平成20年9月11日(木曜日)14時~15時30分
文部科学省「第2講堂」(旧文部省庁舎6階)
(東京都千代田区霞が関3-2-2)
山崎会長、梶田副会長、三村副会長、安彦委員、安西委員、飯野委員、岩
委員、梅田委員、衞藤委員、荻上委員、加藤委員、菊川委員、郷委員、小嶋委員、島田委員、田村委員、角田委員、野依委員、平野委員、増田委員
鈴木文部科学大臣、松野文部科学副大臣、山内文部科学副大臣、荻生田大臣政務官、浮島大臣政務官、鳥居文部科学省顧問、銭谷事務次官、玉井文部科学審議官、坂田文部科学審議官、森口官房長、清水生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、
永高等教育局長、山中スポーツ・青少年局長、合田総括審議官、布村文教施設企画部長、栗山生涯学習政策局政策課長、他
【山崎会長】
それでは、定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会第66回の総会を開催いたします。
本日は、ご多忙の中、また雨模様の中、ご出席いただきましてまことにありがとうございます。
本日は、特にご新任の鈴木文部科学大臣、それから松野副大臣、山内副大臣、萩生田大臣政務官、浮島大臣政務官にそろってご出席いただいておりますので、大臣を筆頭に皆さんから一言ずつごあいさつをいただきます。どうぞよろしくお願いします。
【鈴木大臣】
一言ごあいさつを申し上げます。
委員の先生方、ご多忙の中、ご出席を賜りまして、何よりもまずそのことに御礼申し上げます。ありがとうございます。
8月2日付で、福田総理から文部科学大臣を拝命いたしました鈴木恒夫でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私は、議員生活6期19年ほどになりますけれども、新聞記者15年を経ましてこの世界に入りましたときに、自分の議員としての政策分野は、教育と環境を中心にやろうと決意をいたしておりまして、以後、19年近くを過ぎたところでございますけれども、文部政務次官をはじめといたしまして、文教委員長あるいは文部総括政務次官などもさせていただいてまいりました。これからも先生方のご鞭撻をいただきながら、任期いっぱい全力を挙げてこの職務に取り組むつもりでございますので、よろしくご指導をお願いしたく存じます。
就任いたしましたときに、かねてから私はこの日本の国に誇りを持っておりまして、日本の美風の蘇生、よみがえらせること、そして単なる復古主義ではなしに、新生、国際化でありますとか、IT化でありますとか、そういうものも見据えた日本の美風を新しく生み出すことも必要だと訴えもいたしました。同時に、子どもたちを育てていく上で、「人にやさしく、自分に強く」、教育基本法の改正を60年ぶりに一昨年なし遂げまして、私は与党のチームに最初から最後まで委員をさせていただいてまいりましたが、「人にやさしく、自分に強く」、こういうフレーズで国民運動を起こしたいものだと、これならだれも異論があるまい、これは日本の美風をよみがえらせ、新しく生む原点だろうと思ってそんなことを申してまいりました。
まだまだ力が足りません。委員の先生方には大所高所から私どもにご鞭撻を賜り、日本の国の将来に過ちなきように、発展の方向の見定めに我々も努力をいたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
きょうは、副大臣、政務官、新たに任命された方々もいらして、すばらしい能力のある方々でございます。一緒に頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。終わります。
【山崎会長】
ありがとうございました。
続きまして、松野副大臣、よろしくお願いいたします。
【松野副大臣】
第二次福田内閣におきまして、文部科学副大臣を拝命いたしました松野博一でございます。鈴木大臣の命をいただきまして、主に教育、スポーツの分野を担当させていただきます。
これまで党の活動におきまして、文部科学部会長、文教制度調査会、文化伝統調査会、両調査会の事務局長等、文教施策を中心に活動してまいりました。今回、中央教育審議会には初めて参加させていただきますけれども、山崎会長はじめ委員の先生方から、ご指導、ご鞭撻をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【山崎会長】
ありがとうございました。
続きまして、山内副大臣にごあいさつを。
【山内副大臣】
皆さん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました山内俊夫でございます。
本日は、中央教育審議会の皆さん方に、このような形でお目にかかれまして、ほんとうに光栄に存じております。
私は、鈴木大臣からは、特に科学技術、学術、そして文化全般を担当するようご下命をいただきました。一生懸命、今、努力をしているところでございますが、私自身は、もともと青年会議所活動を随分長くやっておりました。その中でPTA活動もあわせて約9年間やらせていただきました。そういったことで、県議の時代も、どうしても教育問題については大事な問題であるということで、国政の場にも送り出されてきたわけでございますけれども、今後とも皆さん方とできるだけお手伝いできるように頑張ってまいりたいと思いますで、ご指導、ご鞭撻を賜りますことをよろしくお願い申しましてごあいさつにさせていただきます。ありがとうございました。
【山崎会長】
ありがとうございました。
続きまして、萩生田大臣政務官、お願いいたします。
【萩生田政務官】
このたび文部科学大臣政務官を拝命しました萩生田光一でございます。
鈴木大臣からは、松野副大臣のもとで、教育、スポーツを主に担当するよう命ぜられたところでございまして、中教審の先生方のご指導をまずもってよろしくお願い申し上げたいと思います。
私は、お隣の山内先生と同じように、東京都議会、そして八王子市議会という地方議員を経験して国会に参りました。ですから、その経験の中で、学校の設置者は市町村、そこで働く教職員の皆さんは都道府県の職員、国は法律と3分の1の人件費補助をするという、ある意味では三重にも四重にも重なった義務教育のあり方というものに大変行き詰まりや問題意識を持って国会に来たつもりでございまして、こういった現場感覚を生かして、これからも日本の教育のために微力を尽くさせていただきたいと思っております。
あわせて選挙区の八王子は、東京郊外に22の大学を有する学園都市でもございます。個性豊かと言えばいいんですけれども、わりとわがままな私学の皆さんですとか、あるいは公立の皆さん方と地域の一員としての大学のあり方というものも今まで話し合いをしてきた1人でございまして、微力でありますけれども、そんな経験を生かしながら、皆さんと一緒に頑張ってまいりたいと思います。山崎会長はじめ中教審の先生方のご指導を賜りますようお願い申し上げてごあいさつにしたいと思います。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
続きまして、浮島大臣政務官、どうぞよろしくお願いします。
【浮島政務官】
皆さん、こんにちは。このたび政務官を拝命いたしました浮島とも子でございます。よろしくお願い申し上げます。
私は、山内副大臣のもと、主に科学技術、学術、そして文化芸術の担当ということでさせていただくことになりました。
私自身は、2歳半からバレエを始めまして、約14年、香港、そしてアメリカのほうでプリマバレリーナとして舞台に立たせていただくことができたのでございますけれども、阪神・淡路大震災のときにアメリカの自宅でそれを知りまして、何かさせていただきたいという思いで、約14年ぶりに日本に帰国いたしました。そこでご両親を亡くした子どもたち、そして何かの都合でご両親と住めない養護施設の子どもたちとともに、ボランティアでミュージカルの劇団を立ち上げまして、今、12期生になっておりますけれども、この教育、そして文化芸術の力というのはほんとうにはかり知れない力を持っているものだということを自分の実体験として痛感させていただいたところでございます。
まだまだ微力でございますけれども、この自分の実体験を生かし、今後とも全力で頑張っていきたいと思いますので、委員の皆様、先生の皆様方に、ご指導、そしてご鞭撻、ご助言を賜りますよう、どうかよろしくお願いいたします。本日は大変にご苦労さまです。
【山崎会長】
ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、文部科学大臣から新しい諮問があると伺っておりますので、その旨、大臣、よろしくお願いいたします。
