中央教育審議会(第121回) 議事録

1.日時

平成31年1月25日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省「第二講堂」(旧庁舎6階)

3.議題

  1. 2018年度文部科学省第2次補正予算案・2019年度文部科学関係予算案及び税制改正等について
  2. 教育再生実行会議第十一次提言中間報告について
  3. 「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申案)」及び「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」について
  4. 第9期中央教育審議会の総括について
  5. 生涯学習分科会の審議の状況について
  6. 初等中等教育分科会の審議の状況について
  7. 大学分科会の審議の状況について
  8. その他

4.出席者

委員

 北山会長,小川副会長,永田副会長,明石委員,天笠委員,有信委員,伊藤委員,帯野委員,亀山委員,菊川委員,清原委員,志賀委員,篠原委員,寺本委員,時久委員,中田委員,日比谷委員,宮本委員,無藤委員,山野委員,横倉委員,米田委員,渡邉委員

文部科学省

 柴山文部科学大臣,中村文部科学大臣政務官,藤原事務次官,芦立文部科学審議官,池田大臣官房人事課長,木村大臣官房会計課長,柿田大臣官房政策課長,清水総合教育政策局長,平野大臣官房審議官,塩見社会教育振興総括官,寺門総合教育政策局政策課長,久保田総合教育政策局生涯学習推進課長,永山初等中等教育局長,合田初等中等教育局財務課長,丸山大臣官房審議官,矢野大臣官房審議官,望月初等中等教育局初等中等教育企画課長,伯井高等教育局長,白間高等教育局私学部長, 玉上大臣官房審議官,浅田文部科学戦略官,白間高等教育局私学部長,串田内閣官房教育再生実行会議担当室長,常盤国立教育政策研究所長 他

5.議事録

【北山会長】
 おはようございます。ただいまから中央教育審議会総会を開催させていただきます。寒い中,また御多忙の中,御出席いただきまして,ありがとうございます。
 本日は柴山大臣と中村政務官が,後程,御出席という段取りになっております。したがいまして,議事の順序については大臣の御到着のスケジュールを勘案し,まず,2018年度の文科省の第2次補正予算案,それから来年度,19年度の文部科学関係の予算案及び税制改正について,御報告します。
 続いて,教育再生実行会議の第十一次提言の中間報告について,御報告します。
 その後,働き方改革,すなわち「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申(案))」及び「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」について,初等中等教育分科会で取りまとめられましたので,御報告します。
 その上で,委員の皆様の御了承が得られれば,本日,答申として,柴山大臣にお渡ししたいと思います。
 それから,本日は今期最後の中教審総会でございますので,今期の中教審総会,それから教育振興基本計画部会,生涯学習分科会,初等中等教育分科会,大学分科会,それぞれの分科会や部会の審議の状況,総括について,御報告と意見交換を行います。
 また,本日,報道関係者から,会議の全体について録音・カメラ撮影を行いたい旨の申出がありまして,許可しておりますので,御承知おきください。
 それでは,議事に入りたいと思います。まず本日の配付資料について,寺門課長からお願いします。

【寺門総合教育政策局政策課長】
 本日の配付資料につきましては,お手元の会議次第に記載のとおりでございます。過不足等ございますれば,お申し出ください。
 また,席上には,資料番号なしでございますけれども,座席表と,事務局出席者の名簿を置かせていただいてございます。その名簿には,去る1月22日,23日付で人事異動があった者についてはアンダーラインを引いてございます。時間の関係上,個々の紹介は省かせていただきます。よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 それでは,まず議題の1番目,18年度の文科省関係第2次補正予算案,19年度の文部科学関係予算案,それから税制改正について,説明をお願いしたいと思います。
 まず,木村会計課長から,予算についてお願いします。

【木村大臣官房会計課長】
 22日付で会計課長を拝命いたしました木村でございます。では,予算の関係について,御報告申し上げます。
 まず,資料1‐1をごらんいただければと思います。2018年度文部科学省第2次補正予算案ということでございます。
 枠囲いにございますように,文部科学省におきましては,学校施設の整備をはじめとしました防災・減災,そして国土強靱化に資する施策,それから台風21号,北海道胆振東部地震などによる被害からの復旧など,早急に実施すべき事業を第2次補正予算案に計上いたしております。
 主なものといたしましては,防災・減災,国土強靱化のための緊急対策ということで,公立学校,それから国立学校をはじめとした学校施設等の整備,それから研究開発法人施設等の防災基盤強化ということで784億円を計上してございます。
 それから,次に待機児童対策でございます。認定こども園の施設整備に84億円,スポーツ施設,国立文化施設の整備として106億円,大学入学共通テストに向けた準備として7億円を計上してございます。
 続きまして,1ページおめくりいただきまして2ページでございますけれども,科学技術イノベーションの推進ということで1,382億円を計上してございます。また,後段にまいりまして,学校施設等の災害復旧でございます。219億円。それから,被災した学生の授業料減免等の支援として2億円を計上しています。さらに,人事院勧告を踏まえた義務教育費国庫負担金など義務的経費の増ということで77億円を計上して,合計2,660億円ということでございます。
 これが第2次補正予算案の概要でございます。
 次に,資料1‐2でございます。横長の資料でございますけれども,2019年度予算(案)のポイントということでございますが,1ページおめくりいただきまして,2019年度の文部科学関係予算でございます。
 「人生100年時代」,それから「Society5.0」の到来を見据えながら「人づくり革命」を断行し,「生産性革命」を実現する,このための予算として,対前年度2,349億円増の5兆5,287億円という額を確保しております。
 1ページ目,最初,文教関係予算のポイントです。教育政策推進のための基盤の整備ということでございますが,まず新学習指導要領の円滑な実施,それから,学校における働き方改革のための指導・運営体制を構築,それによって「チームとしての学校」を実現するということで,義務教育費国庫負担金につきましては,少子化に伴う自然減などによって27億円の減額ということでございますけれども,定数改善については1,456人ということで,教員の働き方改革と併せて,複雑化,困難化する教育課題の対応を進めてまいります。
 それから,その次ですが,専門スタッフ・外部人材の拡充ということでございます。135億円を計上してございますけれども,部活動指導員については倍増を図るなど指導・運営体制の強化充実を図ってまいるということでございます。
 次の◆でございますけれども,国立大学,私立大学については,基盤的経費の充実を図りながら,アウトカム指標を含めた客観的指標を活用したメリハリある配分を通じまして,教育研究の質の向上を促進するとともに,国立高等専門学校の高度化・国際化を図ってまいりたいということでございます。
 続きまして,学校施設の整備でございます。公立学校施設については,926億円増の1,608億円,それから国立学校施設については779億円増の1,155億円を計上しております。これを通じまして,児童生徒等の安全と健康を守り,学校施設の耐震化,非構造部材の耐震対策,教育研究環境の整備を推進してまいります。
 右側にまいります。夢と志を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力の育成ということであります。
 最初の◆でございますけれども,地域と学校との連携・協働を推進し,地域全体で学校安全を推進するための予算として72億円,さらに,情報教育の充実に7億円,道徳教育の抜本的改善・充実に42億円という額を計上するということを通じまして,新しい時代に求められる資質・能力を育成するための支援を充実してまいります。
 また,併せてスクールカウンセラーの全ての公立小中学校への配置,それから,スクールソーシャルワーカーにつきましては,全ての公立中学校区への配置ということで65億円を計上しておりますし,SNS等を活用した相談体制の構築に2億円を計上するということを通じて,いじめ・不登校対応等の推進を図ってまいります。
 それから,最後の黒ポツでございますけれども,「大学入学共通テスト」の準備事業に21億円を計上するなど,高大接続改革を推進してまいります。
 一番下でございます。社会の持続的な発展をけん引するための多様な力の育成ということでありますが,グローバル社会において児童生徒の教育機会を確保・充実するために,在外教育施設の教育機能の強化に176億円を計上するとともに,博士人材の養成のために卓越大学院プログラムについては74億円を計上してございます。
 1枚おめくりいただきまして2ページでございます。
 生涯学び,活躍できる環境の整備でございます。人生100年時代を見据えまして,リカレント教育など社会人の学び直しの総合的な充実に93億円を計上してございます。
 また,学校卒業後における障害者の学びの支援に1億円。
 切れめない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実については,学校における医療的ケアのための看護師の配置,これを300人増やしまして1,800人にしておりますが,こういったものも含めて26億円を計上してございます。これを通じて特別支援教育の生涯学習化を推進してまいります。
 次の項目です。誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットの構築でありますが,各教育段階の負担軽減ということで,まず幼児教育の無償化を実施するとともに,高校生等への修学支援に3,873億円,大学等奨学金の充実に1,272億円を計上しております。
 それから,先般の入管法の改正を踏まえまして,新たな外国人材の受け入れが必要になってまいります。日本語教育,外国人児童生徒等への教育の充実を図るために,また,生活者としての外国人に対する日本語教育に8億円,外国人児童生徒への教育に5億円ということで,総額14億円を計上してございます。
 また,青色の項目の最後でございます。Society5.0に向けた人材育成であります。新時代の学びにおける先端技術導入実証研究,それからWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアムの構築支援,地域との協働による高等学校教育改革の支援という3つの新規事業を計上するなど,Society5.0という新たな時代に向けた施策を推進してまいります。
 ここから御参考ですが,右側に移りまして,スポーツ関係予算でございますけれども,対前年度10億円増の350億円を計上してございます。
 右下,文化芸術の関係予算でございますけれども,国際観光旅客税の財源,いわゆる出国税でございますけれども,これを充当する事業を含めて,対前年度85億円増の1,167億円を計上してございます。
 さらに1枚おめくりいただきまして,科学技術関係の予算でございます。
 Society5.0,あるいは持続可能な社会の実現に向けた科学技術イノベーションを推進するために9,861億円,対前年度235億円増の経費を計上して,これから未来を切り拓くイノベーション創出と,それを支える基盤の強化,あるいは国家的・社会的課題の解決,国家戦略上重要な技術の研究開発の推進も進めてまいります。
 以下,4ページ以降は御参考の資料です。今回の防災・減災,国土強靱化のための緊急対策予算,それから,復興特会が4ページ,それ以降が事業別の資料集になってございますので,後ほど御参照いただければと思います。
 予算関係の御報告は以上でございます。

