中央教育審議会(第114回) 議事録

1.日時

平成29年12月22日(金曜日) 15時00分~16時30分

2.場所

文部科学省 「第一講堂」 (東館3階)

3.議題

  1. 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)
  2. 地方文化財行政の在り方について(特別部会まとめ)
  3. その他

4.出席者

委員

 北山会長,小川副会長,永田副会長,明石委員,天笠委員,有信委員,生重委員,帯野委員,亀山委員,菊川委員,清原委員,篠原委員,寺本委員,中田委員,村田委員,山田委員,山野委員,横倉委員,善本委員,渡邉委員

文部科学省

 林文部科学大臣,小松文部科学審議官,中川総括審議官,山下文教施設企画部長,常盤生涯学習政策局長,髙橋初等中等教育局長,義本高等教育局長,村田私学部長,白間大臣官房審議官,下間大臣官房審議官,矢野初等中等教育局初等中等教育企画課長,伊藤初等中等教育局財務課長,坪田初等中等教育局児童生徒課長,先崎初等中等教育局幼児教育課長,木村初等中等教育局参事官,髙橋文化庁文化財部伝統文化課長,有松国立教育政策研究所長,神山大臣官房審議官,塩見文部科学戦略官,氷見谷生涯学習政策局政策課長 他

5.議事録

【北山会長】
 大変お待たせいたしました。ただいまから中央教育審議会総会を開催いたします。
 年末,御多忙の中,また,寒い中,御出席いただきまして,ありがとうございます。
 それでは,本日の議事について御説明いたします。
 本日は,まず,議題(1)の新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について,要するに,先生方の働き方改革,その中間まとめについて,意見交換の後,文部科学省に提出します。
 続いて,議題の二つ目ですが,地方文化財行政の在り方について,前回の総会で設置いたしました特別部会で中央教育審議会としての意見が取りまとめられましたので,御報告いたします。
 なお,本日,報道の方から会議の全体について,録音・カメラ撮影を行いたい旨の申出があり,許可しておりますので,御承知おきください。
 それでは,議事に入ります。まず,配付資料等について,氷見谷政策課長から御説明をお願いします。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
  本日の配付資料につきまして,お手元の会議次第に記載しておりますとおり,資料1から資料4-2までございます。このうち資料1につきましては,既に皆様にメール等で事前に御連絡させていただいておりますが,9月28日の中央教育審議会総会以降,運営規則等に基づきまして,総会を経ないで行われました諮問について御報告するものでございます。
 なお,この資料1のうち「大学設置基準等の改正について」につきましては,12月15日に大学分科会で諮問され,即日答申が行われておるものでございます。
 また,資料2-1と資料2-2でございますが,これは「新しい経済政策パッケージ」ということで,12月8日に閣議決定がなされました「教育の無償化・負担軽減」に関する資料でございます。このうち資料2-1は,その政策パッケージのうちの「教育の無償化・負担軽減」に係る部分の骨子,資料2-2が,その「新しい経済政策パッケージ」の全文でございます。
 この資料2-1は,「第2章 人づくり革命」を主にまとめたものでございますが,御案内のとおり,人生100年時代を見据えて,経済的事情に左右されることなく,希望する質の高い教育を受けられるようにすることが少子化対策には極めて重要であるという観点から,全ての3歳から5歳児の幼児教育の無償化,また,授業料減免や給付型奨学金の拡充による,真に必要な子供たちへの高等教育の無償化,一定の年収に満たない世帯を対象とした私立高等学校の授業料の実質無償化などが盛り込まれたものでございまして,あわせて,現在,リカレント教育の拡充についても,今後更に検討を進めるということになっておるところでございます。
 現在,御案内のとおり,中央教育審議会大学分科会などを中心に,高等教育の将来構想など,中央教育審議会で既にこちらに関しましては御議論いただいているところでございますが,今後,制度の改正もあろうかと思っておりまして,それに関しまして,皆様方において適切な時期に,またこれらにつきまして御意見を伺いまして,御協力を頂きたいと考えておりますので,その際は,是非よろしくお願いしたいと存じます。
 資料につきましては以上でございますが,お手元に置いておりますタブレットにつきましては,本日お配りしました資料とともに,これまでに配付させていただいた資料が全て入っております。パソコンと同じように操作していただくことも可能ですし,画面にタッチして操作していただくことも可能でございますので,適宜御利用いただければと思います。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 それでは早速,議題(1)に入りたいと思います。
 議題(1)は,先ほども少し触れましたが,今年の6月22日の文科大臣の諮問を受けて,初等中等教育分科会の下に設置された特別部会「学校における働き方改革特別部会」において審議が進められてきたところです。
 今般,「学校における働き方改革特別部会」で,これまでの議論が「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ(案))」として取りまとめられました。
 まず,「中間まとめ(案)」の作成に大変御尽力いただきました「学校における働き方改革特別部会」の小川副会長から,簡単に御説明をお願いできますでしょうか。

【小川副会長】
 中間まとめの内容の詳細な説明については,後ほど,事務局から御説明があるかと思いますので,私からは,部会長としてこの特別部会における審議の簡単な経緯について御報告させていただきたいと思います。
 本年6月に文部科学大臣から中央教育審議会に,学校における働き方改革に関する総合的な方策についての諮問を受けました。この諮問を受けて,初等中等教育分科会の下に「学校における働き方改革特別部会」を設置し,7月の第1回会合から約5か月間という短期間で9回の審議を重ねてまいりました。毎回非常に闊達(かったつ)な議論を行っていただきまして,今回の中間まとめを取りまとめたところでございます。
 今回の中間まとめでは,第1は,学校,教師が担う職務,業務の明確化,効率化について。第2は,学校の組織運営体制の在り方について。そして第3には,勤務時間に関する意識改革と制度面の在り方についてという,三つの課題について議論を進めてまいりました。詳細は事務局から御説明をお願いしたいと思いますが,学校における働き方改革では,今次,改正された学習指導要領を着実に実施するとともに,教員の長時間勤務を是正し,教員が限られた時間の中で,児童生徒に接する時間を十分に確保すること,それこそが学校における働き方改革の目的であるとしております。
 勤務時間の管理や,勤務体制の在り方など,今後に積み残した課題も多くありますが,今回の中間まとめで示した学校における働き方改革の理念や考え方を,文部科学省や教育委員会,そして学校などの教育関係者だけではなく,広く社会の皆様にも共有していただき,未来を担う子供たちのために,真に必要な指導に学校や教員が時間とエネルギーを注力できるよう,それぞれの立場から取組を進めていただくことを強く期待しております。
 事務局から中間まとめについての御説明をよろしくお願いいたします。