【鈴木大臣】
社会が大きな変革期を迎えております中、豊かな教養と深い専門性を身につけた人材の育成と、さまざまな社会的課題の解決への貢献等、大学に対する期待と要請は極めて大きく、かつ多様となってきております。また、進学率の向上でありますとか、学生のニーズの多様化、18歳人口の減少、国境を越えた大学の教育活動の進展等に伴いまして、改めて大学教育全体のあり方について見直さねばならない、そういう状況がございます。
先般、閣議決定をされました「教育振興基本計画」におきましても、高等教育の中長期的なあり方について検討をし、結論を得ることが、求められておりますことはご存じのとおりでございます。
このような観点から、我が国の大学教育の質を保証し、社会からの信頼の向上を図るために、大学教育の中長期的なあり方につきまして、お手元に配付させていただいております資料のとおり、新たに先生方に諮問をさせていただくことにいたしました。
詳細は、この後、事務局もきょうは来ておりますので説明いたさせますけれども、委員の皆様方におかれましては、大所高所から精力的な審議を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
それでは、山崎会長に諮問文をお渡しいたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
(諮問文手交)
【山崎会長】
どうもありがとうございます。
ここで大臣は、公務のご都合によりまして、ご退席されます。
【鈴木大臣】
勝手をいたしますが、お許しいただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
(大臣退席)
(カメラ退室)
【山崎会長】
それでは、ただいまいただきました諮問の理由につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
【
永高等教育局長】
高等教育局長の
永でございます。
それでは、ただいま大臣から諮問がありました事柄につきまして、補足的に説明をさせていただきます。座って説明させていただきます。
お手元に資料1-2、文部科学大臣諮問理由説明という資料がございますので、これに沿ってご説明申し上げたいと思います。
諮問理由説明の中で、今回諮問となりました基本的な背景、経緯等につきましては、既に大臣のごあいさつの中で申し述べましたので繰り返し申しませんが、「教育振興基本計画」の中での今後「5年間を高等教育の転換と革新に向けた始動期間と位置づけ、中長期的な高等教育の在り方について検討し、結論を得ることが求められる」、そういったことに基づくものでございます。
具体的に、まず第1の、「社会や学生からの多様なニーズに対応する大学制度及びその教育の在り方について」という事柄につきまして、まず申し上げます。
ここにございますように、本年度は、短期大学を含めますと、四年制大学、短期大学で進学率が55.3パーセントに達しております。したがって、同年代の若年人口の過半数が高等教育を受けるという状況となっております。
さらに、社会人や留学生を含め、さまざまなバックグラウンドを持った学生が入学をし、大学に要求される教育の内容も多様化、細分化しているわけでございます。
こういった中で教育の質を維持しつつ、社会や学生からの多様なニーズにこたえる大学教育を実現する、そのこと自体が大学のあり方を見直す上では不可避となっているわけでございます。
2ページを開きますと、具体的にそのことに関連して、5点についてご審議を賜りたいと考えております。
1つは、社会や学生からの多様なニーズに対応する大学教育をいかに実現するかということをご審議をいただければと思っております。
特にこれまでは、大学に関するご検討というのは、どちらかといいますと、大学の研究、あるいは大学の立場に立った教育という観点で議論されることが多かったわけでございます。そういう意味では、学生本位の視点に立ったご検討をお願いしたいと思っております。
また、第2といたしまして、多様なニーズに対応する大学教育を実現するための「学位プログラム」を中心とする大学制度及びその教育の再構成についてでございます。
この点につきましては、既に17年の中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」におきましては、「現在、大学は学部・学科や研究科といった組織に着目した整理がなされている。今後は、教育の充実の観点から、学部・大学院を通じて、学士・修士・博士・専門職学位といった学位を与える課程(プログラム)中心の考え方に再整理していく必要がある」という提案をいただいているわけでございます。
そこで、国際的・歴史的に確立されてきた大学制度、特にその団体性や自律性ということを当然踏まえつつも、一人一人の学生のニーズに応じた大学教育が提供され、その質保証がよりきめ細かく行われますよう、「学位プログラム」、それは具体的に、例えば博士![]()
、修士![]()
、学士![]()
という細かな分野ごとの学位、そういったものを提供する学位プログラムといったことを中心に大学制度をもう一回再構築する、そういったことの是非、あるいはそのための人的・物的の環境のあり方、そういったことについてご検討をお願いしたいと思っております。
またあわせまして、近年では、通信制、通学制がかなり近接をしているわけでございます。その実態においては、その境界もかなりぼやけたものとなっておりまして、いま一度ここでそういった通信制、通学制という教育形態も踏まえまして、全体として多様な現状に合致した制度、あるいは教育のあり方についてのご検討をお願いしたいと思っております。
また第3に、社会的要請の特に高い分野、医療系人材等、そういった分野につきましての個別具体の人材養成のあり方についてご検討をお願いしたいと思っております。
また同様に、このようなさまざまな多様なニーズに対応する大学教育ということを実現するためには、どうしても、全体を通じてそれらの質を担保する仕組みをどう構築するかということが課題となってくるわけでございます。そういう中で、今後の設置認可、自己点検・評価、あるいは認証評価、分野別評価等を通じて大学教育の質保証システムをどう構築するか、そういったご検討をお願いしたいと考えております。
3ページをお開きいただければと思います。
第5といたしまして、さまざま多様なニーズに対応する大学教育を考えてまいりますときに、そういったものを学生の側から見て、学生が一番自分の興味関心、あるいは将来といったことに対応してきちんと教育を受ける機会を確保し、また、そういったものを支援する仕組み、そういったことが必要でございます。そういう意味で、大学院博士課程学生に対する支援、あるいは修了者への支援、そういったことに関するご検討をお願いしたいと思っております。
2番目の大きな柱が、「グローバル化の進展の中での大学教育の在り方について」でございます。
グローバル化の進展ということについては、ここで私が今さらご説明する必要はないことでございますが、例えば、ヨーロッパでは、「欧州高等教育圏」の構築という中で、いわゆるボローニャ・プロセスを通じまして、教育の質保証のための共通の枠組みづくりが進んでおります。
このような状況の中で、我が国の大学の国際化、あるいは国際競争力の強化ということが極めて重要な課題であると存じております。
そこで具体的には、以下の3点についてご審議をいただきたいと考えております。
まず、大学の国際競争力の向上のための方策についてでございます。
現在、文部科学省では、2020年(平成32年)の実現を目途といたしまして、「留学生30万人計画」を関係省庁と連携して推進しておりますが、そういった状況も踏まえ、大学の国際競争力、これは社会を支える大きなシステムの1つとしての国際競争力、また大学それ自体が国際的な中での競争をしていく、その2つの面があるわけでございますが、そういった面で国際競争力の向上のため、大学における教育研究のあり方、学生支援のあり方、またそのための環境整備、そういった機能はどうあるべきかというご検討をお願いしたいと思っております。
と同時に、大学の評価における国際的な視点の導入と世界的な規模での大学に関する評価活動への対応についてご検討をお願いしたいと思っております。
現在、大学評価にかかわるさまざまな仕組みの中に、国際的な視点をどう入れ込んでいくのか、そういったことが大きな課題となっております。
また同時に、OECD等におきまして、大学に対するさまざまな評価活動が世界的規模で行われています。そういったことに対して我が国の大学としてどのように対応すべきなのか、そういったことについてもご検討をお願いしたいと思っております。
