もどる

文部科学大臣諮問理由説明  −抜粋−

平成13年4月11日

  本日は,御多忙のところ,御出席をいただきましてありがとうございます。
  今回,初代文部科学大臣として,新しく再編された中央教育審議会に最初の諮問をさせていただくことを大変光栄に思っております。

  我々が第一歩を踏み出した21世紀は,社会経済や科学技術が急速に発展する激動の時代になることが予想されています。このような中で,我が国が主体性を持って国際社会に貢献し,世界から尊敬される「心の豊かな美しい国家」の実現を目指していくためには,あらゆる社会システムの基盤である教育の改革を国の最重要課題として位置付け,取組を進めていくことが何よりも重要であります。
  とりわけ,我が国の教育は,第二次大戦後,機会均等の理念を達成し,国民の教育水準を高め,社会経済の発展の原動力となってきましたが,現在の教育の状況に目を向けると,国民や社会の教育に対する信頼を揺るがすような様々な課題を抱え,危機的な状況に直面しています。今こそ,「学校が良くなる,教育が変わる」ための改革を積極果敢に進め,教育の新生を図っていかなければなりません。
  教育新生に向けた抜本的な改革の推進に当たっては,緊急を要する事項に迅速に対応するとともに,様々な角度から検討を要する事項について速やかに検討を進め,具体的な方策を打ち出していく必要があります。
  このため,今回,新しい時代にふさわしい教育の実現のために不可欠な四つの事項について,中央教育審議会に検討をお願いすることとしました。
  なお,教育に対する国民の皆様の大きな期待に的確にこたえていくためには,スピーディーな改革の実行が不可欠と考えております。今回諮問させていただく事項につきましては,基本的に1年以内を目途に審議会としての御意見をお取りまとめいただきますようお願いいたします。
  以下,それぞれの項目について,若干敷衍(えん)して説明させていただきます。

1  青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について

(省略)

2  今後の教員免許制度の在り方について

(省略)

3  今後の高等教育改革の推進方策について

  21世紀を迎え,社会・経済・文化におけるグローバル化はますます拡大しており,国際的な競争環境の下で,我が国の大学等には,その知的活動によって社会をリードし社会の発展を支えていくという役割を十分に果たすことが期待されています。
  昨年11月の大学審議会答申「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」においては,このような状況を踏まえ,我が国の高等教育機関は,「高等教育制度及び教育研究水準の両面にわたって,国際的な通用性・共通性の向上と国際競争力の強化を目指した改革を進めることが求められる。」との指摘がなされ,様々な改革方策が提言されるとともに,更に検討を要する事項については,引き続き審議を行っていくこととされました。
  今後,人材養成に関する社会の多様な要請や人々の生涯にわたる学習需要の増大,また,今後更に減少することが予想される18歳人口の動向などを踏まえつつ,我が国の高等教育の国際競争力の更なる強化を図るため,制度改正をも含め,高等教育改革の推進方策について御検討いただきたく,次の事項について御審議をお願いしたいと考えております。
  まず第一は,短期大学・高等専門学校から大学院までの高等教育制度全体の在り方についてであります。
  高等教育制度については,大学審議会答申において,引き続き検討が必要とされている課題もあり,例えば,1学部と大学院の役割とそれを踏まえた学部の修業年限等の在り方,2正規の学生としてパートタイムで学びながら卒業を目指す新しいタイプの学生の受入れの在り方,3専門学校を含め高等教育機関全体における専門職業教育の在り方を視野に入れた短期大学及び高等専門学校等の位置付け,4助教授・助手の位置付けをはじめ教育研究の活性化に資する教員組織の在り方など,今後の高等教育制度の改善方策について幅広く御検討いただきたいと考えております。
  第二は,大学等の設置認可の望ましい在り方と今後の高等教育の全体規模についてであります。
  大学等の設置認可については,これまでも,審査期間の短縮化,申請時期の複数回化及び申請書類の簡素化などを図ってきているところであります。今後更に,大学等の教育研究水準の維持向上を図りつつ,社会の変化や学問の進展に的確に対応し,大学等の主体的・機動的対応をより一層可能とする観点から,設置認可の望ましい在り方について,大学評価の充実及びその推進方策の在り方をも視野に入れつつ,幅広く御検討いただきたいと考えております。
  また,高等教育の全体規模の在り方については,現在,平成9年の大学審議会答申で示された平成16年度までの考え方に基づき,特に必要と認められる場合を除き,抑制的に対応しているところでありますが,18歳人口の減少や国際化・情報化の一層の進展,地域の均衡に配慮した配置や専門分野構成などを考慮しながら,平成17年度以降における在り方について御検討いただきたいと考えております。
  第三は,職業資格との関連も視野に入れた新しい形態の大学院等の整備の在り方についてであります。
  高度専門職業人の養成を目的とする大学院に関しては,平成11年に専門大学院制度を創設し,その整備を進めているところであります。一方,現在,司法制度改革審議会においては,新しい法曹養成制度の中核を成すものとして「法科大学院」(仮称)の創設が検討されており,本年6月ごろに結論を得ることが予定されております。その審議の動向にも留意しながら,職業資格との関連も視野に入れた新しい形態の大学院や学位の在り方,さらには大学院と学部との役割分担などについて御検討いただきたいと考えております。
  以上,今後の御審議に当たり,当面御検討をお願いしたい事項について申し上げましたが,これらにとどまらず,我が国の高等教育が目指すべき方向とそれを実現するための具体的方策について,幅広い視野の下に忌憚(たん)のない御意見をちょうだいしたいと思います。
  なお,このように,高等教育改革の諸課題は広範多岐にわたることから,審議会におかれましては,審議の区切りがついた事項から逐次答申していただくようお願いいたします。

4  子どもの体力向上のための総合的な方策について

(省略)

  以上,御検討をお願いしたい点について申し上げました。会長,副会長をはじめ,委員の皆様におかれては,幅広い観点から十分な御審議をいただき,新しい時代にふさわしい教育の実現に向けた御提言をいただきますようお願い申し上げます。


ページの先頭へ