【北山会長】
 それでは,高橋局長,よろしくお願いします。

【高橋初等中等教育局長】
 それでは,資料3-1を御覧ください。中間まとめ本体は40ページ余りありますので,この資料3-1で概要の御説明をいたします。
 1番目,「学校における働き方改革」の背景・意義でございます。
 本年3月31日に,小学校学習指導要領,中学校学習指導要領を公示いたしまして,特に小学校については,外国語教育の充実に伴って,中・高学年の標準授業時数を,週1コマ増やしたところでございます。新学習指導要領を確実に実施し,学校教育の改善・充実に努めていくことが,次代を担う子供たちのために必要不可欠であるということ、その一方で,現在の学校現場に目を向けますと,我が国の学校や教師は,諸外国よりも広範な役割を担っていて,学校が抱える課題はより複雑化・困難化している現状にある,ということを書いております。
 そして,中ほどに少し色がついているところでございますが,教員勤務実態調査の速報値によりますと,教諭の1週間当たりの学内総勤務時間が,小学校で57時間25分,中学校で63時間18分となっていて,前回調査の10年前の18年度調査と比べても,小学校で4時間強,中学校で5時間強増加しているということ。また,業務内容別に見ますと,小・中学校とも,平日は授業の時間を中心に増えていて,中学校の土日になりますと,部活動の増加が著しいこと,更に,専門家の分析によりますと,年齢が若いほどメンタルヘルスの状態が不良となる傾向があるといった看過できない教師の勤務実態が示されたということを記述しております。これは今回の議論の出発点になったものでもございます。
 このような学校現場の状況の中で,児童生徒の全人格的な完成を目指して,様々な場面を通じて児童生徒の状況を総合的に把握し,指導を行うという,世界的にも評価の高い日本型の学校教育を維持し,そして新しい学習指導要領を着実に実施するためにも, 1番の上から六つ目の丸のところにゴシックで書いてありますが,「教師が心身の健康を損なうことのないよう業務の質的転換を図り,限られた時間の中で,児童生徒に接する時間を十分に確保し,教師の日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで,教師の人間性を高め,児童生徒に真に必要な総合的な指導を,持続的に行うことのできる状況を作り出すこと」が必要である,この部分が今回の働き方改革が目指すものを端的に示した部分となっております。
 2番目の基本的な考え方でございますが,教員の勤務の長時間化の要因分析においては,授業や部活動に従事する時間の増加,部活動の休養日の設定が浸透していないこと,書類作成等への対応が不十分であること,時間管理の概念が希薄であること,そして教師の持ち時間時数を減らすという観点から,これまでの教職員定数の改善が不十分であったこと,また,「子供たちのために」という使命感と責任感により業務範囲が拡大している,こういった状況,要因分析が示されております。
 そして,先ほど部会長から御説明がありましたが,この状況,要因分析を受けた検討の視点として,学校及び教師が担う業務の明確化・適正化,学校の組織運営体制の在り方の見直し,勤務時間の在り方に関する意識改革と制度面の検討,の3点が提示されております。
 なお,4として,学校種や学校の設置者の違いを踏まえた働き方改革という項目について,今回の検討の中心は公立の小・中学校でありましたが,当然,高等学校,特別支援学校や国立学校,私立学校においても,学校種や設置者の違いはあるものの,今回の学校における働き方改革を推進するに当たっては,各学校の取組に対する必要な支援の重要性も検討の視点に載せていくということを併せて記載をしております。
 それでは,特に今回の中間まとめの中心になっております学校及び教師が担う業務の明確化・適正化について, 2ページ目,3番のところから御説明いたします。
 学校の業務は,大きく分類いたしますと,「学習指導」,「生徒指導・進路指導」,「学級経営・学校運営業務」となりますが,我が国の学校や教師が担うべき業務は,諸外国と比べても極めて多岐にわたっており,また,範囲が曖昧なまま教師が行っていたり,半ば慣習的に行われていた業務も存在しているのが実情となっております。したがって,中間まとめにおきましては,まず,本来は誰が担うべき業務であるのか,そして,負担軽減のためにどのような適正化が図られるべきか,この2点から検討を行っていただきました。
 検討を通じて,学校,教師が担うべき業務を明確化した上で,必要な環境整備を行いつつ,学校,教師以外の主体に積極的に移行していくという視点に立って,これまで学校,教師が担ってきた代表的な14の業務の在り方に関する考え方を整理していただき,2ページ目の中ほどから下にある表の形でまとめていただいております。
 表の左側,1,登下校に関する対応から,4,地域ボランティアとの連絡調整,これは本来,学校以外が担うべきであるということを,今回,明確に打ち出していただきました。その担うべき主体としては,内容に応じて,自治体や教育委員会,保護者,地域ボランティア等であるということを示していただいております。
 表の真ん中の欄でございます。学校の業務であるが,必ずしも教師が担う必要のない業務という整理になっております。5,調査・統計等への回答から,8,部活動ということで,それぞれ括弧の中に,事務職員や,地域ボランティア,部活動指導員など,想定される教師にかわって担っていただく主体を書いております。
 表の一番右側は,教師の業務だが,負担軽減が可能な業務ということで,基本的には教師が担う必要があるが,教師をサポートする形で負担軽減が可能であるとして,具体的なサポートの在り方について,括弧の中に整理をしております。
 実際には,この議論が中間報告の大部分を占めておりますので,また本文を御覧いただきたいと思います。例えば,部活動については,ほぼ丸々2ページにわたって記述がございます。その中では,例えば,部活動指導員など外部人材を積極的に参画させること。あるいは,今度,この部活動指導員に対する国の補助制度ができますが,その補助金を執行する際には,現在,スポーツ庁が作成している部活動のガイドラインを遵守することなどを補助の条件にすべきであること。あるいは,複数の学校による合同部活動を積極的に進めて,大会やコンクールにも合同で参加できるようにすべきであること。さらには,入試における部活動に対する評価の在り方の見直しなどの取組を検討すること。そして,これは少し中長期の展望になりますが,将来的には環境整備を図りつつ,学校の部活動から地域の活動に移管していくことが必要ではないか,こういった提言を頂いています。そのほかの残りの13の業務についても,様々な御提言を頂いております。
 次に,3ページを御覧ください。先ほどお示しした業務の役割分担・適正化を着実に実行するための方策を,国,教育委員会,学校と,それぞれの主体で分けて示していただいております。
 まず,国が行うべき方策でございますが,一番上の黒ぽつには,業務の範囲を明確にするためにも,各教育委員会が定めている学校管理規則のモデルを提示すること,などが書かれております。
