ここからサイトの主なメニューです

中央教育審議会(第10回) 議事録

日   時
  平成13年11月26日(月) 14:00~16:00
   
場   所
  ホテルフロラシオン青山「ふじの間」(1F)
   
議   題
  (1) 諮  問
      1  教育振興基本計画の策定について
      2  新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について
  (2) 諮問事項についての自由討議
   
配付資料
 
資料1   諮問文
資料2   教育振興基本計画関係資料
資料3   教育基本法関係資料
資料4   教育改革国民会議報告(抜粋)
資料5   今後の日程(案)
参  考   教育改革の進捗状況
   
出席者
 
委   員: 鳥居会長、木村副会長、茂木副会長、浅見委員、荒木委員、今井委員、江上委員、奥島委員、梶田委員、國分委員、佐藤委員、高木委員、田村委員、永井委員、中村委員、増田委員、山本委員、横山(英)委員、横山(洋)委員
事務局: 文部科学大臣、岸田副大臣、池坊大臣政務官、小野事務次官、青江文部科学審議官、御手洗文部科学審議官、近藤生涯学習政策局長、矢野初等中等教育局長、工藤高等教育局長、遠藤スポーツ・青少年局長、銭谷文化庁次長、山中生涯学習政策局政策課長、その他関係官
   
議    事
   
○鳥居会長   ただいまから第10回中央教育審議会総会を開催いたします。本日は、遠山文部科学大臣から諮問をいただくことになっております。
○遠山文部科学大臣   諮問文を読み上げます。
   
次に掲げる事項について、別紙理由を添えて諮問します。
教育振興基本計画の策定について
新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について
        平成13年11月26日
  文部科学大臣   遠山敦子
   
  どうぞよろしくお願いいたします。
   
           〔遠山文部科学大臣より鳥居会長へ諮問文を手交〕
   

○鳥居会長   ただいま諮問を頂戴いたしました。
   まず、遠山文部科学大臣から、ごあいさつと諮問の趣旨についての御説明をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。


○遠山文部科学大臣   本日は、御多忙のところを御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、委員の皆様方におかれましては、本年2月の初会合以来、各諮問事項について、それぞれ精力的に御審議をいただいておりまして、そのことに対して深く感謝を申し上げます。
   本日、文部科学大臣として新たに、一つは「教育振興基本計画の策定について」、もう一つとして「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」諮問させていただくこととなりました。
   お手元に、諮問理由がございますけれども、私のほうからそれを読み上げておりますと、時間がかかり過ぎますので、かいつまんで申し上げたいと思います。
   21世紀を迎え、社会の在り方が大きく変化する中で、我が国が創造的で、活力ある社会として発展していくためには、社会の存立基盤である教育について、新しい時代にふさわしいその在り方を考え、教育の振興と改革を着実に進めていくことが必要でございます。我が省としても、こうした認識に立って、昨年12月に公表された教育改革国民会議最終報告の提言も踏まえながら、今回の諮問に向けて検討を進めてまいりました。委員の皆様におかれては、教育振興基本計画の策定及び新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について、総合的に御審議いただきますようお願い申し上げます。
   まず、第1に、「教育振興基本計画の策定について」でありますが、教育改革を着実に実行し、新しい時代にふさわしい教育を実現するためには、中長期的視野に立って、教育施策の総合的かつ計画的な推進を図ることが重要であり、教育振興基本計画を策定し、教育改革や教育基盤の整備を強力に推進していく必要があります。また、教育振興基本計画の策定は、国民に対し、我が国の教育の目指すべき姿を示し、その実現に向けてどのように教育を振興し、改革していくのかを明らかにするとともに、教育施策の総合的かつ計画的な推進を図る中で、教育財政の充実や政策の適切な評価に資する観点から、有意義であると考えております。
   なお、教育振興基本計画は、教育基本法で規定される教育の基本理念等を実現していく手段として、重要な意義を持つものであり、その根拠を教育基本法に置くことを検討する必要があると考えております。このため、今回、この二つをあわせて諮問することとした次第でございます。教育改革を実のあるものとするために、委員の皆様には、「教育振興基本計画の策定について」十分御審議いただきたいと存じます。
   次に、「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」でございます。教育基本法は戦後、民主的で、文化的な国家の建設を目指して、我が国が新しい教育の理念と基本原則を確立するために、教育者並びに国民の指針として制定されました。以来、半世紀を経過し、その間、我が国の教育は目覚ましく普及、発展するとともに、社会経済の発展にも大きく貢献してまいりました。しかしながら、戦後50年を経て、社会状況は教育基本法制定当時とは大きく変化し、教育の在り方そのものが問われていることも事実であります。我が国の次代を担う子どもたちが、将来に夢や希望を抱き、生きる力を持ってたくましく育っていくには、私たちは新しい時代の教育の基本像を明確に提示するとともに、それを確実に実現していくことが求められています。このような状況を踏まえ、新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方を考え、教育の根本にさかのぼった抜本的な教育改革を推進するため、今回、教育基本法の見直しを諮問することとした次第であります。
   教育基本法の見直しに当たっては、特に次の点に御留意いただき、幅広い検討を進めていただきたいと思います。
   まず第1に、これからの時代の教育を考えるに当たっては、個人の尊厳や真理と平和の希求など、現行の教育基本法が規定する普遍の原理を大切にしながら、社会や時代の変化を踏まえ、現行規定に不足している事項は何かなどについて検討することが適当と考えます。
   これから御説明する諮問理由で示した検討事項は、教育改革国民会議の提言を踏まえつつ、現行の教育基本法が定める普遍的な理念を維持しながら、新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方を検討するために、特に重要であると考える論点を示したものでございます。
   第2に、教育理念の見直しと関連させながら、制度の在り方も含め、具体的な改革を進める観点からの御議論が必要と考えます。教育基本法は、教育に関する根本法として教育上の諸法令の準則としての性格を有しています。教育基本法の見直しは、関連する他の法令の改正も視野に入れた具体的な教育制度の改革につながる検討となるものと思います。学校教育法や社会教育法など教育基本法の見直しに伴う他の法令の見直しの方向についても、必要に応じて御議論いただきたいと考えております。
   このような考え方に立ち、諮問理由においては、教育基本法の中で見直しの検討が必要と考えられる主な事項について示しておりますが、委員の方々におかれましては、これらを踏まえつつ、幅広い観点から御審議をお願い申し上げます。
   会長、副会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、お忙しい中、大変お手数をおかけすることになりますが、この大切な問題について十分御審議いただき、新しい時代にふさわしい教育の実現に向け、おおむね1年程度を目途にして、審議の取りまとめをいただければ幸いだと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
   以上でございます。


○鳥居会長   遠山大臣、どうもありがとうございました。今後、中央教育審議会、私どもといたしましては最善を尽くして審議を進めていきたいと存じます。
   それでは、審議に入りますが、その前に、事務局から配付資料の説明をお願いします。


