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中央教育審議会(第48回) 議事録

1. 日時   平成17年5月23日(月曜日)10時~13時

2. 場所   グランドアーク半蔵門「華」(3階)

3. 議題
(1)義務教育特別部会の審議状況について
(2)その他

4. 大臣挨拶

5. 配付資料
 
資料1   義務教育特別部会における審議経過報告
資料2   今後の日程(案)

 参考資料1   第3期中央教育審議会委員
(※名簿へリンク)
参考資料2   中央教育審議会義務教育特別部会委員
(※名簿へリンク)
参考資料3   義務教育特別部会における審議経過報告・関連データ

6. 出席者
委員:   相澤委員、安彦委員、安西委員、飯野委員、井上委員、猪口委員、え藤委員、金子委員、木村委員、見城委員、ごう委員、佐藤委員、角田委員、寺島委員、鳥居委員、野中委員、増田委員、松下委員、横山委員
臨時委員:   阿刀田委員、高竹委員、田村委員、土屋委員、渡久山委員、無藤委員、山本委員、若月委員
事務局:   中山文部科学大臣、結城事務次官、近藤文部科学審議官、白川文部科学審議官、丸山総括審議官、田中生涯学習政策局長、素川スポーツ・青少年局長、樋口審議官、久保生涯学習政策課長、前川初等中等教育企画課長、藤原財務課長、常盤教育課程課長、戸渡教職員課長、その他関係官

7. 議事
 
  【鳥居会長】 皆様、おはようございます。定刻でございますので、ただいまから第48回目になりますが、中央教育審議会の総会を開催させていただきます。お忙しいところご参集賜りまして、まことにありがとうございます。
 きょうは、この総会では、義務教育特別部会のほうで進めております審議につきましてご報告を申し上げて、総会としてのご審議をいただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、そのような目的できょう集まっておりますので、これはよく行うことなんですが、大切な問題について審議を行うときに、総会にその関連の部会の委員の皆様のご出席をいただいて合同会議で行う、そういう方法を時々とっております。本日もそのようなわけで、義務教育特別部会の委員の皆様のご出席をいただいております。合同方式で行いますので、よろしくお願いいたします。本日は義務教育特別部会の審議状況について、事務局からご報告をいただいた上で自由討議という形をとりたいと思っております。
 本日、中山文部科学大臣にご出席をいただいております。最初に大臣から一言ごあいさつをお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

【中山大臣】 第48回中央教育審議会総会の開催に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、義務教育特別部会と総会の合同の会議ということになっております。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただき、心から御礼申し上げます。
 さて、本日御審議をいただきます義務教育の在り方については、これまで、義務教育特別部会において、子どもたちの現状や学力の状況、教育内容、これからの学校像、教師像など教育論としての義務教育の在り方や、それを支える教育委員会制度の在り方、あるいは教育費の問題などの様々な論点について、本年2月以降、11回にわたり精力的な御審議をいただいてまいりました。
 本日の総会では、これまでの義務教育特別部会での御議論を御報告いただき、更に議論を深めていただくものと伺っております。皆様方の高い識見に基づく闊達な御議論をお願い申し上げます。
 改めて申し上げるまでもありませんが、教育は、我が国社会の基盤であります。なかんずく義務教育は、1国家・社会の形成者の育成、2国民一人一人が、その可能性を限りなく高め、有意義な生涯を送るための基盤づくりを担うものであり、まさに国家存立の基礎にかかわるものであります。その意味で、皆様にお願いしております今回の審議は、我が国の将来を左右する重大な意義を持つものと考えているところであります。
 現在、文部科学省では、義務教育改革について学校関係者の御意見を直接伺うということで、300校を目標としてスクールミーティングを実施しており、もう既に200校に達しているということでございます。学校現場の方々には大変ご好評をいただき、よく来てくれたというご意見も伺っており、いい試みであったと考えています。
 私自身も、これまで12校を訪問してまいりました。どの学校に行きましても、元気で素直な子どもたちで一杯でございます。一生懸命頑張っておられる先生方がいらっしゃいます。また、保護者の方々や地域の方々も一生懸命、これからの日本を背負う子どもたちの育成に頑張っておられます。私としては、子どもたちの持って生まれた可能性が十分開花できるような教育、先生方の努力が報われるような、そしてまた保護者や地域の方々が期待するような教育の実現のために頑張っていかなければという思いを強くしているところです。子どもたちは一日一日が勝負でございます。子どもたちは日々成長していますから、一日もおろそかにすることはできません。我が国の将来を担う子どもたちに、その時点で考えられる最善の教育を保障することは、すべての大人に課せられた責務であると痛感しております。
 6月には、経済財政諮問会議において、政府の次年度の基本方針となる、いわゆる「骨太の方針」の策定作業が本格的に進められるものと承知しております。同会議への出席を求められた際には、私としても、中央教育審議会の審議の状況等が政府の基本方針としてしっかりと反映されるよう意見を申し述べてまいりたいと考えております。また、文部科学省といたしましても、来年度の概算要求など、今後の教育行政の方針決定の際には、皆様方の審議の状況を十分に踏まえて、より良い教育の実現に向けて努めてまいりたいと考えております。
 これから秋までの審議は、私は21世紀の前半の我が国の教育のみならず社会情勢全般に大きな影響を与えるものになると考えております。委員の皆様方におかれましては、教育関係のみならず、日本の各界の最高の英知の方々にお集まりいただいているわけでございます。どうかこの審議はこれからの日本を大きく左右するものだという思いで、ご参加いただければ大変ありがたいと思います。どうか皆様方の闊達なご意見・ご発言を期待申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【鳥居会長】 中山大臣、どうもありがとうございました。
 それでは引き続きまして、審議に入ります前に、本日初めてご出席の委員がおられます。それから、義務教育特別部会の委員のご出席もございます。加えて文部科学省のほうでもご紹介いただくべき幹部の方々もいらっしゃいますので、それらのご紹介をお願いいたします。

【久保生涯学習政策局政策課長】 それでは、第3期中央教育審議会になりまして初めてご出席の委員の方々と義務教育特別部会の臨時委員の方々をご紹介させていただきます。

 まず、小説家の阿刀田委員でいらっしゃいます。
 東京大学大学院教育学研究科教授の金子委員でいらっしゃいます。
 社団法人日本青年会議所会頭の高竹委員でいらっしゃいます。
 学校法人渋谷教育学園理事長、渋谷幕張中学・高等学校長の田村委員でいらっしゃいます。
 東京都武蔵野市長の土屋委員でいらっしゃいます。
 財団法人全国退職教職員生きがい支援協会理事長の渡久山委員でいらっしゃいます。
 白梅学園短期大学長の無藤委員でいらっしゃいます。
 八州学園大学教授の山本委員でいらっしゃいます。
 品川区教育委員会教育長の若月委員でいらっしゃいます。

 あわせまして、文部科学省からの出席者を紹介させていただきます。
 結城事務次官でございます。
 近藤文部科学審議官でございます。
 白川文部科学審議官でございます。
 丸山大臣官房総括審議官でございます。
 田中生涯学習政策局長でございます。
 素川スポーツ・青少年局長でございます。
 以上でございます。

【鳥居会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、早速でございますが、審議に入ります。
 義務教育特別部会の審議状況につきまして、事務局からご説明お願いいたします。説明は初等中等教育担当の樋口大臣官房審議官からお願い申し上げます。

