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新国立競技場整備計画経緯検証委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成27年9月24日(木曜日)13時~14時

2.場所

虎ノ門ヒルズFRONT2階大ホール

3.議題

  1. 検証報告書(案)について

4.出席者

委員

柏木委員長、横尾委員長代理、國井委員、黒田委員、古阪委員

文部科学省

前川事務局長、伊藤事務局次長、柳事務局員、生田事務局員

5.議事録

【柏木委員長】  定刻となりましたので、ただいまより第4回新国立競技場整備計画経緯検証委員会を開催いたします。本日は、御多忙の中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。委員長の柏木です。
 本日は黒田委員がまだいらっしゃっていませんけれども、間もなくお見えになる予定であります。それから本日は、為末委員が残念ながら御欠席であります。
 さて、開始に先立ちまして、私より一言おわび申し上げます。御案内のとおり、本日の第4回委員会は、当初は9月16日に開催する予定でありました。しかしながら、私が報告書案の最終精査及び修文に時間をとりまして、精査・修文が16日までに完了しなかったものですから、心苦しいながら委員会を延期せざるを得ないことになりました。委員会を延期したことで、そして延期の決断が予定された委員会の直前になりましたことで、16日に予定された委員会が延期になりましたことにつきまして、委員の皆様及び検証委員会に関心をお持ちの方、全ての方々に深くおわび申し上げます。
 さて、本委員会が設置されてから約1ヶ月半たちました。委員の皆様には、この間、文字どおり夏休み・お盆休みを返上いたしまして検証作業に打ち込んでいただきました。委員会の議事に入ります前に、まずそのことについてお礼申し上げます。そして皆様の御尽力の結果、当初の予定よりはややずれ込みましたが、本日の委員会において報告書案を議論できるようになったことを、心からうれしく思っております。
 今般の報告書案の作成に際しましては、各委員の皆様の専門性を発揮できるよう、論点ごとに担当の割り振りを行い、皆様の知見を生かしながら議論を深掘りしていただきました。本日の委員会では、まず私から、報告書案の全体構成と各論点に入る前の総論部分につきまして説明させていただきます。その後、各委員からそれぞれの論点について説明を頂くという流れで進めたいと思っております。この1ヶ月半の集大成とも言える委員会になるかと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それではカメラの方、申し訳ありませんが、ここで退出をお願いいたします。
(プレス退室)
【柏木委員長】  本日の議事に入ります前に、本日お配りしている参考資料2及び参考資料3について訂正がありましたので、御報告させていただきます。
 初めに、第1回及び第2回委員会で配付しており、本日は参考資料2となっております、国立霞ヶ丘競技場の改築計画について(白紙撤回までの経緯)と題した書類であります。スポーツ・青少年局作成の経緯資料ですが、同局の方から、前回のものから2点修正点があったとの連絡がありましたので、御報告させていただきます。
 第1点目は、2ページ目の上の方であります。上から2つ目のマルの箇所ですが、これまでの古い資料では平成23年8月となっておりました。本日お配りしている資料は9月と、正しい数字が入っております。それからもう一つは、同じ書類の6ページ目であります。上から3つ目のマルでありますが、5つ目のダイヤモンド印、ひし形印の箇所であります。これまでの資料では高さ70メートルとなっておりましたけれども、正しくは75メートルであるということで、これは修正いたしております。
 それからその次は、第2回資料で配付し、本日は参考資料3となっている経緯の一覧表であります。これはJSC作成の資料ですが、ヒアリングに御協力を頂いた設計JVの方から、9月24日から12月27日までの間の数字につきましては、設計JVが算出した数字そのものではなくて、設計JVが算出した数字にJSCが調整を加えたものということでありました。そこで、数字の出所につきまして設計JVが名を連ねるのは不適切であるといった御趣旨の指摘がありましたので、JSCの確認をとりましたら、そのとおりだということなので、これらの数字につきましてはJSCのみのクレジットとさせていただきたく、修正を施しました。
 それでは本日の議事、「新国立競技場整備計画経緯検証委員会検証報告書案」についてに入りたいと思います。会議の冒頭にも述べましたように、まず私から、報告書案の全体構成と、各論点に入る前の総論部分についての御説明をさせていただきます。その後に、各委員からそれぞれの論点について御説明を頂くという流れで進行したいと思っております。
 それでは、全体構成と第1章、第4章総論部分を説明いたします。全体構成としましては、全部で4章から成り立っております。
 第1章が「はじめに」ということで、イントロダクションとなっている。本委員会について、検証を求められた事項、検証の目的、検証方法の概要、検証の制約、本報告書の全体構成という内容になっております。
 それから第2章では、本プロジェクトの関係者をリストアップしております。JSC、文部科学省、デザイン監修者、発注者支援者、設計ジョイントベンチャー、技術協力者・施工予定者であります。