第3に、アジア域内等での国際的な学生・教員の流動性向上のための促進といったことについてご検討をお願いしたいと思っております。
これは、これまで既に個々の大学等を通じまして、さまざまな取り組みが行われているわけでございます。そういう取り組みをさらに強化促進し、また、大学を超えた形で教員、学生が流動する仕組み、こういったものをいかに構築していくのか、このことについての方策についてご検討をお願いしたいと思っております。
4ページになります。
3番目の柱といたしまして、「人口減少期における我が国の大学の全体像について」でございます。
我が国の人口は、2006年をピークとして、今後なだらかに減少していくと予想されているわけでございます。そういった中で、次の3点についてのご審議をお願いしたいと思っております。
1つは、人口減少期における大学全体の健全な発展のあり方でございます。
我が国全体の人口が2006年をピークとしてなだらかに減少し、また18歳人口等も今後さらに減少していくという中で、現在、大学、短期大学を合わせますと、1,100を超える高等教育機関が教育・研究を行っているわけでございます。そういう中で、定員充足がなかなか困難になるといったこともあるわけでございまして、そういう人口減少期における状況、充足率の状況等を踏まえました我が国の大学の全体像、そしてその健全な発展のあり方についてのご検討をお願いしたいと思っております。
また、第2に、大学の機能別分化の促進と大学間のネットワークの構築についてご審議をお願いしたいと思っております。
今後、大学がそれぞれの地域の実情を踏まえつつ、みずからの強みを持つ分野への取り組みを集中・強化する機能別分化が徐々に見られます。既にこのことについては、平成17年の中央教育審議会答申でもうたわれているところでございます。
今後、各大学の自主性を尊重しながら、いかに機能別分化を促進していくかが重要な課題だと思っておりまして、そのための検討が求められております。
また、そういった機能別分化の中では、各大学が連携協力し、それぞれの持っている人的・物的資源を共同利用し、その有効活用を図ることが必要と考えられます。こういった大学間のネットワーク構築が我が国全体としての高度の教育・研究の進展、あるいは全体としての水準を高めていくためにも必要と考えられます。
そのため、大学の機能別分化と連携協力を促進するための方策について、ご検討をお願いしたいと思います。
第3番目に、全国レベルと地域レベルのそれぞれの人材養成需要に対応した大学政策のあり方についてご検討をお願いしたいと思っております。
学生の多様な教育サービスへの需要のみならず、国と地域それぞれの人材養成需要にこたえるということが大きな課題となっております。高度専門職業人等の多岐にわたる分野の職業人、研究者、あるいは地域社会に不可欠な分野の人材等、さまざまな多様な人材が求められている状況におきまして、全国レベルと地域レベル、それぞれの人材養成需要に対応した大学政策のあり方、また、例えば現在、公立大学が100を超えるというような状況になってきているわけでございます。そういう意味では、国立大学と公立大学の役割分担なども含め、大学政策のあり方についてご検討をお願いしたいと思っております。
なお、このことに関連いたしまして、既に申しました3つの大きな柱の方策に関連いたしまして、大学教育にかかる各種の行政システムあるいは財政支援システム、そういった行財政システムについてのご検討をあわせてお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
大学の問題というのは、かねてから大学分科会でずっと議論してまいりましたし、問題のありかというものは、かなり前からわかっているわけでありますが、いろいろな事柄が目に見えるようになってきております。ご存じのように、国立大学の場合、年間予算を3パーセントずつ毎年減らすという方針が閣議決定されております。これは国の財政の面から見てやむを得ないことかもしれませんが、こういうことも大学の側から、あるいは教育の側からはどう評価するのかということも皆さんの課題であろうかと思います。
また、既に地方と都市の間で、あるいは大学の規模の間で相当大きな格差が開いてまいりました。これを横の役割分担としてうまく処理していくのか、あるいは格差として問題をかついでいくのか、特に大学というのは、法に基づいてさまざまな規制、義務を背負っております。私はそのことを悪いとは申しませんが、その結果、野放しにされている専門学校との競争で苦しんでいる大学もございます。
大学の問題というのは、半分以上がむしろ大学が終わった後の実社会の問題になるわけでありますから、どうぞ大学分科会の委員の皆さん方は、特に中心になってご議論をお進めいただきたい、熱心にお願いしたいと思います。
きょうは、こうやって総会の席で皆さんお集まりで、分科会以外の方々もいらっしゃいますので、これから40分ばかり、皆さんから、今日の諮問につきまして、ご自由にご発言をいただきたいと思います。なるべく1つのご発言は手短にお願いしたいと思います。どうぞよろしく。どなたからでも。
【梶田副会長】
1つよろしいですか。
【山崎会長】
では、梶田副会長から、まずどうぞ。
【梶田副会長】
済みません、皮切りに。
今、包括的に現在の大学が直面している課題についてご説明があり、これをほんとうに考えていかなければいけないなという思いで聞いておりました。ただ、私、大学分科会ではないので、この機会にちょっとだけ申し上げさせていただきたいのですが、やはり1991年の大学設置基準の大綱化、あれで非常に自由化したわけですよね。これはこれで非常に大事なことだったと思うんですけれども、そこからやはり見直しがいろいろとありましたけれども、必ずしも大きなドラスティックな見直しはなくて今日に来ているような気がいたします。したがって、もうこのあたりで、91年の大学設置基準大綱化から以降の全部の総括をしていただいて、ぜひこれからの20年、30年の大学の新しい道を構造的にお示しいただきたいなと思います。
もう1つは、その中での国立大学の役割です。これは明治であれば、国が直接的に高等教育に投資しなければしようがなかった。もちろんそれに対して、慶應とか、早稲田とか、非常にやってこられたんですけれども、基本的には高等教育は国が中心になってやらざるを得なかった。ところが、戦後は、大学の数から言っても、学生の数から言っても、やはり国の比重は大きく下がっております。これから財政不如意の中で、今、山崎会長からもありましたように、総枠はそう増えないだろうと思います。
そうすると、国が必ずこういう分野は責任を持って担わなければいけないという分野をやはり絞り込んで、そしてやっていかなければいけないことになるだろうと思うんです。設置者が違っても同じようにやっていればいいということになると、総体的なレベルダウンが生じます。したがって、この分野については、私学に全部お任せしてもいい、この分野はモデル的に国の領域を若干残さなければいけない、この分野は非常に大きな投資が必要だから国が中心になって担わなければいけない、というような、そういう区分を明確化する必要があるんじゃないかなという気がいたします。
本日の資料の中に国立大学という名前は出ておりません。もちろん問題意識としては多分あると思いますけれども、やはり国立、公立、私立それぞれの意識をはっきりさせなくてはいけない。例えば補助金の出し方の問題も関係してきますので、よほどそういう設置者の区分ということにも検討を加えていただかなくてはいけない。、特に税金を直接投入しなければいけない領域は何なのかということは、はっきりさせていただかなければいけないかなと思っております。
一応、総括的に以上の2点、お願いしておきたいと思います。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
先ほど、増田委員が手を挙げていらっしゃったようにお見受けしたんですが。違いましたか。
【増田委員】
手は挙げていないですけれども、では、お言葉に……。
【山崎会長】
どうぞ。
【増田委員】
ありがとうございます。自由な発言ということで、日ごろから考えていることを発言させていただきたいと思います。
今、学生たちの多くは、大学を選ぶときに、とりあえずいい大学を目指そうということで、まずは行ってみよう、そこで何を学びたいかを決めればいいさというふうに思っているように感じます。ですから、高校生のころから、受験テクニックを第一に考えて勉強して、社会的に必要な知識が習得できていないようにも感じられます。
