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中央教育審議会(第108回) 議事録

1.日時

平成28年9月21日(水曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 「第二講堂」(旧庁舎6階)

3.議題

  1. 初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について
  2. 第3期教育振興基本計画の策定について
  3. 平成28年度文部科学省第2次補正予算(案)・平成29年度文部科学省概算要求及び税制改正要望事項について
  4. その他

4.出席者

委員

 北山会長,小川副会長,河田副会長,生重委員,尾上委員,小原委員,亀山委員,菊川委員,五神委員,小室委員,櫻井委員,志賀委員,篠原委員,田邉委員,永田委員,中根委員,福田委員,無藤委員

文部科学省

 松野文部科学大臣,義家文部科学副大臣,樋口文部科学大臣政務官,前川事務次官,小松文部科学審議官,佐野官房長,関総括審議官,山下文教施設企画部長,有松生涯学習政策局長,藤原初等中等教育局長,常盤高等教育局長,藤原教育再生実行会議担当室長,増子大臣官房会計課長,信濃大臣官房政策課長,合田初等中等教育局教育課程課長,神山大臣官房審議官,佐藤生涯学習総括官,里見生涯学習政策局政策課長,他

5.議事録

【北山会長】
 おはようございます。ただいまから中央教育審議会総会を開催いたします。本日は,皆様,御多忙の中,御出席いただきましてありがとうございます。
 本日は,松野大臣,義家副大臣,樋口政務官に御出席いただいております。大臣と政務官におかれましては,御就任後初めての中央教育審議会総会への御出席ですので,冒頭に御挨拶を頂戴したいと思います。
 それでは,松野大臣,よろしくお願いいたします。

【松野大臣】
 おはようございます。このたび文部科学大臣に就任いたしました松野博一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今回,中央教育審議会に初めて出席させていただくに当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。
 北山会長,小川,河田両副会長はじめ,委員の先生方におかれましては,日頃から大変な御尽力いただいておりますことを心から感謝を申し上げる次第であります。皆様方の御意見を踏まえ,しっかりと全力で教育改革に取り組んでまいることを,まずもってお誓い申し上げる次第であります。
 大臣就任時に当たりまして,総理から教育政策は安倍内閣における最も重要な政策の一つだと,しっかりと取り組むよう御指示を頂きました。委員の皆様方に改めて教育の重要性についてお話をする必要はないかと思いますが,これだけ急激な社会変化がある中において,教育は最大の未来への投資だと認識しております。その上におきまして,特に各家庭の教育費負担の軽減や教育環境の充実が大きな政策上の課題となっております。御承知のとおり,家計収入により高等教育進学率に大きな差が出ております。OECD諸国と比較をいたしましても,我が国の高等教育進学率は決して高いとは言えない状況にございます。どのような環境に生まれても子供たちがその能力,志に応じて希望した教育をしっかりと受けられるよう,給付型奨学金の創設をはじめ,教育の家計費負担の軽減に向けての政策を取り組む必要があると考えております。
 また,義務教育段階から個々の児童生徒の可能性を最大限に引き出していくためにも,教員の資質,能力の向上とともに,教員が子供と向き合う時間の確保をするために,学校指導体制の充実や学校現場の業務の適正化に取り組んでまいりたいと考えております。
 本日の総会では,一昨年11月の諮問を受け,次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめにつきまして御意見を頂きますとともに,本年4月の諮問を踏まえ第3期教育振興基本計画の策定についての審議状況報告につきまして御審議いただくものと承知をしております。これらの事案は日本の教育について,日本の未来について極めて重要な事案でございますので,是非委員の先生方におかれましては大所高所から引き続き積極的に御審議いただきますようお願い申し上げまして,御挨拶とさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【北山会長】
 松野大臣,どうもありがとうございます。
 それでは,続いて樋口政務官から御挨拶を頂戴したいと思います。
 樋口政務官,よろしくお願いいたします。

【樋口政務官】
 このたび文部科学大臣政務官を拝命いたしました樋口尚也でございます。
 この伝統と格式のある中央教育審議会総会に出席をさせていただいて,身が引き締まる思いとともに,感慨深いものがございます。
 是非日本のあしたと世界の未来のために,本日も活発な先生方の御審議を賜りますようによろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

【北山会長】
 樋口政務官,どうもありがとうございました。
 松野大臣は御公務がありますので,これで御退席されます。
 松野大臣,本日はどうもありがとうございました。

 (松野大臣退席)

【北山会長】
 それでは,本日の議事について御説明いたします。先ほど松野大臣の御挨拶にもございましたが,まず,議題(1)として,初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について,続いて,議題(2)として,第3期教育振興基本計画の策定について,審議状況の御説明を頂いた後に意見交換を行いたいと思います。その後,議題(3)として,平成28年度文部科学省第2次補正予算(案),及び29年度文部科学省概算要求並びに税制改正要望事項について,それぞれ御報告いただくことになっております。
 なお,本日,報道関係者より会議の全体について録音,カメラ撮影を行いたい旨,申出があり,許可しておりますので,御承知おきください。
 それでは,議事に入ります。まず,配付資料について里見課長から御説明をお願いいたします。

【里見生涯学習政策局政策課長】
 配付資料ですが,本日の会議次第にございますとおり,資料1から資料4-5までございます。そのうち資料2につきましては別冊ということで,ファイルの形で置かせていただいております。また,参考資料は1から3までございます。まず,私の方から資料1と,参考資料1から3までを御説明させていただきます。
 まず,資料1でございますが,中央教育審議会総会の会議を経ないで行われた諮問でございます。これは中央教育審議会運営規則及び申合せに基づき,分科会で行われているものでございます。まず,大学分科会におきまして,大学の認証評価機関の認証についての諮問。これは一般社団法人日本社会福祉教育学校連盟より申出のあった件についてでございます。また,生涯学習分科会におきましては,学校法人産業能率大学からの社会教育通信の認定申請,それから,初等中等教育分科会におきましては,教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程認定につきまして,いずれも諮問がなされているところでございます。
 いずれも総会の審議を経ず,分科会の議決をもって総会の議決とすることができる旨,定められておりますので,そのような取扱いとする予定でございます。
 引き続きまして,参考資料1から3まででございます。まず,参考資料1でございますが,本日御欠席の山田委員から頂いているものでございます。次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめについての御意見といたしまして,一つ目は,次期学習指導要領の教育内容について,二つ目は実施に向けての条件整備についての御意見でございます。
 また,参考資料2でございます。本日御欠席の林委員からの御意見でございます。第3期教育振興基本計画の策定について,子供たちの「本物」体験の充実に向けて,その内容につきまして御意見を頂戴しているところでございます。いずれも議題の折に御参照いただければと存じます。
 また,参考資料3でございます。高大接続改革の進捗状況につきまして,先般,公表されておりますので,御参考に付しているものでございます。
 以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 それでは,議題(1)に入りたいと思います。本件につきましては,平成26年11月の文部科学大臣の諮問を受け,初等中等教育分科会の下に設置された教育課程部会において審議が進められてきたところです。今般,教育課程部会におけるこれまでの議論が,「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめについて」として取りまとめられました。まず,審議まとめの作成に大変御尽力いただきました無藤部会長から簡単に御説明をお願いできますでしょうか。

【無藤委員】
 無藤でございます。詳細については藤原初等中等教育局長から御説明があるかと思いますが,御指名でございますので,教育課程部会で議論し,まとめた事柄の趣旨,どのような方向を目指してきたかということを簡単にお話ししたいと思います。
 今回,学習指導要領の改訂を目指してどのような形にするかということで,2年弱,議論を重ねてまいりました。今回,日本が抱えている様々な課題,そしてこれからの10年,15年という先を見通したときに,様々な未知の課題というものに出会わざるを得ないと考えております。そのような意味で,例えば現在,小学生であるとして10年後ぐらいには高校を卒業,あるいは大学を卒業してまいります。そのような様々な出来事があり,人工知能,その他の進歩の中で十分に伍(ご)していける,むしろ世界をリードしていける人材を育てたいと考えたわけであります。そのときに,改めて学校教育の役割の中で学力,あるいはもっと広い意味での人間性形成にとって何が必要かということで,これまでの学校教育で進めてきた成果を基に,それを発展させていくということを考えました。
 その際に,学習指導要領は幼稚園,小学校,中学校,高校,全体を通して考えるものでありますので,その人生の最初の18年の中でどのような学力を育てるのか,どのような人間性の育成を目指すかというところで,最も根幹をなす子供たちの力という意味で資質・能力と呼んでおりますが,それを三つの柱に整理いたしました。それは知識・技能という部分と,思考力・判断力・表現力等と,さらに,主体的に学習する態度の発展としての学びに向かう力と,更に広げると人間性ということになると思いますが,そのような三つのかなり知的な面と,どちらかというと情意面を含んだ面を併せながら,学校教育の大きな目標を考えようということであります。
 資質・能力は単なる題目ではなくて,幼小中高,それぞれの段階でふさわしく,それを具体化し,また学校教育を構成する教科ごとにそれが何を意味するかを考えたいということで,もう一つのポイントは,改めて学校教育で行う教科などの単位,その学びの本質は何かということを議論いたしました。教科等ごとにその教科独自の見方・考え方というものを育成していると捉え直し,教科ごとの見方・考え方を基に教科ごとの目標を練り直してあります。そのような資質・能力と見方・考え方というものを組み合わせながら,学習指導要領の基本というものを考えたわけであります。詳細は後ほどの説明に譲りたいと思います。
 そのような方向というものは教育課程部会全体を通して多くの委員の賛同をもちろん得ながら,積極的に進められてきたと思います。しかしながら,中央教育審議会の部会の中でも,また,特にこの半年様々な外部への研修等での手応えなども考慮すると,趣旨は結構であるが,各学校でそれをどこまで実現できるのかということについての懸念というものは多く頂いております。例えば現在,小中学校などの教員は極めて多忙であるといったことや,若い教員も増える中でかなりレベルの高い目標は実現できるのかといったことでございます。そのような意味では,教育環境の整備,充実ということが不可欠であるということでありまして,それには教職員の人員の増加,あるいは様々な教育機器等の充実,またそれ以外の様々な学校現場,各教員への支援の手立てなどを是非進めてほしいということが一つであります。
 もう一点は,今回,この学習指導要領全体をめぐって社会に開かれた教育課程という言い方で,子供たちの未来を実現するために教職員だけがそれを分かっているということではなくて,保護者,そして地域,もっと広く日本社会の構成員のそれぞれが学校教育の重要性と,学習指導要領が目指すところを理解し,共有してほしいということであります。社会総掛かりで学校教育を良くしていく,高めていく,その協力をお願いするためにも,学習指導要領を広く,分かりやすく提示していく必要があると考えております。
 今回「学びの地図」という例えを使っておりますが,現場の教員に十分に理解してもらうための伝達,研修について,従来以上に広げる必要があると思いますが,それとともに保護者,地域の方々への理解をいろいろな形で図りたいということがもう一つ,学習指導要領の実現,具体化に向けての要望となっております。
 以上,簡単に趣旨を御紹介いたしました。ありがとうございました。

