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中央教育審議会(第109回) 議事録

1.日時

平成28年12月21日(水曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 「第二講堂」(旧庁舎6階)

3.議題

  1. 「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)」「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)」の結果について
  2. 幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申(案))
  3. 第2次学校安全の推進に関する計画の策定について(答申(素案))
  4. その他

4.出席者

委員

 北山会長,小川副会長,河田副会長,生重委員,尾上委員,小原委員,帯野委員,亀山委員,菊川委員,小室委員,櫻井委員,志賀委員,篠原委員,田中委員,田邉委員,中根委員,林委員,坂東委員,無藤委員

文部科学省

 松野文部科学大臣,樋口文部科学大臣政務官,鈴木大臣補佐官,前川事務次官,小松文部科学審議官,佐野大臣官房長,山下文教施設企画部長,有松生涯学習政策局長,藤原初等中等教育局長,常盤高等教育局長,村田高等教育局私学部長,藤江大臣官房審議官,合田初等中等教育局教育課程課長,和田初等中等教育局健康教育・食育課長,神山大臣官房審議官,佐藤生涯学習総括官,里見生涯学習政策局政策課長 他

5.議事録

【北山会長】
 それでは,定刻でございますので,ただいまから中央教育審議会総会を開会いたします。
 年の瀬のお忙しい中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 本日は,樋口政務官にも御出席いただいております。ありがとうございます。

【樋口政務官】
 ありがとうございます。

【北山会長】
 また,松野大臣は,後ほど御到着の予定となっております。
 それでは,本日の議事でございますが,まず議題(1)として,「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)」及び「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)」の結果について御報告いただきます。
 続いて,議題(2)として,初等中等教育における教育課程の基準等の在り方についての答申(案)について御審議いただきます。その上で,委員の皆様の御了承が得られれば,本日,答申として大臣に提出させていただきたいと思います。
 その後,議題(3)でございますが,第2次学校安全の推進に関する計画の策定についての答申(素案)の説明と意見交換を行いたいと思います。
 なお,本日は報道関係者から,会議の全体についてカメラ撮影・録音を行いたい旨の申出があり,了承しておりますので,御承知おきいただきたいと思います。
 それでは議事に入ります。本日の配付資料について,里見課長から御説明をお願いします。

【里見生涯学習政策局政策課長】
 それでは,本日の配付資料でございますが,お手元の会議次第に記載しておりますとおり,資料1から資料4‐2まで,及び参考資料といたしまして,林委員から,議題(3)の学校安全の推進に関する計画に関しまして御提出いただいた資料がございます。
 このうち資料1につきまして,私から御報告申し上げます。委員の皆様方には既にメール等でお知らせをしておりますが,9月21日の中央教育審議会総会以降に行われました諮問に関するものでございます。
 資料1を御覧ください。大学分科会に関連した諮問でございます。中央教育審議会の申合せに基づき,中央教育審議会総会の諮問を経ずに行われているものを報告するということでございます。
 大学設置基準第39条により,医学又は歯学に関する学部を置く大学には,その教育研究に必要な施設として附属病院を置くこととなっております。今回は,文部科学大臣が定めた要件を満たした地域医療連携推進法人という新しい法人制度に基づいて設置されました法人が開設する病院を附属病院に含むことができるようにするという諮問の内容となっているところでございます。御確認いただければと存じます。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 それでは,議題(1)に入ります。先ほど御案内しましたとおり,TIMSS2015及びPISA2015の結果について報告をお願いしたいと思います。藤原局長よろしくお願いします。

【藤原初等中等教育局長】
 それでは,私から,2015年に実施されました国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015),OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)の2点についての結果を御報告申し上げます。
 まず,資料2‐1,TIMSS2015でございます。1ページの上の段でございますが,TIMSSは小学4年生,中学2年生を対象に算数・数学,理科の到達度を測るために実施されており,小学校は50か国地域,中学校は40か国地域が参加いたしました。
 1ページ真ん中のところでございますが,今回の調査結果については,我が国は小学校算数が49か国中5位,小学校理科が47か国中3位,中学校数学が39か国中5位,中学校理科が39か国中2位でございました。また,我が国の平均得点につきましては,小・中学校の算数・数学,理科の全てにおいて前回調査,すなわちTIMSS2011と比較いたしまして有意に得点が上昇しております。
 2ページから3ページにかけましては,TIMSSの調査問題例を掲載しております。
 4ページ,5ページを御覧ください。小・中学校の算数・数学,理科における習熟度別の児童生徒の割合を示しておりまして,全ての教科において,下位層が減少して,上位層が増加する傾向が見られるところでございます。
 6ページ,7ページでございますが,我が国の質問紙調査の結果でございます。前回調査と同様に,小学校の「理科は楽しい」を除いて,国際平均を下回っている項目が多いのですが,「算数・数学,理科が楽しい」と思う児童生徒の割合が増加傾向にあり,中学校においては国際平均との差が縮まっている傾向がございます。
 8ページ,9ページ,10ページ,11ページ,12ページまでは詳細な各国の成績を掲載しておりますので,適宜御覧いただければと思います。
 続きまして,資料2‐2,PISA2015についてでございます。1ページの上の方を御覧いただきたいと思いますが,PISAは義務教育修了段階の15歳児を対象といたしまして,生徒が持っている知識や技能を,実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるか評価することを目的といたしまして,読解力,数学的リテラシー,科学的リテラシーの三つの分野について,2000年以降,3年に1回実施しております。PISA2015からは,従来の筆記型調査からコンピュータ使用型の調査に移行しているところでございます。
 1ページ下の方を御覧ください。今回の調査結果につきましては,我が国は,科学的リテラシーが538点ということでOECD加盟国では第1位,読解力が516点ということでOECD加盟国中第6位,数学的リテラシーについては532点ということでOECD加盟国中第1位となっておりまして,国際的に見ると引き続き,平均得点が高い上位グループに位置しております。
 一方で,前回調査と比較いたしまして,読解力の平均得点が有意に低下しているところでございますが,その要因などについては,また後ほど具体的に御説明を申し上げたいと思います。
 2ページを御覧ください。ここにはPISAの調査問題例を掲載いたしております。
 それから,3ページは諸外国と比較した日本の結果ですが,上の段がOECD加盟国における比較,下の段が全参加国・地域における比較を示しております。下の段の灰色の部分については,OECDに加盟していない国・地域を表しております。
 6ページ以降に詳細な各国の成績を掲載しておりますので,こちらについては後ほど御参照いただければと思います。
 4ページを御覧ください。4ページの上の方で,科学的リテラシーの平均得点について三つの科学的能力別に見ると,日本は各能力ともに国際的に上位に位置しているということでございます。
 下の段の方ですが,生徒の科学に対する態度については,OECD平均と比較すると,肯定的な回答をした生徒の割合が依然として低いわけでありますが,例えば自分の将来に理科の学習は役に立つと感じている生徒の割合につきましては,2006年と比較いたしまして増加するなどの改善が見られるところでございます。
 5ページでございます。ここでは各分野の上位8か国・地域における習熟度レベルの割合を掲載しております。
 それから,読解力の向上に向けた対応策について御説明申し上げたいと思います。資料2‐3でございます。先ほど申し上げましたとおり,今回の調査結果で読解力について,前回の調査と比較して平均得点が下がっているわけでございます。
 資料2‐3の2ページを御覧ください。特に前回調査から正答率が大きく低下している問題がございまして,それらについて生徒の解答状況の分析を行うなど詳細な検討を行ったところ,複数の課題文の位置付け,構成,内容を理解しながら解答する,あるいはコンピュータの複数の画面から情報を取り出して整理し,解答するなどに関しまして,誤答が多い状況でございました。
 4ページでございますが,子供たちを取り巻く情報環境が大きく変わっておりまして,高校生を中心に読書量や新聞を読む機会が減少傾向にある一方で,スマートフォンを用いたインターネットの利用時間が増加傾向にございまして,子供たちが一定のまとまりのある文章と接する機会が変化していると考えられているところでございます。
 資料2‐3の1ページにお戻りいただければと思いますが,このような分析を踏まえまして,今回の読解力の調査結果につきましては,コンピュータ使用型調査に移行する中で,例えばコンピュータ上の複数の画面から情報を取り出して,考察しながら解答する問題などで戸惑いがあったと考えられるほかに,子供を取り巻く情報環境が激変する中で,次期学習指導要領に向けた検討でも指摘されている諸課題が具体的に見られていると考えております。
 このような諸課題を踏まえまして学習指導要領を改訂し,学習基盤となる言語能力,情報活用能力の育成をする国語教育の改善・充実を行うとともに,読解力の向上の基盤整備としての調査研究の充実,学校ICT環境整備の加速化につきまして,この資料にありますとおり,読解力の向上に向けた対応策として取りまとめた次第でございます。学校における指導改善・充実に向けては,指導改善のポイントを作成するなど,早期に読解力の向上に向けた取組を文部科学省といたしまして推進していきたいと考えております。
 説明は以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。ただいま御説明いただきましたTIMSSとPISAについて,何か御質問,御意見等ございましたらお願いします。
 では,篠原委員,お願いします。