○事務局   お手元に配付資料といたしまして、資料1「諮問文」、資料2「教育振興基本計画関係資料」、資料3「教育基本法関係資料」、資料4「教育改革国民会議報告(抜粋)」、資料5「今後の日程(案)」を配付してございます。
   簡単に御説明申し上げたいと存じます。
   今、大臣のほうから提案理由を御説明申し上げましたけれども、諮問文につきましては、資料1で述べられているとおりでございます。委員の皆様にはあらかじめ配付申し上げておきましたので、お読みいただいたと思いますので、簡潔に御説明させていただきたいと存じます。
   1ページは、21世紀に向けて、今後の教育改革、振興を着実に推進するために、教育振興基本計画の策定及び法令の基本法である教育基本法の新しい時代にふさわしい在り方の検討についての御要請の理由が述べられてございます。その下に、「1」として「教育振興基本計画の策定」がございますけれども、2ページでございますが、教育振興基本計画の具体的に盛り込む事項ということで、「2」でございますが、第1といたしまして、教育に関する施策の基本的な方針として、教育の目標やその目標を実現するための教育改革の基本的方向についての検討ということ。
   第2に、この基本計画の中には、その目標を達成するために、政府が総合的、計画的に実施すべき施策を、国民にわかりやすい具体的な政策目標とともに示していただきたいということが述べられております。
   また、第3番目に、このように総合的、計画的に教育施策を推進するために必要な教育投資の在り方についても御議論いただけたらということでございます。
   第4は、政府及び地方公共団体の役割等についても御議論いただけたらということでございます。
   また、他の基本法では振興基本計画を基本法の中に位置付けている例も多いということも踏まえまして、その根拠となります規定を、次の審議事項とあわせまして、教育基本法の中に位置付けることも御検討いただけたらという内容になっております。
   3ページ目でございますけれども、「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」ということでございます。先ほど大臣の御説明にもございましたが、「2」で教育改革国民会議の昨年の報告――これは資料4についておりますが、そこでの三つの観点、「新しい時代を生きる日本人の育成」、「伝統、文化など次代に継承すべきものの尊重、発展」、「教育振興基本計画の策定など具体的方策の規定」、この三つの観点から、新しい時代にふさわしい教育基本法を考える必要性が言われております。これを踏まえながら、新しい教育基本法の在り方について検討する必要があるということでございます。
   観点といたしまして、第1に、教育の基本理念についての検討をお願いしてございます。教育の基本理念は、教育基本法の「第1条、教育の目的」、「第2条、教育の方針」というものがございますが、これは後ほど御説明させていただきますけれども、資料3についております教育基本法の第1条、第2条にそのような規定がございます。ここに書かれております、普遍的な理念を維持しつつ、次のような視点から検討をお願いしたいということでございます。
   第1点は、3ページの一番下のほうにございます。「時代や社会の変化に対応した教育という視点」から、生涯学習社会の到来とか、国際化の進展といったような視点が挙げられております。
   4ページにまいりまして、教育の理念を御検討いただく上での2番目の視点といたしまして、一人一人の能力、才能を伸ばし、創造性をはぐくむという視点でございます。
   3番目の視点といたしまして、伝統、文化の尊重など、国家、社会の形成者として必要な資質の育成という視点でございます。このような三つの視点から、教育の理念について御検討いただけたらということでございます。
   続きまして、第2番目に、教育の基本原則についてでございます。教育基本法におきましては、第3条、第4条、第5条で、教育の機会均等、義務教育、男女共学といった規定がございます。こういうものにつきまして、例えば義務教育の制度の在り方につきまして、一人一人の能力の伸長を図るという視点からの御議論をお願いしてございます。
   また、男女共学の規定がございますけれども、男女共同参画社会という中で、この規定についても御議論いただけたらということでございます。
   また、政治教育と宗教教育につきましては、第8条、第9条にございますけれども、特に宗教教育に関しまして、憲法の原則との関係にも十分留意しながら、宗教的な情操をはぐくむという観点からの議論もお願いしてございます。
   第3番目に、家庭、学校、地域社会など教育を担うべき主体についての検討でございます。これにつきましては、5ページにまいりまして、現在、教育基本法では第7条に社会教育に関する規定がございますけれども、教育の中で、学校教育、家庭教育、社会教育の果たしている役割を明確にするという観点からの御議論をお願いしております。
   また、学校教育に関する規定が第6条にございますが、そこの規定も踏まえまして、教員の使命、あるいは学校の役割といった点についても御議論いただけたらということでございます。
   また、教育行政につきまして、第10条で規定しておりますけれども、教育振興基本計画をこの中に位置付けるということになりますと、そうした場合の国、地方公共団体の役割についても、御検討いただけたらということでございます。
   最後に、前文の扱いでございますが、前文につきましても法律全体の在り方に即して検討をいただけたらということでございます。
   それから、教育基本法は教育の基本法でございますので、見直しと併せまして、学校教育法等の具体的な法律の見直しの方向についても必要に応じ御議論をいただけたらということになっております。
   以上、簡単でございますが、諮問理由の御説明でございます。
   それから、資料2でございます。資料2は、教育振興基本計画の関係資料でございます。
   1ページ目でございますが、基本法に根拠を置く基本計画を掲げてございます。全部で今のところ14本ございますけれども、いろいろな基本計画が立てられておりますが、基本法に根拠を置いて立てられているものが非常に多いという状況でございます。
   具体的な基本計画がどういう事柄を記述しているかということでございますけれども、2ページにいきまして、おおむねそれぞれの基本計画は、5年または10年程度を計画の期間といたしまして、それぞれの政策についての基本的な方向、基本方針に基づきまして、総合的かつ計画的に講ずべき施策、それを推進するための留意事項、そういうことが書いてある基本計画がおおむね多いという状況でございます。
   ちょっとイメージがわきにくいと思いますので、次に3ページでございますけれども、これは今年の3月に閣議決定されました科学技術基本計画の例を掲げてございます。基本理念というところで、科学技術政策の理念とか、科学技術振興のための基本的考え方といったような点について規定してございます。それに基づきまして、今後、科学技術の戦略的重点化とか、システム改革、国際化の推進といった、重要な具体的な施策について述べているというのが科学技術基本計画でございます。
   4ページ目でございますけれども、これは具体的にそれぞれの基本法で規定されている例を二つほど、先ほどの科学技術基本法もあわせまして並べたものでございます。
   続きまして、教育基本法の関係資料、資料3でございます。1ページ目は、教育基本法でございます。これが昭和22年に制定されました教育基本法の全文でございます。
   2ページ目は、教育基本法制定の経緯ということで、簡単にまとめてございますけれども、戦後、教育の在り方について、戦争が終わりまして昭和20年9月には、新日本建設の方針とか、あるいは昭和20年10月にはGHQが、教育制度に関する管理政策を出しまして、その後、21年には米国教育使節団の報告書が3月に提出されるということがございましたが、国会において、21年6月に当時の田中耕太郎文部大臣から、「教育基本法のごときものの制定を考慮している」という旨の答弁がございまして、昭和21年8月に教育に関する重要事項を調査審議するための教育刷新委員会が設置されました。これが昭和21年9月以降、精力的な審議を行いまして、同年12月には教育基本法制定の必要性とその内容となるべき基本的な教育理念等についての建議を行ったところでございます。この教育刷新委員会の建議を踏まえまして、政府のほうで教育基本法の法案について検討いたしまして、それを昭和22年3月に帝国議会に提出いたしまして、3月31日に可決、公布をされたということになっております。
   3ページ目でございますけれども、そのような教育基本法の性格でございますが、当時の提案理由説明のところから、要点を書いてございます。教育基本法の基本的な性格といたしまして、その直前に行われました憲法改正の基礎の上に立って、民主的平和的国家を建設するためには、教育の根本的な刷新が必要であるということで、新しい教育の基本理念の確立をしたいということでございます。
   また、従来、教育関係のものは、勅諭とか、勅令といった形でございましたけれども、国民自らのものとして法律で定めるということで、教育上の諸原則を法律という形で明らかにしたという点でございます。また、基本法という名前の示すとおり、教育の理念を宣言する意味での教育宣言、あるいは教育憲章と言えるべきもので、教育上の諸法令の根拠法となる性格を持つということが言われております。
   次のページは、憲法の関連する条文を掲げてございます。憲法第14条、法の下の平等ということが規定されています。また、第20条、信教の自由が規定されております。3項にいきまして、国及びその機関は宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならないということになっております。
   また、第23条は、学問の自由について規定しております。
   第26条は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」、また、第2項で、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」という、関連する規定を掲げているところでございます。
   最後に、横長のB4の表を掲げてございます。これは現在ございます20の基本法につきまして、その概要を記載したものでございますけれども、総則部分というのがございまして、それから基本的施策というところがございます。これを見ますと、先ほども振興基本計画のところで御説明申し上げたところでございますけれども、防災基本計画をはじめといたしまして、いろいろな基本法の中に、基本計画を策定するという根拠規定が設けられているものが多いという状況が御覧いただけるかと思います。
   以上が、教育基本法の関係でございます。
   資料4は、教育改革国民会議の昨年12月の報告の抜粋でございます。昨年12月22日の報告でございますけれども、1ページ目が、「教育施策の総合的推進のための教育振興基本計画を」ということで、教育振興基本計画についての提言でございます。
   また、2枚目が「新しい時代にふさわしい教育基本法を」ということで、教育基本法に関する提言でございまして、先ほど申しましたような三つの観点を、第1、第2、第3という形で示しながら、これからの時代にふさわしい教育基本法の在り方についての御提言をいただいたというものでございます。
   資料5は、今後の日程の案でございます。
   以上でございます。


○鳥居会長   ただいま、資料を説明していただきました。また、大臣からは教育振興基本計画と教育基本法について、総合的に検討されたいという御諮問をいただきました。今日は、最初の総会でございますので、この二つ並列していただきました諮問事項につきまして、全体として御意見をいただくことにしたいと思います。また、本日、最後のところで次の予定を申し上げますが、12月10日に、もう一度総会を開かせていただきまして、今日いただきました諮問につきまして、もう一度総会の審議をしていただき、その後、具体的にどのような方向で中央教育審議会として審議を進めていくかをもう少し具体的に決めていきたいと思います。というわけで、本日と12月10日、2回にわたってオーバーオールに御意見をいただきたいと思っています。
   なお、基本的な方向としては、大臣ともいろいろお話をさせていただいたのですが、まず教育振興基本計画について、タイミングとしては先に議論を進めさせていただきながら、教育基本法についてもその中からだんだんに姿を浮き彫りにしていくという形をとりたいと思っております。よろしくお願いしたいと思います。
   それでは、どんな御意見でも結構でございますので、いただきました諮問につきまして御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


