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中央教育審議会(第91回) 議事録

1.日時

平成26年6月30日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

学士会館「210号室」(千代田区神田錦町3‐28)

3.議題

  1. 大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について
  2. 大臣との意見交換
  3. その他

4.出席者

委員

 安西会長、小川副会長、北山副会長、相原委員、明石委員、五十嵐委員、生重委員、浦野委員、衞藤委員、大島委員、尾上委員、帯野委員、河田委員、菊川委員、北城委員、櫻井委員、篠原委員、白石委員、長尾委員、橋本昌委員、橋本都委員、平尾委員、無藤委員、吉田委員

文部科学省

 下村文部科学大臣、板東文部科学審議官、土屋文部科学審議官、戸谷官房長、德久総括審議官、関文教施設企画部長、清木生涯学習政策局長、前川初等中等教育局長、吉田高等教育局長、常盤私学部長、藤野生涯学習総括官、他

5.議事録

【安西会長】
 時間でございますので、ただいまから中央教育審議会第91回総会を開催させていただきます。お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、下村大臣に後ほど御出席いただく予定でございます。
 本日の議事でございますが、まず、「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策」につきまして御審議を頂きたいと思っております。その後、下村文部科学大臣との意見交換をさせていただきます。下村大臣は15時30分過ぎに御到着の予定であります。その後に今後の放課後等の教育支援の在り方に関するワーキンググループの御報告を頂きまして、その後、地方教育行政、それから大学のガバナンスに関する法律が国会で成立をしておりますので、その御報告を頂くことを予定しております。
 本日、報道関係者から会議の議事についてカメラ撮影を行いたいという申出がございます。これを認めておりますので、御理解くださいますようにお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。まず、本日の配付資料について事務局からお願いします。

【藤野生涯学習総括官】
 本日の配付資料につきましては、会議次第にございますように、資料1から資料7まで御用意させていただいております。御確認方、よろしくお願いいたします。
 このうち資料7につきましては、委員の皆様に既にメール等でお知らせしておりますが、前回の3月28日の中央教育審議会総会以降、中央教育審議会運営規則等に基づきまして、総会を経ないで分科会に直接行われました諮問につきまして御報告するものでございます。今回は、大学分科会の関係で1件ございます。
 以上でございます。

【安西会長】
 配付資料、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、まず、文部科学大臣の諮問を受けまして、高大接続特別部会を中心として、「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策」について審議をしてまいりました。これから更に審議を重ねるということが必要な事柄でございますが、大変重要で広範に影響の及ぶ事柄でございますので、途中段階ではありますが、総会に御報告をさせていただいて、御審議いただければと思います。
 それでは、まず、高大接続特別部会の部会長を私がやっておりますので、私の方から御説明をさせていただきます。
 高大接続特別部会につきましては、平成24年8月の諮問に基づきまして、中教審総会の下に設置されまして、高大接続の在り方について審議を行いました。平成25年10月に教育再生実行会議が第四次提言を取りまとめまして、その後、「達成度テスト(仮称)」の在り方をはじめといたしまして、第四次提言を踏まえた検討課題につきまして、高等学校教育部会との合同会議の開催も含めて審議を重ねてまいりました。3月25日に議論の方向性を審議経過報告として取りまとめまして、3月28日のこの総会で一度説明をさせていただいております。その後も高大接続特別部会におきましては、パブリックコメント、それから関係団体への意見照会等を行いまして、審議を重ねております。6月20日に開催された部会でも答申(案)の審議が行われているところでございます。本日のこの総会でも御意見を頂きまして、更に審議を行いたいと考えております。
 資料1-1に答申(案)の概要がありますので、御覧いただければと思います。
 前回の会議でも御説明したところでございますが、高大接続特別部会におきましては、「生涯学び続け、主体的に考える力」、これからの時代に必要とされる力を育むために、特に高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的な改革が必要だと、そういう認識に基づいて審議を重ねております。資料にありますように、高等学校教育の質の確保・向上、大学の人材育成機能の強化、大学入学者選抜の改善全般にわたって具体的な方策を記述してございます。
 今回は、資料1-3に参考資料を付けておりますが、特に審議経過報告後に審議を行ってまいりました多面的・総合的に評価する大学入学者選抜の転換、「達成度テスト(仮称)」の在り方等について、かいつまんで御説明をさせていただきます。
 資料1-3を御覧いただければと思います。
 1枚目は大学入学者選抜全体の転換のイメージであります。これからの時代におきましては、知識・技能とともに、変化に応じて自ら課題を設定し、答えのない問題に解を見いだし、他者と協調する等……実行・実現していくことのできる力が特に必要になっていくと考えております。大学入学者選抜におきましては、各学校段階を通じてこのような能力等の育成が促進されるように、大学入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価するものに転換していくということが求められます。
 大学入学者選抜における評価の観点につきまして、知識・技能、それから知識・技能を活用する力、意欲・経験・多様性の三つに大別してみますと、資料1-3の1枚目にありますように、その資料1-3の図と比べて御覧いただきますと、現在行われております大学入学者選抜が今申し上げた三つをバランスよく評価するものとはなっていないのではないか、そういう課題があるわけであります。選抜性の高い大学のケースにつきましても、選抜性が低い大学のケースにつきましても、これら三つの観点をきちんとバランスよく見ていく、そういうものに転換していくことが重要であります。そのためには、いろいろな取組を進めていくことが必要でありますが、特に達成度テスト(発展レベルと基礎レベル)の二つの新しいテストを考えていく必要があります。また、もちろんでございますが、大学側からの入学者選抜の在り方について、単に狭い意味での知識・技能だけではなく、多面的な評価をもって入学者選抜をやっていく。特にアドミッション・ポリシーに沿った入学者選抜をしっかり各大学にやっていただくことが、これがやはり前提でございます。
 二つのテストについて現時点での概要を整理いたしましたのが資料1-3の2枚目の表でございます。基礎レベルと発展レベルが並べて書いてありますが、趣旨・目的につきましては、基礎レベルが、自らの高校教育における基礎的な学習の達成度を把握すること、それから自らの学力を客観的に提示できるようにすることを主たる目的としているのに対しまして、発展レベルは、大学入学志願者のこれからの大学教育を受けるために必要な能力について把握することを主たる目的とするということであります。
 対象者につきましては、基礎レベルが、できるだけ多くの高校生が受けることを想定しているのに対しまして、発展レベルは、大学入学志願者を主たる対象としております。ただ、大学の在学者あるいは社会人等も含めまして、大学で学ぶ力を確認したい人たちの受験も可能としたいということであります。
 それから、試験の内容につきましては、基礎レベルが、高等学校段階で共通に求められる基礎的・基本的な知識・技能、それから、これらを活用する力を測定・評価するものであるのに対しまして、発展レベルは、大学での学習の基礎となる、大学入学志願者に求められるレベルでの基礎的・基本的な知識・技能及びこれらを活用する力を測定・評価するものだということであります。こうした能力を測定・評価するために、教科・科目ごとに細分化した内容で出題する「教科型」の問題だけではなく、教科・科目を横断した「合教科・科目型」の問題、知識・技能を組み合わせて用いる力を問う「総合型」の問題を導入することとしております。
 なお、「合教科・科目型」、「総合型」の内容につきましては、3枚目の資料に記述してございますので、適宜、御参照いただければと思います。
 それから、出題・回答方式につきましては、記述式問題の出題についてCBT(コンピュータ・ベースト・テスト)方式の導入に関する研究開発と併せて検討することとしており、当面はいずれのテストも多肢選択方式による出題というふうにしたいということであります。
 実施回数につきましては、基礎レベルは、高校二・三年時に年2回程度、発展レベルは、出題教科の見直し等により1回の試験を1日で終えることを前提にして、年2回の実施としたいということで検討しております。
 成績表示につきましては知識偏重の1点刻みの選抜にならない利用を促進するように、段階別表示等により成績を提供したいということであります。
 なお、この答申(案)におきましては、資料1-1の5ページにありますけれども、導入に向けた今後の取組といたしまして、達成度テスト(発展レベル)における「合教科・科目型」、「総合型」の問題の具体的な取組、記述式、それからCBTの導入等について、答申後、別途、専門家等による検討を行いまして、1年を目途に結論を得るべきだというふうに、今、検討しているところでございます。達成度テストの発展レベルと基礎レベルの一体的な検討を行うべきだということも議論をしているところであります。検討準備・周知に必要な時期を考えますと、早ければ平成33年度大学入学者選抜からの段階的な実施を目指すべきであるということで検討をしております。
 大体以上でございますが、まだ検討段階でございまして、前に審議経過報告をさせていただきましたが、また、今、達成度テスト(発展レベル)のことを中心に申し上げましたが、さっきも少し申し上げましたように、各大学がどのようにして大学入学者選抜を行うのか、できるだけ多様な人材が大学において主体的に学び、考える力を身に付けて、これからの時代を担っていってほしいと、そういうことをやはり念頭に置いて検討を続けるべきだというふうに考えているところであります。今申し上げてきましたことは、度々申し上げますが、検討の段階でございまして、まだ変わる可能性があります。
 高大接続というのは、一番最初に申し上げたように、これからの大学教育、高校までの初等中等教育、特に高校教育、それから日本社会全体の人材育成という観点からも大変重要な課題でございます。当初は7月末を目途として答申を取りまとめると、そういう目標でやってまいりましたが、これは私の個人的な見解でございますが、この高大接続特別部会の答申につきましては、7月末までに答申をとにかくまとめると、そういうことよりは、もう少し時間を掛けて更に議論を詰めていきたいというふうに考えています。直近の高大接続特別部会において、この総会で答申(案)を私の方から御説明させていただくということで了解はとってあります。その了解の下で先ほどの御説明をさせていただいたところでございまして、今までの高大接続特別部会の検討につきましては、先ほど御説明したとおりの状況になっています。ただ、何度も申し上げておりますとおり、この問題というのは非常にこれからの日本の教育、日本の社会に大きな影響を与える、一方で迅速に案を作っていかなければいけない、そういう問題でございまして、7月末までに答申を出すということよりは、更に議論を進めて、できるだけ早く答申を出させていただくということにさせていただきたいというふうに考えているところであります。この最後の点につきましては、是非総会委員の皆様にも御理解を賜りますようにお願いを申し上げます。
 以上でございます。
 それでは、ただいまの説明、それから、今最後に私が申し上げたことにつきましても結構でございますので、御意見を頂ければと思います。
その前に、初等中等教育分科会の高等学校教育部会におきましても連携して小川部会長の下で議論し、また、高大接続特別部会とも連携して審議が行われてまいりました。前回3月の総会におきましても小川部会長から御説明を頂いたところでありますが、高等学校教育部会の審議の内容について小川部会長から御説明を頂いて、その後で御意見を頂くようにいたします。

