専門職大学院設置基準及び学校教育法第百十条条第二項に規定する 基準を適用するに際して必要な細目を定める省令の改正について(諮問)

元文科高第466号
令和元年9月18日
中央教育審議会

次の事項について,理由を添えて諮問します。

                                 
  専門職大学院設置基準及び学校教育法第百十条条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令の改正について



令和元年9月18日



                                                                                                                                                         文部科学大臣   萩生田 光一  



(理由)

 法曹の養成のための中核的な教育機関として法科大学院における教育の充実を図り,高度の専門的な能力及び優れた資質を有する法曹となる人材の確保を推進するため,令和元年6月26日に法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律が公布されたところである。
 このため,文部科学省において,別紙のとおり,専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)及び学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令(平成16年文部科学省令第7号)の改正を行う必要があるので,学校教育法第94条及び112条の規定に基づき,標記の諮問を行うものである。



                                                                                                                                                                          (別紙)
第一 専門職大学院設置基準改正要綱(案)

1 法科大学院の入学者の選抜に関する改正
 入学者の選抜に当たって,入学者の適性を適確かつ客観的に評価することとされているところ,法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律

(平成14年法律第139号。以下「連携法」という。)第4条各号で規定される学識等を涵養する教育を受ける上で求められる適性及び能力を有するかを的確かつ客観的に評価し,判定するものと規定すること。

2 法科大学院の教育課程の編成方針に関する改正
 教育課程の編成に当たっては,法科大学院は,連携法第2条に規定する法曹養成の基本理念及び第4条に規定する大学の責務を踏まえ,将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を涵養するよう適切に配慮しなければならないことを規定すること。

3 法科大学院の授業科目に関する改正
 専門職大学院に関し必要な事項について定める件(平成15年文部科学省告示第53号。以下「専門職大学院告示」という。)に規定されている,次の4つの科目群を,設置基準に新たに規定すること。
一 法律基本科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目をいう。)
二 法律実務基礎科目(法曹としての技能及び責任その他の法律実務に関する基礎的な分野の科目をいう。)
三 基礎法学・隣接科目(基礎法学に関する分野又は法学と関連を有する分野の科目をいう。)
四 展開・先端科目(先端的な法領域に関する科目その他の実定法に関する多様な分野の科目であって,法律基本科目以外のものをいう。)
 併せて,法律基本科目については基礎科目を履修した後に応用科目を,他の科目群は法律基本科目の基礎科目及び応用科目の履修を踏まえて,履修するよう教育課程を編成すること,30単位以上の基礎科目を必修科目として開設すめの教育を行う科目について,8科目(倒産法,租税法,経済法,知的財産法,労働法,環境法,国際関係法(公法系)及び国際関係法(私法系)。以下「選択科目」という。)全ての開設を努力義務とすることを新たに規定すること。

4 法科大学院の授業を行う学生数に関する改正
 現在専門職大学院告示で規定されている,1 少人数学習を基本とすること,及び2 法律基本科目は50人を標準とすることについて,1 少人数学習とすること,及び2 法律基本科目は原則50人以下とすることを設置基準に新たに規定すること。

5 法科大学院の授業の方法に関する改正
 法科大学院においては,第8条第1項に規定するもののほか,連携法第4条第2号及び3号に規定する論述の能力その他の専門的学識の応用能力を涵養するために必要な方法により授業を行うよう適切に配慮しなければならないことを新たに規定すること。

6 法科大学院の学修の成果に係る評価と修了の認定に関する改正
 第10条第2項に規定する学修の成果に係る評価及び修了の認定に当たっては,連携法第5条第2号及び第3号に基づき公表された基準に基づき,連携法第4条各号に掲げる学識及び能力並びに素養が涵養されているかどうかについて,厳格かつ客観的に評価を行うものとする旨を新たに規定すること。

