第4章 施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項

 第3章において掲げた施策を今後総合的かつ計画的に推進するため、スポーツの推進に関わる全ての関係者は、以下の諸点に留意して取り組んでいくこととする。
 なお、第1章においても言及したが、平成23年3月11日に発生した東日本大震災は戦後我が国が直面した最大規模の危機であり、今後5年間にわたる本計画の実施にあたっては、スポーツの意義・役割を踏まえ、スポーツが我が国の再生に貢献することを目指すこととする。

(1)国民の理解と参加の推進

 スポーツ基本法においては、スポーツは、これを通じて幸福で豊かな生活を営むことは人々の権利であり、国民が自主的、自律的に行うことができるようにすることを旨として、推進することとされている。このような観点から、国、独立行政法人、地方公共団体及びスポーツ団体は、スポーツを通じて、国民が健やかで明るく豊かな生活を享受することができるよう、スポーツに対する国民の関心と理解を深めるとともに、スポーツに対する国民の参加・支援を促進するよう努力する。そのためには、国において、スポーツの幅広い国民への普及のための基盤整備が求められるとともに、住民に身近な地方公共団体においても、条例や地方スポ-ツ推進計画の策定等を通じ、住民のスポーツに対する参加・支援を促していくことが期待される。

(2)関係者の連携・協働による計画的・一体的推進

 スポーツ基本法においては、スポーツの推進には、国、独立行政法人、地方公共団体、学校、スポーツ団体及び民間事業者その他の多様な主体による連携・協働が必要不可欠であるとされている。その際、スポーツ団体等の自主性は尊重されるべきであり、独立行政法人日本スポーツ振興センター、統括団体である公益財団法人日本オリンピック委員会(「JOC」)、公益財団法人日本体育協会(「日体協」)、公益財団法人日本障害者スポーツ協会(「JSAD」)及び公益財団法人日本レクリエーション協会(「レク協」)をはじめとするスポーツ団体等のスポーツの推進に向けた主体的な連携・協働が期待される。このようなスポーツ団体等による主体的な連携・協働を円滑に行うため、関係団体間の人事交流の機会や、関係者による連絡・協議の場を設けることも検討する必要がある。
 国は、地方公共団体及びスポーツ団体等との健全なパートナーシップの下、これらと連携・協働して我が国のスポーツの推進に取り組むことが肝要である。また、スポーツに関する施策の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、スポーツ基本法の規定に基づき、スポーツ推進会議を設け、文部科学省及び厚生労働省、経済産業省、国土交通省その他の関係行政機関相互の連絡調整を行うこととする。さらに、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、スポーツ庁及びスポーツに関する審議会の設置等行政組織の在り方について、政府の行政改革の基本方針との整合性に配慮して検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講じることとする。地方公共団体においても、施策の総合的、一体的かつ効果的な推進を図るため、首長部局や教育委員会等スポーツを所管する組織間の連携の強化が期待される。
 スポーツ界全体の連携・協働に資するよう、日本スポーツ振興センターは、保有する人的資源(研究・支援スタッフ等)、物的資源(施設、設備(研究機器、トレーニング機器))を十分に活用するとともに、助成機能(スポーツ振興基金助成、スポーツ振興くじ助成)、情報機能(本計画に係る各種施策の効果的な推進と充実に資する国内外の情報の収集・分析・提供機能、情報・海外拠点を含む。)を十分に発揮し、これらを相互に連携させ、一体的かつ効果的・効率的に業務を推進することができるよう方策を検討する。さらに、スポーツの推進のための中心的な役割を果たす独立行政法人として、日体協、JOC、JSAD、レク協及び公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構等の関係機関との連携・協働及び関係機関相互の連携・協働を推進する枠組みの構築を図るなど、日本スポーツ振興センターの体制を整備する。

(3)スポ-ツの推進のための財源の確保と効率的・効果的な活用

 スポーツ基本法では、政府は、スポーツに関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じると規定されている。
 国のスポーツに対する支出は、国内総生産(GDP)との対比で見ると、諸外国と比べて高いとは言えない水準にある。また、地方公共団体のスポーツ関係支出額・地方財政に占める割合は、いずれも平成7年度をピークに近年半減するという厳しい状況にある。スポーツの推進に必要な財源の確保のため、国として責任をもって取り組む施策の実施に必要な予算措置を充実させるとともに、寄附税制やスポーツ振興基金・スポーツ振興投票制度等を活用し、寄附文化の醸成を通じた民間資金の導入を進め、その効果的・効率的な活用を図ることが必要である。
 また、スポーツ振興投票制度については、さらに助成財源を確保するため、売り上げの一層の向上や業務運営の効率化により収益の拡大に努め、スポーツの推進のための貴重な財源として有効に活用する。加えて、国民に対して、スポーツ振興投票の実施により得られる収益等が、スポーツ推進の財源としてスポーツを支えていることを周知する。

(4)計画の進捗状況の検証と計画の見直し

 本計画を実施し、スポーツ立国を実現させるためには、計画の進捗状況について計画期間中に不断の検証を行い必要な施策を講じるとともに、検証の結果を次期計画の策定における改善に着実に反映させることが重要である。
 このため、計画が未達成の場合に設定目標の当否を含めその原因を客観的に検証するとともに、計画内容の見直しに当たっては、内外の社会情勢やスポーツ界の変化を踏まえ、着実かつ効果的な改善方策を検討することとする。
 また、計画の進捗状況や施策の効果をより適切に点検・評価することを可能とする評価方法や指標等の開発を図る。その際、国民の参加によるスポーツの推進の観点から、国民に分かりやすく説明できるように工夫することとする。

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スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課スポーツ政策企画室

(スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課スポーツ政策企画室)