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別紙 就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設について(審議のまとめ)

中央教育審議会幼児教育部会と社会保障審議会児童部会の合同の検討会議

平成16年12月24日

 本検討会議においては、本年5月から「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設(以下「総合施設」という。)」について検討を進め、8月には、その基本的な在り方について中間まとめを行ったところであるが、その後、一層の具体化が必要な点等について更に検討を進め、このたび、以下のとおり審議のまとめを行った。

1 就学前の教育・保育をめぐる現状と課題

  • 生涯にわたる人間形成の基礎となる就学前の教育・保育については、次のような課題が指摘されている。

子どもを取り巻く環境の変化と子どもの育ちの課題

  • 子どもをめぐる社会的環境の著しい変化の中で、近年の子どもの育ちについては、基本的な生活習慣や態度が身に付いていない、運動能力の低下、他者とのかかわりが苦手、自制心や規範意識が十分育っていないなどの課題が指摘されている。

集団活動や異年齢交流の機会の不足

  • 少子化が進行し、子どもの数やきょうだいの数も減少する中で、乳幼児の成長・発達にとって大切な、集団の中で同年齢児あるいは異年齢児と共に育つ体験を十分に得ることが困難な状況となっている。

多様な教育・保育ニーズへの対応

  • パートタイム労働等の就業形態をはじめとする生き方(ライフスタイル)の多様化などと相まって保育ニーズも多様化しており、こうした多様な保育ニーズへの対応が求められている。他方、幼稚園教育についても、地域によってその機会が偏在しているとともに、保護者の就労等の事情により幼稚園における教育を希望する者がこれを受けられない状況も見られる。

子育てを取り巻く環境の変化と家庭や地域の子育て力の低下

  • 核家族化の進行や地域関係の希薄化などによる家庭や地域の子育て力の低下等を背景に、子育てが孤立化し、子育てに不安や負担を感じる親が増加している。
     子育てを取り巻く環境が変容する一方で、特に幼稚園や保育所に通っていない在宅の3歳未満の子どもの子育て支援について、保護者が子育ての相談をする場や子どもと共に交流する場が不足している状況がある。

仕事等と子育ての両立支援

  • 共働き世帯が半数を超え、厳しい社会経済情勢の中で、仕事やその他の活動と子育ての両立を支援するため、待機児童の解消を図るための取組とともに、男性を含めたすべての人が、仕事時間と生活時間のバランスがとれた生活を送ることができるよう、働き方の見直しが求められている。

幼稚園・保育所をめぐる諸課題

  • 現在、各地域において幼稚園と保育所の連携が進みつつあるが、地域の課題や親の幼児教育・保育のニーズが多様化する中で、地域によっては既存の制度の枠組みによる連携だけでは、必ずしも柔軟に対応できない状況が指摘されている。
      また、子どもの発達は連続していることから、就学前の子どもを対象として、幼児教育・保育を行う施設と小学校との連携強化の必要性が指摘されている。

