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中央教育審議会(第118回) 議事録

1.日時

平成30年10月5日(金曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 「第二講堂」(旧庁舎6階)

3.議題

  1. 2019年度文部科学省概算要求及び税制改正要望事項について
  2. 2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申(案))について
  3. その他

4.出席者

委員

 北山会長,永田副会長,明石委員,有信委員,生重委員,伊藤委員,帯野委員,亀山委員,菊川委員,五神委員,志賀委員,篠原委員,恒吉委員,寺本委員,時久委員,中田委員,日比谷委員,室伏委員,山田委員,山野委員,善本委員

文部科学省

 柴山文部科学大臣,小松文部科学審議官,藤原官房長,常盤生涯学習政策局長,義本高等教育局長,瀧本大臣官房審議官,信濃大臣官房審議官,矢野大臣官房会計課長,岡村大臣官房政策課長,坪井科学技術・学術政策研究所所長,角田科学技術・学術政策研究所総務研究官,平野大臣官房審議官,塩見生涯学習総括官,寺門生涯学習政策局政策課長,他

5.議事録

【北山会長】
 それでは定刻でございますので,ただいまから中央教育審議会総会を開催いたします。
 御多忙の中,御出席いただきまして,まことにありがとうございます。
 本日は,新しく政務官に御就任されました中村政務官に御出席いただいております。

【中村大臣政務官】
 よろしくお願いいたします。

【北山会長】
 柴山大臣,浮島副大臣の御両名は,後ほど御到着の予定です。したがいまして,中村政務官には,後ほど大臣が御到着されてから御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

【中村大臣政務官】
 ありがとうございます。

【北山会長】
 それでは,本日の議事について御説明します。
 今日は,まず議題(1)として2019年度,来年度の文科省の概算要求及び税制改正要望事項についての説明がございます。議題の2つ目として, 2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申(案))について,大学分科会で取りまとめられましたので,それを御報告するとともに,御審議いただきます。
 なお本日,報道関係者から会議の全体について録音,カメラ撮影などを行いたい旨申出がありまして許可しておりますので,御承知おきいただきたいと思います。
 それでは,早速議事に入らせていただきます。本日の配付資料について,寺門課長から御説明をお願いします。

【寺門生涯学習政策局政策課長】
 本日の配付資料でございますけれども,お手元の会議次第に記載のとおりでございます。なお,資料3につきましては,皆様方には既にお知らせしてございますけれども,8月10日の中教審総会以降,同審議会運営規則等に基づきまして,総会を経ないで行われた諮問について御報告をしているものでございます。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。配付資料についてはよろしいでしょうか。
 それでは,早速最初の議題に入りたいと思います。2019年度文部科学省の概算要求及び税制改正要望事項について,説明をお願いします。まず,矢野会計課長からお願いします。

【矢野大臣官房会計課長】
 会計課長の矢野でございます。お手元にお配りしております資料1-1,2019年度概算要求のポイントと書かれた資料に基づいて御説明申し上げます。
 まず,1ページをお開きいただきたいと思います。2019年度概算要求につきましては,人生100年時代やSociety5.0の到来を見据えながら,人づくり革命を断行し,生産性革命を実現するための予算といたしまして,5兆9,351億円を要求しているところでございます。
 まず,文教関係予算のポイントでございます。教育政策推進のための基盤の整備といたしまして,新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革を目指し,チームとしての学校を実現するため,専門スタッフ・外部人材の拡充や学校現場における業務改善など,指導・運営体制の強化・充実を図ってまいります。義務教育費国庫負担金につきましては,少子化に伴う自然減などにより28億円の減額要求となっておりますが,2,615人の定数改善を行い,教員の働き方改革と複雑化・困難化する教育課題への対応を推進してまいります。
 続きまして,国立大学,私立大学についてでございますが,基盤的経費の充実を図りながら,メリハリある配分により改革を推し進めるとともに,国立高等専門学校の高度化・国際化を図ります。
 続きまして,学校施設の整備でございますが,児童生徒等の安全と健康を守るため,学校施設の耐震化,ブロック塀等の安全対策,空調整備等の防災機能強化,教育研究環境の改善等を推進いたします。
 続きまして,左下の夢と志を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力の育成というところでございますが,地域と学校の連携・協働を推進するとともに,地域全体で学校安全体制を構築するための支援の充実を図ります。
 また,左の一番下,英語教育やプログラミング教育,道徳教育など,新しい時代に求められる資質・能力を育成するための支援の充実を図ります。
 さらに,右側でございますが,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置拡充,SNS等を活用した相談体制の構築など,いじめ・不登校対応の推進を図ります。
 また,子供たちが新たな価値を創造する力を育成するため,大学入試改革をはじめとした高大接続改革を推進してまいります。
 次に,社会の持続的な発展をけん引するための多様な力の育成でございますけれども,グローバル社会における児童生徒の教育機会を確保・充実するため,在外教育施設の教育機能の強化などを図ります。
 また,博士人材養成のため,卓越大学院プログラムの拡充を図ります。
 次に,生涯学び,活躍できる環境の整備でございますけれども,人生100年時代を見据えて,リカレント教育等社会人が学び直す機会の拡充を図ります。
 また,就学前から卒業後までの特別支援教育の生涯学習化を推進いたします。
 2ページをお開きいただきたいと思います。誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティーネットの構築でございますが,各教育段階の負担軽減といたしまして,幼児教育無償化の実施,高校生等への修学支援,大学等奨学金の充実などに取り組みます。
 新たな外国人材の受入れに対応するため,日本語教育・外国人児童生徒等への教育の充実を図ります。
 また,Society5.0に向けた人材育成でございますが,公正に個別最適化された学びの実現,文理分断からの脱却に資する取組を推進してまいります。
 右側に参りまして,スポーツ関係予算といたしましては,462億円の要求となっております。
 競技力向上の充実,ナショナルトレーニングセンターの拡充整備など,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会,2019年ラグビーW杯等に向けた準備を進めます。
 また,日本版NCAAの充実を含め,大学スポーツの振興,スポーツの成長産業化,障害者スポーツの振興,スポーツ・インテグリティの体制整備など,スポーツ施策を総合的に推進いたします。
 右下,文化芸術予算といたしましては,1,331億円の要求となっております。
 文化芸術立国の実現に向けまして,文化芸術創造活動への効果的支援や,文化芸術人材の育成などを推進してまいります。
 また,日本遺産,世界遺産をはじめとして,文化財を確実に次世代へ継承するため,文化財防衛の推進,文化財を支える技の伝承基盤強化,観光資源の魅力向上などに資する取組の推進を図ります。
 文化財活用のためのセンター機能の整備,国際的な文化芸術の拠点を形成するなど,文化資源の戦略的活用による創造的で活力ある社会づくりを推進します。
 次の3ページをお開きいただければと思います。科学技術予算でございます。Society5.0や持続可能な社会の実現に向けた科学技術イノベーションを推進するため,1兆1,680億円を要求しております。
 まず,Society5.0を実現し未来を切り開くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化といたしまして,Society5.0の時代の核となる,革新的な人工知能,ナノテク・材料,光・量子技術等,未来社会の実現に向けた先端研究を抜本的に強化いたします。
 また,ポスト「京」,次世代放射光施設の本格的な推進をはじめとしたSociety5.0を支える世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用を図ります。
 さらに,オープンイノベーション,地域イノベーション,ハイリスク・ハイインパクトな研究開発を推進いたします。
 次に,我が国の抜本的な研究力の向上と優秀な人材の育成として,若手研究者への科研費のリソースの重点投下,新興・融合領域の開拓,海外挑戦への支援促進といった研究力向上加速プランに取り組むとともに,スーパーサイエンスハイスクール等,若手,女性,中高生を含め,科学技術イノベーションの人材の育成・確保等を推進してまいります。
 右側に移りまして,国家的・社会的重要課題の解決に貢献する研究開発の推進でございますが,iPS細胞等の健康・医療分野,南海トラフの新たな地震・津波観測網の構築といった防災・減災分野,クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現に向けた研究開発等を推進してまいります。
 最後に,国家戦略上重要な技術の研究開発の実施といたしまして,2020年の初号機打ち上げを目指したH3ロケットの開発等の宇宙・航空分野,海洋・極域分野,そして原子力分野の研究開発,安全確保対策等にしっかりと取り組んでまいります。
 4ページをお開きいただきたいと思います。復興特会における文科省関係分野について,御参考までに資料を添付しております。就学支援や心のケア,教育支援など,被災地のニーズをしっかりと酌み取りながら必要な経費を要求しているところでございます。
 2019年度の概算要求の説明は以上になりますが,新聞紙上等でももう既に御案内かと思いますが,災害復旧等のための補正予算について,現在,政府部内で検討しているところでございまして,間もなく災害復旧,あるいは総理から指示がございましたブロック塀,エアコン対策等といったものについて,何がしかの方向性が出る予定でございます。
 私からは以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 次に,税制改正については,岡村政策課長からお願いします。