 また,二つ目の黒ぽつには,学校における働き方改革の趣旨などについて,地域や保護者の理解を得るための資料を提供すること。さらに一番下の黒ぽつには,現場に様々な業務が付加されてきた反省を踏まえて,勤務時間や人的配置,業務改善などを踏まえて,業務量を俯瞰(ふかん),一元的に管理する部署を文部科学省の中に設置をすること,こういった提言がされております。
 また,各教育委員会においては,上から一つ目の黒ぽつに,学校現場任せにせず,教育委員会が主導して行っていくためにも,所管する学校に対する業務改善方針や計画を策定すること。それから,下から二つ目の黒ぽつ,学校の業務改善の取組に対して教育委員会等が支援を行っていくこと。さらにその下,ICT等業務効率化に必要な環境整備に取り組んでいくこと,こういった提言を頂いております。
 さらに,各学校においては,学校の重点目標,経営方針の明確化,また,関係機関や地域住民との連携の推進などが提言をされております。
 また,業務の適正化と関連して,各学校において,例えば学校の運営に関する基本的な方針やキャリア教育に関する計画など,様々な計画を作成するよう求められております。児童生徒ごとにも指導計画,支援計画の作成が求められております。このような現状を踏まえて,各種計画の統合や様式統一を推進していくということも示されております。
 それから,3ページ目の一番下,4番のところでございますが,学校の組織運営体制の在り方については,各学校は,学習指導,生徒指導,学校運営等に関して,校内に様々な委員会の組織,担当者の設置が求められており,このような現状を踏まえて,類似の内容を扱う委員会については,委員会等の合同設置や構成員の統一などの運用を進めるべき,といったことが提言されております。
 また,平成19年から,副校長,主幹教諭,指導教諭が設置できるようになり,いわゆる鍋蓋型と言われた組織は少しずつ見直しはされていますが,チームとしての学校を実現して,学校運営を効果的に行うことにより,学校の教育活動の質を向上させるため,真に効果的な委員会等の組織や,主任をはじめとした担当者の在り方,ひいては校務分掌の在り方等については,今後,年明けから又引き続き検討を行うことになっております。
 続きまして,4ページ目を御覧ください。4ページ目は,「5.勤務時間に関する意識改革と制度面の検討」でございます。
 勤務時間管理の徹底については,自己申告方式ではなくて,ICTやタイムカードによる勤務時間の把握を徹底すべきであるという提言がございます。これは既に今年8月の緊急提言でも指摘を頂いていたところでございます。その際に,この提言から,勤務時間の形式的な把握が働き方改革の目的であると誤解されているという指摘もございましたので,今回は勤務時間管理は働き方改革の手段であって目的ではない旨を記載いただいたところでございます。
 二つ目の白丸の適切な勤務時間の設定については,勤務時間を考慮した登下校時間,部活動,学校の諸会議等の設定,時間外の留守番電話対応とともに,学校ホームページなどを活用して,保護者からの問合せを減らす工夫,運動部活動については,スポーツ庁が作成する予定のガイドラインを踏まえた適切な活動時間・休養日の設定,これらの取組を進める際に,学校運営協議会の場を活用しながら,保護者や地域の理解を得るよう努めることなどが提言されております。
 また,三つ目の白丸,教職員全体の働き方に関する意識改革については,研修・人事評価を活用した教職員の意識改革。学校評価と連動した業務改善の点検・評価について提言がございます。
 さらにその下,公立学校の教師の時間外勤務の抑制に向けた制度的措置の検討については,政府全体の働き方改革の議論も踏まえて,公立学校の教師の長時間勤務の改善に向けて,勤務の特殊性にも留意しつつ,勤務時間に関する数値で示した上限の目安を含むガイドラインの早急な検討が示されております。
 なお,公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法を含む勤務時間制度の在り方については,教師の勤務の特殊性も考慮しながら,引き続き議論を行うとされております。
 最後に,5ページ目,「学校における働き方改革」の実現に向けた環境整備でございます。
 ここでは,教職員及び専門スタッフ等,学校指導・運営体制の効果的な強化・充実,あるいは,勤務時間の適正化や業務改善・効率化への支援が求められております。これは8月の緊急提言を受けまして概算要求をした内容でもございますが,ちょうど本日,平成30年度政府予算案が決定いたしました。机上参考資料として,30年度予算案のうち,働き方改革に関する予算をまとめたものを載せていただきました。最後にこの資料について説明をさせていただきたいと思います。
 大きくは3点でございますが,1点目,学校指導・運営体制の効果的な強化・充実につきましては,特に授業時数が増えた小学校英語の専科教員対応1,000人を含めて1,595人の教職員定数の改善が認められておりました。
 最近4年間は,700人,900人,525人,868人の増員で,平均すると700人程度でしたが,今回は前年のほぼ倍の定数改善が認められました。働き方改革特別部会の先生方が,大変密度の濃いハードな審議をしていただいて,それがマスコミなどにも大変大きく取り上げられて,そういった動きも後押しをしていただけたのではないかと思います。この場をお借りして御礼申し上げます。
 2点目の教員以外の専門スタッフ・外部人材の活用につきましても,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの充実に加えまして,今回新たに,学習プリントの印刷や授業準備の補助など,職員室にいて先生方のサポートをするスクール・サポート・スタッフの配置が,新規で3,000人認められております。また,中学校における部活動指導員の配置につきましても,4,500人分が認められております。これらは国が3分の1補助する補助金でございます。スクール・サポート・スタッフにつきましては,3分の2が都道府県になりますが,部活動指導員につきましては,先ほど御説明したように,将来的には地域スポーツへの移管も視野に入れるということで,こちらは国3分の1,都道府県3分の1,市町村3分の1と,市町村にも積極的に関与いただく補助制度にしております。
 3番目の,学校が担うべき業務の効率化及び精選につきましては,学校現場の業務改善を加速するための実践研究やアドバイザー派遣に1.3億円,都道府県単位での統合型校務支援システムの実証研究に3億円,地域と学校の連携・協働を通じた,登下校等の見守り活動の充実に1.1億円,学校給食の徴収・管理業務の改善・充実に0.2億円をそれぞれ計上しております。
 最後に,事務局として,この半年間,大変熱心に御審議いただきました部会の委員の先生方に,改めて感謝を申し上げまして,大変簡単ではございますが,中間まとめの概要の報告とさせていただきます。ありがとうございました。

