うことが適当である。また、こうした見直しの状況や、更新制導入後の教員を取り巻く諸状況を総合的に勘案しながら、将来的な在り方についても検討を行う必要がある。

 平成11年の教養審第三次答申で指摘したように、今後は、任命権者等が実施する研修や校内研修に加えて、教員の自主性・主体性を重視した自己研修が一層重要である。各学校や都道府県教育委員会等においては、大学や教育研究団体等における教員の研修活動を奨励・支援するとともに、教員の自己研修への取組を適切に評価し、処遇に反映していくことが必要である。

 学校教育を取り巻く課題や教員をめぐる状況が大きく変化する中で、独立行政法人教員研修センターについては、全国的な教員の資質能力の向上を担うナショナルセンターとしての役割・機能を、これまで以上に発揮していくことが求められる。このため、各地域において中核的な役割を担う教員等を一堂に集めて行う研修や、都道府県教育委員会等に先行して実施する喫緊の重要課題に関する研修について、今後とも、一層の充実を図ることが必要である。
 また、同センターにおいては、今後、全国の優れた実践事例を収集するとともに、教育委員会や大学等との連携により、10年経験者研修等のモデルカリキュラムの開発や、研修の効果的な実施手法の開発を行い、都道府県教育委員会等に提供するなど、教育委員会等に対する指導、助言、援助の機能をより一層、充実・強化することが必要である。

 都道府県教育委員会等が所管する教育センターにおいては、研修の実施のみならず、学校現場や大学、独立行政法人教員研修センター等と密接に連携・協力して、地域に根ざした教材やカリキュラム等の開発研究を行うとともに、優れた指導実践を蓄積し、学校現場に提供していくなど、その機能の充実・強化を図ることが必要である。

 今後は、現職研修の面でも、大学と教育委員会や学校との一層の連携を図ることが重要である。このため、大学においては、研修プログラムの開発研究や現職教員を対象とした研修講座の開設、教育センター等との共同による研修事業の実施等について、検討することが必要である。

 今後、信頼される学校づくりを進めていくためには、校長や教頭等の管理職に人を得ることが極めて重要である。これからの校長等には、保護者や地域住民の意向を十分把握し、関係機関等と連携しながら組織的・機動的に学校運営を行うマネジメント能力や、学校の教育目標の実現に向けて、個々の教員の意欲を引き出す観点から、教員評価を行う評価者としての能力の向上等が求められている。このため、都道府県教育委員会等においては、管理職や管理職候補者を対象として、これらの能力向上のための研修を一層充実することが必要である。この際、大学における先導的・意欲的な取組が活用されることが期待される。

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-- 登録:平成21年以前 --