【北山会長】
 木村課長,ありがとうございました。
 次に,柿田政策課長から,税制改正についてお願いします。

【柿田大臣官房政策課長】
 政策課長でございます。
 資料1‐3によりまして,税制改正要望の結果につきまして,御報告申し上げます。
 まず1ページ目でございますけれども,項目一覧でございますが,要望が認められたものが9件,その他要望していたものが2件となっております。中身につきましては2ページ以降をごらんいただきたいと思います。
 まず,2ページの(1)番でございます。教育資金を一括贈与した際の贈与税につきまして,1,500万円を上限とする非課税措置の2年延長が認められました。教育費負担の軽減については政府の最重要課題でありまして,本制度の延長によって世代間の資産移転を通じた教育負担の軽減を引き続き促進してまいります。
 また,現在,30歳となっております受贈者,贈与を受ける者の年齢制限が30歳になってございますが,こちらにつきましては,在学中であることを条件に40歳まで引き上げられることとなりまして,これによって特に博士課程学生への支援の充実につながるものと考えております。
 (2)番は,公益法人,学校法人等が実施する奨学金貸与事業の借用証書等に係る印紙税につきまして,非課税措置の3年延長が認められました。これによりまして,引き続き奨学金貸与に係る学生の負担軽減を図ってまいります。
 3ページの(3)番でございますが,企業の試験研究費の額等に応じて税額控除が受けられる措置につきまして,ベンチャー企業の控除税額の上限の引き上げでありますとか,ベンチャー企業との共同研究における控除率,あるいは控除税額の上限の引き上げ等が認められました。
 また(4)番は,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けまして,来日する大会関係者である個人,外国法人を対象としまして,大会関連活動に係る所得税,法人税等の非課税措置を講ずることが認められました。これによりまして,残り2年を切った東京大会の円滑な実施に向けて,引き続き準備を進めてまいります。
 4ページの(5)番は文化の関係になります。まず(5)番でございますが,個人,法人が重要文化財等を国等に譲渡した場合の譲渡所得課税の特例等につきまして,現状では,国・地方公共団体に対しての譲渡に当たっては優遇措置が講じられることとなっておりますが,その対象としまして,市町村が指定する文化財保存活用支援団体を追加するということが認められました。
 (6)番は,公益法人が所有する能楽堂に係る固定資産税等につきまして,軽減措置の2年延長が認められました。
 それから最後,5ページでございますが,3つございますが,これらは制度改正に伴う税制上の措置につきまして要望が認められたものでございます。
 (7)番,(8)番につきましては,昨年6月の骨太の方針等に基づきまして,それぞれ幼児教育の無償化,高等教育の無償化の実施に際して,保護者,本人への給付について非課税措置等を講ずるというものでございます。
 (9)番は,大学改革支援・学位授与機構の業務の見直しに際しまして,これまで適用されていた税制上の優遇措置を継続するということでございます。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 今御説明いただいた予算と税制改正につきまして,委員の皆様から御質問等ございますでしょうか。

【篠原委員】
 いいですか。

【北山会長】
 はい。

【篠原委員】
 ちょっと個人的にも関心があるんですけれども,その他要望していたものというのがあります。これは説明がなかったのは,これは実現しなかったということですね。

【柿田大臣官房政策課長】
 失礼いたしました。1ページのその他要望していたものでございます。
 まず,ゴルフ場利用税の廃止につきましては認められませんでして,また引き続き要望していくということでございます。
 それから,その次の私立学校振興・共済事業団への指定寄附金の範囲の拡充ということで,若手・女性研究者奨励という部分についての新たなメニュー追加ということを要望しておりました。これにつきましては,税制改正という形での実現はしておりませんけれども,別途これは財務省との間で,基準といいましょうか,運用上の改善を図ることによって,実質的にこのメニュー追加を行うという方向で年度末に向けて,引き続き今,調整をしておりまして,実質的には新たなこういったメニューの追加が行える方向に今あるということでございます。

【篠原委員】
 分かりました。ゴルフ場利用税については,見送られた理由は。

【柿田大臣官房政策課長】
 こちらにつきましては,様々やはり地方税でございまして,ゴルフ場を所有している自治体にとっての貴重な財源であるという地方の側の強い御意見もあったということで,全体としての,まだまだ引き続き様々,関係者との協議が必要だろうという御判断があって,引き続き検討という扱いです。

【篠原委員】
 総務省が反対したということですね。

【柿田大臣官房政策課長】
 様々,はい,やっています。

【篠原委員】
 分かりました。

【北山会長】
 毎年要望しておられますよね。

【柿田大臣官房政策課長】
 はい。ここ数年チャレンジを続けているものでございます。

【北山会長】
 ほかによろしいでしょうか。
 それでは,次の議題(2)教育再生実行会議第十一次提言中間報告について,内閣官房教育再生実行会議室から御説明をお願いしたいと思います。

【串田内閣官房教育再生実行会議担当室長】
 ありがとうございます。内閣官房教育再生実行会議の担当室長の串田でございます。
 資料2‐1,2‐2で資料をお配りしてございますので,概要をまとめております資料2‐1に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 教育再生実行会議ですけれども,発足から6年たちまして,これまで第十次までの提言を提出しております。昨年の8月から第十一次提言に向けて議論を進めておりまして,今回は,資料にも記載のとおり,AI,それからIoTなど技術革新が急速に進んでいて,Society5.0が目前に迫っているという中で,技術革新が教育に与えるインパクトは相当なものがあるだろうということで,技術の進展に応じた教育の革新,それから,新時代に対応した高等学校改革,これは技術革新とも関係してくると思うんですけれども,この2つのテーマを掲げまして,それぞれのテーマごとにワーキング・グループを設けて議論を重ねてまいりまして,先週18日に官邸の会議におきまして,中間報告取りまとめということで,安倍総理に中間報告をお渡ししております。
 最終提言は5月ぐらいを目途にこれからさらに議論を進めてまいりたいと思っております。
 内容ですけれども,1ページ目が技術の進展に応じた教育の革新ということでございまして,視点としては,(1)から(7)までございます。
 (1)では教育の中身として,プログラミング,データサイエンス等の能力育成。それから,STEAM教育ということで,Science,Technology,Engineering,Art,Mathematicsをバランスよく教育していくということ。そのようなことを盛り込んでおります。
 (2)は,教師の関係ですけれども,やはり実際に生徒を指導いたします教師の在り方は非常に重要になるということで,養成・採用・研修の全体において技術革新を意識した能力向上を図っていこうとか,大学を指定していくとか,それから,情報系の免許の取得を促進しようとか,あるいは,特別免許状などを活用して,外部人材を積極的に活用しようとか,そのようなことを盛り込んでおります。
 (3)では,指導の方法につきまして,高等学校以外でも,小中の義務教育の段階でも遠隔教育を進めていこうとか,生徒の学習履歴を把握しやすくなるということで,スタディ・ログを活用して生徒ごとに個別最適化された学びを実現していくというような事柄,デジタル教科書が制度化されましたので,それを効果的に使っていきましょうとか,そういったこと。
 それから(4)ですけれども,機材をうまく使えば先生方の働き方改革にも資するのではないかということ。
 それから(5)ですけれども,障害がある子供たちに対しても機材を使えば効果的な指導ができるのではないかとか,外国人生徒も増える可能性もございますので,遠隔教育などを活用できるようにするのがいいのではないかとか。
 (6)は,ICT環境整備が非常に重要な側面もございますので,情報教育の環境整備については,地方財政措置が単年度1,805億円講じられているという事情がありますけれども,一般財源ということで,自治体ごとに環境整備に非常にばらつきがあるということについて,しっかり要因を分析して首長にお願いするというような対策を講じていきましょうとか,あるいは,調達をうまく工夫して,安く調達できるのではないかというような面での工夫とかというようなこと。
 それから(7)は,学校と外との関係ということで,まずは霞が関においても関係省庁との連携,それから,総合教育会議で首長と教育長が一体になって情報化を進めるとか,あと,企業との関係で,EdTechなども活用しながら協力を深めていくというような中身をまとめてございます。
 それから2ページ目が高等学校改革の方でございまして,高等学校は,御承知のとおり,ほぼ全入の時代になって全ての中学生が進学するような状況になっている中で,高校生の能力,関心などは非常に多様化して,課題がいろいろあるということがございまして,これも(1)から(8)までの視点で盛り込んでおります。
 まず,(1)の学科の在り方についてですけれども,参考として枠に囲ってありますように,生徒の7割が普通科に在籍する状況の中で,その普通科の生徒が多様化が進んでいるということがあって課題も多いわけですけれども,そこについて,学習の方向性に基づいて学科の類型化を図っていくというようなことを含めて,普通科の在り方について最終提言までもう少し深掘りして検討していきましょうとか,あるいは,文系・理系の科目については,文理分断からの脱却ということが大事だということもありまして,バランスよく学んでいこうとか,専門学科,総合学科についても,てこ入れをしていくというか,充実させていこうというような中身です。
 それから,(2)の教育内容につきましては,高等学校の新学習指導要領が告示されたところですので,それを着実に実施していきながらも,指導については不断の見直しとか,あるいは遠隔教育の充実といったようなことを盛り込んでおります。
 それから(3),高等学校特有の定時制・通信制につきましては,勤労青年の視点から始まった制度ではございますけれども,現在は不登校経験者が通ってきたりとか,非常に多様な生徒の受け皿になっている面もございますので,そういった状況を踏まえながら質の向上を図っていく。特に広域通信制の高校につきましては,第三者評価などを踏まえながら質を確保していくといったような内容です。
 それから,(4)の高等学校の教師につきましても,校内研修の充実といったようなことで,教科ごとの壁とか,現実的にはそういうものもあるという指摘もありましたので,校内全体での研修をしていったらどうかとか,ベテランから若手教師への伝承とか,大学関係での仕組みや、外部人材の活用。あと,校長先生の在職期間を長めにして,教育活動に長期的な観点から取り組めるようにしたらいいのではないかといったような中身を盛り込んでおります。
 (5)は,高校と外との関係ということで,大学等と連携しながら,高等学校が地域課題の解決に貢献できるのではないかとか,コミュニティ・スクールの導入等々を盛り込んでおります。
 (6)は,中高・高大の接続ということで,大学入試に関しましても,今後さらに深掘りして検討しようと思っておるのですけれども,文理両方を学ぶ人材育成の観点から検討を進めたいと思っております。
 (7)は,技術革新と同じように特別な配慮が必要な子供たちへの対応ということで,不登校等,非常に大きな多様な課題を抱えている生徒たちがいる中では,スクールカウンセラーの配置などが有効ではないかとか,障害のある生徒や日本語指導が必要な生徒たちへの対応の充実といったようなことを盛り込んでおります。
 (8)は,少子化への対応ということでございますけれども,自治体レベルでは高校の再編・統合で非常に苦労しているという面もあるということで,少子化に対して国としてどういったメッセージが出せるか,そのあたりを盛り込もうと思ってございます。
 先ほども申し上げたとおり,4月から5月と書いてございますが,現実として5月ぐらいになるのではないかと思いますけれども,ワーキング・グループでさらに検討を深めてまとめてまいりたいと思ってございます。
 資料の説明は以上でございます。