【北山会長】
 高橋局長,ありがとうございました。
 それでは,ここで少し時間をとりまして,ただいまの中間まとめの説明に関して,御質問,御意見のある方は,名札を立てていただければと存じます。
 それでは,渡邉委員,お願いします。

【渡邉委員】
 ありがとうございます。
 この中間報告につきましては,働き方改革をテーマにして,今御説明にあったような業務の明確化や適正化の方策を示していただきましたが,それにとどまらないで,新しい時代に向けた教育制度の改革を意識していただいているということ,それから二つ目に,働き方改革に関連する課題について,学校と教師という視点だけではなくて,自治体,教育委員会,地域との関係も含めた網羅的な分析をしていただいているという点,さらに,今後の総合的な方策の方向性について,いろいろなベンチマークをされて,地域の教育委員会,学校現場にある好事例を集約して,成功事例要素を基本に置いた内容にしていただいている点など,非常に時宜を得たまとめをしていただいたのではないかと思います。特別部会の精力的検討に対して敬意を表したいと思います。
 ただ,全体的に大変網羅的になっておりますので,これが部分的に伝達されていくと,現場の混乱につながる可能性もあると懸念をいたします。したがって,来年以降の今後の実践フェーズに向けた検討事項として,是非この多様な外部人材の勤務体系に拘わらないベストプラクティスも意識した,学校のマネジメントモデルを示す方向で検討いただければと思います。
 例えば,チーム学校というものと,コミュニティ・スクール,これは学校運営協議会制度ですが,こういったものを総合的なマネジメントとしてのモデルとして捉えたときに,この中間報告の中に整理されているような外部人材の配置が,どのように工夫されているか例示するといいと思います。他にも,ICT支援員や外国語指導助手,あるいは,専門スタッフの活用事例や,スクールカウンセラーや,スクールソーシャルワーカー,先ほど御説明が加えられていた部活動指導員の配置例などもあるかと思います。それから,こういったものを支えるために, ICT活用によって統合型の校務支援システムのようなものが導入されている例を好事例としてしっかり拾わないと,マネジメントとしては動かないと思います。
 さらには,地域,学校の協働体制のモデルも重要です。これは31ページの学校の組織運営体制の在り方や,41ページの実現に向けた環境整備の中で記述されている内容を,体系立ててマネジメントモデルとして示してほしいということでもあります。こうした検討を経て,体系立ったものをベストプラクティスモデルとしていただいて,これをガイドライン化,すなわち可視化をして,働き方改革のアクションプランという形で連動させた運営をしていただきたいと思います。
 今回の働き方改革の目指すべき理念として,日本の教育の真の強みを損なうことなく,子供たちにとって結果的に効果的な教育活動を行うことになるのだと,記述されております。一方、第3期教育振興基本計画でも,将来を見据えた理念として「自立,協働,創造」を掲げていますが,こういった学校運営にも重なるものに是非していただきたいと思います。
 以上でございます。

【北山会長】
 貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは,横倉委員,お願いします。

【横倉委員】
 どうもありがとうございます。良い方向性におまとめいただいたことに心から感謝申し上げます。
 さて,10月2日の初等中等教育分科会におきまして,長時間労働の是正だけでは教職員の健康は守れないと,この点についての部会及び文部科学省における検討状況について確認をしたい旨,質問をさせていただきました。また,12月15日の分科会におきましても,小川分科会長から,年明け以降に環境改善に関する検討も行っていくという旨の御発言があったと思います。
 教員の皆さんが様々な場面で感じているストレスを極力減らして,教職員の健康を守るためには,学校における働き方改革の一環として,健康診断など健康管理が必要であると改めて申し上げますとともに,今後の検討の際には,教育現場に関わりのある医師から意見を聴取していただくようにお願いします。
 また,教員の負担を減らすため,健康教育分野については学校医を活用していただくことも重要です。今後,文部科学省において施策を講じられることを期待します。その際,日本学校保健会も最大限の協力をさせていただきます。
 なお,幾ら教員の働き方を改革する努力をしても,やはり教員の数を増やさないことには,すぐに破綻することが目に見えていますので,しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,山田委員,お願いできますか。

【山田委員】
 取りまとめ御苦労様でございます。また,それに応じて国の予算についても,かなり充実した形がとられていることに対して感謝を申し上げたいと思います。
 そうした点を踏まえて1点だけ申し上げたいのは,こうして取りまとめが出てきて,それぞれの役割分担,そしてそれに応じた対応というのは,確かにそのとおりだと思うのですが,先ほどお話がありましたように,これが部分的に出てまいりますと,本来,チーム学校ということで,みんなが連携をしていかなければならない点が少し薄れるのではないかと思います。
 例えば,この中で代表的な業務の在り方に関する考え方で,登下校に関する対応や,放課後から夜間などにおける見回り,児童生徒が補導されたときの対応などは,学校以外が担うべき業務だとなってきて,そこに地方公共団体や教育委員会,学校も私は地方公共団体だと思うのですが,本当にこういう形できちんと分けられるのだろうかと思います。学校の中と外というのは,ほとんど連携をしているし,子供たちは場合によっては授業中にも学校を出ていったりするわけです。そうしたときに,どれだけ連携した対応ができるか。
 京都府の余り格好良くない事例を示しますと,京都府は平成19年に,刑法犯少年人口比はワースト1位でございました。そのときの検挙人員は,3,700件を超えているというところがございました。これではやはり学校だけではとても抑えられないだろうということで,警察署を中心としてOBのスクールサポーターを配置してまいりました。それを毎年増やしていきましたところ,平成28年に3,700件あった刑法犯少年は,857件まで減らしました。そして,全国順位もワースト1から,まだ高いと言われるかもしれませんが,ワースト15位まで改善をすることができました。
 そうした面では,まさにこうしたスクールサポーター的な話がまだこの中ではどこにも出ておりませんが,学校の先生にとって,荒れた学校,そして非常に乱暴な生徒に対する対応は,精神的にも肉体的にも非常に厳しいものがありますので,こうした点についてもさらに充実を図っていただければ有り難いなと思っております。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,篠原委員,お願いできますか。

【篠原委員】
 先ほど,渡邉委員からも御指摘があったのですが,やはり子供にとっての今回の働き方改革がどういう位置付けになるのかという視点が大事だと思って,初等中等教育分科会の席でもそのことを随分主張させていただきました。その結果, 25ページの一番下の3行目から26ページの上の方にかけて,そういう趣旨をかなり盛り込んでいただいているように受け止めました。小川部会長にも御尽力いただいたと思いますが,やはり特に部活です。一部のアスリートを目指す人は別でしょうが,一般に同好会的に部活をやっている人が,夜遅くなって家へ帰ってきてバタンキューで勉強も手につかない,土日は家族との日程も組めないなど,そういう話をたくさん聞いていますので,この働き方改革は,そういうものの改善にもつなげていったらいいのではないかと思うのが1点あります。
 もう一つ,これだけ働き方改革を進めますと,地域の役割も大きいのですが,やはり家庭の役割も相対的に増してくるのだろうと思います。だから,家庭が働き方改革を進める中でどういう役割を今後果たしていくのかということを,もう少し最終報告に向けて深掘りをしていただくと有り難いなと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 中田委員,お願いできますか。