【岡村大臣官房政策課長】
 御説明いたします。
 資料1-2,縦長の資料を御覧くださいませ。この1枚目は要望事項を,目次を兼ねまして一覧にいたしたものでございます。全部で11項目ございます。一つ一つにつきまして簡単に御説明いたしますが,次のページ以降で御説明させていただきます。
 1ページおめくりいただければと思います。まず,教育,科学技術イノベーション関係でございます。1番目,(1)は教育資金を一括贈与した際の贈与税の非課税措置につきましてですが,この制度の時限でございまして,期限がまいりますので,今回,この制度の恒久化,それから贈与を受ける方の年齢――今は30歳となっておりますが,この年齢の上限の引上げを行おうとするものでございます。
 (2)でございます。日本私立学校振興・共済事業団への寄附金のうち,若手や女性の研究者の奨励に係る寄附につきまして,指定寄附金の対象としようとするものでございます。
 次のページを御覧ください。(3)でございます。公益法人ですとか学校法人が実施する奨学金の貸与事業の借用証書等に係る印紙税の非課税措置も時限でございまして,期限がまいりますので,これを延長しようとするものでございます。
 (4)につきましては,経済産業省等との8省での共同要望になります。企業の試験研究費の額に応じまして,税額の控除が受けられる措置につきまして,試験研究費の総額に応じた控除の上限の引上げ,それから,ベンチャー企業等との共同研究における控除率の引上げ等を行おうとするものでございます。
 次の3ページ目を御覧ください。スポーツ関係でございます。(1)はゴルフ場利用税の廃止でございます。現在,スポーツの中でゴルフ場の利用にのみ課税されております。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えまして,本税の廃止を求めてまいります。また,本税は自治体の貴重な財源でもございますので,地方財源への配慮方策についても併せて検討してまいります。
 (2)でございます。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けまして,この大会の準備,運営を支援するために来日する大会関係者であります個人ですとか外国法人を対象といたしまして,大会関連活動に係る所得税,法人税等の非課税措置を講ずるものでございます。
 4ページ目を御覧くださいませ。文化の関係でございます。(1)は個人ですとか法人が重要文化財等を国等に譲渡した場合の譲渡所得税の課税の特例につきまして,対象となる譲渡先として,市町村が指定する文化財保存活用支援団体を追加しようとするものでございます。
 (2)でございます。公益法人が所有する能楽堂に係る固定資産税等の軽減措置の恒久化を図るものでございます。
 最後,5ページ目を御覧ください。その他の制度改正に伴うものでございます。(1),(2)につきましては,本年6月の骨太の方針に基づきまして,それぞれ幼児教育の無償化,それから,高等教育の無償化の実施に際しまして,保護者ですとか御本人への給付につきまして,非課税措置等の税制上の措置を講ずるものでございます。
 (3)は大学の将来像に係るこちらの審議会での議論等を踏まえまして,大学改革支援・学位授与機構の業務の見直しに際しまして,税制上の優遇措置を継続しようとするものでございます。
 以上が,来年度税制改正要望事項でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【北山会長】
 ありがとうございました。いま御説明のあった概算要求と税制改正に関して,皆様から御質問等ございましたらお願いします。
 では,篠原委員。

【篠原委員】
 予算の概算要求のところなんだけど,防災のところが3ページの右上の方にありますよね。防災教育というのは非常に大事なので,こういう防災のいろんな研究開発をやるというのは大変重要だと思うんです。
 矢野さんが御存じかどうかは知りませんけれども,今,高校生津波サミットというのが毎年日本で行われているんです。日本の高校生とアジア各国の高校生が日本に来て,サミットを毎年やっているんです。今年は和歌山か何かで今月やるようになっています。そういうものに文科省としてどういう関わりをし,どういう支援をしているのか教えていただきたいなと。是非こういうものに文科省もやっぱり関わっていくべきだと僕は思うんです。

【北山会長】
 では,小松審議官からお願いできますか。

【小松文部科学審議官】
 御指摘ありがとうございます。
 この津波サミットは,高校生の国際交流の幾つかあるプロジェクトの中の一つとして,主催する県などが中心になってやっております。
 国際交流などの旅費等につきましては,それそのものの費目というものがお金の面では残念ながらありませんけれども,これは各県や国際団体,あるいは各国の大使館などとの間で工面されておりまして,今,正確に手元にありませんが,3年ほど前から私どもといたしましても,例えば,式典参加をするとか,そういったことを講じ始めております。

【篠原委員】
 何を? 参考書?

【小松文部科学審議官】
 参加です。行事に参加するなどしてエンカレッジをしていくということをいたしております。御指摘の和歌山が一番連続的に早くから今の話は始めておりまして,その後,たしか高知とか幾つか手が挙がっているかと思いますけれども。

【篠原委員】
 今年も何か和歌山でやるんです。

【小松文部科学審議官】
 はい。和歌山はずっと連続してやっておりますので,そういった動きを見ながら,引き続きエンカレッジしてまいりたいと思っております。

【篠原委員】
 いい試みだと思うので,こういうものに是非文科省としても積極的に関わっていただきたいなと思います。よろしくお願いします。

【小松文部科学審議官】
 御指摘ありがとうございます。

【北山会長】
 では,伊藤委員,お願いします。

【伊藤委員】
 ありがとうございます。今,御説明いただきまして,学校における働き方改革でありますとか,複雑化・困難化する教育課題の対応に向けて御尽力を頂いておりますことに本当に感謝申し上げます。その上で,要望ということになるかもしれませんけれども,学校現場の声ということで2点ほどお聞きいただければと思っております。
 1点目は,今の資料の5ページになりますけれども,この5ページにある基礎定数化についてです。この基礎定数化につきましては,大きな前進で,私どもも大変喜んでいるわけですけれども,現場ではなかなかその実体というのが見えてきていないというのが現状でございまして,例えば,本校にも通級指導教室がございますが,今,30人の対象者を1人の教員が見ているという状況が続いているんです。それで,例えば,2人の生徒を一度に見るとか,3人の生徒を一度に見るとか,あるいは教材研究や通常学級の教員と連携するための話し合いの時間もなかなかとりにくいといった状況が実はございます。そこで,この基礎定数化の着実な実現をお願いできればということが1点目でございます。
 2点目は,同じ5ページになりますけれども,小学校における英語の専科指導についてでございます。これも専科指導教員の配置そのものについては,大変有り難く思っております。それで,今後の運用面についてですが,H31要求人数が+1,000人,2026年度までを見込んでも+3,000人ということになりますと,ほとんどの学校ではやはり学級担任が授業を行うということになります。
 現在の運用では,専科が配置されている場合は,学級担任はティーム・ティーチングなどの授業に入れないようになっているということですが,こうなると逆に,教員の指導力向上の機会を潰してしまうことになるのではないかという声もあります。このあたりの運用について,今後,より柔軟な方向で御検討いただければ有り難く思います。
 以上です。

【北山会長】
 では,小松審議官、よろしいですか。

【小松文部科学審議官】
 ありがとうございます。基礎定数化の件につきましては,この中央教育審議会からも異例の意見書を出していただき,教育委員会だけではなく知事部局の御支援なども強力に頂きまして,当時の山田知事会長にも大変御尽力いただきまして,法改正まで来たものでございます。10年計画でしっかりやっていこうと考えておりますので,着実にやってまいりたいと思います。
 それから,今の専科教員のお話につきましては,若干各地域とかで運用が異なっているかもしれませんけれども,できるだけやりやすいようにということで,よくコミュニケーションさせていただきながら取り進めたいと存じます。よろしくお願いいたします。

【北山会長】
 志賀委員,お願いします。

【志賀委員】
 科学技術予算に関してですが,今回2,054億円増ということで,大分頑張って要求をされているなと思うんですが,今回ノーベル賞を受賞される本庶先生,あるいは以前とられた大隅先生も基礎研究力がどんどん弱まっているのではないかと危惧された御発言があると思うんですけれども,この基礎研究というのは,私もこの席で何度も申し上げていますが,本当に日本の産業界が新技術を出していく前の10年,20年さかのぼっていくと必ず大学で基礎研究をやっていただいている技術で,今,自動車メーカーが躍起になって開発を進めている全固体電池も東工大の菅野先生の研究ですし,そういうものが積み重なって日本の産業競争力があるというのを私は本当に実感しているんですが,この要求額というのは,結構頑張った部分なんでしょうか。まだまだ本庶先生の期待に応えていないレベルなので,そこの程度感を教えていただければと思います。

【北山会長】
 矢野課長からお願いできますか。

【矢野大臣官房会計課長】
 頑張ったかというと,対前年度2,054億円の増は,大体概算要求基準ぎりぎりまで行っておりまして,その中で基礎研究の部分,例えば,特にこの3ページでいいますと左から2番目の科学研究費助成等184億円増ということで,かなり頑張ったつもりです。
 まだまだ足りないという声もあるかもしれませんが,要求だけでは意味がないので,年末の予算案決定に向かって,これを着実に取っていくというのが私どもの今,目指しているところでございます。
 以上です。

【北山会長】
 あとお二方,室伏委員と山野委員,お願いします。

【室伏委員】
 ありがとうございます。2点ほど申し上げたいことがございます。文部科学省が大変頑張って予算建てをしてくださって,概算要求も本当に御努力くださっていることに感謝申し上げたいと思います。
 2つお願いがございます。12ページの,国立大学等施設の整備というところですが,御存知のように,国立大学では施設の老朽化が大変進んでおります。ここで2019年度の要求・要望額が823億円と増額なっておりますけれども,86の国立大学では,現実には非常に施設設備予算が不足しています。中には今にも事故が起こるようなことも危惧されているところもございます。もちろん先端的な設備などを整備することは非常に重要ですが,やはりそれを根底から支えるために,施設の老朽化に対して,安全な施設にするための予算はとても重要だと思いますので,是非御努力をお願いしたいと思います。
 それからもう一つ,46ページの自然災害に対する強じんな社会に向けた研究開発の推進に関してです。様々な大地震などの自然災害がいつ起こっても不思議ではないという状況になっております。様々な基礎的研究などがいろいろな大学や研究機関で進められていて,成果を上げていることはよく分かっているのですけれども,それらを横串を刺したような形で,現実に人々の命を守るためにどんなことをするべきかといったことをもう少し分かりやすい形で社会に対して発信できる体制の整備も必要ではないかと思っております。こういった自然災害に対する研究開発を是非後押ししていただきたいですし,その中で,真に人々の安全を守るためにはどうするべきかということについての議論と,研究成果も社会に実装していくということについても,もっと力を入れていただけると大変有り難く思っております。よろしくお願いいたします。

【北山会長】
 次に,山野委員,お願いします。

【山野委員】
 ありがとうございます。質問というか,13ページの学校を核とした地域力強化プランというところなんですが,この間も生涯学習分科会がございまして,ここでコミュニティ・スクール,地域学校協働活動,それから家庭教育支援ということで,2015年の中教審の部会の答申をうまくまとめてくださった形できれいに見せてくださっていると思うんです。これが,あのときもチーム学校部会もあって,学校教育とこの学校を核とした地域住民の参画のここの地域力強化プランというところの関連が見える化していっていただけたらなという御意見が,先日も生涯学習分科会で出ていたんですけど,こういった中にも是非,直接ここの費用でないということは十分承知しているんですけど,つながりが見えていくような書き込みができないのかなと思いました。
 以上です。