【篠原委員】
 いつもこのような調査を見て不思議に思うのですが,中国は国全体として出さずに,都市あるいは地域で出してきていますよね。このようなことが可能であれば,これは当然,学力的には中国全体でとるよりも上位にいくと思います。日本も,例えば東京や大阪,名古屋などの都市部で抽出を行ったら,現在の順位よりもっと高くなるかもしれません。そのようなアンバランスというのは,この調査では認められているのですか。中国全体としては出てきてないですよね。いつも不思議に思うのですが,その辺りはいかがなのでしょうか。

【藤原初等中等教育局長】
 PISAにつきましては,OECD加盟国は基本的に国単位,非加盟国については,例外的な取扱いとして,希望すれば都市単位での実施が認められているという状況でございますので,中国の場合はそのような形で参加しているということです。

【篠原委員】
 日本は加盟国だから国単位で行っているということでしょうか。

【藤原初等中等教育局長】
 はい,日本は加盟国のため全体として行うという取扱いです。

【篠原委員】
 わかりました。

【北山会長】
 それでは,志賀委員,お願いします。

【志賀委員】
 1点教えていただきたいことがございます。女性の活躍についてずっと会社で推進しているのですが,日産自動車のようなもの作りの会社はある程度その割合を上げようとすると,理系女子を一生懸命採用しなければなりません。
 ところが,残念ながら,大学の理科系女子の比率がなかなか上がってこないのですが,いろいろな話を聞くと,小学校低学年のときに理科,数学が好きかというのが非常に重要だということを言われるのですが,「理科は楽しい」,あるいは「算数・数学は楽しい」という,これだけの国際比較が出ている中で,日本の男子,女子の比較で他の国に劣っている,あるいは平均点などといったデータはございますか。

【北山会長】
 今,お手元にそのような資料はありますか。

【藤原初等中等教育局長】
 好き嫌いのところのデータについては,男女別にはないので,お示しできないということでございます。結果については,男女別はあるのですが,このような好き嫌いはないということでございます。

【北山会長】
 他国との比較ではなく,日本だけでも,小学校の子供たちの男女別のデータはないのでしょうか。

【藤原初等中等教育局長】
 基礎データがございますので,分析すれば出ますが,今,手元にそのような形でのデータは,持っていないということでございます。

【北山会長】
 わかりました。

【志賀委員】
 小学校のときから理科,算数が好きだという女子を増やしていくというのは,将来の日本のために相当重要だという認識を持っていますので,そのようなデータがございましたら一度見せていただきたいと思います。

【藤原初等中等教育局長】
 御指摘がございましたので,そのような視点で男女別等,もう少し深い分析をしてみたいと思いますので,それができ次第,また御報告申し上げたいと思います。

【北山会長】
 そのほかいかがでしょうか。本件についてはよろしいですか。
 それでは,議題(2)に移りたいと思います。議題(2)は,2年前の平成26年11月の文部科学大臣の諮問を受けて,初等中等教育分科会の下に設置されました教育課程部会において審議が進められてきたところであります。本件は,この2年間,分科会,部会等において200回以上の審議を経たものを,前回の中央教育審議会総会で審議まとめとして委員の皆様から御意見を頂き,その後,実施されました関係団体へのヒアリングや,パブリックコメントも踏まえ,答申(案)として取りまとめられたものです。
 それでは,まず答申(案)の取りまとめに大変御尽力いただきました無藤教育課程部会長から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【無藤委員】
 それでは,簡単に報告をさせていただきますが,より詳しい内容については藤原局長より御説明がございます。資料についてですが,お手元の資料3‐5という極めて分厚いファイルがあるかと存じます。こちらは答申全体なのですが,半分が参考資料ですので,実質的にはこの半分でございます。それとともに概要に当たる資料がお手元にございます。
 今回の答申(案)につきましては,2年前の11月に文部科学大臣から諮問いただき,議論を開始しました。教育課程部会の下で様々な部会等を構成しながら,大勢の委員の下で議論してまいりました。
 基本的には,これからの日本社会が関わるであろう様々な課題に挑戦でき,解決していけるような,いわばたくましく生きる力を発揮できる子供たち,そしてその子供たちが大人になる中で,より良い社会を創っていけるだけの力を学校教育として育てようということでございます。そのためには学校教育関係者とともに,いわば社会総がかりで学校教育をより良くしていきたいという理念,社会に開かれた教育課程と呼んでおりますが,その下で考えたわけでございます。
 その中で,当然学校教育でございますから,教科ごとにしっかりとした教育を行うということであるわけですが,同時に教科を超え,また幼稚園,小学校,中学校,高等学校と縦に貫く基本的な子供たちの力を育成すべきであるということを明確にしました。それを資質・能力と呼んでおりまして,知識・技能というものと思考力・判断力・表現力,この二つが知的な力でございますが,それに加えて学びに向かう力,人間性等ということで,上位理念,やる気であったり,粘り強く取り組む力であったり,また人と協力して学ぶことなどを含みますが,そのような資質・能力の三つの柱を構成してあります。
 その上で,以前から言われる基礎的な学力をしっかり育てるためには,内容を削減することなく,例えば言語能力をしっかり育成する。これは国語科を中心として行ったり,あるいは更に個に応じた指導の中で,特別支援教育や外国系のお子さんの指導を拡充させていったりするということも含みながら,また,いわゆるアクティブ・ラーニングと呼んでおりますが,子供たちの能動的な学びを実現していきたいと考えております。
 特にアクティブな学びを授業の具体的な指導の中で実現していくために,「主体的・対話的で深い学び」と呼んでおります。「主体的」というのは子供たちの意欲であり,見通しを持って粘り強く学んでいく力であります。「対話的」というのは人とやりとりすることでありますが,特に自分の考えを表し,それをほかの人と共有しながら,更に考えを深めていく過程。そして,「深い学び」というのは,特に教科などの内容をしっかり深く理解していく「学び」でありますが,それらが互いにつながりながら,授業の中でより高いレベルの学習へと進むようにしていこうということを提案しました。
 もとよりそれら,特に基礎学力の部分とアクティブな学びを両立させることはそう簡単ではありませんので,特に学校として,カリキュラム・マネジメントという言い方をしておりますが,どのように学校として持っている,資源,つまり時間,人,費用でありますが,それらを適切に配分していくよう,学校の管理職を中心としてしっかりとした進め方をお願いしたいと考えております。それとともに,教育委員会又は文部科学省として,学校をしっかりとサポートしていくということを考えております。
 そのような意味ではカリキュラム・マネジメントを中心として,内容は削減しないとともに,しかしながら内容の重点化,特に重要な概念にしっかり焦点を当てながら,関連した様々な知識を結び付けていくような指導の在り方を実現しようと考えております。
 このような形で2年間議論してまいりました。その中でヒアリングやパブリックコメントなどもいたしましたが,おおむねこの方向について,多数の方にある意味では御賛同いただけたと思っておりますが,同時に懸念というものもかなりありました。その懸念の中心は,目指す方向はよろしいけれども,学校として,例えば多忙感その他,なかなか厳しい条件があるという率直な御指摘がありました。そのような意味では是非,文部科学省としては学校に具体的なサポート,可能であれば教職員定数の改善でありましょうし,あるいはそれに準ずる様々な人的・予算的なサポートを望みたいということを併せて付け加えたいと思います。
 それでは,補足説明については,藤原初等中等教育局長にお願いしたいと思います。