 第3章は、本プロジェクトの事実経過であります。これは22ページにわたる非常に詳細なものになっております。かなり詳しく経緯を検証いたしました結果であります。
 それから第4章が、まとめに関する部分で、本プロジェクトの問題点の検証ということになっております。第1章が総論、第2章が各論ということで、1つ目の論点が、コストに関する問題、それからプランニングに関する問題、それから設計・工事に係る調達方法に関する問題、それから情報発信に関する問題で、最後にプロジェクト推進体制に関する問題点ということになっております。
 報告書案に係る御質問、御議論は、後ほどまとめて行うことにしまして、このまま各論点に入りたいと思いますが、委員の方、よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。では、まず最初に、私の方から総論部分について御説明いたします。総論部分ですが、まずプロジェクト遂行に当たっての前提であります。この前提としましては、本プロジェクトが非常に難度の高い複雑なプロジェクトであったという事情があります。なぜ複雑だったかというと、斬新なデザイン、それからタイトな工期、それから狭隘な敷地、それから予算の制約があったということ、 それから施工予定者の早期参入方式すなわち、Early Contractor Involvementによる競争原理の減退、それから東日本大震災の復興工事の影響等による建築資材と建築労務費の高騰、それからオリンピックが決まったことによって、建築関係業者が他に仕事がたくさんできてきそうだということで競争意欲が減退したことがある。それから建設工事が、屋根部分とそれからスタンド工区の2分割発注になったということから、非常に複雑なプロジェクトになっていきました。
 この複雑なプロジェクトになっていく過程で、これに見合った体制がとられていたかというと、私どもが検証したところではとられていなかった。それはなぜかというと、集団的意思決定システムのために、意思決定が非常に遅かったと。国家的プロジェクトであるにもかかわらず、既存の組織、既存のスタッフ、今までこれだけ大きなプロジェクトに経験のなかった既存の組織、スタッフを拡充することで対応してしまったという推進体制の問題があります。
 さらに、工費の乱高下というような報道がなされ、それに対する国民の理解が得られなかったということがあります。工費の乱高下につきましては、今まで工費の乱高下ということがよく報道されておりますけれども、まず最初に出てきた1,300億という数字は、これは設計図も何もない段階、つまりザハ・ハディド氏の案が決まる前に、大体8万人収容の施設を建てたならば、しかも天井が開閉式の施設を建てたならば、どのぐらいの工費でできるだろうかということを、他の類似プロジェクト、例えば日産スタジアムとか大分のスタジアムとか、そういうものを参考にしながら推計したのが1,300億であります。これは設計図も何も描いていない段階での推計ですから、かなりラフな数字であります。まさに目安にしかならない。
 それが、ザハ・ハディド案が決まりまして、それで概略設計が始まったわけですけれども、そのときになって、ようやくラフな設計図ができて、設計ジョイントベンチャーが大まかな数字をはじいたところ、有識者会議の各団体の要望を全部入れれば3,000億を超えてしまうんじゃないかというようなことになりました。これが報道になりまして、3,000億もかかるのかということになってしまいました。しかし、これは1,350億から3,000億までのいろいろな案の中の一つで、一番お金のかかる、つまりザハ・ハディド案を完全に実現して、なおかつ、可動式屋根、それから可変ピッチとか、そういう各利用団体の要望を入れた場合は3,000億を超すよという案でありまして、このときには、まだ案が固まっておりません。幾つかの案の中の一つの数字が独り歩きしてしまったということになるわけです。
 それが平成25年の末に、1,625億円で大体の関係者の了解が得られた。それからほとんど変わっていません。実際に施工予定者が入って、施工予定者が見積りをしたところ、3,000億円を超えてしまった。最終的には2,520億円になったわけですけれども、1,625億円から2,520億円という大きな工事金額の増加がありました。しかし乱高下はない。性格が全然違う。それから計算主体も違う。工事の正確な概算というのは、積算ができないと出ないのでありまして、その積算も設計ジョイントベンチャー、つまり設計屋さんがやる積算と、それから工事を請け負って自分のリスクでやる施工業者が出す積算とでは、意味が違ってきます。ですから、この1,300億円から1,625億円、それから2,520億円と、この3つの数字を比較しても、余り意味のない。英語で比較ができないものを比較するということを、リンゴとオレンジを比較する、Comparing apples with orangesと言いますけど、そういう類のことであるわけであります。
 しかし、そういう説明がなされなかったことが問題です。誰しも新聞を見ていれば、ああいう報道がなされれば、工事費が1,300億円から3,000億円を超え、3,000億円が今度は1,600億円に落ち込み、それがまた2,500億円に跳ね上がったと、こういう印象を持つのは、当然だろうと思います。そういうことに対する広報体制が全くなっていなかったということが問題の一つの原因だったように思います。
 総論をまとめますと、要するに非常に複雑・巨大なプロジェクトに対するJSCの体制が整っていなかったということと、それから広報体制に欠陥があったと、こういうことだろうと思います。