今回の大学教育のあり方は、入試問題をはじめとして、高校、また中学まで大きな影響が及ぶと思いますので、その辺も踏まえた上で、この諮問に対してしっかりと考えてほしいというふうに思っています。ありがとうございました。
【山崎会長】
どうも。
ほかにどなたでも。
はい、どうぞ、加藤さん。ごめんなさい、ちょっと見落としていたかもしれません。野依先生、お先ですか。どうぞ、それでは。
【野依委員】
これからいろいろな重要な点を議論していただくわけですけれども、まず大事なことは、我が国の教育にかかわる財政基盤が非常に脆弱であるということが挙げられると思います。文部科学省でも教育振興基本計画をお立てになるときに努力をされたが、財政支援の数値目標を書き込むことができなかったという経緯がございます。しかし、ぜひ財政基盤を確立していただきたいと思います。
まずは、公的な財政支出をしっかりする。場合によっては、公的なことが無理であれば、あるいは不適当であれば、私的な支援をしなければいけない。その場合には、ぜひ税制の優遇措置も加えて財政基盤をしっかりしていただきたい。これから議論していただくことを実現する上に不可欠の条件ではないかと思います。それぞれの計画あるいは施策を立てられる場合には、財政とやっぱりセットでお考えいただきたい、こういうふうにお願いしておきたいと思います。
【山崎会長】
それでは、続きまして、加藤委員。
【加藤委員】
ありがとうございます。私からは、少し企業や、あるいは労働組合の立場から、現在の大学教育、あるいは今後に望むということで3点ほど述べたいと思うんですが。
1つは、ここに具体的な数字で「留学生30万人計画」という、これは基本計画にも載っているところでございますけれども、この中身は、語学留学生も含めて、かなり幅の広い人を含んでいるわけですね。一般的に留学生と言えば、大学に在学をされるというイメージを描くんですけれども、現実には、私たち労働組合の立場で見ておりますと、働きながら学んでいる語学留学生も非常にたくさんおられます。
そういう意味で、そういう人たちをどのようにサポートしていくか、そしてそういう方々については、1つはその後も日本で専門性を持って働いてもらうという道と、それから、それぞれの出身国に帰られて活躍されるという、そういう国際協調的な、そういう面もあるということで、その辺の実態に応じた留学生の教育の方策がやはり必要だろうというふうに思いますので、その点を1点。
それからあと2点は、これは共通すると思うんですけれども、大学の国際競争力ということに触れられているわけですが、私自身は、労働組合として約20年近く国際労働運動の世界で運動もしてきたわけですけれども、そこで日本の組合役員のみならず日本側の参加者に、そういうところで一番見られるのは、コミュニケーション能力の不足であるということです。これは単に語学のみではなくて、やはりそういう場で自分たちの主張をきちんと、どんな場面でも正確に主張する、ディベートする、論議するというようなところが日本の場合は非常に問題があるということを感じておりました。これは現状でもあまり変わっていないと思うんです。
ですから、そういうことも国際競争力の大きな1つだと思いますので、その辺にぜひこれは目を向けていただきたいということ。
そして3番目が、これと共通するんですが、企業などから見たときの多様なニーズに対応するという表現も見られますけれども、昨今、企業の側、きょうは三村委員も来ておられますけれども、企業の側は人事制度等の大きな変化で、かつてのように長く時間をかけて人を育てるという、そういうことにはなかなかなっておらないという面がございます。そういう意味で、何も即戦力を求めるということではなくても、かつてのように企業にわりとゆだねられていた人材教育という、企業で活躍できる人材、これの一部が大学の中に要請をされているということもあると思うんですね。ですから、いわゆる専門的な学問だけではなくて、教養とか哲学的なもの、深い思索ができるとか、あるいは問題発見の力があるとか、粘り強く解決に向けて深く考えるというような、そういう力、これをやはり大学の中で培っていただくというようなことも必要だろうと思うんですね。
そういう意味で、国際化だとか、あるいは企業の今の変化、そういったものに対応した大学教育のあり方というものが分科会の中でさまざま議論されることをお願いしまして、以上、意見とさせていただきます。ありがとうございました。
【山崎会長】
貴重なご意見、どうもありがとうございました。
ほかにどうぞ。
それでは、角田委員、続いて飯野委員、そして田村委員という順番でお願いします。
【角田委員】
ありがとうございます。
私、小学校の教員をずっと40年間やってきた者からすると、大学というのは、かなりかけ離れたところのような感じがするわけですが、親御さんたちから見ると、大学に入ること、あるいはお子さんを入れること、これがゴールのような感覚を持っている親御さんが非常にまだ多いんですね。そして、今や50パーセント以上の学生が高校を卒業すると大学に入る、選ばなければほとんどの子どもたちが入れるんですよというふうに言われても、なかなか信じていただけないというようなことがございます。1つは、今、そういうような状況になっているんだということをぜひしっかりとPRをする、そういったことをお願いしたいということが1つです。
それから2番目に、それに絡んでくるんですけれども、結局、大学へ入るためには、知識をたくさん詰め込まなければいけないんだという意識がやはり相変わらず変わらないんですね。そして入学試験の問題を見ると、センター試験の問題も含めて、やっぱり知識量を測定するような問題が多いような感じがします。それは時間的な問題だとか、採点にかかわる労力の問題等、いろいろあろうかと思いますが、ここのところをしっかり改善していただかないと、小学校、中学校でせっかく新しい学習指導要領になって、基礎的、基本的な知識を習得し、それを使って活用して問題解決をしていくんだと、こういうふうな形の授業をしていっても、あるいは総合的な学習に力を入れても、そんなことは入試にどういうふうに役に立ってくるんですかというふうなことになってしまって、また詰め込みのための塾通いになる。この辺のところを断ち切る意味でも、1つは、入試改革というふうなことも大きく課題としてあるのではないだろうか。その入試にぜひ活用力であるとか、問題解決の能力を見られるような、そういったようなものを入れていただくということが、将来の大学をさらに国際競争力のあるものにしていくことにつながっていくのではないだろうかというふうに思いますので、ぜひどこかでご検討をいただきたいというふうに思います。
以上です。ありがとうございました。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
続いて飯野委員。
【飯野委員】
今までにみなさまがおっしゃったことの根底にあるかと思いますけれども、やはり教育というのは、成果が出るのはそんなに近い将来のことではない、ずっと先のことだとも考えなければいけないという認識を持っていなければならないと思います。このことを念頭におかないと、いつも近視眼的な改革や、こうやればすぐに成果があらわれるのではないかとか、そういった議論になりそうな気がいたします。、たとえば、国際力をつけるには、どんな教育をすればいいか、そういうことだけに偏らないように、教育の成果というのは、あるところでは測り切れないものかもしれないという認識を持ちながら議論すべきではないかといつも思っております。
大学教育を担う者の1人としましては、やはり学生が大学にいる間にその大学を出てから社会に貢献することができる力をつけるべきである、人間力を身につけるべきであると考えますし、社会に役に立つ人になるように願って教育をします。その成果は一定の期間にある程度は測れるものではあると思いますけれども、でも、やはり、長い将来を考えていろいろな議論がなされなければいけないと思っております。そのような、測りにくい成果も含めた教育をするためには、しっかりした財政基盤が必要であり、そこに政府の支援が必要だとの野依先生のご意見に賛成です。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
それでは、田村委員。
【田村委員】
テーマの中で国際化のことにかかわって大学分科会でぜひご検討いただきたい問題を感じておりますので、一言申し上げさせていただきたいと思います。
これは小学校でいよいよ英語教育をやろうということが始まります。つまり、国際化、これは英語を中心にした、つまり、もっと言えば、アルファベットで文化をつくり上げていくという動きがかなり強くなってくる。そうでないと国際的な動きについていけない。閉鎖をすれば確実に発展はとまるということは、もう我々は歴史の中で習っているわけですから、とにかく国際化していくということは1つの基本的なラインだと思うんです。
