平成20年1月17日(木曜日)15時~16時
学術総合センター「中会議場」(2階)
(東京都千代田区一ツ橋2-1-2)
山崎会長、梶田副会長、三村副会長、安彦委員、飯野委員、梅田委員、衞藤委員、岡島委員、荻上委員、金子委員、菊川委員、黒田委員、郷委員、佐伯委員、島田委員、田村委員、角田委員、寺島委員、中村(吉)委員、中村(正)委員、平野委員
渡海文部科学大臣、松浪副大臣、保坂大臣政務官、原田大臣政務官、鳥居文部科学省顧問、銭谷事務次官、林文部科学審議官、玉井文部科学審議官、加茂川生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、樋口スポーツ・青少年局長、川上生涯学習政策局政策課長、高橋教育課程課長、作花学校健康教育課長、他
【山崎会長】
それでは、そろそろ定刻になりましたので、ただいまから中央教育審議会、第63回総会を開催いたします。
本日はご多忙の中、皆さんご出席いただきましてまことにありがとうございます。本日の総会では、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」、その答申案及び「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」、別個の答申案をお出ししてご審議をいただきます。
本日は答申案を審議するということで、会議の公開に関する規則に照らしますと非公開ということになるのが通常でありますが、今回の答申案は、特に国民の皆様の関心が極めて高いということを考慮いたしまして、公開で行いたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【山崎会長】
それでは、皆さんのご了承を得られましたので、本日の会議は公開とさせていただきます。
本日は松浪副大臣、保坂大臣政務官、原田大臣政務官、政務官お二人は初めてのご出席でありますが、ご出席いただいております。また、渡海大臣は遅れてご出席の予定です。というわけで、開会に当たり、松浪副大臣から一言ごあいさつをいただきます。よろしくお願いします。
【松浪副大臣】
座ったままで失礼いたします。改めまして、新年、明けましておめでとうございます。先生方におかれましては、ご家族おそろいで輝かしい新春をお迎えになられましたことを、心からお喜びを申し上げます。
第63回中央教育審議会の総会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。本日はご多忙の中、ご出席を賜りまことにありがとうございます。本日の総会は、平成20年最初の総会でございます。昨年は教育三法の成立をはじめ、新しい教育基本法の理念を踏まえ、諸改革がスタートいたしました。本年は関連法制の整備や教育振興基本計画の策定等によりまして、教育再生をさらに推進していくことが必要でございます。
先生方の変わらぬご指導とご鞭撻を謹んでお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。続きまして、保坂、原田両政務官に一言ずつごあいさつをお願いいたします。
まず、保坂政務官、原田政務官の順でお願いいたします。よろしくどうぞ。
【保坂大臣政務官】
座ったまま失礼いたします。ご苦労さまです。昨年8月に文部科学大臣政務官を拝命いたしました保坂武です。大臣の命によりまして教育、文化、芸術等を担当させていただいております。本日は伝統ある中央教育審議会に初めて出席をさせていただいたものであります。大変光栄に思っております。各委員の先生方には格別のご指導、ご鞭撻をなおよろしくお願いをしたいと存じます。
さて、この後の議事におきましては、学習指導要領の改善についての答申案を審議されると伺っております。分科会長をはじめとして、これまで約3年にわたり精力的なご審議をいただきまして、本当に感謝をする次第であります。本日も意義ある審議会が行われることをご祈念させていただきます。よろしくお願いいたします。
【原田大臣政務官】
皆さん、明けましておめでとうございます。保坂大臣政務官とともに、昨年の8月に文部科学大臣政務官を拝命いたしました原田令嗣でございます。大臣の命により科学技術、学術及びスポーツを担当しております。山崎会長をはじめ、梶田、三村副会長、そして、中央教育審議会の委員の皆様方には格別のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日の議事におきましては、学習指導要領の改善についてのご審議に続きまして、子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について、答申案の審議をされると伺っています。原案の取りまとめに当たられました衞藤スポーツ・青少年分科会会長をはじめ、委員の皆様方のこれまでのご尽力に感謝申し上げるとともに、取りまとめの審議をどうぞよろしくお願い申し上げます。