【北山会長】
 御意見として頂戴します。室伏委員からのご意見について高等教育局からお願いできますか。

【義本高等教育局長】
 12ページにございます,室伏委員に御指摘いただいた施設の老朽化の問題は,しっかりと対応していく必要がありますので,今回の概算要求におきましても,前年度予算が376億円のところ2019年度要望額を823億円として,その確保を目指していたところでございます。予算の確保ということについては,追加財政需要も含めて絶対確保しなければならないところであり,しっかり取り組んでいきたいと思います。
 現場に参りますと本当に深刻で,こうしたライフラインのところでいつ事故が起こってもおかしくないようなこともございますし,また,いろいろな形で産学連携を進めるにおいて,施設,設備が非常に重要であることは先生がおっしゃるとおりでございますので,しっかり受け止めて頑張っていきたいと思います。

【矢野大臣官房会計課長】
 それと46ページの,先ほど自然災害に対する強じんな社会に向けた研究開発の推進ということで,南海トラフの海底地震・津波観測網の構築ということで,これにつきましては,南海トラフの地震の津波観測網がこの46ページに地図が載っておりますが,この部分が今,空白区域になっているところでございます。是非ここを来年度の予算で埋めたいということでございまして,32億円――総額大体200億円費用が掛かりそうですけれども――確保していきたいと思っております。
 それで,当然のことながら,気象庁等との連携が不可欠だと考えておりますし,それとその右側の国立研究開発法人防災科学技術研究所,今年はいろいろと豪雨が,例えば線状降水帯とかそういう課題がございますが,そちらについても研究費用を4億円ほど増額いたしまして,線状降水帯の雨雲の構造等を研究する。それで得られた情報を,例えば国土交通省等に提供いたしまして,災害等に対する予測力,対応力,普及力といったものを研究開発していきたいと考えております。今年の目玉の要求のうちの2つだというふうに考えているところでございます。
 以上です。

【北山会長】
 よろしいでしょうか。
 私からも一点質問なのですが,この概算要求には入っていないと思いますが,消費税の引上げ後に,1.7兆円,民間の拠出金を加えると2兆円の政策パッケージの話がありますよね。内容は幼児教育,高等教育に分かれていたかと思いますが,それぞれ,どのような位置付け,スケジュールとなっているのかを教えていただけますでしょうか。

【常磐生涯学習政策局長】
 ありがとうございます。ちょうどたまたまといいましょうか,資料1-2,税制改正関係の要望事項の資料の一番後の5ページのところに関連の閣議決定がございます。中段のところに枠囲いで参考といたしまして,今年の6月15日の閣議決定,いわゆる骨太の方針の閣議決定がございます。その中で書いてございますように,大きく2つございまして,1つは今,会長からお話がございましたように幼児教育の無償化,それから,もう一つが高等教育の無償化が大きな柱となっております。
 例えば,幼児教育の無償化については,新しい経済政策パッケージでの3歳から5歳までの全ての子供及びゼロ歳から2歳までの住民税非課税世帯の子供についての費用の無償化措置。高等教育につきましては,住民税非課税世帯の子供たちに対する授業料の減免措置ということ,それから,第二といたしまして,給付型奨学金ということがパッケージの中に組み込まれているわけでございます。これについては,消費税の引き上げ分の財源のうちの1.7兆円を充てるということになってございます。
 そして,その実施時期でございますけれども,幼児教育につきましては,来年,2019年10月を目指してそれを実施することになってございます。それから,高等教育につきましては,2020年4月ということで今,検討作業を更に進めている状況でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,議題1はここまでとしまして,議題2の高等教育の将来構想に移りたいと思います。
 これは,昨年3月6日に文科大臣の諮問を受けて,我が国の高等教育に関する将来構想について,大学分科会の下に設置された将来構想部会を中心に審議が進められてきたところであります。前回,8月10日の総会でも,将来構想部会,大学分科会で6月28日に取りまとめられました本件に関する中間まとめについて御審議いただきました。大学分科会や将来構想部会では,この中間まとめ以降も精力的に審議を進めていただき,今般,2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申(案))が取りまとめられたところであります。
 きょう,それを皆さんに御審議いただく運びになったわけですけれども,まず,答申案の作成に大変御尽力いただきました大学分科会の永田分科会長からまず概略について御説明いただきたいと思います。

【永田副会長】
 ありがとうございます。資料2-2の目次を御覧になりながら概要を御説明いたします。今,御説明があったとおり,6月の中間まとめから,その後,いろいろな御意見をお伺いして最終まとめの案を作成しました。
 目次に沿って見ていただきますと,「はじめに」と1では,現在の状況と2040年の状況を中心に考察を加えて,そのためにどうしたらいいか,一言で言えば,真に人間がやるべき仕事を自分で見極められるような力を持った人材が必要である,という書きぶりにしております。
 2では,教育研究体制の在り方について述べております。一言で言えば,多様性と柔軟性の確保ということです。学生については,従来の18歳で入学する日本人を中心とした学生に加えて,更にリカレントに挑む学生,異能を持った学生,あるいはインターナショナルスチューデントを含めた多様な学生を受け入れることのできる体制を整備するということです。教員についても同様のことが言えます。それぞれの大学が自らの強みを発揮そて多様性と柔軟性を確保するためには,大学設置基準も,昭和30年代にできたままではなくて,新たな教育プログラム編成を可能とするような柔軟性を求めていきたい,と書いております。ガバナンスについても同様のことが言えます。大学の多様な強みについては,機能強化という考え方でこれまで大学が自分の個性を磨いてきたわけですが,更に機能強化されたものを強みとして展開してほしいという内容です。
 3の質の保証については,最後の7の今後の検討課題のところにも出てきますけれども,設置,アフターケア,認証評価を通じたシステムそのものを大きく考え直していかなければいけない点について述べています。
 4は,決定的で物理的に止められない要素として,18歳人口の減少という文脈で述べています。その中で,具体的な言葉としては規模や地域配置ということになっておりまして,後ほど詳細に御説明いただくことになると思います。今回の答申でおそらくかつてなかった部分が,4の3,地域における高等教育,地方,あるいは地域を意識した観点が入ってきているということです。
 次に,5として,四年制大学以外にも多種多様な高等教育機関がありますけれども,これに加えて,学士課程の上にある大学院について,それぞれの役割や特有の検討課題について述べております。
 ,高等教育を支える投資という部分は,コストの可視化とあらゆるセクターからの支援の拡充と書いています。はじめに,基礎研究も含めて目に見える形で回収できる部分もあるけれども,長年時間をかけて国の支えになるような教育研究もあると述べています。その上で,コストを可視化しつつ,公財政支出,それから民間からの支出にも随時に働きかけていきたい,と述べています。
 最後に,今後の検討課題では,今後,中央教育審議会で議論を進めるべき内容及び文部科学省あるいは国が取り組まなければいけない課題をまとめて書いております。
 概要は以上になりますけれども,詳細については,義本高等教育局長から説明をいただきたいと思います。

【北山会長】
 永田先生,どうもありがとうございました。
 ここで,義本高等教育局長から詳細について御説明をいただく前に,ちょうど今,柴山大臣が来られましたので,柴山大臣から御挨拶いただきたいと思います。大臣,よろしくお願いします。

【柴山大臣】
 このたび,文部科学大臣に就任いたしました柴山昌彦でございます。文部科学省の責任者として,教育行政に対する国民の皆様方の信頼を確保し,教育改革に全力で取り組んでまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。着座させていただきます。
 今回の総会は,私が大臣就任後,初めての総会であります。中央教育審議会に出席させていただくに当たりまして,北山会長,小川,永田両副会長をはじめ,委員の皆様方のこれまでの御尽力にまずもって心より感謝申し上げます。
 申し上げるまでもなく,教育は,国家100年の計ということで,知識基盤社会,そして人口減少社会にあって,私は就任の記者会見でも申し上げたところですけれども,こういう時代にあってこそ,その重要度が極めて増しており,また,世論調査等を見ても,国民の期待のある政策分野ということが言えるかと思います。そうした国民の期待に応えて教育再生を実現し,日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくための人づくり革命を断行するには,皆様の御提言を踏まえて,政策を一つ一つ着実に実行していくことが必要であります。
 具体的に,きょうの総会で御審議いただく2040年に向けた高等教育のグランドデザインでは,文理の壁を越えて,普遍的な知識・理解,また汎用的技能を身に付けた人材を育成するために,学修者本位の教育へ転換していく,そして,地域における質の高い高等教育機会の確保のための各大学の強みを生かして,しかも連携・統合をしていくその在り方,こういった事柄が盛り込まれると承知しております。
 また,生涯学習分科会や初等中等教育分科会では,人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興策や学校における働き方改革に関する議論をしていただいているものと承知しております。
 これらの事項はいずれも,これからの教育,ひいては我が国の未来を左右する極めて重要なものでございます。委員の皆様方のこれまでの御尽力に対して改めて深く感謝申し上げますとともに,引き続き,積極的な御審議を賜りますように心より重ねてお願い申し上げまして,私からの挨拶と代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

【北山会長】
 大臣,どうもありがとうございました。冒頭御案内したように,中村政務官にここで御挨拶を頂戴したいと思います。中村政務官、お願いします。

【中村大臣政務官】
 御紹介いただきました文部科学大臣政務官を拝命しました中村裕之でございます。昨日,官邸で総理より辞令を頂きました。
 私は,2003年,4年の2年間,日本PTA全国協議会の副会長を務めておりましたが,当時は文部科学省といいますか,PTAにとっても最重要課題は,義務教育費国庫負担制度の堅持でありました。その要望のために,PTAの全国の副会長として,会長とともに文部科学大臣室をお訪ねし,その要望を重ねてきたことが今でも懐かしく思うところであります。
 当時,小泉内閣の三位一体改革が大きなテーマでしたけれども,今,第3次安倍政権にとっては,人づくり革命,1億総活躍,そして,デフレからの完全脱却という目標に向かって各省が全力を挙げる中で,文部科学省の果たす役割は大変重要だというふうに思っております。
 中教審の先生方の御提言を我が国の政策に生かしていくためには,法律改正や必要な予算の確保が間違いなく大事だと思っておりますので,柴山大臣をお支えしながら精いっぱい努力をさせていただこうと思っております。皆様の御指導をこれからもお願い申し上げまして,御挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

