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塩谷文部科学大臣と三村中央教育審議会会長との対談

平成21年4月8日
生涯学習政策局政策課

【銭谷事務次官】
 今日は、塩谷文部科学大臣と第5期中央教育審議会会長に就任されました新日本製鐵株式会社の三村会長に対談をしていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 三村会長には、第4期において教育振興基本計画特別部会の部会長としてご尽力をいただきましたが、今、この教育振興基本計画に基づいた教育改革を進めており、今年度は2年目になります。特にこの4月からは、新しい学習指導要領が先行実施されています。このような中、塩谷大臣からは、「心を育む」ための5つの提案があり、具体的な学校教育の改革の方向性が示され、さらに、去る4月1日には、「新しい学習指導要領の先行実施に当たって」のコメントも出されたところです。
 そこで、まず塩谷大臣から、これらについてお話しいただきたいと思います。

対談1

 

「生きる基本」を徹底するために ~「心を育む」5つの提案~

【塩谷大臣】 
 平成18年12月に教育基本法を改正し、昨年、教育振興基本計画を策定、これに基づき学習指導要領を改訂し、先行実施の段階に入りました。私は、この時期、まずは新しい教育内容の円滑な実施が自らの使命と思っております。基本法の理念を反映し、学習指導要領には、しっかりとした授業を通じた道徳心の養成、日本の伝統文化に関する教育を充実させるための武道の必修化、理数系の学力が低下していることへの対応としての理数教育の内容と時間の増加、さらには、国際化に備えた小学校での外国語活動の導入などを盛り込みました。私としては、もう一度「生きる基本」をしっかりと指導することが重要だと思っています。もう一方で世界トップの学力を目指す必要もあるのですが、特に「生きる基本」をどのように国民に浸透させるかを考え、「心を育む」5つの提案をさせていただきました。

対談2

「心を育む」ための5つの提案 ~日本の良さを見直そう!~

1.「読み書きそろばん・外遊び」を推進する。

~「早寝早起き朝ごはん」と共に、生きる基礎を養う活動を積極的に行おう!~

2.校訓を見つめ直し、実践する。

~先生と子どもが一緒になって、各学校にある校訓を具体化する取組を継続的に実践し、地域でこれを応援しよう!~

3.先人の生き方や本物の文化・芸術から学ぶ。

~心に残り、人生の模範となる先人の話題を、道徳の教材に取り入れよう!
本物の文化・芸術に触れ、また、人生の先輩や様々な職業の話を聞こう!~

4.家庭で、生活の基本的ルールをつくる。

~家庭は全ての教育の出発点。携帯電話の使い方など、家庭で基本的なルールづくりを行おう!~

○私が提案する親と子の約束

1.挨拶しよう。
2.みんなと話そう。
3.手伝いをしよう。

1.いじめるな。
2.嘘をつくな。
3.人に迷惑をかけるな。

5.地域の力で、教育を支える。

~学校支援地域本部の活動などを通じて、地域ぐるみで子どもを育てる環境をつくろう!~

 【塩谷大臣】
 内容的にはごく当たり前のことですが、なかなか具体的に実行されていないため、各人の立場から各地域で取り組んでいただけるよう、具体的な提案としてお示しいたしました。まずはこうした基礎的なところからスタートして、学校、家庭、地域が連携して、社会全体で「生きる基本」を育んでいくことが必要だと思っています。

「生きる基本」をベースに据えるために

【三村会長】
 指導要領の一部が先行実施されることは、非常によいことだと評価しています。通常のペースですと、改訂された学習指導要領が実施されるのは随分後になってしまいますから。
 今、大臣が言われた「生きる基本」ということを一つのベースに据えるためには、教員をはじめ、一人一人が自分なりに考えて、自分で伝えたい「生きる基本」は何か、考えていただくことが重要だと思います。私は、先ほどの5つの提案の中で、生きる基本、生きる力に最も深く関連するのは、1の「読み書きそろばん・外遊び」かと思いますが、この内容は、大臣が具体的にご自分の頭で考えられて、ご自分の言葉で語っておられますね。これが重要だと思います。以前の「ゆとり教育」については、解釈が難しく、また伝言ゲームのように末端まで真意が通じていなかった部分があったと思われますので。
 それから校訓についてですが、どんな社会を生きる際も、目標をもって、社会のルールや守らなければいけない制約条件の中で頑張れ、ということを大臣は言われたと思うのです。昔の寺子屋は社会生活をある程度できるぐらいまで教育するというのがその趣旨でしたが、それはすなわち生きる力を身につけるための教育をしていた、と言えるでしょう。
 ちなみに、大臣は読み書きそろばんと言われたけれども、あのときは主に読みが中心で、そろばんは家庭でやっていたそうです。つまり、家庭がきちんと教育に参画しており、昔から義務教育はそのように行われていたわけです。