○   教育改革国民会議の企画委員として、教育振興基本計画とか、教育基本法を論議していかなければいけないのではないかというまとめをさせていただいた一人として、今日、これが出たということは非常にうれしく思います。1年ぐらいたちまして、やっとテーブルの上に乗ったということはうれしく思います。
   この二つはしかし、中身といいますか、性格がかなり違うものだと思います。今、大臣のほうから1年ぐらいをめどにというようにお伺いいたしましたし、鳥居会長のほうから、先に振興基本計画をというように伺ったのですが、その辺、私はまず教育振興基本計画をできるだけ早く、何とか中間報告の形ででも出さなくてはいけないのではないかという気がしております。
   どういうことかといいますと、一つは、今、特に学校教育について非常に不安が広まっている。マスコミの報道などに伺われるように、非常に不安が高まっている。同時に、国がこれだけの借金を背負っていて、財政的に身動きできないではないかということがあります。そういう中で、しかし教育というのはこれから10年後、20年後、30年後の日本をつくっていくわけですから、やはりはっきりとした方向づけといいますか、財政的にはしんどいけれども、こういう点については優先的にお考えいただかないと、語弊があるかもしれませんが、道路よりもずっと大事な問題がこの辺にあるということをはっきり打ち出さないと、という気がいたします。そういう意味で、中間報告の形ででも、教育振興基本計画のほうを先にしていただかなければいけないのではないかと思ったりいたします。
   基本法は、たぶん法律の構造の上では、基本法の中に根拠といいますか、振興基本計画をということがあると思いますが、ただし、それは実際には逆になっていいのではないかという気がいたします。というのは、基本法の問題は、この50年のいろいろないきさつがありますから、やはり慎重に慎重に、国民的なコンセンサスを得るようにいかなければいけない問題がたくさんあるのではないか。国民会議で皆さんのお話を伺っていながらも、そのことを思いましたので。そういう意味では、1年ということではありますけれども、ということを私なんかはちょっと思いますが、もしお考えがあればお聞かせいただければありがたいと思います。


○鳥居会長   教育が抱える問題というのは、深刻な問題をたくさん内包しています。幸いなことに、今回、諮問をいただいたのは、新中央教育審議会なのです。実は私が副会長をさせていただいておりました旧中央教育審議会のころにも、何回かサウンドがありました。
   考えてみますと、新中央教育審議会と旧中央教育審議会とは全く違うと私は思っています。というのは、新中教審は、その中に昔の大学審議会から初等中等教育の幾つかの審議会、生涯学習の審議会、スポーツ・青少年の審議会、そういったもろもろのものを包含する形になっておりまして、そして現実に皆様御存じのとおり、五つの分科会におきまして様々の角度から、総合的にまさに今我々が抱えている教育の問題を検討しておる最中でございます。その検討の経験と実績とを踏まえつつ、実はこの新しい問題に取り組むことができる。本来の意味の文部省の設置法に書かれている昔の中央教育審議会の役割を今果たすことができる体制になった。そこでこの諮問をいただいたということでありますので、教育振興基本計画をまずできるだけ早く具体的に、せめて中間報告の形ででも国民に問うことは重要なことで、それをやるにふさわしい場を与えていただいていると思います。
   それから、基本法に関しましても、まさに戦後56年たって、様々の形で教育の基本的な理念を、国民が自分の一人一人の心の中でどう反芻するか、また法律制度として教育行政を行うときに、何が一番背骨になる部分なのかということを考えるとき、それにふさわしいものをもう一度、まさに今度は民意の代表である我々がつくり上げていくことを考えるべきときがきたと考えております。正直なところ荷が重いとは思うのですけれども、何とかしてそれをやっていこうと思っております。
   昨年までの様々な審議会で積み重ねられてきた審議、それから教育改革国民会議の御審議の結果等もどのように生かしていくかということを、ここでぜひ精査しながら、検討しながら進めるという方向をとりたいと思いますが、いかがでございましょうか。


○   ただいま遠山文科大臣から諮問いただきました教育振興基本計画と新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方についての諮問にかかわって、3点ぐらい私の基本的な考え方を申し述べさせていただきたいと思います。
   教育基本法が制定されて、たしか54年ぐらいになりますし、中教審も旧中教審時代を含めて49年、文部省の審議会としてそういう歴史を持っていますけれども、いずれも正式に文部省の所管する審議会に基本法の改正といいますか、見直しが諮問されたのは初めてのことですし、私自身もこの問題の重さを考えて、中教審委員としての責任を非常に強く感じているところです。
   まず一つは、教育基本法についてであります。法律ですから、基本法といえども不磨の大典ではないし、時代や社会が大きく変わるときには、見直す必要はあるのかもしれません。ただ、それはあくまでも正当な理由といいますか、見直しの必要性が国民的な合意を得られるかどうかということにかかわるのだと思います。私自身は教育基本法はその制定の経過からしても、いわば日本国憲法とある意味で一体のものだと受けとめておりまして、憲法自体が今、衆参で憲法調査会が設けられて審議されているわけですけれども、憲法に掲げる理想の実現は、根本において教育の力にまつというのが前文できちんと書かれているわけです。それがどのように今後議論が進むかわかりませんけれども、少なくとも現状においては、憲法に掲げる理想というのは変わっていないわけです。あるいは、教育の目的として第1条、それから第2条の方針以下、掲げられていることから見ても、これから変化していく21世紀が求める人間像といいますか、そういうものを考えても、今の「人格の完成を目指して、平和的国家及び社会の形成者として、真理と正義を重んじ」云々という、この基本的な理念といいますか、教育の目的を、今直ちに見直さなければ、これから進める教育改革に大きな支障があるというふうにも、そう簡単には思えません。したがって、私はどちらかというと、今直ちに教育基本法を見直す必要性は、諮問理由が薄弱でその必要性はないというように私個人は考えています。
   ただ、具体的に諮問をされたわけですから、幅広く議論を交わすこと自体に特段の異議を唱えるものではありません。ただ、諮問に付された理由には、前文から第1条、第2条、第3条、第10条まで、かなり細かく検討の視点みたいなものが書かれておりまして、どうもやはり初めに改正ありきという一つの枠組みが諮問理由の中に設定されているのではないかとしか私自身には読み取れません。したがって、憲法と教育基本法との関係とか、前文、あるいは各条文などについて、それが本当にこれまでどうこの50数年の間に生かされたのか、生かされていなかったのか、どこに問題があるのか、これまでの文教行政政策のある意味で検証といいますか、レビューを時間をかけてきっちりやって、その上で、本当に改正の必要があるのかどうか、正当な理由があるのかどうかということについてきちんとした議論を、相当慎重に時間をかけて行うべきだということで、拙速に初めに改正ありきということで、あまり時間を限って基本法の改正問題について結論を出すというのは、私は避けるべきだと思います。その意味でも、成立の経過等を含めて、幅広い参考人からのヒアリングとか、全国各地での公聴会を開催するなどして、国民的な議論を経て、そして国民的なコンセンサスを得るということで、慎重な審議を強く望んでいるところであります。
   二つ目に、どうもこの文章は、私の読み取りが不十分なのかどうかわかりませんが、今の教育基本法の在り方を前文を含めて、先ほどの19の基本法、教育基本法を除く18は、確かに前文の内容とか、基本計画がないとか、違いはあるわけですけれども、それなりに歴史的な経過があるわけでして、それを何か他の18の基本法と同じような基本法に変えるというようなことを文部科学省が考えられているのかどうか。私の読み過ぎなのかどうかわかりませんけれども、そんな感じがいたしますので、その点も含めて十分な議論をお願いしたいと思います。また、私ももう少し具体的に、次回以降、その考え方を申し述べたいと思います。
   大きな二つ目に、教育振興基本計画を策定するということは、私自身も6年前に、その当時、私が所属した組織の中でそういう議論をして、一定の21世紀の最初の10年間の基本計画ということで計画を立てて、当時、文部省の単年度の予算が6兆弱、5兆数千億というときに、単年度にすれば9兆円ぐらいになる予算にすべきだということで、30人学級を含め、大規模な校舎の改築とか、インターネットを全部学校で利用できるようにするとか、いろいろな要素を含めてそういう計画をつくって、世に問うたことがありますけれども、なかなか財政難ということで、日の目を見ませんでした。したがって、そういうものをつくるということ自体は、私も強く望んでいるわけです。
   ただ、教育の理念とか、目標について、ある程度合意を得ないと、今のあれでは、振興計画の議論を先行する、その意味では確かに委員がおっしゃるような意味での意味合いはあると思うのです。ただ、目標なり何なりというのは、基本法の問題ともかかわるので、それをはっきりと分けて議論するというのがいいのかどうか。基本計画をつくる、それはこういう内容だということについて十分議論をして、ある段階で中間報告という形をとって、国民にもパブリックコメントを求めて、一定の合意が得られるという状況で、しかも、今の状況の中で本当にそういうものが、我々が英知を集めて基本計画をつくったときに、本当に日の目を見るのかどうか、今の国・地方の財政状況とか、経済財政諮問会議の今日的な議論の傾向からすると、これは大変至難なことだと一面では思います。
   したがって、相当これは慎重かつ、もちろんこういうものは大胆でなければならない側面があるのですけれども、その辺のところを本当に優先順位をつけて、教育にまず金をつぎ込むということの大きな世論をつくり上げないと、これはそう簡単にはできないのではないかということで、そういう観点からいろいろなヒアリング、その他公聴会で、国民的な強いコンセンサスを得る努力をすべきではないかという点を考えております。
   いずれにしても、中教審で振興計画なり基本法の議論をするというのは、戦後初めてのことですし、やはり本当に我々の議論というのが後世の歴史家の評価に耐えられるような議論をしなければならないというので、私自身もそういう意味では重い責任を負わされているなという緊張感で、本日この総会に出席しているということでありますので、ぜひそういった観点から慎重な議論をしていきたいという感想なり思いを持っていることをこの機会に申し上げておきます。以上でございます。