【北山会長】
 中村政務官,どうもありがとうございました。
 それでは,義本局長から詳細について説明をお願いしたいと思います。

【義本高等教育局長】
 高等教育局長の義本でございます。
 先ほど,大臣から趣旨の御説明,それから永田分科会長から答申(案)の概略についてご説明がございましたが,資料2-1,2-2をご覧ください。資料2-1が要旨でございますので,答申(案)の全体像を概観する際のアウトラインとして適宜,御活用いただきたいと思います。
 本日は,資料2-2の答申(案)本体を用いまして御説明をさせていただきます。途中,黄色いマーカーを引いておりますが,他意はありませんで,見やすくするためのハイライトということでお考えいただければと思います。
 それでは,2ページ目,「はじめに」のところでございます。こちらでは,本答申を「2040年の高等教育のグランドデザイン」と位置付けた主目的としまして,様々な学修者に対し,我が国の高等教育がこれからどう変化していくのかについての提言をするものであるということを宣言しております。
 3ページを御覧ください。本答申は,これからの高等教育改革の指針として位置付けられるものとして,その実現すべき方向性を3つの段落に分けて記載しております。
 1つ目は,学修者が「何を学び,身に付けることができるのか」を明確にしていくということ。それから,学修の成果を学修者が実感できる教育が行われていることを確認できる質の保証の在り方へ転換されていること。
 2つ目は,2040年には18歳人口が88万人に減少し,現在の7割程度の規模になるということが推計で出されていることを前提にしまして,規模の適正化を図っていく上で,社会人及び留学生の受入れの拡大が図られているということを目指すべき成果としてあげております。
 3つ目は,地域における高等教育のグランドデザインが議論される場が常時あり,地域のニーズに応えるという観点からも高等教育が充実し,強みや特色を生かした連携や統合が行われていくということ。
 以上,3点を整理しているところでございます。
 続きまして,4ページ目,「1.2040年の展望と高等教育が目指すべき姿」を御覧ください。
 まず,2040年という年は,本年に生まれた子供たちが,現在と同じ教育制度の中では,大学の学部段階を卒業するタイミングとなる年であるということでございまして,2040年を迎えるとき,社会を支え,社会をけん引する人材に必要とされる資質や能力について,OECDにおける議論などをベースに整理しています。
 5ページでございますけれども,今後はSociety5.0の到来などを見据え,数理・データサイエンス等を基盤的リテラシーと捉え,文理を越えて共通に身に付けていくことが重要であり,予測不可能な時代の到来を見据えた場合,専攻分野についての専門性を有するだけではなく,幅広い基盤の上で教養を身に付け,社会を改善していく資質を有する人材が多く誕生し,様々な分野で多様性を持って活躍していることが必要であるということを整理しております。
 6ページにおきましては,「我が国の世界における位置付けと高等教育への期待」ということについて,高等教育が社会や経済を支えることのみならず,世界が直面する課題の解決に貢献するという使命を帯びていること,また,世界の高等教育の広がりから,高等教育システムは,国,地域を越えて展開される「オープン」な時代を迎えているということを整理しております。
 7ページでは,「高等教育が目指すべき姿」につきまして,期待される変化として,「何を教えたか」から,「何を学び,身に付けることができたのか」への転換をしていくこと,その際,学生自らが学んで身に付けたことを社会に対し説明し納得が得られる体系的な内容であること,時間と場所の制約を受けにくい教育研究環境に関するニーズへの対応や,ICTを活用した新たな手法の導入,個々人の学修の達成状況の可視化,そして,生涯学び続ける体系への移行ということを整理しております。多様性と柔軟性を持った高等教育への転換を引き続き図っていくことが必要であり,そこで学ぶ学修者にとって,多様で柔軟な仕組みと流動性を高める方策が必要であるとしております。
 8ページからは,「2040年頃の社会変化の方向」ということで,基本的には中間まとめから変わっておりませんけれども,「SDGsが目指す社会」,「Society5.0,第4次産業革命が目指す社会」,「人生100年時代」,「グローバリゼーションが進んだ社会」,「地方創生」について整理をしております。
 次に,12ページからは,2040年を見据えた高等教育と社会との関係について整理しております。
ここでは,「学問の自由」,「大学の自治」というところから,高等教育機関の「建学の精神」や「ミッション」は時代の変化の中で,変わるべきものと変わらないものがあり,高等教育機関自らが,これらや教育研究についての説明責任を果たしていくこと,さらにはその「強み」と「特色」を社会に分かりやすく発信していくことが重要であるという整理をしております。
 また,中間まとめから,「研究力の強化と社会との関係」について少し付け加えさせていただいております。多様で卓越した新しい「知」が,イノベーションの創出や科学技術の発展に大きく資するものであるということ,新たな知識や価値の創出に多様な専門性を持つ人材を結集し,チームとして活動することの重要性などについて記載しております。
 13ページ,「産業界との協力・連携」につきまして,通年採用導入による,ポテンシャル採用からジョブ型採用への転換,大学教育の質と学修成果を活用した採用活動の拡大など,産業界として取り組んでいただくことが必要であるということを明記しております。
 また,リカレント教育につきましては,産業界の雇用の在り方,働き方改革と,高等教育が提供する学びのマッチングが必要不可欠ということを整理しております。さらに,大学と社会の接続の観点から,「インターンシップ」の充実や,複線型のキャリア形成を可能とするための流動性を高めていくことの重要性についても触れております。
 14ページにおきましては,「地域において高等教育が果たす役割」について,人口減少下においても,各人が望む地域で,自らの価値観を大切にして生活していくことができる社会を実現していくためには,高等教育が果たす役割は重要であるということについて言及しております。
 以上が,1として,「2040年の展望と高等教育が目指すべき姿」について整理したところでございます。
 15ページからは「2.教育研究体制」について整理しております。教育研究体制については中間まとめから大きくは変わっておりませんが,将来の高等教育機関の教育研究体制について検討すべき事項を,多様な学生,多様な教員など5点で整理しておりまして,冒頭は,この章全体を俯瞰(ふかん)した文章を記載しております。
 15ページの後段から,多様な学生ということで,18歳で入学する日本人を主な対象として想定するという従来のモデルから脱却し,社会人や留学生を積極的に受け入れる体質転換を進める必要があるとしております。
 この記載を受けまして,16ページ,リカレント教育でございますが,従来行われてきたリカレント教育の課題を整理した上で,履修証明制度の見直しや単位累積加算制度について検討を進めるとしております。
 また,企業においても,採用時や処遇に際して学修の成果を適正に評価していただく必要があるということ,「地域連携プラットフォーム(仮称)」や「大学等連携推進法人(仮称)」などの仕組みを活用しつつ,複数の高等教育機関が連携してプログラムを提供することを併せて推進すべきとしております。
 次に,「留学生交流の推進等」について記載しております。優秀な留学生の学部段階での受入れや,多様な国・地域からの受入れを推進するためには,諸外国の留学生の動向を分析し,より優秀な留学生を引き付けることができる教育を提供していくことが必要であるということ,17ページにおきましては,留学生が我が国で就職し,活躍する方向に在留政策自身が大きく転換するという流れの中において,留学生の就職促進への期待について言及しているところでございます。
 18ページ,「高等教育機関の国際展開」でございます。多様な学生を受け入れていくためには,我が国の大学の海外校の設置や,海外協定校との連携などを通じた国際展開を進めていく必要があるということを記載しております。
 18ページ,19ページの四角囲いの中におきましては,今申し上げましたリカレント教育,留学生交流,国際通用性の確保,国際展開について,より具体的な方策について記載しております。
 20ページ,「多様な教員」についてでございます。若手,女性,外国籍など様々な人材を登用していく必要があるということ,必要な研修や業績評価,教育研究活動を行うことができる環境の整備が行われていく必要があるということを整理しております。
 また,本答申で求める高等教育改革は,各教員と軌を一にすることで,円滑に進むものであり,考え方及び方向性の共有を適切に図っていく必要性についても触れているところでございます。
 21ページ,「多様で柔軟な教育プログラム」について記載しております。まず,「初等中等教育との接続」につきまして,初等中等教育段階の状況を御紹介した上で,アドミッションやその後の高等教育にどう生かしていくかという高大接続の観点などから,高等教育における「学び」を再構築することが重要であるということ。
 次に,「文理横断,学修の幅を広げる教育」ということで,分野を越えた専門知の組合せ,文理横断的なカリキュラムが必要であり,学生の学修の幅を広げるような工夫が求められていると整理しております。
 「多様で柔軟な教育プログラム」では,時代の変化に応じ,迅速かつ柔軟なプログラム編成を可能とすること,単位互換等の制度運用の改善,ICTを利活用した教育の推進ということで整理しております。
 24ページは,「多様性を受け止める柔軟なガバナンス」ということでございます。ガバナンスにつきましては,大学等の連携・統合を円滑に進めることができる仕組みや,学外理事との関係を整理しておりまして,中間まとめから基本的には変わっておりません。
 26ページ,「大学の多様な「強み」の強化」についても中間まとめから大きく変わっておりませんが,機能別分化の考え方は,平成17年の「将来像答申」から維持していくべきものであり,機能の選択と比重の置き方を考える際には,各大学はより分かりやすく整理いただくということが大切でございます。以下,参考に基本的な機能の例を示しておりますが,これに限定されるものではなく,どのような価値を付加していくのか,ということがより重要だというような整理をしております。
 以上が,「2.教育研究体制」についてでございます。
 28ページから,「3.教育の質の保証と情報公表」について整理しております。質の保証に関しては,入学時から修了時までの学修者の「伸び」,それから満足度をどう考えていくのかということが大切でございます。
 質保証の取組に関する現状としては,授業以外の学修時間が非常に短いことや,受講する科目が多く,授業以外の学修時間の確保を難しくしているのではないかということ,さらには,改善に真剣に取り組む大学と改善の努力が不十分な大学とに二極化しているのではないかというような御指摘があるところでございます。
 29ページを御覧ください。「保証すべき教育の質」とは,何を学び,身に付けることができるのかが明確になっているか,学んでいる学生は成長しているのか,学修の成果が出ているのか,魅力的な教員組織・教育課程があるかということが重要な要素で,この観点について情報公表を徹底するとともに,設置認可や認証評価の段階でも確認されるべき質の根本的な要素であるとしております。
 その中で,大学が行う「教育の質の保証」と「情報公表」について整理しております。教育の質を保証するためには,第一義的には大学自らが率先して取り組むことが重要であり,「三つの方針」(アドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシー)に基づく体系的で組織的な大学教育を,プログラム共通の考え方や尺度を踏まえた点検・評価を通じて,不断の改善に取り組むことが必要であるとしております。