【小川副会長】
 ありがとうございます。私の方から手短に、高校部会の審議まとめ(案)がまとまりましたので、その内容について御報告をさせていただきたいと思います。
 もう総会には何度も高校部会の審議状況についてはお伝えしてきました。高校部会では、高校教育の現状と課題、また、今後の高校教育の在り方などについて検討を行うために、平成23年9月に初中分科会の下に設置され、これまで約2年半、28回にわたって審議を行ってきました。今、安西会長からもお話がありましたとおり、この審議まとめ(案)につきましては既に3月の本総会の場で御報告させていただき、皆さんから貴重な御意見を頂きました。その後、パブリックコメント、また、関係団体の意見聴取を行い、そこで頂いた意見、また、総会並びに高大接続特別部会の場で頂いた御意見も踏まえて、去る6月13日の最後の高校教育部会でこの審議まとめ(案)の最終案を詰めさせていただきました。
 審議まとめ(案)の最終案は机上に配付されている資料2、この冊子にまとめられております。内容については、3月の本総会の場で報告させていただいた内容をほぼ踏襲しておりまして、その後のパブコメや総会、また、高大接続部会で頂いた意見を踏まえて若干の加筆修正を行っております。そういうことで内容については省略しますが、この審議まとめ(案)の骨子というのは、高校教育が多様化する中で、高校教育の質の確保・向上を図ることは必要であるということで、その具体的な施策として主に3点。一つ目は、幅広い資質・能力の多面的な評価などの推進や自らの高校教育における基礎的な学習の達成度を把握する達成度テスト(基礎レベル)(仮称)の導入を検討する。二つ目は、キャリア教育や職業教育の充実、総合学科における特色ある取組の推進など、学校から社会、職業への円滑な移行推進を図っていく。そして三つ目には、義務教育段階の学び直しが必要な生徒への支援、また、優れた才能や個性を有する生徒を支える取組、ICTの活用による学びの機会充実などについて記載しております。
 3月のこの総会の場でお示しした審議まとめ(案)から主に加筆した点は2点ありまして、一つは、職業教育の充実のために専門学科が果たす役割の大きさに鑑み、専門学科の特色などについて追記しております。専門学科等についての記述を少し厚めにしております。例えば14ページから16ページあたりにその点は記載されております。もう一つの3月の総会でお示しした審議まとめ(案)と比較して若干加筆している点は、達成度テスト(基礎レベル)の高等学校卒業程度認定試験との統合については、パブコメ等々で慎重な御意見も非常に多かったということで、やはり達成度テスト(基礎レベル)と高校卒業程度認定試験はそれぞれ制度の趣旨が異なることなどから、慎重な御意見も頂いた旨をこの審議まとめ(案)においては記載しております。これについては資料2の29ページの括弧の中の最後の丸印とか、あと29ページの下から6行目あたりにそうした趣旨を記載しております。
 以上、簡単ですけれども、高校部会における審議まとめ(案)についての説明とさせていただきます。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 それでは、先ほどの高大接続特別部会からの報告、そして今の高等学校教育部会からの御報告について、また、全般的なことでも結構でございますので、御質問、御意見いただければと思います。どなたでも結構です。札を立てていただければと思います。
 篠原委員、どうぞ。

【篠原委員】
 安西会長と小川副会長の説明でよく流れは分かりました。それで、一つ危惧することがございますので、これは、会議の中で、取りまとめの中で何か触れるのか、あるいは文科省がそれを受けて実施するときの問題なのか、その辺はちょっと僕も分かりませんが、今、安西会長から御説明を聞くと、これを導入するのが平成33年度から段階的に実施をしたいというお話がございました。平成33年度からというと、今の小6の子のところからになるのですか。恐らく、計算すると。そうすると、それ以前の今中1から上ですね、これは基本的に今の大学入試の制度・状況の中で今までどおり行われるということなのだろうと思いますけど、本当にそういう切り分けができるのかどうか。つまり、もう翌年からそういう新しい制度に移りますよというときに、その前の年の入試やその前の前、やはりそれなりに影響がいろいろ出てくるのだろうと思うのですよね。その辺を少しうまくというか、少し気を遣いながらやっていかないと、これでは、ばさっとデジタル的に断層ができてしまいますよね。その辺のところは是非御留意を頂きたいなと。この1点でございます。

【安西会長】
 私の方から、多少個人的な見解が入りますが、お答えさせていただきますと、やはり平成33年度あたりを中心にして、今からどういうステップでもってどういうことを進めていくのかということを、ある程度ざっくりでもいいと思いますが、それを提示しないと、やはり今のような御質問が出るのではないかと思います。私自身は、できるだけ早く新しい教育を子供たちが受けられるようにすべきではないかと、そういう論を持っておりまして、平成33年度より前に何とかならないかということは事務局に申し上げているところであります。ただ、それぞれやはりいろいろな段階があります。それからもう一つは、当然のことながらトライアルをやっていく。一種の実験と言うとあれですが、これは一つの考え方ですけど、全国の高校生に呼び掛けて、任意でもって前もってプリテストを受けてもらって、その結果を生かしていくようなことを何年か掛けてやっていく必要があるのではないかと。ただ、ある時点でやはりどこかから始めるということはどうしてもしなければいけません。そういう連続的なことは当然考えていくべきだと思います。

【篠原委員】
 ちょっとその関連でもう1点だけ。すぐ終わります。もう一つは、これ、先ほど高等学校、それから大学ということなのですが、小・中の教育にもすごく影響を与えてくると思うのですよ。だから、初等教育や中学生、そういう人たちが先々、大学を目指すときの、小学校のときからどういうふうに勉強していったらいいかとか、そういう話にもなってくるので、高校以降の教育だけで切らないでいただきたいと、これだけお願いしておきます。

【安西会長】
 これもおっしゃるとおりで、特に次期の学習指導要領の改訂に向けての議論とこの件、高大接続の件がどういうふうに重なっていくのかということについても、やはり何らかの見通しをこの答申の中で出すべきではないかというふうにも思っております。よろしいでしょうか。
 それでは、北城委員お願いします。

【北城委員】
 2点あります。1点目は、選抜性の高いケースと選抜性の低いケースで達成度テストの発展レベルと基礎レベルと二つに分けているのは的確だと思うのですが、資料1-3の「選抜性の高いケース」の中に、「個別学力検査」と小さく書かれています。改革後のケースです。大学が個別で学力テストをするとなると、現状と変わらないことになりかねません。今回、達成度テストの発展レベルは成績を段階で表示するということで、1点、2点の刻み幅ではなくなって、各大学が学生を選ぶときに選びにくい。本来は、小論文とかプレゼンテーションとか推薦書とか、ここに書いてあるようなことを多面的に評価して学生を選ぶのであって、学力はある程度の水準を満たしていることを見るということが今回の改革の基礎だと思うのですが、この資料の記述では、学校によってはもう一つ、それぞれの大学が個別の学力検査をして、検査のやり方はいろいろ考えるにしても、結局は試験問題の点数で学生を選ぶということになりかねないのではないかと思います。ここには小さい絵で描いてあるのですが、個別学力検査というのを個別の大学がやるという方向ではないような形で審議をしていただきたい。少なくとも国立大学のように国の全体の方針の中で決められるような大学に関しては、個別の学力検査はやらない方向で今後審議していただければと思います。御存じのようにアメリカの大学で個別学力テストをやっている大学はありません。ハーバード大学の入学試験とかスタンフォード大学の入学試験というのはなくて、到達度テストのようなある程度の学力を測る手段と、それ以外は小論文とか推薦状とか高校時代の活動とか、いろいろ多面的なものを見て学生を選んでいるのが実態です。日本でも学力の点数だけで学生を選ぶという基本的な考え方を変えるためには、個別学力検査はやらない方がいいと思うのです。
 それから2点目は、そうなると大学側は学生選抜のための準備が必要なので、ある程度の期間は必要だと思うのですが、平成33年まで待つことはないと思います。もう少し早くやるべきではないか。高校以下の教育は今でも「生きる力」とか「総合的学習」とかいろいろなことを行っています。これはひとえに大学の入学選抜の問題なので、大学の準備をできたところで始めるものとして、今から4年後ぐらいでよろしいのではないかと私は思います。
 2点です。

【安西会長】
 ありがとうございました。今の点は是非検討させていただければと思います。特に先ほどから申し上げておりますように、各大学がしっかりアドミッション・ポリシーに沿って自らの責任で多様な人材を入学選抜していただくということはやはりこれからの教育の方向だというふうには個人的には思いますので、是非検討させていただければというふうに思います。
 それでは、菊川委員と、それから河田委員。大臣の時間が限られておりますので、手短にお願いします。

【菊川委員】
 今の御発言とも絡むのですが、各大学は独自にアドミッション・ポリシーを持っておりますので、その中で個別学力試験をするかどうかということについては、発展レベルの達成度テストの中身によってやはり変わってくるのではないかという意見でございます。

【安西会長】
 ありがとうございました。それも理解できるところなので、いずれにしても、各大学の方向と特に発展レベルと言われているテストがやはりコミュニケーションを持って全体の設計をしていかないといけないと思います。
 河田委員お願いします。

【河田委員】
 この間、3週間ほど前、台湾の教育部、いわゆる文科省の招待を受けて台湾を訪問いたしました。そのときに指摘されたのですが、現在、日本には大体4,700人しか台湾から留学生が来ていない。かつてはこの倍ぐらいの日本への留学生があったのだが、最近は多くがアメリカに行ってしまう。そして、台湾では高校卒業者のおよそ95%ぐらいが大学に進学している状況があると。そして高等学校でも日本語教育を行っているのに、なぜ日本に来ないのか。その理由の一つは、アメリカならSATのテストがあって、それは年に7回あると。そして大体1,600点取ればアメリカの大体の大学は行けるし、あと、難しい大学はもう少し高い点数が必要だけど、しかしながら、日本の場合はSATに相当するものがない。だから、私は、今回日本でもSATに近いテストができますよという話をしていたのですが、この発展レベルのテストはこの資料によりますとわずか2回しかない。1日のテストを2回ぐらいでは、海外の人も日本留学がしたくても利用できないだろうと思います。もうちょっとテストの回数を増やして、せめて5回ぐらいにしないと、やはりそれでは利用価値いわゆる使い勝手が悪いのではないか。このように感じております。