【北山会長】
 どうもありがとうございました。
 これについて,何かございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは,以上が報告事項でございまして,次は議題3の,学校における働き方改革についてでございます。この学校における働き方改革に関しましては,前回,12月21日に,前回の総会で御審議していただきました。前回の総会で頂いた委員の皆様からの御意見を踏まえて修正をおこなった上で,学校における働き方改革特別部会や初等中等教育分科会で議論いただき,答申(案)がきょう取りまとめられて机上にございます。それと併せて,「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」が文科省において策定されましたので,それら2つの案について,まず事務局から説明をお願いしたいと思います。
 永山局長,お願いします。

【永山初等中等教育局長】
 本答申(案)につきましては,ただいま御紹介いただきましたとおり,1月11日の特別部会,1月18日の初等中等教育分科会において御審議を頂きまして御了承いただいたところでございます。
 本日は,答申素案からの修正点を中心に,昨年12月6日から21日まで実施いたしました国民の皆様への意見募集の結果と併せて御説明申し上げたいと思います。資料は3‐1でございます。
 まず,答申素案に対する意見募集の結果から御説明いたします。
 1にありますとおり,答申素案に対しましては3,208件の御意見を頂戴いたしました。それから,後ほど御説明いたしますガイドライン(案)につきましては2,182件,合計で5,390件,非常に高い関心をお寄せいただきまして,多くの方々から御意見を頂戴いたしたところでございます。
 資料3‐1でございますけれども,この御意見,様々ありましたけれども,類型化して整理をいたしました。
 幾つか御紹介いたしますと,例えば1ページの主な意見の最初のポツで,働き方改革の取組により教師が魅力ある仕事になることで教師を目指す者が増え,日本の教育がより充実することを期待するといった御意見や,その下の「ブラック学校」という言葉が教員の誇りや活力を失わせているという御意見。
 2ページの2つ目のポツのガイドラインで超勤4項目以外の業務の時間を在校等時間として勤務時間管理の対象としたということを評価する御意見。
 それから,その4つ下で,ガイドラインの実効性を確保するためにも,教職員定数の充実や業務内容の見直し等が必要といった御意見や,少し飛んで4ページの中ほどの教育課程の在り方や教員免許の在り方を見直すべきとの御意見。
 それからまた飛びまして7ページですが,7ページの5つ目のポツ,行事の精選など業務削減に取り組むべきといった御意見を頂いております。
 それから,9ページ中ほどの勤務時間制度の在り方につきましては,この給特法の原則に立ち,まずは現状を変えるべきとの意見から,給特法を廃止または抜本的に見直し,時間外勤務手当方式にすべきなど,様々な御意見を頂きました。
 これらの御意見も踏まえまして,答申(案)として取りまとめたものが資料3‐2でございます。大部の資料ですので,これもポイントを絞って,変更点を中心にお話を申し上げますが,5ページの2つ目の丸の真ん中あたりをごらんください。
 我が国の学校教育の高い成果が,教師の長時間にわたる献身的な取組の結果であるとするならば,持続可能であるとはいえない。「ブラック学校」といった印象的な言葉が独り歩きする中で,意欲と能力のある人材が教師を志さなくなり,我が国の学校教育の水準が低下することは,子供たちにとっても我が国や社会にとってもあってはならない。
 それから,7ページの上から4行目,教師のこれまでの働き方を見直し,子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることが,学校における働き方改革の目的である,こういった点は変わっておらず,これを軸に御議論をいただいたところでございます。
 8ページですが,志ある教師の過労死等の事態は決してあってはならず,このことが今回の働き方改革全体の1つの重要な要素であることを明確にすべき,そういった御指摘を踏まえまして,答申素案では,第3章に記載しておりました部分を総論に記述を移しまして,さらに文章を整理したところでございます。
 また、新たに3.の学校における働き方改革と子供,家庭,地域社会という項目を追加いたしております。
 これは学校の働き方改革については,教師の議論が中心でしたけれども,子供や家庭,地域社会の側から見たときには,学校外における子供の学びについて,子供や家庭が自らその在り方を判断する選択肢が広がるということでありまして,これまで学校に任せていた時間をどう使うのかということを,子供や家庭自身で考えて行動することが求められるという御指摘を頂き追記したものでございます。
 第2章に移りまして、14ページの1つ目の丸をごらんいただければと思います。
 働き方改革の実現に向けた方向性について,この答申が働き方改革のスタートであり,特に文科省には学校と社会の連携の起点・つなぎ役としての機能を,前面に立って十二分に果たすことを求めたいとの御意見を頂きました。
 素案では,この部分に「バッファ」という言葉を使っておりましたけれども,「バッファ」というよりも,「連携の起点・つなぎ役」として機能すべきとの御議論をいただいたところでございます。
 次の第3章,16ページですけれども,これは大きな変更はございませんけれども,19ページの脚注47に記載いたしておりますとおり,タイムカードの設置等,勤務時間の客観的な把握に必要な経費は地方財政措置に含まれていることから,このことを明記して取組の徹底につなげていくことが必要であると考えております。
 28ページからの第4章です。業務の明確化・適正化でございますが,文部科学省では,まずもってしっかりと方策に取り組んでいくべきということは,これは変わりありません。
 また,31ページの(3)各学校が取り組むべき方策でございますけれども,学校としての伝統だからとして続いているが,児童生徒の学びや健全な発展の観点からは必ずしも適切とはいえない業務又は本来は家庭や地域社会が担うべき業務を大胆に削減する必要があるという御指摘がございまして,脚注の67に,細かい字ですけれども,その具体例を挙げているところでございます。
 それから,32ページの本文の下から3行目ですが,過去の裁判例等を見ても,法的に全ての責任を学校・教師が負うというわけではなく,保護者や地域から学校への過剰要求は認められないということについて,しっかと共有を図っていく必要がある旨,記述を整理したところでございます。
 第5章では,42ページの一番下の丸ですけれども,「チームとしての学校」の実現に向けて,教員養成大学・学部と連携した学生の参加や,日本教育大学協会等による組織的な対応を求めたいとしております。
 次に,44ページからの第6章をごらんください。まず,給特法につきましては,45ページから46ページにありますとおり,様々な御意見がありましたけれども,給特法の基本的な枠組みを前提とした上で,勤務時間の縮減をしっかりと図っていく。その上でさらに検討を行っていくということは,前回御報告申し上げたとおりです。
 この章の修正点といたしましては,47ページの2.一年単位の変形労働時間制の導入のところですけれども,その1つ目の丸を追加いたしております。
 教職の魅力を高める勤務時間制度の検討に当たり,かつて学校週5日制の移行期間に行われていた長期休業期間の休日のまとめ取りは有効であり,これを週休日の振替や年休で取得することも可能ではありますが,週休日の振替は一般的には1時間単位での割り振りができないといった課題もございます。また,一年単位の変形労働時間制は制度改正が必要であることから,ここで検討を行ったことを明記しております。
 その上で,49ページの1つ目の丸にありますとおり,導入に当たっては,育児や介護等の事情がある教師への配慮として,職員会議や研修を通常の所定の勤務時間内に行うことや,所定の勤務時間を延長した場合には,授業時間や児童生徒の活動時間を現在よりも延長することがあってはならないとの御議論を踏まえて,そういった趣旨の追記をいたしてございます。
 さらに49ページ,そのページの下の3.中長期的な検討として,公立学校の教師の働き方に関する法制的な枠組みの例として,給特法や教育公務員特例法,地教行法などの具体例を明記したところでございます。
 51ページからの第7章につきましては,大きな修正はございませんが,54ページの3.今後更に検討を要する事項につきましては,そこにございますとおり,小学校における教科担任制の導入などを含む教育課程の見直し、免許更新制の在り方も含めた養成・免許・採用・研修全般にわたる改善・見直し、先端技術の効果的な活用、圏域などの議論を踏まえた教育的観点からの小規模校の在り方の検討などが挙げられておりまして,次期の中教審におきまして,是非御議論賜りたいと考えている次第でございます。
 56ページからの第8章につきましては,前回の総会での御指摘も踏まえまして,特に未来に向けて,保護者や地域社会との協力の下で進めていく旨を記載いたしております。
 冒頭に申し上げましたとおり,以上の形で1月11日の特別部会及び1月18日の初等中等教育分科会において御審議いただきまして御了承いただいたところです。なお,資料3‐3,3‐4といたしまして,文科省において策定する「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン(案)」と,ガイドライン(案)への意見募集の結果をお配りいたしております。詳細は省略いたしますけれども,多く寄せられた御意見として,ガイドラインの実効性の担保が重要であるというものや,持ち帰りや虚偽申告がないようにする必要があるといった御意見。あるいは,特例的な事情が拡大適用されないようにといった御意見を頂いておりまして,我々としても,Q&Aなども活用しつつ,運用の中で対応したいと考えております。
 また,この上限の目安時間には,もとより休日の部活動の時間なども含めることを前提に中教審において御議論いただいておりましたけれども,その点についても明確化する修正を行ったところでございます。
 なお,本日御欠席ですけれども,山田委員の方から,答申(案)等に賛同ではありますけれども,学校における在校等時間の上限設定につきましては,事務的な整理を現場の意見もよく聞きながら,しっかり行う必要があるといった御指摘も賜っておりますので,御紹介いたします。
 以上,答申(案)とガイドライン(案)について御説明,御報告を申し上げました。よろしくお願いいたします。