【樋口審議官】 ご説明申し上げます。資料の1をごらんいただけますでしょうか。「義務教育特別部会における審議経過報告」でございます。全体が4章立てとなっております。
 1ページおはぐりいただきまして2ページ目でございますが、「はじめに」ということで、2つ目のまるにございますように、平成17年2月、中央教育審議会の総会直属の部会といたしまして、義務教育特別部会が設置されまして、以下5点を対象として審議を行っているということで、義務教育の制度・教育内容のあり方等、5点にわたって審議を行わせていただいております。
 これまでに11回の会議を開催いたしまして、子どもの現状、学力の問題、教育内容、義務教育制度、教師像、学校像、教育委員会のあり方、国と地方の関係、教育費総額とその内容などを中心に審議を行ってきたところでございます。
 5つ目のまるでございますが、現在のところ、すべての論点について意見を集約するまでに至っているわけではなく、引き続き議論を深める事項も残されている。また、義務教育に係る費用負担のあり方については、今後、審議を行うこととしております。
 なお、学習指導要領の見直しを含みます教育内容のあり方、教員養成・免許制度のあり方については、本部会では基本的な方向のみを検討し、具体的な改革方策は教育課程部会、教員養成部会で審議が行われることとなっております。また、教職員配置の改善に関しましては、別途、調査研究協力者会議で検討が行われることとなっております。
 3ページ目、第1章でございます。「新しい時代の義務教育を創造する-基本的な視点-」でございます。
 最初のまるにございますように、憲法26条は、すべての国民に教育を受ける権利を保障し、その権利を実現するために義務教育の制度が設けられている。
 2番目のまるでございますが、義務教育の目的は一人一人の国民の人格形成と国家・社会の形成者の2点であり、このことはいかに時代が変わろうとも普遍的なものであるとの認識のもとに、4つ目のまるに行きまして、知・徳・体のバランスのとれた質の高い教育が全国どこでも提供され、安心し、信頼して子どもを託すことのできる学校を求める保護者・国民のニーズは高まっている。これからの学校は信頼される学校でなければならないという認識を示し、国民全体でともに考え、ともに子どもたちを育てていく視点が求められている。そして、これを支える教育条件が十分整備されていることが必要であるとしております。
 次のまるでございますが、中ほどに、国民が一定水準の教育をひとしく受けることができるよう、憲法に定められた機会均等、水準確保、無償制といった義務教育の根幹は、国がその責務として担保する必要がある。資源に恵まれない我が国は、教育を通じて人材育成を充実することが何より重要である。国際的に知の大競争時代の今日、諸外国におくれをとることなく、人材育成の基盤である義務教育の質の向上に国家戦略として取り組む必要があるとしております。
 次のまるでございますが、義務教育の質の向上という観点から、国レベルの教育行政は4つの視点から戦略を打ち出していく必要があるとし、「国際的に質の高い教育の実現を目指す」、「教師に対する揺るぎない信頼を確立する」、「現場の主体性と創意工夫で教育の質を高める」、「確固とした教育条件を整備する」の4点を打ち出しているわけでございます。
 5ページをごらんいただきたいわけでございますが、第2章、「国際的に質の高い教育の実現を目指す-義務教育の使命の明確化及び教育内容の改善-」でございます。
 アに「義務教育の目標の明確化」がございます。2つ目のまるでございますが、義務教育の目的は一人一人の国民の人格形成と、国家・社会の形成者の育成の二点に集約することができ、この両者の調和のとれた教育を実現することが必要である。このため、学校では、子どもたちに「確かな学力」として基礎的な知識・技能と思考力、創造力をはぐくむとともに、豊かな心、健やかな体を培い、これらをバランスよく育成することが求められる。このような義務教育の内容・水準は、ナショナル・スタンダードとして全国的に一定基準以上のものを定め、その実現が担保されることが必要である。
 次のまるでございますが、義務教育の目的に照らし、今日のグローバル社会、生涯学習社会において、義務教育段階の学校教育で具体的にどのような資質能力を育成することが求められるのかを明らかにすること、すなわち、義務教育の到達目標を明確化することが必要である。
 このため、義務教育9年間を見通した目標の明確化を図り、学校教育法に規定することを検討する必要があると考えるとしておるわけでございます。
 イでございます。「学校の役割の重要性の再認識」。2つ目のまるでございますが、学力の向上はじめ子どもたちの健全な育成のためには、家庭と連携して、睡眠時間の確保、食生活の改善、家族のふれあいの時間の確保など、生活習慣の改善が不可欠である。子どもの教育の第一義的責任は家庭にあり、教育における保護者の責任を明確化することが必要であるとしております。
 次のまるで、他方、今日、朝食をとっていない子どもの問題など、家庭や地域の教育力が依然として不十分な現状、あるいは今後さらにそれらの教育力が低下する懸念、格差拡大の懸念などを背景として、学校と家庭、地域との役割分担のあり方について、改めて議論となっている。
 当特別部会でも、家庭や地域の教育力を取り戻すことは難しく、学校への期待は大きいとの意見、一方で、本来家庭や地域が果たすべき機能を学校に持ち込むのではなく、家庭や地域がその責任を果たすことが必要であるとの意見などが出されました。学校週5日制についても、両方の立場からさまざまな意見が出されました。
 このほか、家庭の支援のための福祉行政との連携の必要性、ゲーム・テレビの影響などマスメディアを含め、大人社会のあり方の問題なども意見として出された。また、学校と家庭・地域とが共同し、両方が教育力を高めるべきとの意見も出された。
 次のまるでございますが、これらも踏まえると、学校、家庭、地域の三者が互いに連携し、適切に役割を分担し合うという基本的な考え方は今後も重要であり、学校、家庭、地域の協力・共同の取り組みをこれまで以上に強化するための方策、土曜日や長期休業日の有効な活用方策等をさらに検討する必要があると考えられるとしておるわけでございます。
 ウの「教育投資の拡充」でございますが、最初のまるにございます義務教育の質の向上のためには、教育の条件整備が十分充実していることが肝要であり、特に義務教育への投資のあり方について、多くの委員から以下の意見が出されたといたしておりまして、OECDの調査によれば、多くの国が教育費支出を伸ばしている中で、我が国の公財政支出は微増にとどまっている状況にある。
 また、初等中等教育について、OECD平均では対GDP比3.5パーセントが公財政支出に充てられているのに対し、我が国は2.7パーセントにとどまっている。
 加えて、教育に要する経費としては、こうした公財政支出によるもののほか、補助教材や給食費、制服代など家計が負担している教育費も多い。子どもを持つ若い世代が多額の教育費を負担しなければならない状況は、少子化の問題とかかわって、我が国社会の重大な問題である。次代を担う子どもの育成は、現に子どもを育てている者の責任にとどまらず、広く国民全体が共同して支援するという考えに立つことが必要である。
 こうした状況にかんがみ、今後とも我が国が教育立国としての地位を確保し続けるために、また、保護者の経済的格差が子どもたちの教育環境の格差につながらないようにするために、義務教育に要する経費の公財政支出を一層拡充する必要があると考えるとしております。
 ページをおめくりいただきまして、7ページ、「教育内容の改善」、ア、「基本的な理念・目標」でございます。
 2つ目のまるでございますが、基礎的な知識・技能を徹底して身につけさせ、それを活用しながら自ら学び自ら考える力などの「確かな学力」を育成し、「生きる力」をはぐくむという基本的な考え方は今後も維持することが適切であるとし、次のまるでございますが、子どもたちの学力の現状については、昨年12月の国際的な学力調査の結果、読解力、記述式問題に課題があるなど、低下傾向が見られた。あるいは、先般公表された教育課程実施状況調査の結果からは、国語の記述式の問題について正答率が低下するなどの課題が見られた。また、学習意欲、学習習慣・生活習慣などは、若干の改善は見られるが、引き続きの課題であるとしておりまして、このような子どもたちの実態を踏まえますと、学ぶことや働くこと、生きることのとうとさを実感させる教育を充実し、学ぶ意欲を高めること、家庭と連携し、基本的な生活習慣、学習習慣を確立すること、「読み・書き・計算」などの基礎・基本を確実に定着させ、教えて考えさせる教育を基本とすること、国際社会に生きる日本人としての自覚を育てることなどを重視する必要があるとしております。
 イ、「学習指導要領の見直し」でございますが、2つ目のまる、学習指導要領は、すべての児童生徒に対して指導すべき内容を示す基準であり、学校においては、必要がある場合には、これに加えて指導することができるものである。国民として共通に学ぶべき学習内容を明確に定めた上で、学校ができるだけ創意工夫を生かして教育課程を編成できるようにすることが求められるとしております。
 総合的な学習の時間については、学校によっては大きな成果を上げている一方、当初の趣旨・理念が必ずしも十分に達成されていない状況も見られる。思考力、表現力、知的好奇心や自分で考える力などを育成する上で、総合的な学習の時間の役割は今後とも重要であるが、同時に授業時数や具体的なあり方については再検討が必要であるとしております。
 次のまるでございますが、国語力はすべての教科の基本となるものであり、その充実を図ることが重要である。また、科学技術の土台である理数教育の充実が必要であるとし、このため、全体の見直しの中で、それらの授業時数のあり方について検討する必要があるとしております。グローバル化に対応して、小学校段階における外国語教育、社会のIT化に対応し、情報リテラシーを高める教育を充実することも重要であるとしております。
 次に、学校図書館については、子どもの読書活動や主体的な学習を支えるために欠くことのできないものであるとし、司書教諭や学校図書館を担当する職員の役割が重要であることから、それらの充実を図る必要があるとしております。
 指導方法については、習熟度別指導、少人数指導、発展的な学習や補充的な学習などの個に応じた指導を積極的に実施する必要があるとしております。
 一方、子どもたちの健やかな心と体の育成も重要な課題であるとし、学校生活を通じて社会性や集団性を育成すること、健康で安全に生活できる能力を身につけさせること、子どもたちの創造力や体力をはぐくむ教育活動の充実を図ることが必要であるとしています。
 ウの「学習到達度・理解度の把握のための全国的な学力調査の実施」についてであります。最初のまるにございますように、各教科の到達目標を明確にし、その確実な修得のための指導を充実していく上で、子どもたちの学習の到達度・理解度を把握し検証することは極めて重要であるとし、このような観点から、子どもたちの学習到達度についての全国的な調査を実施することが適当であるとしております。
 次のまるにございますように、具体的な実施の規模、方法、結果の扱い等についてさらに検討する必要があり、その際には、教育の充実への取り組みの動機づけとなることが重要な視点であるとしております。
 エの「関連する課題」でございますが、小・中・高等学校の各学校段階を通じて、自然体験、職場体験、就業体験、奉仕体験などの体験活動を計画的・体系的に推進する必要があるとしております。
 次のまるにございますように、家庭教育、幼児教育との連携を図り、基本的な生活習慣を確立し、学ぶ意欲を高めるため、幼児教育と小学校教育との連携を図ることが重要であるとしております。
 オの「教職員配置の改善」についてでありますが、義務教育のナショナル・スタンダードを設定し、それが履行されるための諸条件を整備する観点から、国が学級編制及び教職員配置についての基準を明確にすることは重要である。
 義務教育の質を高めるためには、児童生徒へのきめ細かな指導が不可欠であるとし、早急に次期定数改善計画を策定する必要があり、次期計画においては、少人数学級も含めて少人数教育の充実を図る方策を検討する必要があるとしております。
 次のまるに、検討に当たっては、児童が集団生活になじむまでの指導が重要である小学校低学年で少人数学級のニーズが高いこと、生活集団としての機能を保つためには学級にはある程度の大きさも必要であること、児童生徒数の増減で機械的に学級編制を変えるのではなく、より弾力的な運用が望まれること、学級編制については校長の裁量を拡大することが望まれることなどを踏まえ、学校現場の裁量により、柔軟な運用が可能となる制度について検討することが求められるとしております。
 (3)の「義務教育に関する制度の見直し」については、学校教育法において、義務教育の目標を明確に規定すること。
 学校種間の連携・接続のあり方に大きな問題があることがかねてから指摘されていることから、例えば、10ページにございます、設置者の判断で選択肢の一つとして9年制の義務教育学校を設置することの可能性やカリキュラム区分の弾力化など、学校種間の連携・接続を改善する仕組みについて検討する必要があるとしております。
 少子化、家庭の教育力の低下などの状況の中で、幼児教育の充実、幼小連携の推進に資するため、幼稚園への就園促進、そのための奨励事業を拡大する必要があるとともに、幼保の一元化等についても進める必要があると記述しております。
 不登校の問題でございますが、不登校等の児童生徒について、一定の要件のもとで、フリースクールなど学校外の教育施設での学習を就学義務の履行とみなすことのできる仕組み等について検討することも求められるとしております。
 特別支援教育についても、盲・聾・養護学校を特別支援学校に転換すること、あるいはLD、ADHD等の児童生徒への支援を充実することが必要であるとしております。
 11ページ、第3章でございますが、「教師に対する揺るぎない信頼を確立する-教師の質の向上-」についてであります。
 「あるべき教師像の明示」ということで、「教育は人なり」と言われるように、国民が求める学校教育を実現するためには、子どもたちや保護者はもとより、広く社会から尊敬され、信頼される質の高い教師を養成・確保することが不可欠であるとし、すぐれた教師の条件として次の3つの要素、教職に対する強い情熱、教育の専門家としての確かな力量、総合的な人間力が重要であるとしております。
 (2)の「信頼される教師の養成・確保」についてでありますが、「基本的な考え方」、まるの1でございますが、教師の質の向上のためには、養成、採用、研修、評価等の各段階における改革を総合的に進める必要があるとし、2つ目のまるにございますように、教師の年齢構成を見ると、大量採用期の40代から50代前半の層が多くなっており、この世代が今後退職期を迎えることになる。このような時期こそ、養成段階における教職課程の改善充実を図ること、採用段階でよりすぐれた教師を確保するための採用選考方法の工夫・改善を図ることは極めて重要となるとしております。
 12ページをおめくりいただきたいわけでございますが、イの「教員養成・免許制度の改革」でございます。これまでの教員養成では、学校現場の実態、ニーズと乖離した教育が行われ、実践的指導力を身につけさせるための教育指導が十分とは言えない。養成段階は、教師として最小限必要な資質能力を身につけさせる段階とされてきたが、大学においては、このことを踏まえたカリキュラム編成や成績評価への改善充実を図ることが重要であり、また、外部機関等が大学の教職課程を評価する仕組みについても検討する必要がある。
 高度な専門性と実践的な指導力を有する教師の養成や、現職教師の再教育の充実を図っていくため、学部段階における教員養成の着実な改善充実とともに、学校現場のさまざまな課題に即した実践的な教育を高度なレベルで行う教員養成の専門職大学院の設置について検討することが適当であるとしております。
 1つまるを飛んでいただきまして、教員免許状が、教師として必要な資質能力を確実に保証するものとなるとともに、教師一人一人が緊張感を持って、常に資質能力の向上のための研さんを積むようにすることが重要であるとし、このような観点から、教師としての適格性を適切に確認し、専門性の絶えざる向上を図ることを目的として、教員免許更新制を導入することについて検討することが適当であるとしております。
 次のまる、現在の教員免許制度においては、免許状の授与時に、教師としての実際の指導力や適格性が十分に判断されているとは言えないことから、免許状の授与の仕組みについて検討することが必要であるとしております。
 ウの「採用、現職研修の改善・充実」についてでございますが、13ページ冒頭にございますように、採用については人物評価を一層重視するとともに、大学の成績やボランティア等の諸活動の実績を評価する選考方法の改善を進めるなど、採用段階でよりすぐれた教師を確保するための積極的な工夫・改善が必要であるとし、研修については、体系的な研修と教師の主体性を重視した自己研修の双方が必要であり、研修のあり方については、講義形式だけでなく、実践的な指導力を身につけさせるようにする、あるいは学校に求められるさまざまな新たな課題に適切に対応することができるように、その研修の内容・方法の改善・工夫を図る必要があるとしております。
 エの「教員評価の改善・充実」についてでありますが、学校教育や教師に対する信頼を確保するために、教員評価への取り組みが必要であるとし、教師の評価は、教師の職務の特殊性に留意しつつ、単に査定をするのではなく、教師にやる気と自信を持たせ、教師を育てる評価であることが重要であるとし、1つ飛んでいただきまして、すぐれた教師を顕彰し、それを処遇に反映させたり、教師の表彰を通じて社会全体に教師に対する信頼感と尊敬の念が醸成されるような環境を培うことが重要であるとしております。
 高い指導力のあるすぐれた教師を位置づけるものとして、スーパーティーチャーなどのような職種を設けて処遇し、他の教師への指導助言や研修に当たるようにするなど、教師のキャリアの複線化を図ることを検討する必要があるとしております。
 最後のまるのところには、信頼して子どもを託すことのできる学校を実現するためには、問題ある教師に対し毅然と対処することが重要であるとも記述しております。
 オの「多様な人材の学校教育への登用」でございますが、すぐれた知識・技能と社会経験を持つ学校外の多様な人材を学校教育に積極的に登用していくことは有意義であるとし、すぐれた指導力を有する退職教員や企業等において種々の専門的な知識・技能を有する職業人等、地域や学校の実情に応じてさまざまな人材の協力を得る工夫が考えられるとしております。
 校長や教頭といった管理職に人を得ることは同時に肝要でございまして、教頭については校長と同様、民間人などを登用できるよう、資格要件を緩和することについて検討する必要があるとしております。
 15ページでございますが、第4章、「現場の主体性と創意工夫で教育の質を高める-学校・教育委員会の改革-」についてであります。
 アの「学校の自主性・自律性の確立」についてでありますが、学校が主体的に教育活動を行い、保護者や地域住民に直接説明責任を果たしていくためには、学校に権限を与え、自主的な学校運営を行えるようにすることが必要であるとし、学校長に権限がない状態で責任を果たすことは困難であり、人事、学級編制、予算、教育内容等に関し学校・校長の裁量権限を拡大することが不可欠であるとしております。
 教職員の人事について校長の権限を拡大することが必要であり、例えば、教員の公募制、フリー・エージェント制などをさらに推進することが求められる。
 学級編制を含めた指導方法の工夫改善については、各学校がそれぞれの実情に応じて個別に判断することが適当であり、このため、各学校が個別に学級編制を行うなど、学校現場の判断が尊重されるよう現行の学級編制の仕組みを見直す必要があるとしております。
 1つ飛んでいただきまして、学校運営を支える機能の充実のため、教頭の複数配置、今後、管理職を補佐して担当する校務をつかさどるなど一定の権限を持つ主幹などの職を置くことができる仕組みなどについて検討する必要があるとし、事務の共同実施や共同実施組織に事務長を置くことを検討する必要もあわせてあるとしておるわけでございます。
 16ページにお移りいただきたいと思います。イの「学校・地方自治体の取組の評価」でございます。学校教育の質の保証を求める保護者・国民のニーズは強く、学校評価の充実が必要である。このため、自己評価の実施とその公表の義務化を検討することが必要である。また、外部評価は教育活動の改善充実に有効であり、公表された自己評価結果を外部者が評価する方法を基本として、その充実を図ることが必要であるとしております。
 1つ飛んでいただきまして、英国においては、国レベルの独立機関である教育水準局が学校監査を実施している。国の基準等による事前のチェックだけではなく、教育の質についての事後チェックを充実することは今後我が国でも検討が必要であるとしております。
 ウの「保護者・地域住民の参画の促進」についてでありますが、地域に開かれ信頼される学校を実現するためには、保護者や地域住民の意見や要望を的確に反映させ、それぞれの地域の創意工夫を生かした特色ある学校づくりを進めることが不可欠であるとし、こういった学校教育への保護者、地域住民の参画はみずからの権利であると同時に義務であるという責任を持つことが期待されるとしております。
 このため、学校運営協議会制度や学校評議員制度の積極的な活用を通じて、保護者や地域住民の学校運営への参画を促進する必要があるとしております。
 16ページの一番下のところでございますが、学校施設の地域への開放や余裕教室の有効利用により、学校が地域住民の活動の場となり、学校が拠点の一つとなって地域づくりが進められていくことも必要であるとしております。
 (2)の「教育委員会制度の見直し」、アの「教育委員会の設置の在り方」についてでございますが、2つ目のまるに、教育委員会制度は、首長からの独立、合議制、レイマンコントロールにより、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映を図るものとして我が国に導入され、地方教育行政の基本的な制度として定着してきている。
 一方、現在の教育委員会の現状については、会議が形骸化している、国の示す方針に従う縦割りの集権型の仕組みになっている、合議制のため責任の所在が不明確となっている、迅速な意思決定ができないなどの問題が指摘されている。
 これらを理由として、教育委員会の設置を地方自治体の選択にゆだねるべきとの意見、さらに、その際の代替措置として、教育に関する審議会を設置するという意見、また、特に小規模な町村でその必要があるとの意見も出された。
 この意見に対し、教育委員会を置かない場合の政治的中立性や継続性・安定性の確保、地方における行政執行の多元化、首長が広範な事務を処理する中で専門の機関が教育を担当することのメリット、義務教育実施の確実な担保などの理由から、教育委員会の設置は選択制にすべきではなく、必要な運営や制度の改善を図ることが必要であるとの意見が多く出されたわけであります。
 最後のまるに、教育委員会制度の今後のあり方について、当特別部会では、現在の基本的な枠組みを維持しつつ、それぞれの自治体の実情に合わせた行政が執行できるよう制度をできるだけ弾力化するとともに、首長と教育委員会の連携の強化や教育委員会の役割の明確化のための改善を図ることが適当だとの意見が多く出されたわけであります。
 「教育委員会の組織の弾力化」については、最初のまるにございますように、自治体は人口規模や行政資源が多様であることから、その状況に応じ、例えば委員の数、任期、選任方法などについて各自治体が選択できるよう弾力化することが適当であるとしております。
 ウ、「首長と教育委員会の権限分担の弾力化」、18ページ冒頭をごらんいただきたいんですが、教育委員会の所掌事務のうち文化財保護を除く文化、スポーツ、学校教育・社会教育に関するものを除く生涯学習支援に関する事務等は、地方自治体の実情に応じ、自治体の判断により、首長が担当することを選択できるようにすることを検討することが適当であるとしております。なお、公立の高等専門学校の所管についても検討が必要であるとしております。
 エの「教育委員会の役割の明確化」は、教育委員会の使命は、地域の教育課題に応じた基本的な教育の方針・計画を策定するとともに、教育長及び事務局の事務執行状況を監視・評価することであることを制度上明確化する必要がある。そして、教育長が教育委員の中から教育委員会によって選ばれるような現在の教育長の位置づけ・選任方法は見直すことを検討することが適当であるとしております。
 (3)の「国と地方、都道府県と市町村の関係・役割」についてであります。
 まずアの「国、都道府県、市町村それぞれの役割と関係」でございますが、義務教育の実施に当たって、ナショナル・スタンダードを設定し、それが履行されるための諸条件を担保する観点から、国は、学校制度の基本的な枠組みの制定や教育内容に関する全国的な基準の設定を行い、その上で地方は、それぞれの地域の実情に応じ、主体的に教育の質を高め、ローカル・オプティマムを実現するとともに、国、都道府県、市町村それぞれが必要な財源措置を行っていくことが必要であるとしております。
 1つ飛んでいただきまして、今後、国の定める教育内容、教職員配置、学級編制などに関する基準は、できる限り大綱化・弾力化したり、最低基準性を明確にしたりして、地方の裁量を拡大することが必要であるとしております。
 また、地方の中でも義務教育の直接の実施主体である市町村や学校に権限の移譲を進めるとともに、市町村が設置者としてその地域の状況に応じて独自の教育方針や基準を設定するなど、地域の実情に応じた教育を実現できるようにしていくことが必要であるとしております。
 イの「市町村への教職員人事権の移譲」についてでありますが、現在、県費負担教職員の給与負担については、任命権とともに都道府県にあるわけでございますが、これにつきましては、義務教育諸学校は市町村が設置し教職員も市町村の職員でありながら、給与負担と人事権が県にあるのは制度の不統一であり好ましくないとの意見や、県費負担教職員が地域に根差す意識を持ちにくくなっているとの意見、また、より現場に近いところに権限をおろすべきであり、人事権についても県から市町村にできる限り移譲すべきとの意見、さらには人事権は基本的に義務教育の実施主体である市町村にあるべきものであり、早期に移譲すべきとの意見などがあったわけであります。
 とりわけ、中核市については、既に研修実施業務が移譲されており、これに加えて人事権全体についての移譲を求める意見が強くあるとともに、一部の都道府県の県庁所在地や大都市周辺部には、中核市の要件には届かないものの、それに準ずる規模を有する市も多いことなどから、一定の規模を有する市町村についても人事権の移譲を求める意見が多かった。
 一方、とりわけ町村には小規模なところも多く、給与や人事権の行使に伴う負担には耐えられないとの意見や、中核市など大規模な市町村抜きでの広域の人事異動は考えられないなどの意見、また、県内に一又は複数の人口30万人以上の広域組織をつくるなどの意見があったとし、これらの意見を踏まえ、教職員の人事権については、市町村に移譲する方向で見直すことを検討することが適当である。
 一方、現在の市町村の事務体制で人事関係事務を処理できるか、離島・山間の市町村を含め県域で人材が確保できるかにも留意する必要がある。
 このため、当面、すべての中核市に移譲し、その状況を踏まえつつ、特例市などその他の市町村への人事権移譲について検討することが適当である。
 また、人事権の移譲に伴い、都市部と離島・山間部等が採用や異動において協力し、広域で一定水準の人材が確保されるような仕組みを新たに設けることが不可欠であるとし、なお、教職員人事権を市町村に移譲する場合には、その給与負担についてもあわせて市町村に移譲すべきだとの意見も出されたわけであります。これについては、今後、義務教育に係る費用負担のあり方について議論する中で検討することとするとしているわけでございます。
 以上が、義務教育特別部会の審議経過報告の概要でございます。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 大臣、ご公務でご退席でございます。どうもありがとうございました。
 それでは、以上の審議経過報告につきましてご審議をいただきたいと思います。どこからでも結構ですと言いたいところなのですが、できましたら1章、2章、3章あたりのところを先にお願いいたしまして、それからだんだんに3章、4章というふうに移っていっていただければありがたいと思いますが、あまり難しく考えないで、お気づきのところからで結構でございますので、ご意見を賜りたいと思います。
 猪口委員、どうぞ。