○   教育振興基本計画から検討するというのは賛成です。ただ、その場合にお願いをしたいことは、社会の変化が激しい、新しい時代に対応していかなければならないということで、例えばこの諮問事項でも1ページ、2ページに、例えば少子高齢化とか、男女共同参画社会とか、生涯学習社会への移行ということが言われています。その中で、例えば高齢者、あるいは成人の男女、あるいは生涯学習社会での生涯学習、こういうことを考えますと、基本計画を考えながら、教育と学習の関係はきちんと整理していかないとうまくいかないのではないか。教育と学習はコインの裏表だと言いますけれども、子どもの教育はそれでいいかもしれません。
   しかし、これからの高齢化時代を考えて、一般社会の人々の学習を考えますと、教育以外のところで学習しているということは非常に多い。具体的に、例えば行政関係でも、他省庁の生涯学習支援事業は非常に多いわけです。
   前にも申し上げたのですが、生涯学習振興法ができるときに調べていただいたところによると、今の教育関係法令の中に「学習」という言葉は一つもないのです。今度の場合、基本計画を立てていくときに、この諮問理由の2ページですと、「教育」という言葉だけが出てきていますけれども、それで済むのだろうか。それから、他省庁との関係で、生涯学習支援をどのように考えていくのだろうかとなってきますと、どうしても教育と学習の関係のようなことを一度は詰めなくてはいけないのではないかという気がするのです。それはまた教育基本法のほうにも絡んでくるわけですけれども、例えば教育基本法の中に、仮に生涯学習社会に対して、それを教育で実現していくのだということで、「生涯学習」という言葉が一つ入っただけで、教育と学習の関係をきちんと押さえておかないと、すべてがグシャグシャになると思うのです。ですから、その辺もぜひこの機会にきちんと議論していただきたいと思います。以上です。


○   前回、国民会議でこの問題はだいぶ議論したものですから、いよいよ始まったかという感じも率直に思っております。
   委員のおっしゃられた趣旨はよくわかるわけでありますが、私は前回の経験からすると、振興計画をまずやって、それから基本法という、方向としてはそういうことでいいのだと思いますが、両方とも淡々と議論したほうがいいのではないかという感じを率直に持っております。
   前回の経験では、中身がわからないけれども、基本法みたいなのをいじるのは反対をしようよという人が割に多いのです。何となく心配だとか、何となくという感じが非常に強く感ぜられたときが――公聴会なんかで話を聞いてみますと、よくわからないけれども、まあ反対しておくという方がかなりいらっしゃるという感じがありました。
   ですから、粘り強くといいますか、しっかりと議論をして、例えば次の世代の教育ということで、イギリスなんかですと21世紀教育ということで、宗教教育、5大宗教をちゃんと学校で教えるということをパッと決めちゃうのです。それで、同時多発テロ事件が起きても、なるほどなという感じがするのですけれども、日本では基本法の審議でそういうことはアンタッチャブルみたいな感じで、非常に動かないのです。時代の変化に対応した敏速な、つまり、今見ていますと、中・高生、あるいは小学校、次の世代を担う子たちは、次の時代に対する不安を持ったり、どうなっちゃうのだろうかという考えがあると同時に、どうしたらいいのだろうかという気持ちもかなりあるのです。不安だけではないのです。それははっきりわかります。どうしたらいいのだろうかということをきちっと大人が伝えていかなければいけないような気がしております。
   伝統、文化の問題も全く同じでありましてね。何も言わないから、どういうことになっているのだろうかということも、青少年の間にかなり感ぜられることが多いのです。ですから、あまり構えないで、淡々と議論を進めていったほうがいいのではないかと率直に思います。いろいろな機会に、誤解もあると思いますし、直すところはこういうところなのだということをわかっていただければ、そんなに反対を徹底的にされてしまうようなところまで変えようという趣旨ではないのだということがわかっていただければ済むと思います。
   結局、前回の経験では、その辺のところを慎重にしてしまった結果、基本計画もあいまいになってしまったという残念な思いがあるのです。私自身としては国民会議のメンバーに任命されたときに、振興基本計画だけはやろうと思って、それだけはと思っていたのですけれども、結局、基本法との絡みで動きがとれなくなって、このような形で終わってしまったという、実は非常に残念な思いがあるのです。ですから、振興計画だけといっても、本当にできるのかなと率直に思いますので、淡々と両方とも審議して、問題点を突き詰めて、やはり必要なことはこれなのだということを次の世代に伝えるという作業をしたほうがいいのではないかと率直に思います。
   反対意見があるのは、それは当然だと思います。民主主義社会ですから、いろいろな意見があって当然なのですが、皆さんの意見を集合して、こことしてはこう考えるということを提言されることを望みます。そうでないと、また曖昧模糊で、うやむやで終わってしまうということにならないかなという気がします。


○鳥居会長   この進め方につきましては、12月10日までもう少し時間をかけて、いろいろな御意見をいただいて、その上で決めていくつもりであります。


○   大変難しい問題なので、非常に発言もしにくいのですが、率直に意見を言わせていただきます。
   一つは、基本計画を先にして、基本法を後にというのは、ある意味では順当な行き方ではないか。どうしても基本法となりますと、抽象的な議論が多くなってくるような気がします。現在、具体的に何をすべきかという具体的施策をしっかり立てながら、そのバックグラウンドにあるものとの関連で、基本法が出てくるのではないか。横山委員は、基本法について慎重にということを言われましたけれども、ある意味では大胆に考えていいのではないか。私はいつもとる手法なのですけれども、今、基本法がなかったとしたら何をつくるべきなのかということから発想しますと、また新しい視点も出てきますし、あまりに現在ある基本法の条文が、第1条がこうなっているということで話が進んでいくと、かえってそれにとらわれた議論になってしまうような気もします。全く離れて議論はできませんけれども、1回はそれぞれ個人の中でいいのですけれども、現時点で新しく基本法を作るという立脚点に立つと、終戦時の考え方とは違った新しい視点が出てくるのかなという気がします。
   いずれにせよ、いろいろな意味で、常にいろいろな見直しはすべきで、見直しをした結果、現在のままでいいということになれば、それはそれで大変結構なことなのですけれども、やはり50何年たった今、これから更に50年というスパンまで考える必要はないのかもしれませんが、そういったことで考えれば、やはりうまく適合していないところがあるのではないか。何といっても今の教育の現状を見ると、基本法のもとにとられてきた今の教育が、やはり曲がり角にきているというのは、だれが見てもそう見えると思うのです。その辺、別に今の基本法が悪いというわけではないと思いますけれども、見直すべき時期にはきているだろうと考えています。


○   今の御議論を伺ってちょっと感じたのですけれども、基本計画を先にやって、基本法をという話なのですけれども、そうすると、最後にまた基本法の議論をすすめた後、基本計画をもう一遍やるという感じになるのですか、それともどういうイメージに……。


○鳥居会長   そこのところはまだ私にも具体的なイメージがありません。というのは、実際に事を進めてみないと、全体としてどう収束するかわからないのですが。ただ、最後はやはりいただいた諮問が一まとめにしていただいていますから、一まとめにして答申するというケースが一番順当なケースかなとは思います。ただ、場合によっては別々に答申させていただくということもあるかもしれません。


○   教育基本法の改正論議ということが、中教審あるいは公の場で議論されるということについて、感慨ひとしおのものが正直言ってございます。長い間、この議論はいわば、世の中いろいろなタブーがありますけれども、教育界で最大のタブーだったわけで、それが議論される。先ほどアンタッチャブルというお話がございましたが、まさにアンタッチャブルの世界で、今でも意識の中でhesitateしたり、あるいはそれが更に進んで議論すること自体も反対だと受け取る方もいるわけですが、今日、50年たって、このスピードで周りが変化しているわけですから、まず改正ありきということではいけないとは思いますけれども、やはり今日、適合しないものがあるかどうか、あるいは不足しているものがあるかどうかということを議論すること自体は大きな意味があるだろうと私は思っております。これが一般的な考え方ですが。
   先ほど会長からお話がございました振興計画と基本法の議論をどちらにするかということで、振興基本計画をまず議論してということに別に異論があるわけではございませんが、やはり微妙に絡むのではないだろうかと思います。もちろんそれは振興基本計画自体は基本法とは別に必要だという考え方で、それはそれで独立しているということもありますけれども、一方で基本法とのリンクを考えると、教育理念、あるいは教育制度がどうなっていくかということを踏まえないと、それに基づく計画は出てこないわけです。一例を言えば、そういう議論になるのかどうかわかりませんが、基本法の中に義務教育は9年と書いてあります。議論すれば、それがいいのかどうかという、いわば学制の議論になっていくわけで、学制がどうなるのかわからないで、教育制度の振興計画を立てるというのもおかしな話という、一例ですけれどもそういうことになるので、それがどのようになるのか、私もよくわからないのですが、会長の頭の中で、議論していく中で、その辺、どうせ総会だけでなくて、分科会か、何とか委員会かつくって議論されるのてしょうが、その辺の持ち方とも絡んで御工夫いただければと思っております。


