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3 子どもの体力の低下の原因

ポイント

  • 保護者をはじめとした国民の意識の中で、子どもの外遊びやスポーツの重要性を軽視するなどにより、子どもに積極的に体を動かすことをさせなくなった。
  • 子どもを取り巻く環境については、
    • 生活が便利になるなど子どもの生活全体が、日常的に体を動かすことが減少する方向に変化した。
    • スポーツや外遊びに不可欠な要素である時間、空間、仲間が減少した。
    • 発達段階に応じた指導ができる指導者が少ない。
    • 学校の教員については、教員の経験不足や専任教員が少ないなどにより、楽しく運動できるような指導の工夫が不十分との指摘がある。
  • 偏った食事や睡眠不足など子どもの生活習慣の乱れが見られる。

(1)国民の意識

 子どもの体力の低下は、運動する量が減少したことによるものと考えられるが、その最大の原因は人々の意識にあると考えられる。
 保護者をはじめとした国民の意識の中で、人を知識の量で評価しがちであったことにより、身体や精神を鍛え、思いやりの心や規範意識を育てるという、子どもの外遊びやスポーツの重要性を子どもの学力の状況に比べ軽視する傾向が進んだ。また、子どもの体力の低下とその及ぼす影響への認識が十分でない。このようなことから、子どもに積極的に外遊びやスポーツをさせなくなり、体を動かすことが減少したと思われる。

(2)子どもを取り巻く環境の問題

1.子どもの生活全体の変化

 科学技術の進展、経済の発展で、生活が便利になったり、生活様式が変化するなど、子どもの生活全体が、歩いたり、外で遊んだりするなどの日常的な身体運動が減少する方向に変化した。
 具体的には、自動車の普及など交通手段の発達により、歩く機会が減少するとともに、生活道路での遊びなどが困難になり、手軽に体を動かす機会が減少している。また、電化製品の発達・普及などによって、家事の手伝いや体を動かす機会が減少するとともに、保護者の意識も、危険性が伴う遊びを認めなかったり、汚れることを嫌うなどの傾向が見られる。
 さらに、急速な情報化の進展の中で、情報機器と接する時間が増加し、体を動かす機会の減少を招いている。都市化により住宅環境が変化しており、高層住宅に住む子どもは外に行かずに室内を好むなど、行動範囲が狭いという指摘もある。他方、変化した子どもの生活に合った遊びやスポーツが少ないということも挙げられる。

2.スポーツや外遊びに不可欠な要素(時間、空間、仲間)の減少

 子どもが運動不足になった原因として、スポーツや外遊びに不可欠な要素である時間、空間、仲間の3つの減少が考えられる。

1)スポーツや外遊びの時間の減少

 NHK放送文化研究所が行っている「国民生活時間調査」によると、中学生と高校生のスポーツをする時間を見ると、昭和50年から平成12年までの25年間で、中学生は減少、高校生はほぼ横ばいとなっている。また、内閣府で行っている「青少年の生活と意識に関する基本調査」により、小中学生の休日の過ごし方を見ると、平成7年から5年間、テレビを見たり、テレビゲームをするなど、室内で過ごすことが増加しており、外遊びは減少している。このように、外遊びなど体を動かす時間が減少し、学校外の学習活動や室内遊びの時間に取って代わられていると考えられる。

2)スポーツや外遊びの空間の減少

 都市化や自動車の普及は、子どもたちの手軽なスポーツや外遊びの場であった空き地や生活道路を奪った。都市公園や学校開放、公共のスポーツ施設は増加しているものの、子どもたちが自由に遊べないなどの問題がある。ユニホームを着て組織的にスポーツをするための場所は整備されてきているが、普段着で好きなときに来て、少人数で遊んだり、スポーツすることができる身近な場所は減少している。

3)スポーツや外遊びの仲間の減少

 少子化が進み、兄弟姉妹の数が減って、スポーツや外遊びの仲間となる身近にいる子どもが減少した。また、学校外の学習活動などで子どもが忙しく、平日の放課後に遊びたくても、自由な時間が取れなかったり、友達と時間が合わないことで仲間がつくりにくい。仲間が少ないので群れることがなくなり、自分たちで外遊びを考え出すことが難しくなり、テレビゲームなどの室内遊びをすることが多くなる。このように、仲間の減少がスポーツや外遊びをできにくくする要因となっている。

3.地域におけるスポーツ指導者の課題

 地域におけるスポーツ指導者については、子どもの発達段階に応じた指導方法を心得ている指導者が少なく、いきなり技術的なことを教えたり、勝ちにこだわった指導をして、子どもがスポーツの楽しさを知ることなくやめていく場合もあり、スポーツ嫌いにつながるとの指摘がある。
 また、スポーツ少年団において、女子団員の割合が全団員の約30%にとどまっている(平成12年度)ことに見られるように、女子のスポーツ活動が活発でない現状が見られる。その理由の一つとして、例えば、スポーツ少年団に女子が参加したくなる活動が用意されていないこともあるが、女子の特徴を理解した指導者が少なく、また、そもそも女性の指導者が少ないことなどが挙げられる。

4.学校における指導の問題

 学校における指導は、子どもが体を動かす楽しさを味わわせ、運動を好きにさせたり、普段運動しない子どもに限られた時間で効率的に運動量を確保するなど、子どもの体力の向上に関して重要な意味を持っている。
 しかし、幼稚園においては、教員自身の外遊びの体験の不足等により、幼児が遊びながら楽しく運動するような指導がうまくできないなどの状況が見られる。
 小学校においては、専任の体育の教員が非常に少ないことや、例えば、年齢が高い教員の中には児童の発達段階に応じた体育の指導に困難を感じたり、高齢でなくとも、児童に体を動かす楽しさを感じさせることができる指導が必ずしも得意でない教員が存在するという状況が見られる。
 また、中学校・高等学校においては、スポーツの技術指導を中心にし過ぎたりするなど、楽しく運動させる指導の工夫が不十分であるとの問題が指摘されている。

(3)子どもの生活習慣の問題

 文部省が平成10年に行った「子どもの体験活動に関するアンケート調査」においては、日常的に疲労を感じることが「よくある」「時々ある」と答えた子どもが合計で、小学校2年生でも33%、中学2年生に至っては60%となっている。
 NHK放送文化研究所が行っている「国民生活時間調査」によれば、昭和40年から平成12年までの35年間で、平日の睡眠時間が小学生で39分、中学生で46分、高校生で56分短くなっている。社団法人小児保健協会が実施した「幼児健康度調査」では、昭和55年から平成12年までの20年間で幼児の就寝時刻が1時間ほど遅くなっている。
 食生活については、朝食を欠食したり、食事の内容についても、動物性の脂肪分や糖分をとり過ぎたり、栄養のバランスがとれていないなど問題が多いという指摘がある。
 睡眠や食生活などの子どもの生活習慣の乱れは、健康の維持に悪影響を及ぼすだけではなく、生きるための基礎である体力の低下、ひいては気力や意欲の減退、集中力の欠如など精神面にも悪影響を及ぼすと言われている。
 このような子どもの生活習慣の乱れは、都市化や核家族化、夜型の生活など国民のライフスタイルの変化によるものと考えられる。深夜テレビや24時間営業の店舗など人々の生活を夜型に導くものが世の中にあふれており、また、大人のこのような生活に子どもを巻き込んでいる家庭の姿も見て取れる。子どもの体力低下の原因の一つである子どもの生活習慣の乱れは、現代社会や家庭の姿が投影されているといえる。

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-- 登録:平成21年以前 --