 それでは次に各論に移りまして、コストの問題から、各担当の委員に御説明をお願いいたします。まず國井委員から、第4章(1)、コストに関する問題点について御説明お願いします。
【國井委員】  それでは報告書案の37ページ、コストに関する問題点ということで、委員長の方からありましたように、乱高下と一般に言われていますが、実際のところは、繰り返しになりますが、乱高下ということではないということなのです。乱高下のようになっていたところに関しては、(4)情報発信のところで若干触れていますので、そちらに譲るとして、乱高下ではないにしろ、数字が幾つかある中で、参考資料3に新国立競技場の工事費・解体工事の変遷というのが出ています。分かりやすく色を分けて出していますが、そもそも性質が、先ほどの言葉にありますように異なるものですから、そのことをしっかり認識した上で比較をするということが必要なのだろうと思います。
 とはいえ、その中でも、当初平成24年の7月20日に出た1,300億円から、平成25年の12月27日の本体部分で言えば1,625億円、それから平成27年の2,520億円になり、非常に乖離している。大きく右肩に上がるというか、増大している。
この計画においてコストマネジメントの課題というものがあるかということで、検証を進めてきました。
 まず当初、時系列で言いますと、38ページの①の、国際デザイン競技公募における1,300億円の位置付けということでございますが、先ほども少しお話があったとおり、これは外部コンサルタントによる日産スタジアム、屋根部分については大分スタジアムの方を基礎に単価を計算して面積を掛けて算出したということで、目安的なものであって、設計がされる前の数字だということだと思うんですが、この数字の意味が、ヒアリングを進めていきますと、人によっては、変動があり得ると考えていた有識者の方や、いやいや、1,300億円が上限だと考えていた関係者、あるいは、これは招致の前ですから、招致が決まったら1,300億円を超えても容認されているのではないかということで、捉え方については非常にまちまちであったということが、ヒアリングを通じて分かってきたことでございます。その中で、1,300億円をいわば上限と認識したという関係者の中で、その後、デザイン・スペックの変更、あるいは物価上昇に伴う変更について、議論が困難になったということが一つ挙げられると思います。
 実際に審査の中で、コストの評価というように、デザインコンペですので、当然非常に詳細な設計図もあるわけではないのですが、実際にはデザイン競技審査委員会というものがありまして、その中で事業費という項目があって、5項目あって、マル、バツ、三角と付けることになりますが、今回のザハ・ハディド案については4項目がマルであった。1項目だけ三角だということだったということなのですが、その経緯については、実際、詳細に拝見しても、現状の資料の中で見るというところで、特段大きな問題があるということはないですが、デザイン段階でのコストの意義というものと、工事の変動があるということについて、しっかり何らかの形で警鐘を鳴らす必要があったのではないかと思われますし、その点がしっかり十分になされたとは言い難いだろうと思います。
 次に、基本設計、実施設計、工事費の推移が、この参考資料3の中でもずっと右の方に推移していくわけでございますが、その中で予算上限に対する考え方というところが、一つ問題点になろうかなと思っています。真ん中ぐらいに、招致の前の段階で1,358億円から、先ほどありましたフルスペックの3,535億の幅にある競技場案と。これはいわば本プロジェクトを見直す一つの機会かもしれませんが、招致の前ということなので、その判断は留保されているということでございまして、最初の試算額の3,535億円については、全ての案を取り入れた状態ということにはなっていたということであります。
 この後、実際に平成25年12月27日に1,625億円、これはいわゆる財務省の調整や無駄撲の方のプロジェクトチームの精査を経て1,625億円になるのですが、この場合に、金額を決めるときのところに「真にやむを得ない場合に当たる経費を除き」というフレーズがありまして、この「真にやむを得ない場合」というのが、物価上昇あるいは消費税増税というところが含まれているということなんですね。平成25年7月の単価をベースにして、平成26年もある意味議論されていて、「真にやむを得ない場合」というのが実際に幾らまで認められるかということについて、上限というものがしっかり示されていたということを我々としては認識できなかったということで、ある意味、上限がないに等しいということになりまして、その後の工事の増加要因の一つになったということです。「真にやむを得ない場合」という形も、25年7月のコストがずっと続いていますので、ある意味、低く、意図的とも見られない形になるということもありますし、現状での建設市況というのが、平成26年のところで大きく建設コストが上昇し、また消費税も上がっていますので、そこで理解を求める説明が必要なんだろうと思います。
 最終的に、平成27年の1月から2月にかけて、技術協力者・施工予定者の数字が3,088億円、あるいは設計JVが2,112億円という乖離のある数字が出てきて、これは実際、設計JVの方は、新しい平成26年の10月の単価をベースに算定しているんですけれども、実際にゼネコンというか、実際の技術協力者・施工予定者に関しては、実際の霞ヶ丘地区という立地の中で、限られた工期の中で調達リスクも踏まえた金額ということと、もう一つは図面のところで、先ほどECIの話がありましたけれども、当初の段階では数量と単価が若干違っているということもあって、大きな乖離があったということです。