【北山会長】
 ありがとうございました。
 それでは,藤原初等中等教育局長から,審議まとめについて御説明をお願いします。
 お願いします。

【藤原初等中等教育局長】
 初等中等教育における教育課程の基準を定める学習指導要領等の改訂につきましては,一昨年の平成26年11月に文部科学大臣から諮問させていただいたところでございます。初等中等教育分科会の教育課程部会におかれましては,無藤部会長の下,精力的に御検討いただきまして,去る8月26日に次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめが取りまとめられましたので,本日は御報告させていただきます。
 まず,資料2-2を御覧ください。スケジュールの関係でございます。次の改訂に向けた審議につきましては,一昨年11月の諮問以降,本日ここにお集まりの委員の先生方を含めた500名近い専門家の知見を結集いたしまして,約200回,400時間を超えての精力的な審議をしていただきまして,このたびのこの議論を取りまとめていただいた,審議のまとめとしておまとめいただいたところでございます。
 具体的な審議の体制及び実績につきましては,その次の資料2-3に取りまとめておりますので,後ほど御覧いただければと思います。
 今後,この審議まとめに対するパブリックコメントを経まして,年内を目途に中央教育審議会としての答申を取りまとめていただきたいと考えております。それを受けまして,幼稚園,小学校,中学校につきましては今年度内に改訂を行って,周知期間を置いた上で,幼稚園につきましては30年度からの全面実施,小中学校についてはそれぞれ32年度,それから33年度からの全面実施を想定しているところでございます。また,高等学校につきましては29年度中に改訂をいたしまして,34年度から学年進行で実施をしていくということでございます。
 次に,審議のまとめの内容についてでございますが,詳細は資料2別冊ということで机上に配布させていただいておりますが,とても大量なものでございますので,そのポイントにつきましてお手元の資料2-1を基に御説明させていただきたいと思います。1ページを御覧ください。最初の白丸のところですが,今回の改訂におきましては,教育基本法等が目指す普遍的な教育の根幹を踏まえまして,グローバル化,人工知能(AI)の飛躍的な進化など,社会の加速度的な変化を受け止めて,将来の予測が難しい社会の中でも伝統や文化に立脚した広い視野を持ち,志高く未来を創り出していくために必要な資質・能力を子供たち一人一人に確実に育む学校教育を実現していくものとしております。
 次に,2番目の白丸でございますが,子供たちの現状といたしましては,各学校における真摯な取組によって,国内外の学力調査では改善傾向が見られる一方で,判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べることや,社会参加の意識等については課題があるとされております。また,社会において自立的に生きるために必要な生きる力の理念を具体化し,教育課程がその育成にどうつながるのかを分かりやすく示していく必要があるとしています。
 3番目の丸でございますが,このような課題などを踏まえまして,今回の改訂では何を学ぶかという指導内容の見直しにとどまらず,どのように学ぶか,何ができるようになるかまでを見据えて,学習指導要領等を改善するというものであります。
 4番目の丸ですが,基本方針としてはよりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を学校と社会が共有して,連携・協働しながら,新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに育む,社会に開かれた教育課程を実現するというものであります。今回の改訂は学習指導要領が学校教育を通じて子供たちが身に付けるべき資質・能力や学ぶべき内容などの全体像を分かりやすく見渡せる「学びの地図」となることを目指すものでございます。
 次に,2ページ目をお開きください。最初の丸ですが,生きる力について,丸1に「生きて働く『知識・技能』の習得」,丸2に「未知の状況にも対応できる『思考力・判断力・表現力等』の育成,丸3に「学びを人生や社会に生かそうする『学びに向かう力・人間性』の涵養(かんよう)」,この三つの柱で具体化して,教育課程の枠組みを分かりやすくするものであります。
 二つ目の丸でありますが,どのように学ぶかに着目して,学びの質を高めていくために主体的・対話的で深い学びの実現を目指したアクティブ・ラーニングの視点による授業改善の取組を活性化していく。なお,必要な資質・能力を育成するために,学習内容の削減は行わないということとしております。
 三つ目の丸ですが,こうした教育課程の枠組みや資質・能力の在り方,アクティブ・ラーニングの考え方等について,全ての教職員が理解を深めることが必要であって,教育課程に関する基本原則を示す学習指導要領の総則について,何ができるようになるか,何を学ぶか,どのように学ぶかの視点から抜本的に改善し,必要な事項を分かりやすく整理するものであります。こうした基本的な方向性のイメージにつきましては,3ページを御覧いただきたいと思います。また,総則の改善のイメージについては,4ページを御参照いただければと思います。
 2ページの一番下の丸に戻りますが,こうした基本理念の実現のためには,教職員定数の拡充など,指導体制の確保,教材の改善・充実,それからICT環境の整備などが不可欠であり,そのような点についても併せてここで整理をしているところでございます。
 次に,5ページ,具体的な改善の方向性でございます。最初の丸,全ての教科等について育成を目指す資質・能力を三つの柱に沿って明確化し,教育目標,内容,学習評価を一貫したものとする。これによって各教科等を通じて資質・能力を着実に育成していくということでございます。
 2番目の丸ですが,教科を超えて育むことが求められている資質・能力について,まず,全ての学習の基盤となる力といたしまして言語能力あるいは情報活用能力,あるいは多様な他者と協働する力などをここで掲げております。また,次に現代的諸課題に対応して求められる資質・能力につきまして,例えば健康・安全・食に関する力,主権者としての力,グローバル化の中で現在まで引き継がれてきた我が国固有の領土や歴史についての理解などがここに掲げられております。
 5ページ,下から2番目の丸でありますが,社会に開かれた教育課程の理念の下,学校と家庭・地域との連携・協働を活性化させるということを記述して,さらに,最後4番目の丸ですが,学習評価に関して,目標と評価の観点を一致させ,また資質・能力を多面的・多角的に見取る評価の工夫を促進させるということでございます。
 次,6ページの一番上の丸ですが,子供一人一人の資質・能力の育成を支援する視点に立って,特別支援教育や日本語の能力に応じた指導,個に応じた指導,キャリア教育などを重視するとしています。
 次に,2番のカリキュラム・マネジメントのところでございます。二つ目の丸ですが,我が国の教育課程のよさを生かし,教育課程全体としての資質・能力を育成するよう,各学校におけるカリキュラム・マネジメントを促進し,地域の文化や子供の姿を捉えた各学校の特色づくりを活性化させるとしております。
 それから,少し飛んで6ページ一番下の3番のアクティブ・ラーニングの視点のところでございます。一番下の丸ですが,学校における質の高い学びを実現し,子供たちが学習内容を深く理解し,資質・能力を身に付け,生涯にわたって能動的に学び続けるものであり,主体的・対話的で深い学びの実現を目指す授業改善の視点として整理しております。
 次に,7ページ,ちょうど真ん中辺りの丸の後段のところですが,各教科等における物事を捉える視点や考え方を「見方・考え方」として整理して,子供たちが学習対象と深く関わり,理解の質を高めていけるように教材や指導方法に反映するということでございます。
 7ページから,4番の学校段階別の改善の方向性が示されております。
 8ページを御覧ください。まず,幼児教育でございます。上から2番目の丸ですが,学校教育法の規定のとおり満3歳から小学校就学前までを前提といたしまして,自己制御,あるいは自尊心など,いわゆる非認知能力の育成,預かり保育や子育て支援の充実を図るとしております。
 3番目の丸にありますとおり,5歳児修了時までに育ってほしい姿として,丸に掲げてある自立心と協同性など,10個の姿を明確にして,これを小学校と共有していこうというものでございます。
 次に,2番目,小学校でございます。8ページ,一番下の段からでございますが,9ページの最初の丸を御覧ください。小学校においては,学習や生活の基盤作りという観点から,言語能力の育成が極めて重要ということでございまして,2番目の丸にありますとおり,国語教育においては小学校低学年の学力差の大きな背景に,語彙の量と質に違いがあるという指摘があることを踏まえまして,まずは語彙量を増やして,語彙力を伸ばすための指導などを充実していくという改善を行おうとしております。
 三つ目の丸でありますが,外国語教育についてでありますが,国の高等学校卒業段階における英語力の目標といたしまして,国際的な基準であるCEFRのA2からB1レベル程度以上,英検でいうと準2級から2級程度以上の高校生の割合を5割とする取組を進めてきたことを踏まえまして,小・中・高等学校の全体を見据えての改善を行おうというものでございます。
 次の四つ目の丸ですが,このような見通しの中で,小学校段階におきましては現在,高学年において聞くこと,話すことを中心とした外国語活動を実施しているところでありますが,子供たちの読むこと,書くことへの知的欲求が高まっている状況を踏まえまして,小学校5,6年生で教科としての外国語教育を年間70時間程度となることとしております。
 次の五つ目の丸ですが,言語や文化について体験的に理解を深め,外国語の音声や表現などに慣れ親しませるようにするために,中学年3,4年生で年間35時間程度の外国語活動を行うこととしております。これによりまして,外国語で様々な人々とコミュニケーションがとれるようになるための基礎を育てようというものであります。
 六つ目の丸ですが,言語能力向上の観点からは,国語教育との連携を図って,相乗的な効果が得られる取組を推進するというところでございます。
 それから,次,10ページに移りまして,三つ目の丸であります。授業時数についてですが,中学年,高学年で年間それぞれ35単位時間の増となるわけであります。このことへの対応についてですが,現在の多様な時間割編成の状況を踏まえますと,15分程度の短時間学習,60分授業の設定,長期休業期間あるいは土曜日の活用など,様々なことが考えられるところでありますが,一律の取扱いは困難であります。したがって,現在行われている時間割編成の工夫を参考にしながら,関係機関と連携して調査研究を行い,効果的な創意工夫の在り方を普及していこうとしております。
 小学校における外国語教育の充実に向けましては,教材の整備,指導体制の充実などが不可欠でございまして,円滑な実施に向けて速やかに準備を進めていく必要があるわけでございます。
 次に,12ページを御覧ください。ここは中学校の記述でございます。最初の丸ですが,中学校では義務教育を終える段階で求められる資質・能力を確実に育み,その成果をその後の学びに円滑に接続させていくことが重要との認識の下に,中学校区内で教職員間,保護者間の連携を促進するなど,義務教育9年間を通じた資質・能力の育成を図るということでございます。
 一つ飛んで三つ目の丸ですが,教育課程外でありますが学校教育活動である部活動について,例えば運動部活動であれば保健・体育科など,教科等における学習との関連も考慮しながら,適切な実施の在り方を検討していくことの重要性が示されております。
 なお,中学校については授業時間等の変更はございませんが,例えば社会科では高等学校の地理歴史科に「歴史総合(仮称)」が設置されることを受けまして,中学校でも我が国の歴史に関わる世界の歴史の学習を充実させ,広い視野を持って我が国を理解すること,あるいは外国語教育については,指導する語彙数を実際のコミュニケーションにおいて必要な語彙を中心に充実させることなどの改善を図ることとしております。
 次に,13ページを御覧ください。高等学校の関係でございます。高等学校につきましては,選挙権年齢の18歳への引下げ,あるいは高大接続改革の動向も踏まえながら各科目の整理をしておりますが,例えば14ページ,地理歴史科でいえば,世界と日本の近現代の歴史を考察し,学び方を身に付ける「歴史総合(仮称)」,あるいは防災の視点を含めた環境条件と人間の営みとの関わりに注目し,現代の地理的な諸課題を考察させる「地理総合(仮称)」,これを共通必履修科目にしております。
 また,公民科についてですが,自立した主体として他者と協働しつつ,国家・社会の形成に参画し,持続可能な社会づくりに向けた力を育てる「公共(仮称)」を共通必履修科目に新設するということなど,教科・科目の見直しを行うものでございます。
 共通教科に関する標準単位数の改訂案については,少し飛びますが,17ページを御参照いただければと思います。
 最後に,特別支援教育の関係は18ページでございます。最初の丸,特別支援教育についてインクルーシブ教育システムの構築を目指して,通常の学級,通級による指導,特別支援学級,特別支援学校といった多様な教育的ニーズに対応できる学びの場を確保していくということでございます。
 二つ目の丸で,具体的には通級による指導を受ける児童生徒及び特別支援学級に在籍する児童生徒に関する個別の教育支援計画,個別の指導計画の作成,あるいは四つ目の丸でありますが,通常の学級に障害のある子供が在籍することを前提とした各教科等の学びの過程における困難さに対応した指導の工夫の意図や手立ての例示,五つ目の丸ですが,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等を契機とした心のバリアフリーの推進の動向を踏まえて,多様性を尊重する態度の育成や障害のある子供たちとの交流及び共同学習を重視する。
 それから,最後の丸ですが,特別支援学校の教育課程についても,在籍する児童生徒の障害の状態の多様化に対応した改善・充実を行うということでございます。
 今後,この審議のまとめを基に広く御意見を頂きながら,年内を目途として中央教育審議会として答申を頂きまして,それを基に学習指導要領の改訂の作業を行っていきたいと思います。
 なお,去る9月12日に開催されました初等中等教育分科会におきましては,この審議のまとめに示された学習指導要領改訂の理念を各学校において具体化していくための条件整備,それから今回の改訂の理念を教室はもとより保護者,地域をはじめとして広く共有していくための普及,広報,これらが重要との御指摘を頂いているところでございます。本日はこれらの点も含めて御議論賜れば有り難いと思っております。
 説明は以上でございます。