7 法科大学院における情報の公表に関する改正
 連携法第5条に規定される「文科省令で定める事項」として,次の事項を新たに規定すること。
一 志願者及び受験者の数
二 標準修業年限修了率及び中退率の状況
三 法律基本科目のうちの基礎科目若しくは応用科目又は各選択科目にそれぞれ該当する,法科大学院で開設される科目の名称
四 授業料,入学料その他の法科大学院が徴収する費用及び修学に係る経済的負担の軽減に関すること
五 法学未修者及び社会人の入学者の割合及び司法試験合格率
六 連携法曹基礎課程からの入学者の割合及び司法試験合格率
七 在学中受験資格による司法試験の受験者数とその合格率
  
8 法科大学院の履修科目の登録の上限に関する改正
 履修科目として登録することができる単位数の上限は,1年につき36単位を標準として定めること。ただし,連携法第6条に定める連携法曹基礎課程を修了し法科大学院に進学した場合など36単位を超えて登録しても学修の成果が見込まれる者として法科大学院が認めた場合においては,44単位までの登録を認めることを可能とすることを規定すること。

9 法科大学院入学前の既修得単位の認定及び既修者認定に関する改正
 連携法第6条に定める連携法曹基礎課程を修了し法科大学院に進学した場合など30単位を超えてみなしても入学後の学修の充実が見込まれる者として法科大学院が認めた場合においては,入学前既修得単位及び既修者認定の認定上限をそれぞれ30単位から46単位に引き上げ,入学前既修得単位及び既修者認定を併せて46単位を上限とすること。

10 法科大学院の修了要件に関する改正
 修了要件として,3年以上の在学と93単位以上の修得に加えて,次の要件を新たに規定すること。
一 科目群毎に,必要単位数を修得すること。
  イ 法律基本科目        48単位以上
  ロ 法律実務基礎科目    10単位以上
  ハ 基礎法学・隣接科目     4単位以上
  ニ 展開・先端科目    12単位以上

二 法律基本科目について,基礎科目は30単位以上(必修科目を含む。),
 応用科目は18単位以上を修得すること。

三 選択科目のうち,4単位以上を修得すること。

11 その他
 その他所要の改正を行うこと。

12 施行期日
1 1から7までに関する規定(②から④までに該当するものを除く。) 令和2年4月1日
2 3のうち必修科目に関する規定及び10に関する規定 令和3年4月1日
3 7の六,8及び9に関する規定 令和4年4月1日
4 7の七に関する規定 令和5年4月1日


第二 学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令改正要綱(案)

1 第4条第1項第1号に基づいて,認証評価機関が定める大学評価基準に関し,連携法等の改正を踏まえ専門職大学院設置基準において法科大学院につ いて特に規定する事項等を反映させること。
 
 一 設置基準において,論述の能力その他の専門的学識の応用能力を涵養するために適切に配慮しなければならないことを新たに規定することに伴い,当該能力等を涵養するための授業の方法等に関することを規定すること。
 
  二 設置基準において,修了要件として,科目群毎に,必要単位数を規定することに伴い,課程の修了要件に関することを規定すること。

 三 連携法に基づき,認定法曹養成連携協定において連携法科大学院が行うこととされている事項の実施状況に関することを規定すること。

2 その他
 その他所要の改正を行うこと。

3 施行期日
 令和4年4月1日
 

【参考】本諮問の根拠条文


○学校教育法(昭和22年法律第26号)(抄)

第3条 学校を設置しようとする者は,学校の種類に応じ,文部科学大臣の定める設備,編制その他に関する設置基準に従い,これを設
 置しなければならない。

第94条 大学について第3条に規定する設置基準を定める場合及び第四条第五項に規定する基準を定める場合には,文部科学大臣は,
 審議会等で政令で定めるものに諮問しなければならない。

第112条 文部科学大臣は,次に掲げる場合には,第94条の政令で定める審議会等に諮問しなければならない。
一 (略)
二 第110条第3項の細目を定めるとき。
三 (略)

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)