 その点、実際には最終的には2,520億円ということになると思いますが、先ほど言いましたように、上限がないに等しいということが、物価上昇の変動上限をあらかじめ合意していなかったというところで上昇局面に行ってしまったということがありますので、その辺について、上限意識の曖昧さということが非常に重要だなということでございます。
 あと最後にもう1点ですが、工事費の財源というところで、当初平成25年1月の予算案の閣議決定において、「多様な財源」という言葉を使っていまして、スポーツ振興くじの係る売上げの繰入れ等もあって、多様な財源が複数あったということは、ある意味、足りなければ他の財源で期待するということもあって、当事者意識が薄くなってしまったということも非常に考えられるということだろうと思っています。
 私のパートは以上でございます。
【柏木委員長】  ありがとうございました。
 私のところでうっかりしていまして、肝心要の点について言及するのを忘れておりました。それは報告書の36ページ、責任の所在であります。記者の方々、それから傍聴の方々には、新国立競技場整備計画経緯検証委員会検証報告書案の概要という冊子が配られておると思いますけれども、それの3ページ目の一番下に記載しております。
 概要では、結果として本プロジェクトの難度に求められる適切な組織体制を整備することができなかったJSC、ひいてはその長たる理事長、それから文部科学省についても同じであると。文部科学大臣及び事務次官についても同様であると。こう書いてあります。これは概要の方はスペースがなかったのでこう書きまして、これに間違いはないのでありますけれども、これだと、この3人が3悪人かという具合に早とちりされるおそれがあります。
 本文の36ページの一番下から次のページにかけて、もう少し丁寧に説明してありますけれども、先ほど申し上げましたように、この問題の原因というのは、プロジェクトの複雑さ・大きさと、それから組織体制のミスマッチにあるわけです。そのミスマッチを放置していた責任というものが考えられる。したがって、それは組織としての責任、あるいは組織の長としての責任であって、個人的責任を問うつもりはないのでありまして、そういう場合に、組織の長としての責任が、この3人にあるのではないか。その3人も含めまして、我々がヒアリングをした対象の方々や、これに関連した方々は、実に真面目に、誠心誠意、このプロジェクトを実現しようと努力されておられました。
 ということで、あえて責任を求めれば、結果責任とも言うべき責任が、このJSCの理事長及び文部科学大臣、それから文部科学省次官にあるのではないかということでありますので、概要だけお読みにならずに、是非この本文の36ページ、37ページを併せ、お読みいただきたいと思います。
 それでは黒田委員、プランニングに関する問題点をお願いします。
【黒田委員】  黒田でございます。ちょっと遅れてしまいまして、申し訳ございませんでした。
 プランニングに関する問題点は、41ページ以降に書いてございます。まず最初に、建築計画においての3つの要素ということを書かせていただいておりまして、工期、それから仕様(デザイン・スペック)、それから工事費、この3つの要素を、どれを重視していくのかということを明確にしていく必要があるということを書いております。
 この3つの要素はそれぞれトレードオフの関係にあって、工期を優先するということになれば、それだけ人をつぎ込んでいくわけですので、それだけ工事費が上がっていく。それもまた逆に工期を抑えるということであれば、仕様をなるべく簡素なものにして、それだけ工事費も安くなっていく。工事費はまた上がるかもしれないですけれども。それから逆に工事費を抑えようとすることであれば、仕様は簡素に、工期は人数を減らすことになるかもしれない。そこはトレードオフの関係にあるということになります。本プロジェクトにおいての一つの問題としては、この3つの要素についてのプライオリティーというのが、どれを優先するかというのが、時期によってまちまちであったりして、明確でなかったということが挙げられると考えております。
 工期については、2019年ラグビーワールドカップの会場として使用するということが非常に重要な目的でして、これの優先順位が高かったということは間違いないと思っております。ただ、これも最初の時点から、平成27年10月からの42か月の工期という意味で非常にタイトだと考えられていて、そういったタイトであるという認識は、それぞれ関係者にあったということです。
 これを踏まえて、ちょっと先に飛びますけれども、42ページの下の仕様のところに行きますと、仕様の部分、本プロジェクトの新競技場のスペックというのは、基本的には有識者会議でいろいろ議論されて、そこの有識者会議の中では、施設利活用(スポーツ)ワーキング・グループというのと施設利活用(文化)ワーキング・グループとが中心となって、それぞれスポーツと文化の両面から、こういう使い方をしていこうということを受けて、それを施設建築のワーキング・グループに対して要望するという形で、そこで取りまとめていったという、そういう経緯があります。
 この有識者会議は基本的にはJSCの理事長の諮問機関という位置付けではありますけれども、そこに入ってこられた方々というのは、やはりこの新国立競技場に関して利害関係を有するという、主要な関係団体ですね。利害関係を有すると言ったら変ですけど、主要な関係団体で、発言力の大きい方々ということで構成されていたということがあって、この有識者会議の意思決定というのがJSCの意思決定に大きな影響を与えたということが一つ挙げられる。その結果、ここでスペックをいろいろ決めていくわけですけれども、当初のものは非常にハイスペックになっていたということが挙げられます。