私のあいさつとさせていただきます。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。副大臣、政務官のごあいさつを伺っていて、私は新年のごあいさつを言いそびれたことに気がつきました。さすがは政治家だと思って感心をしております。ありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきます。はじめに「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」、この答申案について審議したいと思います。つきましては、梶田初等中等教育分科会長からご説明をお願いいたします。どうぞよろしく。
【梶田副会長】
初等中等教育分科会長をやっております梶田でございます。本日、私からは教育課程部会において3年間審議をして、やっと取りまとめができました「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」の答申案についてご説明をさせていただきます。
本日、皆さんのお手元にお配りしてあります資料1がその答申案となっておりますので、ごらんいただければと思います。
3年間やってまいったわけですけれども、昨年11月7日に「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」を決定・公表し、その後、1カ月にわたって多くの国民の皆さんにご意見をいただき、また、42の関係団体からもヒアリングをいたしました。それを土台にいたしまして、また、教育課程部会で少し内容の検討をいたしましてまとめたわけですが、その間、12月19日には、この総会でも報告をさせていただいております。総会でいただきましたご意見につきましてもこの答申案に入れさせていただいております。
教育課程部会におきましては、昨年12月25日に今申し上げたいろいろなご意見を踏まえ答申案を取りまとめました。そして本日、この総会の前に開かれました初等中等教育分科会において、その答申案を皆さんにご了承いただいたということでございます。
前回の総会で報告いたしました「審議のまとめ」から、本日見ていただいております答申案におきましては、学習指導要領改訂の基本的な考え方などについては大きな変更はございません。現行の学習指導要領は「生きる力」をはぐぐむということを理念としておりますが、これはよく「知識基盤社会」と言われる現代において、ますます重要になってくるということで、この理念は変えないと。ただ、それに取り組む具体的な視点、手立てにつきましては、今の子どもたちの持っている問題点、あるいは課題、あるいは子どもを取り巻く状況ということを考えながら、新しい学習指導要領の内容等にしていかなければいけないということで提言しているわけであります。
そういう中で、今回の特徴の1つは言語活動、言葉の問題を非常に重視しているということであります。言葉の問題はご承知のように、コミュニケーション能力としてよく言われてきましたけれども、第一言語として考えるこの日本語の場合には、それ以上に認識の道具であり、思考の道具であり、判断の道具でありという、その人が生きていく上での土台になる、中核になるものであるという認識のもとに、国語科の教育のあり方だけではなくて、あらゆる教科において、もっと言葉ということの、今のコミュニケーション能力以上の土台になる力を育成しようということで、いろいろな活動を入れることを提案しております。
また同時に、幾つかの柱ということでありますけれども、理数系の学力を国際水準にまで何とか持っていきたい、回復したいとか、いつの間にかそこで見劣りするようなところもあります。あるいは改正教育基本法を受けました伝統文化の問題も日本の伝統文化だけということになりますと、またエスノセントリズム、日本のことだけというと大変になりますので、そういう意味ではなくて、そういう要素をもう一度きちんと位置づけていこうと。これはご承知のように、改正教育基本法だけではなくて、民主党案にもこのことがうたわれておりまして、全国民的なものであろうということで入っております。等々、柱として新しい、つまり現行の学習指導要領には必ずしも十分に表現されていなかったものを入れて、新しい教科等の構成を考えております。
「審議のまとめ」から本日までに、つまり11月7日から今日に至るまでに、もちろん表現が変わっている部分はありますけれども、ほとんど同じ内容できておりますが、主として2点だけ変更点がございますので、それを申し上げておきます。
1点目は、中学校の選択教科でございます。これにつきましては「審議のまとめ」の時点では、総合的な学習の時間の一部、2時間のうちの1時間を使って選択教科の時間にしてもいいという注釈をつけておりましたが、それをやめまして、総合的な学習の時間はそのまま総合的な学習の時間で丸ごと使ってほしいと。選択教科で今もうまくやっているところは、規定する時間の枠外でやってほしいということを打ち出しております。ご承知のように、現行の学習指導要領の基本性格というのは、2003年12月26日付の通知、あるいは同日付の学習指導要領の一部改正の告示にもありますように、最低基準になっております。内容的にも、時間数も学校及び設置者が判断すればプラスアルファできますが、そういうことを活用してほしいということになっております。