 30ページでは,カリキュラムを検討するために必要な体制の整備やガバナンスの強化,学修成果の可視化や情報公表に関することも記載しておりますが,「教育の質の保証や情報公表に真摯に取り組まない大学は,社会からの厳しい評価を受けることとなり,その結果として撤退する事態があり得ることも覚悟しなければならない」という形で言及をしているところでございます。
 なお,高等教育機関が質の保証の取組を進めることと同時に,産業界においては,採用プロセスに当たり,「求める人材」のイメージや技能を具体的に示していくことや,可視化された学修成果に関する情報を選考活動において積極的に活用すること,大学における学修成果を重視しているとのメッセージを学生に対して積極的に発信することを求めているところでございます。
 次に,31ページからは,国が行う「質保証システム」の改善について触れているところでございます。我が国の質保証に係る制度は,大学の設置認可による大学設置時,設置後の大学の評価の組合せにより成り立っております。その前提となっているのが昭和31年に制定されました大学設置基準になりますが,時代の状況を受けて改正は順次行われてきたものの,抜本的な見直しが必要ということで,定員管理,教育手法,施設設備等について在り方を検討してはどうかという記載をしているところでございます。設置基準は,既存の大学を含んだ全ての大学を対象としており,今後,専門的な検討を経た上で,その見直しを行っていくべきだとしております。
 これらの方向性を踏まえつつ,設置基準の解釈の明確化,設置計画履行状況等調査,認証評価の結果を踏まえた厳格な対応などについて質保証のための必要な見直しを行い,速やかな対応を行うこととして整理しているところでございます。
 それから,教育の質の保証と情報公表に関する具体的な方策は,31ページから34ページの四角囲いの中で整理させていただいているところでございます。適宜,御参照ください。
 以上が,「3.教育の質の保証と情報公表」の説明でございます。
 35ページからは,「4.18歳人口の減少踏まえた高等教育機関の規模や地域配置」について整理しております。将来像を描くに当たっては,現在の進学動向などを正確に把握するとともに,将来の進学動向の推計について具体的な形で可視化することが重要でございます。
 推計につきましては36ページを御覧いただきたいと存じますが,高等教育機関への進学者数は2040年には約74万人となり,平成29年現在と比較しますと23万人の減少,そのうち,大学進学者数は51万人となり,12万人減少すると推計しております。
 進学者数の推計を受けて,全体の規模をどのように考えていくのかということでございますが,平成17年の「将来像答申」に示しました「将来像の提示と政策誘導」という方向性は変わらないとした上で,各高等教育機関は,18歳人口を中心とした在り方では,現在の規模を維持することはできないということを認識し,いかに学生の可能性を伸ばすことができるかという教育改革を進め,個々人の可能性を最大限伸長するための規模の適正化について御検討いただく必要があり,37ページの冒頭でございますが,質の保証ができないということであれば,その結果として社会から厳しい評価を受けていくということについて記載しております。
 他方,社会人や留学生の規模ということに関しましては,多様性の観点から拡大することが期待されているという形で整理しております。
 37ページの半ばから,「大学院の規模」について記載しております。諸外国と比較しますと,我が国の修士,博士学位取得者の割合は低い水準でありますが,大学院の専攻ごとの入学定員の充足状況なども踏まえまして,直ちに規模を拡大するということより,まず早急に体質の改善を図っていく取組が必要ではないかということに触れているところでございます。
 具体的には,幅広い社会のニーズや学修者の個々人のニーズにより一層対応して,明確な人材養成目的に基づく学位プログラムとしての大学院教育の確立に向けた取組の充実が必要であると整理しているところでございます。
 次に,「国公私の役割」について,少し歴史を振り返った上で設置者別の役割を38ページ以降に記載しております。
 国立大学につきましては,18歳人口の減少を踏まえた定員規模の検討を行うとともに,大学院機能の重視,文理横断的な学士課程の見直しなどをやっていく必要があり,39ページ冒頭に,今後,国において,国立大学と議論を図りつつ,学士課程教育,大学院教育等において,それぞれの大学の強み・特色や地域の事情等にも留意しつつ,課程や分野で,どのような規模で役割を果たしていくのか,ということについて一定の方向性を検討するというふうにさせていただいております。
 公立大学につきましては,設置者である地方自治体の人材養成等各種政策をより直接的に体現するという役割があるということを申し上げた上で,教育機会の均等の実現,地域活性化の推進,行政課題の解決に向けて,どのような役割を果たしていくのか考えていく必要があるとさせていただいています。
 私立大学につきましては,「建学の精神」に基づき,学生・教育の比率等も踏まえ教育研究のさらなる充実を図りつつ,経営基盤の強化とともに,高等教育の中核基盤を支える方向で改革を進めていただく必要があるというふうに整理しております。
 41ページから,地域における高等教育について触れております。「国が提示する将来像と地域で描く将来像」というところでございますが,将来像に関しましては国が示すだけではなく,地域においても是非,議論していただきたいということ。その際,「地域連携プラットフォーム(仮称)」という場を構築していただいて,その中で人材育成ニーズや,どのような高等教育をその地域で作っていくかということについての具体的な議論をいただきたいということで整理させていただいております。
 42ページでございますが,データや制度的な整備などは国が担うべき役割ということで整理しております。
 ここまでが,4の規模や地域配置の問題でございます。
 43ページから46ページにかけてでございますが,各高等教育機関の役割等について記載しております。専門職大学・専門職短期大学に関しましては,産業界と密接に連携して教育を行う機関として期待されているということ,短期大学に関しましては,短期であることや地域でのアクセスの容易さという強みを生かしていただきたいということを整理しております。その上で,2040年に向けては,大学制度における短期大学の位置付けの再構築について検討する必要性について言及しております。
 高等専門学校に関しましては,新たな産業をけん引する人材育成の強化,大学との連携など高専教育の高度化,海外展開と一体的に我が国の高専教育の国際化を進めていくことについて整理しております。
 専門学校につきましては,平成26年度から開始されました「職業実践専門課程」の中で質保証・向上の取組がされておりますので,そのような取組を専門学校全体でも進めていただくことが重要ではないかというふうに整理しております。
 大学院に関しましては,現在,大学分科会のもとに設置されています大学院部会で集中的に審議しておりまして,その内容について盛り込んでおります。
 45ページからになりますが,三つの方針に照らして,コースワークと研究指導を適切に組み合わせて行うことが前提として必要となること,各専攻で養成する人材の需要について調査・把握,修了者の状況を追跡しその状況を踏まえた上で人材育成を進めていく必要があるということ。三つの方針に関して,その策定と公表を法令上義務付けるということについて整理させていただいております。
 45ページの一番下から46ページにおいて,学生を獲得していく方策として,様々に議論いただいた観点に取り組んでいるところでございます。
 47ページからは,高等教育を支える投資について整理しております。高等教育の投資に関しましては,冒頭,必要な公的な支援を確保しつつ,民間からの投資と社会からの寄附等の支援,個人負担等の高等教育への投資活動を強化していくことが求められると記載しております。
 高等教育の投資は,個人や組織も所得や収益としてその投資を回収することができますし,また,諸活動による地域の社会経済活動への寄与や雇用の創出,新たな産業の創生など,その効果は様々であるというような形で整理しております。また,直ちに経済効果には換算できない普遍的な価値を持っているということについても触れているところでございます。
 その上で,公的支援につきましては,一人一人の能力と可能性の最大化が国力の源と位置付けるのであれば,効果を最大化する形で投入されるべきであるということについて触れているところでございます。その次のパラグラフで,そこについて言及しております。
 あわせて,各高等教育機関が生み出す経済効果や便益と,コストを明確にすることが重要であり,どのように明らかにしていくかに関しまして,今後,整理しながら進めていきたいと思っております。また,高等教育全体の社会的・経済的効果を社会に示すような試みを行っていくことについて検討すべきであると触れております。
 48ページでございますが,2040年を見据えた高等教育への公的支援の在り方につきまして社会全体で検討し,必要な公的支援を確保していく必要があるということを再度言わせていただいた上で,財源の多様化に関しましては,多様化とともに資産マネジメントが重要であるということについても触れているところでございます。
 また,本答申では様々な改革を促しておりますので,必要となるコストについては十分検討する必要があるということを申し上げた上で,49ページ,高等教育機関が,現在の社会を支え,未来の社会に貢献していくとともに,時代に合わせた取組の重点化,効果の最大化を実施していくことが今まで以上に求められていることで,必要な投資が得られるように国としても後押しする必要があるということについて整理しているところでございます。
 49ページ最後のパラグラフでございますが,今後の課題として,教育や研究への投資の在り方,限られた財源での個人負担を含めたバランスをどう考えていくかについても言及しているところでございます。
 最後に50ページ,「7.今後の検討課題」でございます。本答申を踏まえて,引き続き中教審において,設置基準等の質保証システムについての見直し,教学マネジメントに係る指針の策定,学修成果の可視化と情報公表の在り方について,更に専門的な御議論をいただきたいということ。国においては,「地域連携プラットフォーム(仮称)」や,「大学等連携推進法人制度(仮称)」に関して,さらに詳細な議論をしていく必要があるということ。国立大学については,一定の規模や役割についての方向性を示していくとともに,大学間の連携・統合について,必要な法改正に着手していくことについて整理しているところでございます。
 51ページが「おわりに」でございますが,中教審からの御提言といたしましては,学修者が自らの可能性の伸長を実感できる高等教育の在り方を実現していくということ,それができない機関は厳しい評価を受けるということについて,覚悟しながら対応していく必要があることについて重ねて記載しております。
 また,初等中等教育からの接続の観点から,文理分断の状況を改善していただく必要があるということ,多様なキャリアを自らどう考えていくのかということは,初等中等教育段階における教育が重要であるということについて触れております。さらには,産業界においても学修成果が適正に評価されていくということについて触れております。
 最後に今,高等教育機関で学んでいる方々においては,この高等教育への改革に共に参加いただきたいということについて,中教審からメッセージとして記載しているところでございます。
 以上,長くなりましたけれども,答申に関する御説明でございます。御議論について,よろしくお願いしたいと思います。