 これに対して、平成25年の秋に、コストを削減していこうという動きがあって、それは文科省、財務省からもあり、また無駄撲での議論というのもあり、これが1,692億円、本体工事1,625億円という形には下がりますけれども、その過程のコスト削減の経過というのを見ていくと、抜本的に変えていくという形ではなくて、この機能を縮減していくという形の小さな縮減を積み重ねていくといった対応していこうという対応がされていったことが見えるということであります。
 次に工事費について見ると、國井委員からもまさにずっとお話がございましたけれども、明確な予算が定められていなかったということが挙げられております。これは先ほど國井委員の繰り返しになりますので、繰り返しはいたしませんけれども、この1,300億円というのは、当初の目安として、文科省の方からは一定の時期に、一定の時期というのは、平成25年8月の時点では目標とせよという形で指示が出るんですけれども、その後、1,692億円と本体工事が1,625億円で、これが真にやむを得ない場合を除き1,625億円を超えないこととするという形で合意されて、これが一旦工事費の上限とされたということですが、これが非常に曖昧な基準であった。もちろん安くなればいいわけですけれども、スペック、それから工期との関係でどういう意味付けを持つのかということが明確ではなかったということが挙げられます。
 次に工期の方に若干戻りまして、先ほど申したとおり、これが優先順位が一番高かったということは申し上げられますけれども、先ほど委員長からもお話がございましたとおり、このECI方式による政府調達というプロポーザル方式、つまり施工業者を早い段階、設計の段階から関与させて、それによってそのノウハウを設計にも反映させ、それによって工費それから工期も短縮させていくという発想で行われようとしていましたけれども、これに関しては公共工事の品質確保の促進に関する法律の制約というのが当時あって、当初はなかなか動かせなかったという説明は受けています。これが平成26年6月の4日に公布されておりまして、これ以降はECI方式による政府調達というのが可能になっていたと思われますけれども、政府部内、JSC、それから文科省での検討というのが、平成26年の3月には遅くともされていて、あるいはもうちょっと早くされていたと見ることもできると思いますけれども、実際に、技術協力者の、あるいは施工予定者の公募は平成26年8月18日に行われていて、工事予定者の選定は結局10月の終わりになったことで、大幅に遅れてしまったということがあります。
 この背景としては、国交省あるいは財務省との調整という政府部内での調整というのも非常に時間を要してしまったという側面があって、それぞれの立場からすると、それは理解できなくはないというか、理解できる部分ではありますけれども、このような国家的なプロジェクトに対応するに当たって、それが一つの意思の下で動かすというのではなくて、結局通常の業務の範囲内で対応しようとしてしまった。それによって国家的なプロジェクトを、政府全体として統一して、そのプロジェクトを推進するんだと、そういう意思が欠けてしまったことが、こういった時間のロスを生んでしまったということが、これも一つの問題点として挙げられるのではないかとは考えております。
 結論としては、この3つの要素が全部良ければいいですけれども、それぞれどれを重視していくかというのが、場当たり的になってしまったということで、思い切った決断ができないままずるずる行ってしまったというのも、後手後手の対応に回ってしまった一つの原因として挙げられるのではないかと考えております。
 以上でございます。
【柏木委員長】  ありがとうございました。
 それでは続きまして、古阪委員、お願いします。
【古阪委員】  私の担当は(3)の設計・工事に係る調達方法に関する問題点ということで、お手元の資料では概要の4ページ、それから報告書では44ページから54ページまでの部分になります。
 最初にECIという言葉が随分出ておりまして、私ももっと前に定義しておくべきだったんですが、私のメモの50ページを見ていただきますと、そこにECI方式、後で少し触れますけれども、これは本来、日本にある言葉ではなくて、欧米で使われている言葉です。日本の場合は、先ほど黒田委員からありましたように、技術提案・交渉方式が、平成26年6月の品確法の改正によって日本で使われるようになりましたが、まだ建築工事は一切例がありません。その観点から、類似のやり方として同等であるということで、ECI方式というのが今回の新国立競技場でも使われましたし、この委員会の中でも使われているということで、本来のECIとは若干性格が違うということを、まずお断りさせていただきます。
 本題ですけれども、設計・工事に係る調達方法に関する問題点、概要の一番最初のポツにあります、プロジェクト初期段階で相互関係などを勘案したプロジェクト全体の調査・調達計画が立てられていなかったというのが、私が今から御説明するものの最終結論のようなものであります。
 まずプロジェクト全体として設計と工事をどのように調達するのか。設計施工もあれば、あるいは設計と施工が分かれる、あるいは施工がもっと細かく分かれる、あるいはそれをマネジメントのコンサルを入れてやると、いろいろなやり方があります。各種のそういう専門家をどのように活用するのかということも考えないといけない。それらにどんなリスクが予想されるか。これらを考えながらプロジェクト全体の調達計画を立てるというのが、本来の調達計画ということになるわけですね。