○鳥居会長   その点についても、文部科学省の事務局とも御相談をしながらいくつもりですが、既に当中教審の五つの分科会で随分いろいろな議論をやっています。それがありますので、それも生かさなければいけないし、また、その場も生かさないと、今の学制の問題をどの分科会でやるか、あるいは新しい分科会でやるかというのは考えないといけないものですから、その辺は慎重に決めていこうと思います。その点も含めて、12月10日までにはあらあらの方向を出していくというようにしたいと思いますが、いかがでしょうか。


○   私は、二つの御諮問をいただいたわけですけれども、非常に関連をするのですが、内容的には相当性格の違ったものではないかという気がしております。振興基本計画のほうは数量的なものがかなり中心に出ますし、今までの議論を踏まえてつくっていくものかと思います。教育基本法のほうを変更するかどうかという問題は、またもう少し新たな枠組みではないかと思いまして、これは本当に皆様方おっしゃるように、非常に慎重な議論が要ると思います。逆にある意味では、基本法というのは、今の時代に合わないといいますか、足りないところはあるのですが、改めて私どもが、これはどういう意味だったのだろうか、ということを、議論しながら味わってみるというのも、国民的にこの目的、この条文そのものがいまだ実現されていないところもあるわけでして、そういう意味では非常に意味のあることかと思います。
   確かに議論しないという時点、つまり、戦後の熱のエネルギーのあるときにこれはつくられた法律ですよね。ですから、皆様方の意気込み、書い方の意気込みも大変なもので、それがある意味でよくできているので、軽々にこれを変えようというようなことを前提に――御諮問によると、ありというような感じではあるのですが、にもかかわらず、本質的なところを議論し、どうしてもここはつけ加えようというようなことがあれば、それはやるべきではないか。御指摘のように、私の領域でいうと、我が国固有の文化を語らずにというところがございますので、そういうことはあまり書いていない――一番先には書いてあるのですが、個別には書いていないとか、宗教教育のことについても、今、この条文でちょっと合わないところがあるかなということも考えられますし、議論してみることが大事だと思います。


○   私は教育界に身を置いてまだ日が浅いということを前提にお話をさせていただきますが、従来の教育基本法に対するいろいろな議論というのは、ここ数年来のことは結構興味を持って思っているのですが、これが一体、例えば教育基本法をめぐる論議にしても、教育界の議論と一般国民の感覚、認識は非常に遊離しているような気がしてしょうがないのです。なぜかと考えますと、確かに教育基本法にかかわるいろいろな議論は、世上なされておりますが、現実にそこで議論されていることが、例えば伝統文化の継承にしても、あるいは日本人としてのアイデンティティの問題にしても、これは既に法規性を持つと言われる学習指導要領には明記されているわけです。そういった意味で、教育基本法でいろいろ議論されていますが、現実の学校の現場、教育の現場というのは、先取りとは言いませんが、そういうものの意を体して既になされている。その辺のところがいまひとつ、国民的な議論になりきれていないのではないかという気がいたします。
   そういった意味で、先ほど委員がおっしゃったように、基本計画にしろ、基本法の問題にしろたんたんと議論をして、どこに一体問題があるのか、何を議論しているのか、その辺を中教審として議論をして、国民にそれを示していくといいますか、理解していただく、そういう過程がぜひとも必要であろうという気がいたします。


○   私も国民会議のほうに参加して、教育基本法などの議論に参加させていただきました。このことについて、日本PTAのほうに持ち帰りまして、いろいろ意見集約のほうを去年図ったのですが、やはり半分の方々が、各県、政令指定都市の会長さんたちなのですけれども、よく教育基本法のことがわからないということ、それから本当にお恥ずかしい話なのですけれども、1割よりもちょっと多いぐらいの方が読んだこともないということもありまして、全体的には議論を始めてもいいのではないかという意見の方々も多いのですが、私たちの中でも、このことについての温度差がものすごくあるのだということを実感いたしました。
   私たちは法律の専門家でもありませんし、素人が判断するには情報がとても少な過ぎるというような意見も中でありまして、昨年は教育基本法についての方向性ということを、こちらのほうでひとつまとめ上げるところまでは至らない状況で、ただ、教育基本法に関するフォーラム等は開催をさせていただいたのです。そうしますと、その件について前向きに議論をされたと思います。そして、新しい時代の中で、子どもたちの実態もすごく変わってきております。そういう中から、基本法についてのいい悪いの議論をやっていくことはいいのではないか、ということは私たちの中で議論形成できました。
   ただ、本当に専門の方々はよくわかっていらっしゃると思うのですが、とてもとても私たち一国民の中では、これをすべての人が認識しているという前提に立って進めていくと、なかなか難しいものがあるのではないかということは実感いたしました。でも、恐れずによくわかりやすい形で議論を進めていただければと思います。特に新しい基本法に関しては、もし本当に国民に浸透するものにするのであれば、やはり言葉遣いとかも今の時代の人たちが読んでわかりやすい形のものにするべきだと思いますし、家庭教育が私たちの子育ての原点というか、親の責任としても家庭教育のところが基本だと思いますけれども、そういうことも当たり前のことなのだけれども、教育基本法みたいなものがもっと身近になじむような状態、それを読むと自分の責任ということがわかるような形になればいいなと思います。


○   2点申し上げたいと思います。1点は、基本計画と我々中教審で既に分科会とか部会でいろいろ議論していることとの関連づけなのですけれども、今日午前、法科大学院部会の議論をしておったのですが、これを本当に理念どおり制度設計して立ち上げようとすれば、相当本腰を入れた国の取組が必要なわけです。それが従来の文部省あるいは文部科学省の全体のコンテキストの中で進めようとすると、なかなか思い切ったことができない、従来の経験から。これからは変わるとおっしゃるかもしれないけれども。大きな仕掛けの中で考えないと、突破口を開こうとしても、なかなか開けないところがあることを常日ごろ感じております。ですから、今、中教審のいろいろな分科会や部会で議論していることと、この基本計画の関係づけをどのように考えたらいいのかということが第1点です。
   もう1点は、基本法のいわゆる在り方の問題なのですけれども、先ほど来、基本法というのは憲法と同じような趣旨でできたという御指摘もありましたが、憲法についてもいろいろな見方があることは御承知のとおりですけれども、問題はやはり憲法が期待しているような形で、日本の戦後の50年が必ずしもなかったということが、一番の根底的な問題でして、政治改革とか、行政改革とか、司法改革もそうですが、様々な改革をしようとしてきているのは、むしろ憲法が実現しようとしてきたことについて、今まで我々が本当に取り組んでこなかったことを、本気にこれから理念の趣旨に合うようなものを、まずはつくり上げようではないかと。今、そこを苦労してやっているわけです。
   従来ともすると日本国憲法に書いてあって、戦後、憲法の制定とともにできた仕組みが、何かそれが憲法そのものであるというように考えて、既存の制度を検討していじることに対して臆病過ぎたところがあると思います。その臆病なやり方がもう持たなくなって、今、我々が取り組んでいる様々な諸改革は、これから本当に真剣に考えなければいけないということになってきている。本来はそれは憲法がもともと考えていたものに何らかの形で近づけようとしていることなのではないかという気がするのです。
   教育基本法も改めてということでもありませんけれども、読んでみますと、ここに書いてあることで間違っている、おかしいということは、私は基本的にはないと思います。むしろこれを本当に実現しようとすることを怠ってきたことが本当の問題なのであって。
   ただ、そうは言いながらも、先ほどから議論が出ていますように、この表現の仕方が、私なんか戦後間もなくこれで育った私の受けとめ方と、今の若い人たちが読んで心を打つものがあるかどうか。これは表現ぶりについては考える余地があるかもしれません。
   もう一つ、さっき申し上げたことに関連しますけれども、委員も御指摘なさったところですが、教育基本法のもとでできた既存の制度そのものを固定的にとらえる。もっと極端に言うとタブー視するようなところがもしあったとすれば、それはむしろ教育基本法の趣旨に反することでありまして、我々が教育の問題に実質的に直面している問題は何なのかということを率直にここで議論をして、その表現ぶりとか、あるいは実質を実現しようとするときに、何か問題があるということであれば、基本法の表現ぶりを更に変えるということもあり得ると思いますけれども、改正ありきということではなくて、問題は実質を、これも委員がおっしゃったように淡々と議論して、出口の問題としてどうかというあたりで考えればいいのではないかと、私自身はそのように考えております。


○   今のお話はよくわかるのですが、この諮問を両方並べて読んでみますと、ともかく教育基本法を改めるというか、追加するというのか、何とか踏み絵を克服してこい、じゃないと教育振興計画はつくらせてあげないよと、そんなふうに読もうと思ったら読めるのですね。そういう意味では、いろいろな議論があり、文化だ、歴史だとか、そのような御議論もあるようですが、その辺を変えなければ振興計画もという、その辺りをどこまで踏み込んで覚悟して議論するかという、作れないことではないかと思います。取り間違えておったらお許しいただきたいのですが。