対談3

 【銭谷事務次官】
 今回の学習指導要領の先行実施において、いわゆるゆとり教育について文部科学省がどのように総括をし、そして、現場にどのようなメッセージを伝えるのかということが大きな議論となりました。その点について、大臣のメッセージをお願いします。

教えるべきことは、しっかり教える

【塩谷大臣】
 三村会長がおっしゃったように、いわゆる「ゆとり教育」は考え方としてよく聞けば理解できるが、個人個人の受けとめ方が全く違ったことから、結果的には本当のゆとりではなく、緩みになってしまった部分があったと思います。本来、「ゆとり教育」の本質も基礎の徹底なのです。基礎をしっかりやれば、子どもたちがゆとりを持って次のステップへ進めるというのが本当の「ゆとり教育」です。ところが、そこが間違って解釈され、授業時間数も学習内容も少なくなったこともあり、子どもたちは勉強しなくてもいい、先生方は教えなくてもいいという雰囲気になってしまいました。
 私は、日本人は欧米人に比べて非常に勤勉に勉強すると思ってきましたが、最近では、勉強時間だけ見ても大変短くなってきている、という調査結果があります。これは恐ろしいことで、もう一度教える内容を教育基本法に基づいてしっかり組み直して、教えるべきことをしっかりと教えていきたいと思っています。
【銭谷事務次官】
 前回の指導要領でも今回の指導要領でも、基礎・基本となる知識はしっかりと学んでもらわなければならない。その上に立って、自分で考えたり、判断したり、行動できる力、いわゆる生きる力を育もうという点では、私は全く共通性があると思っています。ただ、今大臣が言われたように、今までの指導要領の実践の反省もあったと思います。

わかりやすいメッセージを

【三村会長】
 教育振興基本計画の検討過程でも、何回もゆとり教育に関する議論が出ました。ゆとり教育は、間違ってはいなかったが、いろいろな解釈をされてしまったんです。役所というところは、「自分は間違っていた」とは言わないところですが(笑)、趣旨が現場の第一線まで伝わらなかったということは謙虚に認め、反省し、わかりやすいメッセージを出していくことが必要かと思います。
【銭谷事務次官】
 先ほど、三村会長から寺子屋に関する発言がありましたが、やはり教育は学校が行う部分と家庭が行う部分と両面あると思います。会長は、「教育は社会総がかりで」ともおっしゃっていますが、そこについてはいかがですか。

「社会総がかり」を実践するために

【三村会長】
 教育は学校だけがやるものではないということは、はっきりしています。特に家庭の役割がものすごく大きいですよね。例えば、うそを言ってはいけないとか、年上の人を大事にするなど、基本的なところはやはり家庭でしつけなければいけないと思います。
 それからもう一つ、社会全体で教育はやるものだと思っています。寺子屋時代も、建物はみんなで寄附してつくったんですね。ですから、社会で教育を支えるという習慣は、日本には昔からあったのです。
 ただ、社会全体で支えるというときに、結局みんなが支えてくれるんだ、と教育界が受け身の姿勢になると、その途端に物事はおかしくなると思うのです。
 東京商工会議所が実施しているアンケートの結果をみますと、6割以上の会社が、何らかの形で教育支援活動をしたことがあると答えています。例えばインターンシップの受け入れや講師としての協力をしたことがある、と。一方で、協力したことがない4割の会社ではその理由として、大きく二つのことを挙げています。一つには学校から何も要請がない、二つ目はどのように手助けしてよいかわからない、ということでした。これは非常に象徴的なことで、企業としては、「社会総がかり」などと言わなくても自分たちは教育に参加したほうがいいと思っているのです。ところが、どのように参加したらよいかわからないということです。
 したがって、黙っていたら社会が助けてくれるなどと思わずに、イニシアチブは教育界が取り、どういう講師が欲しいのか、いつ欲しいのか、生徒を教育するのにこのような工場を見学させてもらいたいとか、そういう要請内容をクリアにして、それを社会にぶつけていただくことが必要です。全国の商工会議所には教育関係の委員会などがあり、そこがコーディネーター機能を果たしています。学校側の要請に、企業側が全部応えることはなかなか難しいので、そういうコーディネーティング機能を、日本経団連も含めた団体で、喜んでやろうとしているわけです。
 「社会総がかり」というのはきれいな言葉ですが、具体的に要望を出し、それをマッチングさせるところまでいって初めて「社会総がかり」が実現できると思うのです。
 自治体では東京都、横須賀市、大阪市などが大変熱心で、地元の商工会議所とタイアップして活動をしていますし、また、東京商工会議所の荒川支部なども様々な活動を企画し実行しています。総じて、熱心な校長先生のおられるところは非常にうまく物事が進んでいるようです。そうしたところを一つのトップランナーとして、周りも是非それをまねしたらいい。そうすることで輪が広がっていくと思うのです。
 私自身の役割の一つは、民間部門での取組を推進することですので、そういうことには積極的に動こうと思っています。