【中田委員】
 それでは,お願いします。
 大変,豊富な内容を含む方向性を示していただいて有り難うございます。
 お話をしたいのは2点です。このような方向性を実現していくときに,現場は,都市部,地方部など,いろいろな地域状況の中にあるかと思います。外部の人材を活用するということは,学校を開かれたものとして,その可能性を拡げていくことになると思いますが,外部人材の確保については地域によって違いがありどのような状況にあるのかということは,やはり課題になります。先ほど,渡邉委員から,マネジメントモデルというようなことがありましたが,その中に地域格差の状況をきちんと視点に入れたマネジメントモデルを作っていただきたいと思っている点が1点です。
 次に,外部というものの中には,地域の一般市民,住民,家庭だけではなくて,可能性としては,高等教育機関が果たす役割もあるのではないかと思っております。
 全国の各県に大学はあり,地方にも,教員養成系の大学や学部もあります。その中で教員を志願している大学生は,通常は教育実習で実践的指導力を学ぶのですが,1か月程度という限られた実習期間だけではなくて,実習後も学校理解,子供理解を継続的に蓄積していく必要性があります。学校との外部連携が進められることにより,継続的理解の深化が図られることも期待されます。地方では,特に地域貢献という面から大学の役割を再構成しようとする大学も多いと思いますので,そういう観点も含んで,高等教育機関も,是非,外部の活力の中に位置づけていただければ有り難いと思っております。
 以上2点でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,清原委員,お願いします。

【清原委員】
 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
 私は,特別部会のメンバーとしても,この間の検討に加わってまいりましたが,その過程で改めて確認をさせていただいたことを発言させていただきます。
 法改正によりまして,総合教育会議が各自治体で展開をされています。市長として,教育委員の皆様と様々な論点を協議し,より良い教育のために努めているところでございますが,今回の学校における働き方改革の検討は,小川部会長を中心に,実態調査とヒアリングに基づきまして,何よりも教師の皆様が心身の健康を損なうことのない業務の質的改革を図ることにより,児童生徒が学校において,より良い教育と,そして総合的な指導を受けられる,そのことを保障するための取組であり,市長としても,教育委員会とともに,この取組に加わっていきたいと改めて考えながら協議に臨んでまいりました。
 そこで,3点に絞って申し上げます。
 1点目です。三鷹市では,「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を進めておりますので,学校の取組について,家庭,地域,もちろん保護者のみならず,一般の市民の皆様にも関わっていただいています。したがいまして,学校における働き方改革についても,更に家庭,保護者,地域の皆様とパートナーとして推進していく必要がある,これを改めて確認したいと思います。
 2点目に,今回,教員の皆様の働き方改革を議論する中で,他職種との連携についても顕在化してきたと思います。もちろん市長部局における福祉部門との連携についても重要なことでございますが,例えば,初等中等教育局と生涯学習政策局とで議論をしてこられた中で生まれた「地域学校協働活動推進員」の取組や,今回提案されました「部活動指導員」につきましては,まさに学校教育と生涯学習との接点によって,更に強化され,名称だけではなくて,具体的な学校における働き方改革を進められるのではないかと,このように展望しているところです。
 特に「部活動指導員」につきましては,例えば,教員ではなくても,地域でスポーツを指導されている方,また,大学で学んでいる学生,様々な人材が実際にきちんとした研修や資格等を検討していただきながら位置付けられることにより,子供たちの生涯スポーツの最初の一歩を学校で体験していただきながら,学校だけで完結しない,地域や,あるいは就職先や,あるいは生涯にわたるスポーツとの接点が描き出されるのではないかなとも展望したところです。これは今後の検討課題としていければなと思っています。
 3点目です。「今後の検討課題について」でございます。幸い,本日,机上参考資料で頂きました新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための環境整備において,「学校指導運営体制の効果的な強化・充実」として,「教職員定数」について,一定の人数が確保されるということが示されました。私は,学校における働き方改革で,多職種連携や保護者や地域の皆様のボランタリーな活動も有益と思いますし,教職課程で学んでいる学生のしっかりとしたサポーターとしての位置付けも有効だと思いますが,基本的には,一定の教職員定数が確保されなければ,問題の抜本的な解決にはならないのではないかと考えている一人でございまして,今回,そうした端緒としての平成30年度予算案が示されましたことは,心強いと思っています。
 しかし,今後さらなる働き方改革の実現に向けて,1月以降の課題につきましても,37ページ以降に列挙されておりますので,さらに「チーム学校」として,渡邉委員も指摘されましたような「マネジメントプラン」,「ガイドライン化」,「そして数値目標」,そうした具体的なものを今後も検討していきながら,各学校で推進できるような具体的な「モデル」を提案していければなとも思いました。
 以上,実態に即した検討の中から問題の所在は明らかになってまいりまして,学校,教師が担う業務の明確化,適正化が検討されておりますが,適正化については更なる慎重な検討の中で,より良いものに進めていければなと願いつつ,発言とさせていただきます。ありがとうございます。