そこで、お話があった短期的に考えないようにということがあったんですけれども、そのお考えはわからないではないんですけれども、具体的な問題として、今、お隣の韓国で国際化が私たちの国よりはるかに前向きに進んでおりまして、ですから、英語の力も高校生でどんどんついている。GTECの評価なんかを見ていると、今、明らかに韓国のほうが上になっているんですね。それが何を起こしているかというと、いわゆるアドバンスド・プレースメントというやつで、頭のいいやつを全部連れていってしまうというアメリカの大学戦略が起きているわけです。これは今、問題になりかけているんですけれども、私たちの国も国際化をしていくのは必然なんですけれども、日本の大学がよっぽど頑張ってくれないと、いいやつはみんな、英語を中心にした大学ランクリストみたいなものがあるし、ランクが公表されていて、成果もはっきり出ているわけですので、それに対してちゃんとしたいい教育をすると言っても、そのいい教育の中身というのは、ただいいと言っているだけであって、だれも評価の基準みたいなものを示していないとすれば、世の中は納得しないわけでありまして、その基準を含めて日本の大学教育がよっぽどしっかりしていかないと、下手をするとトップクラスのやつはみんな連れていかれてしまう。
実はアメリカも、これは野依先生からお聞きしたんですけれども、国の政策としてそういうことをやるということを表明しています。野依先生のお話で行くと、ライス国務長官から直接お聞きになったという話ですが、要するに、お金をかけて、いいやつはみんなアメリカへ連れてくるんだという、こういう話ですね(20万人とか)。
ですから、そういうことも含めた議論をしていただいて、ちゃんとやるから金を出すと言わないと、なかなか予算もつかないので、高等教育の問題としては、その部分がこれから起きてくるということを非常に個人的に感じているものですから、議論をぜひ深めていただきたいと。高等教育機関の日本の責任者は、そういう大きな問題を抱えているんだということを、もうおわかりになっていると思うんですけれども、前提として議論していかないと、今までの積み重ねではない外からの力がどんどん影響を及ぼしてきているということです。
ご存じのように、そういった国際的なラーニング・アウトカムについてのテストもやろうとしています。どんどん進んでおります。そういう流れの中で、日本は日本だというわけにいかないわけですから、よっぽどそういう意味では高等教育機関に頑張ってもらいたいと思うし、それがないと予算もつかないという話になるのだろうというふうに考えております。よく次官がおっしゃっているエビデンスベースですね。これを踏まえて、きちっとした高等教育をするということを大学分科会で議論を中心にしてやることをお願いしたいと思っております。
【山崎会長】
ありがとうございました。
それでは、小嶋委員。
【小嶋委員】
私は、地方の都市の市長でありますので、その立場で今、案を見ていて気がついたことを申し上げます。
一番まず気がついたのは、2ページの第三の「社会的要請の特に高い分野における人材養成」ということで、医療系の人材のことが書いてあります。これはほんとうに、全国、地方は医者の確保にほんとうに苦労しておりまして、子どもも産めない都市が出てきてしまっている。これはもう医療現場はかなり人材が少なくて、少ない医者にかなり負担がかかって、その悪循環でまたいなくなってしまうという、私のところも実はそういう現象が起きている病院が幾つかあります。
どうしたらいいかということで、我々は勧誘に行ってもなかなかそうは簡単にはいかない。一番大きな壁は、やっぱり今の医療制度改革で研修制度がフリーになってしまったということに大きな原因があるんですけれども、逆に言えば、今度は逆にそれで国立医科大学が卒業生を囲い込んで、強制的に引き戻してしまうという、そういうことで何とも言えない状況であります。
したがって、絶対数が足りないと我々は実感しているんですけれども、これは文部科学省ばかりではなくて、厚生労働省の所管でもあると思うんですけれども、もう少し社会のそういったニーズに対応できるような人材が育成できるようなことをぜひとも考えてもらいたいと思います。必ず附属病院を持たなければいけないとか、そんなことをしたらものすごくお金がかかるわけですね。一気にできっこないので、これは地方では手が出ない話ですけれども、少々お金がかかっても自分で、100万人ぐらいの数市の自治体が一緒になって大学をつくろうかなんていうことまで言いかねない状況であります。もう少しそういった人材の条件とかハードルを低くすればできる話ではないのかなということを地方にいてつくづく実は感じます。
それと、我々のところにも国立の地方大学が実はあります。独立行政法人になりまして、大分風通しもよくなったという感じがしていますが、実際には、どの程度の権限があるのか私はよくわからないんですけれども、ただ、その都市のまちづくりという面から考えて、その大学が持っている不動産とか財産の処分とか活用については、全くまだだめなんです。こっちがこうしていいと言っても、ほとんどの場合、独立行政法人に権限がありませんとか、いわゆるハード面について財産を運用するとか、そういうことについてはまだほとんど地方大学ではないんですよね。あれは全部国立だからだめなんですか。その辺をもう少し我々が一々文部科学省まで交渉に来るわけにいかないので、やっぱり地方の大学にある程度その辺は話を聞いてもやれるようにしておいてもらわないと、行き詰まっている問題が実はあることはあります。
それと、高等教育をしっかりやっていただきたいんですけれども、これは私の静岡市の職員の採用のことから、ちょっと参考になればと申し上げますが、もう数年前から、採用試験、ペーパーテストとか面接とか何回かやって、公務員の市の職員を採用していますが、もう最初の段階ぐらいから、面接のときは特にそうですけれども、その人の出身大学とか学歴は一切消します。実は出身地も。そうやって人材本位でとるように仕組みがなっています。ふたをあけてみると、我々は後になって、どこの大学を出たか、どこの出身かと見るわけです。そうすると、合否を見ていると、いわゆる一流の大学と言われたところはみんな落ちています。やっぱり最近の私学でも、一生懸命勉強してきたところはやっぱり入っているんですね。だから、大分そういうことで実態が、ほんとうに学歴だけ、名前のいい大学が優先的に採用されるかというと、もうそうではないという、そういう点では、頑張っている大学もあるんだなということを我々は知らなくて、いい人材を出してきているなということをすごく感ずることが、ここのところ結果を見ますとあります。
以上です。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
それでは、安西委員、どうぞ。
【安西委員】
ここでは大きな面からだけ申し上げますけれども、日本のこれからを考えれば、皆様よくご存じのように、ほんとうに日本がこれからのグローバルな世界の中で発言力を持った国としてやっていくためには、やっぱり多様な人材を相当高いレベルで育成していかなければならないということはわかりきったことでありまして、そのためには、大学レベルでの学力の向上というのが必須であります。これにはコミュニケーション能力とか、そういうことをみんな含まれるというふうにお考えいただければと思いますけれども、それをやはりほんとうに目指すべきで、50パーセント以上の高校生が大学に進学している中で、その大学へ進学している50パーセント以上の子たちが相当レベルの学力を持てるようにしていかなければいけませんし、そういうふうに努力している大学を応援していかなければいけないというふうに思います。
その仕組みをどうやってつくれるかということでありますが、そのためには、やっぱりさっきも出ましたように、大学の財政構造、これがほんとうに問題で、先般も、これは全体の教育支出ですけれども、公的支出でOECD30カ国中、ついにビリになったという、そういうことが出ておりましたけれども、高等教育については、特に大変公的支出が貧困な状態にありまして、家計の支出に相当程度負っているわけであります。この家計の支出に負っているということは、これは結局、家計の格差が学歴格差にきいてくるということの可能性が高くなっているということでありまして、実際にそういうことが出てきているようにも思われる。
