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1 子どもの体力の現状と将来への影響

ポイント

  • 子どもの体力・運動能力は、昭和60年ごろから現在まで低下傾向が続いている。また、運動する子どもとしない子どもの二極化の傾向が指摘されている。
  • 体を思うとおりに動かす能力の低下が指摘されている。
  • 肥満傾向の子どもの割合が増加しており、高血圧や高脂血症、将来の生活習慣病につながるおそれがある。
  • 体力の低下は、子どもが豊かな人間性や自ら学び自ら考える力といった「生きる力」を身に付ける上で悪影響を及ぼし、創造性、人間性豊かな人材の育成を妨げるなど、社会全体にとっても無視できない問題である。

(1)子どもの体力の現状

1.体力・運動能力の低下

1)体力・運動能力の低下

 文部科学省が昭和39年から行っている「体力・運動能力調査」によると、子どもの体力・運動能力は、調査開始以降昭和50年ごろにかけては、向上傾向が顕著であるが、昭和50年ごろから昭和60年ごろまでは停滞傾向にあり、昭和60年ごろから現在まで15年以上にわたり低下傾向が続いている。
 昭和60年以降の調査結果について、具体的に見ると、持久走(男子1,500m、女子1,000m)では、例えば、13歳女子は、昭和60年を最高に平成12年では25秒以上遅くなっている(図1-1)。
 平成12年の結果を親の世代である30年前の昭和45年調査と比較すると、ほとんどのテスト項目について、子どもの世代が親の世代を下回っている(図1-2)。
 また、部活動などで運動を日常的に行っている者の体力・運動能力は、運動を行っていない者を上回っている(図1-3)。
 さらに、体力・運動能力が高い子どもと低い子どもの格差が広がるとともに(図1-4)、体力・運動能力が低い子どもが増加しており、このことはスポーツ少年団や部活動などで運動をよくする子どもとほとんどしない子どもとの二極化傾向が指摘されていることと無縁ではないと思われる。

[子どもの体力・運動能力の推移] 図1-1 持久走の年次推移

[子どもの体力・運動能力の推移] 図1‐1 持久走の年次推移のグラフ

(注)1.数値は平滑化してある。
 2.男子は1500m、女子は1000m

[親の世代と子の世代の比較] 図1-2 持久走(女子)

[親の世代と子の世代の比較] 図1‐2 持久走(女子)のグラフ

(注)数値は、移動平均をとって平滑化してある。
(移動平均:グラフ上のばらつきを少なくするため、ある数値に前後の2数値を加えた数を3で割った値)

[運動を行っている者と行っていない者の比較] 図1-3 運動部・スポーツクラブ所属別の新体力テスト合計点(平成12年度男子)

[運動を行っている者と行っていない者の比較] 図1‐3 運動部・スポーツクラブ所属別の新体力テスト合計点(平成12年度男子)のグラフ

(注)1.合計点は、新体力テスト実施要項の「項目別得点表」による。
2.6歳~11歳、12歳~19歳および男女で得点基準は異なる。

[体力・運動能力の格差の拡大] 図1-4 持久走(13歳女子)

[体力・運動能力の格差の拡大] 図1‐4 持久走(13歳女子)のグラフ

(注)平均値と標準偏差から推計した正規分布図

(以上出典:「体力・運動能力調査」)

2)体格の向上

 一方で、身長、体重など子どもの体格は向上しており、文部科学省が毎年実施している「学校保健統計調査」によると、現在は身長も体重もほぼ伸びが止まっているものの、平成13年と親の世代である昭和46年(30年前)と比較すると、11歳男子の身長で4.5cm、14歳男子で4.6cm、17歳男子で2.6cm親の世代を上回っている(図1-5-1、2)。このように、体格が向上しているにもかかわらず、体力・運動能力が低下していることは、体力の低下が深刻な状況であることを示している。

[子どもの体格の推移] 図1-5-1 平均身長の推移(男子)

[子どもの体格の推移] 図1‐5‐1 平均身長の推移(男子)のグラフ

11歳 14歳 17歳
昭和46年 140.8 160.9 168.3
平成13年 145.3 165.5 170.9
[子どもの体格の推移] 図1-5-2 平均体重の推移(男子)

図1‐5‐2 平均体重の推移(男子)のグラフ

11歳 14歳 17歳
昭和46年 34.2 50.1 58.9
平成13年 39.5 55.5 62.8

(出典:「学校保健統計調査」)

2.身体を操作する能力の低下

 体を自分の意志で動かす行為は、神経系をはじめとする体の発達に伴って、高度なものになってくる。しかし、近年では、子どもが靴のひもを結べない、スキップができないなど、体を上手にコントロールできない、あるいはリズムをとって体を動かすことができないといった、身体を操作する能力の低下が指摘されている。

3.生活習慣病の危険性の高まり

 学校保健統計調査報告書(文部科学省)によれば、1970年(昭和45年)から2000年(平成12年)にかけての30年間に、男女ともに肥満傾向児(性別・年齢別に身長別平均体重を求め、その平均体重の120%以上の体重の者)の割合は増加しているが、特に男子では各年齢層ともおよそ2倍から3倍に増加している状況にある(図2)。
 このような近年の子どもの肥満の増加により、肥満に伴う高血圧や高脂血症などが危惧されている。このことは、さらに、将来の糖尿病や心臓病などの生活習慣病につながる危険性を有しており憂慮される。

図2 肥満傾向児の頻度推移
(%)男子

肥満傾向児の頻度推移 男子のグラフ

(%)女子

肥満傾向児の頻度推移 女子のグラフ

(出典:「学校保健統計調査報告書」)

(2)体力低下の影響

1.子ども自身への影響

 体力は、人間の活動の源であり、健康の維持のほか意欲や気力といった精神面の充実に大きくかかわっており、豊かな人間性や自ら学び自ら考える力といった「生きる力」の重要な要素となるものである。したがって、運動不足や不適切な生活習慣は、単に運動面にとどまらず、肥満や生活習慣病などの健康面、意欲や気力の低下といった精神面など、子どもが「生きる力」を身に付ける上で悪影響を及ぼす。また、体力の低下により、ますます体を動かさなくなり、一層の体力低下を招くといった悪循環に陥ることとなる。

2.将来の社会全体への影響

 子どもの体力の低下は、将来的に国民全体の体力低下につながり、生活習慣病の増加やストレスに対する抵抗力の低下など、心身の健康に不安を抱える人々が増え、社会全体の活力が失われる事態が危惧される。
 また、将来我が国が明るい未来を切り拓いていくには、その担い手となる人材を育成していくことが必要であるが、人間の活動の源であり、「生きる力」の重要な要素である体力の低下は、創造性や人間性豊かな人材の育成を妨げるものであり、将来の社会全体にとっても無視できない問題である。
 さらに、体力の低下は医療費など社会的なコストの増加にもつながる。東北大学の研究者が、生活習慣が医療費に与える影響を明らかにするために、宮城県内で平成7年から平成10年にかけて行った調査によると、肥満で運動不足の喫煙者は、適正体重を維持し、毎日の運動量が多い非喫煙者より医療費が約47%上回っているという結果が出ている。

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-- 登録:平成21年以前 --