【北山会長】
 藤原局長,ありがとうございました。
 それでは,今から30分ほど時間をとりますので,ただいまの御説明に関して御質問,御意見のある方は,どなたからでもお願いいたします。
 それでは,中根委員,お願いします。

【中根委員】
 御説明,ありがとうございました。何を学ぶか,何ができるようになるかということに視点を絞っているなと思ったのですが,子供たちそれぞれが何を学びたいか,何ができるようになりたいか,つまり,子供の立場からものを見る。つまり,自分の将来の夢,自分の可能性,その実現手段としての学びへの動機付けがとても大切だと思います。これが自分で勉強するというオーナーシップを高めることに疑問の余地はないのだと思います。やる気はここで生まれるのだと思います。
 例えば,世界や外国に興味を持てば英語は自然に一生懸命学ぶ。モチベーションを高める教育が必要条件となります。十分条件が二つあって,一つは自らの適性,何に向いているのだろうか,何が得意なのだろうかと感じる,苦でなく楽しい分野の発見の援助。もう一つは,時間とともに出てくる特定科目に対する不得意意識。これに対する解決方法の提供は大切だと思います。例えば途中下車,途中乗車という自由を与える。その要領を教えてあげる。その科目をやめてしまい,得意科目に専心するというのも一つの選択肢だと思います。
 21世紀は個性の時代とも言われていますが,結果,個性を持った日本の人材がどんどん育ってくるのだと思います。何の科目をどのように教えて,何の実行力をつけるかという教育のレシピの前に,子供たちの自分に内在する興味,夢,可能性を引き出してあげる教育が,やがて世界に羽ばたける日本の人材を育てるのではないかと思います。人間の普遍の可能性はここにあるのだと思います。
 最後に,教育課程の編成に当たっては,例えば,世界史はなぜ日本語で教えているのだろうかという質問をしてみるとよく分かるのですが,世界史は英語で教えた方がいいのではないか。例えば,中学校で教える日本史は日本語で教え,高校で教える日本史は英語で教えたらどうなのだ。例えば,このような考え方をすると,英語を英語として教えるのではなくて,英語という言語を歴史の分野に応用していくということになるかと思います。世界がまねをしたがる教育をどんどん生み出し,世界中に日本の教育モデルが普及していく日がやがて来るのだと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,篠原委員,お願いします。

【篠原委員】
 私はいつも主権者教育の話になるのですが,初等中等教育分科会あるいは教育課程部会でもお話をしていますので,余りここでは多くを申し上げません。一つは,小・中学校から高校,大学という主権者教育の流れ,イメージが具体的に湧くように是非そこを明記していただきたいということと,主権者教育の家庭の役割についてもしっかりと書き込んでほしいと思います。これは両部会や分科会でも申し上げているので,これ以上は申し上げません。
 ここで一つ触れたいのは,コミュニケーション能力の涵養(かんよう)のことですが,確かにICTというのは重要なツールなので,これをしっかり学ばせるということは大事なことだと私も思っております。ただ,これは飽くまでツールでして,人間同士のコミュニケーションの基本はやはりフェース・トゥー・フェースだと思うのです。それがかなわないときはボイス・トゥー・ボイス。それがかなわないときはこのICTを使った伝達の手段という流れになるのだろうと私は思っています。道徳の時間がいいのか分かりませんが,その辺りの順番をしっかりと,子供たちに教えていただくような学習指導要領にしていただきたいなということでございます。第3期教育振興基本計画づくりの中でも是非この問題は取り上げていただきたいと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,志賀委員,お願いします。

【志賀委員】
 以前もここでお話をしたことがあると思うのですが,グローバル人材の育成ということで,英語については今回,明確に考慮されているのですが,もう一つ,ICTというとICTをツールとして使うというのが入っているのですが,ここでの表現の中でもプログラミング的な指導といいますか,小学校,中学校でどこまでプログラムを行うことができる技能を教えるかというのはいろいろ問題があろうかと思うのですが,間違いなく生きる力という意味でいうと,自分でIoTでセンサーで情報を取って,それをビッグデータ化して,自分で作ったAIでそれを消化していくようなことが間違いなく将来出てくるので,そのような教育を何らかの形で入れておかないと非常に厳しいと思います。情報というところで議論はされているようなのですが,今回の学習指導要領の改訂というのは相当先の話になりますので,もう少し比重を上げられればいいというような気がしています。諸外国のICTのプログラム,アプリケーションの教育がどのように進んでいるのかもベンチマークされた上で,少し考慮が必要な気がします。
 以上のことも加えると,とにかく足してばかりになるので,今回は量的には減らさないという方針でやりくりをしてという形になっているのですが,本当にこのやりくりで行えるのでしょうか。現場の先生が相当忙しいという話も聞いています。今,篠原委員からそれに関わったICTで教育をするようなことはすべきでないという御意見がありましたが,そのようになっていると,どんどん先生に負担がかかってきます。やはりどこかで足し算をするところから引き算をして,何かを減らしていくというのを考える時期に来ているのではないのかと思っています。
 以上です。

【北山会長】
 それでは,櫻井委員,お願いします。

【櫻井委員】
 今回のこの内容を見まして,基本的に非常に良い方向に行っていると評価したいと思います。家庭教育の重要性,思考力,判断力,人間性,学びの動機など,その辺りはかなり配慮した内容だと思います。しかし,全体で見ると,一つ決定的に欠けているのではないかと思うのが,科学的なマインドをどのように育てるのか,知識をどのように子供たちに与えていくのかということです。
 教育の目的というのは一人一人が充実して,幸せに生きられるような人生を歩めるようにすること,それと日本という国についても未来を切り開く力を国民全員で作っていくということだと思います。少し迂遠(うえん)な話になるかもしれませんが,日本で今起きている現象を見ると,子供たちだけではなくて,この何年か,何十年かの教育の中で,非常に軽視されてきたものが科学ではないかと思うのです。私は定期的に福島へボランティアで行っておりますが,なぜ福島が復興しないのか。そこに行ってみると,本当に間違った科学的な思い込みというのが蔓延(まんえん)しているのです。幾ら言っても,どのようなことをしても,それが浸透していかない。どうしてだろうと思うときに,基本的な教育から私たちは見直さなければいけないのではないかと,非常に強く感じます。
 今回,文部科学省が所管していたもんじゅのことを言っていいのかどうか分かりませんが,これも廃炉の方向が決まるということが新聞報道されています。もんじゅという高速増殖炉の問題について,フランスに学ぶと言いますが,フランスと日本の国土の条件は全く違います。そうしたことを考えると,ここにもし科学というものを持ち込んで,きちんと日本の国土に合ったエネルギー政策というものを立てるとしたら,もんじゅの重要性というのは分かるのです。もんじゅがなぜ何十年も稼働しなかったか。同じナトリウム漏れを起こしながら,フランスは30回も起こしながらなぜ今,日本のお手本になろうとしているのか。その決定的な違いは,科学的に物事をきちんと見るかどうかということにあるかと思います。
 ですから,このような個々の問題は今横に置いてでも,全体的に日本が科学立国というのであるならば,今回の家庭教育などそういったことを大事にすることと同時に,科学の教育ということを子供のときからしっかり入れ込まないと,私たちが望むような豊かで安心して暮らせる一人一人の夢がかなう国というのは実現しないと危機を覚えています。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 次は福田委員,お願いします。