それから、この大学というのが受益者負担なのかどうか、大学の教育というのは公共財なのか、それとも消費的な受益者が負担するだけのものなのかということについて、国民の間の理解がほんとうには進んでいないんじゃないか。私はやはり公共財の面が非常に強くあるというふうに思います。そこの基盤をやっぱり国民の方々に理解をしていただくという努力もしていくべきだというふうに、財政の基盤づくりには思います。
特に私学の経営という面では、教育の質を上げ、またキャンパスの整備を国際的なレベルまで上げ、さらには、留学生云々のサポートをし、留学生1人入れるのに、私どものところですと、おそらく100万円以上持ち出しでバックアップしているんですね。そういう状況で、しかも研究を推進するということになったときに、仮に学費を幾らにすればいいのかということは、これは計算してみればすぐ出るものでありまして、ほんとうに計算して出た値で、これで学費にすることはほとんどできないと思います。そういうことをやっぱり国民の方々にわかっていっていただかなければいけないんじゃないかというふうに思います。
そういう教育の質を上げるということと、財政基盤の整備をするということは、両方ドッキングしておりまして、それをやはり両面でアピールしていかなければいけないだろうというふうに思っております。
ちょっと長くなりますけれども、そういう中で、国立大学、公立大学、私立大学の関係のその構造というのを、これまでの歴史を振り返りながら、これからの国際的な競争環境の中で、また国内での、特に私立大学の学生が70数パーセントを占めている。中でも私立大学文系の学生だけで全国の大学生の50パーセントぐらいになるんじゃないかなと思うんですね。そういう構造のもとで、国立大学、公立大学、私立大学の関係をどうしていくのかということは、今まである意味で回避されてきた問題だと思いますけれども、正面切って取り上げなければいけない時期が来ているのかもしれないなというふうに思います。
多々ございますけれども、入試の問題も非常に大きいのでありますけれども、またの機会にさせていただきます。
【山崎会長】
それぞれに重要なご意見をありがとうございました。これは今後、分科会での討議に反映されるものと信じております。
きょうは、もう1つ別の話題がございますので、この大学問題に関するご発言は、ここで一応区切りにさせていただきます。
続きまして、教育振興基本計画について、生涯学習政策局長から、ご報告をお願いいたします。
【清水生涯学習政策局長】
7月に生涯学習政策局長になりました清水でございます。それでは、座りまして説明させていただきます。
お手元に資料2として教育振興基本計画及びそのパンフレットがございます。ご案内のように、教育振興基本計画につきましては、昨年2月に教育振興基本計画特別部会が設置されて以降、本年4月に答申をいただくまでの1年以上にわたって、大変精力的なご審議を賜りました。深く感謝申し上げます。
4月18日にいただきました答申を踏まえ、さらには、与党をはじめとする答申後のさまざまな議論も参考としながら、文部科学省において教育振興基本計画案を策定し、政府内での調整を経て、7月1日、我が国初めての教育振興基本計画が閣議決定され、国会に報告されたところでございます。
教育振興基本計画について答申からの変更点を含めて簡単に概要をご説明させていただきます。
資料2-1をご覧ください。全体で4章構成となっております。まず第1章では、我が国の教育をめぐる現状と課題、そして基本法の理念の実現に向けて、我が国は今改めて「教育立国」を宣言し、教育の振興に向けて社会全体で取り組むべきであることを明記しています。これが今回の教育振興基本計画全体を貫くテーマになっているわけでございます。
第2章、ちょうど本文では7ページ以降でございますけれども、今後10年間を通じて目指すべき教育の姿ということで、第2章の後段では、このような目指すべき教育の姿を実現するための教育投資の方向について記載しております。
その際、まず我が国の教育に対する公財政支出が他の教育先進諸国と比較して低いと指摘されていること、我が国が現状で抱えているさまざまな教育課題について記述した上で、教育投資のあり方に関し、資源の乏しい我が国では、人材の投資である教育が最優先の政策課題の1つであり、教育への公財政支出が個人及び社会の発展の礎となる未来の投資であると述べ、そして8ページで、上述した教育の姿の実現を目指し、OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考の1つとしつつ、必要な予算について財源を措置し、教育投資を確保していくことが必要であるという基本的な考え方を明らかにしたところであります。
第3章では、今後5年間に取り組む施策を体系的に整理しています。
答申からの主な変更点では、まず22ページでございますけれども、知・徳・体のバランスのとれた教育の推進の観点から、体育に関する記述を補充したということが1つでございます。
また、36ページでは、私学の振興に関する記述を補充したということなどが挙げられます。
また、42ページに記載しています第4章は、施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項として、教育に対する財政措置と、その重点的・効率的な運用、的確な情報の収集・発信と国民の意見等の把握・反映などについて記載しております。
また44ページで、教育振興基本計画を効果的かつ着実に実施するためには、定期的な点検とその結果のフィードバックが不可欠であることから、関係府省が毎年度みずからの施策の進捗状況について点検を行う必要があることや、計画の年度ごとの成果の進捗状況について、広く国民に情報提供する必要があることなどを記載しております。
以上、簡単に教育振興基本計画の概要を説明いたしました。これに関連して3点ほど申し上げたいと思います。
まず第1点でございますが、この教育振興基本計画を踏まえて、今後、文部科学省としては、まさにそれをどう具体化していくかということで、計画で示された方向性について必要な予算を確保するために厳しいシーリングの中で平成21年度の概算要求を行っております。教育振興基本計画関係の予算を関連予算ということで拾ってみますと、およそ4兆6,521億円です。昨年度がおよそ4兆2,937億円措置されておりますので、シーリングの要望もフルに活用してということでご理解いただきたいわけでありますけれども、約3,584億円の増で要求を行っているということでございます。
主な要素としては、学習指導要領の体制整備関係700億円程度、それから高等教育の国際化、医師不足対策等々で約700億円程度、それから耐震化等施設整備関係で1,300億円程度等々がその内容となっております。
2点目でございますが、教育振興基本計画の広報活動についてです。本日、資料2-2としてお示ししておりますパンフレットを作成し、配付することとしております。また政府広報あるいは私どもの関係の冊子で、できるだけ幅広く取り上げるようにすると同時に、本日ご出席の委員の方々の中からもご協力いただいております教育改革セミナーの中で、10月から11月にかけて全国7ブロックに分けて教育振興基本計画の紹介、また、それに関連するご議論をいただくこととしております。
また、日本経済団体連合会とは、早速8月に説明の会を持たせていただいたところでありますが、関係の経済団体等ともこれから順次、進めていきたいと考えております。
3点目に、このように文部科学省として、今申し上げましたような計画的、効果的かつ着実な実施という中で、毎年度、各年度の計画の実施のために何を中心に取り組むのかということを、アクションプランとして、重点的な施策を取りまとめ公表するということについて、私どもは、早急に今、取り組んでいるところでございます。毎年度、それを取りまとめ、公表し、そしてその進捗状況を毎年度点検していく、こういうプロセスが重要であると考えており、今、その取り組みを始めつつあります。
以上申し上げましたような取り組みを通じ、教育振興基本計画の着実な実施に向けて取り組んでまいりたいと思っておりますので、どうぞ引き続きよろしくご指導方お願い申し上げます。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
今、生涯学習政策局長から、今後とも引き続きということがありましたが、それに関連して私から1つ提案をさせていただきたいと思います。
この教育振興基本計画ができ上がったということは結構でありますが、今後これを具体化し、施策を明確にし、また国民に示し、進捗状況を定期的に点検するということもまた中央教育審議会の仕事の1つであろうかと思います。