それから、もう1点は道徳の時間の教育課程上の位置づけについてであります。これも本当にいろいろなご意見をいただきました。これはヒアリングでも国民の皆さんからのご意見でもいただいております。ただ、方向は皆さん同じです。つまり、今の子どもの、あるいは若者の現状を見ますと、何とか道徳教育を本当の意味で充実強化しなければいけないだろう、こういう点では一致しております。そういうことで、この答申案でも道徳教育の充実強化をうたっております。ただ、これをどう具体化していくか。例えば、教科にすればいいのかどうか。これは、中教審答申としては、今回はそこまで踏み込まなくていいのではないかという判断になりますが、しかし、これの具体化につきましては、この答申を踏まえて文部科学省及び関係機関でしっかりと取り組んでいただけたらと考えております。
教育課程部会としましては、この答申案を取りまとめるのに、今申し上げたように第3期、第4期ということで、ほぼ3年間、60回に及ぶ長い議論を重ねてまいりました。その間、教育課程部会の下に学校段階別、各教科等ごとの専門部会を設置いたしまして、ここでも別途、非常に詳細にわたる議論をしていただきました。多分、かかわっていただいた教育課程部会のメンバー、専門部会のメンバーをあわせますと全部で四、五百人になるのではないかと思っております。こういう審議の結果、初等中等教育分科会で8回、途中経過についてご意見をいただき、この総会にもこれまでに4回中間的なものをご報告いたしまして、ご意見をいただいたところであります。
本日はそういう流れの中での長い審議の積み重ねとして、お手元にある資料1のような形でまとまってまいりましたので、これを皆様にご了承いただき、これを受けて文部科学省において、具体的な学習指導要領の改訂作業をお進めいただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。梶田分科会長には本当にご苦労いただきました。事務局から補足的な説明があればお願いいたします。
【金森初等中等教育局長】
初等中等教育局長の金森でございます。答申案の内容につきましては、ただいま梶田分科会長からご説明があったとおりでございますが、私から全体の構成と「審議のまとめ」からの変更点などにつきまして、補足説明をさせていただきたいと存じます。お手元の資料1の答申案の153ページ、真ん中より後に赤い色の紙がございますが、この次でございます。153ページ、答申案の概要がございます。これに沿ってご説明させていただきたいと存じます。
「1.教育の目的とこれまでの学習指導要領改訂」に始まりまして、1から2、3、4、5までは総論の部分でございます。子どもたちの現状と課題を踏まえながら、課題の背景や原因について分析した上で、学習指導要領改訂の基本的な考え方が提示されております。153ページ、真ん中には2といたしまして、「現行学習指導要領の理念」というところがございます。「生きる力」をはぐくむという理念は、「知識基盤社会」と言われる変化の激しい時代の中でますます重要になっているという認識のもと、154ページ、「4.課題の背景・原因」というところがございます。
(2)といたしまして、「学習指導要領の理念を実現するための具体的な手立て」では、現行学習指導要領についての5つの課題といたしまして、
「生きる力」の意味や必要性について、文部科学省と学校関係者、社会との間の共通理解が不十分であったとか、
子どもの自主性を尊重するあまり、教師が指導を躊躇する状況があった、
各教科と総合的な学習の時間との連携が不十分、
各教科において知識・技能の習得とそれらを活用する学習活動を行うには、現在の各教科の授業時数が不十分、
家庭や地域の教育力の低下を踏まえた対応が不十分などの指摘がございました。
こういった課題を踏まえまして、学習指導要領改訂の基本的な考え方を7項目にわたって整理いたしましたのが、次の「5.学習指導要領改訂の基本的な考え方」でございます。それを踏まえまして、小、中、高等学校といった各学校段階の教育課程の改善について整理いたしましたのが155ページの下のほう、「6.教育課程の基本的な枠組み」というところでございます。その中では、各教科で基礎的・基本的な知識・技能の定着とともに、実験・観察、レポートの作成や論述といった知識・技能を活用する学習活動を充実することによって、思考力・判断力・表現力等をはぐくむことが重視されております。そのためには、小・中学校の国語や社会、算数・数学、理科、外国語の授業時数を増加することとされているところでございます。