○   私は素朴なことしか申し上げられないと思うのですけれども、教育基本法に基づいて教育界で仕事をしている者は、当然、原文を読まないなどということはなくて、一所懸命勉強して、理解して、それにのっとって仕事をしていると思うのです。また、学校教育とか、生涯教育もそうでしょうけれども、教育理念として、人間としてこういうことは守るべきだということがそれなりに示されていて、それをしっかり踏まえて生活して、生きていると思うのですが、最近では示されている理念をおろそかにすると申しますか、十分考えないで、弾力性を持たせるといいますか、自由裁量で解釈をして子どもを育てたり、子どもの教育は親の自由になるくらいの考え方でしているとか、非常にその解釈が自由になり過ぎているように思います。
   なぜそのように申し上げるかと申しますと、例えば義務教育として初等教育で、1年生から入学させていくわけですけれども、入学式にも出席しないというような国民も親もいるわけでございます。子どもにとってはかけがえのないことです。改めて親の義務を果たすという基本理念を十分認識し直すという意味でも、ここで国民に、先生方がおっしゃることとか、そういうものが普及していくようにしていくことが絶対必要だと思っています。今回このような諮問を受けて、その中の一員としてお話を聞いたり、それなりの意見が述べられるということは、誠にありがたいことだと思っていますし、ぜひ人間教育は尊厳あるものであるということを広く推し進めるものになればよいと思っています。


○   今、教育振興基本計画を先に議論するのか、教育基本法を議論するのかということが論点になっているかと思いますが、教育基本法を議論する一つの前提条件として、教育改革国民会議報告という流れをもとに、仮説のような一つの提案がなされていると思うのですが、教育改革国民会議についての評価というか、それを再検討するというところも必要かなと思っております。中教審の委員の先生方に何名も重なって検討されてこられた方々がいらっしゃるわけですけれども、振り返ってみますと、昨年の秋、12月ごろは、マスコミ報道等を通じて、沸点に達した教育改革についての議論が伝わってまいりました。しかし、あのときの議論を今の状況で冷静に再検討する必要があるのではないかという気がいたします。そして、また国民会議報告の結果をいろいろな場所で、更に現段階で公聴的な議論の場も設けていいのではないかという気が一ついたします。
   それと今、いろいろな分科会あるいは場所で、振興計画についての先立ったプランというのは、相当充実した検討が進んできていると思いますので、教育基本法を見直す議論を先行したほうがいいのではないかという気がいたします。先ほど委員が、これは十全に網羅された法律だということがございましたが、私も改めて読んでみますと、確かに教育基本法ができた時点での社会である前提となった状況、それに対しての表現ぶりというのはかなり目につくものはあります。また、例えば第3条の中に、年齢というような項目も入っておりませんですし、結構、淡々といろいろな議論の要素は挙げられるのではないかという気がいたします。
   当時、教育というような概念が、基本的にはある年齢までの段階的なものだという認識があって、つくられているような気がいたします。先ほど委員がおっしゃったように、これからは生涯にわたって教育あるいは学習をするということが、循環型社会の基本的な人間の在り方あるいは人材を高めるという方法論の一つになっておりますので、その辺の考え方を一つ盛り込むことも必要でしょうし。結構いろいろな立場から基本法に対する意見や素材を出し合うことが、議論の進展を図るのではないかと思います。ということで、御理解をいただければと思います。


○   私は別に言うことはないのですけれども、教育基本法というのを学生のころから読んでおりまして、数年前もう1回読み返してみました。何も間違っているところはないです。間違っているところはないのですけれども、しかし何と現実とのその差のあることよという感想は皆さんお持ちなのではないかと思います。これだけ抽象的に立派なものがあるにもかかわらず、現実にどうしてこれだけ教育問題がいろいろな形でもって議論されなければいけない、また対応されなければいけないようなことになっているのだろうか。むしろこういう教育基本法のもとでこういう事態が生じたということを、我々はやはり考えなければいけない。そういう意味において、やはり教育基本法は見直されるべきときがきているのではないか。ただその1点だけの感想を持っております。


○   別に具体的なことではないのですけれども、我々教育のことを研究している中でよく言われることは、教育の議論、あるいは教育の研究というのは、「『そもそも』と『だったとさ』としか言わない」というのがあるのです。「そもそも教育とはこうだ」という議論は、これはやるのです。その途中、どうするかという汗をかくところを議論したり、組み立てをやらないで、終わってから、現場でいろいろな苦労をしてやって、終わったところを評論して、「だったさ」と言う。これは困るのではないか。
   今回の議論も、「そもそも」と「だったとさ」で終わったら困るので、その途中のところにまさにこの基本計画が入っているのだと思います。そのところをしっかり議論しながら、やっていかないと、また同じ議論の繰り返しになってしまうのではないかという点を非常に心配しますので、ぜひ具体性を持った議論をしていただきたいと思います。


○鳥居会長   御議論がおそらく半分以上、かなりのウエートで基本法について議論していただいたと思いますが、基本計画のほうについても少し夢を語っていただければと思います。私自身、今回動き出しました第2次科学技術基本計画、その前の5年前の第1次科学技術基本計画、どっちも夢を持って基本計画づくりに参加しました。やはり1回目のとき、5年で17兆円という科学技術振興の特別の予算措置がとられ、それが日本の科学技術の振興にそれなりの役割を果たし、さはさりながら多くの不満も残ったし、反省すべきことも多々あったということで、第2次基本計画が約24兆円の予算で、これからの5年間動こうとしています。そのお金が本当にひねり出せるかどうか非常に難しいところにきてはいるのですが、そういうことを考えますと、我々が本当に気合いを入れて教育の振興の基本計画をつくり、それが様々の新しい予算措置も含んだいろいろな仕組みになって実現していくことが望ましいのではないかと思っておるわけです。
   そんなわけで、何か教育振興基本計画の在り方等について、まだ30分ほど時間がございますので、御意見をいただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。もちろん基本法のほうに戻られても結構でございます。


○   お尋ねした第1点ですけれども、今、部会や分科会でいろいろ議論しているものと、ここでの基本計画の議論というのは、どのように考えたらよろしいですか。今、中教審で分科会や部会でいろいろ議論していますでしょう。具体的な教養教育もいいのです、全体の。そういうものと、それはやはり財政的なものとか、いろいろなものに関係してきます。それぞれの部会やそこでの議論と、ここでの基本計画の議論というのは、どのように関連つけられていくのか、その辺、今の時点で何かお考えがありましたら。


○事務局   確定しているわけではございませんが、各部会で中教審はいろいろ議論をいただいておりますので、もちろんそれらも教育振興基本計画の中に取り入れられるべきものがかなりあると思います。私どもお願いしたいと思いますのは、基本計画と基本法というのは、どちらがニワトリでどちらがタマゴかという議論はあるのですけれども、最終的にすべての議論が終わって、仮に新しい教育基本法の在り方が決まった時点では、教育基本法の中に教育振興基本計画に関する条文がたぶん入って、そのもとに閣議決定かなんかで政府全体で、教育振興基本計画を策定するという作業が最終的には出てくると思います。これはかなり経って、仮に基本法も皆さんの合意が得られて変えられた時点での話でございます。
   今の議論としては、そのことを将来的には頭に置きながら、しかし、教育改革の基本的な理念であるとか、今の時点で教育の基本的な考え方をどうすべきかということについては、教育振興計画のあらあらのイメージの中に、当然入ってこなければいけないと思います。そういう意味では、先生がおっしゃったような教員の養成の在り方であるとか、あるいは法科大学院の件であるとか、それから初等中等教育の様々な課題であるとか、大学改革の大きな課題であるとか、いろいろなものが最終的には教育基本計画の中にイメージとして入ってくると思います。ただ、この基本計画はある程度イメージされていますように、財政負担を伴うものだけではもちろんないわけでございまして、最終的には財政負担もできるだけ政府として責任を負う形にしてほしいと思いますが、それ以外の要素もかなり入ってくると思います。そういう意味では、佐藤先生がおっしゃったようないろいろな部会との関連も当然つけなければいけないと思うのでございます。
   いずれにしても教育基本計画のイメージということは、まさに今の時点で、21世紀の教育の基本的な考え方をどうするのか。今まで教育改革をいろいろやってまいりましたけれども、それらを通じるような理念があるのかないのか、そういったものも考えなければいけないので、それはまさに中身としては最終的に教育基本法の在り方に密接に関連してくるのではなかろうかと思っております。


○   今の点ですが、両面ありまして、全体的な大きな仕組みの中で位置付けないと、それぞれの部分が思い切ったことができないという面がありますけれども、事柄によっては部分、部分を、急いでといいますか、早急に本格的に取り組まなければいけないものがあります。そのときに全体が決まらないから、そっちのほうもということになるとこれまた困るわけで、その辺の全体のバランスと進め方はかなり注意するところがあるのではないかという感じがしております。趣旨は、大体のあれはわかりました。


○   今のことに関して、時間がとにかく1年ということですから、時間的に相当効率よくやらなくてはいけないということだと思います。委員がおっしゃったことに関連してですが、今、事務局からお答えがあったことで。だとすれば、分科会のほうでそのつもりで、今議論しているこれは基本計画の中に入りますということで、前もってうまく調整していかないと、最後のところで何か時間がなくなったから、ポンポンポーンとやっちゃうということになると、議論もろくにできないで終わってしまうということですから。前もって特に重要なポイントについては、分科会で、1年あれば相当できると思うのです。もう何ヵ月かたってしまって、あと二、三ヵ月だということになると、ろくな議論もできないでということになると思うので、そこら辺の調整はやらなくてはいけないような気がいたしますね。