【北山会長】
 貴重な御意見ありがとうございます。
 生重委員,お願いします。

【生重委員】
 ありがとうございます。
 委員の皆様方の審議の状況を追い掛けながら,物すごく急ピッチで様々なことを良い方向にお決めいただけたかなと思っております。
 先ほど,三鷹市長もおっしゃっていましたが,私もやはり先生の数を増やしていくということは,基本,大切なことだと心から思っています。
 学校の先生たちのところに,スクール・サポート・スタッフを入れるという予算が付いたことも望ましいのですが,これは一部の早いところでは,派遣会社がスタッフ募集をかけています。それを見せていただいたときに感じたことを一言申し上げますと,私のところに入っていただくのであれば,地域を知っていて,なおかつ,学校の現状を知っている,そういう方たちに入っていただいて,適宜,有効なスクール・サポートをしていただきたいと心から思います。
 その実践事例として,例えば,そこまではやっていないのですが,沖縄では,PTCAという形で,卒業したPTAの方が,それほどたくさんではないのですが,時給を頂いて業務に当たり,事務室の中で一緒に業務をしている。PTAも今いろいろな意味でなり手がない中で,文書を出すことや,PTAの会計管理も含めて,そういうことを行っています。ただし,2年ごとに交代という形で,成績に関係ない丸付けのボランティアなどもその方たちが差配していたりします。派遣業務の中から学校を知らない人が,そういうスクール・サポート・スタッフとしてやってくるということが起こらないようにしていただきたいと思います。
 それから,私は,全国の各小・中学校,いろいろなところに呼ばれていますが,各地で本当に格差があります。ボランティアを出すサポート業務をしていくと言っても,そういうことすらかなわない。それどころか,子供の人数が少ないので,全教科の先生はいないという学校は全国にたくさんある。そこはタブレットなどICTを進めることで,様々なことが,今,劇的に変わろうとはしているのですが,その現状を鑑みないと,市町村によっては,予算を付ける力もない。そうなったときに,教育を受ける上での格差が生まれてしまう,そこはなるべく避けていただきたいなと思います。
 それと,チーム学校というのを目指していただくには,先生たちがかなり話し合わないといけないと思います。私が知っている数多くの学校では,すぐにチーム化できる学校は限られていると思います。みんなやはり自分でやっているという意識を持ちたいので,そこは何度も何度も話し合いながらやることが必要です。
 それから,校務分掌も今後の検討課題に入っているのですが,一度棚卸しをしない限り,学校というところは,今までやっていたことを捨てずに新しいものを乗せていきます。クラッシュしていただいた上でビルドしていただくという,何がこれからの新しい教育の中で必要なのか,有効なものは何なのかということを,先生たちが考えて,話し合ってこうしましょうということを決めない限り,今のままだと,苦しいばかりです。カリキュラムマネジメントや,アクティブ・ラーニング,深く学べる学習,カウンセリング的手法を用いた生徒指導など,様々なことを分かりやすく各市町村の教育委員会に伝えていかない限り,今現場では,かなり拒絶が起きていて,そうではないよと伝えて,今やっていることと,それをどうやるのかということを話すだけで分かっていただけたりもするので,是非説明の場合でも分かりやすく伝えていただきたいと思います。
 それと, ICTを活用して,教員の仕事を合理化するというのは,ある一定層がそこにたけていないと,うまくいかないです。私の知っているある町では,電子黒板を導入しても,白い布がかかったままで,怖くないから使ってくださいと言っても使ってくださらない例や,成績をパソコンで付けるようになった途端に,もうできないと言って,年配の女性の先生が辞めていかれた例もありますので,そこを一緒になってやっていく若手チームと,それからベテランが持っている力をどう学校内で共有化し得るのかなど,その辺りも含めて一緒に改善していかない限り,学校内でチーム学校が業務改善だと言われても,なかなかそこの理解まで行き切らない。速やかにコミュニティ・スクール化して,なるべく地域の人材が一緒になってやっていける体制を敷くことは,ここは最重要なことなのですが,そこもなかなか各県によってうまくいっていない現状の御相談に乗っている状況なので,是非両方を合わせた形で,良い方向に進んでいってほしいなと思います。
 部活の方も,地域活動だからここには載っていませんが,小学校のスポーツ少年団を見直さないといけません。スポーツ少年団が毎週土日を食っているという地域は多いです。それで,中学に行ったら,親たちは,土曜日,日曜日,どちらかが休みになるとかというのを望まないという現状も,現実にあります。だから,小学校の段階からスポーツ少年団の在り方も見直さない限り,全体が変わっていかないですし,早く外部に移行できるようにすることで,希望する子供たちにそれが望める場所があるということが一番良いのではないかと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,山野委員,お願いできますか。

【山野委員】
 大変なまとめをありがとうございました。それと,部会にも一度呼んでいただいて,いろいろ意見を聞いていただき,本当にありがとうございました。
 私からは,簡単に,皆さんもおっしゃったところにもなるのですが,この机上参考資料をこれからどのように伝えていくかというところで,私の立場で言えば,スクールソーシャルワーカーの立場でもありますが,専門職を入れるときに,どうやって機能させていくのか,スクールサポーターも,機能する仕組みにも着目して,先ほど,渡邉委員がおっしゃったグッドプラクティスとセットで,是非提示していただきたいと思います。そこが例えば中央教育審議会の答申が,施策を作る側で四つの部会を1枚の絵にしてくださいました。今度はそれの主語を「学校」と見たときに,これがどうなるのか。「地域」という主語で見たときにどうなるのかという,それぞれのアクターが見えやすいような形で,一緒に通知文やガイドラインなど,何か可視化したもので,簡潔に提示していただけたらなというふうに思いました。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 明石委員,お願いします。

【明石委員】
 ありがとうございます。3点申し上げます。
 1点は,この中間まとめの良いところを二つ申し上げたいと思います。
 1点目は,「日本型学校教育」という言葉を使ってくれました。これは,これまでずっと暗黙の了解としてあったことを,日本型教育というのをクローズアップさせた。なぜかと申しますと,今,それが問題を起こしてきているということの問題提起が非常によく出ております。1点。
 2点目は,この3-1の中の2ページ目に,業務内容を三つに分けてくれていますよね。本来,基本的には学校以外が担うべき業務と,今,局長から説明がありましたが,この三つをよく分けてくれた。これは非常に議論を呼ぶところです。こういう具体的なレベルで議論していかないと,まとまっていかない。空中戦になったら困る,地上戦でやってほしいというのが,この三つをうまくやってくれまして,相当これは議論を呼びます。この提示が良かった。
 3点目は,注文ですが,渡邉委員もおっしゃいましたが,PDCAでPは結構出ている。Doをどうするかというときに,チーム学校,それからCS,地域の学校とあります。もう一つ,地域学校協働本部という社会教育と学校教育の連携など,要するに,地域によっては,様々な概念の理解が違うのです。その辺りをどこかで整理していかないと難しいだろう。整理する前に,渡邉委員がおっしゃるように,いろいろな手法がありますから,良い実践を分かりやすく提示してくれると,お互いが情報の共有化ができるという,そういう課題があるかと思います。
 以上3点。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 天笠委員,お願いできますか。

【天笠委員】
 失礼いたします。二つ申し上げたいと思います。
 まず一つ目は,先ほど,平成30年度の予算案のところの説明にあったところですが,このたびの小学校英語に対して,専科指導教員の充実ということが予算的にも拡充された,あるいは確保されたということについて,働き方部会で発言をさせていただいた立場から,この点について高く評価させていただきたいと思います。
 この人員の増加ということと,今回,私どもが働き方改革と提起していることをうまくつなげ,重ねていくということで,この専科教員の充実が職場の小学校,とりわけ小学校の働き方改革の呼び水になっていくような,そういう存在として,この教員の充実のこれからの展開を見据えていきたいと思っております。それが1点目であります。
 それから二つ目は,この中間まとめの初めの部分のところに,働き方改革を進めるには,教師一人一人や学校の取組も重要だが,文部科学省や教育委員会の役割は非常に大きいという,そういう一節があります。確かにそのとおりであると思うわけですが,働き方部会で発言させていただいた立場としては,基本的にこの働き方改革は,やはり学校あるいは教職員お一人お一人の方々の主体的な対応,主体的・自立的な取組というのが,ポイントになる部分であることは言うまでもないと思っています。どうしても外側から様々なことを申し上げさせていただく立場としては,これをそれぞれの学校,教職員の方には主体的に受け止めていただいて,自らのテーマにし,自らの学校職場を健康的な視点から,より確かなものにしていこうという,そういうこととして受け止めていただきたいということで,この中間まとめをその一つの呼び水と受け止めていただくような,そういう働き掛けが大切なのではないかなと思っております。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,村田委員,お願いします。