【北山会長】
 それでは,藤原局長,よろしくお願いします。

【藤原初等中等教育局長】
 それでは,私から,補足の説明を申し上げたいと思います。
 まず,資料3‐1から3‐2,3‐3の関係でございます。無藤部会長からも御説明がございましたとおり,教育課程部会におきましては,平成26年11月の文部科学大臣からの諮問を受けまして,本日お集まりの先生方を含めて約500名近い専門家の知見を結集いただきまして,約200回,トータル400時間を超える精力的な御検討を頂いたところでございます。その審議の状況につきましては,昨年8月に論点整理を取りまとめた際,さらに,今年8月に審議のまとめを取りまとめていただいた際に,それぞれ総会にも御報告申し上げ,大変貴重な御意見を頂いたところでございます。
 それらを踏まえながら,教育課程部会におきましては,今年9月以降,審議まとめに対する関係団体50団体からのヒアリング,パブリックコメントによる広く国民一般からの意見募集を行い,このパブリックコメントによる意見はおよそ3,000件頂きましたが,それらの指摘も踏まえ更なる検討をいたしまして,今般,答申(案)としてお取りまとめいただいているところでございます。
 資料3‐5の黄色いファイルでございますが,最初の方に目次がございますので,その目次を御覧いただければと思います。
 答申の全体構成でございますが,この答申(案)は改訂の大きな方向性を示している第1部,各学校種や教科ごとの改善の具体的な内容を示している第2部で構成されております。第1部におきましては,これまでの学習指導要領改訂の経緯と子供たちの現状を踏まえた上で,次期学習指導要領に基づき,学校教育を受ける子供たちが社会に出て活躍をすることになる2030年以降の社会を見通して,生きる力の育成に向けた教育課程の課題や,社会に開かれた教育課程の実現に向けた学習指導要領の改善の方向性を明らかにしているところでございます。
 学習指導要領の改善の議論は,これまでは時代の変化に応じながら,何を教えるべきかということが中心でございましたが,今回はそこから進みまして,何ができるようになるか,何を学ぶか,どのように学ぶか,これらを一体として考える,正に子供たちの学びそのものについて議論を頂いたわけでございます。
 さらに,総会でも御示唆いただきましたが,子供たちの学びを支える視点として,子供一人一人の発達をどのように支援するか,実施するために何が必要かということについても議論を深めていただきまして,それらを答申の章立てに反映していただいているところでございます。
 次に,資料3‐4を御覧いただきたいと思います。資料3‐4は答申(案)の概要でございまして,御説明申し上げる部分についてはアンダーラインも付しておりますので,適宜御参照いただきたいと思います。
 まず,資料3‐4の1ページでございます。ここで「前回改訂までの経緯」にあるように,現行の学習指導要領は知識基盤社会でますます重要になる子供たちの「生きる力」をバランス良く育む観点から,「ゆとり」か「詰め込み」かの二項対立を乗り越えて,基礎的な知識及び技能,思考力,判断力,表現力等及び主体的に学習に取り組む態度という学力の三つの要素のバランスのとれた育成を重視しております。教育目標や内容が見直されるとともに,習得・活用・探究という学びの過程の中で,言語活動や体験活動等を重視することとされ,そのために必要な授業時数も確保するということでございます。
 今回の改訂は,このような現行学習指導要領の枠組みや,それに基づくこの10年間の学校の取組の実績の上に立ちまして,子供たちの知識の理解の質を高めることに真正面から取り組むものでございます。
 真ん中のところの「子供たちの現状と課題」でございますが,子供たちの学力は,国内外の学力調査の結果によれば近年改善傾向にある一方で,情報化の進展に伴い,子供を取り巻く情報環境が変化する中で,視覚的な情報と言葉の結び付きが希薄になり,知覚した情報の意味を吟味したり,文章の構成や内容を的確に捉えたりしながら読み解くことが少なくなっていること,教科書の文章を読み解けていないとの調査結果があることなど,読解力に関する課題が指摘されております。
 また,豊かな心や人間性を育むという観点から,子供たちが様々な体験活動を通じて,生命の有限性や自然の大切さ,自分の価値を認識しつつ他者と協働することの重要性などを,実感し理解できるようにする機会や,文化芸術を体験して感性を高める機会が限られているという指摘もございます。
 2ページの第2章を御覧ください。このような現状に加えまして,「2030年の社会と子供たちの未来」については,とりわけ第4次産業革命といわれる,進化した人工知能が様々な判断を行ったり,身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする時代の到来が,社会や生活を大きく変えていくとの予測がなされております。
 しかしながら,いかに進化した人工知能であっても,それが行っているのは与えられた目的の中での処理でありまして,人間は,感性を豊かに働かせながら,どのような未来を創っていくのか,どのように社会や人生をより良いものにしていくのかという目的を自ら考え出すことができるということでございまして,このような力を育んできたのが我が国の教育の強みであるとしております。
 3ページ,第3章を御覧ください。だからこそ今,生きる力を育むための具体的な道筋の確立が求められており,そうした中,現行の学習指導要領については,3ページの一番下のところにありますとおり,現行学習指導要領は,各教科等において「教員が何を教えるか」という観点を中心に組み立てられておりますが,一つ一つの学びが何のためか,どのような力を育むものかが明確ではない。このことが,各教科等の縦割りを超えた指導改善の工夫や,指導の目的を「何を知っているか」にとどまらず「何ができるようになるか」に発展させることを妨げている背景ではないかという課題があるという指摘でございます。
 4ページの下の方,第4章を御覧ください。そのため,学習指導要領を構造的に見直して,社会に開かれたものとする必要がございます。そのことは,5ページの上の一番上,丸2に示すように,これからの社会を創り出していく子供たちが,社会や世界に向き合い関わり合い,自らの人生を切り開いていくために求められる資質・能力とは何かを,教育課程において明確化し育んでいくことでもございます。
 このような社会に開かれた教育課程の実現を目指した学習指導要領の改善の視点として示されているのが,5ページの上の(1)学習指導要領等の枠組みの見直し,(2)教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」の実現,(3)「主体的・対話的で深い学び」の実現(「アクティブ・ラーニング」の視点)からの授業改善の三つでございます。このような考え方に基づきまして,6点にわたる学習指導要領の枠組みの改善や条件整備の方策について,全体を見渡した検討を頂いているところでございます。
 6ページの第5章「何ができるようになるか」についてでございますが,真ん中のところの2,「資質・能力の三つの柱に基づく教育課程の枠組みの整理」でございますが,まず丸1,「何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」,丸2,「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」,丸3,「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養(かんよう))」という,この三つの柱に沿って,各教科等の目標や内容を再整理いただいております。
 各教科等を学ぶ本質的な意義の中核をなすのが「見方・考え方」でございまして,教科等の教育と社会をつなぐものであること,子供たちが学習や人生において「見方・考え方」を自在に働かせるようにすることこそ,教員の専門性が発揮されることが求められるということを整理していただいております。
 さらには,全ての学習の基盤となる言語能力や情報活用能力など,各学校段階を通じて体系的に育んでいくことや,また7ページの上の方に示しておりますとおり,健康・安全・食に関する力,あるいは主権者として求められる力など,現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を育成することの重要性を御指摘いただいております。
 7ページ真ん中の辺り,第6章「何を学ぶか」でございますが,この観点からは,学びの質と量の関係については,様々な資質・能力は教科等の学習から離れて単独に育成されるものではなく,関連が深い教科等の内容事項と関連付けながら育まれるものであり,資質・能力の育成には知識の質や量が重要である。こうした考えに基づき,今回の改訂は学びの質と量を重視するものであり,学習内容の削減を行うことは適当ではないとの指摘を頂いております。
 それから,7ページの第7章の下の方,「どのように学ぶか」の観点からは,8ページの上の文章を御覧いただければと思うのですが,授業改善の取組に関わって,特に小・中学校では,多くの関係者による授業改善の実践が重ねられてきている一方で,高等学校,特に普通科においては,自らの人生や社会の在り方を見据えてどのような力を主体的に育むかよりも,大学入学者選抜に向けた対策が学習の動機付けとなりがちであることが課題となっており,小・中学校では浮き足立つことなく授業改善の取組を着実に進めつつ,高等学校においては,そうした義務教育までの成果を確実に受け継ぎ,一人一人に育まれた力を更に発展・向上させることを求めております。
 8ページ中段にございますとおり,「主体的・対話的で深い学び」の実現とは,特定の指導方法のことでも,学校教育における教育の意図性を否定するものでもないということで,教員が教えることにしっかりと関わり,子供たちに求められる資質・能力を育むために必要な学びの在り方を絶え間なく考え,授業の工夫・改善を重ねていくことであるとして,「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」というアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善を示しております。
 さらに,アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善に関しましては,8ページ下段のところで示しているとおり,国語や各教科等における言語活動や,社会科において課題を追究し解決する活動,理科において観察・実験を通じて課題を探究する学習,体育・美術における活動など,全ての教科等における学習活動に関わるものであり,これまでも充実が図られてきたこうした学習を,更に改善・充実させていくための視点であること。
 また,9ページの上にありますとおり,「主体的・対話的で深い学び」は1単位時間の授業の中で全てが実現されるものではなくて,単元や題材のまとまりの中で実現されていくことが求められること。学びの「深まり」の鍵となるのが,各教科等の特質に応じた「見方・考え方」であること。
 それから,「主体的・対話的で深い学び」の具体的な在り方は,発達の段階や子供の学習課題等に応じて様々でありまして,基礎的・基本的な知識・技能の習得に課題が見られる場合には,子供の学びを深めたり主体性を引き出したりという工夫を重ねながら,確実な習得が図られることが求められるなど留意点としてお示しを頂いているところでございます。
 9ページの真ん中の段,第8章「子供一人一人の発達をどのように支援するか」の観点からは,1,学校経営の充実,2,学習指導と生徒指導の充実,3,キャリア教育の充実,4,個に応じた指導の充実,5,特別支援教育の充実,6,日本語の能力に応じた支援の充実のそれぞれについて,具体的な改善方策をお示しいただいております。
 10ページの下の方,第9章「何が身に付いたか」の観点からは,小・中・高等学校の各教科を通じて,「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の三つの観点による観点別評価を実施する旨の御提言を頂いております。
 11ページ,第10章「実施するために何が必要か」の観点からは,学習指導要領等の理念を実現するために必要な方策をお示しいただいております。具体的には,「チームとしての学校」の実現,教員の資質・能力の向上,これはさきの臨時国会で教育公務員特例法等の改正案が成立しております。それから,必要な教職員定数の改善,さらに12ページに続きまして,学校現場の「業務の適正化」,教科書を含めた「教材や教育環境の整備・充実」「家庭・地域との連携・協働」などに向けた方策をお示しいただいているところでございます。
 新しい学習指導要領の実施にとって,条件整備は必要不可欠でございます。文部科学省といたしましては,この答申(案)の御指摘をしっかりと受け止めて,学習指導要領改訂と併せて条件整備に取り組んでいきたいと考えております。
 以上が第1部で,第2部は14ページからでございます。ここでは各学校段階,各教科等における改訂の具体的な方向性をお示しいただいております。
 第1章では,幼稚園,小学校,中学校,高等学校,特別支援学校の順番に御提言を頂いています。特に,例えば18ページを御覧いただきますと,6番,学校段階間の接続といたしまして,幼児教育と小学校教育,小学校教育と中学校教育,中学校教育と高等学校教育,それから高大接続などについて具体的な方策をお示しいただいております。
 それから,19ページの第2章のところでございますが,ここでは「各教科・科目等の内容の見直し」についてお示しいただいております。
 時間の関係上,全てについての説明は割愛いたしますが,例えばまず1番の国語でございますが,国語で理解し表現する資質・能力を育成するため,構造と内容の把握,精査・解釈,考えの形成など,学習課程に着目した指導の改善・充実を図るとともに,語彙力や情報を多面的・多角的に精査し構造化する力などを高める学習を重視すること,それから高等学校国語科において,「現代の国語」「論理国語」などの科目を設定することなどとしております。
 また,2番,社会,地理歴史,公民でございますが,高等学校において「歴史総合」「直流総合」,それから公民科においては「公共」をそれぞれ新設しております。
 21ページを御覧ください。21ページの下,12番,外国語でございます。小学校中学年には外国語活動,高学年には教科を位置付けることとしております。
 非常に雑駁(ざっぱく)でございますが,概略の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【北山会長】
 無藤部会長,藤原局長,ありがとうございました。
 それでは,これから委員の皆様から御意見,御質問を承ります。膨大な分量の答申(案)でございますが,御説明にもありましたように,分科会あるいは部会で大変念の入った御討議の末,2年かけて出来上がったものであり,この総会におきましても数度にわたって既に御審議いただいてきた経緯がございます。本日は,どうしても確認しておきたいことや答申を受けた今後のことなどについて,何か特段の御質問,御意見があればお願いします。
では,櫻井委員,お願いいたします。