【安西会長】
 ありがとうございました。そういう御意見もありますので、是非検討させていただければというふうに思います。
 いずれにしましても、先ほど申し上げました高大接続特別部会からの御報告は検討段階のものでございますので、その点は重ねて御理解くださいますように。またいろいろ御意見を頂ければ大変有り難いと考えております。
 下村文部科学大臣、大変御多忙の中を駆け付けてくださっております。これから下村大臣との意見交換を行わせていただければと思います。前回3月の総会におきましてもそういう機会を設けさせていただきましたが、その際、大臣からは、教育投資財源については改めて御説明いただけるというふうにも御発言いただいております。本日は、「2020年 教育再生を通じた日本再生の実現に向けて」ということで、30分ほどお話を頂きまして、意見交換もさせていただければと思います。
 下村大臣、よろしくお願いいたします。

【下村大臣】
 それでは、座らせていただいて御説明を申し上げたいと思います。
 貴重な中教審総会の時間を頂きまして、ありがとうございます。日頃から先生方には大変に御指導いただいておりますことを感謝申し上げたいと思います。
 まず御報告を申し上げたいと思いますが、今国会は、我々は教育再生国会と位置付けまして、重要法案、閣法は全て成立をさせていただきました。その中の一つとして、教育委員会制度改革は58年ぶりの改革でありますが、中教審でも大変な御議論を頂き、A案、B案という形で答申を頂きました。その後、与党の中で協議をしていただきまして、最終的には中教審のA案、B案の折衷案のような形で総合教育会議という形を設けて、首長と、それから教育委員会は教育長と教育委員長を一本化した新教育長という整理をし、執行機関として残しながら、この二つの執行機関が総合教育会議の場で協議・調整をし、そこの自治体における大綱等を作っていくという形になりました。改めて中教審の先生方に感謝を申し上げたいと思います。
 そして、前回3月28日にこの総会に出たときに、大学ガバナンス法案、これは本来、政省令ということでありましたが、この総会の場で、政省令ではなく是非これは法案として提出してほしいと、北城委員をはじめ多くの皆様方からの御要望を受けまして、これは閣法ということで出させていただき、これは衆・参において圧倒的な、共産党、社民党以外は全て、一部修正がありましたが、賛成するという形で、賛成多数で可決をいたしました。早速、これを受けて今、文部科学省の中で有識者会議を創りながら、来年4月から施行でございますので、大学における学則・内規等もこの新しい法律にのっとったものにしていただくためのガイドラインの作業を急ぐことによって、各大学においても新たな大学ガバナンス法案にのっとった大学運営をしていただきたいと、今、考えているところでございます。
 そして、本日は、安西会長から御紹介いただきましたが、教育財源の確保に関する省内の勉強会をずっとしてまいりました。そのことについて本日は御報告と、また、先生方から御議論を是非出していただき、また、中教審の中でも更に深掘りをしていただければという問題提起として本日はお話を申し上げたいと思います。
 テーマは、2020年オリンピック・パラリンピックが開催されますので、この2020年をターゲットイヤーとして、教育の部分においても「2020年 教育再生を通じた日本再生の実現に向けて」、そういうことで取りまとめをいたしました。この資料は、5月16日の教育再生実行会議でも私の方でプレゼンを既にさせていただいておりますが、同時に自民党の教育再生実行本部において、また、公明党の教育改革推進本部においても説明をいたしました。自民党の教育再生実行本部ではそれを受けて教育投資・財源特別部会を設置していただいて、与党としても同じような方向性でこの財源問題について議論をスタートしていただいているところでございます。
 教育再生に向けては、現下の非常に厳しい財政状況の中でより手厚い対応を行うためには、財務省に対して主張していても1ミリたりとも動きませんので、新たに自ら考えなければならないということで、文部科学省の中におきまして経済学者など外部の有識者から意見を伺いながら検討を進めてきたところでございます。その結果、財源確保の前提として、まずは教育投資の重要性が広く共有されることが必要であるというふうに認識しております。資料の1ページ目を御覧になっていただきたいと思うのですが、将来の我が国が抱える課題を解決し、成長し続けるためには、教育への投資の充実が必要であるという観点からまとめております。そのことについてまず御説明させていただきたいと思います。
 1ページ目は、今、向き合わなければならない我が国の状況であります。一人当たりのGDP、1993年にはOECD加盟国の中で第2位であったわけでありますが、2012年には10位と大きく順位を落としております。グローバル化が急激に進展する中、我が国の国際的な存在感の低下が懸念をされます。また、経済成長を生み出すために必要なのは、一人一人の生産性の向上と労働力人口の増加でありますが、我が国の労働生産性はG7諸国の中で最下位という状況であります。また、労働力人口におきましても、我が国の労働力比率は米国等と比べて低い水準にとどまっております。加えて、急激な少子化の進展に伴い、約50年後には生産年齢人口は半減するなど、このまま行ったら社会全体の活力の低下が懸念されるところであります。OECDの予測によれば、下にありますが、2011年に6.7%であった世界のGDPに占める日本のGDPの割合、もともとはその前は10%だったわけですが、それが2011年に6.7、2060年には3.2%へと半減するというふうに予想されております。
 次に2ページ目を御覧になっていただきたいと思います。教育投資及び教育費の現状であります。教育支出の公財政負担割合を学校段階別に見ますと、就学前教育段階ではOECD加盟国の中で最下位であります。高等教育段階では下から四番目になります。公財政負担割合が低いということを裏返すと、教育費負担が私費、特に家計に重くのしかかるという現状があるわけであります。子供二人を大学まで卒業させるために必要な教育費は、小学校、中学校が公立で、残り幼稚園、高校、大学が私学と考えた場合に、約2,600万円になります。時系列で見ますと、子供二人が同時に幼稚園に通っているときに教育費負担の最初の山があります。もう一つの大きな山は、子供二人が同時に大学に通っているときであり、平均可処分所得の約7割が教育費ということになります。この中には下宿等の必要な費用は含まれておりません。ですから、親元以外のところから大学に通う場合には更に負担が大きくなるということで、これは家計にとっても大変な負担であります。右下に各年齢別の一人当たり政府支出を比較したデータが掲載されておりますが、これを見ると、子供・若者に対する政府支出が高齢者に対するものと比べ大変に低いということが分かります。ちょっと見づらいんですが、これで見ますと、80歳、84歳以降104歳まででこの下の表がありますが、これで合わせると年間一人当たり400万、450万、500万近く高齢者の方々に対しては政府支出が掛かっています。一方、二十歳、大学卒業する以前までは150万いってないということであります。
 次に3ページ目を御覧になっていただきたいと思います。なぜ、今教育かでありますが、我が国が抱えている課題、特に少子化の克服、それから格差の改善、また、経済成長・雇用の確保、この三つを解決できる、これは正に教育の充実しかないと考えます。その方向性としては大きく、教育の質の向上と教育費負担の軽減の二つが必要であります。まず、教育の質の向上でありますが、一人一人が持つ可能性(能力)を国内外で最大限伸長させることにより、個々の人生を豊かにするとともに、生産年齢人口が減少する状況の中で教育の質を高め、一人一人の生産性を向上させることで社会全体を一層発展させていくことが必要であります。次に教育費の負担の軽減でありますが、子育ての不安要因として教育費の負担を挙げる人が多いことから、出生率の向上のためには教育費負担の軽減が不可欠であります。また、教育費負担の軽減が教育を受ける機会の拡大に寄与することから、結果的に個々の人生を豊かにするということにもつながってくるわけであります。このように、個人の充実の側面から一人一人の豊かな人生の実現、社会の充実の側面から、成長し続け、安全で安心して暮らせる社会の実現、この二つを実現するためには未来への投資である教育の充実こそ最も重要だと考えます。
 次に4ページを御覧になっていただきたいと思います。教育への投資が未来へとつながる過程を表すフローチャートです。教育の質の向上及び教育費の負担軽減のための投資が、教育を受ける個人のみならず企業や社会全体にとって様々な影響をもたらし、少子化の克服や格差の改善、経済成長や雇用の確保、将来の公的支出の抑制などにつながっていく旨を示しております。このように、教育への投資が少子化をはじめとする我が国が抱える課題の解決につながることがお分かりいただけるのではないかと思います。
 それでは、その効果を個別に説明させていただきます。5ページ目を御覧になっていただきたいと思います。まずは少子化の克服でありますが、国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと、夫婦に尋ねた理想的な子供の数は2.42人でありますが、実際に生まれた子供の数は1.96人にとどまっております。その原因として最も大きいものが、子育てや教育にお金が掛かり過ぎることでありまして、約6割の夫婦が理由として挙げております。その中でも経済的な負担として大きいのが教育費であり、食費や住宅費など他の項目と比較しても、大学や短大・専門学校に係る費用を掲げる人が最も多く、保育園・幼稚園・認定こども園に係る費用も全体の中で三番目になっております。これを踏まえれば、教育投資を充実させることにより子育てに対する不安要因が取り除かれ、1夫婦当たりの子供の出生数が増加するというふうに考えられます。このまま何も対策を講じない場合、2060年総人口は約8,700万でありますが、また、生産年齢人口は約4,400万まで落ち込みます。この右下の表であります。しかし、教育費負担に対する不安が取り除かれることで、1夫婦当たりの出生数が10%程度増加するとともに、少子化のもう一つの原因である未婚化をある程度食い止めると仮定した場合、試算では2060年には総人口を800万人程度、生産年齢人口を500万人程度増加させることが可能と想定されます。
 続いて6ページ目を御覧になっていただきたいと思います。これは格差の改善についてのデータでありますが、左側は親の収入と大学進学率に相関関係があることを示すデータであります。これは親の年収と大学進学率に相関関係がある。特に大学別に見れば、実際に東京大学の学生の親の所得が一番高いということからも、家庭がいかに教育に熱心に投資するかどうかということが、結果的に子供の学力や学歴にも影響しているというデータであります。そして右側には、理想的な学歴と現実の学歴の差がある場合に、その理由を調査したものであり、「家庭に経済的な余裕がないから」と回答した人が2割弱おります。このように家庭の経済状況により進路が制約され、格差が固定化することを防ぐためには、経済的な負担軽減策を一層充実させることが必要であります。ある研究では、年間4万人程度の生徒が経済的理由により高等教育機関への進学を断念しているという結果が示されておりますが、教育費の負担軽減により、こうした生徒を一人でも多く減らし、意欲と能力ある「誰もがチャレンジできる『生涯現役・全員参加型社会』」を実現することが重要であると考えます。