【福田委員】
 ありがとうございます。育てるべき人間像が明確で,全ての教育活動がそこに集約されていくという構図が見える,良い審議のまとめになっているかと思います。しかも,条件整備含めて様々な配慮が記述されていると思います。それでも,現場の校長はとても不安です。一つは,例えば英語活動。32年度には確実に高学年は2コマ,中学年には1コマ実施されることは間違いないわけです。しかし,いろいろ御配慮いただいた人的措置,教材,ICTの整備が32年度に完備されているかどうかというと,そうでないかもしれないところが不安なのです。
 小学校の教員は免許を取るときには英語があると思っていませんから,英語を行わなくていいから小学校を選んで教員になったという教員もおります。そういう教員たちに自らが,高学年になれば週2時間の英語の指導を行わなくてはならない。また,高学年は結構荒れるときは大変だし持ちたくないと言われると,もともと高学年を担任させる人選は大変なのに,校長はとても困ってしまうのです。ですから,せめて32年度にこの学習指導要領が全面実施になるときには,研修体制,それから人的配置,具体的に言えばALT,英語の専科などといったものへの具体的な配置や,教材やICTの整備。ICTに関しても先ほどお話がありましたようにツールとしての存在とともに,それを支援する体制の両方がないとあるだけになってしまい,ほこりをかぶっては意味がないことだと思っています。
 ですから,「学びの地図」という言葉もありましたが,地図に沿って歩いていたら迷子になってしまったり,架けられるべき橋がなくて川に落ちてしまったりすることがないために,実際にこの内容が機能するための条件整備が32年度には各学校の全ての教室に整っているということを保障していただきたいと思っています。それはここの場だけではなく,冒頭に松野大臣から教育政策は最も大切な政策,未来への投資という心強いお言葉も頂きましたが,国全体を挙げてそこを支援していただきたくお願いしたいと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 菊川委員,お願いします。

【菊川委員】
 事前にデータを送っていただきましたので,本文の方をざっと読ませていただきました。受け取り違いがあるかもしれませんが,2点申し上げます。一つはアクティブ・ラーニングに関してでございます。これを主体的・対話的で深い学びということで読み解いていただいて分かりやすくなったと思いますし,2030年の社会に向けて必要な対応だと思っております。ただ,1点,本文を読ませていただいての懸念点としては,そもそもアクティブ・ラーニングは大学から始まったのではないかと私は理解しておりまして,この概念を幼稚園から大学まで同じように取り扱うことは系統的ではありますが,学校種別による配慮という視点も大事ではないかと思うところです。
 具体的には学校種別により子供の発達段階,あるいは指導方法の工夫改善の歴史が違います。ですから,例えばですが,本文の方の幼稚園の項目に「アクティブ・ラーニング」という言葉が出てまいります。また,小学校は指導方法の工夫改善の歴史そのものだと言っていいと思いますし,総合の定着や学力実態調査の充実など,そのような中で先生方は習得,活用,探求ということに特に心を砕いてこられた経緯がございます。そのような意味で,今,地元で研修会に呼ばれますと,質問がアクティブ・ラーニングの質問に集中いたします。「先生方,まず足元を見てください」と申し上げるのですが,是非,形式的流行(りゅうこう)にならない学校種別ごとの配慮をお願いしたいというのが1点です。
 それから,2点目は,以前も申し上げたのですが,人間の暮らしにとって大事なことは仕事とともに生活です。そのような意味で,家族など家庭生活に対する知識技能を磨いていくということは,何ができるようになるかという今回の指導要領の精神だと思います。おかげさまで男女が共に働き,共に子育てをするという時代がどんどん進んでおりまして,2030年は正にそのような時代になりますが,それでもなおかつ働きながら子供を育てることの困難さというのは予想されるところです。そういった意味で,技術家庭科の中だけの記述ではなく,総則の中に仕事についての記述がありますが,それと同時に暮らしを紡ぐということについての記述も総則の中に入れていただければと思います。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,小室委員,お願いいたします。

【小室委員】
 ありがとうございます。全体を通じてより良い方向に動いていっているという実感があります。おまとめいただいて,ありがとうございます。
 もう一歩チャレンジしていただきたいなと思う点としては,全体にある考え方として,これからの子供たちが予測できない未来に向かっていくということで,予測できない未来に向かっていくときに一番必要な力は,自分の時間の使い方を自分で考える力という,時間の使い方を主体的に自分で決めるという力がずっと必要になってくると思うのですが,そのときに今の日本のいわゆる学校にいたときの時間割が全て決められている状況というのは,自分で考える力を失わせていく教育ではないかなと思っています。
 私は今オランダのイエナプランに一番注目をしているのですが,毎日,子供たちが学校に来たら自分の時間割を自分で決めます。恐らく,日本の子供にきょう一日,自分で時間割を決めなさいと言ったら,僕は遊びの時間と言ってずっと遊ぶという子供が出ると思うのですが,なぜオランダではそうならないかというところに恐らくたくさんの工夫がなされていて,本人たちに学力を細かくフィードバックしていること,それからその先に対して一緒に考える時間を持っていることによって,きょう自分は何をやるべきか,それに対してどのぐらいの時間を割くべきか,自分の得意なことは何かというようなことを徹底的に考えるということがあるのかと思います。先ほど中根委員からもありましたが,自分の好きなことや伸ばしたいことに向かって自分の時間をどう使うのかということを考えさせることが,学びへの意欲を一番上げていくという上で重要ではないかと思っています。
 ちなみにこのオランダのイエナプランでは,クラスの中でみんな別々のことをさせていきますし,先生が大声を出すことを先生に対して禁止しているという形で,不登校がほとんどいないという形になっています。このような学校側で時間割を全て決め切るのではないやり方や,各教科をどのように学ばせていくかということを,全て串を刺すような形で,時間割の考え方についても指導要領の中に入れられないかなと思います。今いきなり全部を自分たちで決めさせるのは無理だとしても,時間割にもう少し余白を持たせて,自分で考えさせる時間というのを持たせていくような考え方をどこかに入れることができないだろうかと思っています。
 特に初等教育では生涯にわたって学び続けるエネルギーを最大に高めるというのが一番必要な時期だと思っているのですが,今だとそこで疲弊に向かっているような状況があるので,まずは初等教育でそのような力を付けさせていくのが,特別支援対象となっている子供たちが教室の中で一緒にインクルーシブで学ぶためにも,通常の学級の中が変わっていくことが重要ではないかと思っています。
 それから,スケジュールで示されていた32年度,33年度からと聞くと,これだけ先なのかと思ってしまうのですが,ただ先行実施ということが幾つか書かれていまして,先行実施をいかにしやすい状態を作るのかというところが重要ではないかと思います。先ほどどなたかからもありましたが,これを行う上でどのような人材が必要なのかなどというところの,例えば先行して取り組むところへの加配であるなどということがあると,先行実施するところがもっと増えてくるのかと思っております。
 最後の点ですが,これは志賀委員もおっしゃっていましたが,教員の疲弊というところを解決していかないと,このような足し算だけで,ということを志賀委員もおっしゃっていましたが,これは企業でも一緒で,今あるものも維持しながら次のものも,次のものもというようなリスクをとらないマネジメントが必要になると全体が疲弊して,結局一番大きなリスクとしてはエネルギーのない職場になるというようなことが起きるわけですが,何かを削っていくというようなリスクをとっていかないと,エネルギーのない子供と先生というような形になってしまうかなと思っています。イギリスでは教員のやるべきではない仕事というのを国として先に示すということを行い,事務やITに強い人の配置などを積極的に行い,教員が教室の子供たちに向き合えるということを支援しています。そのようなこともセットで出されていかないと,学習指導要領を受け取ったときの,また何かがプラスされるという疲弊感みたいなものが起きてしまうので,そこをセットで考え方を示していくことも今後チャレンジしていただけたらと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 田邉委員,お願いします。

【田邉委員】
 ありがとうございます。全体的な学習指導要領の方向性というのは良いのではないかと考えております。実際,3本の柱ということで,何ができるのか,何を学ぶのか,どのように学ぶのかということですが,ここでもう一つ,実際これを現場で実行・実施して,自分に何が足りないのかというのをそれぞれの小学校,中学校,高校のレベルで一度チャレンジしてみるような時間も数多く設けてもいいのかなと思っております。実際の学び,知識を得ると同時に,自主的に自分は何がしたいのかと考える部分が生まれてくると思います。そのような実行,実施,実践を通じて,何が自分に足りないのか,何ができるのかというのが明確になるという場面の機会がもう少し数多くあってもいいのではないかと感じました。
 また部活動についても触れられておりますが,部活動,スポーツだけではなくて文化,科学とそれぞれの分野を取り入れた実践的な指導などを考えれば,指導者の教育というのも非常に大切になってきます。特に今スポーツ界の方では海外の指導者も数多くいますので,例えば海外の指導者を一度呼んで,実際英語で指導するなど,そのようなことも含めた実践的な複合的な活動が次の学習意欲につながり,学習の理解が深まると考えます。
以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 永田委員,お願いします。