2 意義・理念

  • 総合施設の在り方については、子どもと親を取り巻く社会環境が変化する中で、子どもの視点に立ち、生涯学習の始まりとして人間形成の基礎を培う幼児教育の観点、そして社会全体で次代を担う子どもの育ちを支える次世代育成支援の観点から検討を進めることが必要である。
     すなわち、子どもの視点に立ち、「子どもの最善の利益」を第一に考え、次代を担う子どもが人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付け、また、子どもを育成する父母や祖父母その他の保護者や地域の子育て力が高まるよう、地域に開かれたものとして地域の様々な人々の参加も得つつ、各種の支援を行うことにより、子育てをする人が子育てに喜びを実感できるような社会を形成していくとの基本的認識に立って検討することが重要である。
  • また、総合施設については、地域によっては既存の制度の枠組みだけでは必ずしも多様化する幼児教育・保育のニーズに柔軟に対応できにくい状況があることから、規制改革や地方分権等の流れも踏まえ、地域が自主性を持って地域の実情や親の幼児教育・保育のニーズに適切かつ柔軟に対応することができるようにするための新たなサービス提供の枠組みを提示しようとするものである。
     したがって、既存施設からの転換や既存施設がその有する機能を互いに生かしつつ連携することなどを含め、可能な限り柔軟な制度とする方向で検討すべきであり、積極的に施設の新設を意図するものではない。
  • こうした総合施設という新たな選択肢が生まれることで、幼児教育の機会の拡大や地域の子育て家庭に対する支援の充実が図られるとともに、幼稚園と保育所をめぐる諸課題や待機児童の解消等につながることが期待されるが、これからの就学前の教育・保育に求められる取組を積極的に推進することにより、既存の幼稚園や保育所における教育・保育サービスの在り方にも好ましい影響を与えるものと考えられる。
  • 「総合施設(仮称)」の法制度上の名称については、その理念や機能を踏まえた適切なものとする必要がある。なお、個々の施設の呼称については、法制度上の名称とは別に、各施設の設置者において、より地域住民に親しみやすいものとすることも考えられる。

3 基本的機能

  • こうした意義・理念を踏まえ、総合施設については、親の就労の有無・形態等で区別することなく、就学前の子どもに適切な幼児教育・保育の機会を提供し、その時期にふさわしい成長を促す機能を備えることを基本とすることが適当である。
  • また、子育てを取り巻く環境の変化と家庭や地域の子育て力の低下を踏まえれば、総合施設において、上記の基本的機能に加え、地域の実情等に応じて、在宅を含め地域の子育て家庭に対し、子育てに関する必要な相談・助言・支援を行うとともに、これらの地域の親子がだれでも交流できる場を提供することが重要である。
     総合施設は、親の育児を単に肩代わりするのではなく、親と共に子育てに参加し、親の育児力の向上(親の育ち)を支援することを通じて、子どものより良い育ちを実現するものとすべきである。
  • このほか、地域のニーズに応じて様々な機能やサービスを付加することが考えられるが、このような機能等としては、例えば、
    • 早朝や夜間において保育を行う機能
    • 地域の様々な子育て支援サービスについて、情報提供を行う機能
    • 虐待予防などの観点から、関係機関と連携して適切な支援を行う機能

    などが考えられる。

4 対象者と利用形態

  • 総合施設の利用対象者については、3の基本的機能を踏まえ、就学前の子どもの育ちを一貫して支える観点から0歳から就学前の子どもとその保護者とすることを基本とする。この場合、例えば、0~2歳児については、親子登園や親子の交流の場の提供などを通じた親と子の利用に供しつつ、幼児教育・保育については、主として3~5歳児を対象とするなど、地域の実情やニーズに柔軟に対応できる多様な形態も可能とすることが適当である。
  • 利用対象者としては、
    ア 3~5歳児については、
    • 幼稚園と同様に4時間程度利用する子ども
    • 保育所と同様に8時間程度利用する子ども
    イ  0~2歳児については、
    • 親子登園、親子の交流の場への参加等の形態で利用する子ども
    • 保育所と同様に8時間程度利用する子ども
      が典型的には想定されるが、もとより週に数日程度の利用や一時的な利用などニーズに応じた多様な利用も考えられる。また、
    ウ  親については、
    • 親子登園、親子の交流の場への参加等の形態で利用する親
    • 子育て家庭への相談や助言等の支援を利用する親
    が想定される。
  • 利用時間については、適切な教育・保育の内容を提供する観点を踏まえつつ、個々の子どもや親のニーズに応じて利用できるようにすることが適当である。具体的には、保護者の就労の有無・形態等にかかわりなく、すべての子どもの育ちを支える共通の教育・保育時間に加え、必要に応じ、一定時間の保育などを利用できるようにすることが適当である。この場合、例えば、短時間の利用や、延長利用などニーズに応じた多様な利用形態を可能とすることが考えられる。
  • 利用形態については、利用者と施設が向き合う直接契約が望ましいと考えられるが、例えば、共働きやひとり親の家庭であって保育を必要とする場合など、配慮が必要な家庭が排除されないような何らかの仕組みを検討するとともに、障害児への対応についても配慮することが適当である。
    また、サービスの利用に際し必要な情報の提供など、子育て家庭がサービスを円滑に利用するための援助を行うことも重要である。