【猪口委員】 どうもありがとうございます。非常に充実したご議論をいただきましたようで、説明も大変わかりやすく、いろいろ考えて伺っておりました。
 まず、冒頭に大臣がおっしゃった、あるいはこの内容の中にも入っていると思いますけれども、やはり国としてどういう対応を今後していくのか、つまり国家戦略として義務教育の教育内容の充実をどう考えていくのかという視点が重要ではないかと思います。国家戦略というときには、今度は地方戦略というのもあるんではないかと思うんですね。ですから、改革を担う主体が主としてどこなのかと。もちろん、日本の義務教育についてでありますから、国が認識を示し、実施の確保は最終的に確認していかなければならないということはそうなんですけれども、すべてを国でやることはなかなか事務能力からしても大変なので、国家戦略レベルで考えるべきことと地方戦略レベルで考えることを分けることが重要だという感じがいたします。
 そして、スクール・ミーティングで、実際の現場でどのような問題があるかということをきめ細かく調べていただいたことは大変有意義だと思います。と申しますのは、国家戦略のことを考えるときも、最も重要なのがローカル・ノレッジといいますか、実際にローカルなところに蓄積しているさまざまな知見で、それを国として吸い上げていただいたという結果が、きょうの報告内容にあるんだと思います。
 そこで、私は、国家戦略として今回の指導要領の見直し等を考える場合、あるいは義務教育の教育課程全体を考える場合に、一つ、ぜひ発言しておきたいと思うことがあります。それは、発言すること自体が、私としても非常に勇気が要って、反対意見もたくさんあることはよく承知しておりまして、矢面に立つ必要もないと思いつつ、しかし冒頭、大臣がおっしゃった、一人一人の委員がほんとうに責任感を持って、自分の考え得る最高のことを妥協なく発言していかなければならないと思いますので、あえて発言したいと思います。
 サンクレスジョブなんですけれども、これは言うまでもなく私は何度か別のところでも発言していますので、外国語教育を小学校段階において充実する必要があるということの点にかかわることなんですが、8ページのところに出ています。このような文言で入れていただいていますので、心強くも思いますが、これだけの文章の中の1行にも満たない量としてなっていますので、今後の展開の中でこの点を十分に重視していただきたいと考えます。語学としては最近、ヨーロッパではよく分類されますが、まず母国語。ですから、このパラも国語力から始まっているので、非常に適切だと思います。
 それから、2つ目は外国語というよりも国際語で、国際的に、とにかくコミュニケーションをするときに大半の人が使っている言葉です。ですから、国際語、これが今日では英語、かつてはラテン語だった、あるいはこの地域では別の言葉、サンスクリッド語だったかもしれませんが、数百年の歴史の中でそういうものをもって国際社会は前進をしてきたのだと、今日では英語だと。それから、もう一つは近隣語で、ヨーロッパであれば、隣がスペインであればスペイン語とか、そういうことにもなるんだろうけれども、近隣語については大学レベルでやる人が多いんだということです。語学の能力は、やはりいろいろな吸収能力の限界の面で、早くから始めることが得策であると。ですから、小学校段階で、私の希望としてはネイティブスピーカーによる教育を受ける機会をすべての小学校において導入していただきたいということです。
 それは、日本の多くの職業人及び市民全般的に非常に高い能力を持つにもかかわらず、なかなか国際社会でウエルリプレゼンテッドではない、非常に高く代表されているわけではないという現実が、さまざまな分野で、例外はあるかもしれないけれども、一般的に言えることです。能力は高い、それから、論理構成もかなりできる、しかし、非常に苦手なのは発音能力についての自信なんです。そこが小学校のときから始めなければならない理由でありまして、文法等は中学校からの教育課程で非常にいい成果を上げていると思いますけれども、ネイティブスピーカーによる授業の導入が必要であるというのは、そういう理由であります。今日のように、総合学習の中でアシスタント・ラングエッジ・ティーチャーというような観点ではなく、アシスタントではなく、その人がメーンであり、主たる責任者であるような特別の職域をネイティブスピーカーについて設けて、そういう授業をすべての小学校で受けることができる。それはこの文章の別のところにもありましたけれども、すべての子どもが平等な機会で、家庭の経済力等によってその子の基本的な能力において差が出ないような機会を与えるということが義務教育の課題ですので、ぜひこの点をよろしくお願いしたいと思います。
 しばらく前の統計で、TOFELの国際比較がアジア地域について出ていましたけれども、日本は最下位のランキングでした。それから、最近、アジアの近隣諸国の英語能力が若い世代で著しく改善していることは、お気づきの方も大変多いと思います。それに対して我が国の若い世代でそのような著しい改善が見られるとは判断できないと思います。すべての子どもにそういう能力が必要であるわけではないという意見があるんですけれども、どの子どもがそういう場面に立つように発展するかというのは小学校の段階で判断することはできませんので、すべての小学生にその道を開くということが適切な考え方ではないかと思いますので、どうかお願いしたいと思います。
 国家戦略というときに、歴史が変わるといいますか、未来が変わるような決定的な、非常に鋭いピンポイントの作用を及ぼす政策を導入するということが重要だと思います。いろいろな課題がたくさんありますが、ぜひ国家レベルで国家戦略として今回、積極的に考えていただきたいのはこれで、この点を導入すれば、きっと日本の未来は変わると思います。その他の能力はさらに充実していくわけだけれども、その充実した能力が国際的に日本の存在感につながらないようであれば、やはり21世紀の日本は、場合によっては非常に惨めな思いをすることになるかもしれず、そうならないようにする責任が一委員としてありますので、発言したということであります。
 それから、もう一つは教育委員の役割ですけれども、これは17ページのアの4つ目のまるでまとめていただいてありますところがとても重要と思います。
 それから、地域戦略としては、例えば、この中にあります睡眠時間が確保できているか、家族の触れ合いはどうかということ。国家としてもこういう認識を示してもいいわけですけれども、前半で申し上げましたことと全くレベルの違う、国家戦略の中での位置づけは違うものと感じます。
 以上であります。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 国家戦略については、随分部会でも審議をいたしまして、国家戦略と、今、地方戦略というお言葉が出ましたが、その関係は随所に書き込んでございまして、4ページの3の右端の1行目に、国がナショナル・スタンダードを設定して、それが履行される条件を整備することが国の仕事で、地方が行うべきことは地方が、学校が行うべきことは学校が担うという書き方にしてあります。それから、18ページで国家戦略としてのことがどこに書いてあるかといいますと、下から4番目のまるの1行目に、ナショナル・スタンダードを設定して、それが履行されるための条件を保障するという観点から、国は何をすべきかというと、学校制度の基本的な枠組みの制定や教育内容に関する全国的な基準の設定を行うと、その上で地方はローカル・オプティマム、つまり地域において最適な状況を実現するためにやるべきことをやるということで書いてあるわけです。
 この部会の審議経過報告では、このような抽象的な表現しかしてありませんが、今、外国語教育を例にとって猪口委員がご意見をおっしゃってくださったような、もう少し突っ込んだ議論も部会ではしてあるんですけれども、ここへ書き込むに至っていないようで、今のご意見は大変貴重だと思います。ありがとうございました。
 この後、お一人お一人のお時間を3分ないし5分ぐらいに限定してお話をしていただけると、より多くの方にお話をいただけると思いますので、よろしくお願いいたします。
 どなたかおられましたら、どうぞ。
 寺島委員、どうぞ。