【北山会長】
 永山局長,ありがとうございました。
 この議題につきましては,前回まで十分な時間をかけて御議論いただきまして,内容はまとまってきているものと考えます。
 答申(案)の今後の実施に向けてのポイントなども含め,もし何か御意見,御質問等あれば,時間をとりますので,名札を立てていただければと思います。
 それでは,お願いします。

【清原委員】
 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
 私は,特別部会でこのテーマについて,小川部会長の下で濃密な議論に参画をしてまいりましたが,今,会長がおっしゃいましたように,これを今後いかに実施していくかという段階になりましたので,その点について意見を申し上げます。
 何よりも「学校における働き方改革」につきましては,子供たちにとって,教育の質の確保,向上を図るために必要であること。さらには,優れた人材に「教師」を自分の職業の選択肢として選んでほしい,そのような気持ちで議論を重ねてきました。したがいまして,この答申に列挙しております幅広い内容につきましては,まず第1に,各学校長のリーダーシップとガバナンスで,やはり実現を推進していただきたいと願っています。また,教育長を中心に,教育委員会の推進体制が求められていくと思います。
 併せて,私は市長の一人でございますけれども,総合教育会議の実践等を通して,適切にフォローアップするとともに,市長としても人材確保として,外部人材の拡充や専門スタッフの拡充も含めて,しっかりと予算的な支援もしていく,このような市長部局との連携も重要になってくると認識しております。
 そこで,本日の答申(案)の14ページに,改めまして,文部科学省の役割も「学校と社会の連携の起点・つなぎ役としての機能」を前面に立って十分に果たしてほしいというふうに明記をされたことは重要だと思っています。
 私は,先ほど,2019年度の予算案を拝見しましたら,例えば教員定数の増でありますとか,専門スタッフ,外部人材の拡充についても予算を拡充して付けているということを歓迎しているところです。したがいまして,この14ページに明記されておりますこと,また,各ページに分散して文部科学省の責務も書かれていることから,私自身,現場の自治体の首長の一人として努力いたしますが,是非文部科学大臣を中心に,文部科学省におかれても,国民運動の支援の推進体制といいましょうか,そういうものをお作りいただきまして,是非この答申の提出にとどまることなく,具体化に向けての各自治体の教育委員会,また学校と一体となった,さらには保護者,児童,生徒と一体となったムーブメントを作り出していく,そんな方向性をお示ししていただければ心強いと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【北山会長】
 首長として,また委員として議論に御参画いただいたお立場での御意見ということで,PDCAのDを実現し,その後のCにつなげていく,そのサイクルに乗せるための重要なポイントだと思います。こうした点については,また答申をお渡しするときに,大臣からもコメントがあろうかと思います。どうもありがとうございます。
 それでは,帯野委員,お願いできますか。

【帯野委員】
 今の御意見と同じ趣旨でありますが,先回の総会で,学校に入って生き生きと働いている地域の人を余り見かけないという旨の発言をした後,生重委員の方から,いや,全国的にかなりの人が頑張っているという御意見があって,失礼しましたという感じだったのですが,よく考えてみると,2人の感じていることは両方とも真実だと思うんです。ということは,全国まだら模様ということです。私は3期6年務めて中教審の委員として活動する中で常に考えてきたのは,教育というのは,地方分権なのか,中央集権なのかということです。結論としては,教育の中身については国がフレームワークを決めて,地方の教育委員会,学校にゆだねるべきであるけれども,制度については,一旦決めた以上はやはり国が主導でやっていくべきだと思います。
 例えば,教育委員会制度のように元の法律を変えてしまうのはたやすいとしても,やはり今回もそうですが,地方にゆだねるということについては,文部科学省がしっかりリーダーシップをとっていかなければならないと思います。
 ときどき感じるのは,どうも地方に対して少し遠慮があるのではないかというところで、文部科学省がしっかりリーダーシップをとらなければ,逆に地方の方は負担が大きくなります。そのことも含めて,この答申が本当に生きたものになるように,しっかりとリーダーシップをとっていただきたいし,また,その際に,制度がなかなか浸透しない地方については,きめの細かい調査とか,フォローとか,これが必要であることは言うまでもないことですが,中教審の委員として,今後も文部科学省がしっかり頑張っていただきたいというふうに期待を込めて意見を申し上げます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 先ほどから指摘されている14ページの部分については,永山局長からも御説明ありましたように,「バッファ」ではなくて,「起点」や,「つなぎ役」という言葉に変えられた趣旨などを踏まえても,当然,文科省においても十分に御認識かとは思いますが,改めて,永山局長から,一言よろしいですか。

【永山初等中等教育局長】
 ありがとうございました。御指摘のとおりでございます。これはもう本当に国民運動としてやっていかなければいけないということだろうと思います。
 この14ページにもありますとおり,文科省としても明確なメッセージを出す,あるいは御指摘のように学校と社会の連携の起点・つなぎ役としての機能を前面に立って十二分に果たす,文字通りこういった形で私どもやりたいと思っておりますし,答申を頂きましたら、そういった体制をきちんと組んでいきたいということを考えてございます。よろしくお願いいたします。

【北山会長】
 それでは,伊藤委員,お願いします。

【伊藤委員】
 ありがとうございます。先ほど御説明のありましたこのたびの意見募集も含めまして,様々な御意見を踏まえながら,幾度も検討を繰り返し,このたびの答申案が作成されたことと思います。大変な御苦労があったことと思いますが,まずはここまで取りまとめをいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 私の方からは,今後のことについて1点ほど質問させていただきます。
 今,局長の方からもございましたが,29ページ,文部科学省が取り組むべき方策というところで,「社会全体の理解を得られるように,その趣旨等を分かりやすくまとめた明確で力強いメッセージを発出」とございます。また,31ページの下から3行目には,「上記文部科学省からのメッセージを活用し,学校運営協議会制度も活用しつつ」というようなことが記載されてありますが,このメッセージを現場としては示しながら,できるだけ早く地域や保護者と課題意識を共有したい,あるいは方策を考えたいところですが,例えば,学校運営協議会は,通常,年度末の会議で次年度の方針等を協議いたします。そうしますと,3月,早いところでは2月に実施というところもあるかも分かりませんが,この文部科学省からのメッセージにつきまして,今,具体的なお考え等がありましたら教えていただければというふうに思っております。お願いいたします。

【北山会長】
 永山局長,いかがでしょうか。

【永山初等中等教育局長】
 メッセージはいろいろな出し方がありますので,通常は通知という形が多いのですけれども,この件に限っては,単に一遍の通知でということでは多分収まらなくて,考え得るいろいろな媒体を使っていきたいと。例えばYouTubeに載せる,ホームページは当然ですけれども,YouTubeを使うとか,様々な資料を作ってお配りするとか,あるいは,会議等で御説明なりお願いなりをしていくとか,そういった形でなるべくスピーディーに、スピード感を持ってこれを発していきたいというふうに思っております。

【北山会長】
 よろしいでしょうか。今, 1月の終わりで,もうすぐ年度が変わるタイミングですので,そういったスケジュール感もよく考慮して,スピーディーな対応をお願いしたいと思います。
 では,次に篠原委員,お願いします。

【篠原委員】
 8ページの学校における働き方改革と,子供,家庭,地域社会という項目を付けてきちんと書いていただいたことに,まず感謝を申し上げます。
 それで,15ページ目の一番最後なんですけれども,私立,国立の学校との絡みです。給特法は確かに私立などに適用されていない。そういう中でこの働き方改革を私立の学校の特異性も踏まえながら,どういうふうに進めていかれるのか,この記述はこれでいいんですが,今後,具体的にどういうふうに進めていくお考えなのか,これは結構難しいところがあると思うんです。もしその辺の御見解をお持ちでしたらお聞かせいただきたい。

【北山会長】
 それでは,合田課長,お願いします。

【合田初等中等教育局財務課長】
 15ページの私立,それから国立につきましては,篠原委員御案内のとおり,公立と最も違う点は,労働基準法が直接適用されているということでございますので,今回の議論は,公立学校を中心にさせていただいたというのは,篠原先生御案内のとおりでございます。
 他方で,学校教育全体として,先生方の働き方改革を進めていかなければならないというのも事実でございますので,そこは,こういう基本的な構造,それから法制度の適用の違いというものも踏まえながら。他方で今,篠原先生からもお話がありましたように,私学にはそれぞれ建学の精神等もございます。直接労働基準法が適用されるということになりますと,より一層厚生労働行政ともさらに密接に関わってまいるところでございますので,そこのところは先生方の働きやすさ,それから私立学校のこれまでの経緯ですとか,建学の精神,それから保護者のニーズといったものをしっかり踏まえながら,これについては公立と同様に,あるいはそれ以上にそれぞれの状況をきめ細かく踏まえさせていただきながら,丁寧に取り組ませていただくということが大事かというふうに思っております。

