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資料2−2

文部科学大臣諮問理由説明

平成20年4月18日

 21世紀に入り、間もなく10年が経過しようとしています。この間、グローバル化や情報化等が想像を超えるスピードで進み、その結果、社会は急速にその姿を変えています。今や、わずか数年単位でそれまでの社会基盤や、人々が共有する基礎的な技術・考え方が大きく変貌するに至っています。青少年はこのような社会で育ち、来るべき新しい社会を作る存在であることから、急激な変化に対応できるよう、多様な能力・資質を備えることが求められます。特に、個として確立しつつ、激動する社会の一員として、その形成に積極的に参画していくことが必要であり、一昨年に60年ぶりに改正された教育基本法においても、教育の目標として「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと」と新たに規定されています。
 次代を担う青少年が自立した存在として育つためには、青少年期を大人への準備期間として、人格の基礎を築き将来の夢や希望を抱いて自己の可能性を伸展させる時期とするとともに、自らの人生をどう設計していくかについて考える時期とする必要があります。このためには、学校、家庭、地域のそれぞれが、時代の要請に対応しながら、相互に密接に連携して、いわば「社会総がかり」で青少年の健全育成に取り組むことが求められます。

 このため、このたび、新しい時代に求められる青少年教育の在り方について、御検討いただきたく、以下、諮問理由について、御審議をお願いしたい事項と併せ若干敷衍(ふえん)して説明させていただきます。

(1)これからの青少年教育の意義・役割について

 青少年が社会の責任ある一員として成長していく過程では、学校教育において「生きる力」を育むとともに、地域社会において大人や多様な年齢層の人々と触れあい、また、自然体験をはじめ文化・芸術や科学などに直接触れる体験的な学習活動等を通じて、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心などをはじめとする豊かな人間性や協調性などを身に付けることが必要であると考えます。
 しかし、現状では、青少年に対する教育は、その大半を学校が担っており、多くの大人が自らの子ども時代と比較して、地域の教育力が低下していると感じているとの調査結果に示されるように、青少年教育は期待される役割を十分に果たしているとは言い難い状況にあります。また、地域において青少年に身近な存在として機能してきた青少年団体は、これまでも団体ごとの特色を活かし、自然体験活動やボランティア活動などを通じて青少年教育にあたってきましたが、近年、その組織率は低下傾向にあり、活動規模や参加者等が縮小したり、旧来の事業がそのまま何年間にわたって続けられるなど、低迷している状況にあります。
 一方で、教育再生会議が、子どもたちの社会性、感性を養い、視野を広げるため、小学校で1週間の集団宿泊体験や自然体験・農林漁業体験活動が必要である旨の提言をし、また、今般改訂された学習指導要領においても教育課程の編成に当たり、自然体験やものづくりなどの体験的な学習活動を積極的に取り入れることを求めております。こうした体験活動を実施するためには適切な場や指導者、多様な活動プログラムが整備されることが必要となりますが、これらを教職員をはじめとする学校教育関係者だけで整えることには大きな困難が生じます。すなわち、今後の青少年教育に対しては、これまで培ってきた体験活動に関する指導者やプログラムといった教育資源を学校教育の場で活用するという新たな要請も生まれています。
 こうした状況を踏まえ、学校と地域・家庭が車の両輪として青少年の健全育成を行うという本来の姿に向け、青少年教育の再構築を図るために、改めて、青少年教育の意義・必要性とは何か、学校との連携はいかにあるべきか、今後、青少年教育が果たすべき役割とは何か、という点について今日的な見地から専門的な検討をお願いしたいと考えております。

(2)青少年教育における国、地方、民間の役割と連携について

 青少年教育については、国、地方公共団体、民間がそれぞれの立場で様々な取組を行っております。この中には、一見すると内容等が相互に重複しているように見えるものもあります。また、国や地方公共団体の財政が厳しい状況にある一方で、近年、青少年教育の重要性に対する社会的関心の高まりに応え、民間レベルにおいて様々な取組が行われてきています。それらの中には、多くの参加者を集め、広範囲にわたって事業を展開しているものもあることから、今後はこれら民間レベルの取組を推進していくべきだとの意見も見られます。さらに、構造改革や地方分権が進み、国と地方、官と民との役割分担が従前とは変化する今日、青少年教育における国、地方、民間における取組の意義・役割や相互の関係も、この変化に対応していくことが強く求められております。
 このような中、青少年教育において、国、地方、民間がより効果的にそれぞれの取組の成果を挙げることができるよう、地方や民間が担っている役割や今後期待される役割等を把握・検討した上で、国はどのような役割を果たし、どのような事業を実施していくべきかという国がとるべき施策の方向性や、地方や民間とどのように連携を進めていくべきかという点についても、御審議いただきたいと思います。

(3)青少年教育施設の在り方について

 青少年教育施設は、青少年教育の場として大きな意義を有しており、国や地方公共団体によって、全国に広く設置されています。これらの施設では、集団での宿泊研修や体験活動を実施しており、青少年の体験活動不足が指摘される中、その意義は増しています。その一方で、公立施設が全国に設置されていることを踏まえ、国立施設を自ら設置・運営していく必要性や、国立施設でなければ果たせない機能・役割について、早急に検討していくことが求められております。
 また、従来型の青少年教育施設は、多様化するニーズに十分に応えられているのかという指摘もあります。さらに、行財政改革や規制改革の観点から、市場化テストの導入や業務の一層の民間委託等が必要だとの指摘もあり、これらを受け、国立施設の管理運営の効率化を求める声も高まっています。こうした動きに、どう応えるかについても検討する必要があります。
 さらに、公立施設についても、指定管理者制度による新たな管理運営方式の導入や、財政上の問題を理由として施設を廃止・統合する動きも進んでいます。
 このため、改めて青少年教育の意義・重要性を踏まえ、国公立の青少年教育施設について、その管理運営の在り方、国として国立施設に今後期待する役割、国公立施設および民間施設との役割分担やそれを踏まえた連携の在り方などについて、御議論いただきたいと思います。

(4)その他今後の青少年教育の推進方策について

 これらに加え、その他の青少年教育の新たな振興方策についても御検討頂きたいと存じます。たとえば、現在、独立行政法人国立青少年教育振興機構に設置されている「子どもゆめ基金」を中心として実施されている民間青少年団体に対する支援の在り方を、今後どのようにしていくのか、また、ニートや引きこもり、不登校などの問題を抱える青少年をはじめとして、青少年教育が対象とする層が多様化している中にあって、これらに対する教育プログラムの開発や指導者の養成をどのようにしていくことが適当か、青少年教育におけるスポーツの役割はどのようなものか、さらには、グローバル化する中にあって青少年の国際交流をどのような視点から充実させていくことが必要であるか、等についても幅広く御審議いただきたいと考えております。

 以上、今後の審議に当たり、当面、御検討をお願いしたい点について申し上げました。このたび諮問した事項について、会長、副会長をはじめ、委員の皆様におかれては、幅広い観点から忌憚のない御意見をいただきますようお願いいたします。
 なお、このたびの諮問事項については、その内容が広範多岐にわたることから、これらを一つ一つ着実に実現していくため、本審議会におかれましては、審議の区切りがついた事項から逐次答申していただきますようお願いいたします。