【永田委員】
 コンテンツについて申し上げるのではなく,この学習指導要領をおまとめいただいた場合に責務として付いてくると思われる問題点についてだけ申し上げます。ここで何をどのように学ぶか,何が身に付いたらどのようなことができるかというつくりになっているわけです。そうすると,ついていけない子供と,先々まで行ってしまう子供も当然出てくるわけです。それは小中接続,中高接続,高大接続の中できっと対応するのでしょうが,書いてあることは結局,教育課程の説明の中では「特別活動」というところ,それからまとめの中では「キャリアパスポート」という言葉にとどまっています。そのような部分の観点は,何ができるか,つまり何を修めたら何ができるかと言っているわけです。何故,自分はまだ中学校にいないといけないのだ,あるいは自分は中学校に来てしまったがまずいなということに関しては,当然ボリュームゾーンに対しての提案になるわけですが,そういった内容はないと思います。
 逆に言うと,接続をうたっているということは,つまり何ができるかを目指していろいろなところを通っていくわけですから,そのようなボリュームゾーンではない,あるいはボリュームゾーンの中からはみ出てしまう,もっと進む子供,少し不得意な子供,ある分野についてだけそうした子供などについても何か言わないといけないのでないか。つまり,「キャリアパスポート」あるいは「特別活動」という言葉だけで,教育課程で何とかしますということだけではいけないだろうと思います。

【北山会長】
 ありがとうございました。時間の関係で,ここで一旦区切らせていただきます。もし追加で御意見などがありましたら,文部科学省の事務局に御提出いただければと思います。
 ここまで,いろいろな観点から御意見がありましたが,それらについて,藤原局長から何かコメントがありましたらお願いします。

【藤原初等中等教育局長】
 委員の皆様から様々な貴重な御意見を頂きまして,ありがとうございます。例えば,中根委員から動機付けの重要性,それから篠原委員から特にフェース・トゥー・フェースの教育の重要性,あるいは志賀委員からプログラミング教育の重点化,あるいは櫻井委員からは科学的マインド,知識の重要性,それから福田委員からは多様なアクティブ・ラーニングの在り方,また共に働き共に子育てする方向性について,小室委員から時間の使い方を主体的に決めていくことの重要性,田邉委員から部活動の在り方,それから永田委員からボリュームゾーンから外れる子供の取扱いについて,様々な御意見を頂きました。本日の御意見を踏まえながら,答申で盛り込めるところは盛り込み,具体的に学習指導要領の改訂の中で対応できるものは対応してまいりたいと思っております。ありがとうございます。
 それから,福田委員の方から,あるいはほかの委員の先生方からも条件整備の関係で御指摘がございました。条件整備については当然,例えば人の配置であれば教職員定数,予算に絡む話でございます。したがって,財務省折衝でどのように査定されるかということに絡んでくるわけでございますが,私どもとしては現場において不安感が出ないように,文部科学省としては最大限条件整備のための予算措置などを図っていきたいと思いますし,特に英語についての御心配がございますので,その点につきましては32年度までにどのような形で人的あるいは物的な配置ができるかについては,私ども初等中等教育局としてまずきちんと検討した上で,今後,世に示していきたいと考えております。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 本件につきましては,教育課程部会において引き続き検討を進め,先ほど御説明がありましたように,年末までに答申を取りまとめる予定としております。
 それでは次に,議題(2)の,第3期教育振興基本計画に関する審議状況についての御報告と意見交換に移ります。
 第3期教育振興基本計画につきましては,前回の総会や各分科会で頂いた御意見を踏まえて,総会の下に設置された教育振興基本計画部会を中心に審議を進めてまいりました。本日は,前回の総会と同様に,皆様から幅広く御意見を頂戴したいと思いますが,意見交換に先立ち,第3期計画の審議の進め方について,教育振興基本計画部会長でもあります私から,簡単に御説明させていただきたいと思います。
 お手元の資料3-1,「第3期教育振興基本計画の審議イメージ」を御覧ください。今年4月の諮問から9月まで,2030年以降の社会の変化を見据えた教育の目指すべき姿を中心に審議を行ってまいりました。審議状況の詳細につきましては後ほど有松局長から御説明いただきますが,これまでに,第2期計画で定められた,自立,協働,創造の理念を引き継いで,個人と社会の両方の視点から教育の目指すべき姿を検討するとともに,来月以降に重点的な審議を予定している今後の教育政策の基本的な方針についても,これまでに頂いた御意見を検討の視点案として整理したところでございます。今後につきましては,来年1月の基本的な考え方の取りまとめに向けて,本日,委員の皆様から頂く御意見なども踏まえつつ,計画部会において,教育施策に関する基本的な方針や,今後5年間の教育政策の目指すべき方向性について審議を深めていくという段取りとなっております。
 以上,資料3-1の1ページ目について,スケジュールを中心に御説明いたしましたが,以降のページにつきましては,御参考として付けております。3ページ,4ページは,諮問の概要について,5ページ目は,第1期と第2期の教育振興基本計画の概要についての資料でございます。
 それでは,次に,これまでの審議状況の詳細について,有松生涯学習政策局長から御説明をお願いいたします。

【有松生涯学習政策局長】
 それでは,第3期の教育振興基本計画に関するこれまでの審議状況について御説明させていただきます。御説明申し上げるのは資料3-2が中心で,資料3-3も後ほど御参照いただきたいと思います。まず,資料3-2でございますが,この資料の性格にも関わりますが,冒頭にございますように,この資料はこれまで総会や各分科会,計画部会の御審議において頂きました御意見等を整理したものになっております。そして,今後もこの場やその後の御審議を踏まえまして,内容の充実を図っていく予定でございます。また,2ページの「2030年以降の社会・現状を見据え解決すべき課題(例)」というところから6ページまでの「教育政策の基本的な方針(検討の視点案)」までの部分につきましては,資料3-3にイメージをお示しさせていただいております。順次資料3-2で御説明申し上げますが,後ほど資料3-3も御参照いただければと存じます。
 それでは,資料3-2の1ページ目の中段部分からでございますが,「第2期計画を踏まえた第3期計画の在り方」というところを御覧ください。ここでは,例えば第2期計画の「自立」,「協働」,「創造」の理念は変わらない要素として第3期計画でも生かしていくべきということ。そして,その下ですが,第3期計画では目標や指標の関係を分かりやすくするべきであるということ,そして「教育は未来への先行投資である」ことをベースに答申案を作るべきであるということ。さらには,社会の側(がわ)からだけでなく,個人の側(がわ)からも計画の在り方を考えるべきといったような御意見を頂いております。
 2ページにまいりまして,ここからは資料3-3にもイメージがございますので,見比べながら御覧いただければと存じます。2030年以降の社会・現状を見据え解決すべき課題の例につきましては,冒頭には,課題を解決し,未来を創造する上で教育の果たす役割は極めて大きいということ,そして現在,政府として教育再生,地方創生,一億総活躍,働き方改革などに取り組んでおり,教育分野では学習指導要領の改訂をはじめとして様々な取組が進んでおりますが,今後もこのような取組の方向性を踏まえながら,教育再生を更に進めていくことが必要ということが述べられております。
 そして,解決すべき課題につきまして,まず,「少子高齢化の進展に伴う就学・就業構造の変化」を掲げております。ここでは,我が国の人口が減少局面に入っており,2030年には65歳以上が総人口の3割を超える予測があるということ,就学構造につきましては小学校,中学校,高校の児童生徒数が減少傾向にあるということ,就業構造としては,2ページから3ページに掛けてでございますが,女性の出産後の継続就業が依然として困難であり,また定年到達者の8割以上が継続雇用されている状況などから,女性や高齢者などの活躍の進展が必要不可欠であるということなどを掲げております。
 3ページ目の「技術革新やグローバル化の進展に伴う産業構造や社会システムの変化」についてでございますが,ここでは2030年頃にはIoTやビッグデータ,人工知能などの技術革新が進み,人間に残されるのは高度知的労働か肉体労働や教育を要しない低賃金労働になる可能性が考えられること,現状として在留外国人数や海外の在留邦人数が増加していること,企業の海外売上高比率・生産比率も増加していることなどを挙げております。
 次に,「日本の国際社会での相対的地位の低下」といたしまして,世界のGDPに占める日本の割合が平成26年度には5.8パーセントまで減少しており,2030年頃には4.2パーセントになるとの予測もあるということを掲げております。
 次に,「子供の貧困など格差の固定化」といたしまして,子供の相対的貧困率が長期的な傾向として上昇しており,国際比較でも我が国の相対的貧困率は高い水準にあること,そして,3ページの下の方からですが,家庭の社会経済的背景と子供の学力には相関関係があり,生涯賃金も最終学歴により差が生ずるということから,対策を講じなければ2030年以降も貧困の連鎖,格差の拡大・固定化が生じる可能性があることを掲げております。
 次に,4ページの「地域間格差の固定化」といたしまして,人口移動の面では東京一極集中の傾向が加速しており,東京圏への人口移動の大半は若年層であること,地域経済の現状も地方と大都市で格差が見られ,地方では人手不足が深刻化していることを挙げております。
 次に,「家庭や子供の現状と課題」といたしまして,例えば家庭の状況としては三世代世帯の割合が減少,ひとり親世帯の割合や共働き世帯数が増加していること。子供たちの学力は近年改善傾向で,学習時間も増加傾向にある一方で,学ぶことの楽しさや意義が実感できているかどうかなどについて肯定的な回答が国際的に見て相対的に低いといった課題も指摘されていること。小中高の不登校児童生徒数は17万人以上であること。特別支援教育の対象児童生徒につきましては今も増加傾向であること。外国籍の子供や両親のいずれかが外国籍であるといった子供たちも増加傾向にあること等を掲げております。
 以上が,これまでの御審議を取りまとめました現在までの解決すべき課題の例として挙げているものでございます。
 続きまして,5ページ目ですが,ここでは改正教育基本法の基本理念を掲げており,これをきちんと教育の姿として踏まえる必要があるということでございます。
 また,国際的な教育政策の動向といたしまして,G7倉敷教育大臣会合の内容を紹介しております。倉敷宣言では教育の果たすべき新たな役割として,「社会的包摂」,「共通価値の尊重」の促進,新しい時代に求められる資質・能力の育成,新たな役割を果たすための国際協働の更なる推進ということで一致をしておりまして,教育への公共支出の重要性も確認されております。
 なお,資料3-3ではごく簡単に左側の枠のところに記載しておりますが,このほかにも国際的な視点から見た我が国教育の「強み」と「弱み」や,現行計画の成果と課題なども踏まえながら,今後,教育政策の基本的な方針などについて検討を深めていくことが必要であります。
 その上で,資料3-3では真ん中の青いところに整理させていただいておりますが,資料3-2の5ページ目に「教育の目指すべき姿」について,一つは個人,二つは社会という切り口でまとめております。まず,個人につきましては,6ページでございますが,自立した人間として,主体的に判断し,多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材の育成。そして,これにより社会につきまして一人一人が活躍し,豊かで安心して暮らせる社会の実現と,社会(地域・国・世界)の持続的な成長・発展を目指していくべきと整理をしております。
 そして,6ページの後半以降でございます。資料3-3では右側の方になりますが,この「教育の目指すべき姿」を踏まえました「教育政策の基本的な方針」について,現時点での視点案でございますが,これまでの御意見を9点に整理しております。
 7ページ目でございますが,「全ての人に基礎・基本を保障する」につきましては,全ての人が社会に主体的に関わる上で基盤となる資質・能力を育成していくことが重要であると掲げております。
 その下の方には,この基本的視点に沿った特定分野あるいは具体的な施策のことについても御意見を頂いておりまして,それらをこの箇所にまとめております。
 飛びまして,9ページでございますが,次の視点案,「新たな価値を創造し,社会をリードする人を育てる」につきましては,グローバル社会やイノベーションを牽引(けんいん)していくため,才能のある子供の能力の更なる育成等によりまして,個人の資質・能力を最大限に伸ばし,社会をリードする人材を育成するべきと掲げております。これにつきましても具体的な留意事項,あるいは御提案について,その下にまとめております。
 次でございますが,10ページに「生涯学び,活躍できる社会をつくる」ということにつきましては,社会の状況が刻々と変化する中では老若男女,全ての人が継続して学習する社会を実現していくことが必要と掲げております。
 続きまして,11ページには「多様な人々が協働し,一人一人が活躍できる社会をつくる」ということにつきましては,少子高齢化やグローバル化の一層の進展などを踏まえまして,多様な人々が協働しながら,一人一人が活躍できる社会をつくるべきということを掲げております。
 同じく11ページの下の方ですが,「学校・家庭・地域・企業等が連携・協働して人づくり,地域づくりを進める社会をつくる」について,社会総掛かりで人材を育成するとともに,大学なども含めた学校を核としたまちづくり,学びを通じた地域づくりも進めるべきということを掲げております。
 また,12ページには家庭教育支援が重要であるということも掲げております。
 同じく,12ページの下の方ですが,「貧困の連鎖を断ち切り,社会の成長・発展につなげる」では,意欲と能力に応じた全ての人への学習機会を確保していくため,経済的な理由を抱えているために学習することが困難な人々への支援をするとともに,13ページに飛びますが,教育分野だけではなく,福祉分野の取組も含めて対応していくことが重要であるということを掲げております。
 次に,13ページの真ん中辺りの「質の高い環境を整える」につきましては,教職員が子供としっかり向き合える環境を整備することや,ICT環境については,地域格差がないような形で整備していくことが必要であると掲げております。
 次に,14ページでございます。下の方まで飛びますが,「安全・安心な学びの場をつくる」につきましては,学校施設が地域コミュニティの核でもあるということから,耐震化,老朽化対策等の施設の環境改善を進めることが重要であると掲げております。
 次に,15ページでございますが,「日本の優れた教育を世界で展開する」につきましては,日本型教育を海外展開することで諸外国との信頼・協力関係の構築や,日本の教育機関の国際化,日本の教育産業等の海外進出を促進することが可能という御意見を掲げております。
 以上が,「教育政策の基本的な方針」につきましての視点案ということになります。今後,整理,集約するとともに,今後5年間の教育政策の目指すべき方向性等について御審議いただく予定としております。
 続きまして,16ページ以降を御覧ください。ここでは第3期計画の策定に当たってのもう一つの諮問事項でございました「教育投資の効果や必要性を社会に示すための方策」につきまして,今まで頂いた御意見を整理しております。ここでは,教育は「未来への先行投資である」ということについての理解の醸成が必要である。そのために教育政策の効果の検証が必要であること。ただし,短期的な視点での結果追求のみにならないよう,様々な要素を組み合わせて政策に取り組んでいくことが重要といった御意見を掲げております。
 そして,16ページから18ページにおきまして,教育投資の効果や必要性を社会に示すための体制作りや質的・量的な研究の充実,そして研究や政策への活用を担う人材の育成,教育政策の効果に関する情報収集・発信の重要性と,また諸外国の状況に関する御意見を整理しております。
 以上,簡単でございますが,第3期計画に関するこれまでの審議状況につきまして御紹介いたしました。
 本日はこの内容を踏まえ御意見を頂戴できればと存じますので,よろしくお願い申し上げます。