【北山会長】
 では次の山野委員で,本件については最終としたいと思います。お願いします。

【山野委員】
 済みません,ありがとうございました。簡単に。皆さんおっしゃったとおり,本当にありがとうございました。たくさん丁寧にまとめていただきました。
 先ほどの連携の起点であるという15ページ,文科省のところのことで,これから具体的に通知文等々に,今後のことということになるわけですけれども,是非今出ていました家庭教育との充実を支援するという,支援するという関係なのか,もっとつないでいくという関係であるとか,より具体的なところで是非起点になっていくところで調整をしていっていただきたいなというふうに思いました。
 もう1点だけ,42ページにあります「チームとしての学校」というところで,大学との関連というところで,教員養成の大学がたくさん出ているわけですけれども,「チームとして学校」ということは,社会福祉であったり,心理であったりという大学などとも,今すぐということではないんですが,今後,視野に入れながら,教師の働き方を変えていくためにも,応援団が見えていき,教育カリキュラムとしてもつながっていくようになればいいなというふうに思いました。
 以上です。ありがとうございました。

【北山会長】
 いろいろ貴重な御意見をありがとうございました。
 皆様から頂いた御意見については,答申の実施段階で十分に踏まえていただければと思います。
 それでは審議はこれまでとさせていただいて,先程,永山局長から御説明があったこの答申(案)につきまして,御了承いただきたいと思いますが,委員の皆様,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,本日頂いた御意見も含め,文科省におきましては,答申の具体化をよろしくお願いいたします。
 閣議が長引いておりますけれども,後ほど,柴山大臣が到着される予定ですので,到着されましたら答申をお渡しするというプロセスに入りたいと思います。
 さて,最後の案件ですが,本日は,この9期の最後の総会となりますので,今期の2年間の中教審の審議の総括を行いたいと思います。
 総会,計画部会,それから生涯学習分科会,というような形で順番に進めていきたいと思いますので,まず,清水総合教育政策局長からお願いします。

【清水総合教育政策局長】
 では,御説明申し上げます。資料4‐1をまずごらんいただきたいと思います。
 第9期中央教育審議会における主な答申,報告等についてでございます。
 第9期におまとめいただきました主な答申といたしましては,資料の1枚目でございますが,「第3期教育振興基本計画について」,そして2つ目が,「2040年に向けた高等教育のグランドデザインについて」,そして「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」,そして次の2ページ目でございますが,本日御議論いただきました「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」,この4つでございます。それぞれの答申の内容につきましては,後ほど,各分科会の審議状況とともに,それぞれ担当する局長から報告をさせていただきます。
 そして,答申以外の報告といたしまして,2ページ目の下から3ページ目にかけまして概要を記載してございますので,ごらんいただければと思います。
 第9期の中教審の全体の総括としては以上でございます。
 では,引き続き,教育振興基本計画部会の審議状況について,御説明をいたします。資料4‐2でございます。
 教育振興基本計画部会では,平成28年4月の第3期教育振興基本計画についての諮問を受けまして,平成30年3月に答申を取りまとめるまで御審議を頂いたところでございます。
 2つ目のポツに記載をしておりますけれども,今後5年間の教育政策の目標や,施策群を基本的な方針ごとに取りまとめて,答申を取りまとめていただいたところでございます。
 この答申を受けまして,平成30年,昨年の6月15日に,今年度からの5年間を対象とする第3期の教育振興基本計画が閣議決定されたところでございます。
 そして,その下でございますが,来期に継続して審議する事項といたしましては,この策定された教育振興基本計画のフォローアップを行いまして,さらに次の教育振興基本計画の策定に向けた課題の整理を行っていくということが挙げられるところでございます。
 教育振興基本計画部会は以上でございます。
 それでは,続きまして資料5,生涯学習分科会の審議の状況についてでございます。
 第9期の生涯学習分科会,大きく3点御議論いただいたわけでございますが,1点目が,資料の1ページ目に記載してあります「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」でございます。昨年3月,諮問の後,ワーキンググループを設置するなどして積極的に御審議を頂きまして,先日,答申を取りまとめていただいたところでございます。
 本答申では,まず地域における社会教育の意義や果たすべき役割について検討を頂きまして,今後,「『社会教育』を基盤とした人づくり・つながりづくり・地域づくり」が一層重要であると提言を頂きました。その上で,新たな時代の社会教育の方向性として「開かれ,つながる社会教育」を提示していただきました。
 今後の展開に当たりましては,1,2,3とまとめてありますけれども,学びの場への多くの地域住民の主体的な参画を得ること。そして2番目として,学習者のニーズや,様々な課題に対応するため,社会教育行政の担当部局と首長部局やNPOなど,多様な主体との一層の連携・協働を図ること。そして3番目として,専門性ある人材の活用を促進することが重要だと提言を頂いたところでございます。
 そして,最後の段落でございますが,これらの取組を支える場としての社会教育施設の在り方につきまして,学習と活動の拠点としてのみならず,住民主体の地域づくり,持続可能な共生社会の構築に向けた取組の拠点としての役割も求められていくとして,その上で,社会教育の適切な実施の確保に関する制度的担保が行われることを条件に,地方公共団体の長が公立社会教育施設を所管できることとする特例を設けることができると提言を頂いたところでございます。
 文部科学省では,今後,提言頂いた内容を具体化するために,必要な制度改正などに取り組んでまいることとしているところでございます。
 あと,1枚おめくりいただきまして2ページ目でございます。第9期に御議論いただいた2つ目としては,教育振興基本計画について,生涯学習分科会におきましても,その分野の基本計画に盛り込むべき事項について審議をして意見を提出したところでございます。
 そして,その下でございますが,文部科学省の認定社会通信教育について,新たに2課程の認定と,1課程の廃止について答申を頂きました。
 最後,2ページの下でございますが,来期に継続して審議することが考えられる事項でございますが,先日の生涯学習分科会におきましても意見交換を頂いたところでございますが,貧困層や高齢者,障害者,シングルマザーや一度離職した女性,外国人,若年無業者など,特に学びへの支援を必要としていると考えられる方々への支援について,2ページの一番下でございますが,生涯学習・社会教育における行政,NPO,企業,高等教育機関等の多様な主体の参画・連携を更に推進するための方策について,そして3ページ目に移りますけれども,先般頂きました答申,「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」,この答申のより具体的な実現方策について検討するといったところが考えられるところでございます。
 説明は以上でございます。

【北山会長】
 清水局長,ありがとうございました。
 次に,初等中等教育分科会の審議の状況について,永山局長からお願いします。

【永山初等中等教育局長】
 それでは,資料は6でございます。まずは,先ほどの学校における働き方改革の関係の特別部会でございます。
 資料にございますとおり,この働き方改革につきましては,平成29年6月に諮問を頂きまして,特別部会を設置いたしました。その後,働き方改革に関する総合的な方策等について御審議を頂きまして,先ほど,本日の総会において答申としておまとめを頂きました。
 また,審議の中では,文科省において策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」,これについても併せて御議論を頂きました。
 それから次に,教育課程部会でございますけれども,平成29年3月の学習指導要領の改訂を踏まえまして,教育課程部会の下に,「児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ」を設置いたしまして,新学習指導要領の下での児童生徒の学習評価の在り方について検討を進めまして,平成31年1月,今月ですけれども,第109回教育課程部会において,部会としての報告を取りまとめていただきました。参考の方に付けてございますが,説明は割愛させていただきます。
 それから,教員養成部会ですけれども,教員養成部会におきましては,教職課程の質向上等に向けまして,大学からの教職課程の設置申請に対して文部科学大臣の諮問に基づいた審査。それから,教育職員免許法及び同施行規則の改正に対応した教職課程認定基準についての所要の改正を行っていただいております。
 来期に継続して審議する事項ですけれども,本日,答申いただきました「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策(答申)」その御説明の中でも,私も先ほど申し上げましたけれども,今後更に検討を要するとされた事項ということで,教育課程の在り方の見直し,教師の養成・免許・採用・研修全般にわたる改善・見直し,新時代の学びにおける先端技術の効果的な活用,小規模校の在り方,人事委員会等の効果的な活用方法等につきまして,引き続き御検討いただければと思ってございます。
 また,本答申における提言の進捗状況を総合的にフォローアップしていただくとともに,それを踏まえまして,学校における働き方改革に関して引き続き御審議いただく予定でございます。
 以上,簡単ではありますけれども,初中教育分科会の審議状況について御説明をさせていただきました。ありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,最後に,大学分科会の審議の状況について,伯井高等教育局長からお願いします。