○鳥居会長   おっしゃるとおりだと思います。


○   先ほど委員もおっしゃったのですけれども、例えば前回の国民会議の経験で申し上げますと、例えばある教育にかかわってお金をうんと出しなさいということを計画を中に入れるとしますと、当然そこの教育は、国民のアカウンタビリティにちゃんと答えるという仕組みができているかどうかですね。そこの先生方が、教えておられる方々がきちんとした責任を取るような仕組みになっているかどうか。これは必ず問われるのです。その辺のところを全く無視して、今までどおりのやり方でお金を増やせといったって、これは通らないわけですから、どうしても計画と基本法がそのことに触れるとすれば、それは議論せざるを得ないわけです。だから、淡々と議論というように申し上げたのは、そのときの経験があったものですから申し上げたのですけれども。ですから、並行して交差しながらどんどん進めないと、これは話が始まらないのではないかという気がしています。結局、両方手つかずで、理屈だけ書いて、次のときに任せようみたいなことで、何にも成果が出ないということになりかねないものですから、そのように申し上げたのですけれども。


○   振興基本計画は、先ほど事務局のほうから、必ずしも予算というか、財政とか、そういう裏づけのものだけではないというお話で、そのとおりだろうと思います。ですが、国民会議でも言っておりますように、教育への投資ということが背景にあるのだろうと思いますし、抽象的な施策の方向だけ出してもしょうがないので、いただいた資料でも、それ以外の各基本計画で、5年程度または10年程度の計画期間というのがあるわけですね。そうしますと、5年ないし10年程度、財政というか、予算というか、いわばそれを先取りする形で計画をつくるということになってくるわけです。しかも、それは従来ペースでなくて、かなり投資したと言えるものにするということが、今の予算単年度主義の中でどこまで実現可能なのかということと、それからいろいろな基本計画が、いただいた資料にずうっとありますが、そういう視点から見ると、やはり予算、財政に裏づけられた、かなり思い切った裏づけのある計画が一般的なのか。そこのところは、予算は毎年度であって、何か抽象的な方向が書いてあるという程度のものなのか、その辺はどうなのでしょうか。


○事務局   科学技術基本計画につきましては、前の計画ですと5年間で17兆円、今度は24兆円というようなことが書いてありますけれども、ほかのものはそこまで具体的に何年間で幾らという形で書いてあるものはないという状況でございます。むしろ科学技術基本計画が突出しているということではないかと思っております。
   科学技術基本法には、政府は基本計画の実施に必要な資金を確保するとか、ちょっと正確な言い方でございませんけれども、そういうことが書き込んであるのです。ほかの多くの基本法は、そのような基本計画の実施のための財政上の配慮とか、そういうものはないのです。ですから、そういうところは政府全体でどこまで書き込むかだと。気持ちとしては私どもは、そういうことまで踏み込めたらなと。そのためには、国民的なコンセンサスが要るのだと思います。教育にそこまで国が、法律にまで書き込むかどうかとか、そこは十分また御議論をいただきたいと思っています。


○   たぶんまだ教育振興基本計画の具体的イメージがお互いになかなかつかめないままで、という感じがいたします。私はぜひ次回には、科学技術振興基本計画は、何々振興基本計画の中で一番成功したものではないかなと横から見ておりますが、これをぜひ具体的に御紹介していただくと同時に、先ほどちょっとお話がありましたけれども、国民会議で出て、改革の論議が沸騰したとおっしゃるけれども、私は国民会議の提案の中身について、今まで全然マスコミできちんと取り上げられたことはないと、こう思っております。基本法の問題と、奉仕活動の問題しか取り上げなかった、残念なことにマスコミは。実はそのほかにたくさん大事なことがあって、それが今年の7月の6本の教育改革関連法案の改正になっているわけで、これがほとんどマスコミで取り上げられていない。
   もっと言いますと、今日もあります「教育新生プラン」、これも非常にすばらしい、具体的なプランの出し方だったと思うのです。教育というと、人格の完成とか、すばらしい話ですよ。それは100年、これを拳々服膺してもいいのですけれども、そういう話が踊りまして、具体的にどこにどういう手を打たなければいけないのかというのが、なかなか出てこない話が多かったのです。私は、「教育新生プラン」は非常によかったと思っております。ただし、これは一つのパースペクティブが、1年、2年なのです。当面、具体的なことを何をするか。
   私の雑駁なあれで言うと、これは5年とか、10年のパースペクティブで何をするかが出てきて、しかも、それについてどの程度の財政的な見込みを立てるかというのが出てくるのが、教育振興基本計画ではないかと思っております。したがって、その辺につきましても、次回、例えば「教育新生プラン」をもう一度皆さんに配付していただいて、この辺はこういう予算で措置するというのも書いてあるのです。この辺はこういう法律の改正で措置すると書いてある。この辺の具体的なところで教育を論議するということの一つのモデルとは言いません、手がかりですね、出していただきますと、教育振興基本計画と今言われているものと教育基本法と言われているものは、これは抽象のレベルが2段も3段も違う話だということで、お互い理解しながら、必要なら絡め合わせながら、必要ならまたそれを分離しながら論議していけるのではないかと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。


○鳥居会長   「教育新生プラン」と「科学技術基本計画」に加えて、国民会議の15項目、プラス2項目のサマリーしたものでも配っていただけると、委員にそれを使って解説していただけますので、お願いしましょうか。


○   今の委員のお話は、実は本当にそうだと思います。私どもは日本生涯教育学会というのをやっていまして、一昨日、生涯学習と教育改革についてのシンポジウムをやったのですけれども、それで提案しなくてはならないので、「新生プラン」を整理してみたのです。そうすると、本当にお話のとおりで、よくできてはいるのですが、さっき会長が言った夢を語ってほしいというか、夢を検討するという、長期的なビジョンに立ってというところになると、十分でないというところがあるものですから、この諮問の1ページにもありますように、「『人材・教育大国』の実現に取り組む」といったときに、ビジョン、つまり、教育基本法と具体的なものの間を結ぶものがないと、うまくいかないわけで、その議論をやはりしていく必要があるのではないか。ですから、夢を語るというところを、具体的にビジョンでどのようにこれを考えていくかということは、かなり時間をかけて検討してもいいのではないかと思っております。


○   改めて教育基本法を読ませていただいて感じたことなのですけれども、本当に正しくて、襟を正したくなってしまうような内容で、圧倒されてしまうのです。感じたことは、もしこの基本法に基づいて、例えばだめな子どもを持ったお母さんたちがこういうのを読んだらどうなのだろうかと思ったり、また、全体の先生にしてみても、法律に定める学校の教員は全体の奉仕者であってという内容などを聞くと、わかるのですけれども、あまりにもすべてが優等生過ぎてしまって、何か苦しいのですね。ですから、感じたことは、今は亡くなってしまいましたけれども、童謡作家の金子みすずさんの言葉の中に、「みんな違って、みんないい」という言葉があって、とても好きなところなのですが、そういうようにだめな子どもとか、これを読んで子どもを持つ御両親も、先生方も、すごく自信が持てるというか、勇気を持って教育ができるというような柔らかい内容がいいのではないかということを感じました。


○   例えば、教育勅語には12項目の教訓があり、親に孝行しろ、友達と仲良くしろとか、就学就業をまじめにやれとか、勤勉になれとか、そういうのが書いてあるのです。明治時代には国民に方向を示す役割を果たしたのだと思います。こういった、教育基本法の一歩手前の人間の心がけをどのような形で呼びかけるかという課題があるような気がするのです。


○   また感想みたいな話になると思うのですが、たぶん教育改革国民会議のほうでも基本法の議論を、最終的にどのように落とされるのか大変御苦労があったのだろうと思います。そういう意味で、基本法をどうとらえるかですが、理念法的な部分といわゆる行政の根拠法的な部分と、現行の法律だってミキシングしてあるわけですよね。現在の法律の10条1項なり2項を補強する論議が、3番目の基本法を直せという理由にされているわけで、これは科学技術振興法、あるいはここにも例がございます食料・農業・農村基本法ですか、こっちのほうは政府が金の面倒まで見れというところまでは書いてありませんが、これも立派な根拠法で、一番金の面倒まで見ろと書くことが、会長が言われた夢の実現のための大きなカタライザーだと。もう一つは、多くの方々が教育基本法を不磨の大典にしてしまっているではないかと。その辺、どこかで、こんな言い方は不謹慎かもしれないけれども、そんな大したことではないけれども、ちょっとでも変われば、その不磨性に風穴があいたと。若干ニヒルな言い方で申しわけないのですが、そんなことかなと。これは感想でございます。