それから、157ページは、7といたしまして、「教育内容に関する主な改善事項」がございます。(1)といたしまして、論理や思考などの知的活動のみならず、コミュニケーションや感性・情緒の基盤である言語活動を重視することといたしまして、国語のみならず、各教科においてレポートの作成や論述などの言語活動を充実することといたしております。
(2)理数教育の充実といたしまして、科学技術の土台である理数教育について、授業時数を増加させ、国際的な通用性の観点から、指導内容についても充実することとされております。
(3)伝統や文化に関する教育の充実といたしまして、記述がございます。
また、子どもたちの豊かな心の育成に当たりましては、(4)道徳教育の充実や(5)体験活動の充実が必要とされております。
また(6)小学校の外国語活動につきましては、幅広い言語に関する能力や国際感覚の基盤を培うため、高学年で週1コマ程度を実施することとされております。
158ページ、「8.各教科・科目の内容」について記載がございます。そのほか、教育課程の改善につきましては161ページに飛びますけれども、9といたしまして教育条件の整備でございますとか、10.家庭や地域、企業、大学等との連携を重視していくということがこの答申案の1つの特徴だと考えております。
それから、次に答申案における審議のまとめからの主な変更点の概要についてご説明を申し上げたいと存じます。これにつきましては大変恐縮でございますが、本文のところでご紹介を申し上げたいと思います。まず、5ページでございますけれども、一番下の
のところ、「なお、中央教育審議会としては」というくだりがございますが、ここでは、新しい学習指導要領が、円滑かつ確実に実行されるように指導体制の確立や教科書の充実といった教育条件の整備も含めたフォローアップが必要である旨の記述を追加いたしております。
それから、次に7ページでございます。最後の段落でございますが、教育課程の改善に当たりましては、まず、日本の教師は頑張っていることを前提といたしまして、学校、教師、子どもたちが持っている大きな力をより一層十分に発揮できるようにすることが必要である旨の記述を追加いたしております。これは前回の総会におけるご意見を踏まえた修正でございます。
それから、12ページから14ページにかけましては、先般公表されましたOECDのPISA調査(2006)の結果を踏まえた内容を追加いたしております。
それから、17ページの一番下の
では、「生きる力」の理念が共有されなかった背景といたしまして、文部科学省(文部省)による趣旨の周知・徹底が必ずしも十分ではなかった点を明確化いたしました。
それから、37ページでございますが、上から3つ目の
では、先ほど梶田分科会長からもご紹介がございましたように、中学校の選択教科につきまして、標準授業時数の枠外で各学校において開設し得ることが適当である旨の記述を追加いたしております。
それから、60ページから61ページにかけましては、道徳教育の充実の関係でございますけれども、道徳教育を充実・強化する観点から、適切な教材が教科書に準じたものとして、十分に活用されるような支援策が必要である旨の記述を61ページの頭のほうに追加いたしております。
最後になりますが、少し飛びまして141ページでございます。条件整備などに関しまして、下から2つの
でございますが、各地の教育センターの機能の強化や企業などの学校教育へのより積極的な協力、参画等についての言及を追加いたしております。企業の点につきましては147ページの下から2つ目の
でございますが、今、申しました企業の学校教育への積極的な協力・参加について追加いたしております。
これ以外にも前回の総会においていただきましたご意見、例えば、自然体験活動と集団宿泊活動など、体験活動の多様性に留意した記述とすべきといったご意見につきましても、関係部分で記述を整理したところでございます。
以上が主な変更点でございます。ありがとうございました。
【山崎会長】
どうもありがとうございました。それでは、これから委員の皆様方のご意見、ご質問を承りますが、何分にも180ページを超える膨大な答申案であります。分科会あるいは部会でお聞きのように、大変念の入ったご討議の末でき上がったものでありますし、総会においても数次にわたって既にご審議をいただいたものが内容となっております。そういうわけで、これだけはという非常に重いご質問、あるいはご意見に限って伺いたいと存じます。どうぞよろしく。
どうぞ、寺島さん。
【寺島委員】
すいません、中座しなければいけないので2点だけ発言させていただきます。今回の根幹は、世の中的に言うと、ゆとり教育を転換したということになるかと思うんですけれども、授業数を増やして、総合学習を減らしたということなんですが、まず1点申し上げたいのはもちろん原案賛成なんです。なぜ総合学習というものを生かし切れなかったのかということをもう1回考え直してみて、それを踏まえた上で、減って残した総合学習の中身をどうするのか。ここらあたりをしっかりしないと、ますます総合学習が中途半端なものになるのではないのかという懸念がありますので、むしろこの段階で総合学習の中身について、踏み込んだ方向づけをしていただきたいというのが1点目です。