【櫻井委員】
 この膨大なおまとめに,本当に御苦労なさったことに敬意を表したいと思います。その上で2点ほど感想を申し上げます。
 内容は,ゆとり教育から脱して非常に良い内容になっていると思うのですが,それでも一つだけどうしても気にかかることがございます。それは子供たちの国語能力です。もちろん英語を学ぶ能力というのは大事なことです。私などもいろいろな国際会議に出て,日本語だったらもっときちんとした議論ができるのに,どうしても突っ込めないといったことが現実にございますので,英語能力を磨くということは大変重要だと思います。しかし,英語能力は国語能力に基礎を置いているものだと思いますので,その点をくれぐれも重視して教育をしていただけたらと,これは私からのお願いということで申し上げました。ありがとうございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。先ほどのPISA2015の結果を見ましても,読解力については櫻井委員がおっしゃったとおり,今後しっかり取り組んでいく必要がある部分だと思います。これは文部科学省としても,十分に御認識しておられると思います。
 では,篠原委員お願いします。

【篠原委員】
 私も今,櫻井委員がおっしゃった意見に全く賛成です。
 全体としてはいい出来栄えになっていると思うのです。特に主権者教育の部分についてはかなり体系的に,単に高校段階だけではなくて,小・中学校からどのように行って高校につないでいくか。それから,家庭の役割にまで踏み込んでいただいていますから,これは大変画期的な流れになっていると思っています。そこは大変評価したいと思います。
 その上で,これから一番の問題は,教育現場,学校現場あるいは家庭現場で,これをどう実質化させていくかということです。少し例えが悪いかもしれませんが,ゴルフで申し上げれば,ティーショット,アプローチまではこれでいいと思うのですが,問題はしっかりとパットを決めることだと思うのです。そうしないとスコアになりませんから。
 そのような意味からすると,私はこの主権者教育については,是非松野大臣にもお願いしたいのですが,次期学習指導要領は2020年から小学校ということなので,これをどのように実質化させていくかという観点から,それまでに総務省とも連携をとりながら,有識者会議のようなものを作り,少し幅広に検討して,パットをきちんと入れるような流れを作ったらいかがかなと思っております。是非よろしくお願い申し上げます。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 では,田中委員,お願いいたします。

【田中委員】
 本日はありがとうございます。私の方から1点だけお話しさせていただきたいと思います。
 昨日の新聞報道にもあったのですが,発達障害のある児童生徒への通級指導や,外国人児童生徒への日本語指導などのための教員を,法改正によって計画的に充実するといった報道がなされました。大変心強い記事だなと感じて読ませていただいたのですが,今,学校現場では教育課題が非常に複雑化・多様化,あるいは困難化している中にございます。
 そのような中にあって,今回の新聞報道にありますような,教職員定数の改善なくして問題解決,あるいは次期の新しい学習指導要領への円滑な移行というのは難しいと考えます。その上で,教員改革に見合う教育予算の確保・充実を是非お願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。

【北山会長】
 この答申にも,教職員定数の問題についてはきちんと指摘されていますし,今後,予算が固まった時点で,総会におきましても御説明があろうかと思います。もちろん,今,田中委員がおっしゃったのは,単年度の予算だけでなく,中長期的な予算の確保,充実についての問題も含むという点については十分承知しております。
 それでは,中根委員お願いします。

【中根委員】
 ありがとうございます。まずはもって,幼稚園から高校段階に至るまでの非常に多岐にわたった内容を非常に丁寧に御審議いただき,まとめていただいた中身はすばらしいと思います。改めて御苦労に感謝したいと思います。ありがとうございました。
 答申を経て,この後,実行フェーズに移りますので,実行フェーズという観点から幾つかお願いを申し上げたいと思います。
 最初に,この内容に社会から支持を得ることということであります。新指導要領等の内容について広く理解を得るための積極的な,いわばマーケティングを行っていただきたいと思います。
 二つ目,児童生徒によるモチベーションを念頭に,早期の成果が出てくると思います。その早期の成果をベースに,日々の指導等のベストプラクティス化を図っていただきたいと思います。いわゆる実行バージョンでございます。
 三つ目,御指摘に出ていましたが,専科指導の教員の配置,教職員の質と量,両面での改善をお願いします。AIは出ていましたが,VR・ARを強化技術とし,なおこれは学校によってばらつきがありますので,是非文部科学省主導で全ての学校がこれを使える仕組み,これもベストプラクティス化だと思います。
 それから,今回の改訂の目玉の一つは,御説明がありましたが,英語だと思います。高校までがこれだけ英語が良くなるわけですから,大学の英語も是非改善していただきたいということです。
 そして最後に,高大が出ていましたが,アドバンスト・プレイスメントを導入しますと,高校と大学の間のコラボレーションのレベルがものすごく上がるのです。是非これは文部科学省のリーダーシップで着実に,早期に実現していただきたいと思います。ありがとうございます。