【寺島委員】 では、論点を2つに絞って発言させていただきます。
 私はこの義務教育の特別部会のほうの委員ではないのですけれども、中教審の継続性という中で確認のためにまず発言するんですが、義務教育の目標という最初のところなんですけれども、憲法26条と学校教育法というものをここに引用しながら義務教育ということを設定していますけれども、以前の中教審でも議論したことなんですけれども、義務教育というのはだれに対する義務なんだということを、時代の変化ということを視界に入れて、もう一回見直し思想というやつの輪郭を明確にする必要があると思うんです。ここに書いてあるように、教育を受ける権利というのが憲法26条になっているんですけれども、義務教育って結構誤解されていて、ある時代を背景にしていたんだなと思わせるものがあって、学校に子どもを行かせない人がいるので、保護者に子女を普通教育に行かせなさいという意味での義務が一つのウエートだったという時代が、この学校教育法では背景になっているんです。同時に、市町村に、小中学校をそれに対応して設置する義務があるということで、義務ということが2つ出てくるわけです。ですから、義務教育ってだれのだれに対する義務だったのかということをもう1回確認してみると、時代の変化とともにやはりむしろそれぞれの個人が多様なオプションで、やわらかい制度設計で教育機会を得られるという方向へ国の教育システムを変えていくというのが、この時代の潮流の中での考え方じゃないかと。それが今回の義務教育の見直しに明確に制度設計として出ているかどうかというところがものすごく重要なポイントになってくるだろうと思うんです。
 2点目の論点は、ナショナル・スタンダードという言葉にどうしてもこだわるわけですけれども、ナショナル・スタンダードという思想から、我々自身が困惑しちゃうんだけれども、ローカル・オプティマムという地域に根差したというところのローカルというキーワードと、外から日本を眺めたグローバルという言葉との中で教育の見直しに今、入っているわけです。義務教育のそういった視点から、ナショナル・スタンダードというものとローカル・オプティマムの思想とグローバル化の思想とを、どういうふうに整合性をとりながら制度設計をしていくのかということがすごく重要になってくると思うんです。それがいみじくも出てくるのが、今の猪口さんの語学教育の話もそうなるんですけれども、僕はものすごくこだわりたいのは、例えば教員の免許ということがこの中に後で出てきていますけれども、お配りいただいている資料を見ると、日本の教育というものの現場がどうなっているのか非常に考えさせられることが多いんです。例えば、日本の義務教育の現場に立ち向かっておられる教師の方の給料がOECDの中でどういうところに位置づけられるのかということで、15年間勤務した人のOECD平均が3万1,300ドルなのに、日本は購買力平価で換算しても4万5,000ドルだという数字が後ろの資料にくっついていますけれども、日本の教員の給料が高過ぎるということを僕は発言したいんじゃなくて、例えば、地域の産業力に根差した給料体系に例えばなっているのかと。残念ながら、田中 角栄のときに普通の公務員よりも一号俸多い給料を出さないと、あの右肩上がりの時代では教員に職業選択する人が少ないということで、教員の給料を上げたわけです。それによって、それはそれで大変結構なことなんだけれども、ゆがみが起こっていて、東京で教壇に立っていようが、利尻、礼文島で立っていようが、全国ほぼ一律という給与体系になっていて、ここで僕が言いかけたローカル・オプティマムということから考えたら、ちょっと考えさせられますよねという構図になっていると。
 グローバルということでいったら、教員の切磋琢磨ということを、世界じゅう動き回っている仕事ですから感じますけれども、やはり住民ごとに、どんな民間企業でも、努力してその教壇に立つのにふさわしい、例えば免許の更新制とか、運転免許だって何年かで更新するわけで、更新するぐらいの評価システムをしっかり準備して、自分の職業に緊張感を持って立ち向かう仕組みというものをみずからつくっていくことをしなかったら、教員の質を上げるも、あるいはグローバルの中で知の大競争の時代なんて言ってみたって始まらないんじゃないのという気持ちがすごくするわけです。そういう意味で、ナショナル・スタンダードというところでとどまっている限り、結局、いろいろ議論したけれども、現在の制度を維持していく、教育委員会の話だってそうだと思うんですけれども、現在の制度を維持して弾力化しましたというあたりでお茶を濁すあたりになっちゃうんじゃないかということを僕はあえて懸念するものですから、もう一歩前に進めましょうよ、せっかく義務教育の見直しに入るんだからという意味で、2点だけちょっと発言させていただきました。

