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諸外国の教員給与に関する実態調査(概要)

  最近の施策の動向 給料表 諸手当 能力・実績に基づく給与 勤務時間管理 長期休業期間中の勤務及び給与 人材確保の方策 教員給与の優遇措置
アメリカ 全米優秀教員認定証(非営利団体が認定する資格制度:1994年〜)の取得者や教員が不足しがちな分野の教員を対象に賞与を支給している州がある。また、連邦の「ティーチャー・インセンティブ・ファンド(2006年10月〜)」は各州・学区が数学・科学教員の給与の優遇に活用することも可能。 各学区が教員組合との交渉を経て策定。州が最低基準としての給料表を策定する場合もある。一般教員の給料表の場合、取得学位や大学院において取得した単位数と経験年数によって給料額が決まることが多い。 支給の有無、その内容ともに学区により異なる。住居費等の手当が支給されることはほとんどない。 各学区により異なる。連邦あるいは州のレベルでの規定はない。 勤務時間は通常授業時間を含めた学校内勤務時間として学区と教員組合との間の協約で定められている。教員は連邦法では割増賃金規制の適用対象外とされている。 教員は通常学期中の期間(9〜10ヶ月)の雇用契約を結ぶため、長期休業期間中には勤務を要せず、給与も支払われない。このため、長期休業期間中に学区の業務以外の職に就くことは可能だが、その割合は教育関係で約8パーセント、教育関係以外で約9パーセントという調査結果がある。 1980年代以降、教員の質の向上を提言した各種報告が出ており、各州は優秀な教員の確保と教員の質の向上を目指し、特に教員養成制度改革、教員免許制度改革を展開している。 「最近の施策の動向」で述べたとおり。また、学区との契約に基づき成人教育講座の講師など、通常業務以外で収入を得る教員は約4割(平均収入は約32万円(1ドル129円で換算))、夏期休暇中にサマースクール等の指導により収入を得る者は約2割(平均収入は約30万円)であった(1999年度)。
イギリス 1998年以降、質の高い教員の採用・確保のための教員給与水準の引き上げが行われている。引き上げを行う際には、実績に応じた給与制度としている。 給料表は第三者機関の勧告に基づき教育技能大臣が定める。教員には基本給料表と上級給料表があり、他に優秀教員、上級教員、管理職の給料表がある。 指導学習責任手当、特別教育ニーズ担当手当、代理手当、臨時校長手当、通常の勤務日や勤務時間外に行う業務がある場合の追加手当、教員の採用確保のためのインセンティブ手当がある。手当を廃止した場合には3年間は同額の支給を保証。 教員が基本給料表から上級給料表に昇給するためには審査(学校内)が必要。上級給料表では業績評価を経ないと昇給できない。優秀教員や上級教員に昇格する際にも審査(学校内外)が必要。上級教員給料表では業績評価を経ないと昇給できない。 教員の年間勤務日数は195日、校長等の具体的指示を受けて働く時間は1,265時間。1,265時間以外の専門的職務を果たすための時間は雇用者が具体的に定めてはならない。1,265時間以外の時間も含めて包括的に給料で評価している。 教員は校長の指示を受けない限り長期休業期間中に勤務することはない。ただし、1,265時間以外の専門的職務については長期休業期間中に行うことも可能。教員の給料は年額で定められており、それを12月に分割して支給することが一般的。 都市部と特定の教科(数学、ITなど)における教員の欠員が著しいため、質の高い教員の採用・確保が重要な政策課題。また、新任教員の定着も課題となっている。このため、給与水準の引き上げに加え、教員の仕事量の軽減方策などを実施。 優秀な大学卒業者に対して教員を魅力ある職業とするため、第三者機関が勧告を行う際には他の職種の平均初任給伸び率と同程度の伸び率を確保したり、ロンドン地域については給料水準を一層上げるなどの工夫を講じている。