 次に7ページであります。教育投資と経済成長の関係を示しております。経済学の分野では人的資本論という、教育によって生産性の高い人材が創出され、経済成長につながるとともに、結果として高い賃金を獲得することができるという考え方であります。これについて日本での研究は余りありませんが、諸外国では、この左上のところでありますが、これは1960年代のアメリカで行われ、その後40年間にわたり追跡調査が続いている「ペリー就学前計画」の調査であります。これを見ていただくと、これはアメリカのミシガン州において、低所得層アフリカ系アメリカ人3歳児で、初等中等教育をきちんと受ける層と、それから受けていない、幼児教育プログラムへの参加・不参加、その後40年間追跡調査したところ、月収2,000ドル以上、それから持家率あるいは生活保護非受給率というふうに、このように幼児教育を3年間受けたか、受けないかによって、これだけ大きな違いが出てくることがアメリカの調査によって明らかになっているところでございます。また、義務教育段階のものとしては、これは右上でありますが、OECD諸国において知的スキルと経済成長率の間には相関関係があるという結果が示されております。さらに、高等教育に関する研究では、地域において大卒の労働者の割合が高まることにより、その地域全体の生産性が向上し、結果として他の労働者の賃金も上昇するという、左下の表ですが、明らかであります。
 これらを踏まえますと、先ほどの少子化の克服の説明の際に申し上げた労働力人口の増大・拡大に加えまして、教育そのものの効果として、教育を受けた者自身や、その波及効果により他の労働者の生産性が向上することでGDPの拡大に寄与するものと考えられます。日本でも、下の真ん中の表でありますが、労働政策研究・研修機構の2013年のデータでありますが、生涯賃金で高卒と大卒で9,000万円もの差が出てくるということでありまして、逆に言えば、無理をしてでも大学に行かせたい親の気持ちというのは直感的に親も感じているということが、こういう数字からも明らかであります。
 一方、日本の課題としては、OECD諸国と比較して25歳以上の大学進学者の割合が圧倒的に低く、2%程度にすぎません。こうした状況を改善し、社会人の学び直しを進めることも労働生産性を高めることにつながると思いますし、これは女性の活用あるいは高齢者の方々が第二の人生をもう一度、高等教育界に入って学んでスキルアップをして、そして社会で貢献するという場を日本が創ることによって日本の経済発展に資する、逆に言えば、それだけ日本は可能性があるとも言えるのではないかと思います。
 次に8ページ目を御覧になっていただきたいと思います。最終学歴が高いほど貧困率が低く、また、失業率も低いという統計データでございます。こうしたことから、大学卒業者の割合が上昇し、経済的により安定的な生活を送ることができる者が増加することにより、将来の生活保護費、失業給付金等の公的支出が抑制されると考えられます。つまり、教育というのも広い意味での社会保障で、社会保障の先行投資を教育にすることによって、結果的に年を取ってから受ける社会保障費の年金・医療・介護の軽減策にもつながるという考え方であります。
 9ページ目を御覧になっていただきたいと思います。これまでお示ししたように、我が国の置かれた状況は非常に厳しく、このまま手をこまねいていては取り返しのつかない事態に陥りますが、こうした課題の解決に向けて教育が貢献できる部分は非常に大きいと考えます。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には、1964年の前回大会がそうであったように、日本が今後進む方向性を形づくる我が国にとっての大きな転換点となると考えられます。グローバル化が更に進展する中、少子化・高齢化を乗り越え、我が国が世界に肩を並べて成長・発展していくために必要なのは、世代を超えて、全ての人たちで子供・若者を支えることにより、家庭の経済状況や発達障害等を含む発達の状況などにかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供・若者や社会人が質の高い教育を受け、一人一人の能力・可能性を最大限伸ばしてそれぞれの夢にチャレンジできる社会の実現が必要であると考えます。そのためには、2020年までに「家庭状況や発達の状況などにかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供・若者や社会人が質の高い教育を受けることができる社会」を実現することをビジョンとして掲げ、その実現に向けて取り組んでいくことが必要であります。
 現実に必要な教育財源確保に向けては、教育政策や他の政策分野に係る予算の見直しによる捻出が考えられるところであります。しかし、厳しい財政状況や今後見込まれる社会保障費の増加などを踏まえれば、11ページを御覧になっていただきたいと思いますが、11ページはオーストラリアで導入されているような柔軟な所得連動返還型奨学金の導入であります。オーストラリアではHECSという仕組みが1989年に導入されました。これは、連邦政府支援枠の学生に対し、高等教育機関に在籍中に掛かる授業料等を、卒業後の収入に応じて後払いする仕組みがあり、卒業後に収入が一定の金額を超えた場合に税のシステムを通じて徴収される、そういう仕組みでございます。その後、2005年にはFEE-HELPという、大学院生や私立大学の学生に対しても融資できるプログラムが導入されました。オーストラリアの経済成長率が右下にありますが、1990年代以降、他の先進国と比べて高い水準が維持されています。ちなみに、このオーストラリアの大学進学率は96%、これは留学生も20%弱ぐらいは入っているというふうに言われておりますが、それにしても多くの学生が大学に通っているというのは、こういう仕組みによって、お金を掛けなくても将来返済するということでのこういうシステムができたことによる効果が大変高いのではないかと思います。
 また、12ページを御覧になっていただきたいと思いますが、これは、現在、文科省で展開している「トビタテ!留学JAPAN」のように民間資金の活用、あるいは教育資金一括贈与制度のように世代間の資産移転を促す方法も考えていく必要があると思います。さらには、安定的な財源確保策についても検討が必要と考えられます。この民間資金について、この「トビタテ!留学JAPAN」によって文部科学省の――私もいろいろな企業にお願いに行っておりますが、この二、三か月間、各企業で80億円近くファンド協力をしていただきました。これは初めてのことでありまして、国の資金と民間の資金が一緒になって、短期、1年ぐらいがめどですけれども、学生に留学資金を出そうということで、220を超える大学から2,600人以上の応募があって、近々に、残念ながらこれはスタートでそれほどたくさん出せませんので300人程度ですが、その学生には海外に是非チャレンジしてもらいたい。来年は高校生にも広げていきたいと思いますし、また、この下の世代間資産移転の促進は、これは相当活用されているということは報道で御存じのとおりではないかと思います。
 最後に、戻っていただいて10ページのA3の資料を御覧になっていただきたいと思います。
 ここでは、前のページで書かれたグランドデザインをより具体化するためのビジョンについて私の考えを示しております。2020年までのビジョン、それから2030年までのビジョンというふうに分けました。現在、幼児教育の無償化に向けて段階的な取組、また、グローバル人材の育成に向けた取組の充実に最優先に取り組んでいるところでありますが、今後、2020年に向けて順次着手していくべき施策の例を示しております。
 まずは、幼児教育の質向上及び無償化であります。幼児教育の段階的無償化に加えて、質の向上という観点から教員給与の改善や研修の充実等に取り組む必要があると考えます。
 次に、初等中等教育段階における一人一人の子供の能力・可能性の伸長に向けた更なる支援充実であります。少人数教育の推進やグローバル化などにも対応した教員の資質能力向上、ICT教育環境の整備、特別支援教育充実に向けた環境整備に加えまして、個人の能力・適性に応じた学びの保証等を実施する必要があります。
 続いて、高等学校教育に係る一層の家計負担軽減でありますが、高校生等給付型奨学金制度については今年から始めたことでありますが、低所得世帯の私立高校生の授業料の無償化、給付型支援の拡充について、更に充実を図っていく必要があると考えます。
 続いて、高等教育に係る一層の家計負担軽減でありますが、授業料減免の充実や無利子奨学金の拡充、また、オーストラリアのような柔軟な所得連動返済型奨学金制度の導入、さらには、これも新規に大学における給付型の奨学金制度についても検討を進める必要があると考えます。
 続いて、大学等の質・量の充実とガバナンスの確立でありますが、大学の機能別分化の促進、問題解決学習などのアクティブ・ラーニングや双方向の講義への転換、実践的な職業教育体系の充実等を進めるとともに、社会人や留学生なども積極的に受け入れることで、現在の5割程度の大学進学率を、7割程度を目指すということを考えております。
 最後に、グローバル人材の育成については、日本再興戦略でも言われているように、日本人留学生の2020年までの倍増を目指し、意欲と能力ある若者全員に留学の機会を与えるための経済的負担の軽減を一層進めるとともに、優秀な外国人留学生を呼び込む仕組みを戦略的に構築する必要があると考えます。
 こうした取組を一層加速することにより、2030年には誰もがいつでも希望する質の高い教育を受けられる生涯学習社会を実現してまいりたいという思いがあります。
 これらの施策を全て実施するためには、年4兆円から5兆円程度の追加投資が2020年頃には必要になってまいりますが、しかし、長期的な視点で見れば、経済的・社会的な効果を生み出すことは可能ではないかと思います。具体的には、先ほど申し上げましたように、教育投資により労働生産性が向上し、また、労働力人口の減少にも一定の歯止めが掛けられます。長期的視点で見れば、これは仮定による粗い試算ではありますが、2060年段階でGDPを単年で70兆円程度は押し上げる効果があるのではないかと予想しております。これに加えまして、生活保護費等の将来の公的支出も抑制されると見込まれます。ただし、これはあくまでも仮定の数字でありまして、教育がもたらす経済的効果、これは公共事業と違って、乗数効果というのはすぐぱっと出るものではなく、30年、40年掛けないとなかなか分析できない。一方で個人差もあるということから経済学的に単純に出せる数字ではありませんが、しかし、昨年暮れから経済学者の先生方と一緒に研究してきた結果、投資対効果で言えば、公共事業等と比べるとはるかに教育の方が乗数効果が高いということでありますが、これを学問的に分析しながら説得力を持ったものに作っていく必要があるのではないかと思います。いずれにしても、2020年、所要額4兆円から5兆円、これは今、文部科学省のトータルの省の予算として5兆円ちょっとですから、倍にするということで相当大変な話であるわけでありますが、しかし、こういう投資をすれば、それ以上に国全体が豊かな国にもなっていくという意味で、正に教育は未来に対する先行投資と、こういう位置付けを考えていく必要があるのではないかと思います。
 教育再生に向けたビジョンを実現するためには、教育的な効果だけでなく、経済的効果あるいは社会的な効果をもたらすということにもなってくると思いますので、必要な財源確保策を検討する際にこうした教育面以外の効果も念頭に置く必要があると考えます。
 私の説明は以上でございます。教育は人々の多様な個性・能力を開花させ、人生を豊かにするとともに、社会全体に一層の発展を実現する基盤となるものであると考えます。少子化・高齢化・グローバル化など、現在、我が国が直面する様々な危機に対し、教育に対する投資を充実させ、教育再生を実行していくことこそ、これを乗り越え、そして我が国を新たな時代へ導くものであると確信をしております。是非とも先生方、委員の皆様におかれましては、子供たち、若者たちの未来のため、そして日本の未来のため、今後ともお力添えを頂ければ有り難いと思います。
 あとは有意義な意見交換、限られた時間でありますが、させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございます。

【安西会長】
 ありがとうございました。大変力強いメッセージを頂いたと思いますが、これから4時30分ぐらいまでは時間をとれると思います。下村大臣にもお聞きいただいて、皆様から御自由に御発言を頂きたい。今の教育投資、また、その効果、財源等の問題につきましてももちろん結構でございますので、是非御発言いただければと思います。後でまとめて下村大臣にお答えいただくようにしたいと思います。
 それでは、橋本委員、どうぞ。