【鳥居会長】 ありがとうございました。そのほかで。
 野中委員、どうぞ。

【野中委員】 ありがとうございます。今の寺島委員の発言を受けてなんですが、3分おくれたのは、財務課長の藤原さんと9時台から30分ほど、ここへ来てお話を伺っておりました。
 それで多分、この中教審の義務教育をめぐる部分で今一番ホットな問題というのは、財政の負担のあり方というところに命がけで加わっているという部分の議論がかなり注目をされていると思います。その現状と今まで明治時代からの国家予算と地方の問題というご講義も受けていたわけですけれども、私も今のお話を伺っていて、結局、ナショナル・スタンダードというものの中でもう1回見直そう。だけれども、今、寺島委員がご指摘くださった、グローバルな中で10年先、20年先にどういう子どもたちがこの国を支えていってくれるのか、それを話し合っているのだという視座がない限り、非常に不毛な綱引きをする、そんなことになってはいけないと思っているんです。
 ですから、個別の意見、さまざまありますが、申し上げておきたいポイントは、この先にどういう子どもをつくるために、だれが責任を持って、どこを変えなければならないのか、そのためにお金をだれが責任を持つということを明確に、今までと違うものをつくったらだれが責任を持って、どのタイミングで見直して、そのための評価をどういうふうにするのか、その先のために今、財政の議論があるのだということを常に頭に置いてやっていただきたいというお話を財務課長にお話をしたので、このコンテクストで、猪口委員のお話もありましたけれども、それが我々のこの中教審の義務教育部会に期待されている部分だと、そして、国民に対してそれをわかりやすく伝えていく。私たちは綱引きをしたいんじゃないんだと。村だ、町だ、市だ、おれたちに金寄こせ、いや、渡さん、渡したらもう国がだめになるんだ、そういう不毛な議論だけではなくて、具体的にどうしてどうしたらどう責任が、タックスペイヤーから預かっているお金を有効に使うシステムをつくり直そうとしているのかという、その議論のプロセスも国民にわかりやすく伝えていく努力をしなければいけないと思いました。
 以上です。

【鳥居会長】 どうもありがとうございました。そのほかには。
 阿刀田委員、どうぞ。

【阿刀田委員】 簡単に申し上げます。きょうここに多分、日本の知性を担う方々が大勢見えていらっしゃると思うんですけれども、我が胸に手を当てて考えてきたときに、自分の脳みそを培ってきた中で読書というものがどんなに大切であったかということを皆さん、きっと体験を持っていらっしゃると思います。80パーセントぐらいの方は必ず読書をきちっとやって今日の知的なものを培っていらっしゃるんだと思います。
 ところが、このごろその読書というものが非常に衰えている。それは、ここにあるように読解力、記述式問題に対する対応とかというもの等が欠如しているということと絶対に関係があるわけで、やはりこれからの知性を培っていく中で読書というものをほんとうに大事にしていかなければいけない。そして、これは上から幾ら読め読めと言ってもだめなので、文化審議会の国語分科会では、みずから本に手を出す子どもをどうやってつくるかということを真剣に議論してまいりました。これはそう簡単なことではありませんけれども、どうかみずから本に手を出す子どもたちをどういう環境を用意してつくっていくか、これはものすごく大きな問題であって、やはり5年後、10年後の子どもたちというものを考えたときに、きちんと孤独に耐えて本を読んで、そして自分の論理構造をつくっていくということを学校教育の中できちんと位置づけること。いろいろな方便はあると思いますが、具体的には図書館、あるいは図書館司書をきちんとつくる、ほんとうに本の好きで、その先生を見ていると子どもたちが嫌でも本を読みたくなって、あんなに楽しそうに先生が本を読んでるんだから、おれも読もうかという気を起こさせるような人をどうやってつくるかというのはなかなか難しいところもあるんですけれども、そういうことに向かうようなことをぜひやっていただきたいなと。ここで数行にわたって学校図書館のことを書いていただいているのは、幾らか本にかかわる立場にある者として非常にうれしいことですけれども、これはもう絶対に譲れない大切なポイントだろうと声を高く主張させていただきます。
 以上です。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 では、土屋委員、どうぞ。

【土屋委員】 各4人のご意見を承りながら考えました。今まで特別部会の委員でございましたので、それも含めて考えてきたわけでありますが、今、私は比較的学校の近くにいるといいますか、市長ですから近くにいるんですけれども、あるいは地域社会の現状を見てつくづく感じるのは、一部のエリートが成功した、それはそれで頑張っていいと思います。しかし、問題は、平均的な言い方をして恐縮ですけれども、社会の中間を占める80パーセントぐらいのごく普通の子ども、そういう子どもたちはどういう現状にあるのか、そして、その延長である若者がどういう現状にあるのか、そういう点を押さえて考えないと。国際競争力の中でスーパーエリートのような人が頑張ってもらう、これはいつの時代にも必要なことだと思います。だけど、それを支えてきた膨大な良質な中間層というか、規範性が高くてというか、そこが難しいところですけれども、内面的な誇りを持って、ある程度の規範性と誇りを持って、それぞれの役割をきちんと果たしていくという、この80パーセントの層を念頭に置いて義務教育をどうするかということを考えないといけないんじゃないかなという気をいたしております。
 今の若者たち、小中学生は、地域によっていろいろ差があるんですけれども、全般的に学ぶ意味とか、なぜ学ばなければいけないんだということに対して自信を持てない、目標を持てない、そういう子どもたちが多いという気がします。現象としては、目が輝いていないとか、開発途上国の子どもたちは、いろいろ私たちも、例えばロシアとかいろいろなところと交流があるんですが、非常に意欲的で目が輝いています。アメリカなどもテキサスと私ども交流していますけれども、この子どもたちも非常にアクティブなところがあります。
 武蔵野市などは比較的レベルがいいと言われているんですけれども、それでもそういう感じを持ちます。だから、そういう考え方で例えば今、外国語教育の話も出ましたけれども、外国語教育の前に日本語をきちんとしゃべって、日本語で多様な語彙を知っていて、そしてそしゃくし、理解するという能力をきちんと積み上げていかなければいけないんではないかという気がいたします。ここを強調すべきじゃないかという気がします。
 阿刀田委員がおっしゃったように読書ということも、我々はブックスタートという、ゼロ歳からお母さんに絵本や何かを差し上げて、読み聞かせの運動を生涯学習の営みとしてやっています。それから、3歳児に対する動機づけ、小学校における読書の時間、こういうことをやっているわけですが、齋藤孝さんという人の『声を出して読みたい日本語』、あれも読ませていただきましたが、そういうことをきちんとやるという営みをしないと、外国語を学ぶ前に日本語をきちんと学びきれるのか、身につくのかという感じがいたします。
 とりわけ、最近は子どもたちが黙っている時間が多くなりまして、例えば、中学校はそれほどでもありませんけれども、都立高校とか教室の中へ携帯を持ち込んでメールをやっているというのはほとんど常態化しているわけです。ですから、こういうことについてどうとらえるんだということをやらないといけないんじゃないかなという気がいたします。
 それから、地方戦略というお話が出ましたけれども、この地方戦略ということがどういうニュアンスだかわかりませんが、国家戦略といった場合には、例えば、中央教育審議会の結論で一つの方向を出すというのは、教育における一つの国家戦略になるわけです。ただ、地方戦略といった場合に、これは地方自治体、基礎的な自治体というのは2,000あるわけですから、350万人の横浜市から数千の単位の町村まであるわけですから、また、地方自治体の本質として、それぞれ独自の地域性ということは非常に強いわけですから、地方戦略という言い方のときに、私は、地方の役割をどうするかという意味でとらえてやらないと、地方自治体はいろいろ多様だと、ばらばらだということをご理解いただかなければいけないんではないかなという気がします。
 そこで私どもは、一番地方自治体の最前線にいて感じますのは、地方自治体のスケールによって能力が違います。ですから、どこをイメージして制度をつくるかによって違うわけですから、現実論としては、例えば、人口規模、財政規模のようなものを、30万の中核市とか政令市とか、あるいは20万ということの具体の話をしないと、その能力によって違いますから、一律にはいかないんじゃないかという気がいたします。
 一人一人の子どもを大切にと言うことは当然なんですが、なかなか現場で、結局、国も頑張っていただかなければならないし、市町村もそれなりに頑張る、同時に学校も頑張る、これさえやれば全部すっきりいくというようなことがないもので、生涯学習の営みも含めて、就学前教育も含めて、非常に明快なメッセージを出せというご意見もありますが、なかなか明快なメッセージも出ない要素もあるというふうに現場で感じております。何かまとまらない話になりましたが、以上です。

【鳥居会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、飯野委員、どうぞ。

【飯野委員】 今、お話を伺っておりまして、私自身を思い出し、また娘などの時代を見ておりまして、小学校の教育というのがいかに人間に大事か、学ぶことの楽しさを教えてくれる教師というのがどんなにいいものか、しみじみ感じております。そのような教師の必要性を大学の側から見て、教員養成ということについてちょっと視点を変えて伺ってみたいと思います。
 子どもに学ぶ楽しさ、あるいは本を読む楽しさでもいいんですが、そういうことを感じさせる教師というものの資格がどうやってはかられるのかということです。この資料の12ページには豊かな人間性とか社会性、常識と教養と礼儀作法とか、そういった素養が備わっていることが大事だとありますが、そういうものが教員養成課程でどんなふうにはかられるのか、あるいは試験でもってはかることができるのか、というところが、どこかで話し合われたのかどうか、いつか機会がありましたら伺いたいと思います。
 そういう熱意を持った、あるいは素養を持った人たちを生む過程というのが、ここに書かれている教員養成の専門職大学院の設置ということで促進されるのか、そこで一歩進むことになるのかどうかということが、私、ちょっとここを読んだ限りで納得できなかったものですから、いつか学ばせていただきたいと思います。私どもの大学にも教員養成課程、つまり教員としての資格を得るためのコースが提供されておりまして、かなりたくさんの学生たちが教員の資格を取るわけなんですけれども、何か特別なコースをつくることで教員としての資格や熱意を持つことにプラスになるのでしたら私たちもそのようなコースについて学びたいと思います。今、それぞれの大学でそういった教員養成をしているところがどういった課程を提供しているのか、そういうデータをお集めになってこういう結果になったのかどうか、知りたいと思っております。
 それからもう一つ、そういった教員をはぐくむこととのかかわりなんでしょうけれども、家庭と義務教育にかかわる学校との関係ということも最初のほうに述べられていました。5ページでしたか、ここに書いてあることを読ませていただくと、両者のかかわり合いというのをこれから検討していかなければならないと書いてありましたが、どこまでが家庭の責任でどこまでが学校の責任なのか、あるいはどこが地域のかかわらなければならないところなのかという区分が非常に難しいと思うんです。アメリカなどで、これにも出ていましたけれども、朝ご飯を食べてこないような子どもがたくさんいる学校では、まず、学校で朝ご飯を出すような制度をつくらなければいけないという意見があります。新聞などに、ある学校では朝ご飯を提供するようになったなどという記事が出るわけです。そういう解決に直行するのではなくて、もう少し問題がどこにあるかということを把握しなければいけないんじゃないかと私はいつも思うんです。それが、家庭であるばかりでなく、地域の問題かもしれないということもありますから、そういったことも考えて、責任の所在を明確にするというよりは、ここにもちょっと触れてあったと思いますけれども、学校、家庭、地域関係者が一緒になって問題点をはかる、そしてその地域で学校はどういう意味を持って、その学校はどういう子どもを育てようとしているのかということをお互いに理解すべきじゃないかという気がいたします。
 もう一点、小学生に英語を学ばせることに関連したコメントですが、ここでも地域と学校のかかわり合いについて考える必要があると思います。子どもにあれもこれも全部詰め込むんじゃなくて、私も言葉のことも考えますし、私たちの大学でも小学校で英語を教えられる教師の資格を与えようということもしておりますけれども。小学生に英語が必要かどうかということも含めて、地域と学校のかかわり合い、つまりそういった地域で子どもが英語を覚えることがほんとうに必要なのか、あるいはグローバルな視点を得るのにどの段階で必要なのか、そういった時間的なこと、地域的なこと、両方を考えなければいけないんじゃないかという気がいたしました。
 ありがとうございました。

【鳥居会長】 ありがとうございました。今、最初にご質問のあった点については、教員養成部会というのがございまして、そこで今、審議をしている最中です。
 もし教員養成部会のほうでの審議経過について事務局から説明できるものがあればお願いしますけれども、まだ早過ぎますか。