【北山会長】
 貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは,林委員お願いいたします。

【林委員】
 ありがとうございます。本当に,よくおまとめいただき,感謝しております。
 私も学校現場に携わっていますので,少し申し上げたいと思います。答申(案)の第10章にも書かれていますし,多くの委員の方がおっしゃっていますが,私も教職員定数の改善・充実は必須であり,喫緊の課題はここに尽きるのではないかと思います。
 子供たちをしっかり育てたい,育みたいと思っているのは皆一緒だと思いますが,この答申(案)を先生方が見たときに,非常にプレッシャーを感じるのではないでしょうか。子供たちに対応する時間や余裕が持てるのだろうかと不安に感じるのではないでしょうか。
 地域,保護者の皆様,学校現場に関わる方は様々いらっしゃいますが,人間関係の在り方は以前と比べ本当に複雑になっています。今は,私が子供のときのように,先生は偉い,先生が家庭訪問してくれたら母が緊張して待っている,という時代とは全く違います。そのような中,どうすれば先生方に誇りやモチベーションを持っていただけるか。この答申(案)は子供たちにとってすばらしいものになっていますが,先生方にとってはどうなのだろうということが大変心配です。
 ですから,学校現場の授業改善に取り組む際には,時間的,精神的な余裕を先生方が持てるようにしないと,どのようなすばらしい計画でも,それを実現することはできないのではないか,という危機感を私は抱いております。学校現場は,とにかく余裕がない状態です。本来であれば,授業を教えるべき先生が,他の問題に追い回されてしまっているというのが,私が見ている現場の実態でございます。
 少し大袈裟な言い方になりましたが,先生をどう手助けするかということを是非お考えいただきたいと思います。予算等の問題もございますが,私としてはこれからも現場からの声を発信してまいりたいと思います。ありがとうございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,坂東委員,お願いします。

【坂東委員】
 これだけ膨大なものをおまとめになるのは本当に大変だったと思います。私はこの答申,新しい学習指導要領で一番感銘を受け,また感動しておりますのは,今までは何を教えるか,そのためにどのような環境を作るか,設備が必要だとか,やり方がどう,この知識がどうだとかですが,初めてこの第5章で何ができるようになるか,アウトカムが必要だということを打ち出されたことを大変評価し,また感謝します。
 今,日本でも長時間労働等が問題になっておりますが,一生懸命教えればいいのだ,たくさんインプットすればいいのだということが学校現場にもあったのではないかと思います。それより子供たちが,何ができるようになったか,そこに焦点を合わせられたということに大変敬意を表したいと思います。それをどのような形で見える化していくかということについて,是非専門家の方々に工夫していただきたいと思います。ありがとうございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,帯野委員どうぞ。

【帯野委員】
 たくさん御意見が出ましたので,私は今後に向けて一言だけお願いを申し上げます。
 2030年の社会ということですが,この中での大きな変化はますます加速化していくグローバル化で,30年前の国際化は,国と国との関係,特定の企業のものであったのが,グローバル化社会の中では個人が世界とアクセスできる,インターネットを通じて世界と協働,共生,経済においては新しい市場も開拓できるところが大きな可能性だと思います。そしてまた,個人がアクセスできるということは,これはどの地域においても,東京でなくても,離島であっても,山間部であってもそれが可能になるということですので,グローバル化の可能性を全国の先生と共有していただけたらと思います。
 その中で,教育については,まずは世界を身近に感じられる感性,これは異文化理解であったり,ICTであったりだと思うのですが,もう一つ一番大事なことはコミュニケーション能力です。そのときに子供たちに伝えてもらいたいことは,あなたが今中学校で学んでいる基礎的な英語が今の世界で求められて本物の英語だということ,あなたのこの英語で大統領とでも話ができる,といったように動機付けていただきたいし,特に小学校の先生においては,先生方の持っておられる初等中等レベルの英語で十分ALTと話ができるという動機付け,つまり英語の学習到達目標を明確にしていただきたいということです。
 あと1点,申し上げます。学校現場だけでは無理ですが,子供たちにどれだけ夢を持たせられるか。生きて,学んで,世界で働く,これがどれだけすばらしいことかということを伝えられることだと思いますので,これは社会全体で取り組まなければなりません。地域というのがありますが,学校から見た地域というのは学校区になりますので,もう少し広域的に取り組むべきだと思います。そこでは産業界が大きな力を果たせる,持てると思いますので,私も関西の方で何ができるかということをこれから考えていきたいと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,河田副会長,お願いできますか。

【河田副会長】
 これまで各委員がおっしゃったことは,そのとおりでありますが,今,一番問題なのは,恐らく,6ページの(3)の「アクティブ・ラーニング」の視点であろうと思います。私も長く文学部所属の大学教員をしていて,最初に教えた学生たちは中学や高校教員として中堅から上ぐらいの年齢になっております。大学の教員の場合,アクティブ・ラーニングというのは,欧米の大学に留学した先生方もたくさんいらっしゃって,アクティブ・ラーニングの授業ができるのですが,一番困っているのは幼稚園から小・中・高の先生方なのです。私が聞いたのは高校の先生方からなのですが,アクティブ・ラーニングと言われても一体どう教えていいのかが分からない,というのが現実であるということであります。ですから,このアクティブ・ラーニングをどのように学び,どのように教えるかという教授法について,研修でもいいし,ファカルティ・ディヴェロップメントでよろしいので,その修得に時間と手間を掛けていただかないと,言葉だけのアクティブ・ラーニングでは駄目な時期に来ているのだろうと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

【北山会長】
 単なる形式だけではいけないということですね。
次に,小室委員,お願いします。

【小室委員】
 ありがとうございます。学習指導要領の前に,1個戻ってしまうのですが,TIMSSのポイントでの平均得点の推移を教えていただきたいのが,この資料を見ると,2011年に小学生が少し上がって,2015年になると,小学生も中学生も上がっているというように見えるのですが,ここの境目にどのようなことがあったのか。こうして上がってきたということに関して,どこがポイントであると分析されているのかというのは,メディアに発信されていくときもそのような分析を分かりやすくしっかり発信された方が,ここまでの成果が見やすいのではないかと思いますので,後ほど是非教えていただければと思っております。
 次に学習指導要領につきまして,膨大な量をおまとめいただきましてありがとうございます。懸念点というところで,先ほど無藤委員からも御指摘がありました教員の多忙化に関してでございます。林委員からもお話がありましたが,今,多忙な中でどのような人的措置をとっていくのかというところが,現場にとってかなり大きなポイントになってくるかと思っております。
 1点目は,田中委員もおっしゃっていましたが,発達障害の子供たちへのきめ細かいプログラム,そこへの人的配置というところが,一般の教室の先生が見ている負荷がすごく下がります。今,既に非常に効果が上がっていますが,更に力を入れていただきたいところであると思っております。
 2点目は,現在新しいことを教員が受け入れるに当たって,何かを引き取ってあげないと,もうこれ以上受け取れないという精神的な状態になっており,これが現実の教員の職場になっているのではないかということを,今,小学校のコンサルティングもしているのですが,日々感じております。
 そうした中で,私たちが企業をコンサルするときにも,最初に一番苦手な部分を何かしら引き取ってあげるシステム化だったり,投資というものをしてあげたりということを積極的に発信すると,まず1回気持ちが開くというか,新しいことを受け入れようという気持ちになってくると思います。
 そのような意味で教員の方にとって一番苦手なのは,IT関連のところだと認識しています。今後,人的な措置をするときにITに強い人材をしっかり入れてあげることが重要だと思うのですが,何せ今,労働力不足ですので,ITに強い理想的な人材を小学校で採用するということは非常に難しいと思います。
 ただ,ワーキングマザーに目を向けると,もともとITの高い能力で仕事をされていた方で,育児中のため短時間勤務をされていたり,週3勤務をされていたりしているような方が,実はたくさんいらっしゃるというのがありますので,そうしたITに強い方を,できれば二人体制で一人分という仕事のやり方にして,校長の直下に何かしらのプロジェクト,例えば校長室プロジェクトという名前にして入れてあげると非常に動きやすくなると思います。
 短時間勤務の人だから,週3勤務の人だからというので最下層に置かれてしまうと,働き方を改革するような動きはできませんので,できればITに強い方を高い報酬で採用するという形で人的措置をするようなイメージを持っていただけると,教員の方も教育という子供を見るということにもっと専念できて,苦手な分野の役割分担ができて,精神的にも非常に楽になるのではないかということで,今後の人的措置のときにそのようなイメージを是非持っていただければと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,生重委員,お願いします。