【北山会長】
 義本局長,どうもありがとうございました。それでは,先ほど浮島副大臣が御到着されましたので,ここで御挨拶を頂戴したいと思います。
 副大臣,お願いします。

【浮島副大臣】
 皆様こんにちは。本日も大変御苦労さまでございます。このたび,文部科学副大臣の重責を担わせていただくことになりました,浮島智子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 中教審の皆様方におかれましては,北山会長様をはじめ,小川,永田両副会長様に,そして,委員の皆様方に大変お世話になっておりますこと,心より感謝を申し上げさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。
 私は,常日頃から,国づくりは人づくりであるということを申し上げさせていただいているところでございます。一人一人に光を当てた教育,一人一人の個性をどうやって引き伸ばしていくか,これがこれから少子高齢化になっていく,人生100年時代になっていくのにとても重要なことであると私は思っているところでございます。
 皆様に今,いろいろ御審議をいただいているところでございますけれども,これからも教員の働き方改革等々,審議をしていかなければならない課題がたくさんございます。
 日本は少子高齢化で子供が少なくなっていく,財政も厳しくなっていく,財務省との闘いも厳しいところもたくさんありますけれども,何よりも,私は人づくり,国づくりは人づくりである,最初も申し上げさせていただきましたが,ここが一番重要だと思っておりますので,これからも皆様には大変御苦労をおかけいたしますけれども,活発な御審議をいただきまして,また我々にたくさん勉強させていただきまして,我々も皆様の御意見をいただきながら,国づくりのために全力で教育改革に努めさせていただきたいと思いますので,どうか今後とも御指導いただけますよう,よろしくお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございます。

【北山会長】
 副大臣,どうもありがとうございます。
 それでは,今,義本局長から詳しく御説明がございましたけれども,委員の皆様からご質問,御意見等ありましたらお願いします。
 では,五神委員からお願いします。

【五神委員】
 私,大学分科会のメンバーだったんですが,なかなか参加できていないところがあって,1つ確認したかったこととしては,未来投資会議などでは未来投資戦略の中で,労働集約型の社会から資本集約型の社会にいく中で工業立国として経済成長したと。その中に戦後の高等教育改革も非常に役に立ったと。これは18歳を受け入れて22歳に育てて,道筋の定まった成長に当てはまるような形で人材を送り出すという仕組みであったと。
 それが,今はまさにパラダイムシフトをしようとしていると。未来投資戦略2018では,25年までに何をしなきゃいけないかをまず議論しようという話をして,すぐに大きな変化が来ることは間違いない。ですから,2040年というのは確実にパラダイムシフト後の世界になっている。
 そうしますと,そこをどう乗り切るかという中で,2040は必ず来るわけなんですが,そのときに,まずこの答申案の中でターミノロジーとして気になったのは,知識基盤社会,knowledge based economyという1990年代のターミノロジーになっていて,未来投資会議ではそれをあえて避けて,知識集約型,knowledge intensive,つまり,産業構造自身がロードマップ型ではないものになる。パラダイムシフトをどう捉えるのかということをきちんとやっていかないとまずいのではないかということで,これ,多分,混在している可能性があるので,そこを明確化する。
 そのときに,パラダイムシフトを乗り切るために今一番大事なことは,本当はお金があるのにそれが動いていない。要するに,リスク投資にどうやって,未来へ向かった財源として活用するか,それを誘引するような大学改革をどうしていくかということが大事である。そうすると,ロードマップ型のときは物を,何を作るかというのが明確だったので,理系,文系の分離がよかったんですが,今はそうではなくて,課題ドリブンでないとリスク投資が集まらない。ですから,課題ドリブンを出されるためには,文理を行き来するような人材育成強化が必要だという中に,ここに書き込まれているものがあるはずだと。
 そういうふうに見たときに,重要な要素は全部書き込まれているんですが,シナリオとしての一貫性が見えないので全体として何をすべきかというところの説得力をちょっと失っているように思うので,これはわずかな仕上げで済む話だと思うので,是非そのストーリーを整理して,何のための大学改革か。
 2025年という,あるいは20年でもいいんですけれども,そこを確実にジャンプできるんだという道筋がないと,2040を議論してもむなしい話になるということだと思うので,それに向けた改革は既にかなり進んでいるので,例えば東大周りで言えば,本郷通りにベンチャーの集積拠点ができつつあるとか,毎年30社,40社のベンチャーができていると。そういう中の先に,若者をどうエンカレッジしていくかという道筋をガイドすることは十分可能だと思うので,もし余裕があれば,最後の仕上げを是非していただきたいというのが意見です。
 以上です。

【北山会長】
 五神先生は,未来投資会議のメンバーですよね。

【五神委員】
 はい。

【北山会長】
 今のご意見について,義本局長から何かコメントされますか。

【義本高等教育局長】
 重要な御示唆を頂きました。今後につきましては,恐らく,各先生方からの御意見や,パブリックコメント,あるいは団体からのヒアリング等,色々な形でお話を伺いますので,そういうことを含めて,今,先生に御指摘いただいたことも着実に反映されるような形で最終的な整理を図るということについて,分科会長,部会長とも相談させていただきながら考えていきたいと考えております。

【北山会長】
 きょうは答申案についての議論ですので,これから約2か月後に答申を取り纏めて総会で大臣にお渡しするまでの間に,今,義本局長からもありましたように,各種団体,国立大学協会も含みますが,経済団体などからのヒアリングを 2回程度行います。またその間,パブリックコメントも実施しますので,きょう頂いた御意見も当然踏まえつつ,いろいろな意見を集約していくプロセスを進めていくということになります。
 そのほか,ございますでしょうか。大学分科会や将来構想部会に分属しておられない方からも是非お願いします。
 では,帯野委員,お願いします。

【帯野委員】
 大した意見ではないのですが,今回,答申案にリカレントが正面から取り組まれたというのは,日本の教育にとって大きな一歩だと思います。テクノロジーがどんどん進化して社会が変革していく中で,落ちこぼれというのは,今までは既存の組織に上手く入れなかった人のことを指したのだと思いますが,多分これからは学び直しのできない人を落ちこぼれというような時代になるのかなというふうに感じています。
 ここにも書いてございますが,これを具現化するためにその費用をどうするかとか,労働時間をどうするかとか,いろんな問題はありますが,一番の問題は,どれだけ大学が魅力のあるプログラムを提供できるかだと思います。特に,25歳以上が2.5%という学士課程において,どれだけ社会のニーズを取り込めるかというところが勝負で,そのために社会との連携ということで地域連携プラットフォームが提案されております。これは十分可能なことだと思うのですが,もう一歩,連携ではなく学内に外部,産業界の人間を取り込むというところで,多様なガバナンスのところに書かれている「学外理事」が大きなキーワードになると思います。
 そのときに大事なことだと思うのは1つ,できるだけ現役か現役に近い人を取り込むということ。これだけ日々社会が変化していきますと,会社を離れて5年もすると,産業界のことも分からなくなるので,できるだけ現役の人を取り込むというところですが,そういうことを言うと,なかなかそういう人材が,特に複数となっておりますので,いないのではないかということになりますが,私は,いると期待したいと思います。
 恐縮ですが,個人の体験談として,私は会社の経営をしながら6年間大学の理事を務めました。その動機というのは,今まで生きてきた社会と違う社会を見てみたい,そこで今まで果たせなかった夢を実現したいという思いで,結局それが今また経営にも大変生かされていますし,そういうところが働き方改革でいう副業のすすめの目的の一つでもあると思います。
 そしてまた,時間の問題ですが,これも私の場合は週2回でしたけれども,週1回でも月何回でもこれは可能だと思うのです。なぜかというと,今まで大学で培ってきたものを発展させるのではなくて,今まで大学ができなかったゼロベースのところをやっていくわけですから,ましてや,インターネットがあれば大学にいなくても仕事ができる時代。産業人であれば,仕事というのは時間ではなく結果だということは十分認識していますので,時間の問題もさほど,弊害にはならないと思っています。それよりも,一番大事なのは,学外の人間が大学に来て仕事のできる環境づくり。例えば大学特有の複雑な意思決定システムであるとか,非効率的な制度であるとか,こういうものを改革していって,誰でもが学べる大学も必要ですけれども,誰でもが経営参加できる大学が必要で,そこで一番言ってはならないことは,これが大学なんですよとか,だから大学はこうなんですという説明。これは絶対禁句だと思います。
 外部の人間を内部人材化して使うのであれば,これはかつての男性型社会の中で,男性化した女性を使っていくという発想と同じで,これではいつまでたっても柔軟な組織はできないと思いますので。外部人材が働ける環境を作ることで大学が変わっていくことが必要です。
 そこで何よりも大切なのは,それを作る学長のリーダーシップと他の理事の理解と協力です。今後,制度設計をされる際に,私の例ではありますが,是非,参考にしていただけたらと思います。