【橋本(昌)委員】
 ありがとうございます。大臣、御苦労様でございました。
 一、二点申し上げたいのですけれども、日本の未来のために教育投資が一番大事だというのは私も大賛成であります。そういう中で、少子化の関係で5ページをちょっと見ていただきますと、教育別生涯未婚率というのが、大学・大学院卒の方が未婚率が少なくなっています。女性については高学歴化で未婚率が高くなっているということを言われていますので、この同じ資料を見まして、女性を見たら小・中卒を除きますと、やはり大学・大学院、高学歴になればなるほど未婚率は増えているのですね。ですから、これが何なのか。例えば女性のこの間の内閣府の調査でも、女性が結婚しない理由として、「独身の自由さや気楽さを失いたくない」というのが一番大きな理由になっているのですけれども、そういう中で、今、なかなか世代をつなぐという発想が生まれてない、持ってない。ですから、道徳というものについて是非もっと本格的に取り組んでいただけないだろうかということが一つです。
 それからもう一つは、高学歴化の話が先ほど来出ておりますが、労働力の確保という面でいいますと、例えば2年間学ぶ法科大学院が作られました。そうすると、40年勤めるとして2年とられると5%労働力が減ってしまうのですね。ですから、高学歴化は私も反対はいたしません。しかし、どうやって労働力を確保するかとかいろいろなことを考えると、今の幼児教育の年齢というもの、今、子供の人格形成というのはせいぜい小学校低学年までにできてしまうと言われていますので、もう一、二歳下げることができるのかどうか。今、4・3・2制とかいう話が議論されているようでありますけれども、それをもうちょっと前倒ししていったらどうだろうかと。そうすれば、教育、高学歴でも比較的早い時期に一、二年早く終わりますし、労働力人口の確保という点でも違ってくるのではないかということで、この二つを参考意見として申し上げたいと思います。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 それでは、北山委員お願いします。

【北山副会長】
 大臣、力強いメッセージを頂きありがとうございます。こういった財源の問題は従来から指摘されてきたところであります。後ほど、文科省の方から説明があると思いますが、先日、学校教育法と国立大学法人法が成立した際にも、GDPに占める高等教育への公的財政支出の比率が低いので、高等教育に係る全体の予算の拡充に努めること、という内容の附帯決議が、衆議院、参議院の両方で付されました。我が国の財政状況がこれだけ厳しい中で、これにどの程度実現可能性があるのか、という点に関してコメントいただければと思います。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 それでは、後でまとめてお答えいただくようにいたしますが、生重委員、それから相原委員、菊川委員、吉田委員、篠原委員、それから橋本委員、それから長尾委員、お願いします。

【生重委員】
 ありがとうございました。このプランには全て賛同でございます。是非確実な実現をしていただければなと思うのと同時に、私、先週、岩手県に1週間おりまして、今、女子の体力がものすごく落ちているのですね。これは全国的な傾向としてもそうなのですが、オリンピックが決まりまして、競技スポーツというところが着目されますが、何よりも基礎的な体力が身に付かない限り、本来の学力というところに行かないのではないかというふうに考えております。長期ビジョンで体力向上ということも是非視野に入れていただきたいということと同時に、被災地の方は今、いずれ切られるであろうと戦々恐々としながら、それでも被災の現状がそれぞれの地において全然違いますので、是非きめ細やかに、被災されたまちの子供たちの学力・体力向上のためのそういう資金的なものも予算化していただくということを長期で考えていただきたいなというふうに思っております。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 相原委員お願いします。

【相原委員】
 大臣、重要な機会を頂き、ありがとうございます。
 2点申し上げたいと思います。1点目は、一般的に教育というと、経済や社会、産業構造の変化を受け止める側面から議論がスタートしがちです。しかし、先ほど力強い御発言があったとおり、教育を起点として上流に遡り、経済、社会、産業構造や働く人の幸せをそこから生み出そうという考え方や発想の転換は大変力強いものがあり、大きく賛同します。そのようなことに対する理解者をたくさん増やしていくと、この運動自体にも意味があるということを申し上げたいと思います。
 2点目ですが、人口減少や少子化についても、大臣は触れられました。現在は、人手不足という足元の問題もあるのですが、東京の一極集中の弊害を排除しながら、どうやって日本全体で成長していくのかが一つのポイントになっているとも思います。その上で、地方で学校を卒業し、その地方において目の前に職があり、一生豊かに過ごせるということ自体の価値観も大変重要なことです。また、グローバルに羽ばたいていった方が地域に戻ってきて、そこで新たな起業をしてもらうということも大切です。ガレージから何か生み出していくことによるつなぎを考えていくことも大変大事だと思っており、特色ある大学づくりなども進んでいるように聞いていますので、思い切った政策実行をお願いしたいと考えております。
 以上です。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 菊川委員、お願いします。

【菊川委員】
 少子化に関連してなのですが、おっしゃるように経済的なことも非常に大きいと思うのですが、産むのは女性ですので、やはり産もうという女性の意欲をどう育てていくかということも大事だと思っております。「女子学生は幻の赤ちゃんを抱いて就活をする」という言葉があるのですけれども、女子学生さんに幸せになってもらいたいと思って、去年から九州大学の中で女子学生に対してロールモデルを示して、キャリアと生活と両方、こんなふうにしたらうまくやっていけるのではというワークショップを開いております。それから、高校にも同様の出前をやっているのですが、非常に反応がいいです。学校教育は知育が中心となりますので、家庭科の中とか、あるいはキャリア教育の中でそこまで配慮するのは難しいかもしれませんが、現実には男女共同参画の視点に立つといいますか、女性の将来の生活に配慮したそういうキャリア教育というのはとても有効で、若い人の幸せにつながると思っております。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 吉田委員お願いします。

【吉田委員】
 ありがとうございます。大臣、貴重なお話ありがとうございました。本日の御説明で大変うれしかった部分もありますが、一つ御質問をさせていただきたいのですが、10ページの今日のグランドデザインのところで、5ページの資料や先ほどのお話にもあったのですが、教育に係る家計負担の軽減をすることというのは非常に大きいと。特に学校教育費というのが親にとって経済的な負担になっていると。この10ページのグランドデザインの中で、幼児教育の質の向上・無償化、そして高等学校教育に係る一層の家計負担の軽減というのはあるわけですが、義務教育である小・中学校、そこの私立学校生に対する支援というものはお考えいただけないものなのかどうなのか。やはり親が将来的に考えて学校選択の自由というものを考えたときに、そこの部分も助けていただければというふうに思って御質問させていただきたいと思います。
 それからもう1点、今ちょうど菊川委員からお話があったので、あえてさせていただきますが、実は私どもは女子校です。そういう中で、実は卒業前に高校3年生の生徒と父兄に私は毎年お願いしていることがあります。それは、一人でも多くの生徒に一人でも多くの子供を産んでくれと。そして、それもできれば女の子を産んでくれと。それはうちの学校に入れてねということだよって冗談げに言うわけですが、そうではなく、やはり子供を産める環境づくりを実は親も一緒にお願いしたいということをそこでお願いしています。やはり学校教育においてそういうことも大切ではないかと思って、一言だけ言わせていただきました。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 篠原委員、お願いします。これから手短にお願いします。あと、長尾委員の後、尾上委員、帯野委員、大島委員、北城委員、五十嵐委員。
 それでは、篠原委員、お願いします。

【篠原委員】
 私はちょっといつも長めなので、申し訳ございません。安西会長、それ心配されているのだと思うのですけど。大体今、橋本委員や菊川委員や吉田委員からも意見が出たので、短く言いますが、やはり今の日本の社会が抱えている最大の問題は少子化と人口減少の問題だと私は思っているのですね。それを食い止めるために教育の公的支出がこれだけ役に立つのだということの流れは、非常に説得力あると思うのです。これは是非今後とも推し進めていただきたい。一方で、今、何人かの委員から御指摘がございましたが、結婚・出産という問題を考えると、やはり意識改革がないとなかなか、支出を増やしたからどうだこうだというだけでは、それは去年の内閣府の意識調査でなぜ結婚しないのかというと、50%以上の女性が「自由を失いたくない」という、こういう回答をしているという状況の中ではやはりおのずと限度が出てくると思うのですよ。そういう意味で、教育の中で、やはり自由には責任が伴うのだと。戦後教育の中で責任というところが今まで非常に弱かったと思うのですが、そういう教育の――道徳教育かもしれませんが、押さえもしっかりやって、やはりそういう価値をみんなに共有してもらうような、教育の流れも作っていかないと、公的支出だけではなかなか少子化・人口減少は止まらないのではないかなというのが私の考えです。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 橋本委員お願いします。

【橋本(都)委員】
 ありがとうございます。地方にいる者から見ますと、初中教育段階まではどこにいても本当に子供たちがしっかり教育を受けられているということで、やはり日本の底力を作っているのだなというふうに思っておりますので、大変充実していただけることを感謝申し上げます。
 しかしながら、高校を卒業した後、さて、働くということになりますと、相原委員がおっしゃったように、結局、雇用の場がないので大都市圏へ出てしまう。また、大学へ行きたいと思っても、ほとんど選択肢がないということで、やはり目指すには大きいまちへ行きたい。そうなると、都市の方にはとても想像ができないぐらい生活費が掛かるわけであります。ドイツのデュアルシステムのようなことが日本でも行われるためには、やはりそれぞれの地方でも雇用の場と大学教育もそれぞれできるような、そういうような核というか、まちづくりというか、産業と教育が一体になったような、そういう将来の姿というものをほかの省庁の方々と少し是非論議されて御研究いただければ、大変地方としては有り難いと思っております。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 長尾委員お願いします。

【長尾委員】
 今、橋本委員がおっしゃったことと同じようなことになるのですが、学費というのは本当に高等教育を受けている子たちに対して過重になっている、これはもう言及してくださっているのですが、オーストラリアのHELP(ハイアー・エデュケーション・ローン・プログラム)をここに書いてくださっております。日本の場合に、JASSOでローンがありますけれども、結局、それを受けると6万円ほど毎月借りられるのですが、4年間で350万ぐらい借金を抱えて卒業するという形になってきます。これが貸与の形であると、自己破産を生んでしまうような状況で卒業していくという現状であります。その次の12ページのところで書いてくださっていますように、町とか地域とか企業とか、地域活性目的も含めて、公のところが学費を支援するような形で税法改革とか、ここに書いてあります法人寄附の全額損金算入等のような制度をもっと拡大していただけたらというふうに願っております。どうぞよろしくお願いします。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 すみませんが、手短にお願いできればと。尾上委員にお願いします。