教育振興基本計画を策定するに当たりましては、三村部会長のご努力のもと、教育振興基本計画特別部会においてご審議をお願いしてまいりました。今後ともこれをウォッチし、チェックしていくために、「教育振興基本計画部会」を新たに設置したいと思います。いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
【山崎会長】
ご異議がないようですので、そういうことにさせていただきます。
新しく部会をつくる場合、それにご参加いただくメンバーに関しては、中央教育審議会令によりまして、会長の私が選任させていただくことになっておりますので、ご一任をお願いしたいと存じます。よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
新しく部会ができるわけでありますけれども、それに先立って、この総会の場でも皆さんからご意見を頂戴しておきたいと存じます。
今度は全体で20分程度で、大変短い時間ですので、慌ただしいことではございますが、どなたからでもご発言をいただきます。
どうぞ、三村副会長。
【三村副会長】
特別部会で答申を出した後文科省が議員の先生方に諮り、その結果、もう少し予算の具体的な要求をやったらどうかという示唆を受け、それをいろいろ議論を闘わせていただいたが、結局、うまくいかなかった。いろいろな考え方がありますけれども、私自身は、予算の議論をあそこでやったのはよかったと思います。どこかで経なければいけないプロセスですから、そういう意味では非常によかったと思います。
私は財政制度審議会の委員でもあります。これは財務省の非常に大事な審議会ですが、私が出席している中で教育振興基本計画の議論がなされるわけですよね。私としては非常にいたたまれない気持ちなんです。ただ、政策論議をやりながら、一番ベースのところの事実認識のところで、文科省の言うところと、財務省の言うところが違っていて、この点が何ともやり切れないんですよ。
したがって、先ほどの安西委員等々の話はわかるんですけれども、結局、事実認識を日ごろから政府の中で闘わせておいてもらいたい。その上で政策論議ができるという、こういう体制をやっていただかないと、また同じことの繰り返しで、せっかくこれだけいい計画をつくったのにまた……。そういうことを痛感いたしましたので、ぜひとも今後よろしくお願いしたいと思います。
【山崎会長】
これは事務局によろしくとお願いすることでしょうか。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、増田委員。
【増田委員】
ありがとうございます。
教育振興基本計画の中で、22ページなどは、ほんとうに体育やスポーツの持つ教育力についてしっかりと書かれていて、私の立場からしてうれしく思います。
これに加えていただきたいと今考えているのは、この前、北京オリンピックもありましたけれども、するスポーツだけではなくて、見るスポーツといいますか、見てすごく自分の力になるという、その視点が欲しいなというふうに感じました。スポーツ青少年の分科会でもお隣の平野さんが発言なさって、選手たちが競技し終わった後に発する言葉1つ1つが生き方のお手本になるということを平野さんがお話しされて、その後、私も石狩のほうで仕事があって石狩市のほうにお邪魔しましたときに、女子のソフトボールの日本リーグが行われていまして、いつもは800人ぐらい来るという競技場に、そのときには3,000人、上野投手が投げるということでたくさんの人が集まっていましたけれども、やっぱりそれだけスポーツすることを見ることによっていろいろないいものを与えてもらっているんだなということを強く感じていますので、その視点も必要かなというふうに思いました。ありがとうございます。
【山崎会長】
どうも。
どうぞ。
【梶田副会長】
これから部会をつくって議論して、これの具体化を図られるということですので、もうこれに期待しているんですけれども、特別部会に私も入れていただいて、そのときに言っていたんですけれども、少しすべてが概括的過ぎるという気がするんです。ポイントをはっきりさせなければいけないのではないか。そうしないと、お金の折衝をするときでも、財務省と渡り合うのは難しいと思います。社会全体で教育を盛り上げますという、これはどこかで1行書いて悪いとは言わないけれども、その中でとりわけて学校はどうしないといけないのかは明確にしなくてはいけない。学校は教育のためにつくられた施設です。だから、社会全体でというふうに言って、例えば、学校の役割がはっきりしなければどうにもならない。だれもがとか、皆がとか、何かそういう国会で答弁すれば突っ込まれなくて済むような文章がやっぱりどうしても残ってしまっているように思います。いずれにせよ、これからが大事だと思うんです。毎年毎年個別具体の施策を盛り上げていただく。
今、三村先生がおっしゃったように、政府部内で認識の土台になる事実が食い違ってはこれはどうにもならないということもあります。しかし同時に、文科省は教育の専門の機関ですから、よそが持っていないようなたくさんの事実をもっともっと精力的に集めていただきたい。そうすると、必ずポイントが明確になるはずです。みんながとか、どの人もとか、どういう機関もとか、社会全体がとかではなくて、ここがとか、こういう点がということが出てくると思います。これからの部会での審議にそういう点もよろしくお願いしたいと思います。
【山崎会長】
ありがとうございました。
どうぞ、平野委員。
【平野委員】
どうもありがとうございます。
今度の基本計画に地域、家庭、学校の連携というすごく大きな柱が立って、私はこれ、とても大事なことだと思っています。これを進めるに当たって、将来誤解が出なければいいなと思っていることが1つありまして、これは昔はこんなこと言わなくても、地域、家庭、学校というのは、みんなが地域で、それこそみんなが何も言わなくても子どもたちをみんなで育てようという気持ちがそれぞれの役割できちっと行われていたと思うんですが、今それが家庭や地域で希薄になっていることから、学校も一緒に地域も家庭も巻き込んできちっとやろうよという意味でつくったように思うんですね。けれども、これが将来、文部科学省でこういうものをやるんだから、すべて地域も家庭のこともやっぱり学校が責任を持つんだとか、文部科学省が責任を持つべきことだみたいに誤解されてしまったらいけないのではないかと。やはり地域や家庭にしっかりそれぞれ教育というものに自立した目を向けてもらうということが必要になると思いますので、この辺をほんとうに具体的な作業をいっぱい進めなくてはいけないのではないかと思っています。
そして、数値目標とか、そういう話もかつて出ましたけれども、私はこの基本計画はすごくいい計画が出たと思っているんですね。というのは、特に心の問題や何かは1足す1は2になる世界ではないと思っています。うまくいけば1足す1が、100にも、1,000人も、1万にも、無限大の数字にもなり、また、もしまずい方向に行けば、1足す1がマイナス点になってしまうかもしれない。今の世の中はそういうことがすごくどっちかに行ってしまうような中で、プラスに持っていくというために、あんまり数字で決められないところがあって、それできっといろいろ予算の交渉も大変な部分があったのではないかとは私は思うんですけれども、でも、これからはこれを具体的に進んでいったときに、さまざまなデータをとって、そしてその成果をきちっとした評価をして分析していくことで、また今、梶田先生のお話にもありましたけれども、具体的なもっと絞り込んだポイントが見えてくるのではないかなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【山崎会長】
ありがとうございました。
どうぞ、角田委員。
【角田委員】
ありがとうございます。
今度の教育振興基本計画の中で、教育立国の実現を目指すと、こういうことを高らかにうたったということについては、大変よく評価できることだというふうに思っています。ただ、答申のときにかなり数値目標からトーンダウンしながらも、何とか数値目標に近いような表現をしていた部分がかなりあるんですね。
例えば、今回の国会報告の21ページの上から4行目のところに、ごらんいただくとわかるんですけれども、条件整備のことについて「補助教材の作成・配付などの教育を支える条件整備について検討する」というふうに、この最終的なものではなっているわけです。しかし、中教審答申のほうでは、このところが「着実に実施する」という表現であったわけです。ここのところは私、とっても大事なところなんだと思うんです。「検討する」だと、いつまでに検討して、どういうふうに次の評価を出していくのか、現場にそういうものが出てくるのかというふうなことが非常にあいまいな形になってきている。条件整備のこの教育振興基本計画で一番私たちが望んでいた部分というのは、そういうことをいつまでにどれだけのことができるかということを望んでいたわけなんですが、そういう数値目標に近いような表現が他の箇所でも「検討する」というふうな形で濁されてしまったということを非常に残念に思っています。