もう1点は道徳教育なんですけれども、規範意識の欠落というのは痛感するわけですが、国で一元的な教科書というものをつくるのではなくて、教材のようなものという方向づけはそれでいいかと思うんですけれども、ぜひ地域の個性、地域力を生かした副読本だとか、やわらかく地域を参画させていく方向に、この道徳教育の方向をもっていっていただきたいということだけ、2点発言させていただきます。
【山崎会長】
ありがとうございました。後半のご趣旨は既に生かされていると思いますし、前段の話は今後の議論の中でまだ展開されるものだと思っております。ほかにどなたか。どうぞ。
【飯野委員】
今のご説明を伺っていると、この案は大変よくまとまっていると思いました。ただ、理念、方針というのはよくわかりましたが、その理念や方針を実際に実践して、子どもにじかに接する教員に関してはどのようなご議論があったのかなと思いました。教育においては、人が非常に重要だと思うものですから。
資料の141ページに教師の資質向上という部分がございましたが、ここで述べられていることは、今の印象では資格だけのことで、資質とは違うように思います。その辺もご議論があったんでしょうか。
【山崎会長】
どうぞ、梶田委員。
【梶田副会長】
非常に大事なことだと思います。私、初等中等教育分科会の教育課程部会もお世話役をさせていただいておりますが、同時に教員養成部会という教師の力をつけるという、これもお世話役をさせていただいております。ある意味では連動させながら議論してきたと思っております。
おととしの7月に教師の力量を高めるために答申を出しまして、3つ入っております。1つは大学の教員養成の課程、中身をもう一度充実するように考え直さなければいけないということで、これは21年度から大学の教職課程のあり方が少し変わります。2番目に免許の10年ごとの更新制も答申を出して、これも21年度からやることになっておりまして、今、具体的にどういうやり方でということでやっております。3番目に、教職大学院制度を創設するということで、これはこの4月から19の大学が設置を認可されていきます。
こういうことで枠組みを変えていくと同時に、教員の問題、最後は教育は人なり、人ですので、皆さんもご存じだと思いますけれども、中教審として教育関係の4つの法律の改正について、昨年3月10日に答申を出しました。その教育三法と通称されているものですが、実は4つなんですが、その中にご承知の力量が不足している先生の研修に出ていただくときの仕組みについて、教育公務員特例法を変えるとか、あるいはそれの大きな枠組みになっています、これは地教行法に書いてありますけれども、これについてもきちんともう一度整理して見直すということを答申の中で言って、それが今、実現しておりますので、おっしゃるとおりでありますが、そういうことを前提にこれを今回やっていこうということであります。
【山崎会長】
ほかにいかがでしょうか。これから、この答申は大臣にお渡しした後、文部科学省内でいろいろと具体化、かみ砕いていただくことになっております。そのプロセスでも皆さんのご意見を受け入れることは可能だと思いますので、特にご質問がなければ、この答申案をご了承いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【山崎会長】
ご異議ないものと判断させていただきます。では、この学習指導要領等の改善についての答申は本中央教育審議会の総会の意見とさせていただきます。
それでは、引き続いて、「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」の答申案を審議したいと思います。
衞衛スポーツ・青少年分科会長から答申案の説明をお願いいたします。どうぞよろしく。
【衞藤委員】
スポーツ・青少年分科会長を務めております衞藤でございます。資料1の次にございます無番号の資料をごらんください。昨年の3月29日に文部科学大臣より諮問をいただきまして、その後、分科会を開き、学校健康・安全部会を設置いたしまして、その部会にて10回検討を重ね、昨年12月19日に本総会において、審議経過をご報告したところでございます。
その後、パブリックコメント等も加味いたしまして、本年1月10日にスポーツ・青少年分科会及び学校健康・安全部会の合同の会議を開きまして、本答申案をまとめたところでございます。
それでは、この資料の70ページをごらんいただきたいと思います。その概要を説明させていただきます。本答申案におきましては、最初に子どもの健康・安全を守るための基本的な考え方を示しました。学校は、心身の成長発達段階にある子どもが集い、人格を形成していく場であり、子どもの健康や安全を確保することが不可欠の前提であります。