【北山会長】
 ありがとうございます。御質問というよりは御意見ということで承りました。しかと受け止めたいと思います。
 では,菊川委員。

【菊川委員】
 大学分科会以外の委員で御発言をということに推されて発言させていただきます。要望でございます。
 前回もリカレント教育のことを申し上げて,随分取り入れていただいたと思いますが,一方で,例えば43ページ,44ページあたりを見ますと,リカレント教育が短期大学や専門学校に位置付けられております。しかし,大人の結晶性知力はまだまだ伸びるという論もありますように,大人も伸びるということを大前提に考えていいのではないか。短期大学,専門学校だけではなく大学や大学院にもしっかり社会人を位置付けるということが重要ですし,大学の活性化にもつながるのではないかと思います。
 同じように,最後の「おわりに」というところの流れが,例えば初等中等教育との関係で書いている。もちろん,学び続けることが価値であるということも書いていただいているんですけれども,恐らくこれからの社会は,大人が働くことと学ぶことを,それも単に趣味的なものとかではなくて,仕事に生かせる深い専門性を大人が日々身に付けていくということが必須の世の中になるというふうに思いますので,ここにももう少しリカレント的な,具体的なことがあるといいのではないかという要望でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。今の菊川委員の御意見について,リカレント教育に関しては「多様な学生」のところにもいろいろと書いてありますが,この部分では,いわゆる高等教育全体の視点から,リカレント教育の重要性が盛り込まれています。また,43,44ページのあたりには,学校種別に考えた場合にそれぞれどのような強みがあるかとかという視点で,例えば専門学校はリカレント教育の観点で重要な役割を果たすわけですが,そういったことが盛り込まれています。したがって,リカレントの重要性というのは,前の方のページも含めて読むと,全体としてはいま申し上げたような記載になっています。

【菊川委員】
 いや,それは理解しているつもりです。

【北山会長】
 御意見は,十分理解いたしました。

【菊川委員】
 大学,大学院にも,社会人を位置付けていく時代が来るのではないかということが今後の方向性ではないかという意味でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,次は善本委員,お願いします。

【善本委員】
 大変力強く,また,精緻におまとめいただきまして本当にありがとうございます。
 私ども中等教育段階の立場から申し上げると,大変重要なことが,先ほど菊川先生からも引用していただきましたが,「おわりに」のところに書いてございまして,最後のページですけれども,「高等教育機関で学ぶことを可能とする能力を備えた学生を受け入れていく必要があり,初等中等教育段階においては,文理分断の状況を改善し,また,多様なキャリアを自ら考えていくことができる教育が行われていることが前提」であると。この高等教育の改善において,初等中等教育段階でこの改善が前提であるということを最後のところで改めてお話を頂いているところです。その現場にある者として,また非常に責任を重く感じるところでありますが,そのような状況ですので,本文中で初等中等教育との接続が書かれている部分は21ページ,22ページかと思うのですけれども,21ページから22ページにかけて,かなり紙面を割いて,新しい学習指導要領の中から特に高等教育との関連性のある部分について項目を挙げていただいているところだと思います。このような状況だということに整理をしていただいた上で,高等教育でどうするかという部分についてが,アドミッションやその後の高等教育にどう生かしていくかという高大接続の観点と,学生の能力を伸ばすかという観点で高等教育における学びを再構築するという2つの点に整理していただいているんですけれども,まさに初等中等との接続が極めて重要であるという観点から言うと,もう少し何か書き込んでいただくことがもし可能であればということでございます。最後のところで大変大きなお話を頂いているという流れから言うと,もし可能であればというお願いでございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,明石委員,お願いします。

【明石委員】
 ありがとうございます。短大の学長としては非常に厳しい提案で,緊張感が漂うという,非常に刺激的な提案だと思います。
 2点申し上げます。1点目は,37ページの冒頭に,教育の質を保証できない機関は社会から撤退せざるを得ないという厳しい御指摘なんですけれども,この前の新聞報道では,帰属収支が3年続けて赤字の場合は補助金がカットされますということも暗にこれは含んでいるんでしょうか。自然淘汰に任せるのか,それとも文科省の私学助成の補助金を打ち切るのか,その辺がぼやっとしているので,私学としてはこれが一番関心の的なんです。生きるか死ぬかの瀬戸際なので,もう少し御説明をしていただくと,大学人がもっと緊張するかなというのが1点。
 2番目は,地方における高等教育の位置付け,これは非常に大事な御指摘でございまして,50ページの今後の検討課題の中で,地域連携プラットフォーム(仮称),これを立ち上げましょうと。これは非常にいい提案だと思うんです。早急にガイドラインを出していただくと,地方の大学人としては非常に可能性といいますか,こういう形で国と地方の公共機関,産業界と連携していけばいいかというのが見えてくるんですよね。そういう意味で,なるべくガイドラインを作っていただくと助かるかなと思っています。
 以上2点でした。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 今の明石委員の御質問について,撤退のところも含めて義本局長からお願いできますか。

【義本高等教育局長】
 失礼しました。37ページの「教育の質を保証することができない機関」はというところについては,その前段で教育の質保証の話をいろいろ書いております。学修者本位である,成果を見える化していく,あるいはそこでのプログラムについて学生が成長実感をちゃんと持てる,そのような取組について情報公表をしっかりしていくことによって,全体として魅力あるプログラム,あるいは学生が大学に入った実感を持てるものにしていく。そういうことができないということがもし大学としてあるのであれば,厳しい評価を受けることになるのではないかと,そのような文脈で作っているところでございます。ですから,今,先生がおっしゃったような私学助成や経営手法については,経営の問題,ガバナンスとして別途議論しておりますが,それは少し別に考えていただく必要があるかなと思っています。
 ただ,私学助成については,御案内のとおり,いろいろな形での改革が進んでおりますので,その問題はそれとして取り上げなければいけないと思っております。
 それから,今お話しいただいた「地域連携プラットフォーム(仮称)」でございますけれども,これは最後の「7.今後の検討課題」においても,ガイドラインの策定に国として速やかに着手すべきと言われていますので,それはしっかり私どもとしては受け止めたいと思っているところでございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 では,生重委員,お願いします。

【生重委員】
 ありがとうございます。この中には一切書かれていないんですが,女性活躍社会を目指すという国を挙げての方向性,書かれているのかもしれないんですけれども,私が読み取れていなくて,済みません。こちらの予算の方でも,例えば施設の整備についても触れているんですが,方向性として,例えば学び直すという方向性もあるわけですから,子供を産んで,子供を連れて,保育できるようなスペースがあって,赤ちゃんを連れて学び直して,もう一度社会に出ていくとか,地域の中で活躍するにしても,これから様々な公教育の中でも推進委員とか,地域連携を担当していく事務職のこととか,いろいろな方面できちんと学び直しをした方たちが望まれる社会が私どもの審議の中でもいっぱい出てきているかと思うので,お子さんを育てている間に学び直しに大学に行くというのは,そう望んでいる方たちはたくさんいるというのを実感しておりますので,是非,施設の予算の中にそういう視野を入れていただけると有り難いなと。
 それと,私も地域連携プラットフォームのことで,例えば地方創生に資する高等学校の改革というのも打ち出されていて,これから高校と地域,就学,進学,そこのところでうまく連携をしながら,地方の活性化とか再生とか,そういうことを行っていくという仕組みも同時に動いていくわけですよね。予算の中にも入っていますが,そういうものと,地方の特色を生かした大学のコンソーシアムとかプラットフォームとかという視点の中に連携ということを入れて,どこの学校種にもそういうプラットフォームがありますではなく,それぞれの地方に必要なものを審議できるとか,地方部会に変えながら,もっと細かいことを作り出していくとかというようなことを,是非,構想を示す際にちょっと考えていただけるとうれしいなと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 時久委員,お願いします。

【時久委員】
 善本委員さんと同じような,若干感想じみたことになってしまいますけれども,済みません。きょう,詳しい御説明を聞かせていただきまして,就学前から小中学校,そして高等教育と柱がしっかり通ったというところが大変うれしく聞かせていただいたところです。実は,高等学校の改革が今,大変進んでいます。それは,やはりこの議論の過程を日本国中で非常に興味関心を持ってキャッチをしながら,できるところは早く取り組んでいこうというところで,どんどん取り入れていくものですから,義務教育から大学まで,ずっと見通した形で,子供を一貫して高等教育に十分たえ得る力を持った子供にしようという流れが起こっているということを実感しているところです。
 働き方改革が時間的にはちょっと進みにくくて,悩んでいるところもあるのですけれども,それぞれの先生方が子供たちの先を見た教育を確実に行っていこうとして一生懸命なものですから,今で言えば,新しい学習指導要領の方向性に向けて,探求的にというか,今の方向の教育を作り,そして子供を育て,そういう子供を送り出そうという研究を絶えずやりながら,外国語にしても,ICT教育にしても,必死になって新しいものに取り組んでいるという現実があります。このことは,日々というか,追っていくと,急速に進んでいると思いますので,今回,こういうふうにグランドデザインがしっかりと示されてということで,出口イメージというよりは目標イメージというか,人生の長さからいったら高等教育の1つの節目のところに向けてのイメージがはっきり受け取ることができて,また非常に進んでいくと思います。
 51ページの「おわりに」のところがとても大事だと思っています。途中は説明もきちっとしてくださっての話なので,最終的に初中教育段階から本当に先を見ての教育をしっかり作ろうという,そこのところのここの言葉は大事だなと思ったところです。ありがとうございます。

【北山会長】
 御意見として頂戴いたします。初等中等教育の方では,新学習指導要領が小学校では2020年からということですが,もう先取りされている学校などもあり,非常にいい動きだと思います。仰る通り,その先に今度は高等教育がありますので,そのグランドデザインをしっかりと示していくという点については,今の御意見の通り,大変重要なこととだと思います。ありがとうございます。
 では,恒吉委員。その後,寺本委員お願いします。