対談4

教育界がリーダーシップを

【塩谷大臣】
 学校には依然として閉鎖的な雰囲気が残っています。今までは、家庭や地域が教育に対しそれなりの役割を担ってきて、学校での教育は先生に任せておけばよいと思われてきましたが、今は残念ながら、地域社会も家庭もしつけをやらなくなっています。ですから、教育界がリーダーシップをとって対処していくべきなのです。積極的に外へ出ていくことが大事ですし、外部の色々な意見を聞いたり、人も入れたりすることが大事です。しかし、学校は今までそのように外部と協働した経験に乏しく、教育委員会も具体的に外部との協力に慣れているかというと、まだ問題は多いと思います。地域と一緒にということを我々は簡単に言いますが、なかなかそこは難しいのが現状です。
 また、キャリア教育についても、企業に対し学校側からなかなか明確なアプローチがないのが現状です。従って、学校、教育委員会といった教育界がもっとオープンになってリーダーシップをとっていくべきだと思います。
【銭谷事務次官】
 文部科学省も、学校支援地域本部や放課後子ども教室、キャリア・スタート・ウィークなど、社会との接点ができるような事業を企画し、それぞれの地域や学校で実施していただいていますが、その成果をもっと検証していくことが必要かもしれません。

成功モデルをつくって普及

【三村会長】
 例えば、学校支援地域本部に地域コーディネーターを設けるような仕組みを文部科学省でつくられましたが、まだあまり普及していないのではないかと思います。これは全国一斉にというのはなかなか難しいので、まずは成功モデルをたくさんつくり、効果があることを見せながら普及させることが一番よいのではないでしょうか。ですから、最初、ただ制度をつくるだけでなく、成功モデルをどのようにつくりあげるのかというところにも意を用いたほうがいいでしょう。
【銭谷事務次官】
 次に、国際的な比較などから、子どもたちの学力低下ということが懸念されています。文部科学省では、平成19年度から、全国の小学校6年生、中学校3年生を対象に全国学力・学習状況調査を悉皆で始めました。

全国学力・学習状況調査の趣旨

【塩谷大臣】
 学力調査を実施する第一の目的は、子どもたちに対し、自分がどの程度学習内容を理解しているかを測る一つの物差しとしてもらうことです。その意味では、毎学年、毎年実施するというくらいの気持ちはありますが、費用や実施にかかる準備を考え、今は中学校3年生と小学校6年生を対象に実施しています。先述の通り、子どもたちが自身の学習理解の程度を測る物差しとすることを第一の目的としつつ、調査結果の国全体としての、あるいは各学校としての活用方策を考えることが重要です。公表についても色々議論がありますが、公表は二の次です。
 ですから、やはり毎年実施し、しっかりと学力状況を把握していくことが大事です。今年は3年目を迎えますが、少なくとも5年ぐらい継続して実施し、また見直すべき点については見直しをしていかなければならないと思っています。大いに本調査を活用し、次のステップにつなげていくことが大事です。そこで、勉強やテレビの時間や、朝ご飯を食べているかといった内容について、学力調査と同時に、生活習慣・学習環境等に関する調査もしました。基本的な生活習慣が乱れているときだけに、きちんと調査をし、その結果を活用していくことが大事だと思っています。