そのため、学校において、子どもがみずからの健康をはぐくみ、安全を確保することができる基礎的な素養を育成する健康・安全教育を行うとともに、家庭や地域との連携のもとに、子どもの健康・安全を確保するための取り組みを進めていくことが学校に求められています。
以上のような基本的な考え方のもと、学校保健、食育、学校給食、学校安全に関しまして、学校内の体制の充実についての観点と、学校、家庭、地域との連携の推進についての観点から、具体的な方策についての審議を行いましたので、順次、ご説明申し上げます。
次に
というところですが、初めに学校保健の充実を図るための方策についてご説明申し上げます。近年、生活習慣の乱れ、メンタルヘルスに関する課題、アレルギー疾患、感染症など多様な健康課題が生じており、このような課題に適切に対応しつつ、子どもの健康を保持増進することが求められています。
そのため、保健体育科等において適切に保健教育を実施するとともに、養護教諭の専門性を活用しつつ、学校保健を重視した学校経営がなされることが喫緊の課題となっています。また、子どもの健康課題に対応した学校の管理運営がなされるよう関係法制の整備に向けて検討を行うとともに、保健主事等の教職員の資質能力の向上、学校医等との協力関係の充実、教育委員会による指導・支援体制の強化等を図る必要があります。
さらに、子どもの健康の保持増進を図る上で、家庭との連携、地域の医療機関等との協力関係を確立することが重要だと考えております。
71ページの最初の
をごらんください。具体的には養護教諭を中核として、担任教諭等及び医療機関など学校内外の関係者と連携・協力しつつ、学校保健も重視した学校経営がなされることを担保するような法制度の整備について検討することが求められているものと考えております。
また、研修により養護教諭が不在時に、経験豊かな退職養護教諭に協力いただくことなどにより、養護教諭の専門性を学校保健活動全体に生かす環境整備を行うことが必要だと考えます。
次に、3つ目及び5つ目の
についてご説明します。
また、子どもの心身の変化について、早期対応を図ることができるよう、学級担任等による日常的な健康観察を充実することが求められます。さらに学校医等の専門的な知見を学校保健活動に有効に活用することが必要だと考えます。なお、学校の環境衛生を清潔に保ち、子どもの健やかな学校生活を保障するため、学校環境衛生基準の法制度上の位置づけを検討することが必要だと考えます。これは7つ目の
です。
以上に加え、学校と家庭・地域社会との連携による学校保健活動を実現するため、市町村教育委員会に「学校地域保健連携推進協議会(仮称)」を設置し、市町村教育委員会を中心としつつ、小児医療などの専門家や保健部局などの参画を得て、地域の実情を踏まえた計画を策定し、子どもの現代的な健康課題に関しまして、地域ぐるみで取り組みを推進することが必要だと考えます。
次に72ページをごらんください。学校における食育の推進を図るための方策について申し上げます。
食は健康な生活を送るための基礎となるものであり、子どもの健やかな成長発達のためにも、また、生活習慣病等への対応など生涯にわたる健康な生活を築く上でも、食に関する正しい知識と実践力を子どもに身につけさせることが極めて重要な課題となっています。
学校における食育を推進するため、栄養教諭の配置を促進するとともに、学校の教育活動全体として、系統的・組織的に食育を推進する体制を整備し、また、各教職員の指導力を高める必要があると考えます。
また、学校給食を活用した食育の推進を図るため、昭和29年に制定された学校給食法における目的の見直しや栄養教諭の果たすべき役割を明確化するなど、関係法制の整備に向けて検討を行うことや、地場産物の活用により地域への理解を深め、郷土の食文化を継承していく取り組みを行う必要があると考えます。
さらに、家庭や地域社会との連携を強化し、地域社会として食育を推進する体制を確立することが重要だと考えます。
1つ目の
ですが、具体的には「生きた教材」としての学校給食を充実するため、学校給食を給食の時間のみならず、各教科等の学習において活用を推進するとともに、全国的に学校給食の水準を確保するため、「学校給食実施基準」を法制度上位置づけることについて検討することが必要だと考えます。
2つ目の
ですが、学校全体で食育を推進するため、食に関する指導の全体計画を作成するとともに、栄養教諭の配置促進を図り、その専門性を活用した食育を実現することが重要だと考えます。
次に73ページをごらんください。安全・安心な学校給食のための衛生管理を徹底するため、学校給食衛生管理の基準を法律上明確に位置づけることを検討する必要があると考えます。
以上に加え、地域社会と連携した食育の推進を実現するため、教育委員会を中心として、保健部局や農政部局等との連携を図りつつ、地域全体で食育を推進していくための「地域食育推進委員会(仮称)」などの組織を設置することが重要だと考えます。
