今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申) はじめに

○ 中央教育審議会は、平成16年10月、文部科学大臣から「今後の教員養成・免許制度の在り方について」の諮問を受けた。諮問においては、これからの社会の進展や将来の学校教育の姿を展望しつつ、今後の教員養成・免許制度の在り方について、幅広く検討することが重要であり、当面、1.教員養成における専門職大学院の在り方について、2.教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について、の2点について検討する必要があるとされた。

○ 本審議会では、この諮問を初等中等教育分科会に付託し、教員養成部会を中心に審議を行うこととした。教員養成部会においては、平成17年3月、部会の下に「専門職大学院ワーキンググループ」及び「教員免許制度ワーキンググループ」を設置し、17年6月には、計28の関係団体から、教員養成・免許制度の改革についての意見聴取を行った。
 一方、本審議会では、平成17年2月から、義務教育特別部会を設置して義務教育の在り方について集中的な審議を行い、10月26日に答申をとりまとめた。
 教員養成部会では、平成17年7月に専門職大学院ワーキンググループから、また、10月に教員免許制度ワーキンググループから、それぞれ審議経過の報告を受け、上記の答申で示した「教員に対する揺るぎない信頼を確立する」という改革の基本的方向も踏まえながら、12月8日に「中間報告」をとりまとめた。その後、幅広い国民各位や関係団体から寄せられた意見等も参考としつつ、「中間報告」でさらに検討が必要とされた課題を中心に、今後の教員養成・免許制度の在り方について、広範な審議を行い、このほど本答申をとりまとめたものである。

○ 本答申は、今後の我が国の教員養成・免許制度の改革の基本的方向を明示しつつ、それを実現するための方策として、上記1及び2はもとより、教職課程の質的水準の向上や採用、研修及び人事管理等の改善・充実等、教員の資質能力の向上を図るための総合的な方策についてとりまとめたものである。

○ 教職は、人間の心身の発達にかかわる専門的職業であり、その活動は、子どもたちの人格形成に大きな影響を与えるものである。近年、子どもたちの学ぶ意欲の低下や規範意識・自律心の低下、社会性の不足、いじめや不登校等の深刻な状況など、学校教育における課題は、一層複雑・多様化するとともに、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)や高機能自閉症等の子どもへの適切な支援といった新たな課題も生じてきている。このような状況の中で、学校教育に対する国民の期待に応え、信頼される学校づくりを進めていくためには、何よりも教員自身が自信と誇りを持って教育活動に当たることが重要である。その意味で、本答申は、国民の尊敬と信頼を得ようと努力する教員を励まし、支援するという基本的な視点に立って、まとめたものである。

○ 今後、本答申の内容が着実に実行され、国民の信頼に応える、質の高い教員が養成・確保されることを強く期待したい。

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