【伯井高等教育局長】
 資料7に基づきまして,御説明いたします。
 1ページの第9期における審議実績でございます。
 大学分科会におきまして,計6つの部会等を中心として,様々な高等教育に関する課題について御審議を頂いております。
 将来構想部会でございますが,平成29年3月の総会におきまして諮問をいたしました「我が国の高等教育に関する将来構想について」を検討するため,大学分科会では,将来構想部会を設置して審議を重ね,総会でも御審議いただいた上で,昨年の11月に「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」を答申いただいたところでございます。
 答申をまとめるに当たりましては,将来構想部会の下に「制度・教育改革ワーキンググループ」を設置して,「リカレント教育の充実」,「留学生交流の推進」,「学修成果の可視化と情報公表の促進」など,専門性の高い11項目について御審議を頂きまして,その制度改正等の方向性を取りまとめ,グランドデザインの答申に反映を頂いているところでございます。
 大学院部会でございますが,このグランドデザイン答申でも,大学院固有の課題に関する御提言を頂いたところでございますが,優秀な人材の大学院への進学の促進,博士課程修了者のキャリアパスの多様化と活躍状況の可視化など,特に重点的に対応することが必要な事項を中心にさらに審議を重ねまして,今週の火曜日,1月22日に開催されました大学分科会におきまして,「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿(審議まとめ)」を取りまとめていただきました。本日,机上参考資料として,審議まとめの要旨と本文を配付させていただいているところでございます。お時間がございましたら,ごらんいただければ幸いでございます。
 2ページ目についてでございます。教学マネジメント特別委員会であります。
 グランドデザイン答申の中でも特に重要な観点である教学マネジメントに係る指針の策定,学修成果の可視化,情報公表の在り方について,昨年11月に「教学マネジメント特別委員会」を設置して審議を開始いただいたところでございます。
 それから,法科大学院等特別委員会につきましては,法科大学院の教育の改善・充実について検討するため御審議を頂いておりまして,第9期におきましては,法科大学院と法学部等との連携強化,法学未修者教育の改善・充実の方向性について,昨年3月に取りまとめをいただき,現在,それを踏まえた具体的な制度改革に向けて議論が進んでいるところでございます。
 それから3ページの専門職大学等の制度設計に関する作業チームでございます。
 平成31年4月から,新たな高等教育機関として「専門職大学・専門職短期大学」が創設されることになったことに伴いまして,作業チームを設置し,設置基準等の具体的な制度設計について御審議を頂いたところでございます。
 その他でございますが,昨年3月に答申いただきました「第3期教育振興基本計画の策定について」,高等教育の観点から御審議を頂きました。
 また,大学設置基準等の改正に関しまして,随時,答申を行っていただきました。
 以上が,第9期における大学分科会の審議実績でございます。
 4ページでございますが,来期に継続して審議する事項として,5点ほど整理しております。
 特にグランドデザイン答申で御提言いただいております大学設置基準等の質保証システムの見直しにつきまして,来期より大学分科会の下に新しい部会を設置して審議を進めていきたいというふうに考えております。
 その他,教学マネジメントに係る指針の策定,学修成果の可視化と情報公表の在り方についてなどの4項目につきまして,既に部会等で審議が進んでおりますが,引き続き御審議を継続いただくこととしております。
 5ページ以降につきましては,第9期において取りまとめていただいた内容を記載した資料を添付しております。
 6ページが,グランドデザイン答申の最後に記載していただきました今後の検討課題について,答申後にどのような工程で改革を進めていくべきかということを項目別に整理しております。
 中教審におかれましては,教学マネジメントに係る指針の策定に関する議論は既に開始していただいておりますし,設置基準等の質保証システムの見直しについても,先ほど御説明させていただきましたとおり,来期に新しい部会を設置の上,御審議をしていただきたいと考えております。
 また,文科省におきましては,国立大学に関する一定の方向性や大学間の連携・統合に必要な制度改正について,今年度内に整理をした上で,地域連携プラットフォーム,仮称でございますが,あるいは,大学等連携推進制度に関する詳細な制度設計について,来年度以降,引き続き検討していくことと予定をしております。
 なお,制度・教育改革ワーキンググループの審議のまとめを踏まえた制度改正については,内容が多岐にわたっておりますが,早急に着手できる事柄から,年度内も含めて制度改正等を進めてまいる考えでございます。
 以上でございます。

【北山会長】
 伯井局長,ありがとうございました。
 各局長から,第9期,過去2年間の中央教育審議会における,総会,各分科会などの審議の総括について御説明いただきました。
 総会の委員の皆様の多くはいずれかの分科会や部会に分属なさっていますので,それぞれの分野の議論に御参画いただいたことと思います。ここで時間をとりまして,第9期,最後の総会でございますので,今の中央教育審議会,過去2年間の審議に関する御意見や,第10期への申し送り事項などについて,皆様の御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは,渡邉委員,お願いします。

【渡邉委員】
 ただいま第9期の中教審の総括を御報告頂いて,改めて振り返ってみますと,第3期の教育振興基本計画から始まり,2040年に向けた高等教育のグランドデザインなど,未来志向型の大変骨太な答申をしていただいたのではないかと感じました。これらの答申をまとめるに当たって,目の前の課題に対処するという視点だけではなくて,未来社会を見据えた形での教育の在り方をいろいろと検討していただいたと思います。特に,未来からのバックキャスト型の思考による検討方法は,政府や経済界でも同じように進めており、軌を一にするのではないかと思いました。
 特に今,政府や経済界は明らかにこれから大きな社会構造の変化があるだろうということを見越しながら,SDGsにも繋がる未来創造のためのコンセプトとして,Society5.0を掲げています。このうちの未来社会を描くためのデジタル革新の側面は世界共通だろうと思います。しかし,ドイツのIndustry4.0や中国製造2025が,デジタル革新というものをかなり中心に据えて思考していることに対しまして,日本のSociety5.0は,デジタル革新だけではなくて,人を中心に据えて多様な人々の創造を重視していることが明らかに違う点だと思います。したがって,こうした点が日本の強みにつながっていくと考えられます。また,SDGsが持つ誰一人取り残さないという考え方とも重なると思います。
 そして,多様な人を中心に据えて未来社会を創るということは,つまり人を育てていかなければいけないということに尽きます。つまり,個性を磨いて多様性を発揮できる教育の実現こそが,これからの日本の大きな課題なのだろうと思います。
 したがって,来期におきましても,引き続き第3期教育振興基本計画にある自立,協働,創造の理念をどう実践していくのかが重要です。日本の教育の現場にはいろいろな好事例がありますから,そうした好事例をベンチマークにして,現場にある力を生かしながら,未来を創造する人材を育てるための教育をこれからも進めていただけたらと思います。理念はそろっておりますが,理念とは実践してこそ力を持ちます。そのため,中教審がこれからもイニシアチブをとって,こういったことを示していただければと思っております。
 感想として申し述べました。以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 先程から申し上げておりますように,このメンバーでの総会は本日が最後となりますので,皆様から一言ずつお願いできればと思います。今,御発言いただいた渡邉委員から五十音順を逆に遡っていく形で,お一人1,2分で構いませんので,それぞれ分属された部会などについての御意見なども含め,どういった点でも結構でございますので一言お願いしたいと思います。

【米田委員】
 それでは,私から申し上げます。
 様々な答申が出されまして,学校の状況に触れる機会を多く持つ者として,大分学校も変わってきつつあるなというふうな印象を受けます。特に働き方改革につきましては,私は5月,6月,学校を全部回って,それからこの1月も校長と,高等学校ですが全部話を聞きました。大分意識は変わってきつつあるんですが,いろいろなことが出されておりますが,一気に全部いかない,進まないというふうな印象を持っておりますが,少しずつ変わっていくために非常にいい形でいろいろなものを出してきたというふうに思っています。いずれ,この後もいろいろな施策が出てくると思いますが,将来,30年後,40年後を見据えた教育とともに,また今までずっと大事にしてきたものも決して忘れないような,そこを置き去りにしないような形でいろいろな提言もしていただければありがたいと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 次の横倉委員からは健康,病気などの観点からのお話をお聞きしたかったのですが,中座せざるを得ないということでしたので,次は,隣の山野委員,お願いします。

【山野委員】
 ありがとうございます。2年間を振り返ってということですね。私は,教育畑ではなく,社会福祉の立場の人間で,生涯学習分科会に入らせていただいていて,非常に勉強になり,きょうの取りまとめの中でも,来年度の方向性の中に,貧困であったりとか,シングルマザーの話とか,いろいろな福祉的な課題と今まで思われがちだったことが,こういう中教審の生涯学習分科会の中に上がってきたりとかということの,教育ど真ん中でない人間から見たら,非常に変化してきた中にいさせていただいて,大変勉強になったなというのが1つです。
 もう1つは,やっぱり教育のことをそんなに,現場は,今の御発言もありました現場にはしょっちゅう行っていますので,学校現場とのギャップであったり,いろいろ届かなさだったりとかという思いを私なりに持ちながら,そこをどうやって架け橋,先ほどの話にもなってしまいますが,どう架け橋をしていって,横串と縦串とうまく刺していってくださるような総会の役割が,そうなんだなということも分かってきましたし,これからもそうあっていただきたいというふうに思います。
 今は非常に勉強になったなということで,申し訳ございません。ありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 室伏委員,お願いします。

【室伏委員】
 ありがとうございます。私は大学院部会に所属させていただいて,2040年を見据えて大学院がどうあるべきかということを皆様と御一緒に議論させていただいてまいりました。
 皆様もよく御存知のように,特に博士後期課程への進学者が非常に少ないことや,後期課程での教育の在り方についても,いろいろな課題が見えてきています。日本の科学力,研究力,そして高等教育における人材を育成する力をますます向上させていくためには,いろいろな点で今後改善していくべきことがあるという共通認識を持つに至りました。
 特に,後期課程に進む人材を何とか確保して,その人たちが伸びていける,そういった環境を確保するために,具体的な施策を打っていくべきだろうと思いますし,リカレント教育についても,今後,2040年を見据えた社会の在り方を考えますと,これまでのリカレント教育と違って,非常に高度なリカレント教育が必要になってまいります。ですから,今後のリカレント教育は,大学院教育とかなり強く連携した形で行っていかないといけないと感じておりまして,これからもこの審議会,あるいは分科会や部会の場で,さらに検討を重ねていただいて,実質的な施策をどんどんと進めていっていただきたいと思っています。ありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 では,無藤委員,お願いします。

【無藤委員】
 私は,初等中等教育分科会に関わりましたので,きょう御報告があった働き方や学習評価,教職課程などの議論に参加いたしました。
 それを通して私の感想ですけれども,その前に学習指導要領が改訂されましたので,それを受けてというのが1つあったわけですが,同時に,特に働き方改革ということで,改めて学校の在り方,学校における教師の在り方を見直すということが出てきたわけです。とりあえずこれが何とかまとめていただいて,それもすごいことだったと思うんですが,それらを通して私が感じたのは,かなり日本の学校教育,初等中等教育の在り方というものが,現実と齟齬を見せてきているということです。今までの小学校,中学校,高等学校の在り方が,今後,そのままでいけるのか,非常に部分的手直しというのをあちこちでやってきているわけですけれども,もう少し基本的なところを見直す必要があるというふうに思います。特に小学校と中学校の間の区別,連携,接続などが1つですけれども。
 もう1つは,広い意味での社会教育,例えばインターネットなどによる学びや,あるいは,いわゆる塾,その他の民間教育などと学校教育の関連,分担なども,もう一度考え直していく必要があるのではないかというのが感想です。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,宮本委員,お願いできますか。