対談5

調査結果の積極的な活用を

【三村会長】
 私はまず第一に、学力調査が43年ぶりだということに驚きました。
自分が教育振興基本計画特別部会長を務めていた時、教育に関しては定量的なデータが整備されていないので、議論が定性的・主観的になってしまい、かみあわないことを痛感しました。千人いたら千人の教育論があるのです。ですから、43年ぶりに学力調査を再開したことで共通のデータが増えるのは大変いいことだと思います。
 それから、私はこのような調査はサンプル調査ではいけないと思います。サンプル調査は諸外国と比べてどうかなど全体の傾向を示すためのものです。一方、悉皆調査をすると、個人個人、あるいはその学校、あるいはその地域が全体の中でどういうポジションを占めているかがわかります。
 全国学力・学習調査で秋田県が一番になったら、多くの自治体・学校が秋田県に視察に訪れたそうですが、成功事例を皆が学んで、自らを改革することで全体の底上げも図られると思います。予算面は工夫して、よりコストの安い方法を考え出してもらいたいですが、是非、これは続けてほしいと思います。活用の手段はいくらでもあると思いますので、もっとこの調査を積極的に活用し、その効果を日本全体として享受する、という形に、是非とも、徐々にでもいいから変わってほしいと思います。
【銭谷事務次官】
 せっかくやっている全国悉皆の調査ですから、その結果を各個人も学校も市町村も県も国も、どう活用していくかが今後の課題だということですね。
【塩谷大臣】
 調査にかかる60億円程度の費用が高額すぎるというような論調が一部にありますが、私としては、国の将来の教育を考える基本的なデータをきちんととるためには、そのぐらいの費用はかかって当然だと思っています。
【三村会長】
 高校生になれば、目前に大学入試があるからそれに向けて勉強していれば大体自分が全体に占める位置はわかる。ただ、小、中学校段階ではどうしてもそのように自分の位置を知る術がないですからね。
【塩谷大臣】
 公表の仕方については、ただ単に公表のための公表とするのではなく、教育的にどうプラスになるのかをもう少し考えた議論をする必要はあると思います。
 現段階では、これまでの色々な経緯を踏まえて、調査を実施する前提としてそのまま公表はせず、県単位で公表する等ある程度のところまでということになっています。今後、調査をより活かすための方法については当然考えていかなければならないと思います。
【銭谷事務次官】
 最近、教育の世界で課題になっているのは、百年に一度の経済危機ということも影響しているかもしれませんが、親の所得や住んでいる地域などによる教育の格差、教育費の問題です。義務教育は、日本人であれば、どのような環境で育っても、とにかくきちんと教育の機会を保障するということでやってきました。さらに、今やもう幼児教育、高校教育もほとんどの子どもが受ける時代になっていますが、このような状況の中、教育費、あるいは教育格差についてどのようにお感じになっていますか。

教育の機会均等の担保を

【三村会長】
 残念ながら、日本は諸外国に比べて特に高等教育における家計支出の割合が公的支出の割合に比べて大きいです。これは何を意味するかというと、高等教育を受ける際に機会の均等が伴っていないということです。これは厳然たる事実だと思います。高等教育段階だけでなく、それ以前から色々なことが影響しているということも事実です。少なくとも機会の平等というものはどうにかして担保したいと思います。
 私事で恐縮ですが、私は、大学入試の最中に父親を亡くし、親からの仕送りはゼロでした。そこで、アルバイトと日本育英会と個人の育英会の二つの奨学金をいただき、かろうじて大学を卒業できたという経験を持っています。ですから、このことについてはどうしたらよいかと考えておりますが、意欲と能力のある人間に対して何らかの保障を設けることは積極的に検討していただきたいと思います。
 二番目に全体として教育費をどうするのかということですが、教育振興基本計画の議論の際、よくOECD諸国の教育費の対GDP比は大体5%で日本は3.5%である、したがって、OECD諸国並みのレベルにしなければいけないという話が随分ありました。ただ、私は、この議論は乱暴過ぎると思うのです。具体的に、今足りていないことでこういうことをやりたいから、こういうところは減らすので、これだけ増やしてほしいという議論が正当だと思うのです。
【塩谷大臣】
 まさにおっしゃるとおりで、日本の教育の将来像を描いた上で、そのためにはどれだけの費用が必要かということを考えていかないといけませんね。
 諸外国に比べて日本は家計負担が高いというのは事実なので、まずその点についてどのように国民に理解していただくか、加えて今後の日本の教育のあり方はいかにあるべきかについて、最近検討し始めています。我々としては、意欲のある者に対して修学機会を奪うようなことがあってはならないという、教育の機会均等の基本的な考え方を明確に持っています。そのために何をすべきかを考えていますが、一つには、奨学金のあり方があります。アメリカでは奨学金を重要視し相当手厚く措置されている一方、ヨーロッパでは基本的に授業料が安い。日本の場合、どういう形で教育の機会均等を保障していくかということを、もう一度基本に立ち戻って考えていく必要があると思います。
 また現在、色々な意味で高校の位置づけがあいまいな状態となっています。高校は本来どのような役割を負うべきなのか、しっかり議論する必要があります。例えば、商業高校や工業高校は、専門高校として卒業後きちんと就職できる人材を育てる役割を果たせているのか、企業から見ると少しもの足りないと感じられている部分もあるでしょう。このように、高校の現状を把握した上で、その役割を明確化していく必要があると思います。