【尾上委員】
 先日、保護者同士、先生方と一緒に話す機会があったのですが、やはり保護者の意識はすごく高いなというふうに感じさせていただきました。初等中等教育期の学びの大切さということを本当に認識しておりまして、教育費ということより、やはり学校の週六日制とかを含めた学び方、関わり方をということを大切に思うと、しっかりと家庭の教育力の向上も含めバックアップしていくということを考えながら、共に学校と考えていきたい、やっていきたいという意識を持っている人がたくさんいたので、是非ともそういう関わり方の仕方をやっていきたいなと思っております。よろしくお願いします。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 帯野委員お願いします。

【帯野委員】
 手短に申し上げます。まず、女性の未婚率の解消に道徳教育をという御意見がございました。それには異論がありますが、ポイントとしては私も賛成であります。と申しますのは、この「日本再生の実現に向けて」の中で一つ抜けているところとしては地域格差で、先頃、日本創成会議から、このままでは500近い自治体が消滅するという衝撃の報告が出ました。しかし、その中で結論とか解消する方法は述べられていなかったと思います。解決としては、各地方がいかに子育てしやすい環境を作るかぐらいに尽きると思うのですが、高学歴の女性、専門性を持った女性は、幾ら子育て環境がよくても地方には帰ってきません。やはり自分の力を試せる東京・首都圏に集中するということであると思います。これまで余り語られてきませんでしたが、高学歴の女性の東京一極集中は甚だしいものがあります。日本の地方は余りにも女性の雇用を作ってこなかった。そういう意味で、是非学習の機会とともに地方にも雇用の機会を、この両立てでこれからの施策を考えていきたいと思います。それからもう一つ、高学歴の女性の地域定着率みたいなデータも少しどこかにあってよいのかなと思いますので、その点も重ねてお願いしたいと思います。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 あと、大島委員、北城委員、五十嵐委員、櫻井委員までにさせていただきます。大島委員お願いします。

【大島委員】
 ありがとうございます。2点、手短に。
 1点目は経済的なことで、やはり外部資金ですね、今まで寄附金などを活用していくということでいろいろ呼び掛けをしているにもかかわらず、なかなかそれが改善されていないということがありますので、寄附金をはじめとした外部資金を何らかの形で教育の中に入れていくということを更に推し進めていただきたいということが1点目です。
 2点目ですが、現在の教員である、小・中・高と大学も含めて、皆さん忙しいという状況です。なかなか本来の仕事である教育に時間を割けないという現状がございます。したがって、やはり教育を充実化できる教員のためのシステムを充実化して、効率化していくということも是非検討していただきたいと思います。
 以上です。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 北城委員お願いします。

【北城委員】
 高等教育にお金が掛かるという問題ですが、国にお金はなかなかないので、一つは卒業生の寄附の拡大を図るべきではないかと思います。アメリカの大学の寄附では、卒業生からの寄附が最も多いので、一つは、まず国立大学に対する寄附は私学と同じように全額控除も認めて、まず母校を支援するということです。
 二番目は、アメリカの大学では基金を創って、それをかなり積極的に運用して大学運営の支援をしていますので、日本でもリスク管理体制を作った上でもう少し積極運営を国立・私学ともにやるべきではないかと思います。
 3点目は、日本では大学ランキングで100位以内に10校といいますけれども、アメリカとかヨーロッパで大学ランキングというものは余りなくて、どちらかというと学部はどこがいいかということを評価しています。日本もこれからは大学というよりも、その学部や学科の評価も検討する必要があるのではないかということです。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 五十嵐委員お願いします。

【五十嵐委員】
 ありがとうございます。大臣、ありがとうございました。これからの少子高齢化の厳しい時代を担っていく人材育成こそ、教育の再生で最も大事だなということを痛感しました。先ほど話題になったのですが、入試が変わるということはすばらしいことだと思います。これからの時代に必要な能力を測るということでの入試改革、これがもう高等学校、中学校、小学校とどんどんと降りていきます。既に小学校ではいろいろな学び方を工夫しているのですが、「入試があるから」と言い訳の下になかなか変わらないところもありましたので、このことに期待したいと思っています。そのためには入試が変わるだけでは駄目で、ちょっと懸念しているのが、これからの時代は測る入試に変わったとしても、またそれにテクニック的なものが出てしまっては困ると思うのです。実際に高等教育の中身そのものが変わるようにするためには、やはりその教育を担う教師の、これからの時代に必要な子供を育てる学び方を支援できる、そういう教員に育てなければいけないと思うのです。ここは大きな改革だと思っていますので、これからふさわしい学びを支援できる教員養成の在り方というのが今まで以上に大事になることが大きいと思います。
 それが一つと、もう一つは、その子供の学びの環境を支える環境は本当に大事だと思います。子供の主体的な学びを支える学校環境、いまだにずっと古いままの校舎であったり、ICT環境が全然なかったりというところもありますので、主体的な学びを支える環境も併せて是非力を頂ければと思っています。よろしくお願いいたします。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 それでは、櫻井委員お願いします。

【櫻井委員】
 全く異なる問題を二つお願いしたいと思います。
 大臣が御説明なさった教育予算を大幅に増やすことは大賛成でありますが、日本国の現在の財政状況の中でどのくらいできるかと考えれば、これは当然民間の資金を入れていくことが大事です。私、実は公益財団法人の理事長をしておりまして、多くの方々から御寄附を頂いています。寄附を頂いたときにいろいろな指導がございます。その基本は、1年間の事業予算をその年のうちに使ってしまいなさいということです。私どもは役員以下全員無給で働いているのです。少しでもお金を残して、よい目的のために使おうと思うからですが、私どものようなシンクタンクは何億円もの予算を一度に使い切るなんていうことは、これは不可能なのですね。にも関わらず、余ったら罰せられるというか、税金を掛けられるということです。ですから、この寄附金を民間から国立大学、国立・公立の学校、それから私学にも大幅に入れることができるような税制を作り、その活用法についてはもっと柔軟にさせる税制を考えていただきたいと思います。今の寄附税制は前よりは良くなりましたが、それでもこのままでは、全然駄目だと申し上げたいと思います。これは文科省だけの責任ではなくて、財務省、そのほかの省庁の責任ですが、是非日本国政府として総合的な政策を作っていただきたいと思います。
 もう一つは、少子高齢化に関する問題です。文科省と財務省の考え方が全く違うのではないかと思うのですね。例えば財務省の税制によりますと、主婦として子供を一生懸命育てていく人々への税の控除をなくして、みんな働くようにしましょうという。ですが、この場で散々議論したのは、教育は家庭から始まるということでした。とりわけ幼児はお母さんの下で愛情を注がれて育つのが、少なくとも2年間ぐらいはとても大事なのだということを議論してきました。育児をする母親をどう守るかという問題と、能力ある女性、キャリア志向の女性をどう守るかという問題の両方を考えなければなりません。キャリア志向をできるような社会を創らなければならない。自分の能力開発や自由のために子供を産まないという若い女性が圧倒的に増える中、前述の二つの目的を両立させるようにするには、子供を生んで1年、2年なり子育てをして、確実に社会に復帰できる仕組みを作ることです。その重要性は、これは安倍内閣も指摘をしているわけですが、ここのところの具体的な施策というのがどうも見えてこない。この点に力を入れていただければ、能力のある女性が仕事をしつつも、しかも子供を産んで育てるということが可能なのではないか。
 そしてもう一つ、家庭において子供を育てることに喜びを見いだす女性たちに対しても、そのような人生の道が選べるような税制というものを考えていただけたらと思います。
 以上です。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 皆様から大変貴重な御意見を頂いてまいりましたけれども、まとめて下村大臣に是非御発言を頂ければと思います。