【宮本委員】
 私は,生涯学習分科会に所属させていただきましたけれども,委員の皆様がおっしゃるとおりで,大きく変わる時代状況の中で,学校教育を中心にして生涯教育の方も大きく変わらなければいけないという点で非常に強い共通認識を持って議論が進んだというふうに思います。それは大変結構なことだと思います。
 その上で,今後に対する期待ということになりますけれども,人生100年と言われる中で,その中で1人も取り残す人のないように,この理念はすばらしいと同時に,非常に難しい目標だという感じがいたします。
 その中で,人生100年を健やかに送るために教育が重要であるという点で,誰一人否定する者はないわけでございますけれども,そうであればあるほど,学校教育の抜本的な改革が,今回の検討にも増して重要になるように思います。
 例えば,18歳までの間に何が必要かという議論がありますけれども,人生100年ということになれば,18歳までの間にやれないことを,その後,やれる機会さえあれば,不十分なところは補うことができるのではないか。問題は,18歳までの間に全てやり終えないと,その後,やり終えるチャンスがないというこの現実のところに問題があるのではないかという感じがいたします。
 そういう点で,教育は重要ではありますけれども,生涯を通してどのような条件を持っていても,学び続けながら生きるための働き方の見直しと,社会保障制度の見直しと,そしてまた議論してきたところの地域社会における多様な人材の活躍等がセットになった社会構想をさらに一層進めていく必要があるのではないかという感じがいたしました。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 日比谷委員,お願いできますか。

【日比谷委員】
 私は,将来構想部会に所属をいたしまして,それから,その下に設けられました制度・教育改革ワーキンググループにも入り,そして昨年の終わりに発足しましたけれども,教学マネジメント特別委員会,今,最初に申し上げました2つのところでの議論を受けて,次に何をするかというところの議論にも加わったところでございます。
 将来構想部会でいろいろなことを話しましたけれども,一番根底にあるのは,高等教育はやはり学習者本意でなければならない。高等教育で学んだ人が何ができるようになるのか,何を教えたかではなくて,本当に何ができるようになるかを真剣に考えなければいけないという問題意識を皆様もお持ちだったと思いますし,私もそのように強く感じております。
 そうなると,プログラムをどのように立てたらいいかということもありますし,それから,教学マネジメントをどうやって達成していくかということも非常に重要でございます。私はなかなか初等中等教育について深く勉強する時間が余りないんですけれども,総会に参りまして,そちらの部会での議論の結果も伺いますと,高等教育は単独で存在しているのではなくて,初等中等教育の上に初めて成り立っているということを強くいつも感じて帰るところです。
 そうなりますと,非常に改革も進め,新しい希望をもって高等教育へ行きたいと思っている人が,ここに行ったら何ができるようになる,あっちに行ったらこういうことができるというような意味での情報公開も非常に重要だと思いますし,それから,高等教育の出口としての社会の接続,ここの学校を卒業した人は,こういうことができるので,こういう仕事に就くといいのではないかというような面でも情報公開と,それから成果の可視化が大変に重要だということを,今後の教学マネジメントを考える上でも,是非推し進めていっていただきたいと思います。
 今期は大変に大学についての議論がたくさんございましたけれども,いろいろな方の御参画ですばらしいものがまとめられたことについて大変感謝しております。ありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,次に,中田委員,お願いします。

【中田委員】
 私は,この2年間,委員として参加をさせていただきましたが,私は所属が福島ですので,福島の震災復興の中で地域社会をどう創造していくのか,未来をどうやって作っていくのかという課題と,中教審で今,2040年問題を見据えながら,今後の社会をどういうふうに作っていくのか。その際に,どういう教育改革が必要なのかという議論が重なって見えておりました。
 福島は,人口減少が激しい,特に双葉郡を中心に人口減少が激しいということがありますので,2040年問題で課題となっている子供の少子化という問題は先取り的に現れているということもありますから,そういう状況を見据えながら,教育をどういうふうに変えていくのかと。
 そこで感じているのは,子供の教育,将来の社会の担い手を育てていく教育が,学校教育の役割は非常に大きいということは変わらないとは思いますけれども,社会全体で子供の教育を支えていくということが,今まで以上に重要視されているのだなということを感じました。
 そういう意味では,社会全体で,子供も,それから教育に携わる教育関係者も,自らの成長を促してそれに当たっていくということになりますので,社会全体で生涯教育の理念ということに基づいて,その具体化を図っていくというプログラムが必要になっているということも感じておりました。
 その中で,今まで見落とされがちだった高等教育機関の役割というのが,専門教育というだけにとどまることなく,社会とのプロセスとの関係で,再度,捉え直されていくことが,今,課題になっていて,その重要な指摘がこの中教審の中でも多角的に議論されてきたのだろうなというふうに感じております。
 高等教育機関の認証評価の中でも,プログラムがどういうふうに,教育課程がどういうふうに展開されているのかということを可視化するということが進んでおりますので,今後,高等教育機関の役割,社会との連携のありようということも具体的に展開されていくことになるのだろうなというふうに思います。
 その際に,先ほどから大学院のことで話も出ておりましたけれども,地方の場合は,大学院ですと博士課程を持たない修士課程でとどまっている人・社系の大学院があります。博士課程を持つ大学院と修士課程の段階での役割が,どういうふうに識別されるのか,どういう特徴を持って今後展開されていくべきなのかということも今後の議論の1つに添えていただければありがたいなというふうに思っております。
 この2年間,大変ありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 総括の途中ですが,柴山大臣が今,到着されましたので,先ほどの議案で了承いただきました働き方改革の答申を大臣にお渡ししたいと思います。
 大臣,ありがとうございます。
 答申をお渡しするに当たりまして,私から,まず一言御挨拶申し上げます。
 本件については,平成29年6月に大臣から諮問を受けて,初等中等教育分科会及びその下に設置されました学校における働き方改革特別部会を中心に,約1年8か月にわたって審議を重ねてきたものでございます。
 答申では,先生方,教師のこれまでの働き方を見直し,教師が自らの授業を磨くとともに,その人間性や創造性を高め,子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになるという学校における働き方改革の目的を実現するため,勤務時間管理の徹底や,業務の明確化,適正化などの総合的な方策について提言しております。
 文部科学省におかれましては,この答申を十分に尊重いただき,これまでの我が国の学校教育の高い成果を維持・向上し,これを持続可能なものとするよう,学校と社会の連携の起点・つなぎ役として前面に立って,関係諸施策の充実や必要な制度改正に迅速に取り組まれることを期待いたします。
 それでは,大臣に答申をお渡しいたします。

(答申文手交)

【北山会長】
 それでは,柴山大臣から御挨拶をお願いいたします。

【柴山大臣】
 ただいま北山会長から,「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」の答申を頂きました。
 本件については,平成29年6月の諮問以来,約1年8か月にわたって,皆様に大変精力的な御審議を頂きました。北山会長,小川初等中等教育分科会会長兼学校における働き方改革特別部会長を始め,委員各位が英知を結集され,充実した内容の答申をこうしておまとめいただきましたことに,深く感謝申し上げます。
 本答申におきましては,特に文部科学省に対しては,地域や保護者をはじめとした社会に対して,何が学校や教師の業務であるのか明確なメッセージの発出,教育委員会の取組を調査・公表するなど業務改善が自走する仕組みの確立,学校に新たな業務を求める際のスクラップ・アンド・ビルドの徹底,教育委員会の取組を支える確実な条件整備など,今,北山会長からもお話があったとおり,学校と社会の連携の起点・つなぎ役として前面に立って対応を行うことが求められております。
 学校における働き方改革は,これがスタートであり,ここからが本番であると考えます。文部科学省としても,この答申を受けまして,本日,私を本部長とする学校における働き方改革推進本部を省内に設置いたします。来週29日火曜日に第1回の本部を開催したいと考えております。今後この推進本部の下で,今お示しをいただいた御提言をしっかりと受け止め,答申でお示しいただいたスケジュールに沿って,必要な制度改正を含め,関連施策の推進に全力で取り組んでまいります。
 このたびは本当にありがとうございました。

【北山会長】
 大臣,力強い御挨拶,どうもありがとうございます。
 それでは,総括に戻りますが,12時で終わるために,総括は11時50分までとさせていただきます。
 では,時久委員,お願いできますか。

【時久委員】
 今回の検討に加わらせていただいて,本当にありがとうございました。
 新しい時代に向けた検討ということで,非常に夢のある検討で,本当にいろいろ参考になりました。働き方改革を進めながら,これからの教育作りについては,見通しを持って総合的に組み立てて行わないと,することが多いのでと思っていますので,また元気に私も取組を進めていきたいと思ったことです。
 地方の方から出てきていますので,小さい学校のあるところで問題に感じるのは,やっぱり特別支援の必要な子供と,それから家庭支援の必要な子供と,それから小さい学校が多いので,やっぱり人的措置が非常に難しいというようなことがあったりして困っている面もあったりします。今後是非教職員の定数とか人的なサポートについて,またよろしくお願いいたしたいと思っています。
 以上です。

【北山会長】
 急がせてしまいまして,済みません。
 では次に,寺本委員,お願いします。

【寺本委員】
 PTAの立場として参画をさせていただき,初等中等教育分科会,そして生涯学習分科会の方でいろいろと議論した中で,やはりこれほど社会教育に大きな光が当たっているときはない。今お話があるとおり,学校教育だけでは,子供の教育,また様々な教育の部分を担っていくことは難しい。だからこそ地域の力が必要という中で,今回の答申の中に,57ページにもありますように,特に,中央教育審議会として地域や保護者の方にという文言を入れていただきました。全体の中で「PTA」という言葉や「地域」という言葉を入れていただいたのは,それだけ社会全体として支えないと,この教育は守っていけないし,維持ができないという中で,これからの問題は,恐らくここで決めたことや,作られる本部の中での行動の先がいかに教育関係以外の地域の方や他省庁を含めた多くの国の力を結集して向かっていくのかということに尽きるだろうというふうに思っておりますので,是非そういった点で大臣の如何ないお力を発揮いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,篠原委員。