【北山会長】
 有松局長,ありがとうございました。
 それでは,20分ほど意見交換の時間を取ります。教育の全てに関係する話ですので,いろいろな観点からの御意見があろうかと思いますが,基本計画であるという点を踏まえて,御意見を頂戴できればと思います。
 それでは,志賀委員,お願いいたします。

【志賀委員】
 ありがとうございます。私はこれから2030年以降を想定すると,いろいろなものが変わるのでしょうが,雇用の形態というのでしょうか,仕事のやり方自体が大きく変わってくると思います。資料にも労働人口の49パーセントが人工知能によって代替されることが書かれていますが,私は恐らく企業は必要な人材を個人として採用していく,つまり労働市場がどんどん流動化し,個人個人が,何ができるかによって採用されていくという時代が来て,間違いなくメンバーシップ型からジョブ型,プロフェッショナル型に変わっていくだろうと思います。そのようなときに,偏差値の高い学校を出て,有名な大きな会社に入ることが人生にとって幸せにはならないという社会が必ず来ると思っており,それを早く子供たちに教えてあげなければと感じております。これはスポーツの世界でも,芸術の世界でも一緒だと思うのですが,個人の能力,個人が生み出すバリューによって将来の人生が決まってくるという極めて厳しい社会に多分なるのだろうと思います。
 ここに書かれているように誰でもできる仕事は人工知能に置き換えられるか,若しくは極めて低賃金な仕事しかないという実態ですね。そして,高度知識だけが書かれていますが,単に知識だけ持っていても,これも人工知能に代わられるわけで,個人としてどのようなバリューを社会の中で発揮できますか,そのために何を学校で学んできて,あなたは何ができますか,といったことを問われる時代になるということを背景としてしっかりと伝えていく必要があろうかと思います。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 続きまして,中根委員,お願いします。

【中根委員】
 2点,簡単に申し上げます。最初,資料3-1の5ページで,第2期との関連が少し絵に出ておりましたが,第2期と第3期の整合性と継続性を是非プランニングの上で明示していただきたいと思います。少し気になるのは,例えば2期のときは環境整備という別添の包みがあり,八つの基本政策というのがあって,例えば基本施策29という番号だったと思いますが,私学振興とうたっていました。これが今度の九つの視点には入っていないような気がしましたので,これはよろしくお願いしたいと思います。
 次に,これは意見なのですか,資料3-2の15ページに日本の優れた教育を世界で展開するという御意見が書いてございます。この重要なテーマに対する文章が4行だけというのは寂しいなと思い,少し援護射撃をしようと思って意見を申し上げるわけですが,これは未来の日本を考えたときに極めて重要なポイントだと思います。私としては,日本に留学生をより多く受け入れるよりも,日本の大学や大学院が世界に出ていくことの方が100倍くらい重要だと思っております。守(まも)りから攻めに転ずるということです。これによっていろいろなメリットが出てくるわけですが,大学の経営,教育研究,全ての分野で教員,学生に加えて全ての関係者が世界を実感して学んでいくことができるということになるかと思います。具体的には大学なのですが,海外キャンパスの推進,このようなことを是非肉を付けていただきたいということをお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 次は尾上委員,お願いします。

【尾上委員】
 次期学習指導要領の中にもあります社会に開かれた教育課程を介して目標を社会と共有するという面からしますと,11ページの学校・家庭・地域・企業等の連携・協働を通して社会をつくるということが大切かと思っております。
 また,12ページにありますように,その際,保護者も地域の一員として学校との連携・協働に参画と書かれていますが,基本的には保護者は「も」ではなく「が」だと思うのですが,主体的に関わっているのが現状であると思います。先行事例と好事例等を取り込むことによってよりそのつながりがしっかりしていくということですが,今関わり方がすごく問題視されております。
 その関わり方をしっかり見直していくとともに,この下にあるようにコミュニティ・スクールの推進ということが大事かと思っております。地域に開くことによって,チーム学校づくりが更に進んでいくことにより,連携から協働へというような発展が見込めるのではないかと思われます。
 それとともに,教育機能の強化を図るためには,やはり家庭,保護者の育成について,しっかりした教育が必要だということを感じています。特に成人教育,社会教育を通じて目標,ビジョンをしっかり共有していくことによって,この実現が図られるのではないかと考えます。
 また,教職員の指導体制に関しましては,これから業務の適正化等々が図られ,効果の検証がされるとは思いますが,これからの新しい社会に対応できる人材の育成が大切かと思われますので,是非この時期に教員の加配を実現していただき,新たな人材の育成を更に図っていくとともに,新たな教科が出てくるやもしれない現状にあるということからしますと,グローバルな人材もそうですが,いろいろな面で,教員のしっかりした養成体制というのはここでは必要ではないかと思います。
 資料中にも書かれていますように,教育投資の充実が国策であるということからしますと,教育財源の確保をしっかりと行い,自治体任せではなくて国としての予算措置等々をお願いしたいと思います。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 永田委員,お願いします。

【永田委員】
 一言だけ意見を申し上げます。単語として一言入れると,全体として書きぶりが変わるかと思うことです。実は志賀委員の意見と密接に関連していて,高度知的労働力,肉体労働力,そのほかにある言葉としては技術などという言葉はあるのですが,「技能」という言葉はどこにも出てきません。暗黙知なので技術のように明確化して教えることができないというわけでもなく,暗黙知は暗黙知として教えられることはたくさんあり,「技能」という単語を加えるといろいろなものがもっと入ってくると思います。少し変な範疇(はんちゅう)だなと思いますが,9ページにスポーツや芸術,将棋,碁という記載があります。教育するわけですから,「技能」というのはどのような立ち位置にあるかを考えていただけるといいかと思います。