【下村大臣】
 たくさんの方々からいろいろと御質問あるいは御提言、御意見を頂きまして、本当にありがとうございます。全部丁寧にお答えしたいのですが、限られた時間でありますので、ちょっとポイントだけ絞ってお話をさせていただければと思います。
 まず橋本委員からのお話でありますが、道徳については、これは是非知事としてお願いしたいのですが、4月に「私たちの道徳」という教材を文部科学省として「心のノート」の全面改訂版を作って、前よりは相当いい教材になったのではないかと思うのですが、これは是非家に持ち帰ってもらって、親御さんにも是非読んでもらいたいということでお願いをしたのですが、民間新聞社が調べたら、9割が持ち帰っていないということが分かりまして、再度、今、お願いをしているのですね。しかし、実際のところ、多分半分もまだ持ち帰っていないと思います。それは教育委員会がそうしているところもあるし、校長で止まっているところもあるし、担任が止めているところもあるのですね。つまり、それだけ教育現場というのは道徳ということに対して、別に日教組が強いからそうだということではなくて、強くないところであっても、「何か文科省から言われたって、そのとおりやるか、やらないかは俺たちの判断だ」みたいなところはやはりあるのですね。本当はそれ、使ってもらいたいのですが、ただ、知事のところもそうだと思いますが、自治体によっては独自に副読本を作ったりしているところもあります。ですから、何種類かの中からうまく活用してもらいたいと思いますが、せっかく10億円以上掛けて作った教材ですから、全く無視されても困るので、やはり活用は是非考えていただきたいと思うのですが、そのためには特別の教科化等、これは中教審で議論していただきながら、きちんとやはり教科書としてどう使うかということは今後の道徳における課題ではないかと思いますが、ほかの自治体でも、「私たちの道徳」については、つまり全ての家庭で少なくとも持ち帰ってもらいたいということについては是非徹底をお願い申し上げたいと思います。
 それから、近々に教育再生実行会議の方で取りまとめますが、義務教育の前倒しといいますか、5歳児から義務教育ができるような提案が出ます。ただ、これは既存の幼稚園とか保育所等でも対応できるということが前提でありますが、これは前倒しというようなことですね。5歳から、とりあえず今の案は一応15歳までということでありますが、義務教育期間を1年延長するということと、それから無償期間も延長すると。3・4・5歳児の義務教育前倒しといいますか、延長すれば3・4歳の無償化、それから高校以降についても更に無償化に向けた軽減策を図るということを教育再生実行会議で提言として取りまとめ、近々に発表される予定であります。
 それから、附帯決議の実現の可能性がありましたが、文部科学省としては是非実現をしたいと思っておりますが、今の構造では未来永劫(みらいえいごう)不可能な話なのですね。これは財務省がノーと。つまり、「財源問題としてお金がないのに、何考えているのだ」と言われたら、そこで止まってしまうところがございます。赤字国債を発行してまで高等教育における公財政支出のGDP比をOECD並みの0.7を1.4%にするということはなかなか難しい話ですので、やはりこれは国民的な議論の中で新たに、じゃあ、そのための財源をどうするのかということで、財源論で国民の皆さんに納得・理解をしていただけるようなことを自ら捻出しながら、政府として決定していくということをしていかなければ、文部科学省と財務省の関係では永遠にこれはもう不可能に近いような状況だということについて、ちょっと申し上げたいと思います。
 それから、特に中学生の女の子の体力が落ちているというのはそのとおりで、25%は1週間のうち運動時間がゼロということなのですね。特に被災地ではそういういろいろなマイナス要因も重なって、運動不足になっているということがあります。2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツ庁を設置する予定ですが、これは文部科学省の外局として位置付けられると思います。トップアスリートだけでなく、全ての国民がスポーツに興じることができるような、そして健康年齢と平均年齢が一致するような、そういう国民的なスポーツ環境を作っていくことによって、大人も子供もお年寄りもスポーツによる健全で健康的な生活ができるような環境作りを、スポーツ庁の設置とともに是非考えていきたいと思います。
 それからあとは、地域・地方の活性化という話もいろいろな方々からたくさん出ました。そのとおりだと思います。私はオリンピック・パラリンピックの担当大臣でもありますので、是非進めたいと思っていて、なおかつ、もう来年ぐらいからしたいと思っているのですが、競技は東京でやるわけです。これは開催都市は東京ですから。しかし、同時に、文化・スポーツとして、世界中の方々に日本の文化・芸術にスポーツだけでなく触れてもらうような、それは東京だけでなく日本全国にその受皿を作って、そして世界中の方々に来ていただくような、そういう仕組みを作っていきたいと。昨年1年間で外国人観光客は1,000万人を超えましたが、2020年には2,000万人、2030年には3,000万人にするというのが政府の基本的な考え方で、それは東京だけが増えるということではなくて、全国どこでも外国人観光客が例えば3,000万人来るということは、そこにおける観光産業を含めた産業構造が大きく変わると。つまり、地域でも地方でも生活していけるような、そういう新産業、教育の部分においてもそういう地域活性化につなげた、やはりいい学校があることによって、その地域に人が集まる、活性化するという部分もありますが、そういう2020年のオリンピック・パラリンピックに合わせた文化・芸術という視点から地域活性化につなげていける、そういう施策について是非進めていきたいと考えております。
 それから、女性問題もたくさん出ました。おっしゃるとおりだというふうに思っております。女性が輝く時代ということであれば、やはり今のままでは厳しいということだと思います。社会人の学び直し、女性が出産した後、もう一度学び直しができるような受皿を社会全体としてどう作るか。それから、これはやはり日本のタブーも変えていく必要があると思うのですが、例えば大学生ぐらいから結婚して子供を作っても周りがフォローできるような、若くして結婚できるような環境作りをしていかないと、なかなか少子化対策が実際につながらない部分があると思います。本当は三世代住宅でおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に孫を育ててもらうような環境が、そしてお母さんは子供が2歳、3歳になるぐらいまでは子育てできるような環境ができることがベストでありますが、それはそれでそういうこともバックアップしなければならないと思いますが、同時に、やはり女性が社会へ出ても出産もできるし、それから子育てもできるような、周りのフォローアップをどう考えていくかということを日本全体で作っていかなければ、掛け声だけで実際は出生率を改善するとか女性が働けるような環境作りというのは難しいと思いますし、是非これはそういう働き掛けをしてまいりたいというふうに思います。
 それからあとは、吉田委員から要望が出ましたが、私立学校における、特に小・中における無償化に近い部分ということでいえば、やはり義務教育ですから、私は今までの機関補助を個人補助へシフトしながら、これは前から先生に申し上げていますけど、バウチャー制度的な部分も取り入れながら、子供が、つまりその機関だけでなく、これ、全部にするわけではありませんが、教育機関としての補助も必要だと思いますが、一方で、一人一人の生徒の立場や子供の立場に立った教育補助はどうなのかというバランスを作ることによって、私学に通っている義務教育期間の子供であっても十分配慮されるというようなことを是非考えていくことによって、教育の多様化がこれから図られるのではないかと思います。
 それから、奨学金関係の問題も出ました。教育における日本は奨学金というよりは学生ローンだと思うのですね。実際はほとんど有利子の場合の方が多いわけですし、それから返済しなければいけない。ところが、なかなか返済できなくて、借金を抱えて、事実上もう破産せざるを得ないと。その奨学金というか、学生ローンによってですね。そういうことも出始めている中で、この学生ローンを是非実質の奨学金に変えていくと。まず有利子から無利子の奨学金に変えていく。それから、オーストラリア型のような所得連動型で自分の収入によって返済額も決めていけるとか、そもそも給付型の奨学金とか、こういうことを組み合わせることによって、お金を借りても、そのことによって破産することがないような、将来設計ができる仕組みを作ることによってチャレンジできると。大学にも行けると。あるいは留学することもできると。こういう仕組みを作ることが大切ではないかというふうに思います。
 それからあわせて、税額控除等の問題も出ました。また、寄附金の在り方についても、確かに寄附金文化ということをこれから促進させていくことが教育財源の確保の中でも重要な部分だというふうに思いますし、今回の留学ファンドについても、これは文部科学省がやるということで、今まで対象でなかったものを財務省が税額控除として枠として認めた。そして、スタートしたという部分がありますが、それ以外のNPOであっても、あるいはいろいろな教育機関においても、この寄附金、それから税額の在り方について、より多くの国民の方々が協力してもらって、そしてそれぞれの団体が成り立っていけるよう、そのことについて文部科学省もしっかりと検討しながら提案をしてまいりたいというふうに思います。
 あとは、教員の多忙感とか教員の養成、ありますね。おっしゃるとおりだと思います。最近のOECDの調査であっても、日本の教員は世界で一番多忙感がある。しかし、実際、授業に向かっている時間は決してそれほど多くはない。つまり、それ以外の時間がものすごく多いのですね。ですから、今後、教員の数を増やすということも重要ですし、一方で、本来の教員は、子供・生徒に向かう時間を優先して、それ以外の授業といいますか、それ以外の作業・仕事をできるだけほかの人に配分するなり、あるいは専門的な部分をたくさん入れることによって、より教員が子供に向かう時間がとれるような、とりあえずスクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーとか、そういう部分を増やすようにしておりますが、そういう専門的な部分を増やしながら、教員が本来の子供と向き合えるような環境作りをしていくということを、今、文部科学省の方でも進めているところでございます。
 あといろいろありますが、ちょっと時間がもう来てしまいましたので、しっかりテイクノートはさせていただきましたので、反映できるように頑張りたいと思いますし、また、中教審の委員の皆様方、大変に発信力の高い方々ばかりでございますから――やはりこれは国民的な理解が必要だと思うのですね。国民的な理解によって、つまり財源論でありますから。この間も、OECDの非公式大臣会合があって、私はやはりプレゼンテーションをしたのですね。そうしたら、特に北欧の大臣から、「そんなの簡単ではないか。消費税上げればいいではないか。日本は8%だ。我々のところは20%から25%だ。消費税を上げたら、こんな問題すぐ解決できる」と言われましたが、「そんな簡単ではありません」と。消費税、この秋に10%に上げることだって実際できるかどうか難しい中で、更に教育費というか、少子化対策として、消費税1%で2.5兆円ぐらいですから、2%上げれば2020年の先ほどの4兆円とか5兆円がすぐカバーできるのですが、そんな簡単な話ではありませんが、「だから北欧は教育が全部無料なのだ」というふうに言っていましたが、コンセンサス作りをしっかり先頭に立っていきたいと思いますが、是非ムーブメントを作っていただきますようにお願い申し上げたいと思います。
 ありがとうございます。

【安西会長】
 下村大臣、ありがとうございました。大変貴重なお話、また御意見も頂きまして、是非これからにつなげていただければと思いますし、中教審委員の皆様にも今後ともよろしくお願いをいたします。特に家庭の経済状況、また、発達の状況にかかわらず、それぞれの夢にチャレンジできるようなそういう社会にしていく、そういう教育にしていきたいということをおっしゃっておられまして、これは本当にこれからの日本にとって大事な大事なことだというふうに改めて認識いたします。是非、下村大臣には教育のこれからをリードしていただければというふうに思います。ありがとうございました。

【下村大臣】
 ありがとうございました。

(下村大臣退席)

【安西会長】
 それでは続けさせていただきます。貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。改めてお礼を申し上げます。中教審といたしましても、ただいまの御意見につきましては今後とも是非そういうことを基にして審議も進めていければというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは次に、生涯学習分科会の下にあります今後の放課後等の教育支援の在り方に関するワーキンググループにおきまして、議論の取りまとめがなされたところであります。明石ワーキンググループ長から御報告を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【明石委員】
 勘どころだけを申し上げたいと思います。私たちワーキンググループは、このたび「子供たちの豊かな学びのための放課後・土曜日の教育環境づくり」、サブテーマ「“あったらいいな”を形にする夢の教育」として取りまとめたので、概要を御報告させていただきます。
 3月に、土曜日の活用を中心とした中間取りまとめをまとめました。そこで、本ワーキンググループでは、放課後や土曜日は、学校教育だけでは実現しにくい実社会・実生活のつながり等を体験的・探求的に学習できる機会を充実していくという観点から、新たな方策について検討してまいりました。その結果、今後の放課後・土曜日の教育活動の基本的方向性を次の5点に整理いたしました。資料4-1を御覧ください。
 まず一番目、「学校と放課後・土曜日等の学びがつながる仕組みづくりの推進」でございます。二番目は、「教育と福祉の連携促進による放課後等の支援の充実」でございます。三番目は、「多様な主体の参画による土曜日の教育活動の推進」であります。四番目が、「実社会につながる『土曜日ならでは』の多様なプログラムの充実」でございます。五番目が、「持続可能な体制づくりの推進と全国の取組の活性化」でございます。
 では、次の2ページを御覧ください。具体的な方策として、放課後等の教育の充実方策においては、特に安倍政権の重要課題でもあります女性の活躍促進に向けた教育と福祉の連携促進による放課後等の支援の充実として、次の五つのポイントを挙げております。
 まず注目されるのは、放課後子供教室と放課後児童クラブの一体的実施の推進であります。二番目に、そのために学校施設の活用促進、首長と教育委員会が十分に協議して放課後対策を進める体制づくりであります。三番目に、共稼ぎか否かにかかわらず、全ての子供たちを対象とした多様な学習体験プログラムの充実であります。四番目は、これ、新しい視点ですけれども、中高校生も対象とした放課後等の支援の充実も考えております。五番目が、コーディネーターの全国的なネットワークづくりや研修の充実でございます。
 次の3ページを御覧ください。土曜日の豊かな教育環境の実現方策として、特に土曜日は、日頃参加が難しい現役の社会人も含め、地域や保護者、企業等の多様な人材の参画が可能なことから、1、「多様な主体が土曜日の教育活動に参加できる仕組みづくり」でございます。二番目は、「学校と地域・企業・大学等をつなぐコーディネート機能の充実」でございます。3は、地域や企業等の協力を得て、実社会の経験を踏まえたプログラムなど、「『土曜日ならでは』の多様なプログラムづくり」でございます。こうしたことを提言しております。
 本ワーキンググループでは、放課後や土曜日における新たな試みの中から、改めて子供たちにとって必要な学習や、学校・家庭・地域の連携・協働の在り方が検討され、将来的に学校教育の在り方にも生かされていく好循環を期待しております。各地域が今後取り組んでいく際のヒントになるように取りまとめました。文部科学省におかれましては、この提言を踏まえた豊かな土曜日・放課後等の実現に向けて取り組んでいただければと思っております。
 以上であります。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 特に何か御質問ありますでしょうか。それでは、次に行かせていただきます。明石座長をはじめワーキンググループの皆様、誠にありがとうございました。
 次に、中教審でも審議を行いましたが、地方教育行政、それから大学のガバナンスに関しまして法律が成立しております。事務局から報告をお願いしたいと思います。
 まず、初等中等教育局長にお願いいたします。