【村田委員】
 ありがとうございます。
 大学関係者として一言だけ,1点だけ申し上げたいと思います。
 先ほど,中田委員も同じような発言をされたかと思いますが,部活動のところですが,私どもの大学では,もう既に大学のいろいろなクラブ活動をしている学生が,小学校,中学校,高校に教えに行っております。そういう意味では,今回これは,初等中等教育の問題ですが,やはり高等教育をも含めて一緒になって連携していく形で取り組んでいくことが極めて大事だろうなと思ってございます。
 といいますのも,大学の学生にとって,小学校,中学校,高校の子供たちを教えることそのこと自体が,実は大きな学びにもつながっていくわけでございまして,まさに人的な資源を有効活用,なおかつ,それが学びにつながるという意味で,初等中等教育と高等教育が一体となってやっていく,こういう視点が,一つこの部活動のところで実現できればと願ってございます。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 いろいろ御意見を頂きましてありがとうございます。追加でご意見などがございましたら,後程,事務局にご提出いただければと思います。本日これから大臣にお渡しするのは中間まとめでして、今後引き続き、部会や分科会で,議論を重ねた上で,最終的な答申として取りまとめます。したがいまして,本日御意見を頂戴した点も含め,今後,答申に反映させていただくということといたしまして,この中間まとめにつきましては,本日御提示しております案で御了承いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
 (「異議なし」の声あり)

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,大臣に中間まとめをお渡しする前に,会長であります私からも一言申し上げます。
 本件に関しましては,本年6月の諮問を受けて,これまで初等中等教育分科会に設置された「学校における働き方改革特別部会」を中心に精力的に議論を重ねてまいりました。
 この学校における働き方改革の目指す理念は,単なる教員の皆さんの長時間勤務の是正にとどまりません。先生方が,長時間勤務を良しとするこれまでの働き方を見直すことを通じて,日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで,自らの人間性を高め,子供たちに対してより効果的な教育活動を行うことができるようにすることであると考えております。
 文部科学省におかれましては,中間まとめの趣旨を十分に御尊重いただき,学校における働き方改革及び必要な諸施策に早期に取り組まれることを期待いたします。
 それでは,大臣に中間まとめをお渡しいたします。
 (中間まとめ手交)

【北山会長】
 それでは,林大臣,御挨拶をお願いします。

【林大臣】
 ただいま,北山会長から,「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」の中間まとめを頂きました。
 これまで御審議を頂きましたように,教師の長時間勤務の要因を見直すということで,教師一人一人が様々な経験を通じて自らを研鑽(けんさん)できる機会を持てるようにいたしまして,更に効果的な教育活動へとつなげていく,このことが重要であろうと思っております。
 また,自らの意欲と能力を最大限に発揮できるような勤務環境を整備するということで,教員は大変魅力ある仕事であるということが再認識され,教師自身も誇りを持って働くことができるようになると考えております。
 そして,それがひいては,子供の教育にも良い影響として還元されることとなり,これこそが学校における働き方改革の目指す理念であると認識しておるわけでございます。
 今お示しいただきました御提言をしっかりと受け止めまして,文部科学省としても年内に緊急対策を取りまとめまして,関係諸施策の推進に,この間,予算案ということで政府としては取りまとめをしていただきましたところでございますが,こういうものも最大に活用しながら,推進に取り組んでまいりたいと思っております。
 北山会長をはじめ,委員の皆様には,引き続き,学校教育の充実のためにお力添えを賜りますようにお願い申し上げまして,簡単でございますが,私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

【北山会長】
 林大臣,ありがとうございました。
 今,大臣からもありましたように,この中間まとめと,本日委員の皆様から頂いた意見も踏まえ,この特別部会において,引き続き審議を進めてまいりますので,また委員の皆さんもよろしくお願いいたします。
 大臣は公務のためにこれで退席されます。ありがとうございました。
 (林大臣退席)

【北山会長】
 それでは,議題(2)に移りたいと思います。
 中央教育審議会では,文化審議会からの審議要請を受けて,地方文化財行政の在り方について審議を行うため,9月28日の中央教育審議会総会において,地方文化財行政に関する特別部会を設置し,議論を行いました。
 10月30日の同部会において,「地方文化財行政の在り方について(特別部会まとめ)」が取りまとめられましたので,同部会の小川部会長から,御報告をお願いしたいと思います。
 小川委員,よろしくお願いします。

【小川副会長】
 それでは,資料4-1の地方文化財行政の在り方に関して,概要がA4,1枚にありますので,ほぼこの柱に沿って,私の方から特別部会まとめについて御報告させていただきます。
 文化財保護制度全般の見直しにつきましては,文化審議会の文化財分科会企画調査会で検討が行われましたが,この中で文化財保護に関する事務を地方公共団体の選択によって,首長の権限の下に置くことを可能とするかどうかの検討につきましては,学校教育や社会教育との連携などの観点から,調査,審議する必要があるということで,本年9月に,中央教育審議会の下に,地方文化財行政に関する特別部会が設置され,10月に特別部会において2回の集中審議を行い,今回,部会における審議を取りまとめました。
 この地方文化財行政に関する特別部会において,委員の方から様々な御意見がありましたが,その中でも主な意見として,例えば,地方公共団体の判断により,文化財保護に関する事務を選択可能とする制度改正に基本的には賛成であること,
 文化財の保存と活用は車の両輪であって,それぞれを別々の部局が担当するといったことにならないように法令上の明確化が必要であること,
 また,専門的・技術的判断の確保方策として,地方文化財保護審議会の必置や専門的な知見を持つ職員の配置が必要であること,
 多様なフィールドを経験した文化財の専門人材の養成が重要であること,
 また,どの部局であれば,必要な予算を確保でき,現実的に文化財を守ることにつながるかという観点からの検討が必要であること,などといったことが挙げられていました。
 こうした特別部会での議論を踏まえまして,特別部会におきましては3点,一つは,文化財保護に関する事務については,引き続いて教育行政部局,すなわち教育委員会が担当することを基本としつつも,景観・まちづくり行政などとの総合的・一体的な取組を効果的に進めるために,地方公共団体の選択によって文化財保護に関する事務を首長が担当することを可能とすべきであること。
 2点目は,その際,文化財は一旦滅失棄損すれば原状回復できないために,平成25年度企画調査会報告で示された四つの要請,すなわち専門的・技術的判断の確保,政治的中立性,継続性・安定性の確保,開発行為との均衡,そして学校教育や社会教育との連携に対応できる環境を整えることを条件とすべきであること。
 3点目として,文化財保護事務を首長部局,教育委員会のどちらが担当するにしても,文化財保護行政を更に発展させることが何より重要であり,国においては,広い視野や専門知識を持った人材の育成確保や文化財保護のための予算の確保などの施策の推進を期待することというような部会における審議まとめを取りまとめたところでございます。
 中央教育審議会特別部会における審議のまとめを踏まえまして,今月の8日に文化審議会において,文化財保護制度見直しに関わる答申が取りまとめられて,今後,先ほどの文化財保護に関する事務の担当の件も含めて,次期の通常国会への文化財保護法改正案の提出を目指して検討を進めていくと伺っております。
 私からの報告は以上でございます。