【生重委員】
 今,小室委員がおっしゃったことは本当にすばらしいアイデアだと思いますが, ただ,学校現場がそこまで柔軟ではないというのが一番の課題だと思います。
昨年の12月21日に出された答申は,コミュニティ・スクール,地域学校連携推進,それからチーム学校等に関するものですが,スクールソーシャルワーカーやカウンセラーが入るという新しい体制をより円滑に学校教育現場が理解することで,社会に開かれた教育課程といわれるものがより具体化していくと,私は両方に関わっていてそのように思っています。
 先ほど,他の委員もおっしゃっていましたが,先生たちは現場において必死な状況で,研修を受ける気持ちのゆとりといいますか,体制が新しく変わっていくことに対しての拒否反応の大きさのようなものを日々現場の近くにいて感じております。上から降ってきた施策ということではなく,私たちの県が,私たちの市・町が,より若者が,子育てがしやすい町と思ってもらえる魅力的な教育を実現するために,自分たちがかみ砕いた魅力のあるこの答申を受けての学校現場作りというところにつなげていってもらい,昨年の答申と両方で地域と一体型,社会総がかりで教育が行われるような日本という国を目指していってほしいですし,私もそこを頑張りたいと思います。
 以上です。

【北山会長】
 それでは,田邉委員,お願いします。

【田邉委員】
 ありがとうございます。私も時間がないので,手短にお話しさせていただきます。大変な量をまとめていただき,ありがとうございます。
 今回の目玉である外国語ということでありますが,あと3年半ほどで,2020年東京オリンピック・パラリンピックも開催されます。これは東京都だけではなく,日本全体として子供たちにとってもかなり興味があると考えます。事前合宿は,各地で行われます。また,海外からかなり多くのお客さんをお招きすることになるかと思います。そのような機会を使いながら,外国語でコミュニケーションをとることも多くなります。この機会を子供たちに体験してもらうなど,外国語を実際に使う機会も増える一つの良い機会と思っております。
 今後,この計画を進めていく中で一番の中心になるのはやはり子供たちですので,子供たちの心と体ということで健やかな体作り,それがあって心があり,個の教育というのが生かされてくるかと思いますので,是非中心になる子供たちの健康というのも考えていただけたらと思います。
 以上です。

【北山会長】
 いろいろ御意見ありがとうございました。
 それでは,審議はこれまでとさせていただきます。本日いろいろと頂きました御意見につきましては,今後,答申を具体化する際に文部科学省において十分に生かしていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それで,本答申(案)につきましては,本最終案で御了承いただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,この答申を大臣にお渡ししたいと思います。
 松野大臣に,「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について」の答申をお渡しするに当たって,一言御挨拶を申し上げます。
 本答申の取りまとめに際しては,新しい学習指導要領及び幼稚園教育要領が目指すべき姿を議論してまいりました。今後,子供たちが複雑で予測困難な時代を前向きに受け止め,社会や人生をより豊かなものにすることができるようになることを目指して,より良い学校教育を通じて,より良い社会を創るという目標を,学校と社会が共有する,社会に開かれた教育課程,これを目指すべき理念として提言しております。
 この理念を実現するため,学びの本質や各教科等の本質にまで立ち返りながら,子供たちに育成を目指す資質・能力について深く議論してまいりました。こうした議論を重ね,初等中等教育分科会や教育課程部会,教科別に設置された専門部会等での審議は,200回以上,400時間を超えるほどとなり,本日,答申に至った次第であります。
 松野大臣におかれましては,答申の趣旨を十分に御尊重いただき,我が国の未来を見据えた教育改革の実現に向け,学習指導要領等の改善及び必要な諸施策に取り組まれていただくことを大きく期待いたします。
 それでは,答申をお渡しいたします。

(答申文手交)

【北山会長】
 それでは,松野大臣に御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

【松野大臣】
 ただいま北山会長から,「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について」の答申を頂きました。
 平成26年11月の諮問以来,本日まで2年間にわたり,初等中等教育分科会,教育課程部会をはじめ,関係する部会やワーキンググループ等において,延べ470人以上の有識者の方々に,400時間以上にわたる大変精力的な御審議を賜り,充実した答申をおまとめいただきましたことに,深く感謝を申し上げます。
 本答申は,我が国において長年にわたり積み重ねてきた教育実践や学術研究等の蓄積を生かしながら,多くの議論を重ねていただいた結晶でございます。
 本答申にお示しを頂いた御提言をしっかりと受け止めて,今後,国として,学習指導要領等を改善するとともに,その理念の実現に必要な施策の推進に全力で取り組んでまいります。
 あわせて,この場をおかりいたしまして,平成29年度予算について,一昨日,財務大臣との折衝が終了いたしました。その内容につきまして,委員の皆様に御報告をさせていただきたいと存じます。
 まず,義務教育費国庫負担金でございます。教職員定数については,発達障害等の児童生徒への通級による指導及び外国人児童生徒等への指導,指導方法工夫改善の一部や,初任者研修について,これまで予算の範囲内で加配定数により措置してきたところでありますが,対象児童生徒数等に応じて措置できるよう,基礎定数化することとなりました。これにより,必要な教員が確実かつ安定的に措置され,特に発達障害等の児童生徒や,日本語に課題のある児童生徒に対する指導の充実が図られるものと考えております。
 二つ目が,幼児教育の無償化に向けた取組の段階的推進でございます。幼児教育の無償化に向けた取組については,低所得の多子世帯等の保護者負担の軽減措置を行うこととし,対前年度12億円増の334億円を確保いたしました。これにより,対象となる約16万人の園児の保護者負担の軽減が図られることとなります。
 続いて,給付型奨学金制度の創設,無利子奨学金事業の拡充についてですが,給付型奨学金については,制度を創設するとともに,特に経済的に厳しい者を対象として,平成29年度から一部先行して実施することとなりました。また,無利子奨学金については,平成29年度より,低所得世帯の子供たちに関わる成績基準を実質的に撤廃するとともに,基準を満たしているにも関わらず,貸与を受けられていない残存適格者全てを解消し,希望する全ての学生等への貸与を実現することとなりました。
 北山会長をはじめ,委員の皆様には,引き続き,学校教育の充実のためにお力添えを賜りますようお願いを申し上げ,簡単ではございますが,私の御礼の御挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。

【北山会長】
 松野大臣,ありがとうございました。
 大臣は御公務がありますので,ここで退席されます。ありがとうございました。

【松野大臣】
 ありがとうございました。

【北山会長】
 それでは,議題(3)に移ります。これは,平成28年4月の文部科学大臣の諮問を受けて,初等中等教育分科会の下に設置された学校安全部会において審議が進められてきたものです。今般,学校安全部会において,第2次学校安全の推進に関する計画の策定について,答申(素案)が取りまとめられましたので,事務局からまず御説明をお願いします。藤原局長,お願いします。