5 教育・保育の内容

  • 総合施設における教育・保育の内容については、現在の幼稚園教育要領及び保育所保育指針を踏まえ、子どもの発達段階に応じた共通の時間・内容を確保しつつ、子どもの視点に立ち、個々の子どもの状況に応じたきめ細かな対応に特に留意して、来年度に実施される試行事業も含め、引き続き検討していくことが適当である。
  • その際、一貫した子どもの育ちを重視しつつ、子どもの発達段階上、0~2歳児の場合は、大人への依存度が高く、集団による活動よりも個別の対応が中心となること、3~5歳児の場合は、子ども同士の集団による活動が中心となることに留意する必要がある。
    その上で、3~5歳児については、4時間程度の共通の教育・保育時間における活動内容を幼稚園における教育に相当するものと位置付けることが考えられる。
  • さらに、遊びや食事も含めた乳幼児の成長にふさわしい弾力的な環境づくりや小学校教育との適切な連携といった様々な観点から検討を行っていくことが必要である。

6 職員配置・施設設備

  • 職員配置や施設設備等については、経営の効率性のみを重視するのではなく、次代を担う子どもの健やかな育ちを中心においた上で、地域の実情に応じ、かつ地域の創意工夫が発揮できるよう、柔軟な対応が可能なものとすることが必要であり、来年度に実施される試行事業も含め、その適切な在り方について引き続き検討していくことが適当である。
  • 3~5歳児については、4時間程度利用する子どもを典型的な利用者とする幼稚園と異なり、こうした子どもと、8時間程度利用するために身体的・精神的な負担が比較的重い子どもの双方を典型的な利用者とすることも踏まえた検討を行うことが適当である。
     また、0~2歳児については、3~5歳児とは異なり、保育所と同様に8時間程度利用する子どもが典型的な利用者と考えられることを踏まえた検討を行うことが適当である。
  • また、このように総合施設は、幼稚園と同様に4時間程度利用する子どものみならず、保育所と同様に8時間程度利用する子どもの利用も想定される。このため、施設において食事を提供する場合について、各施設が受け入れている子どもの年齢構成や地域の実情に応じた適切な対応が可能となるような弾力的な仕組みを検討することが必要である。

7 職員資格等

  • 総合施設の職員については、一定の教育・保育の質を確保する観点から、保育士資格及び幼稚園教諭免許を併有することが望ましいが、常に両資格の併有を義務付けるのではなく、基本的にはいずれかの資格を有することで従事可能とすることが適当である。その上で、3~5歳児の4時間の共通時間については幼稚園教諭免許を有する者を、0~2歳児の保育については保育士資格を有する者を中心にすべきとの意見も踏まえつつ、総合施設の理念・意義に照らして、その在り方を検討していくことが適当である。
  • 職員の資質及び専門性を向上させるため研修は重要であり、総合施設内外における研修の機会やその内容の確保・改善を図っていくことが重要である。

8 設置主体・管理運営

  • 総合施設の設置主体や管理運営方式については、安定性・継続性、質の確保の仕組みを整えた上で、可能な限り弾力的なものとなるよう配慮することが適当である。
  • また、教育・保育活動、運営状況等について、子どもの視点を踏まえながら、定期的な自己点検・評価や第三者評価などを行うとともに、その結果の公表など必要な情報提供を行うことなどが重要である。
  • さらに、総合施設と保護者や地域住民が相互に協力し合い、地域に開かれた総合施設としていくことが重要であり、保護者や地域住民の声が総合施設の運営にも反映されるようにするとともに、保護者や地域住民に対してもボランティア等として総合施設の運営への積極的な参画を働き掛けていくことが望まれる。