韓国 1999年の「教育計画5カ年計画」において、教員給与を民間企業と同水準にまで上げることが提案された。その際、能力や功績に応じた人事・給与制度の構築が一つの方針とされた。 給料表は、他の国家公務員同様「公務員報酬規程」に定められている。幼稚園、初等学校、中学校、高等学校の教員は単一の給料表の適用を受ける。 多様な手当が支給される。大別すると、1賞与手当、2家計保全手当、3特殊業務手当、4特地勤務手当、5超過勤務手当 2001年から業績に基づく給与として成果賞与金(一時金)を導入。業績評価に基づき一定期間の教員の勤務に対し等級をつけて、等級に応じて支給。評価の際には成果給審査委員会の審議を経る。担任、授業時数、表彰実績、学習及び生活指導力などが基準。 国家公務員服務規程により一週間の勤務時間数が定められている。勤務時間外の勤務については月67時間以内で1時間を単位に給料額に応じた額が超過勤務手当として支払われる。 長期休業期間中も学期中と同様に勤務時間が割り振られており、学期中と同様に給料が支給される。また、条件を満たす場合には手当も支給される。 初等学校教員希望者の減少と中学校・高等学校の教員希望者の増加が課題。初等学校教員に優秀な人材を確保するための供給計画の策定、中学校・高等学校の教員志望者の雇用率を上げるための教員一人当たりの児童生徒数の引き下げ等を実施。 「最近の施策の動向」で述べたとおり。
シンガポール 2001年から、能力・業績に基づく給与として業績賞与を導入。 教育省が教員の給料表を定める。教員は学士の学位の有無で適用給料表が異なり、管理職等はまた別の給料表が適用される。 教科や生徒指導等の部局主任、教科主任や学年主任に対してその職務に応じた手当を支給。その他、各種賞与などがある。 2001年から導入された業績賞与は、校長推薦に基づき教育省が対象教員に支給。 教員は通常の公務員と同じ週44時間勤務。時間外勤務手当は支払われない。 年間12週間の長期休業期間中は休暇扱いとなり、勤務を要しない。ただし、急務などにより校長から校務・研修命令が出た場合は勤務しなければならない。 唯一学士レベルで教員養成を行う国立教育学院の学生は訓練生として教育省に雇用され、給料が支払われる。 他の国家公務員と同程度の給与水準
スウェーデン 1996年に給料表が廃止され、個々の教員の能力・実績に基づく給与制度に移行した。これに先立ち1991年から教育制度の地方分権が進められ、国がそれまで有していた教員給与を含む学校運営の権限が大幅に地方自治体へ委譲された。 給料表はない。ただし、教職員組合とスウェーデン自治体連合との協定によって最低賃金が決められている。 支給の有無、内容ともに学校により異なる。全国レベルでの諸手当に関する規定はない。予算不足から教職員を十分に雇用できない自治体へは国が手当に充てる予算を措置。その配分方法については事前に国に報告。 「最近の施策の動向」で述べたとおり。能力・実績に基づく給与の基となる評価は、各自治体が大まかな評価軸を定め、具体的な評価項目を学校が独自に設定するケースが多い。評価は校長が行う。 教員の勤務時間も従来は国が定めていたが、現在は地方自治体の権限になっている。多くの場合年間の法定勤務時間は1,767時間、そのうち学校内勤務時間は1,360時間である。 一般的に教員は6月中旬から8月中旬まで休暇を取得。 特に1998年以降、優秀な人材を確保するためにはまず教職を魅力的なものにしなければならないという認識の下、「魅力的な学校プロジェクト」などいくつかのプロジェクトが国レベルで行われている。 現時点において未調査
ドイツ 東西ドイツの統一により、教員給与制度についても双方のシステムを統合することに時間を要してきたが、現在でも違いを残している。また、2007年1月からは連邦給与法に基づいてきた州の官吏である教員の給与制度が各州政府の給与法の下に置かれることになる。 州の官吏である教員の俸給表は連邦給与法に規定(一般官吏と同じ俸給表の適用を受ける)。私法上の雇用契約に基づく雇員である教員は州政府と雇員の組合間で締結されている労働協約に基づき処遇される。 州の官吏である教員には家族手当、職務手当などが支給される。 州の官吏である教員については、1990年代後半の法改正により、州の権限によって実績賞与や実績手当を支給できることとなったが、財源が手当できないために実施していない州があるなど、州によって取り組みが異なる。 教員の勤務時間に関しては、各州規定により担当授業時間数のみが決められており、州、学校の種類、学校規模、年齢などによって異なる。ただし、職務の内容としては、授業以外の授業準備、授業後の添削、成績評価、会議、保護者との面談、研修等も含むものと認識されている。 長期休業期間中は基本的には勤務を要しない。ただし、学校外での授業準備の他、休業期間最終週に会議が行われる場合があるなど、勤務がないとは言えない。また給与は通常通り支給される。なお、およそ30日間の有給休暇は、原則的に長期休業期間中に取得すべきものとされている。 州によっては教員のイメージアップのキャンペーンを行ったところもある。 一般の官吏に適用される俸給表が教員にも適用されており、優遇措置はとられていない。