 しかし、本プロジェクトでは、対処療法的な調達の仕方に終始したと言わざるを得ないような結果になっておりまして、これが、この(3)の中では総括ということになります。以下は個々の調達について検討してまいります。概要の方では書いていないですけれども、デザイン競技というものをやったことが是か非かということが、一部議論になったりしておりますので、その点について、簡単にまず御説明しておきます。
 国際デザイン競技というのは、国直轄のプロジェクトで言いますと、国際的というのを外しますと、設計者の調達というのは、全て設計競技、プロポーザル若しくは設計者の資質審査でやっております。ですから何ら問題はありません。あるとすると、デザイン競技の場合、その工事費は想定にすぎず、実際には相当程度暴れるということが専門家の中では常識的になっていますが、いずれかの段階で専門家がそういう審議をすべきだったということです。この点は、他の委員の検証結果のコストの関係のところに詳しいので、これ以上は触れませんけれども、国際デザインコンペが問題であったということでは一切ありませんので、その辺は誤解のないようにしていただきたいと思います。
 次は、具体的に概要のポツ4つについて、検証の結果をお話しさせていただきます。
 まず、デザイン監修者と設計者の間における役割分担が不明確であったということですけれども、この点については、非常に専門的な言葉になってしまいますが、日本では法律上、デザイン監修という用語はなく、様々な意味で使われております。お墨付きというようなことでもありますし、設計意図をできるだけ詳しく反映するという意味での役割を演ずるなど、様々にあります。
 特に今回のプロジェクトでは、イギリスと日本の設計業務、それから監修業務の意味・内容の違いが相当にあります。これは専門的なので、これ以上触れませんけれども、それを英語と日本語の契約の下で協議するという、極めて難しい調整が必要でありました。また、発注者とデザイン監修者との契約は、英語版しかないといった事情もあります。ということは、発注者が日本人である場合、かなり英語の世界での「コンサルタント」、あるいは「スーパービジョン」とか、そういうものが理解できる者が検討していかないといけない。そういうことにおいては、それに要した時間と労力というのは非常に多くのものがあります。かつ、各設計段階での開始と終了というのが、そういうものに影響されて遅れたということが、かなりヒアリングによって明らかにされております。
 国際デザイン競技であれば、これらのことは容易に予想されたわけですけれども、それに対応する用意を発注者がいかにしたかは、見るべきものがありませんでした。そういう意味では、国際デザイン競技をやったことはいいのですけれども、その結果として、どういうことが今回のプロジェクトに影響があるかということに関しては、準備体操ができていなかったと思われます。
 次に、発注者が発注者支援者の専門性を十分に活用できていなかったということに関してですが、契約における発注者支援者が果たすべき役割は、単に設計図書の確認等の支援しかありません。プロジェクトを推進する上で必要なマネジメント業務に関しては、たとえ発注者にその能力が欠ける部分があったとしても、発注者支援者が力量を発揮する場面はなかったと認識されます。発注者のJSCは、外部から支援を受けるべき業務と、発注者内部で処理できる業務との見分けが、プロジェクト当初からできていなかったと思われます。さらに、外部から支援を受けることが有効であることの知識であるとか経験というものが不足していたと思われます。そのようなことで、端的に申しますと、発注者は発注者支援者を使いこなせていなかった可能性が高いと、そのように私自身、あるいは検証の結果としては理解されます。
 次に、技術協力者・施工予定者の参画が遅れ、工事費の削減と工期の短縮につながらなかったのではないかということですけれども、これは本来、ECIの世界ですけれども、基本設計が終わった段階で施工者が参加するというのが一般的であります。その場合、設計者も実施設計の準備段階ですから、設計変更することなく技術的な検討を委ねやすいという利点、それから施工者においても相当程度の施工上の裁量権というものが担保できると、そのような利点があるために、ECIというものが取り入れられるわけです。
 しかし今回の場合、技術協力者の参画は、実施設計の終盤、ある程度ものが確定した段階で入れています。この段階での技術協力者の提案は、かなりの設計変更を要することとなり、技術協力者の提案を十分生かせなかったということが検証の中でも出ております。結果として工事費の削減と工期の短縮には残念ながらつながらなかった。実際には工事が行われていませんので、当面の見込みとしての工事費の削減と工期の短縮ですけれども、結果が出せていない、そのような結論が出ております。
 それから工区分割を採用したことで工区間調整が必要となり、工期延伸の原因の一つとなったかということですけれども、余りにも唐突な工区分割案の採用であったと私自身は思います。工区分割が必ずしも悪いということではないですけれども、今回の上下の工区分割というのは、記録によれば、その利益はそれぞれの工区に最適な技術力を持った施工者が担当することになっていた。しかし、それは、部分的な最適で上がうまい人、下がうまい人、その合わせた全体の最適という意味では、必ずしも十分な検討がされていない。実際に本プロジェクトにおいて工区分割をすることによって、JVで一体となった場合には、その調整はJVの中であるわけですけれども、今回は工区分割をして、2社の間を発注者が調整せざるを得ないということになった。調整の時間、それから調整のノウハウというものが十分に発揮できなかったという意味で、工期延伸の原因の一つとなった。これも工事が行われておりませんが推定としては工期延伸の原因となったと考えられます。