【藤原初等中等教育局長】
 それでは,私から資料4‐1に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
 第2次学校安全計画に関する計画の策定につきましては,今年の4月に文部科学大臣から諮問をさせていただいております。これまで初等中等教育分科会,その下に設けられた学校安全部会において精力的に御審議いただいておりまして,今回,資料4‐2にあります答申(素案)について御報告させていただきたいと思います。説明は,資料4‐1をベースに御説明申し上げます。
 答申(素案)は大きく三つの段落の構成にしております。第1が児童生徒等の安全を取り巻く現状と課題,第2が今後の学校安全の方向性,第3が学校安全を推進するための方策でございます。
 まず,1ページ目を御覧いただきたいと思います。1番,「児童生徒等の安全を取り巻く現状と課題」でございますが,事故のデータなど統計的なものを見ますと,全体としては児童生徒等が巻き込まれる事故は減少しているところでございますが,いまだに安全が十分に確保されているとは言い切れない状況にございます。
 負傷・疾病の発生件数につきましては,第1次計画期間を含めて,近年減少傾向にありますが,発生率は横ばいとなっています。
 交通事故による死者数も近年減少傾向でございますが,平成27年においては100人以上が亡くなっている状況でございます。
 災害安全につきましても,東日本大震災以降も熊本地震,風水害等による多くの被害が発生しております。
 学校安全の取組は,東日本大震災の教訓を踏まえながら,第1次計画期間中に強く推進されてきたところでありますが,現在も様々な課題が存在しているということでございます。
 例えば安全教育や安全管理の推進に関しまして,地域間や学校間での差がありまして,継続的に取組が確保されていない状況にございます。代表的なものといたしましては,法律上の義務である学校安全計画,危機管理マニュアルがいまだに策定されていない学校がございまして,全国どの学校でも組織的に学校安全に取り組むための体制の構築が必要でございます。
 教職員の資質・能力の観点からは,教職員の学校安全に関する意識の差などを解消していくことが必要であり,また学校の安全教育については,系統的・体系的に実施するためには,指導方法の工夫・改善などの取組を,全国の学校で差がないように進めていくことが必要でございます。
 学校施設に関しましては,老朽化対策が急務であること,国公私立学校の中で耐震化に差があることなどの課題が掲げられております。
 続きまして,2ページを御覧ください。学校においては,これまで様々な安全上の課題に関して,危機管理マニュアルの策定,あるいは安全点検の実施がなされてきておりますが,それらが形骸化してしまう危険性や,事故等が発生した後の検証が不十分であることの懸念が指摘されております。
 これらを踏まえまして,ローマ数字の2番「今後の学校安全の方向性」といたしまして,今後5年間で目指すべき姿,それを実現するための施策目標を明記しております。
 まず,目指すべき姿といたしましては,(1)全ての児童生徒等が,安全に関する資質・能力を身に付けることを目指す。(2)として,学校管理下における死亡事故を限りなくゼロにすることを目指す。さらに,負傷・疾病の発生率については,障害や重度の負傷を伴う事故を中心として,減少傾向にしていくことを目指すということでございます。
 これらの目指すべき姿を実現するために,施策目標といたしまして,まず(1)で学校における安全に関する組織的な取組の推進という観点から,全ての教職員が適切に組織的な対策をとることとして,施策目標1,全ての学校において,管理職のリーダーシップの下,学校安全の中核となる教職員を中心とした組織的な学校安全体制を構築する。施策目標2として,全ての学校において,学校安全計画,危機管理マニュアルを策定する。施策目標3といたしまして,全ての学校において,自校の安全教育に係る取組を評価・検証し,学校安全計画及び危機管理マニュアルの改善を行う。施策目標4といたしまして,全ての教職員が,各種研究機会を通じて,各キャリアステージにおいて,必要に応じた学校安全に関する研修を受講することを掲げております。
 (2)安全に関する教育の充実方策に関しましては,学校における安全教育の質・量の両面での充実が不可欠であり,学校安全計画に安全教育の目標を明確にして,これに基づくカリキュラム・マネジメントの確立など,系統的・体系的な教育の実施が必要であります。
 そのために,施策目標5といたしまして,全ての学校で,学校教育活動全体を通じた安全教育を実施する。施策目標6として,全ての学校で,自校の安全教育の充実の観点から,その取組を評価・検証し,学校安全計画の改善を行うことを掲げております。
 (3)学校の施設,設備に関しましては,耐震化や安全対策の観点からの老朽化対策につきまして,施策目標7で,全ての学校で,耐震化の早期完了を目指すとともに,緊急的に取り組むことが必要な老朽化対策等の安全対策を実施する。施策目標8として,全ての学校で,地域の特性に応じ,非常時の安全に関わる設備の整備を含めた安全管理体制を充実すると掲げております。
 (4)でございますが,学校安全に関するPDCAサイクルの確立ということで,関係機関等と連携した安全点検の実施などにつきまして,施策目標9として,全ての学校で,定期的に学校施設・設備の安全点検を行うとともに,三領域,すなわち生活安全・災害安全・交通安全,全ての観点から通学・通園路の安全点検を行い,児童生徒等の学校生活環境の改善を行うということでございます。3ページに移りまして,施策目標10として,全ての学校で,学校管理下における事故等が発生した場合には,「学校事故対応に関する指針」に基づく調査を行うことを掲げております。
 (5)家庭,地域,関係機関との連携・協働による学校安全の推進につきましては, 保護者,地域住民,関係機関との連携体制をしっかり構築していく観点から,施策目標11といたしまして,全ての学校で,児童生徒等の安全に関する保護者・地域住民との連携体制を構築する。施策目標12として,全ての学校で,児童生徒等の安全に関する外部専門家や行政機関との連携体制を構築するということが掲げられております。
 これらの進捗状況を把握することが重要でありますので,お手元の資料4‐2の真ん中辺りから別紙というかたちで,参考資料を付けております。これは文部科学省で行っている既存の調査などから掲載したもので,この参考資料でフォローアップを考えているということでございます。
 続きまして,各論部分3「学校安全を推進するための方策」について,主なところを御説明申し上げたいと思います。3ページの真ん中辺りでございます。
 学校における安全に関する組織的取組の推進に関しましては,具体的な方策として,国は教職員が担うべき役割,組織体制の在り方を提示し,その検証を行うとともに,各学校における安全の取組を推進すること。
 学校安全計画及び危機管理マニュアルの策定・検証の徹底に関して,学校安全計画等は,策定して終わりではなくて,不断の検証・改善が必要であり,地域特性を踏まえて取り組む安全教育の目標など,学校安全に関する基本的な方針を明確にし,保護者や地域住民と共有していくことが重要であり,国は学校安全計画策定の徹底やその検証・改善を促していくことが重要である。
 学校安全に関する教職員の研修及び教員養成の推進に関しましては,4ページのところでございますが,国は,教員がキャリアステージに応じて身に付けるべき学校安全に係る資質・能力の具現化・明確化を検討すること,教育委員会や学校は,研修において,外部機関の知見も活用しながら,地域特性を踏まえた安全課題,AEDの使用を含む心肺蘇生(そせい)に関する適切な対応方法等に関する内容を扱うことの重要性を明記しております。
 安全教育に関する内容でありますが,学習指導要領の改訂に向けた議論の中で,「健康・安全・食に関する資質・能力」 について整理されておりまして,安全に関する内容を示したものを安全に関する資質・能力として明記しております。国は,安全に関する資質・能力と各教科等の内容や教育課程全体とのつながり,学校種間の系統性等について整理し,各種指導資料を通じて教育委員会及び学校に示す必要があり,各学校においてはこれを踏まえつつ,地域の特性や児童生徒等の実情に応じた安全教育の推進が求められます。
 5ページを御覧ください。優れた取組の普及を通じた指導の改善・充実につきましては,第1次計画の取組において,各学校では専門機関と連携した教育,実践的な避難訓練などの進展が見られました。安全教育の効果的な実施に向けまして,様々な取組を関係者間で積極的に共有すること,またその教育効果を検証して効果的な在り方を見いだしていく必要性についても明示しております。
 5ページ真ん中の(3)現代的課題への対応といたしましては,SNSの普及などコミュニケーションツールも多様化していることから,技術の進展に対応した対策が求められ,学校をはじめ家庭,関係省庁,地域等が一体となって児童生徒等の情報モラル育成に取り組む必要がございます。
 学校の施設,設備の整備充実に関しましては,国公立学校の耐震化に比べまして私立学校については大幅に遅れており,国は学校法人や都道府県とも連携して,きめ細やかな対応を行う必要があります。国公立学校においては,老朽化が進行した施設の割合が急速に加速しており,安全対策の観点から老朽化対策を行うことが必要であるとしております。
 6ページを御覧ください。設備の整備についてでございますが,外部からの不審者等の侵入防止,災害発生時の安全確保のために必要な設備,例えばAEDなどをしっかり整備し,応急的な対応を確実にとるようにすること,そのための教職員の使用訓練を行うことが重要であるとしております。
 学校安全に関するPDCAサイクルの確立につきましては,学校は,学校の危機管理体制などの点検を行うに当たって,自己点検だけでなく,専門機関等と連携して,専門的・科学的な視点を積極的に取り入れる必要があります。
 また,学校管理下における事故等の未然防止や被害軽減のため,学校及び学校設置者は,アレルギー等の健康課題への対応を含めた事故等への対応に係る研修・訓練の実施の必要性について明記しております。
 7ページを御覧ください。家庭,地域,関係機関等との連携・協働につきましては,コミュニティ・スクールや地域協働本部等の仕組みを生かして,学校安全の観点を組み入れた学校運営や,家庭も責任を持って学校と一緒に安全教育に取り組むことの必要性について明記しております。
 最後に,災害が多く発生する中で,学校は避難所になることがございまして,そこで教職員が避難所運営に協力することがあり,防災部局や地域住民との連携・協働の必要性についても御指摘を頂いているところでございます。
 この答申(素案)につきまして,本日,御意見を賜りまして,さらに来年1月に開催されます学校安全部会にフィードバックしてまいりたいと存じます。
 説明は以上でございます。