最後に
でございますが、学校安全の充実を図るための方策について申し上げます。事件・事故や自然災害などから子どもの安全を守るため、学校における危機管理は不可欠な課題となっております。行政機関が連携を図りつつ、犯罪の起こりにくい安全・安心なまちづくりを進めるとともに、子どもの安全確保のため、学校、家庭、地域社会それぞれの役割を明確にし、取り組みを進めることが重要だと考えます。
学校における安全管理体制を強化するため、総合的な安全計画や緊急時における対処要領を策定するなど、子どもの安全確保を重視した学校の管理運営がなされるよう、関係法制の整備に向けて検討を行う必要があり、学校安全に関する教職員の研修等を充実する必要があると考えます。
また、家庭や地域社会、防犯の専門機関等との連携を図りつつ、学校の安全管理体制を確立する必要があると考えます。
1つ目の
でございますが、具体的には総合的に子どもの安全を確保する学校安全計画を策定することが必要だと考えます。子どもの身の回りの事件・事故、自然災害などに対応して、安全教育・安全管理が行われることが重要であり、学校保健安全計画において日常生活における事件・事故や自然災害に対応した安全点検がなされ、また、通学路の安全点検を行うことについて的確に位置づけられるよう検討することが必要だと考えます。
2つ目の
でございますが、また、防犯監視システムの整備等を行うとともに、学校施設設備の定期的または随時の安全点検の適切な実施により、学校施設の安全性を確保することが必要だと考えます。
次に74ページに移ります。あわせて地域のボランティアなど、多様な人材を活用することにより、学校における安全管理体制を整備充実することが必要だと考えます。さらに、危険発生時に円滑かつ的確に所要の対応をとることができるよう、教職員がとるべき措置の具体的内容、手順等を記載した危機対処要領を各学校において作成するなど、緊急時に的確な対応ができる学校内の体制を確立することや、学校安全に関する教職員の資質能力を向上させることが必要だと考えます。
以上に加え、学校、家庭、地域社会が連携した取り組みを進めるために、PTAやボランティア、自治会、警察等の関係機関などからなる「地域学校安全委員会(仮称)」の設置などの取り組みやスクールガード・リーダーや警察、交通安全団体、消防署等の地域の関係機関の専門的知見を活用する取り組みを進めるなど、家庭・地域社会との連携による安全管理体制の強化も重要だと考えます。
この答申を機に、子どもの健康安全を守る取り組みの重要性について、学校、家庭、地域及び関係行政機関における関係者の理解がより一層深まり、それぞれの立場で求められる活動につながることを期待しております。
以上でございます。
【山崎会長】
ありがとうございました。大変行き届いた答申であり、本委員会の皆さんのご関心も十分反映された答申案であると存じますが、加えてこれだけはというご意見がありましたら、どうぞよろしく。
特にご意見がないようでありますので、本答申案を中央教育審議会の答申として認めることをご異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【山崎会長】
ありがとうございました。それでは、2つの答申ができ上がりました。
それでは、これから、本日取りまとめました2つの答申を渡海文部科学大臣にお渡ししたいと思います。セレモニーとしてカメラが入るようですので、しばらくお待ちください。
それでは、大臣に答申をお渡しするに当たって、一言ごあいさつを申し上げます。
まず、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」は、平成17年2月の審議要請を受けて、第3期、第4期とおよそ3年にわたって審議を進めてまいりました。答申においては一昨年来の教育基本法、あるいは学校教育法の改正を踏まえた上で、学習指導要領の「生きる力」をはぐくむという理念は維持した上で、特にこの「知識基盤社会」と言われる現代において、ますますこれが重要になっているという認識のもと、その理念を実現するための具体的な手立てを確立する方策を提言しております。
文部科学省におかれては、この答申を十分に尊重しつつ、学習指導要領の改訂作業を速やかに進められることを期待いたします。
また、「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」は、昨年3月の諮問を受けまして、審議を重ねてまいりました。答申においては養護教諭や栄養教諭をはじめ、すべての教職員による組織的な対応を推進するための学校内の体制の充実、学校関係者、保護者、地域の関係機関等からなる連携のための組織づくりの推進など、家庭や地域との連携の強化によって学校保健、食育、学校給食、学校安全などに関する学校全体としての取り組みの一層の充実を図ることを提言しております。