 以上、調達方法に関して全体を総括しますと、当初に調達の計画をあまりにも立てていなかった。場当たり的といいますか、要するに十分な検討なく、対処療法的に採用した結果、かなりの混乱が生じて、今回の致命的な結果になったと判断しております。
 以上です。
【柏木委員長】  ありがとうございました。
 それではその次は、為末委員に御担当いただきました論点ですけど、御欠席なので私が代わりに説明させていただきます。
 情報の発信・広報問題につきましては、先ほど私の方から説明したとおりなのですけれども、国家プロジェクトとして税金負担をする国民の理解を得るために、工事費の推移等に関する情報発信が十分ではなかった。国民理解の醸成不足というよりも、国民の誤解を増幅してしまったのではないかと考えております。
 国民に対して、新国立競技場の用途や魅力について、十分な説明がなされなかったのではないか。積極的な情報発信がない。それから今までの議論でもお分かりのとおり、これだけ巨大なプロジェクトというのは、非常に専門的で、特に建設工事というのは複雑なものであります。そういう専門的かつ複雑な問題に対する情報発信体制がほとんどなかったというところが問題でありました。民間企業は、いろいろ失敗を経験として広報体制をどんどんしっかりしたものに変えておりますけれども、どうも民間から見ますと、広報体制が非常にお粗末だったなという気がいたします。
 それでは最後に、横尾委員、お願いします。
【横尾委員】 それでは私の担当したパートで、プロジェクト推進体制に関する問題点(5)でございますが、概要の方では5ページの真ん中下でプロジェクト推進体制に関する問題点というところで、資料1では56ページから59ページにかけてということでございます。この中で、マル1からマル4の4つに分けておりますが、主にマル1からマル3、3つのパートに分けまして、最後に論点のまとめを行っております。
 まず1点目でございますが、JSCの組織体制下で生じたことです。国立競技場の整備は、当初、耐震化工事という選択肢があったため、国家的プロジェクトという認識よりも、独立行政法人の一プロジェクトという認識が色濃かったように思います。したがって、JSCによる体制整備は、時間とか状況の変化に伴って、人員等を逐次投入する形で段階的に拡充されたということが言えると思います。通常、企業経営の経験から申し上げれば、戦力の逐次投入というのは往々にして良い結果をもたらさないと言われております。
 それから、本プロジェクトを担当する担当理事と設置本部長の権限関係については、2つ問題がありました。一つは、権限関係が曖昧で、誰がプロジェクトマネジャーであるかが不明確で、もう一つは、プロジェクトの完成に不可欠な全権が、担当理事ないし設置本部長に委任されていなかったということであります。
 また、本プロジェクトは高度かつ複雑で、これをマネージできるプロジェクトマネジャーがJSCにはおりませんでした。JSCは文部科学省に人的支援を要請し、技術系職員が派遣されてきていたわけですが、国家的プロジェクトをマネージできるだけの経験を持っておりませんでした。その意味では、建設専門家の充実や国土交通省との連携が十分であったとは言えないということであります。
 さらに、民間では、プロジェクト終了までプロジェクトマネジャーを異動させないのが常識でありますが、本プロジェクトでは担当理事も含め、担当者が通常の人事ローテーションで異動がかけられておりました。加えて、外部有識者などによる様々な会議体が設置され、重要な意思決定に関して、それらの会議体の判断を仰ぐ形式をとったこととも相まって、権限と責任が曖昧になり、さらには当事者意識が欠如していったと考えています。
 JSCの理事長は、組織の長として、文部科学省に人的支援の要請を行ったという事実はありますが、結果として、国家的プロジェクトに求められる組織体制を整備することはできなかったということであります。
 次にマル2ですが、文部科学省の組織体制下で生じたことです。文部科学省では、JSCを所管するスポーツ・青少年局が予算の協議を担当し、文教施設企画部が施設整備に関する技術的支援を担当するという役割分担となっておりましたが、両部門の間の認識が一致していなかったなど、適切な組織体制が構築されていたとは言い難い状況でありました。
 工事費などについて、事務次官まで随時相談は行われておりましたが、省全体を統括する文部科学大臣には、定期的にプロジェクトの進捗の報告・相談が行われるようにはなってはおらず、問題が生じた際に、その顛末の報告だけが行われるという対応となっておりました。文部科学大臣は組織の長として、また事務次官は事務方の最上位として、本プロジェクトで問題が生じないように、文部科学省全体を運営・管理する責任があります。しかし、計画に沿ってプロジェクトが推進されているかを常に注意深く見守り、通常の業務の処理というレベルを超えて組織内の調整を図り報告・相談が密に行われる仕組み作りや、いわゆる文化ですけれども、風土の醸成を十分には行っていなかったと言えると思います。
 3点目は、文部科学省とJSCとの連携体制下で生じたことであります。独立行政法人であるJSCは、文部科学省と協議して本プロジェクトに係る予算を意思決定していくことが求められますが、その文部科学省においても財務省と協議することが必要であることから、JSCには予算限度に係る決定権限はなく、その結果、適切な時期に必要とされる明確な方針を立てることができなかった。