【北山会長】
 藤原局長,ありがとうございました。
 それでは,質疑応答,御意見などを頂戴したいと思います。お手元に参考資料としてお配りしておりますとおり,林委員から意見書を頂戴していますので,まず,林委員から御説明をお願いできますでしょうか。

【林委員】
 ありがとうございます。参考資料の下段を御覧いただきたいと思います。これは横浜市の例ですが,築40年以上の学校が半数を超えていることを示すグラフでございます。赤い線で囲まれた部分が築40年以上です。そこで4月に行われた総会で,学校施設の建て替えや老朽化対策が喫緊の課題であることを御説明し,今回の答申(素案)に老朽化対策を盛り込んでいただきました。感謝申し上げます。
 しかし,この素案に示された緊急的な老朽化対策に加えて,計画的に老朽化対策を行っていくことも大変重要だと思います。施設の長寿命化を図った上で,必要な学校は建て替える必要がありますので,第2次計画には学校施設の建て替えについても記載していただきたいと思います。横浜市にもこれだけ老朽化した学校があり,今後一斉に建て替え時期を迎えます。そこで,建て替え時期の平準化を計画的に進めるところでございます。
 自治体にとっては,長寿命化を図った上での学校施設の建て替えは必ず行わなければならない義務的な事業でございますので,国においては,建て替えや老朽化対策に関する所要額の確保や,建て替えに関する補助率の見直しを確実に行っていただくようお願いいたします。
 資料の裏面を御覧ください。今年の10月に,横浜市において,集団登校中の児童の尊い命が奪われるという痛ましい交通事故が発生いたしました。私はこの事故を大変重く受け止めております。早速,事故現場へのガードレールの設置等,現時点で実施可能な安全対策について,スピード感を持って進めております。併せて国土交通省からビッグデータを提供していただき,急ブレーキ箇所や速度超過区間などの危険な地点を抽出いたしまして,予防型の対策も行っていきます。
 国におかれましても,交通事故防止対策に関する関係閣僚会議を迅速に開催し,対策を検討していただいております。引き続き,是非,文部科学省をはじめとした関係省庁が連携しながら,社会全体で子供の通学の安全を確保するために必要な環境整備に御協力いただきたいと思います。
 横浜市では昭和47年にスクールゾーン対策協議会を設置しまして,学校,PTA,地域,行政,警察が一体となって,通学路の見守りや通学路の見直しなどの安全対策について,長年にわたって取り組んでまいりました。通学路の安全を確保するためには,学校と地域の連携・協働が不可欠です。そのためには,文部科学省から出されました「次世代の学校・地域」創生プランにありますように,学校において地域との連携・協働の中核を担う地域連携担当教職員の法令上の明確化が必要ですので,是非取り組んでいただきたいと思います。
 以上でございます。

【北山会長】
 市で取り組んでおられる施策も含め,貴重なデータに基づく要望事項をお示しいただきましてありがとうございました。
 そのほかには,ございませんでしょうか。
 御意見等がありましたら,中央教育審議会事務局宛てに御提出いただければと思いますので,よろしくお願いします。
 先ほど林委員からの御意見もございましたが,学校安全部会におきまして今後,御意見を踏まえて必要な修正を行い,次回の総会において,修正後の答申(案)について,もう一度御審議いただく予定としております。そこで御了承いただければ,答申として提出することになります。
 これで本日の議事は終了となりますが,先ほど小室委員から御質問のありました,TIMSS2015について,文部科学省から御説明をお願いします。

【合田初等中等教育局教育課程課長】
 先ほど小室委員から御指摘がございました資料2‐1のTIMSSのポイントの1ページ目の2011と2015の結果についての原因背景についてでございます。恐らく様々な要素が加わっており,一つには特定されないと思いますので,私から事実関係だけ申し上げます。
 先ほど櫻井委員からも御指摘がありましたように,いわゆるかぎ括弧付きの「ゆとり教育」というものにつきましてかじを切った,あえて西暦で申しますと2008年の改訂でございますが,その改訂は,小学校は算数も理科も16パーセント,中学校におきましては数学が22パーセント,理科は33パーセント増加するということでございまして,今の中学生たちは私ども40代よりも理科の時数が多いということになっております。
 このような充実を図りましたが,これは2008年の告示でございまして,いわゆる移行措置期間といわれる,この改訂に向けた助走期間が2009年から始まっております。他方で,実際に今申し上げた時数で理科や算数・数学が新しい教科書とともに完全に増えましたのが,小学校については2011年度から,中学校におきましては2012年度からということになってございます。
 そのような意味におきましては,2011年の小学校4年生というのは小学校2年生のころから助走期間に入って,このテストを受けたということになります。このテストを受けた2011年は,小学校では完全実施がなされていたという状況でございます。他方,2011年の小学校4年生がそのまま2015年の中学校2年生にスライドしてございますので,引き続き頑張っているということかと思っております。
 それから,2011年の中学校2年生でございますが,この子供たちは小学校6年生,2009年から助走期間は始まりましたが,2011年の中学校2年生の段階では新課程にはまだなっていなかったということでございまして,助走期間におきましては,よく言われました薄くなった教科書に私どもが副教材を配って,何とか知識に穴が開かないように指導していったところでございますが,二つの教科書で指導するというのはいろいろ混乱がございまして,生徒自身も大変だったのではないかと考えているところでございます。
 なお,全体を見渡しますと,私どもが承知している限り,民間の調査でも,小学生や中学生の学校外での学習時間が最も少なくなったのは2001年ということでございますので,そのことから申し上げましても,学校の指導,家庭学習が結果に大きく影響しているということが分かるのではないかと思っております。一つの材料でございますが,私どもは引き続き分析し,教育政策に生かしていきたいと思っています。
 以上でございます。

【北山会長】
 合田課長,ありがとうございました。小室委員,よろしいですか。

【小室委員】
 御説明ありがとうございました。かぎ括弧付きのという感じでおっしゃっていたのですが,恐らく発信をされるときは,ゆとり教育とその後のかじを切った後というのは,具体的には時間数で表現をすると,より勉強するといいということになるのですが,多分そうではなかったと思うのです。
 ゆとり教育の意味も時間を減らせばいいということでもなかったと思いますので,そのときの転換というのは時間数というもので表現するのではなくて,何が違ったのかというところをより踏み込んで発信された方が,そのときは恐らくいろいろな新しい哲学的なものをしっかりと入れたカリキュラムになったということに本当は意味があったのではないかと思っていますので,その辺りを分かる形で発信された方がより本質的かなと思います。是非お願いします。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 それでは,次回の日程について,里見課長,お願いします。

【里見生涯学習政策局政策課長】
 本日はありがとうございました。次回の中央教育審議会総会でございますが,2月3日金曜日16時から18時で予定をしているところでございます。場所は,今回と同じ,旧庁舎第二講堂を予定しているところでございます。
 なお,本日,資料が多くございますので,もし御希望がございましたら,お名前をお書きいただきまして机上に置いていただきましたら,御郵送することも可能でございますので,併せて御案内させていただきます。
 以上でございます。

【北山会長】
 以上で本日の会議は終了でございます。次回の総会は里見課長から御案内がありましたように,2月3日でございますので,今年はこの総会で最後となります。1年間運営に御参画,御協力いただきましてありがとうございました。委員の皆様,それから文部科学省の皆様,樋口政務官をはじめ鈴木大臣補佐官も,どうぞよいお年をお迎えください。ありがとうございました。

―了―

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-- 登録:平成29年03月 --