対談6

教育について国民的な議論を

【三村会長】
 マクロ的に言いますと、社会保障国民会議で色々議論して、今のレベルの社会保障を継続するのにどのぐらいのお金がかかるのかというシミュレーションをし、中福祉中負担という概念を打ち出して、それが2011年、経済がきちんと軌道に乗ったら消費税を上げるというところにつながったわけです。ところが、あの中では福祉、介護、少子化はカバーされているものの、教育が入っていません。こういう中で、教育に関しても必要なものは必要だということを言わなければなりません。一方で、収入をどう確保するのかもあわせて考えないといけない訳で、ここで大臣にも頑張っていただかなければならないと思うのです。
 現場では、非常に苦労されている先生、献身的に、本当に生徒のことを考えて取り組んでくださっている先生がたくさんおられるわけです。ですから、文部科学省もやはり大きく教育の問題を取り上げて、それを国民に提示して、さてどうしたらよいのかと問いかけながら、ダイナミックに解決していく以外にないと思います。

対談7

教育に格差があってはならない

【塩谷大臣】
 おっしゃるとおりで、いかにして国民の皆さんに議論に入ってきてもらい、その理解を得ていくかが課題です。
 消費税の議論をする際は教育投資も視野に入れていないとおかしいと思います。社会保障の分野はずっと念頭において議論していますので、教育も同様にきちんと議論の遡上に乗せないといけません。教育費負担の軽減を社会保障の一部としてとらえ直すことも必要ではないでしょうか。やはり教育の機会均等の保障の重要性を主張し、教育に格差はあってはならないという議論を国をあげて行うべきです。
【銭谷事務次官】
 例えば、幼児教育の段階、授業料を取らない義務教育の段階、授業料を取る高校、親元を離れるケースが多い大学の場合など、それぞれのケースに応じてきちんと議論を積み上げていかなければなりません。そういう中で、国民の教育の機会をできるだけ格差なく保障していくというのがこれからの教育を考える上で一番大事な課題だと思います。
【三村会長】
 日本全体にとって人材力は、おそらく我々が最後によって立つべき資産、財産だと思います。
【銭谷事務次官】
 最後に、中教審会長としての抱負について、一言お願いします。
【三村会長】
 大きな枠組みをどうするかを考えることが、中教審の会長の役割だと思っています。個々の具体的な内容については、各分科会等にお任せしたほうがいいと思っています。したがって、自分は、教育費のあり方の検討といった大きな枠組みに対して、どのように協力できるのかを考えていきたいと思います。
 一方、文部科学省には、他の政府部局や国民といった教育界以外に対しても、正々堂々と、今置かれている立場を説得力ある形でアピールしていただきたいと思います。そのために、わかりやすい説得力のある議論を是非とも展開してほしいと思いますし、私もよき批判者として行動したいと思っています。
【銭谷事務次官】
 大臣、最後に一言お願いします。
【塩谷大臣】
 教育については、子どもたちが明るくたくましく元気に育つためには何が必要かということを考え、よく遊び、外へ出るということを、是非実現してもらいたいと思います。もっと社会勉強をしてもらいたいし、何事にも興味をもち、好奇心旺盛に色々なことに挑戦するような子どもたちを育てることが一番大事だと考えています。
【銭谷事務次官】
 最後の最後ですが、全国の先生に一言ずつお願いします。

先生方へのメッセージ

【塩谷大臣】
 ぜひ子どもたちのために頑張ってください。「読み書きそろばん、外遊び」を通じ、生きる基本の身に付いた元気なたくましい子どもたちを育ててください。
【三村会長】
 現場の第一線には児童・生徒のために、献身的に取り組んでおられる先生がたくさんおられ、本当に頭が下がります。そうした素晴らしい先生のことは、子どもたち、保護者の皆さんなどはよく見ています。周囲の目は決して節穴ではありません。良い先生はきちんと評価されていると思って、是非とも、頑張っていただきたい。私も一所懸命に頑張っておられる先生方を全力でサポートします。
【銭谷事務次官】
 本日はどうもありがとうございました。

対談8

お問い合わせ先

生涯学習政策局政策課

政策審議第一係
電話番号:03-5253-4111(内線3458)