第1回目ということ、それから今の経済状況からやむを得ないというふうに言うことは簡単なんだけれども、ほんとうに教育立国を実現するという気持ちがあるのかないのか、この辺のところは、今回これから新しくできる部会のところでしっかりと検討をしていただき、なおかつ文部科学省で単年度計画で出される概算要求の中で、きちっと実現していただくことが、まさに教育立国としての実現が可能なことにつながってくるのではないかというふうに思っておりますので、今後ひとつまたさらによろしくお願いしたいと思います。以上です。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
どうぞ、安西委員。
【安西委員】
中教審といいますか、文部科学省といいますか、中教審と、それから財政審との事実の解釈が違っていたというのは、三村部会長おっしゃるとおりで、そういうところはやっぱり国としてほんとうに教育立国としてやっていくのであれば、そこのギャップをぜひ新しい部会ができるであれば埋めていく努力をしていただきたいなというふうに思います。
文部科学省側としても、データをもっともっと集められて、それで政策が推進できるような、そういう地盤をつくっていただきたいなというふうに念願をしております。
自分としては、大学分科会のほうでは、特別部会ができるずっと前から具体的な目標を立てるべきではないかということは申しておりましたし、記録にも残っておりますし、そういう中では、こういう言い方をするとあれですけれども、予算の話はなるべくしないでというとおかしいかもしれませんけれども、財政的な話はあんまりせずにやっていこうという、何となくそういう雰囲気があったような気も、これは気ですからわかりませんけれども、ただ、今、これからの状況というのは、やはり質の向上ということと、その財政基盤の後者のほうも抜きにしては語れなくなってくるので、そこは中教審としてもぜひ、財務省とどうということよりも、やはりそこのところの車の両輪になりますから、そういうふうな形で議論をしていっていただきたいなというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。
【山崎会長】
どうも。
どうぞ、島田委員。
【島田委員】
ありがとうございます。
今の流れではなく、別の視点でよろしいでしょうか。
多様なニーズという観点から発言させて頂きます。先程のご発言にもありましたように、人材の流動化などで企業の人材育成の考え方も変化してきています。つまり、企業で行ってきた社会人としての基礎研修や、即戦力としての研修を、大学にも求められるようになってきています。一方では教育は長期的観点で行うべきだという考え方があります。それは両方とも現実だと思うんです。
むしろこれからは、人生のいろいろな過程で自ら学ぶという視点が必要になってきて、そういう人たちを、大学としてどのような政策をもって受け止めるかが重要になってくると思います。現在、通信教育とか、生涯学習センターとか、あるいはリカレント教育課程など、様々なかたちで行われている大学での社会人教育を、国の大学政策としてどのようなサポートや整備をしていくべきか検討していく必要があると考えます。多様な学びを確保する必要もありますが、同時に、だからこそ質の保証のために政策を持たなければならないのではないでしょうか。先ほど専門学校による課題が挙げられておりましたが、そういうところとの関係も含めて、是非ご検討いただければと思っております。
【山崎会長】
どうぞ、郷委員。
【郷委員】
先ほどのお話ですと、毎年、ことしの計画、それからその予算にも多分反映されてこの基本計画が実行につながるような形で動いていくんだとご説明いただいて、大変心強く思いました。
今、大学だけの問題とか、小中学の教育だけの問題ではなく、日本の教育全般のシステムをどう変えていくかという、その視点でぜひ文部科学省の局、担当を超えてお願いしたいと思います。
例えば、小中学校の教科書の問題、きょうも私、総合科学技術会議のほうでヒアリングをさせていただいている場所から出てまいりましたけれども、そこだけの話になってしまうのではなく、教科書が今まで薄くて、例えば理科、算数、そういう教科書を何とかしなければいけないという問題、じゃあ、それを教える教員はどうするのか。それから、小学校、中学校、高等学校、大学、全部を通して教育というシステムを、せっかくこの教育振興基本計画ができたのですから、骨太の文科省としての教育の全体像を立てていただいて、毎年その予算の概算要求にもぜひお示しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【山崎会長】
どうも。
どうぞ、荻上委員。
【荻上委員】
せっかくこういう立派なパンフレットをつくっていただきましたので、ぜひこれを1人でも多くの国民の皆さんに理解していただけるように、あらゆる機会をとらえて努力をしていただきたいと思います。
文部科学省と財政当局の間でやりとりしていると、どうも何となくこちら側が分が悪いようなことになりかねないかと危惧いたしますが、やはり最終的に判断するのは国民ですから、特に近い将来そういった機会もあるのではないと思いますので、ぜひ国民に理解をしていただいて、国民からこれを応援していただけるような、そういうことを考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【山崎会長】
野依委員、どうぞ。
【野依委員】
また財政のことを言うんですけれども、どこにどれだけお金を費やしたら一番効果があるかということを具体的に考えなければいけないと思います。私は、安西委員をセコンドさせていただきたい。日本の高等教育費はGDP比0.5パーセントにすぎない。これは明確にOECD参加の他国平均の1.0パーセントと差があるということです。この0.5パーセントというのはいうと、2.6兆に相当するわけです。この差が出てくるのは、どこが一番違うのかということです。
先ほど
永局長がおっしゃいましたけれども、「学生本位の視点に立つ」という点が、日本の大学教育、特に大学院教育で欠落しているわけです。一番大きな問題は、大学院生に対する財政支援が全然欠けていることです。世界のいかなる国、日本以外の国では、大学院の学生は、一応生活できるだけの支援を受けているわけです。大学院教育は学生個人の利益というよりも、国益に大きく資すると考えるからです。
ヨーロッパでは、すべて国庫といいますか、公的な支援です。アメリカの場合には、公的なものと私的なものとさまざまなものが混ざっておりますけれども、これは相当な額になります。日本はほとんどこれがゼロに近い。これが最大の問題点です。
日本で今、大学院生が26万人ぐらいおります。これに月20万円支援すればどうなるか。なぜ20万円といいますかというと、これはワーキングプアであるかどうかという境界ですね。年間に1人240万円を給与する、貸与ではなくて給与しますと、これだけで既に6,200億円かかるわけです。これの給与が欠落していることを申し上げたい。私はこれを全部国から支出するかどうかということは議論の余地があると思います。しかし、仮にこれを半分支援するとしても、3,000億の支出になります。これぐらい大きなものが欠落しているということです。
文部科学省は、十数年前から、大学院を拡充して教育を格段に向上すると言いながら、ここのところを怠ってきたわけです。今、大学院の脆弱化の原因は、ここに大きなポイントがあると思います。
文部科学省は、さまざまな項目について財政支援のご検討になっていて大変だと思いますけれども、高等教育、特に大学院教育の充実については、ぜひぜひこの点をご検討いただきたい、こういうふうに思います。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。
まだまだいろいろとご意見があると思いますが、部会も新しく発足することでありますし、そこで皆さんのご意見を反映させていきたいと存じます。
本日は、長々と貴重なご意見、ご議論をありがとうございました。
次回の中教審総会につきましては、追って事務局のほうからご連絡いたします。
本日はどうもありがとうございました。
─了─
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