文部科学省におかれましては、この答申を十分に尊重しつつ、関係施策の一層の充実、必要な制度改正について検討を進められることを期待いたしております。
まず、学習指導要領等の改善についての答申をお渡しいたします。
(答申書手交)
【山崎会長】
引き続きまして、学校の安全・安心を確保するための取組を進めるための方策についての答申をお渡しいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
(答申書手交)
【山崎会長】
それでは、ここで大臣から一言、ごあいさつをいただきます。
【渡海大臣】
それでは、一言ごあいさつをさせていただきたいと思いますが、ただいま山崎会長から2本の答申を受け取りました。お話にございましたように、この学習指導要領の改善につきましては、3年間という非常に長い期間にわたって、本当に精力的なご審議をいただきましてありがとうございました。これもお話にございましたが、途中、教育基本法の改正、またいわゆる学校教育法をはじめとする教育三法の改正という大きな法改正、制度整備というものもあったわけでございますが、そういった中で先生方には真摯に対応していただき、またそういったことも踏まえてご審議をいただいたことを重ねてお礼を申し上げる次第でございます。
私といたしましては、この答申を受けて、年度内に小・中学校の学習指導要領の改訂の作業を完了したいと考えておるところでございます。この学習指導要領が完全実施されますには少し時間がかかるわけでございます。教科書の整備とか周知・徹底といったことを考えますと時間がかかるわけでございますが、来年度1年かけてしっかりとこの趣旨を徹底するように努力をしてまいりたいと考えておりますし、これは実は私が少しフライング気味で申し上げたわけでございますけれども、やれるものはできるだけ早くやれということで、やれるものは21年度からでもやっていきたいと考えているところでございます。そのようにご理解をいただければ幸いであると思っております。
また、ただ単に学習指導要領をつくるだけでは、教育の現場はなかなか変わらないわけでありまして、いろいろな意味での条件整備、環境整備にもこれからも努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
もう一方の子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するための方策でございます。これにつきましては昨年の3月に諮問したと聞いているところでございますが、学校給食、学校保健、食育、学校の安全という広範にわたる子どもの心身といった面における方策につきましてご提言をいただいたわけでございます。
学校の安全ということでは、近ごろいろいろな出来事が実は起こっております。学校の外でいろいろなことも起こるわけでありますけれども、中はもちろんでありますが、外の体制についても地域社会と連携をとりながら、子どもたちの安全が守れるようなことに対して、我々はもっともっと努力をしていかなければいけない、そんな思いを強くいたしております。
少し話が個人的で余談になって恐縮でございますが、昨年、小学校の子どもが実に不幸な事故に遭いました。学校の外でございましたけれども、この地域は実は私の選挙区でございまして、地域の皆さんに努力していただかないと、なかなかこの安全が守られないなというのを実感しております。そういった意味でも、提言の中でも家庭、地域との連携といったような観点も書いていただいておるようでございまして、今後ともそういった面も含め、我々、最大の努力をしていきたいと思っているところでございます。これにつきましては、法律改正という提言もございます。早急に我々も検討いたしまして、できるものからしっかりと制度改正も図っていきたいということも申し上げたいと思っております。
重ねてお礼を申し上げますとともに、もう1つ、実は中教審には教育振興基本計画という、これは教育基本法に基づく第1号の基本計画をつくっていただくという仕事が年度内にお願いしてあるわけでございまして、本日いただきましたこの2つの答申に加えて、教育振興基本計画の作成ということにも、なお先生方のご努力をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
本当にありがとうございました。重ねてお礼を申し上げまして、私からのお礼のごあいさつにさせていただきます。ありがとうございました。
【山崎会長】
ご丁寧なごあいさつをありがとうございました。
それでは、本日の議事はこのあたりにしたいと思いますが、非常に限られた時間の中で協議にご協力いただきました皆さんに厚く御礼を申し上げます。
次回の総会については、追って事務局より連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日はどうもありがとうございました。
―了―
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