フィンランド 2006年6月に締結された労働協約により、能力・実績を給与に反映させることが可能となった。詳しい内容は現在検討中である。 教員の給料表は雇用者団体である地方自治体雇用者機関とフィンランド最大の教職員組合とが交渉し、その合意に基づき決められる。学級担当教員(初等教育段階)、教科担当教員、特別支援教員、校長の給料表がある。 手当についても雇用者団体と教職員組合との合意に基づき決められる。定期手当、へき地手当、1、2年生担当手当、複式学級担当手当などがある。 「最近の施策の動向」で述べたとおり。 年間の勤務日数は、校長・教頭が225日、教員が190日程度(授業日のみ)とされている。決められた授業時間数を越えた授業に対しては、1回につき給料の約3〜4パーセントが支給される。 校長・教頭等の管理職以外の教員は原則として長期休業期間中には勤務を要しない。給料は年間給料を12等分して毎月支払う仕組みになっていることから、長期休業期間中にも支給される。 数学と自然科学における教員不足や農村地における質の高い教員確保、新任教員の高い離職率が課題となっており、能力・実績に基づく給与制度を導入することにより人材確保につながることが期待されている。 他の公務員と同程度の給与水準
フランス 1989年に初等教育教員の資格要件を引き上げるとともに給与の改善を行った。 教員は国家官吏であり、国が俸給表を定める。 一般の公務員と共通のものとして居住地手当と家族扶養補助金があり、教員特有の手当として進路指導手当、補習授業手当、優先教育地区勤務手当、交代教員特別手当などがある。 昇給や昇格を決定する際に考慮する勤務評定を実施。勤務評定の結果が良好な場合ほど昇給・昇格に要する期間が短くなる。 勤務時間は授業時間で決められ、授業時間以外に学校にいる義務はない。ただし、授業時間以外に授業準備、宿題や論文の出題と採点等に多くの時間が必要とされている。 授業の行われる年間36週以外は原則として勤務を要しない。国家公務員の給与は年俸額が決まっており、その12分の1が毎月支給されるため、長期休業期間中にも支給される。 1989年に初等教育教員の資格要件を引き上げるとともに給与の改善を行った。以後は教員人気が高いこともあり、特別な人材確保方策はとられていない。 同等の学歴を有する他の国家官吏と比較した場合、給与水準は低い方である。
諸外国の教員給与(中間報告)から

(参考)

  最近の施策の動向 給料表 諸手当 能力・実績に基づく給与 勤務時間管理 長期休業期間中の勤務及び給与 人材確保の方策 教員給与の優遇措置
日本 2006年6月に公布・施行された「行革推進法」及び2006年7月に閣議決定された「骨太の方針2006」を踏まえ、教員給与の在り方について、平成18年度末までにメリハリを付けた給与体系を検討することとしている。 公立学校教員の給与は2004年3月までは、国立学校教員(国家公務員)の給与に準拠することが法律により定められていたが、2004年4月から国立学校準拠制が廃止されたことにより、給料表は各都道府県毎に条例で定め、各都道府県人事委員会の勧告を踏まえて改定が行われる。 生活給的な手当は一般の公務員と同様の手当が支給され、教員特有の手当として、「義務教育等教員特別手当」や「主任手当」、「部活動手当」などの「特殊勤務手当」、「へき地手当」などが支給される。 従来の勤務評定の在り方を見直して、現在、新しい教員評価の取り組みがほとんどの都道府県で実施されている。今後、評価結果等を処遇等に反映させていくことが各都道府県の課題となっている。 教員は一般の公務員と同様に条例で週40時間勤務と定められている。
教員は時間管理が馴染まないため時間外勤務手当は支給されない代わりに、勤務時間の内外を包括的に評価した「教職調整額」が本給として支給される。
長期休業期間中も学期中と同様に勤務時間が割り振られており、学期中と同様に給料が支給される。また、条件を満たす場合には手当も支給される。 高度経済成長期に優秀な人材が民間企業に流れ、教員の質の低下が問題化したため、1974年2月に優秀な人材を教職に確保することを目的とした「人材確保法」が制定され、3次にわたる給与改善が行われた。これにより公立学校教員採用試験の競争倍率が上昇した。 1974年2月の「人材確保法」の制定により、3次にわたる給与改善が行われた。これにより教員の給料は12パーセント改善し、本給の6パーセント相当の「義務教育等教員特別手当」や、「主任手当」、「部活動手当」等が創設された。
その後、教員給与の優位性は次第に低下し、現在は一般の公務員と比較して2.76パーセントとなっている。
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