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新しい時代の義務教育を創造する −基本的な視点−
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憲法第26条は、すべての国民に教育を受ける権利を保障し、また、その権利を実現するために、義務教育の制度が設けられている。
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義務教育の目的は、一人一人の国民の人格形成と、国家・社会の形成者の二点であり、このことはいかに時代が変わろうとも普遍的なものである。
子どもたち一人一人が、人格の完成を目指し、個人として自立し、それぞれの個性を伸ばし、その可能性を開花させること、そして、どのような道に進んでも、自らの人生を幸せに送ることができる基礎を培うことは、義務教育の極めて重要な役割である。
変動の激しいこれからの社会において、子どもたちが人生を有意義に送るためには、一人一人が自らの頭で考え、行動していくことのできる自立した個人として成長し、心豊かに、たくましく生き抜いていくことがこれまでになく重要となる。そのような資質を教育を通じて養う必要性が一段と高まっている。
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民主的、平和的な国家・社会の形成者として必要な公民としての資質を育成することは義務教育の重要な役割である。
これからの社会は、文化・政治・社会・経済を支える人材、情報・知識社会を支える人材によって経済社会の在り方が決定される社会であり、教育の質が一層問われることとなる。少子化に伴う人口減少社会において、生産性の高い知識集約型の産業構造に転換し、国際的な競争力を維持していくため、既存知の継承だけではなく未来知を創造していくことのできる付加価値の高い人材育成がこれまで以上に必要である。
我が国が、今後とも活力を持って競争力を維持するため、また、高い知性の国民が形成する文化国家として発展するためには、そのような国家・社会を担う優れた人材を育成することが重要である。
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以上のことを背景として、知・徳・体のバランスのとれた質の高い教育が全国どこでも提供され、安心し、信頼して子どもを託すことのできる学校を求める保護者・国民のニーズは高まっている。これからの学校は、保護者や地域住民の意向を十分反映する、信頼される学校でなければならず、教育を提供する側からの発想だけではなく、教育を受ける側からの発想に基づいた検討が必要とされている。また、国民全体で共に考え、共に子どもたちを育てていく視点が求められている。そして、これを支える教育条件が十分整備されていることが必要である。
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保護者・国民の期待にこたえ、義務教育の質を高めるためには、国家・社会全体として、子どもたちの健やかな成長、国家・社会を担う人材育成への関心を高め、教育重視の立場に立つ必要がある。
国民が一定水準の教育をひとしく受けることができるよう、憲法に定められた機会均等、水準確保、無償制といった義務教育の根幹は、国がその責務として担保する必要がある。
資源に恵まれない我が国は、教育を通じて人材育成を充実することが何より重要である。国際的に知の大競争時代の今日、諸外国に遅れをとることなく、人材育成の基盤である義務教育の質の向上に国家戦略として取り組む必要がある。
これまでの政策についても、実証的な立場から検証し、改めるべき点は改め、反省すべき点は反省するという姿勢に立って、例外を設けることなく、義務教育の改革に取り組むことが求められる。
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以上のような義務教育の質の向上という観点から、国レベルの教育行政は、以下の戦略を打ち出していく必要がある。
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国際的に質の高い教育の実現を目指す
国際的に最高水準の質の高い教育を目指した到達目標と教育課程の基準を設定し、また、実際に教育の成果が上がっているか評価するための方策を講ずること。これにより、使命を明確にし結果に責任を負う教育を確立すること。
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教師に対する揺るぎない信頼を確立する
教師に対して保護者・国民から揺るぎない信頼が得られ、国際的にも教師の質が高いものとなるよう、教員養成の質的な水準を高め、採用後も教師の質が常に向上するような仕組みの充実を図ること。
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現場の主体性と創意工夫で教育の質を高める
現場の主体性と創意工夫によって教育の質の向上を図るよう、国がナショナル・スタンダードを設定しそれが履行されるための諸条件を整備した上で、地方が行うべきことは地方が、学校が行うべきことは学校が担うシステムを確立すること。学校は、権限と責任を持つとともに、保護者・住民の参画と評価で透明性を高め説明責任を果たすシステムを確立すること。
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確固とした教育条件を整備する
学校の施設、設備・教材、教職員配置など教育の実施を支える条件整備については、国際的にも誇れる確固たるものとなるよう、その確立に万全を期すこと。このことは、上記の3つの戦略の実効をあげるための基盤ともなるものである。 |
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