
中央教育審議会
2002/08/05
大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(答申概要)
大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について(答申概要)
第1章 基本的な考え方
- 「知の時代」とも言われるこの21世紀において,我が国がリーダーシップを発揮し発展していく上で大学の果たす役割は極めて大きく,国際的通用性等の観点からも,大学の質を社会に保証していく必要がある。特に,大学評価に関しては,米国のみならず欧州主要国において改革の重要テーマとなってきている。
- また,我が国の行政システム全体が,国による事前規制型から事後チェック型へと移行する方向にあり,平成13年12月の総合規制改革会議第1次答申等も踏まえ,事前規制である設置認可制度を見直し,国の関与は謙抑的としつつ,設置後も含めて官民のシステム全体で大学の質を保証していく必要がある。
- このため,現在,国による厳格な設置認可と各大学の自己努力に負っている大学の質の保証システムについて,設置認可を弾力化し大学が自らの判断で社会の変化等に対応した教育研究活動を展開できるようにするとともに,設置後の状況を第三者が客観的な立場から継続的に評価を行う体制を整備することにより,大学の自主性・自律性を踏まえた新たな質の保証システムを構築する。
第2章 設置認可の在り方の見直し
(設置認可の対象)
- 設置認可の対象は,大学が主体的・機動的・弾力的に組織改編できるよう,大学の質の確保のために事前審査が必要不可欠なものに限定する。
- 具体的には,国の設置認可は,大学,大学院の基本組織である学部,研究科等の新設・改廃について行うことを原則とするが,学部の設置は認可,学部の学科の設置は届出といった形式的な対応とするのではなく,改編前後で授与する学位の種類や対象とする学問分野に変更があるか否かを勘案して次のような弾力的な取扱いとする。
- (1)現在授与している学位の種類・分野を変更しない範囲内で組織改編する場合は,学部等大学の基本組織の設置であっても国の認可は不要とし,届出で足りることとする。
<イメージ例>
- 経済学部の中に経済学科と経営学科があり,経営学科を改組して経営学部を新設する場合は届出。
- 理学研究科と工学研究科を統合して理工学研究科を新設する場合は届出。
- (2)新たな種類・分野の学位を授与するための組織改編の場合は,学部の学科の新設であっても認可の対象とする。
<イメージ例>
- 医学部の中に既設の医学科とは別に看護学科を新設する場合は,看護学部の設置の場合と同様,認可の対象。
- 既設大学に新たに「法科大学院」を設置する場合は,研究科として設置するか専攻として設置するかを問わず,認可の対象。
- 今後の学部等の設置に当たっては,改編前後で授与する学位の対象とする分野の違いによって認可か届出かが分かれることとなるため,どのような場合が「新たな分野の学位を授与する場合」に該当するかについて,指標を定める必要があり,本審議会でさらに検討し結論を得ることとする。
- 私立大学の収容定員の増減に係る学則変更について,今後も認可対象とするのは大学全体で収容定員が純増する場合のみに限定する。
- 短期大学及び高等専門学校の学科の新設・改廃について,基本組織として国の認可を必要とすることを原則とするが,教育分野を変更しない範囲内の組織改編は届出とするなど4年制大学と同様の取扱いとする。
- 以上のような見直しにも関わらず,当該学部等が法令に適合していることは当然であり,届出事項となったものについて,届出内容が法令に適合していない場合は,国は変更その他必要な措置が講じられるようにする。
(設置審査の抑制方針の見直し)
- 大学,学部等の設置審査における抑制方針は,基本的には撤廃することとする。ただし,現在全く新増設等を認可していない医師,歯科医師,獣医師,教員及び船舶職員の分野については,今後,高等教育のグランドデザインの一環として検討する。
- 首都圏,近畿圏等における工業(場)等制限区域内等の大学,学部等の設置審査における抑制方針は,工業(場)等制限法も廃止されたことを踏まえ,撤廃することとする。
- なお,抑制方針を撤廃するに当たっては,大都市部における過当競争や地域間格差の拡大等から,教育条件の低下や学生の不安感の増大などを招くおそれもあることから,これらの点に配慮した方策について,高等教育のグランドデザインの一環として別途検討する。
(設置審査に係る基準の見直し)
- 大学設置審査の際に適用されている基準については,法令のほか様々な形式で規定されているが,それぞれの規定の必要性を吟味し整理を図るとともに,一覧性を高め明確化を図る観点から,告示以上の法令で規定する必要がある。
(校地に係る基準の見直し)
- 校地面積基準(校地が校舎の基準面積の3倍以上)及び校地の自己所有比率規制(原則として基準面積の2分の1以上が自己所有)は,一定の役割を果たしていることを踏まえ,一定の数量的な基準は必要と考えられ,新たな数量基準を設定することとする。
第3章 第三者評価制度の導入
- 大学の教育研究活動等の状況について,様々な第三者評価機関のうち国の認証を受けた機関(認証評価機関)が,自ら定める評価基準に基づき大学を定期的に評価し,その結果を公表し社会的評価を受けるとともに,評価結果を踏まえて大学が自ら改善することを促す制度を導入する。その際,大学の理念・特色は多様であることから,多元的に評価を受け得るようにすることが重要である。
- 仮に,評価機関の基準に達せず,適格認定されなかったような場合でも,当該大学は,それを理由に国から行政処分を課されることとなるものではない。
- 機関別第三者評価について,各大学は認証評価機関による評価を受けるものとする。ただし,評価の実施スケジュールについては,第三者評価機関の整備充実の状況や評価に対する大学側の準備状況を考慮して定める。
- 専門分野別第三者評価については,将来的には多様な分野で行われる必要があるが,当面,必要性が強い法科大学院等の専門職大学院から開始することとする。
- 大学評価・学位授与機構による評価を受けることを希望する私立大学についてはこれを可能にすることが適当である。
- 認証評価機関に対する国の支援方策について検討する必要がある。
- 大学の質に関する国際的保証システムを構築していく必要があり,これに関する国際的情報ネットワークの構築等の検討の必要性に関する留意が重要である。
第4章 法令違反状態の大学に対する是正措置
- 違法状態にある大学に対する是正は,原則として,
改善勧告,
変更命令,
特定組織のみを対象とした認可取消等の措置,
大学の閉鎖命令,といった段階を踏まえながら行うこととする。なお、私立大学に変更命令等を行う場合は,事前に大学設置・学校法人審議会の意見を聴くものとする。
第5章 おわりに
- 教育研究活動や財務関係の状況,評価結果など,大学の情報を積極的に提供することは,大学が社会的信頼・支持を得るため不可欠なものとして取り組むことが期待される。
- 大学の存続や学生に対する教育機会の提供が困難になった場合における学生の就学機会の確保方策等については,高等教育の在り方や全体規模などとともに,今後,高等教育のグランドデザインの一環として検討する。
(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)
ページの先頭へ