国民の学習活動を促進することは、一人一人が健康で心豊かな生活を送り、人や社会とのつながりを築く力や職業生活に必要な知識・技術を習得し、社会を支え発展させることができる人間力を向上させるとともに、ひいては我が国全体の知識基盤を強固なものとし、経済・社会の持続的発展に資するものである。
また、学習活動は、一面で健康増進による社会保障費の節減、安全・安心な地域づくりの促進など、社会のセーフティーネット作りに貢献するといった効果もある。このため、国や地方公共団体等を中心として、国民の学習活動を積極的に支援することが必要である。
自らの知識・技術・経験を生かしたいと考えている人々が地域や社会の課題解決や形成に主体的に参画し、活躍することが求められている。このため、地域や社会の課題や歴史・文化などに関する学習活動の支援を行う必要がある。
また、住民が、学校・社会教育施設・企業・NPO等の民間団体等との協働の中で、自らの意思に基づいて、社会の課題の解決に取り組んでいく学習活動を支援する必要がある。
人生のある段階の一度の選択でその後の人生の全てが決まってしまうことなく、国民一人一人が、生涯にわたって主体的に多様な選択を行いながら人生を設計していけるよう、学習する意欲や習慣を身につけ、いつでも「学び直し」が可能な環境整備を行うことが重要である。このような視点から、各成長段階に応じて必要とされる知識・技術を習得する学習ができるよう、政策の重点化を図ることが重要である。
国民一人一人が学んだことを職業や社会活動に生かせるよう、学習内容を充実していくことが必要である。このため、社会教育施設・大学・専修学校等の学習機会の提供者は、地域や社会の課題、産業界、関係団体等のニーズを適切に把握し、反映した上で、多様な学習機会を提供することが重要である。
インターネット等情報通信技術は、時間的・地理的制約などの生涯学習を振興する上での制約要因を解消し、生涯にわたる学習機会の選択肢を多様で豊かなものとするとともに、高齢者や障害者等に対する学習環境の充実や仕事や子育てとの両立のための方策としても有効である。このため、情報通信技術を活用した具体的方策の充実を図ることが重要である。
親も子育てを通じ親として成長するものであり、親も子どもも共に育ち合うというスタンスに立ち、親の能力もうまく引き出しながら、親子共に自立的に成長していくするための支援につなげることが必要である。
子育てについては、家庭だけではなく地域全体のものとしてより広くとらえるべきである。子どもは「親の子」、「家族の子」として育てるとともに、「地域の子」、「社会の子」として、地域全体で支え、育てていくことが大切である。
家庭教育などの在り方や行政の支援を考える際には、家庭教育には多様なスタイルがありうることを理解し合い(分かち合い)、常に基本に据えておく必要がある。
地域全体で「地域の子」、「社会の子」として子どもを見守り、子育て家庭を支援していこうとするという意識変革が大切である。また、個々の親の責任という観点だけから考えるのではなく、地域社会を見据えた視点が必要である。
地域の課題は地域の人々自身が解決するという住民自治の理念を具体的に実現していくためには、地域の人々が社会に関わる力を向上させていくことが大切である。
学校が地域の教育の一主体として、保護者や地域住民・団体と対等な協働関係を作っていくことが必要である。また、地域の大人たちが学校に協力することは、大人自身の持つ知識・技術・経験を生かすとともに、生きがいづくりにも資するものである。
生涯学習政策局政策課
-- 登録:平成21年以前 --