【北山会長】
 五神委員,お願いします。

【五神委員】
 2030年という時点を目標に設定して,第3期教育振興基本計画で,何をすべきかを具体的に議論することは,極めて重要だと思っています。2030年は今から14年後ですから,その間に活躍する人材は現時点でほとんど出そろっていることになります。今生まれた子供が中学生になるぐらいの時期です。また,今40歳の人が55歳,30歳の人が45歳になります。今,日本が持っている人的リソースを活用してどうやって新たな価値創造をしていくかということと,教育の質向上とをリンクさせるということが極めて重要です。国の予算が限られている中で,これらを別々に取り組むことは効率が悪いと思います。
 そのような意味で,先ほども中根委員から御発言がありましたように,やはり大事な点は教育を世界に展開するということです。日本の教育の優れた部分は何かという観点で,国際的な比較の中で価値を見極めて,それを輸出産業にできるかどうかということです。これは,経済あるいは社会システムとリンクさせた形で「売って」いかなければ「売れ」ません。私たちは高等教育を行っていますが,現在の日本の高等教育の価値は,諸外国の状況と比較したときに優位性があると分析しています。日本の初等中等教育の中から続いてくる高等教育の優位性をどのような社会システムとバンドルすることで輸出していくのか,また,それを実装するマンパワーはどこにいるのかということを考えたときに,私の頭にまず思い浮かぶのは団塊の世代です。この世代の人たちはかなり高度な教育を受けていて,ICTのリテラシーもあります。
 今の団塊の世代がシニアになるときにはそのような能力を持っているという点が大きいです。その人たちが価値創造にコントリビュートし,団塊ジュニアの人たちもコントリビュートし,そして次の世代をより質の高い人材に育てるために強い教育を行う,教育立国のような形でのモデルを立てていく必要があります。そのようなことをやる中で良いものをきちんと攻めて売っていくということに転換していくというようなことまで,この基本計画に書くことができれば,今までのように良い教育とはどういうものかということを書きながら,しかし,実装するところでお金がなくて厳しい,という出口の見えにくい議論からは脱却できるのではないかと思っております。是非そのような書き込みを期待したいと思います。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 生重委員,お願いします。

【生重委員】
 ありがとうございます。私は,2期の教育振興基本計画の中の「絆(きずな)づくりと活力あるコミュニティの形成」という表現がとても気に入っていまして,同じものを3期に持ってくるわけにはいかないというのはよく分かっているのですが,全国,特に過疎の土地に参りますと,活力や,きずなというものがとても希薄だと感じています。今回書かれている文章の中でも,学校・家庭・地域・企業等が連携・協働して人づくり,地域づくりを進める。多様な人々が協働しよう,一人一人が活躍できると,一応全て入っているのですが,今全国の様々なまちで足りていないのが活力ときずなだと思います。
 私はここの部分が,昨年12月21日の答申のコミュニティ・スクールと,地域学校連携推進事業と,それからチーム学校という三つの答申を一番生かしていただいているものだということはよく分かります。また,ここで震災や,復興という言葉が当てはまらないのは分かっているのですが,岩手,福島,宮城沿岸部に行きましても,まだまだだという部分や,熊本の問題など,様々なことを考えると,その辺りのことも意識した用語で,みんなで支えて助けていく,そして自分たちも努力するという地域ごとのものが文言として,きずなづくりと活力のある地域,といったようなインパクトがあるものが入っていると有り難いと感じております。
 以上です。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,小室委員,お願いします。

【小室委員】
 ありがとうございます。全体に網羅されている内容になっているかと思うのですが,1点申し上げます。今の課題は恐らく2030年を見据えても課題であり続けるだろうと思うのが,子供たちの自己肯定感の低さかと思いますが,そのところに関しては,どのような形でそれを課題に対して取り組んでいくのかというところを入れていただきたいなと思います。自殺の多さや,自己肯定感の低さというようなところに関して,教育でどのように変えていくのかというところがどうしてももう少し欲しいと思っております。
 世界におけるGDPに対する相対的な低さというようなことが今後進んでいくと,経済は子供の自己肯定感にもかなり影響を与えると思います。右肩上がりの経済のときには,ただ毎日生きているだけでも,明日は良くなっていくという感覚を持つことができますが,基本的な毎日が良くなっていくような感覚を持てない中での子供たちに対して,より自己肯定感を強く持たせるような環境をどのように作っていくのかというような観点も是非入れていただきたいなと思います。
 以上です。

【北山会長】
 それでは,亀山委員,お願いします。

【亀山委員】
 若干,議論がぶれるかもしれませんが,今の小室委員の意見とも少しはリンクしてきます。私が申し上げたいのは,国家的な規模での多言語化というのを,ある程度推進してほしいということです。成熟した国家として国際貢献を果たしていくことは重要だと思います。そういった人材を育てなければならないと私は常々考えています。
 この9月にウラジオストクであった安倍・プーチン会談の随行員の一人として参加しましたが,そこで見る状況というのは,いわゆる非英語圏の持っている力というものが過小に評価されているということで,我々の中央教育審議会での議論というのは結構我が国の利益をどこまで伸ばしていくかという,ある観点からすると内向きな議論になっているということが否めないと思います。私はグローバル化という言葉よりもポストグローバル化という言葉で2030年代をイメージした方がよいと考えていて,そのときの国家秩序の形態をもう少し具体的にイメージして,より大きく発想した方がよいのではないかということを漠然とですが考えています。

【北山会長】
 ありがとうございました。追加で御意見がございましたら事務局まで御提出いただければと思います。
 本日は,冒頭の有松局長からの御説明にもありましたように,検討の視点などについて御議論いただきました。資料3-1の最初のページでお示ししましたように,これから基本的な考え方について部会で議論し,年明けの1月頃にそれを一旦取りまとめるという段取りになります。本日,皆様から頂いた意見も踏まえて,引き続き計画部会で審議を進め,基本的な考え方が取りまとめられましたら,また総会に御報告させていただきます。最終的な答申は,来年末に取りまとめる予定ですので,引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは,続きまして議題(3)の,平成28年度の第2次補正予算(案),及び29年度の概算要求並びに税制改正要望事項について,文部科学省から御説明をお願いしたいと思います。
 まず,増子会計課長から御説明をお願いします。

