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4.その他−健やかな体を育む教育という観点から,今後,学校教育活動全体で取り組むべき課題について−

 我が国の社会環境や生活様式の急激な変化の中で,現在,若年層の人工妊娠中絶や性感染症の増加,食生活の乱れや肥満傾向の増大などの問題が生じている。こうした問題については,保健でもこれまで積極的に取り組まれてきたが,学校教育活動全体で取り組む必要があり,今後,保健以外の教科においても一層の対応が求められる問題であると考えられる。
 このため,本専門部会では,体育・保健の議論とともに,学校教育活動全体を通じて取り組むべき(1)性教育と(2)食育という二つの問題について審議を行った。
 これらについては,現在,以下のような意見が出されているが,今後,引き続き検討する必要がある。

(1)性教育について

 学校における性教育は,これまで,体育,保健体育をはじめとする関係教科で指導されてきたが,現在,性教育について様々な考え方が論じられている状況がある。このような状況を踏まえ,本専門部会では,性教育の在り方,教科における性教育に関する指導内容の体系化等について審議を行い,次のような意見が出された。

1 性教育として求められる内容について

 我が国では,性に関しては様々な価値観の相違があり,性教育についても様々な考え方があるが,学校における性教育として求められる内容は何かということについては共通理解を図って議論すべきであるという意見が出された。
 学校における性教育については,子どもたちは社会的責任を十分にはとれない存在であり,また,性感染症等を防ぐという観点からも,子どもたちの性行為については適切ではないという基本的スタンスに立って,指導内容を検討していくべきであるということでおおむね意見の一致を見た。
 また,性教育を行う場合に,人間関係についての理解やコミュニケーション能力を前提とすべきであり,その理解の上に性教育が行われるべきものであって,安易に具体的な避妊方法の指導等に走るべきではないということについておおむね意見の一致を見た。
 その上で,心身の機能の発達に関する理解や性感染症等の予防の知識などの科学的知識を理解させること,理性により行動を制御する力を養うこと,自分や他者の価値を尊重し相手を思いやる心を醸成することなどが重要であるという意見が出された。
 加えて,性教育においては,集団で一律に指導(集団指導)する内容と,個々の児童生徒の抱える問題に応じ個別に指導(個別指導)する内容の区別を明確にして実施すべきであり,学習指導要領に関する検討に当たっては,特に集団指導の内容について議論すべきであることについて意見の一致を見た。

2 それぞれの教科等における性教育に関する指導内容について

 性教育は,体育,保健体育のみならず,道徳や特別活動など,学校教育活動全体を通じて取り組むことが重要であり,それぞれの教科等の役割分担をより明確にした上で,連携して取り組む必要があるのではないかという意見が出された。
 特に,発達段階などを考慮しないまま特別活動などで教えられて問題となっていることから,保健,道徳,特別活動等の役割分担とそれぞれの指導内容を明確化すべきという意見が出された。
 具体的には,身体の成長や性感染症等の科学的知識については保健で扱い,性に関する倫理的な面や人間関係の重要性などについては,道徳や特別活動できちんと教えるべきではないかという意見が出された。
 また,学校における性教育においては,児童生徒の発達段階を踏まえて指導を行うことが極めて重要であり,それぞれの教科等における性教育に関する指導内容について,児童生徒の発達段階を踏まえたものとなっているかといった観点から体系化を図る必要があるのではないかという意見が出された。

3 指導計画の作成等に当たっての留意点等について

 学校における体育・健康に関する指導については,現行の学習指導要領では,一般論として,総則で「家庭や地域社会の連携」の必要性が明示されているが,特に,学校において性教育を行うに当たっては,以下のような留意点をより明確にする必要があることについておおむね合意を得た。

【具体例】

  • 教職員の共通理解を図るとともに,児童生徒の発達段階(受容能力)を十分考慮することが重要であること
  • 家庭,地域との連携を推進し,保護者や地域の理解を十分に得ることが重要であること
  • 集団指導の内容と,個別指導の内容の区別を明確にすること 等