【樋口審議官】 よろしゅうございますか。今、会長からご指摘がございましたように、「はじめに」のところにもございますように、この基本的な方向については、教員養成のあり方についてお示しをいただきたい。そして、具体的には教員養成部会で今、専門職大学院の問題と教員免許更新制について、具体的なワーキンググループを立ち上げさせていただいております。
 そこにおける問題意識といたしましては、これまでご案内のとおり、戦後、開放制の仕組みの中で、教員養成系の大学のみならず一般の学部等でも教員養成が行われてきている。その仕組みは基本的に維持しながら、しかしながら、今、教師に求められる資質能力、最小限教育を行っていくのに必要な資質能力は、大学の教員養成の課程で広く一般に担保されているかどうか、このことについての課題意識、あるいは大学で得た免許が生涯を通じて有効なのかどうか、緊張感を持って教師が生涯学習の実践者として教職課程の中で、みずから適格性と専門性というものを維持し、向上させていく仕組みが必要なのではないかということで、この免許更新制についても今、議論が行われているということでございます。専門職大学院についても、より高度なレベルで、実践的な指導力を持った教師を育成するためには大学院レベルでのこういう専門職大学院も必要ではないかという問題意識で今、議論が進んでおります。
 他方、教師に求められる専門的な指導力だけではなく、総合的な人間力の問題も提起されておるわけでございまして、12ページの3つ目のまるのところには、教師にも一般的な教養教育が必要なのではないかということで、こういう豊かな人間性を培うための哲学、倫理学、歴史学等の人文科学、基礎科学等を幅広く履修して、豊かな教養を身につけた人材をつくることも他方、必要ではないかといった論点も出されているところでございまして、今後、こういった中教審でお示しいただいた論点を踏まえながら教員養成部会で議論させていただきたいと思っております。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 キャリア教育のことが少し書いてありますが、今、若い人達の働き方とかいろいろ調べている中で感じていることをお話ししたいと思います。キャリア教育のときに、好きなことを仕事にというトーンがわりと強いような気がするんです。例えば、中学校で何かやるときも、「あなたの好きな仕事は何? それで体験してみましょう」という形になっているように思うんですけれども、それが逆に子どもたちを縛っている部分もあって、働く意欲というところにうまく結びつければいいんですけれども、この仕事だったら勉強は必要ないと短絡的に思ってしまったりとか、実際、それになれないからやらない、働くことから逃げてニートになってしまったりとか、いろいろ問題があるのではないかと思うんです。
 キャリア教育って簡単に書いてありますけれども、ほんとうに生きていくための力、働く力、そういう基本的なことを特に義務教育のところではきちっと教えて、最初から好きなことを見つけましょうというようなキャリア教育にしないほうがいいのではないかと思います。あまりそういうことを書き込んでいないので、これからその辺の議論を少ししていただけたら、子どもたちの学ぶ意欲とキャリア教育は、実は非常に関係があると思いますので、重要であると思います。
 それから、もう一つなんですけれども、学校と地域、あるいは家庭の問題というのはここでもさまざまに出てまいります。成功している事例というのも最近あるように思います。それをいろいろ見ていますと、実はそれぞれの役割分担でやっているのではなくて、重要なのは信頼関係が構築できているかどうかだと思うのです。私も学校の現場でいろいろお話を聞いたりいたしますけれども、そのときに先生はどう言うかというと、父兄からクレームが来たというような言い方をされる場合もあるんです。多分、保護者のほうも、学校がこんなことだったら先生に文句言わなきゃとか、校長に言わなきゃとか、相手に文句をいうことになっているのに気づきます。時代的な傾向としてもそれぞれの信頼というよりは、それぞれの役割をどう果たしてくれるのということを突きつけるような社会になっているんじゃないかと思うんです。その中で、子どもたちは結局何も信じられないようなことになってしまう。先生も信頼できないようになる。家庭でご飯を食べないような問題もそうなんですけれども、悪い人を特定して責めるのではなく、全体としてのムーブメントをつくっていかないと解決されない問題だと思うんです。そのときに、どうやって一つのテーブルにみんなが信頼関係を持って臨むことが大事だと思います。それぞれきっちりやりましょうよというのも大事ですが、今までもそれはやってきたと思うんです。それが今、こうなっているわけですから責任は家庭にある、学校にあると互いを責めるのではなく、、新たな方向としては子どもたちのためにどうやって信頼関係を結ぶんだと、そのためにはどういうことが考えられるんだと、その視点に立つことが大事なのではないかと思います。

【鳥居会長】 どうもありがとうございました。
 ごう委員、どうぞ。

ごう委員】 ちょうどいいときにご指名をいただきました。
 委員会の一般的な話としまして、メンバーの先生方は非常にすぐれた一流の方たちでいらっしゃいます。それで、どうしても、先ほどの土屋委員のお話にありましたけれども、すぐれた人を養成するというところに視点が偏ってしまうと思うんです。義務教育というものは国民の80パーセントとさっきおっしゃいましたけれども、対象は一般の人だというところ、その視点を忘れてはいけないのではないかと。そこは、いろいろな日本の教育の場で、どうしても先生方は優秀な人を育てる、それは必要なところがもちろんあるんですけれども、ここは義務教育を考える場である。そのことは、間違うと照準を非常に一般的なところに合わせてゆとり教育、少しゆっくりやりましょうという、今度はそちらに動いてしまう。その非常に揺れの大きいところにいかないように心していかないといけないんではないかときょうのお話から感じております。
 それから、一つ今の委員のお話を伺いまして、例えば、教育長を公募で求められたところというのが市町村で何カ所かあるというふうに思っておりますけれども、そういうところで非常によい信頼関係、つまり地域、保護者、学校、教育委員会のいい連携を実現されつつあるところの具体的な例なども、地方のそれぞれのやり方でこれからの義務教育を展開していくときには、こういう場で挙げていただけると少しイメージがわいてくるんではないかと思っております。
 それからもう一つ、3番目に申し上げたいのは、義務教育の場面で幼児教育と小学校教育の連携ということも出てまいりましたけれども、結婚した女性の半数以上が何らかの形で働いているという現状を見た場合に、保育所と幼稚園、保育所は文科省の管轄ではないということがあると思うんですけれども、その省庁のことは超えて、やはり幼児教育と小学校の連携、あるいはこれを具体的にしていくときに、ぜひ女性の今の就労の状況、今後、少子高齢化で高齢者がいろいろなところで、地域の中で、義務教育の中でお手伝いをしていけるような状況、そういったことも具体的には、もう既に考えていらっしゃるんだと思いますけれども、ぜひ大きな問題だと思いますので、検討していただきたいと思います。

【鳥居会長】 ありがとうございました。今、おっしゃった論点のいずれも義務教育特別部会で突っ込んだ議論をしておりますし、それから、義務教育特別部会の前にありました地方教育行政部会という部会、今年の1月に役割を終えてなくなったんですけれども、そこで議論してきた問題でございます。十分にその経過をこの総会にお伝えしていないような気がいたします。いろいろな方法でお伝えしていくようにしたいと思います。
 例えば、今、ごう委員から教育長のお話がございましたが、基本は今、教育委員会が教育長を選ぶという仕組みになっています。もとはというと、平成10年の中教審答申で、教育長は特別職になるという答申が出ていたにもかかわらず、いろいろな事情で教育長は特別職ではないんです。ただし、教育委員は特別職ですから、教育委員としての教育長は特別職なんです。そういう非常に中途半端な位置づけの中で今、教育長が仕事をしておりますので、18ページの上から2番目のまる、エというところの下から3行目の右端から読んでいただきますと、「このため、教育長が教育委員の中から教育委員会によって選ばれるような現在の教育長の位置づけ・選任方法は見直すことを検討することが適当である」という表現にきょうはなっています。今、例示として挙げられたその教育委員会によって選ばれた教育長が、実は外から公募で教育委員会が呼んできたケースもあるというお話だったと思うんですが、そういうところはうまくいっている、あるいはうまくいっていないという事例について、もし事務局に何か、何件ぐらいはそういうのがわかっていますよとか、そういうのがあったら出していただいて。わからない?

【樋口審議官】 今、ご指摘がございましたのは、一例としては、福島県の三春町で教育長を首長のほうが公募で選んできて、教育長になられたと。ただその後、首長の交代によって教育長もかわられたということでの継続性についての課題があったということで、ほかの市も成功事例とは言い切れませんけれども、当然、首長が任命をするに当たって議会の同意を得る。その過程で主体的には首長が選ぶにいたしましても、公募という形を一つ用意して、そこの中で幅広く教育委員、将来的には教育長の適任者を選んでいくというやり方は一つあろうかと。
 その意味では、私ども、17ページの下のまるのところにございますように、さまざまな状況にございますから、今後、自治体によって委員の数とか任期とか選任方法などについて各自治体が選択できるような仕組み、そういう弾力的な仕組みが必要になってくるだろうという認識を持っております。

【土屋委員】 あれは失敗例でしょう?

【樋口審議官】 そういう意味で継続性に課題があるということで、問題が出てきた。

【土屋委員】 いや、言いにくいなら私、言いましょうか。

【鳥居会長】 どうぞ。

【土屋委員】 事務方からは言いにくいんだと思いますので、言いますけれども、そういう教育長を公募で選んだということで、町長がやめたんです。それは地方自治の関係者の中ではっきりしていることですから申し上げておきますが、一つは、その方がどういう方だったかは別にして、公募で選んだけれども、うまくいかなかったと。しかし、町長は任期途中でやめたと、こういうことですから、これははっきりしておく必要があるわけで。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 それから、ごう委員がご指摘のもう一つの働く母の子どもたちの問題がありましたけれども、それについては、これも中央教育審議会の別の部会でずっと審議を続けてまいりまして、保育所の所管省庁である厚生労働省のほうも、別の審議会と中教審のほうと合同の協議会を設けまして、幼稚園と保育所との連携を図る仕組みをずっと協議してまいりまして、合意に至りまして、現在、仮の名前で総合施設と呼んでおりますが、保育所と幼稚園が一体となって運営をすることができる仕組みの実現がもう一歩というところに来てはいます。その件については、きょうの紙では10ページの上から2段目の最初のまるの下から2行目のところに「幼稚園と保育所の連携、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の実現などを図る」という表現になって、一応入っています。
 それから、ごう委員がおっしゃったことに関連してもう一つ、働くお母さんの問題を超えて、きょうの審議経過報告には盛り込みようがないので、なかなか難しい問題なので、家庭の朝のご飯を食べない子どもの問題とか、そういう形で間接のまた間接で表現してあるところがあるんですが、スクール・ミーティングとかいろいろなミーティングで学校へ実際に行ってみるとわかるんですが、私自身はスクール・ミーティングの前に中教審としての視察をやって、行った先の町の小中学校から東京都内の小中学校から、地方の山の中の小中学校に至るまで、クラスの子どもの約10パーセントが親が離婚している。ほんとうに判で押したように、私の行った先は10パーセントだったんです。中教審でヒアリングをしたときに、ある先生が自分の学校の事情としてご説明になったのは、親の離婚率は20パーセントだと。大体、そこら辺まで事態が来ていて、それであるがゆえに朝飯食ってこない子がいるということがかなり深刻な問題になっていて、なかなかこの審議経過報告には書けない難しい問題を抱えているところへ来ているように思います。
 どうぞ。

ごう委員】 ありがとうございました。先ほどの教育長の公募の件でございますが、私、1つだけ個人的に知っている例がありまして、それは愛知県の西尾市でございまして、教育長に実は私の元同僚であられた方、名古屋大学の教員の方が応募されまして、それで教育長をやっておられて、地域との連携を大変よく進められたというお話がありますので、そのことを私、もしかしたらまた後で申し上げたいと思っております。

