第4章 施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項(1)関係者の役割分担,連携協力計画の実施に当たり国の果たすべき役割 教育振興基本計画を実効あるものとするため,政府は,計画に掲げられた施策について,関係府省間の緊密な連携を図り,その成果を見極めながら,効率的・効果的に実施する必要がある。このため,教育行政と,児童福祉や職業能力開発などの関係分野の行政との連携・協力の推進に努めることが求められる。 地方公共団体に期待される役割 教育の振興に関し,地方公共団体には,国との適切な役割分担を踏まえて,当該地方公共団体の経済的・社会的条件等に応じた施策を策定し,実施することにより,住民の期待に応え,その責任を全うすることが求められる。 改正教育基本法には,地方公共団体においても,国の教育振興基本計画を参酌しながら,その実情に応じて,当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画の策定に努める旨の規定が盛り込まれた。これまでも,多くの地方公共団体において教育に関する計画が策定されるなど,教育の振興のための施策が進められているところであるが,今後,各地方公共団体においては,国の教育振興基本計画を参考にしつつ,自らの地方公共団体における教育の総合的な振興を図っていくために,具体的にどのような対応が必要であり,そのためにはどのような計画を策定すべきかについて,地域の実情に照らしながら,主体的に判断し,より一層積極的な取組を進めることが期待される。 今後,地方分権が更に進むことが見込まれる中で,これからの時代の地域を支え,興すのは,その地域の人々の総合的な力であり,地域づくりの基本となるのは「人づくり」である。それぞれの地域ごとに置かれている条件や抱える課題は様々であり,地方公共団体においては,教育を何よりも大切にするとの立場から,その地域ならではの充実した教育の実現に向けた取組が期待される。 (2)教育に対する財政措置の効率的かつ重点的な運用 改正教育基本法第16条第4項には,国及び地方公共団体は,教育が円滑かつ継続的に実施されるよう,必要な財政上の措置を講じなければならない旨規定されている。我が国の教育の振興を図っていくためには,国と地方公共団体が,それぞれの役割を踏まえ取り組む必要があり,国は,教育振興基本計画に掲げられた施策の推進について所要の財政上の措置を講じていく必要がある。 (3)的確な情報の収集・発信と国民の意見等の把握・反映教育振興基本計画の推進に当たっては,施策の立案や実施におけるプロセスの透明性を確保するとともに,幅広い国民の参画を得て施策を推進することが重要である。政府は,教育に関する施策に関し,迅速かつ的確な情報の収集・発信に努めるとともに,公聴の機会の充実等により,国民の意見等の把握・反映に努める必要がある。 (4)新たに検討が必要となる事項への対応政府は,今後5年間,第3章に掲げた施策等の着実な実施を中心に教育の振興に取り組む必要がある。一方で,急速に変化する社会の中で,教育が対応すべき課題も日々刻々と変化している。こうした状況に対応するためには,今後の計画期間においても,必要に応じ,適時適切に新しい課題に対する検討を進めるとともに,迅速な対応を行っていく必要がある。 (5)進捗(しんちょく)状況の点検及び計画の見直し 教育振興基本計画を効果的かつ着実に実施するためには,事業量指標ではなく,成果指標による定期的な点検とその結果のフィードバックが不可欠である。このため,関係府省には,毎年度,自らの施策の進捗状況について,点検を行うことが求められる。その場合,十分な成果を上げることのできない施策については廃止するなどの対応も必要である。 |
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