【恒吉委員】
 委員じゃない人ということなので,一言,質問があるのですけれども,高等学校の段階までと,大学以後の教育の1つの大きな違いが,高等学校以下が国民教育としての性格が強くて,大学以後は国境のない世界的な知の拠点であるという,それだけじゃないですけれども,そのような性格が1つあるとすると,この報告書を拝見していると,すごくいろいろなところで配慮して,いろいろな文言が確かに一つ一つうなずいて読めるのですけれどもまとまったメッセージは見えにくい面がある・・・例えば,国際化の問題がいろいろなところに入れ込まれている。例えば研究力の強化と社会との関係という形で論文の引用数とかが出てきて,これは国際的な競争力の1つの指標に関連して日本がよく言われてきた国際共同研究が少ないとか。そして,例えば留学生のところでも国際化の問題が出てくるというふうに,いろいろなところに国際化の問題が入れ込まれているのですけれども,そういう形にした意図というか,変な言い方ですけれども,「国際化」みたいにしてまとめて強く打ち出してくる代わりに,いろいろなところに入れ込んでいった意図というのは,何か意識的なものがあったのでしょうか。済みません。答えにくいかもしれないんですけれども,よろしくお願いします。

【義本高等教育局長】 最初6ページでございますけれども,「我が国における世界における位置付けと高等教育への期待」という形で,全体としての,今,先生がまさにおっしゃったような国境を越えた高等教育の話をさせていただき,さらには,「2040年頃の社会変化の方向」ということで,10ページに「グローバリゼーションが進んだ社会」として,特にモビリティーが高まっていくこと,あるいは留学生の受入れというような話,あるいは日本におけます高度外国人の受入れ等についての話をし,その上で,それぞれの文脈におきまして国際化の話に触れているというふうな構成にしております。したがって,原案を作った段階においては,前半の方でその問題意識について触れさせていただいて,そういう理解だと思っております。

【恒吉委員】
 分かりました。一番,何を改革の目玉にされているのかがぱっと見えにくかったかなと思って,でも,万遍なくなさろうとしている,網羅的になさっているというのは非常に分かると思います。

【北山会長】
 網羅的という点に関しましては,今回の議論はグランドデザインということで,全体像を示すのが目的で,その上で,各論についてはいろいろな切り出し方ができると思います。キーワードとして,例えば多様性,ダイバーシティといった切り口があるのかなと思いますが,その中には当然,インターナショナライゼーション,内なる国際化も含めたグローバライゼーションというのも入っていますし,それから,地方創生の観点で,地方にスポットライトを当てる部分もあります。もちろん,それも含めてグローバライゼーションの一環と見ることもできるとも思います。いずれにしましても,おっしゃることは十分理解いたしました。
 それでは次に,寺本委員,お願いします。

【寺本委員】
 ありがとうございます。全体として今までと違ってよく分かるような感じになったなと思っているんですが,1つ,大学院,いわゆる博士課程を出られた方についての記述が45,46のところにあったんですが,これは実際に学生がそのまま大学から大学院に行くだけではなくて,リカレントでも学べるようにというところもありますが,一方,勤めながら,要は仕事をしながら大学院に通うという,リタイアされた方ではなくて,現在進行形でお仕事も学びもしたいという方についてが,ここにあるように,博士課程取得者の活用・処遇というところが言葉としては書いていただいているんですが,なかなかこれが実態として伴わないと,行きたくても行けないとか,また,具体的に例えば私たちとか文科省の関係で言えば,教員が教職員大学院に行くのに,学校現場やそれぞれが所属する教育委員会が行ってきてもいいよという環境がなければ行けないとか,もろもろのことが関係してくると思うんですね。だから,学べる環境を一生懸命作っていただいても,学びに行かせるような社会的な醸成をしていくということも必要な部分ではないのかなと思っているので,書きぶりはなかなか難しいと思うんですが,学びに行きやすいような社会的環境作りについても何か言及できるといいなと思っています。

【北山会長】
 その点については,大学院のところで,ある程度大きな項目として,ファイナンシャル・プランや,企業との取組も含めて一応の言及はございますが,今の御意見についてはしっかり承りました。
 中田委員,お願いします。

【中田委員】
 私は地方の国立大学法人に所属していますので,やや感想めいたことになるかもしれませんが,高等教育の2040年に向けたグランドデザイン,最先端の部分で何を重視していかなければいけないのかという方向性については大事な指摘がされているなと受け止めております。
 その上でなんですが,地域における大学の役割ということをセッティングしていただいているわけですが,これは地方におけるという用語は使ってなくて,地域における大学ということになっているので,都市部も地方の大学も共通の考え方なのかなとは思います。
 その上で,地方の実情からして,これをどういうふうに具体化していけばいいのかなと思ったときに,リカレント教育の重要性もうたっていただいてはいるんですが,地方の場合,どうしても18歳人口が減少していって,適正な規模ということがどうしても課題になっていくでしょうし,リカレント教育の新たな教育の機会の場としてという役割を担おうと思っても,リカレントに臨もうとする産業の規模を持った会社,企業等が地方には多くありませんので,そのような実情との関係でも幾つかまだ課題があるなと思っております。
 あと,地域の中でどういう役割を果たしていくかというときに,地域連携プラットフォームということが構想されるわけですが,そこも産業界,地方公共団体との連携の中で,光が当たる部分と光が当たりにくい部分というのがあるんだろうと思うんですね。簡単に言ってしまえば,自然系,理工系等々は光が当たるだろうけれども,人文社会科学系というのはどういう連携の種を探していくのかという点については難しい面もあり,各大学,丁寧な努力が必要になっていくだろうと思って受け止めています。その状況の中で,このグランドデザインが,人文社会学系の地域における役割を踏まえ示している文理横断というイメージをもう少し具体的・積極的に示していただけると有り難いと思っております。
 これが1つ大きなところで,こういうグランドデザインが出れば,全国の大学は第3期の中期目標期間の後期をどう過ごすのか,第4期に向けてどういう準備が必要なのかということを具体的にイメージするようになると思います。先ほどのガイドラインのことを含めて,スケジュール感がもし分かるのであれば教えてほしいというのが2つ目です。いや,そこは早過ぎるよと言われれば,そうかなとは思います。
 以上です。

【北山会長】
 具体的なスケジュール感についてはいかがですか。

【義本高等教育局長】
 ありがとうございます。先生おっしゃるとおり,いわゆる文理分断の問題というのは,教育プログラムというよりも学びの内容という観点からの整理で,高大接続の問題ですとか,初等中等教育の改革の話をしておりますけれども,御案内のとおり,人文社会科学のような分野は非常に大事でございますし,また逆に,そういう機会を地域においてどのように確保していくのか。あるいは,地域課題を考えた場合,やはり人文社会科学の知見,取組というのは,現在の地域の中においても大事でございますし,そうした議論をしっかりこのプラットフォーム,あるいは議論の場として考えていただく必要があるという認識でございますので,産業界のニーズに対応した理工系を重視していくような形にドリブンしていくということだけではなくて,バランスの取れた議論をしていただく必要があると思います。そのような話を恐らく今後,御指導いただきながら,ガイドラインの中でも考えていくという視点ではないかなと思います。
 また,スケジュールにつきましては,50ページに「今後の検討課題」と挙げていただきまして,国においては,以下の施策の立案に速やかに着手する必要があるというふうにうたっていただいた中に「地域連携プラットフォーム(仮称)」に向けたガイドラインの策定ということを記載頂いておりますので,答申が出れば,それは速やかに着手して検討するということがありますので,来年においてしっかりした議論をさせていただくということがあると思っていますし,そういう方向で私どもとしても議論を進めていければと考えております。

【北山会長】
 前回のグランドデザインは平成17年の答申ということで,十数年前になりますが,それを受ける形で中教審や様々な有識者会議などで議論が行われ,例えば大学改革プラン,国立大学改革プランなどが策定されたり,ガバナンスの在り方,情報公開などについても色々な施策が検討,実施されたりしてきたという経緯だと思います。したがって,いま議論しているのはグランドデザイン,全体像であり,これを踏まえて,来年度,再来年度,さらにその先かもしれませんが,「おわりに」に書いてあるような事柄が中教審などで議論される,というのが大きな流れかと思います。

【義本高等教育局長】
 今,会長から整理いただきましたような話がポイントでございます。補足するならば,これを実現するためには,法律を改正しなくてはいけない事項,あるいは設置基準の改正をしなくてはいけないということ,あるいは運用ガイドラインを定めるということもございますので,そういう点を整理した上で,個別の事柄で法律改正や基準の見直しが必要な点においては諮問等をさせていただきながら進めていくということになろうかと思っております。いずれにせよ,本答申が出たから終わりというわけではなくて,それをいかに実行に移していくか,あるいはその枠組みを作った上で,それを活用いただいて高等教育の改革が進んでいくということを全国的,あるいは地域で作っていく,これがベースでございますので,それに向けた議論を進めていきたいと思いますし,また,その折々に総会等でも議論させていただき,御指導賜れれば有り難いと思っているところでございます。

【北山会長】
 それでは時間ですので,本日の議論はこれまでといたします。もし追加で何か御質問があれば,文科省の事務局に御連絡いただければと思います。なお,これは答申(案)でございますので,きょう,委員の皆さんから頂いた御意見も踏まえ,大学分科会と将来構想部会で必要な修正を行っていただきたいと思います。また,各種団体ヒアリングやパブコメなども行い,その上で,次回の総会において,これは11月の末頃の予定ですが,答申として提出したいと思います。そのようなプロセスとすることについて御了承いただけますでしょうか。
 ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。
 それでは,大学分科会,将来構想部会で必要な修正を行い,次回総会での答申に向けて御準備を進めていただきたいと思います。
 本日の議事はこれまででございまして,次回の日程は,11月26日でしたか。

【寺門生涯学習政策局政策課長】
 そうでございます。15時から同じ場所で行いますので,よろしくお願いいたします。

【北山会長】
 委員の皆様におかれましては,御予定くださいますようお願いいたします。
 以上で本日の総会は終了でございます。本日はどうもありがとうございました。副大臣もどうもありがとうございました。

―了―

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-- 登録:平成30年12月 --