9 利用料・保育料

  • 幼稚園及び保育所については、幼稚園の利用料が設置者ごと、すなわち公立の場合には市町村ごと、私立の場合には幼稚園ごとの設定となっているのに対し、保育所の保育料は、公立・私立を問わず市町村ごとに設定することとなっているほか、幼稚園と保育所、公立幼稚園と私立幼稚園とで利用者負担の水準にも相当の相違があるなど、利用者負担の在り方が異なっている。
  • 総合施設の利用者負担については、こうした両者の相違を踏まえつつ、施設サービスを利用している家庭と利用していない家庭との負担の公平、利用したサービスに応じた負担、子育て家庭の負担能力に応じた負担、地域における類似施設との負担の均衡等に配慮したものとすることが適当である。また、総合施設の利用料の設定については、その利用形態(直接契約)を踏まえ、各総合施設で行うことが適当である。

10 財政措置等

  • 総合施設の財源については、利用者からの利用料だけでなく、子育てを支えていく次世代育成支援の理念に基づき、社会全体が負担する仕組みとしていくことが必要である。
  • 現在の幼稚園及び保育所の費用負担の仕組みは、利用者負担のほか、公立の施設である場合にはいずれも地方自治体の一般財源で賄うことを基本としているのに対し、私立の幼稚園の場合には、その経常的経費の一部について国庫による補助が、私立の保育所の場合には、その運営に要する費用の一部について国庫による費用負担が行われるなど費用負担の仕組みが異なっているが、今後、総合施設の意義・理念に照らして、新たな枠組みにふさわしい費用負担の仕組みを検討していくことが必要である。

11 地方公共団体における設置等の認可・監督等の体制

  • 幼稚園及び保育所については、国においても所管する省庁が異なるが、地方公共団体においても、幼稚園と保育所で、また幼稚園の中でも公立と私立で、設置等の認可や監督、管理運営等に関して、担当する部署が異なっている。
  • 総合施設の設置等の認可や監督、管理運営等の体制については、事務の簡素化・効率化が図られるなど、行政の縦割りによる弊害が是正され、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるようにすべきである。
  • このため、就学前の教育・保育を行う総合施設については、教育委員会と福祉担当部署との適切な連携に配慮しつつ、地方公共団体の実情に応じて、設置等の認可や監督・管理運営等を行う部署を決定することができるようにすることが適当である。なお、子どもの育ちを一貫して、また、関係機関が連携して支える視点から、小学校を所管する教育委員会や保健・福祉関係機関を所管する部署と幼稚園、保育所、総合施設との連携が図られるようにすることが必要である。

12 幼稚園及び保育所との関係等

  • 総合施設は、多様化する幼児教育・保育のニーズに対し、例えば少子化が急速に進行している過疎地域など、地域によっては幼稚園や保育所といった既存の制度の枠組みだけでは必ずしも柔軟な対応が困難な場合があることを踏まえ、こうしたニーズに適切かつ柔軟に対応することが可能な新たなサービス提供の枠組みを示そうとするものである。したがって、地域の幼児教育・保育のニーズに対して、既存の幼稚園や保育所の機能の拡充、組合せ・連携の強化等により対応するのか、あるいはこうした対応を基盤としつつ、更に新たな枠組みである総合施設を組み合わせて対応していくかは、地域の実情に応じて判断されるべきものである。
  • また、地域においては、幼稚園や保育所のほか、多様な主体による子育て支援事業が提供されていることから、総合施設においては、これらの事業と適切に連携することが重要である。
  • このように、総合施設の制度化は、既存の幼稚園や保育所及び各種の子育て支援事業の意義・役割を大切にしながら、これらの既存の施設・事業と新たな枠組みである総合施設がそれぞれ相まって、乳幼児期の子どもの健やかな成長を支える役割を担うことを意図するものであるが、子どもの健やかな育成をより一層推進する観点から、既存施設・事業の在り方についても、その改善に向けて必要に応じ適切な検討が加えられるべきである。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成21年以前 --