○   私、科学技術基本法の議論には大して加わらなかったのですが、基本計画にはかなり参画しました。基本法ができたすぐ後に、これを、自分で翻訳して外国へ持っていっていろいろな場で紹介してみました。アメリカ、イギリス、ヨーロッパ、多くの国で、日本はこういうことをやろうとしているのだということを言いましたら、非常に大きな反響がありました。なるほど日本はそこまで決心したのかということで、非常に理解してくれました。そして、それに基づいて、科学技術基本計画が議論されて、科学技術の分野では実際に財政的な裏づけが出来た。そのおかげで科学技術の分野は、非常に活性化しておりまして、野依先生のノーベル賞も、そういう意味からいうとこのような動きに全く無縁ではないと思います。そのほかにも、最近、日本の中でノーベル賞をもらうだろうという候補者の名前が挙がってくるようになった。直接のインパクトがあったのです。
   それでなんですが、教育基本法について、私、自分で英語に翻訳しようと思ったのですができないのです。外国人と議論するときに、教育というのは何のためにやるのだという点が、一番困るのです。日本ではすぐ人格などの話が出てきてしまう。彼らからは、それは確かに教育の最終理念であるかもしれないけれども、教育の方法ではないということを言われてしまいます。そういうことからすると、私は委員が言われたように、この基本法は、現実とあまりにも乖離し過ぎているのではないかという気がするのです。書いてあることは確かに正しいのだけれども、あまり目標を高く掲げ過ぎているのではないかという気がしてしょうがないのです。私、プラクティシャンですから、そういうことから言うと、もっとわかりやすい法律にすべきだと思います。
   それから、既に指摘されていますけれども、英国にも教育基本法はない。フランスにはジョスパン法がありますが、あれをよく読んでみると、要するに教育はこうやれと書いてあるだけなのです。東洋と西洋に根本的な理念の違いがあるのかなという気もするのですが、このような基本法をずっと持ち続けていたのでは、日本の教育改革はできないのではないかという気がしてしょうがないので、そういう立場から議論に参画しようかなと思っている次第です。


○   やはり教育というと理念、理想、崇高さとか、どうしてもそっちのほうへ議論がいっているように思われます。夢を求めるという会長のお言葉は大変素敵なのですが、現実を見ると、かなりそれと離れたところに教育の現場があるような気がするのです。基本法のほうはともかくとして、具体的な施策のほうでは、ミニマムエッセンシャルズというか、これだけは何とかしようよという、下のレベルの目標設定みたいなものが、あるところでは必要になるのかなという気もしています。義務教育の9年なんていうのは、ある意味では最低を示しているのかもしれませんけれども、それ以外のところでも、ともかく教育でこれだけは何とかきちんとやろうという、日本人として最低必要なものというか、それは何かどこかで考えてみたほうが、書けるかどうかわからないのですけれども、必要なような気がしています。
   私、サッカーにかかわっていますが、サッカーの少年指導者の養成の中では、これだけはやってくれるな、これだけは教えてよという、非常に短いものをつくって、指導者の教育をやっているのです。そういったものが教育全体でも必要なのかなという気がちょっとしております。


○   確かに委員のおっしゃったような点とか、基本法自体の理念と現実があまりにも遊離しているとか、かけ離れているという御指摘があります。基本法の性格をどのようにするかということによって変わってくるのだと思いますけれども、ある程度高い理想とか、目標があっても、そういうことを基本法に普遍的な価値として残しておくことが重要だと思っています。
   ただ、そのかわりというと語弊がありますが、学校教育法とか、あるいは学校教育法に基づいて示されている学習指導要領の中には、かなり具体的に、現実的に、二、三年置きに改正されたりして、現実はそれによって、実際問題として学校現場は指導要領や学校教育法に基づいて教育が行われているわけです。これは基本法に書き、これは学校教育法なり指導要領の中に盛り込むということは、この議論を通じてきちんと整理していけばいいのではないかというのが私の考えだということで申し上げておきたいと思います。
   もう一つ、振興計画にかかわって、先ほど若干申し上げましたけれども、この諮問理由の2ページに、項目的に五つの項目が書かれているわけです。「初等中等教育の教育内容等の改善、充実」に始まって、「情報化、国際化・国際交流の推進」などという。ただ、本格的に5年なり10年のスパンで、日本の教育を抜本的に充実させて、改革させていくというからには、これをもうちょっと具体性のあるものにしなければならないと思って、例えば今、教職員定数改善計画も2年次に入るわけですけれども、かなりの県や市町村で、小学校低学年は国が40人として弾力的運用をしていますけれども、埼玉県などの志木市とか、幾つかのところで具体的に25人にするとかというようなことが……。ただ、財政上は非常に厳しいから相当苦労しながらやっているわけで、この5年の計画が進めば、その後どうするかということを、ここに教職員の定数改善とか、そういうことが一言も触れられていません。
   それから、委員が言われたように、これを抜本的に議論すれば、今の6・3・3・4という学制自体が今のままでいいのかどうか。一方で中高一貫教育もかなり進んでいますし、中等教育の在り方とか、全体的に子どもたちの成熟度が早まっていますから、幼稚園と小学校の関係も見直したらどうかとか、様々な議論があるのです。
   したがって、この五つにあまり限定せずに、振興基本計画は各分科会でも、生涯学習の分科会とか、2番の「教員の資質向上と学校運営の改善」は、今、養成部会で議論して、これもかなり金が要るなという議論になっているけれども、分科会だけではどの程度までということはなかなか言いづらいところがあって、抽象的な表現にしかなりませんが、こういうものをつくるということであれば、各分科会それぞれからこの際、一、二ヵ月の間にそういうことをみんな挙げさせるとか、そういうことをしながら、内容を充実したものにしていく必要があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。


○鳥居会長   今の御指摘の場所については、かなり柔軟な解釈を我々がとることによって、例えば「初等中等教育の教育内容等の改善、充実」と言っているわけですから、例えば学制そのものについての議論もするとか、そういうことに柔軟に解釈はできると思います。


○   私、余計なことを言う必要はないと思うのですが、基本法というのは、教育基本法だけは何か違うのですが、ほかの基本法は大体フランスのロアドリアンタシオンという形式を日本でかりて、つくったわけです。いろいろな分野においてそれをつくったわけです。ロアドリアンタシオンという、方向付け法ということが示しておりますように、政治とか、行政の方向付けをする法律を基本法といって、その方向の最も典型的に完成した形を示しているのが、ここで議論されているような科学技術基本法ではないかと思います。そういう形でもって入ってきたものなのですが、教育基本法だけは何か違うのです。最初から別の形でもって入ってきて、そして準憲法的性格を持つとか何とかいうことを有川先生が最初の解説書で書いて以来、これが定着したわけであります。そういったもの日本では準憲法的な性格を持つというような表現をすることによって、要するに聖域づくりということが行われていて、小泉さんの政策とは全く反するわけでありますけれども、戦争直後につくられたものは全部一種の民主化法であって、ほとんどが一種の聖域であるという形でもって、それがいろいろなところでもって威力を発揮して、日本をよくしたり悪くしたり、私はあまり検討しておりませんけれども、いろいろな問題を生じたのだと思っているわけです。
   私は、教育基本法の問題について、確かに別の生い立ちを持っていることは認めておりまして、しかしこれは内容的に見ますと、簡単に言えば道徳律みたいなものでありまして、壁にみんな掲げて、時々思い出して読むというぐらいのものでありまして、これが行政の方向付けという形でもって、どれぐらい具体的な意味合いを持っていたかというと、現実とのあまりの乖離の大きさに我々が驚くように、その理想はほとんど守られていない。確保されていないとさえ私は思っておりますけれども、そういう形になっているということであります。私も委員の議論に全く賛成なのですけれども、私は何も変えたいと思っているわけではなくて、いいところはいいところで残す。しかし、もしも基本法という形をとるのだったら、本来の基本法の在り方のように政策の方向付けの法としての性格のニュアンスを出していかなかったら、憲法ではないのですから。憲法だったらまた別ですよ。そうであるのだったら、方向付けを出していかなかったから、これは法律としての意味合いをどこに持っているのだろうということを、私はいつも思っているわけであります。そういうことで、ちょっと言い過ぎがありますけれども、いいところは十分生かしていかなければいけませんけれども、本来の基本法、つまり政策の方向付け法としての意味合いをもっと出していかなかったら、基本法は基本法たり得ないのではないかというのが、私のかねてからの個人的な考え方でありますから、そんなことを言ってもしょうがありませんが、御披露いたします。


○鳥居会長   大体御議論が出尽くしたのではないかと思います。時間がちょうどまいりましたので、今日はこの辺で会を閉じさせていただきます。
   ただいま、本当にたくさんの御意見が出ましたので、今日の御意見を踏まえまして、今後の議論の進め方につきまして、次回の12月10日までにあらあらの方向をお示しして、検討していただくことができるように取り計らいたいと思います。そのことを前提としてでございますけれども、次回は主として教育振興基本計画について御審議をいただきながら、今日と同じように、もちろん教育基本法についても大いに言及して触れていかなければなりませんので、そういう段取りにしたいと思います。その上で、来月12月10日に2回目を行いました様子によって、どの分科会におろすか、あるいは新しい分科会をつくるか、その辺のことについても御提案をしていきたいと思っております。
   誠にありがとうございました。
   次回の日程について、説明をお願いします。


○事務局   次回の日程でございますけれども、資料5でございます。平成13年12月   10日(月)午後2時~4時ということで、場所は霞が関東京會舘ゴールドスタールーム35階でございます。よろしくお願い申し上げます。


○鳥居会長   ありがとうございました。
   それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。ありがとうございました。