【篠原委員】
 今期と限らず,長い間,審議に参加させていただき,大変充実した時間を過ごさせていただき,ありがとうございます。特に私は,冬場はこの赤いマフラーをいつもトレードマークのようにしていて,大変失礼かなと思いながら,どなたからもクレームが出なかったという,温かいお心で,大変感謝をしております。
 私,これ,ずっと中教審の審議に参加していて,ひとつ感じるのは,教育再生実行会議との関係がうまくいけばいいなと常に思っていたんですけれども,これは非常に今,うまくいっているのではないかと。ゴルフで言えば,向こうがティーショットを打ち,こちらでアプローチ,パットをやる。こういう役割がうまくできているなということで,これは心配していないんですけれども,1つあれなのは,この家庭教育というのがあらゆる面でポイントなんですね。私がライフワーク的にやっています主権者教育の問題についてもそうだし,今度は働き方改革のこれについてもそうなんです。これを担当する役所はないんですね。文科省は学校教育中心だし,厚労省は福祉だし,だから,この家庭教育というものをどうやってこれから充実させていくか。やっぱり教育は学校と家庭,地域のコラボだと思っていますので,そこのところを今後どういうふうに組み立てていくのか,大きな課題として参加をさせていただいたように感じました。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,志賀委員,お願いします。

【志賀委員】
 私も長く委員をさせていただいていて,最初は,グローバル競争の中で,このままだと日本人が埋没するぞという危機感の下で委員をやらせていただいていたんですが,中に入っていろいろ議論していると,意外や意外,いろいろな改革をされていて,結構ちゃんとやっているじゃないかということなんですが,2つ感想があって,どうしても中教審での議論というのは,学校というところに完結した議論をどうしてもしているわけですが,何回もいろいろな委員会で申し上げているように,これから恐らく社会に出て,雇用の在り方,就職活動の在り方,あるいは労働の流動化みたいなところがすごく大きく動き出す,そういう中で,学校と社会がもっと接続されて人材がそこを行き来しながら学び直しするような,そういう社会が必要だと思うんですけれども,やっぱり産業界と教育界との議論とか,企業と大学の議論が,就職という接点の中だけでしか進んでいなくて,いまだに大学の名前であったり,サークル活動だとか,クラブだとか,外見的なもので数合わせの採用がされているという実態は,これからそこはもう是非やっていきたいなと。
 2つ目は,これも毎回申し上げていることですが,やっぱり教育の議論が非常に多いんですけれども,産業界からすると,大学の研究成果というのは非常に貴重な財産であって,何度も申し上げているように,本当に日本がこれからも産業競争力を強化していくために必要な研究が,十分に今の大学がなされているのかということ,やっぱりここも1つの視点として見ていただければなと思います。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,最後に清原委員から一言いただき,ここで時間を切らせていただきます。そのほかにも総括についての御意見があれば,別途,文科省にお寄せいただければと思います。
 それでは,清原委員,お願いします。

【清原委員】
 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
 まず1点目,私は初等中等教育分科会の「学校における働き方改革特別部会」の委員でございましたが,きょう答申をしっかりと柴山大臣に受け取っていただきましたこと,また,すぐに大臣を本部長として推進本部体制も作っていただけるという心強いお話を伺いまして,本当にありがたく思います。
 「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を進めている三鷹市としては,学校は教師と子供たちだけの場所ではありません。保護者を含めて,家庭,地域とともに成り立っている取組をする中で,まさに「学校における働き方改革」はもちろんのこと,教育は家庭と学校と地域,その連携の中で成り立つということを再確認させていただきました。
 生涯学習分科会では,まさに様々な地域課題を住民本人が解決していくための社会教育の体制が議論されました。「SDGs(持続可能な開発目標)」を検討し,実践していく現場は各地域です。地域は多様です。私たちは,その中で何よりも市民の皆様,大学研究機関,産業界,公共機関が協働して課題解決を果たしていく,その社会教育体制,生涯学習の体制が実ればと思います。
 最後に,昨年10月,総合教育政策局がスタートされました。まさに今申し上げました家庭,学校,地域,そして多様性,それを包含するような政策を文科省が進められていくメッセージだなと思うんですが,併せて貧困や飢餓の問題もありますので,幼児教育,保育の無償化も含め,文科省だけではなくて,内閣府や厚労省等関係府省とも連携していただきまして,次期の中教審で,さらに実効性のある議論が進められればと願っています。どうもお世話になりましてありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,第9期の最後の中教審総会ということで,柴山大臣,中村政務官から,御挨拶を頂戴したいと思います。
 大臣,お願いいたします。

【柴山大臣】
 ありがとうございました。第9期の中教審,先ほど,本答申についての平成29年からということを申し上げましたけれども,この第9の中教審の発足は平成29年2月,それ以来,本当に2年間にわたって,総合的かつ精力的な御審議を頂き,改めて心から感謝を申し上げたいと思います。
 この第9期の中教審の総会は,本当にそれぞれのお立場で皆様が精力的に御議論をいただきました。本日をもって一区切りとなりますけれども,是非委員の皆様におかれましては,それぞれのお立場で,この中教審という我が国の教育の方向性を決める,まさに中心部分に携われた御経験を生かしていただき,今後とも我が国の教育のためにさらなるお力をいただきますよう,よろしくお願い申し上げます。
 申し上げるまでもなく,教育は人々の多様な個性や能力を開花させ,人生を豊かにするとともに,今,志賀委員からもお話があったように,社会全体の一層の発展を実現する基盤となるということをしっかりと認識する必要があると思います。社会が直面する諸課題を乗り越え,我が国を新たな時代へと導くために,累次にわたる答申をはじめとした皆様からの御提言を踏まえて,政策を,今お話があったように,縦割りとか省庁の垣根,あるいは場所,そういったものを超えて,まさに総力を結集して着実に推進していくことが重要だなと考えております。
 終わりに当たりまして,北山会長はじめ委員の皆様の御協力に対し,改めて心より感謝を申し上げまして,甚だ簡単ですけれども,私からのお礼の言葉とさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)

【北山会長】
 柴山大臣,ありがとうございました。
 それでは,中村政務官,お願いいたします。

【中村大臣政務官】
 政務官の中村でございます。大臣の後に話をするというのは非常に話しづらいものでありまして,ただただ第9期の2年間,専門的視点や現場の経験など,そうしたことから日本の教育,また社会との接続,様々な観点から貴重な御意見を頂き,多くの答申をまとめていただいたことを改めて感謝を申し上げます。
 きょうの働き方改革の答申の議論にもありましたとおり,それぞれの答申が生きたものになり,実効性がしっかりと上がるように,文部科学省が起点となって,そしてアクティブに,今,広報にも力を入れていますので,まさにムーブメントを起こすように,しっかりと取り組んでまいりたいと。PDCAのDの部分を文部科学省はしっかりやってほしいというお言葉にしっかり応えていきたいと思います。これからも御指導賜りますことをお願い申し上げ,御挨拶といたします。ありがとうございます。(拍手)

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,この9期の総会の審議を終えるに当たって,会長を務めさせていただきました私からも,一言挨拶申し上げます。
 委員の皆様におかれましては,2年にわたって大変活発に御議論,御意見を頂きまして,本当にありがとうございました。
 私自身は,前期の第8期と合わせて4年間,中教審の会長という大役を仰せつかってまいりましたが,振り返ってみますと,4年前から今日に至るまで,安倍政権の重要施策でもある人材育成,教育改革に対する社会的な要請,モメンタムは,一貫して強く,むしろ最近はますます大きくなってきているものと思います。
 中教審としましても,こうした教育の改革に対する社会からの大きな期待や要請もしっかりと踏まえながら,委員の皆様の英知を結集することで,多くの重要な提言を取りまとめることができたものと考えております。
 とりわけこの9期の中教審におきましては,先ほど,総括で御説明がありましたとおり,第3期の教育振興基本計画をはじめとして,我が国教育のターニングポイントとなるような答申や報告を数多く取りまとめることができたと思います。これはひとえに皆様の御尽力の賜物と深く感謝しております。改めて心から御礼申し上げます。
 文科省の皆様におかれましては,今後,各答申の具体化や,国民の皆様に対する周知にしっかりと取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
 先ほど,柴山大臣,中村政務官から,大変心強い御発言がございましたので,私としましては,今後,それぞれの答申の理念を踏まえたよりよい教育が実現されていくことを強く期待するものです。
 最後に,今後の中教審への期待という点で,一言付け加えますと,先ほど来,出ておりますように,我が国は人生100年時代を迎えようとしており,また,AIをはじめとした技術革新が急速に経済社会構造を変化させています。こうした社会の大転換を乗り越えて,全ての人が豊かな人生を生き抜くために必要な力を身に付け,活躍できるようにする上で,教育が果たす役割は極めて重要だと考えています。
 中教審には,こうした諸情勢の変化のスピードが以前にも増して加速し,先を見通すことが難しい時代にあっても,変化の先を見据えた教育のあるべき姿について議論を尽くし,方向性を示していくことが求められていると考えております。
 この第9期におきましても,足元の喫緊の課題に迅速に対応するための方策の検討に加えて,より長期的な視点から日本の教育が目指すべき姿について多くの時間を割いて議論を行ってまいりました。それぞれの分野の第一線で御活躍されている委員の皆様の御協力を得て,10年,20年先を見据えた検討が深められたことを大変意義深く感じますとともに,来期,第10期の中教審が引き続きそうした議論の場となることを期待しております。
 改めまして,委員の皆様,それから分科会や部会での議論に臨時委員,特別委員として御参加いただいた委員の皆様,そして,パブリックコメント等を通じて意見をお寄せいただいた国民の皆様,それからマスコミの方々に御礼を申し上げます。また,政務三役の皆様,文科省の皆様にも大変お世話になりました。心から御礼申し上げます。
 皆様の今後の一層の御活躍,御健勝をお祈りして,私の挨拶とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。(拍手)
 それでは,時間となりましたので,きょうは終了でございます。どうもありがとうございました。

―了―

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