【鳥居会長】 では、安西委員、どうぞ。

【安西委員】 質問も兼ねるんでありますけれども、教育への情熱があって、実践的な知識があって、そして人間性豊かな教員というのをどういうふうに輩出していったらいいのかということについて、専門職大学院等々のことはあるのかもしれませんけれども、例えば、学校で哲学、倫理学を教えたからといって人間性が豊かになるのか。やはり、人間というのは内に秘めた中のことを引き出していくような環境が、子どもじゃなくて教員に対してあれば、今申し上げた3つのファクターというのは出てくる可能性があるというふうにも思うんですね。そのためにはやはり教員にまつわる制度設計が非常に大事で、それは時間の問題でありますとか、あるいは処遇の問題でありますとか、教育委員会、教育長の問題、教員の評価の問題、人事の問題、あるいは地域との関係でありますとか、この審議経過にも書いてありますようないろいろなファクターがいろいろに総合的に絡み合って制度設計されていくべきものじゃないかというふうに思うんです。
 また、これはさっき最初に寺島委員も言われておられましたように、地域によっても随分違うローカル・オプティマムというんでしょうか、そういうことがあり得ると思います。そういうことを、ほんとうにこういう人間像の教員が増えていくようにするためには、どういう制度設計をすべきかということを、断片的なファクターをそれぞれのところで議論するのではなくて、総合的に考えるような方向というのはおありになるのかどうかということをちょっとお伺いしたいと思うんですけれども。

【鳥居会長】 なかなか難しい質問で、安西先生にむしろ何か思いがあるんだったら……。

【安西委員】 多少難しいということを知っていながら申し上げているんでありますが、これまでに歴史の経緯とかいろいろなこともあるんじゃないかと思いますけれども、気がかりなのは、何かのことは実現するけれども、断片的に何かが実現されたときに、逆にそれが足かせになるようなことが比較的多いような気がします。ちょっと言いにくいんでありますけれども、そういうことが気になっているということであります。

【鳥居会長】 この審議経過報告をまとめるについて、今、安西委員がご指摘のような話というのは何度も出ているんですけれども、なかなかおっしゃるうまい総合的な取り組み方というんでしょうか、それが出てこない。むしろみんなの頭の中に引っかかっている問題というのは、いい教員、教師を再生産する歴史を前向きに繰り返していけば、いい先生はもっともっと増えていくし、質は上がっていく。その反対の縮小再生産の歴史を繰り返していくとだめになっていくのがわかっていて、下手するとネガティブの方向に向かっているんじゃないかという心配があるわけです。要するに、料理人はうまいものを食ったことの経験がないと、うまい料理ができない。育つときに、そう言っては失礼だけれども、いい育ちでないと、育ちというのはちょっとあれだけれども、いい人間教育を受けた青少年期を経験した人がいい先生になることも明らかなんだけれども、どうもそこのところのプラス方向の再生産が進んでいないという実態がある。

【安西委員】 今、会長が言われたようなことをやはりみんなが頭に持って少しずつ進んでいけばいいのではないかと思います。難しいということはわかっておりますが。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 では、相澤委員、どうぞ。

【相澤委員】 今回の重要な柱というのは、キーワードで挙げればナショナル・スタンダードと、それに対して質の保証を図ることだと思うんです。これは、今、高等教育においてこの基本的な考え方で体系づけられてきているという状況と軌を一にしている。そのときに、ナショナル・スタンダードというのが、私は冒頭から非常に気になっております。寺島委員も指摘されましたけれども、あえてナショナルがつくというのはなぜか。これは当然、グローバルなこの時代、それから、反対にローカルなこういうところ、そういうところでの全体の反映としてのナショナル・スタンダードであるとは思うんですが、この多様化した時代に、果たしてナショナル・スタンダードというものは義務教育について決められるものだろうかというのが非常な問題点。必要であるというニュアンスはわかるけれども、この決め方が非常に難しい。達成目標をそれぞれの教育機関が設定していくということであると理解しやすいところですが、ナショナル・スタンダードとして決めるというのは、どういう形になるのかというのは非常に大きな気になるところであります。
 それから、先ほど義務教育におけるスタンダードにかかわることで、どの対象を中心に考えるか、いろいろと問題提起されておりました。片や、今、義務教育及び高等学校の教育でいろいろなひずみが出てきていることは、高等教育における入学試験制度等に深くかかわっていることであり、これは無視できません。そこで義務教育についてのナショナル・スタンダードを考えるときに、高等教育との接合の問題も考慮しなければいけないんではないかと思うわけです。
 そのようなことから考えて、このナショナル・スタンダードをどう設定していくかということがほんとうに難しい問題であると指摘させていただきたい。

【鳥居会長】 ありがとうございました。相澤先生は大学分科会の会長でいらっしゃって、今おっしゃった高等教育のほうを中心にやっていただいているわけなんです。それで、我がほうといいますか、義務教育特別部会が議論しているときに頭に描いているナショナル・スタンダードは、一つは義務教育段階の学習指導要領、そこでもってそれぞれの科目ごとに、科目といっても道徳の科目まで含めての各科目です。それらの科目についての国全体としての標準というのを定めるということがまず基本にありまして、それを18ページの真ん中のアというところのすぐ下のパラグラフでは、一言でナショナル・スタンダードと呼んでいます。それを設定するのは国の仕事である。ここでは主語が書いてありませんが、国は「ナショナル・スタンダードを設定しそれが履行されるための諸条件を担保する観点から」、今度はもう1回主語が出てきますけれども、「国は、学校制度の基本的な枠組みを制定する」、これもナショナル・スタンダードの一種でありまして、教室の大きさでありますとか、あるいは先生一人当たりの生徒の数でありますとか、今、40人学級がナショナル・スタンダードになっていますが、現実にはもう三十数名の学校が増えてきていることから、今度定員を再調整しようということもこの部会で議論しておりまして、そういった意味の国家スタンダードです。それから、教育内容に関する全国的な基準といったものを決めていこうと。そこまでは国が責任を持とうという意味でナショナル・スタンダードと呼んでいます。
 今、相澤先生が提起された問題は、それをさらに超えてナショナル・スタンダードと、もっと広い意味でおっしゃったように今聞こえましたけれども、おそらくおっしゃるとおりだと思います。我々としては、その意味で、もっと広い意味でのナショナル・スタンダードというものを議論していく必要があるように思います。なかなか難しい問題でして、イギリスの例を振り返ってみるとわかりやすいと思うんですが、イギリスがコアカリキュラムを決めて、ナショナル・スタンダードを決めるということを1980年から88年にかけてやったわけですけれども、相当ディテールにわたって、80年以前は地方、地方に任されていた義務教育の段階のスタンダードを国が統一して決めるというふうに改めた、あの経緯を振り返ってみると非常に参考になるように思います。
 それでは、見城委員、どうぞ。

【見城委員】 ありがとうございます。義務教育特別部会のほうにも出させていただいておりますので、さまざまな意見が大量に出まして、それがこれだけの経過報告書にまとめられたということは、大変努力の末にこれだけにまとまったということではありがたいと思うんですが、同時に、義務教育特別部会ではない方には個々のさまざまな議論がよく伝わらなかったんではないかというのを感じました。その辺をもう少し皆さんに情報として伝わる方法はないんでしょうか。これが1点目です。
 それから、今度内容のことなんですが、この中央教育審議会は、一番大事なことは新しい時代の義務教育をどうするかということの内容と、財政をどうするかという大きく分けて2点があると思うんです。その内容のほうなんですが、先ほど阿刀田委員から国語力の問題とか、また猪口委員からは外国語力をつけていくというグローバルに活躍する人材をどの時点から出すべきか、それは義務教育にあるんではないかといろいろ出てまいりましたけれども、その大前提として、憲法26条による義務教育を受ける義務、そういう部分も含めてなんですが、家庭の状況、社会の状況がほんとうに全く変わってしまったという視点を一度、最初に盛り込むべきではないかと思うんです。
 それは私自身が放送局出身で、ラジオやテレビの文化を担うという職業をやってまいりました者としては、例えば、テレビ等がいかに家庭に簡単に、ぱっと見た瞬間に飛びつくように演出されます。人が見てくれるように常に努力して番組はつくられて、もう洪水のごとく流されているわけです。いい意味でもそれは情報源であり、文化をつくってはいるんですが、もう一方では、義務教育で学校に入るまでの子どもの状況は、既に学校教育が始まる前に、家庭で、ある部分は放置されたままテレビの前で、それから、今は携帯電話の低年齢化によって既に、文字から学ぶとか、孤独に耐えてある時間を学ぶとか、考えたことを文章にまとめて答えていくとか、そういう訓練の以前に洪水のごとく別な文化が入ってしまって、頭の中に受け入れる仕組みができてしまう。その状況から子どもたちを預かって義務教育が始まるという、ここが新しい時代の義務教育として一つ踏まえていただきたい部分だと思うんです。
 だから、国語力をとか図書館をというのはほんとうに具体的にやるべきことなんですが、その大前提として、そういった家庭環境、社会環境から子どもたちが小学校へ入ってくる、そのときに、イージーに見られるテレビではない、簡単に友達のような感覚を持てる携帯電話でもない、生身の人間同士がぶつかり合い、生身の教師が一つ一つ文字にあるものから何かを教えていくという、ここの点なんですが、従来の学校と、今このような状況にあって義務教育というのは、ここがしっかり踏まえられた上で新しい義務教育という形をとるべきではないかと。ですから、できましたらどこかに、最初の段階でそういった現状の視点をもう一度改めて入れていただいて、それからどういう教師であり、どういう図書館でありということではないかと思います。
 それからもう1点、最後の大事なところでの財政の問題なんですが、これはこの場で更なる情報をもう少し出していただくべきだと思うんですが、地方6団体の議論があったわけです。地方にゆだねていくということへの賛否があり、それから、例えば知事会で義務教育をどうするかというのが新潟で去年の8月にあって、結果、反対が13で賛成が34という数字は出ていますが、全部賛成ではなく反対の13があったというのはどういう懸念があったのかとか、やはりこの審議会の場に具体的な情報として出していただきたい。そうでないと、この一番最後のほうに財政の問題がありますけれども、重要な課題としてあるわけですから、この審議も進まないんではないかと思います。よろしくお願いいたします。

【鳥居会長】 ありがとうございました。最後におっしゃった問題は、5月25日水曜日、義務教育特別部会を再開いたしまして、その後、立て続けに30日、31日、6月5日には日曜日なのにあると。さらには18、19日は土曜、日曜ぶっ続けに泊まり込みでやるという予定になっておりまして、その中で、今、ご指摘のようなディテールにわたったそれぞれの主張をよくよく伺って、それを伺いながら進めていくという方向をとろうと思っていますので、見城委員はその委員でいらっしゃいますから、日曜日、大変ですけれども、よろしくお願いいたします。
 松下委員、どうぞ。