【北山会長】
 小川委員,ありがとうございました。
 それで,今の地方文化財行政の在り方についての特別部会のまとめについて,何か御質問はございますでしょうか。
 山田委員,お願いします。

【山田委員】
 大変熱心な議論をしていただいて,取りまとめていただいたことに感謝申し上げます。少し質問をさせていただきたいのですが,この中で基本的には教育委員会に置くけれど,首長部局のところにも置くことができるようにするというお話でありましたが,その中で文化審議会文化財分科会企画調査会報告で示された四つの要請に対応できる環境を整えることを条件とするべきであると書いてあります。これは具体的に対応できる環境とは何かということだと思いますが,ここがよく分からない。例えば,これが地方文化財保護審議会の必置だという話になった場合に,構成的には教育委員会に置くときは選択制にして,そして首長部局に置くときは必置機関という形の構成をとられようとしているのか,そのときに,政治的中立を守るための機関として置かれるのか,文化庁にも文化審議会がありますが,これは政治的中立を守るために置かれているのかどうかです。地方だけ政治的中立を守るために地方文化審議会を置くというのは,本当に全体の流れとしていいのだろうか。ましてや開発と均衡は,別に首長部局だけの問題ではなくて,これはまさに教育委員会がやろうと,どこがやろうと,この問題は重要な問題というのがこの結論としてもあると思います。私はやはり,文化の概念が非常に広がってきた。文化芸術振興基本法も改正されまして,食文化や様々なものも広まってきて,その中で十分に活用していく。それは今までの文化財保護とはかなり法的な側面も変わり,教育の総合会議ができて,そして首長さんも本格的に教育という問題に向かい合わなければいけない。三鷹の市長さんもいらっしゃいますが,我々は選挙のときに一番の争点は教育ですから,本当にそうした状況の中で,どういう形でこの形が出てくるのかということを少し御説明願いたいなと思います。私は,正直言って,首長に任せるとぼろぼろにするのではないか,教育委員会がやると全てがうまくいくという,神話があるような気がしています。今は首長部局と教育委員会が本当に連携して,力を合わせて文化というものを守っていかなければならない時代だと思っておりますので,少し違和感があるということを申し添えたいと思います。

【北山会長】
 では,文化庁の高橋課長,お願いします。

【高橋文化庁文化財部伝統文化課長】
 文化庁伝統文化課長,高橋と申します。
 ただいまの御質問の関係でございますが,そもそも今回の見直しの背景といたしまして,これまで文化財行政というものが,どちらかというと,いわゆる文化財の専門家と呼ばれる方々のみで行われてきたという傾向が強うございました。今の文化財の保存活用の状況を見ますと,もうそれだけでは十分な措置ができない。また,文化財というものが,地域の,例えばまちづくりであったり,あるいは観光振興であったり,地域振興であったり,そういうものとの密接不可分になっているので,そういう状況から踏まえると,教育委員会だけでやっていくということは限界があるのではないか。むしろそれこそ首長部局,さらには社会全体で,地域全体で取り組んでいく必要があるのではないかというような視点から,見直しについて文化審議会の方で御議論を頂いてきたわけでございます。
 それで,この文化財行政の所管の件につきましては,10月に中央教育審議会特別部会でおまとめを頂いたことを踏まえまして,こうした御意見も踏まえて,文化審議会の方で更に意見を戦わせて,今月の8日に答申ということになったわけでございます。その中では,首長部局に文化財保護行政を移管するときの制度的な措置としては,地方文化財保護審議会,これは今,文化財保護法上では任意設置になっておりますが,首長部局に移すときには,この審議会を必ず置くと,そこでは制度的に明確にすべきだというような御意見があり,答申がまとめられたわけでございます。
 その他,この四つの要請の観点については,これはむしろ留意すべき事項ということで,では,具体的にどういうことをやっていくかということについては,文化審議会の答申の中で,例示として,例えば専門的な職員の配置の促進や,あるいは職員研修の充実,あるいは文化財行政の透明性の確保など,そうしたことをそれぞれの地域で取り組んでいくことが適当という答申を頂いておりますので,私どもとしては,そういう観点から,今後,考えていきたいと思ってございます。

【山田委員】
 これからの総合的な文化財の保護だというのであれば,これは一定規模のところには地方文化審議会というのを必置に,これは教育委員会でも首長部局でも私は変わらないと思いますので,より幅広く文化を守っていくためには必要ではないか。そして,その中で政治的中立性といった問題については,まさに課長がおっしゃったように,留意すべき点であると私も思います。それを条件として制度を設計するという話ではないと思いますので,その点で,まさにこれは留意すべき事項にすべきだということを意見として言わせていただきたいと思います。

【北山会長】
 いかがでしょうか。

【高橋文化庁文化財部伝統文化課長】
 文化審議会の答申においては,これを「条件」という言葉は使ってございませんので,その意味でいけば,文化財保護法の改正については,文化審議会の答申を踏まえて行うということに思ってございますので,今の山田委員からの御指摘の点については,そのような形で対応できるかと思っております。

【北山会長】
 山田委員,よろしいですか。

【山田委員】
 非常にセンシティブな問題でありますので,十分に注意をして扱っていただけたらなと思います。

【北山会長】
 それでは,本件に関しては,そのほか御意見,御質問,よろしいですか。
 それでは,本日の議事はこれまでにしたいと思います。
 次回の日程について,氷見谷課長からお願いします。

【氷見谷生涯学習政策局政策課長】
 次回の中央教育審議会総会でございますが,1月31日水曜日の10時から12時を予定しております。場所は,旧庁舎の6階にございます文部科学省第二講堂となりますので,よろしくお願いします。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,本日の会議はこれで終了いたします。皆さん,良いお年をお迎えください。ありがとうございました。

―了―

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生涯学習政策局政策課

政策審議第一係
電話番号:内線:3458