【増子大臣官房会計課長】
 それでは,資料4-1に基づきまして,まず,第2次補正予算案について御説明いたします。この補正予算案につきましては,8月24日に閣議決定をしているところでございます。教育関係中心に御説明させていただきますが,まず3ページ目に文部科学省の全体の補正予算額3,574億円になっております。今回そのうちのかなりのウエートで,最初の学校施設等の環境整備に充てる予算を中心に獲得しており,全体で2,024億円でございます。また,そのうち公立学校の耐震化,老朽化対策,あるいはトイレの洋式化,空調関係に1,407億円計上しております。また,国立大学等で295億円,私立学校についても300億円強,予算を計上しているところでございます。
 また,最後のダイヤに書いてございます人材育成の強化では,再計上になりますが,国立大学等の教育研究基盤の設備の整備ということで110億円,また小・中・高等学校等の理科教育設備の整備で3億円,また佐賀の公立学校のサーバへの不正アクセスの個人情報の漏洩(ろうえい)の問題がございましたので,学校の先生方に情報セキュリティの研修や,ワークショップを開く経費,これも1億円ほど緊急に計上しているところでございます。
 次,2ページ目の二つ目のダイヤで子育て環境の整備で,認定こども園の施設整備,あるいは放課後子供教室のICT環境の整備ということで,合わせて96億円。また,三つ目に書いてございますように,奨学金制度ということで,所得連動返還型奨学金制度の導入に関して,システム整備をこれまでやっておりましたが,29年度から制度導入できるよう,これでシステムの完了ができるということでございます。
 また,3ページ目でございますが,熊本地震からの復興ということで学校施設関係,公立学校だけでも350近くの学校が被災しているということで,その復旧関係の予算,合わせて422億円,また就学支援ということで被災した児童生徒の就学支援等で41億円ということで予算を計上しているところでございます。
 補正予算案は以上でございます。
 次に,資料4-2で文部科学省の平成29年度の概算要求のポイントについて御説明いたします。文部科学省全体におきましては,対前年度5,051億円増の5兆8,266億円を要求しているところでございます。なお,文教関係につきましては3,082億円対前年度増の4兆3,638億円を要求しているところでございます。
 内訳につきましては2ページ以降でございます。まず,義務教育費国庫負担金につきましては,対前年度で86億円の減要求になっておりますが,下に書いてございますように教職員の若返りによる給与減が87億ございまして,これが主な減要求の要因になってございます。また,教職員定数の自然減が3,100人見込んでおりますのに対しまして,教職員定数の改善増を3,060人要求しております。その内訳につきましては教職員定数の改善の1から3に書いてある内容でございますが,特に2の丸1,発達障害等の児童生徒への「通級による指導」の充実,そして丸2の,外国人児童生徒等教育の充実ということで,この二つにつきましては基礎定数化するということで,義務標準法の改正を前提とした概算要求になっております。
 また,下の方に教員給与の改善に関して,部活動指導業務手当の改善ということで,これは土日の部活動指導を4時間以上行った場合に3,000円支給しているのですが,これにつきまして3,600円ということで,時給換算で900円に引き上げる要求をしているところでございます。
 次,3ページ目でございますが,補習等の指導員等の派遣事業,退職した教員等を活用したサポートスタッフの派遣,これにつきまして1,500人増ということで,6億円の増要求をしているところでございます。
 また,二つ目の教員の資質能力の向上につきましては,国における教職課程のコアカリキュラムの策定,あるいは教員研修センターの機能強化のための予算として2億円増要求をしているところでございます。
 三つ目に学校現場における業務の適正化ということで,教員の業務改善に向けまして,教員以外の,例えば業務アシスタントを配置するなどいたしまして,実際の効果を検証するような研究事業を新たに開始する予定にしております。
 次に,地域と学校の連携につきましては,放課後子供教室の箇所数を2,250か所増やすということで,そのうち半分につきましては厚生労働省の放課後児童クラブと一体型で整備していく予定です。また,地域のコーディネーターも拡充する予定にしております。
 最後の丸,特別支援教育の充実につきましては,インクルーシブ教育の推進ということで,これについては教育再生実行会議の第9次提言を踏まえまして,就学前から卒業後にわたって一貫した支援体制を構築する地域を新たに支援する仕組み,あるいは医療ケアを必要とする生徒が増えておりますので,看護師を200人ほど増員する要求をさせていただいているところでございます。
 次,4ページ目でございますが,いじめ・不登校対応につきましては,スクールカウンセラー,それからスクールソーシャルワーカーについても,いずれも大幅な拡充をするということで20億円ほどの増要求をしております。
 道徳教育につきましては,指導要領改訂の関係で保護者向けのパンフレットを新たに作成,配布するということと,30年度から小学校で道徳が教科化されるということで,29年度は教科書の購入費が発生しますので,13億円ほどの増額になっております。
 教育課程の充実につきましては,新学習指導要領のリーフレットの作成,配布,あるいは新規で5,000万ほどでございますが,小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方ということで,小学校も英語で年間35コマ増えるということで,先ほどもお話があったように15分短縮や,60分授業など,その辺りの在り方についての調査研究を実施する経費でございます。
 一番下のキャリア教育につきましては,スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの学校数を増やすということと,専修学校について社会人の学び直し講座の開設支援をする予算として新規に3億円ほど要求しております。
 次,5ページ目でございます。教育の情報化の推進につきましては,まず,6億円ほど増額しておりますが,校務文書の電子化や,標準化のモデル開発,あるいは新規3億円と書いてございますが,学校関係者とICT関係企業がコンソーシアムを組んで教育コンテンツを開発するなど,ICT活用の指導者養成研修を実施する予算を新たに要求しているところでございます。
 次,高大接続改革につきましては,高等学校基礎学力テスト及び大学入学希望者学力評価テスト,いずれもプレテストを実施する関係の予算を計上しておりまして,11億円の増額要求になっております。
 次,6ページ目でございます。国立大学法人の基盤的経費の充実ということで,特に国立大学法人の運営費交付金につきましては,425億円増,3.9パーセントの増要求をしております。これについては,28年度から導入いたしました三つの重点支援の枠組みを強化するのと同時に,今後重要になってきます数理・データサイエンス教育の強化ということで12億円,また民間投資拡大も重要でございますので,大学側から企業に企画提案するような組織対組織の産学連携を行う体制の整備ということで70億円,これは運営費の中の項目として新規に要求しております。
 また,二つ目のダイヤに書いてございますように,来年の夏頃,指定予定の指定国立大学法人に対するスタートアップ支援ということで,新規に30億円も計上しているところでございます。
 次に,私学助成の関係につきましては,私立大学の経常費補助につきましては125億円増ということで,対前年度4パーセント増ということになっております。新規の事業につきましては,地域の私立大学が自治体や産業界と連携するプラットフォームを形成する支援ということで新規に5億円,また28年度から開始したブランディング事業についても大幅な拡充の要求をしているところでございます。
 次,7ページ目でございますが,幼稚園から高等学校の私立の補助については35億円の増額,また私立学校の施設・設備については297億円増,先ほど御説明しましたように28年度補正で300億円計上しているところでございます。
 次に,真ん中の丸でございますが,G7倉敷宣言を踏まえまして,今後G7内での教育の比較研究や,教員の交流,二国間ワークショップ等を新たに実施する経費で,新規に10億円を要求しているところでございます。
 グローバル人材につきましては,小学校の外国語科の教材開発,あるいは一番下に書いてございますように在外教育施設への教員派遣の拡充ということで,60人ほど増員要求をしているところでございます。
 次,8ページ目でございますが,留学生の交流につきましては,日本人留学生の倍増,あるいは留学生30万人計画を目指しまして,まずは双方向交流の推進による海外留学につきましては,学位取得型については,大学院については前年同でございますが,新たに学部に留学する日本人学生を支援するということで,人数的にはまだ50人程度ではございますが,要求をしているところでございます。
 大学間の協定派遣につきましては,派遣を充実させるということで1,100人ほど増やす要求をしております。
 また,優秀な外国人を受け入れるということで,海外へコーディネーターを派遣する試みをしておりますが,拠点数を新たに5拠点ほど増やすということと,下のぽつに書いてございますように留学生の就職促進ということで,日本での企業文化を学ぶなど,中長期のインターンシップを一体として学ぶ環境を整備するような取組も新たに開始する予算を要求しております。
 次,9ページ目でございますが,非常に重要な懸案となっております給付型奨学金につきましては,事項要求ということで年末までに結論を得ることとしており,財務省と調整をしているところでございます。
 また,有利子から無利子への流れを加速ということで,残存適格者が2万4,000人いますので,これをまずしっかり解消するということと,新たに低所得世帯の子供に係る無利子奨学金の成績基準について,今,学力基準で評定が3.5以上となっておりますので,それをできるだけ引き下げるということで,これについても事項要求をしているところでございます。
 また,授業料減免につきましても,国立0.2万人,私立大学1.2万人の増要求をしております。
 次に,高校生等の奨学給付金につきましては,非課税世帯の第1子と第2子で差があるわけでございますが,第1子について実際に必要な経費と給付額の差がございますので,それをできるだけ解消するということで増額を要求しているところでございます。
 次,10ページ目でございます。子供の貧困対策につきましては,学習が遅れがちな中高生への無料の学習支援をしております地域未来塾の箇所数を1,000か所増というような要求をしております。また,新たに,いろいろな事情から低所得世帯においても私立学校を選択する場合もございますので,特に低所得世帯を中心として授業料の支援をこのような数字の額で支援を行うということで,実際の対象者,小・中学生合わせて1.2万人ということで13億円を要求しております。
 次に,幼児教育の無償化についてはこれまでも段階的に取り組んでおりますが,これについても事項要求ということで,年末までに結論を得るということにしております。
 最後に,学校の老朽化対策につきましては,公立学校,国立大学,私立学校,それぞれの要望について全額財務省に要求しているところでございます。なお,補正予算については2,000億計上しているという状況でございます。
 その他,スポーツ,文化,科学技術については時間の関係もございますので,省略させていただきます。
 説明は以上でございます。

【北山会長】
 ありがとうございます。
 それでは,次に,税制改正要望について,信濃大臣官房政策課長から,御説明お願いします。

【信濃大臣官房政策課長】
 税制改正要望について御説明いたします。資料4-4を御覧ください。29年度は全部で15本の要望を行っております。簡単にその性格付けを説明しますと,1の(1)から(4)は,私学の振興や,経営基盤の強化に資するもの,(5)が教育機会の均等に資するもの,(6)が研究開発投資の促進に資するものとなっております。2の(1)から(4)までは,スポーツの振興に関するもの,それから,(5),(6)が文化の振興に資するものとなっております。3は制度改正に伴う所要の措置となっております。
 教育に関連する部分だけ少し概要を御説明いたします。資料4-5を御覧ください。まず,1ページ目の(1)がございます。これは私立大学が行う受託研究を国立大学並みに全て非課税とすることによって,民間企業からの受託研究を促進しようとするものでございます。
 現在,私学の受託は左側の箱にありますとおり,成果を公表するものに限って非課税となっております。この要件を撤廃することによりまして,政府の方針として今後10年間で企業から大学等への資金提供を3倍に増やそうという動きがございますので,それを加速するということを狙っております。
 (2)ですが,これは個人から私学への寄附について,所得控除に加えまして災害からの復旧時においては全ての学校法人に税額控除を適用できるようにしようとするものでございます。現状では学校法人への寄附というのは所得控除に加えまして,ここの左の赤枠で囲っておりますPST要件を満たす学校法人への寄附に限って税額控除が選択可能になっております。これを災害の復旧時にはPST要件を満たさない学校法人への寄附についても税額控除を選択できるようにしたいということで,例えばOBの方,それから地域住民の方といった方からの支援を促進し,災害からの復旧を加速したいと考えております。
 続きまして,2ページ,(3)についてですが,これは現物寄附への課税,これは非課税とするための手続があるのですが,現在は大学を有する法人,いわゆる文部科学大臣が所管する法人についてのみ,その簡素化の手続が認められております。この特例を幼稚園,小中高のみを有する法人,いわゆる都道府県知事の所轄法人にも拡大をしようとするものでございます。内閣府との共同要望でございます。
 (4)は土地保有者が幼稚園等の敷地として貸与した土地の相続税,贈与税を非課税とするということによって,幼児教育の振興,待機児童対策を促進しようとするものでございます。厚生労働省との共同要望になっております。土地にかかる相続税につきまして,例えばアパートや自分の家を建てている場合には優遇措置がございます。一方で,大都市の周辺では今,幼稚園の用地の確保が非常に難しいということがございますので,これを容易にするために幼稚園に土地を貸す場合の税制優遇というものが必要と考えているところでございます。
 続きまして,3ページの(5)についてですが,これは既に祖父母から孫へ信託を通じて教育資金を一括贈与する場合に,その贈与税を非課税にするという制度がございます。これを拡大しまして,第三者から貧困の状態にある子供への贈与にも適用できるようにしたいということでございまして,世代間の格差の解消,それから教育機会の均等を図りたいというものでございます。内閣府等と共同要望をしております。
 以降,幾つかは教育に直接関係ございませんので省略させていただきまして,最後に7ページになります。制度改正に伴う所要の措置ということでございます。(1)は今後予定しております教員研修センターの業務を見直す法改正,これで組織を見直すわけですが,その際にこれまでの税制上の優遇措置が継続されるようにしたいというものでございます。
 それから,これが最後ですが,(3)義務教育教職員の給与負担につきましては都道府県から指定都市へ移譲するということで,来年4月から施行されることになっており,これに係る税源移譲に関する要望でございます。なお,最後に「参考」と書いてありますとおり,既に平成26年度の税制改正要望の際に税源移譲をするという整理はされているのですが,その後大変時間がたっているということから,確実に行われるように念のために確認するというものでございます。
 12月に向けまして,これらの要望が実現するように引き続き努力をしていきたいと考えております。
 以上です。

【北山会長】
 増子課長,信濃課長,ありがとうございました。
 御質問などがありましたら,別途,文部科学省までお寄せいただきますようお願いします。
 これで本日の議事は終わりでございます。
 次回の日程については事務局から追って御連絡するということで,よろしいでしょうか。

【里見生涯学習政策局政策課長】
 はい。よろしくお願いいたします。

【北山会長】
 以上で終了いたします。
 本日はどうもありがとうございました。

―了―

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-- 登録:平成29年03月 --