【前川初等中等教育局長】
 本年6月13日に地方教育行政法の一部改正の法律が成立いたしました。資料は5-1と5-2でございます。
 昨年12月に中教審におきまして今後の地方教育行政の在り方について答申をまとめていただきました。その際には、首長の意向を教育行政により反映させるということに重きを置いた改革案、いわゆるA案が示されたわけでございますが、あわせまして、教育委員会による教育の政治的中立性・継続性・安定性の確保という観点により一層留意した別案、いわゆるB案も示されていたわけでございます。
 この答申を受けまして、法律改正案をまとめるに当たりまして、これは政府・与党が一体となって提出するという必要があったわけでございますが、改めて与党で協議をすることになったわけでございます。まず、自民党の文部科学部会の下に渡海紀三朗先生を委員長とする小委員会が設けられまして、2月に教育委員会制度の改革について自民党の中の案がまとめられました。さらに、同じく渡海紀三朗先生を座長といたしまして自民党・公明党のワーキングチームが設けられまして、3月13日でございますが、教育委員会制度改革に関する与党合意というものが取りまとめられたわけでございます。
 これを踏まえましてこの改正案が国会に提出されたわけでございますが、今回の改正につきましては、総合教育会議の設置でありますとか、また、教育行政の大綱を首長が策定するというような仕組みづくりを通じまして、首長が教育行政に連帯して責任を負うという体制が構築されるという点では、中教審の答申にございますいわゆるA案の方向性を取り入れていると。それと同時に、教育の政治的中立性の確保等の観点から教育委員会を執行機関として残すという点におきましては、B案の方向性も取り入れているということでございまして、両者のバランスをとった形の内容になっているというふうに考えております。
 具体の法律の中身でございますけれども、5-1の資料を御覧いただきたいと思いますが、一番下の※のところにございますように、教育委員会は引き続き執行機関といたしまして、職務権限は従来どおりとした上で、この概要のところの1、2、3とある中身を御覧いただきたいのですが、第一に教育行政の責任の明確化ということで、教育委員長と教育長を一本化した新たな責任者として新教育長を置く。また、教育長は、首長が議会同意を得て、直接任命・罷免を行う。また、教育長は、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表する。教育長の任期は、3年とする。委員は4年でございますけれども、3年とする。このような中身になっております。
 第二のところでございますが、総合教育会議と大綱の策定についてでございますが、首長は、総合教育会議を設ける。また、その会議は、首長が招集し、首長と教育委員会により構成されるということでございます。また、首長は、総合教育会議において、教育委員会と協議をし、教育基本法第17条に規定する――これは教育振興基本計画のことでございますが、教育振興基本計画における基本的な方針を参酌して、教育の振興に関する施策の大綱を策定するということでございます。また、総合教育会議におきましては、大綱の策定のほか、教育条件の整備等重点的に講ずべき施策、また、緊急の場合に講ずべき措置につきまして、教育委員会と首長との間での協議、また調整を行うということとされております。調整された事項につきましては、構成員、すなわち首長と教育委員会はその調整の結果を尊重しなければならないということになっているわけでございます。
 大きな3点目といたしましては、国の地方公共団体への関与の見直しでございますけれども、いじめによる自殺などの緊急の事態が起きた場合の文部科学大臣の是正の指示について、その要件を明確化するという内容の規定が行われたわけでございます。
 一番最後でございますけれども、施行期日は平成27年4月1日としているところでございます。
 以上でございます。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 何か特に御質問ありますでしょうか。

【帯野委員】
 質問なのですが、資料5-1の法改正の概要のその他で、「教育委員会の会議の議事録を作成し、公表するよう、努めなければならない」となっております。情報公開については委員会でも余り議論されなかったと思うのですが、本来でありますと、人事案件等を除き、教育委員会会議は原則公開、議事録についても分かりやすく公表というふうに規定されるのかなと思っていたのですが、「努めなければならない」という努力義務にとどまっているのはどういう理由なのでしょうか。

【安西会長】
 どうぞ。

【前川初等中等教育局長】
 教育委員会の会議につきましては、従来から会議自体は公開でございますので、この中教審と同じように傍聴人が入った中で行われているということでございます。従来、教育委員会の会議の議事録については、何ら規定はなかったわけでございます。総合教育会議は新しく作られる協議の場でございますが、その総合教育会議につきましても会議自体は公開ということが規定されております。その会議の議事録に関してでございますが、議事録に関しましては、従来の、例えば労働委員会とか人事委員会とかほかの行政委員会につきましても、議事録についての規定はございません。今回は、教育委員会につきましても、また、総合教育会議につきましても、議事録についてあえて規定を設けたわけでございますが、これは与党の議論の中でも、小規模な自治体においてそこまで義務化するのは困難な場合もあるのではないかということで、この議事録の作成・公表については努力義務にとどめたという経緯がございます。これにつきましては国会の議論の中でも、努力義務ではなくて、更に必ず作成・公表するよう義務化すべきではないかと、こういう御議論もあったわけでございますが、文部科学省といたしましては、この法律に基づいて極力作成し、公表するよう促していくように指導・助言していくということで御説明をしてきたということでございます。

【安西会長】
 よろしいですね。ありがとうございました。この件は、前から中教審でも小川副会長をはじめとして多くの方々に議論していただいたことがございました。こういう形でまとめられたということであります。
 それでは次に、高等教育局長にお願いいたします。

【吉田高等教育局長】
 お手元の資料6でございます。学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律でございます。
 去る2月に大学分科会におきまして、大学のガバナンス改革の推進について審議まとめをお作りいただきまして、それを受けまして私どもの方で法案を作成し、衆議院で一部修正ございましたけれども、6月20日に参議院の方で可決をし、成立をしたところでございます。
 本法律の趣旨は、最初にございますように、大学運営における学長のリーダーシップの確立等ガバナンス改革を推進するために、副学長・教授会等の職や組織の規定を見直すとともに、国立大学法人につきましては、その学長選考の透明化等を図るための措置を講ずるものでございます。
 概要のところを御覧いただきますと、まず、学校教育法の改正の関係では、副学長の職務につきまして、学長の命を受けて校務をつかさどることとするというふうに、その役割を明確にしております。また、2点目は教授会の役割でございます。従来、「重要な事項」とのみ規定されておりました審議事項を明確化するとともに、学長と教授会の関係において、決定権はあくまでも学長等にあり、教授会は教育研究に関する事項につきまして審議をし、学長等に意見を述べるものであることを明確化いたしました。
 なお、この教授会の規定の関係では、衆議院におきまして修正がございました。閣議決定されました原案では、学長は、決定を行うに当たり、教授会が意見を述べる事項として、学生の入学等や学位の授与のほかに、「教育研究に関する重要な事項で学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるもの」とありましたが、衆議院におきまして、「教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの」というふうな修正が行われたところでございます。これは、「認めるもの」と比べますと「定めるもの」とするこというによりまして、学長が教授会に意見を聴くことが必要な事項をあらかじめ定めておくということで、そのための透明性が増したのではなかろうかというふうに思います。
 また、二つ目の国立大学法人法の関係でございますが、これは学長の選考に関しまして、1点目としまして、学長選考について選考基準を各大学は定め、その選考結果と併せて公表するということにしております。学長選考の基準と申しますのは、それぞれの大学のミッションに対しまして、これから求められる学長像というのはどういうものなのかというのを具体的に記載していただきますとともに、その学長の選考方法、これも基準の中で定めていただくということでございます。
 また、もう一つ、国立大学法人法につきましては、経営協議会について、経営協議会の委員の過半数を学外委員とするという改正を行っております。従来も2分の1以上は学外委員という規定がございましたが、実態といたしまして2分の1にとどまっているのが約半数程度、大学であったということもございますので、これを明快に「過半数」という形に直しました。
 また、教育研究評議会につきましては、これは副学長の職務を明確にしたということとの兼ね合いもございますが、教育研究評議会につきまして、教育研究に関する校務をつかさどる副学長をその評議員のメンバーとするという形にいたしました。
 その他ということでございますが、附則関係がございまして、今回、国立大学法人については、学長選考の基準、その他相当の改善を行ったと思われますけれども、国立大学法人となりましてちょうど10年という節目でもございますし、これまでの国立大学法人法におけるガバナンスの在り方、これについて全般的な見直しを行うべきだと、こういう御意見もございましたので、附則において、今後、この改正法の施行状況を見ながら必要な検討を行って、必要があればまた更に法律改正を行うと、こういった道筋を付けたところでございます。
 また、施行日は来年の4月1日ということでございますけれども、この点につきましても、大臣の方からの発言の中にもありましたが、今後、この改正法を各大学に周知してまいりますが、その際、学長がガバナンスを見直す際の一つのガイドラインになるような、そういった項目につきまして有識者会議を設置いたしまして、改正法の趣旨と内容の周知に関する事柄について御議論を頂きまして、それを受けて各大学に対しまして学内の規則の総点検、それから必要な見直しをお願いしていく、こういった予定にしているところでございます。
 以上でございます。

【安西会長】
 ありがとうございました。
 何か特に御質問はありますでしょうか。よろしいですか。この件も、大学分科会、特に組織運営部会、河田部会長をはじめ多くの方々に議論を頂いてきたものがこういう形でまとまったということであります。ありがとうございました。
 本日の会は以上でございますけど、ほかに特に皆様からありますでしょうか。
 それでは、議事はここまでにさせていただきます。
 次回の日程につきましては、追って事務局から御連絡をさせていただきます。大変貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。
 それでは、ここまでにさせていただきます。

― 了 ―

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生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成26年09月 --