(2)食育について

 近年,食生活を取り巻く社会環境の変化などに伴い,偏った栄養摂取,朝食欠食などの食生活の乱れや,肥満傾向の増大などが見られ,子どもたちが将来にわたって健康に生活を送ることができるように,望ましい食習慣を身に付けることが極めて重要となっている。また,食品の安全性に対する信頼が揺らいでいる中で,食品の品質や安全性について,正しい知識・情報に基づいて自ら判断できる能力が必要となっている。
 さらに,食は,他の動物や植物の命を奪うことにより自らの命を維持し,心身を育むもの,勤労の成果によるものであり,自他の「命」の大切さや自ら節度ある生活を送ることの必要性を理解させる上で大きな意義を有するものと考えられる。
 加えて,食は,それぞれの国や地域の風土や伝統に根ざした優れた文化的な営みであり,子どもたちに食文化の継承や地域の産物に対する理解を深めさせる必要があると考えられる。
 このように食に関する指導の充実は,子どもたちの「生きる力」を育む上で重要な課題である。
 しかし,これまでの学校教育において,食に関する指導の必要性の認識,食に関する指導の実施状況は必ずしも十分ではなかったのではないかと考えられることから,学校における指導体制の整備を図るために,平成17年4月から栄養教諭制度が開始されたところである。
 このため,本専門部会では,今後,食に関する指導の充実を図る必要があるとの観点から,学習指導要領における食に関する指導の位置付け等について審議を行い,以下のような意見が出された。

1 学習指導要領における「食育」の推進についての明確化

 現在の学習指導要領においては,体育,保健体育,学級活動等において,「健康に関する指導」の一環として,子どもたちの生涯を通じた健康な生活を送るための基礎を培うとの観点から,食に関する指導を行うこととされている。また,各教科において,各教科の目標を達成する観点から,食に関する領域や内容が取り扱われることとされ,食に関する指導を行うこととされている。
 近年,食生活を取り巻く社会環境や国民の食生活の有り様が大きく変化する中で,食に関する指導は,子どもたちの健康の保持増進のみならず,様々な観点から必要とされているとともに,大きな効果をもたらすことが期待されている。
 このため,今後,以下のようなものを総合的に育むという観点から食に関する指導を行うことを「食育」としてとらえ,学習指導要領の総則において,食育を推進することを明確にする必要があるのではないかと考えられる。

  • 食事の重要性,食事の喜び,楽しさの理解
  • 心身の成長や健康の保持増進の上で望ましい栄養や食事の摂り方を理解し,自ら管理していく能力
  • 正しい知識・情報に基づいて,食物の品質及び安全性等について自ら判断できる能力
  • 食物を大事にし,食物の生産等にかかわる人々へ感謝する心
  • 食生活のマナーや食事を通じた人間関係形成能力
  • 各地域の産物,食文化や食にかかわる歴史等を理解し,尊重する心

2 それぞれの教科等における食に関する指導内容の明確化・体系化等

 今後,食育を推進する観点から,給食の時間,学級活動,各教科や「総合的な学習の時間」などの学校教育活動全体の中で広く食に関する指導に取り組むことが必要である。併せて,各教科等における食に関する領域や内容等について整理・充実を図る必要がある。また,各教科等で取り扱う食に関する領域や内容等の体系化を図る必要があるのではないかと考えられる。
 その際には,低学年より食に関する指導を積極的に行うために内容の充実を図る必要があるのではないかと考えられる。

3 指導計画の作成等に当たっての留意点等について

 現行の学習指導要領においては,体育・健康に関する指導について,一般論として,総則で「家庭や地域社会との連携」の必要性が明示されているが,今後,食育を推進するに当たっては,以下のような点についても,より明確にする必要があるのではないかと考えられる。

【具体例】

  • 学校での取組とともに,家庭,地域との連携を推進し,保護者や地域の理解を得,それらと連携した取組を行うことが重要であること
  • 給食の時間を食育の重要な機会の一つとして積極的に活用していくべきであること
  • 関係する教科等における食に関する指導において,学校給食をより積極的に教材として活用していくべきであること
  • 栄養教諭や学校栄養職員が,関係する教科等における食に関する指導において積極的にかかわっていくべきであること

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