【松下委員】 この経過報告が大変きれいにまとまっておりまして、書かれておりますことはすべてそうだということなので、ここに至るまで部会の委員の皆様がご苦労なさったことを思いつつ、拝見、拝聴しておりました。
 2つのことをちょっと申し上げたいと思うんですが、一つは猪口委員が最初におっしゃいました国際語力のことなんですが、これからの日本人が世界の中の日本人ということで国際舞台でいろいろな活動をしていかなければいけないということを考えますと、語学力というのは入り用だと思うんです。ただ、私、前になぜ日本人は英語ができないかという本を読んだことがあるんですけれども、その中で指摘されていたことは、日本の英語教育の最初の部分で、自分のことを人に伝えるための手段としての言葉ではなく、ニューヨークに住んでいるジョンとベティがどうしていたかという物語が教材になっている。ところが、中国の英語教育の教材は、私の父は肉屋ですとか、私は何番目の子どもですとか、自分を人に紹介することができるようなものが最初の教材になっている。ですから、自分のことは表現できるようになるというふうなことが書いてあったんです。
 ですから、論理の構成とか知識が非常にいいけれども発音がと、おっしゃいましたけれども、私も発音は自信を持ってできないのでそれを勉強することは大事なんですが、表現する内容が伴わなければいけないと思いました。その内容に関して、私は子どもたちに自然体験の中からいろいろな感性を養うということを大きなねらいにした少年自然の家の仕事をしておりますけれども、その中で、今の子どもたちは体験をしたことを表現する力というのが大変足りないんです。そういう表現力ということと絡ませてたとえば体験したことを英語の詩に表現するという方法を取り入れることはどうかと思います。読書力とか語学力とかという個々の要素ではなく総合的に、9ページの「関連する課題」の項に自然体験等の体験を、計画的に推進するとありますが、体験をどのように表現し、人に伝えられるかといったような、複合的な力としてどのように育てるかという視点を入れていただけたらいいのではないかと思いました。
 もう一つは、ナショナル・スタンダードというお話が出ておりましたけれども、私は、グローバルな観点からいろいろなことを考えるときに、やはり日本人としての基準ということが大事じゃないかと思います。ナショナル・スタンダードというのは、一つスリムな太いものがあって、その上に各ローカルなレベルでのもっとそれを膨らませる豊かな要素が加わった基準というものがつくられたらよいと思います。
 と申しますのは、私の職場などでも単身赴任で自然の家での教育活動に当たっている職員がおおぜいいますけれども、今、この5ページのところには、家族の触れ合いの時間の確保といったようなことで、家庭教育の大事さがうたわれておりますが、家庭教育は単身赴任のお父さんが帰ったときにおふろに入れてあげることだけでは成り立たないのではないかと思います。毎日のちょっとした触れ合いからいろいろなことが伝わっていくという状況が必要だと思います。そのためには、単身赴任ということをなるべく少なくしてほしい。国立の我々の施設のようなところには、職員宿舎は家族が住むようにできてはいるんですけれども、ほとんどの人が単身赴任です。そして、なぜかと問えば、多くの人は我が子の教育のためですと答えます。ですから、これは企業も同じかと思うんですけれども、地方に赴任したときに子どもがそこの地域の特徴を生かした豊かな教育が受けられるというようなことがあって信頼されていれば、子ども連れで赴任するということも、より可能になっていくのではないかと思います。学校制度というだけではなくバランスのとれた教育というので、家庭、地域、先ほど来、総合的という言葉も出ておりますが、そういった視点も入れてほしいと思います。もちろんこの報告に至るまでにいろいろな論議がおありになっただろうと思いつつ、あえて申し上げさせていただきたいと思いました。ありがとうございました。

【鳥居会長】 どうもありがとうございました。
 時間がもうあまりありませんけれども、手短にどうぞお願いします。
 横山委員、どうぞ。

【横山委員】 今、松下委員がおっしゃったことと同じようなことなんですが、実は、私も特別部会、あるいは現に教育行政を担っている中で、一体これでいいんだろうかという思いが実はございます。それは、私は、教育というのは子どもたちの自分探しの旅をサポートする営みだとよく言われるわけですが、サポートというのは子どもの人格形成に影響を与えるんだと。そうなると、子どもたちに日常的に影響を与える場面というのは家庭、学校、地域、社会とよく言われるわけですが、一番気になるのはそういう中で、例えばこの経過報告の中でも6ページに、家庭の教育力の不十分な現状、あるいは教育力が今後とも低下するであろう懸念、それから、教育力を取り戻すのは非常に難しいという認識の中で学校に対する期待は大きいと。一体、家庭の教育力が学校で代替できるんだろうかという素朴な疑問なんです。これまでの私の経験でも、やはり家庭から受ける教育というのは影響力が一番大きいわけだし、それを家庭の教育力が低下をしていくんだという前提で今後、義務教育そのものを考えていくというのは、何か非常に危険なような気がいたします。
 先ほど来、朝の給食の話が出ましたが、これは私の理解ですが、例えば、武蔵野市の土屋市長は、給食というものをあまり重視されていない。なぜかというと、朝、まず親と子どもの最初の会話なり接点になるんです。そういう意味で武蔵野市は、今、中学校は給食をやっておりませんよね。ある種の非常に強い哲学があるわけで、今後、義務教育を考える場合でも家庭、地域、学校というのは連携、連携と言っているわけで、これは多分、切り離せないんだろう。したがって、義務教育を考える場合でも、家庭の教育力をいかに向上させるか、これは非常に行政が立ち入りにくい分野なんですが、その視点を常に置きながら考えていく必要があるかなという思いをいたします。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 武蔵野市長から一言。

【土屋委員】 今、確かにおっしゃるとおりで、私ども長期計画を立てたり、あるいは選挙をやるたびに、中学校給食をやるかやらないか議論があります。やらないんですけれども、それは保護者なんだから自分の子どもにはちゃんと飯を食わせてくれという理屈で、一言で言うと愛情弁当と言っているんですけれども、古いななんて言われたりしているんですけれども、そういうことを実際にやっています。愛情弁当と言ったって実態はコンビニ弁当じゃないかという説もあります。議論としてはいろいろあるけれども、一つの基準としてやっております。
 あと1分だけすいません。先ほど十分言えなかったことなんですが、松下委員やあるいは他の委員からもお話がありましたが、やはり体験教育を重視するという方向について、私は特別部会の中でも述べてきましたし、その前の部会でも述べてきました。やはりなぜ子どもたちの目が輝いていないのかというのは、なぜ学ぶのか、学ぶ目的は何なんだと、こういうことについてしっかりとした目標が立てられないからであります。これは学校教育の問題でもありますし、同時に家庭教育の問題でもあるんですけれども、社会が変わってきた、物質的には貧しい社会から豊かな社会になってきたと。かつては、もう明治以来、貧しい社会を前提にしているから、学校で学んで、社会へ出て、やがて末は博士か大臣かと、身を立て名を上げやよ励めよと。それは学びの動機づけということが貧しさということでもっと逆に担保されていた。だけれども、今はそうじゃない社会になったというふうな、先ほどいろいろな方がおっしゃっていた、社会が変化したことを前提にして、私は、豊かであるという社会を前提にした教育をやる。その教育の第一歩として、例えば体験教育のようなことをきっちりやらせて、武蔵野市は身体、言語、自然という3つの要素を組み合わせて身体を使え、言語をきちんと学べ、自然の中でという3つの要素で子育てや教育を組み立てようとしております。
 結びに申し上げたいのは、学校教育、義務教育だけでこの社会の問題全部を引き受けることはできないだろうと思います。ですから、前のときにも申し上げたんですが、社会全体や日本国全体がどういう生き方をするのかということについての、我々成人も含めて、グローバル・スタンダードと言われているけれども、その中身やその他、そういうことも含めて、我々はどういう生き方をするのかということを議論して、国家とか社会とか家庭、地域が世界の中でどういうふうに生きていくのかということを問題提起として、ムーブンメントとしてやらなければ、義務教育だけでは支え切れない、こういう感じがいたしております。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 最後に猪口委員、どうぞ。

【猪口委員】 二度、発言の機会をいただきましてありがとうございます。
 先ほど国家戦略の観点から。今回はそうではない観点なんですけれども、まず第1に日本語能力を高める非常にいい方法があると思います。それは、教師の日本語、教師が生徒に対してしゃべる日本語の水準を徹底していただくということで、必ず「です・ます調」できちんとした日本語で話しかけていただきたいと思います。つまり、そういう大人の正しい日本語を聞く機会の関数として、子どもは美しい日本語を話すようになるのだという感じがいたします。子どもの目線で、子どもと親しくなるという名目のもとで、非常にいいかげんな日本語が教室の中で、あるいは教室の外でも教師と生徒という関係において飛び交っている感じがいたします。例えば、「けんかしてしまったんですか」ないしせいぜい「けんかしてしまったの」というふうな聞き方をすべきところを、例えば友達同士ですね、「けんかしたんだ」というふうに最近言うんです。そういうふうな語りかけを教師も生徒にしてしまっているという、事例を挙げれば100も挙げることができるんですけれども、先生の日本語による生徒への働きかけの水準を高くしていただきたい。
 2つ目は、これは国家戦略とも少しは関係があるかもしれないけれども、男女共同参画の視点をきちんと入れないと、家庭教育の部分のほんとうに大事なところが抜け落ちることになるということではないかと思います。朝食を食べないで学校に来る子が増えているというとき、朝ご飯をつくるのはどなたでしょうかということで、男性保護者もそこにおいて共同の責任を、学校で朝のご飯を提供してはいいんではないかという議論をする前にまず考えなければいけないことなのだと思います。
 それから、読書の機会ということで先ほどご議論が出たときに、赤ちゃんに読み聞かせるお母さんが自然という感じがいたしますが、私はとにかく小学校に上がってからもずっと父親が帰ってくるとずっと本を読んでくれましたので、そういうことではないかと思います。男性保護者の家庭教育における積極的なかかわりと、その背後にある哲学的な思想というのは男女共同参画の思想であって、これは国の方針でありますから、この義務教育を考えるときも、また家庭教育の部分を考えるときも貫いていただきたいと思います。
 それから、単身赴任のことにつきましても、女性の正社員及び公務員もそうですけれども、単身赴任をなくしていくということは、配偶者の転勤に伴って行っても、どの段階でもその職場に正規の職員として戻ることを可能にしていくということではないかと思います。そういう国をつくっていかなければならない。それによって単身赴任の問題は相当改善されると思います。
 それからもう一つ、阿刀田先生がすばらしいご指摘をされました、図書館についてなんですが、私の学校時代には学級文庫というのが大変充実していたと思います。今はユビキタス社会と言って、常に自分がいるところで手軽にということに子どもはなれていますので、学級文庫をもう少し充実して読書の時間を確保するということが重要ではないかと思います。
 それから、最後に教育委員のところなんですけれども、具体的には18ページの上から3行目、ここに書いてあるようなことを首長が担当することを選択できるとあるんですが、これは「教育委員会と相談の上」あるいは「教育委員会と共同して」と、ほんとうは「共同して」がいいと思いますが、そうすると十分な改革にならないという意見があるときには、やはり教育委員会との何らかの相談があってしかるべきじゃないかと思います。
 ありがとうございました。

【鳥居会長】 どうもありがとうございました。まだ何人か手が挙がっているんですけれども、時間を既に10分近く超過しておりますので、きょうはこのあたりで終わりにさせていただきたいと思います。いただきましたご意見は、先ほど申しましたように、来週25日からまた再開いたします義務教育特別部会に持ち帰りまして、大いに参考にさせていただいて取り入れさせていただきたいと思っております。6月13日だったと思いますが、後で事務局からアナウンスがありますが、次回の総会でもまた何らかのご報告ができるであろうと思っております。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から今後の日程等についてご説明をお願いいたします。

【久保生涯学習政策局政策課長】 資料2をごらんいただければと思いますが、次回の日程、3週間後の6月13日月曜日、2時から4時までとなっております。霞が関東京會館「ゴールドスタールーム」で開催を予定いたしておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、本日はこの後、昼食を用意いたしておりますので、この場で、お時間のある方はお召し上がりいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【鳥居会長】 ありがとうございました。
 それでは、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

  ── 了 ──