 また、文部科学省とJSCとの間では、新国立競技場施設整備事業に関する連絡協議会が設置されておりましたが、その開催実績がないなど、プロジェクト全体の進捗管理上の問題もありました。さらに、本プロジェクトでは見事なまでの集団意思決定システムとなっていて、重要事項については関係者全員の合意形成により決定され、誰も独自の決定や決断をしておりませんでした。特に有識者会議は、JSC理事長の諮問機関であるにもかかわらず、メンバーが各界の重鎮ぞろいであったことも影響して、実質は本プロジェクトの重要事項の意思決定に関する、あたかも承認機関となっていました。
 このような集団意思決定システムが、最後までこの金額を超えたら見直しをするという明確な予算の上限を決められなかった一因であると考えられ、全ての重要な決定は、文部科学省、財務省、JSC及び有識者会議の中で、「やむを得ない」という「空気」を醸成することで行われていたと、私どもは考えております。
 本来のプロジェクトマネジャーは、与えられた予算と工期に対して、工事に対する一切の事項について決定権を持っているべきでありますが、プロジェクトマネジャーの地位にあると思われる設置本部長は、文科省、財務省、有識者会議等の意思決定のヒエラルキーの最も下に位置していて、重要事項に関する実質的決定権は全くない状態でありました。
 最後になりますが、プロジェクト推進体制に関する問題点の整理で、これまで、今、説明させていただいたことについて、4つにまとめております。
 第1は、組織内でのチェック・アンド・バランスの欠如です。JSCは当事者としての能力や権限がないにもかかわらず、大変難しい本プロジェクトを引き受けてしまい、さらには引き受けた後、適時適切な体制を作ることができなかったということであります。また、文部科学省は独立行政法人であるJSCへの監理監督が不十分であり、国家的プロジェクトを念頭に置いた進捗管理体制を、文部科学省内に構築できなかったということであります。両者に共通するのは、国家的プロジェクトに対する認識の甘さや判断の遅れに対して、それらを早期にチェックして修正するメカニズムがなかった、あるいは機能していなかったということであります。
 第2は、プロジェクトマネジメントの不在です。国家的プロジェクトにふさわしい権限と責任を持ったプロジェクトマネジャーが、組織の中に明確に位置付けられていませんでしたし、当事者能力を有するプロジェクトマネジャーを発掘・配置しておりませんでした。さらには、プロジェクトマネジャーに相当すると思われる役職者を通常の人事ローテーションで異動させていた点も、大きな問題だったと思います。
 第3は、意思決定の歪みです。多くの関係者間や関係組織間の役割分担、責任体制が不明確でした。意思決定ラインが不明確であったことが、意思決定の透明性確保を困難にさせ、諮問機関にすぎない会議体などが実質的な主導権や拒否権を持つことを許してしまったと考えられます。
 第4は、専門家の不足です。大規模かつ複雑なプロジェクトに精通した専門家を発掘・配置しておらず、ましてや、デザイン選定からプロジェクト推進までを一貫してチェックする専門性を持った組織を設置できなかったということであります。
 私からの説明は以上です。
【柏木委員長】  ありがとうございました。以上を持ちまして、各委員からの説明が終わりました。委員の皆様、これに付け加えまして、何か御発言ございますでしょうか。
 なければ、この本検証報告案につきまして、これを最終的な検証報告として確定してよろしゅうございますでしょうか。
(「はい」の声あり)
【柏木委員長】  ありがとうございます。それでは、本委員会で取りまとめられました検証報告書は、僣越ながら私が委員と検証協力者を代表いたしまして、下村文部科学大臣に報告させていただきます。
 なお、本日欠席の為末委員から、報告書の取りまとめに当たってのコメントを頂戴しておりますので、代読させていただきます。

今回は最後の報告のタイミングで欠席をしてしまい申し訳ありません。詳細については報告書の中に記載してありますので、私の個人的な印象をお話しします。
プロジェクトに関わった方々はヒアリングをした限りでは懸命に取り組んでいたというのがまず第一の印象です。また組織の問題とも言えますが、情報発信や説明がうまくいかず、必要以上に価格の乱高下の印象を与えてしまったことも不運だったように思います。それを踏まえた上で問題をあげるならば、プロジェクト全体がふわっとした空気で進んでしまっていた部分ではないかと思います。
オリパラ開催決定後に体制を整えられなかったこと、予算の上限が明確でなかったこと、予算・期限・機能の優先順位が明確でなかったこと、様々な用途に優劣をつけられず機能に優先順位を予めつけられなかったこと、意思決定を行うプロジェクトマネジャーがはっきりしておらずその都度各方面と調整をし、合意をしながら進めたこと。 
関係者が多岐にわたり一つ一つの役割や基準がはっきりとしないままに進んでしまった事で、細かい調整や確認がとても多くなり、また各所の目的や意図を慮りながら進めてすぎてしまった事で、結果として問題を引き起こしていた可能性が有ると感じました。
第三者委員会の役割を逸脱しますが、もし今後に意見を言わせてもらえるとしたら、特に関わっていた方は結果としては問題があったとしても懸命に努力をされていたことから、今回の件を責任追求という話に終わらせず、これから先のオリパラに関するプロジェクトの学びにすることが大切ではないかと思います。
ラグビーW杯での感動に日本中が包まれていますが、彼らが掲げたjapan wayというコンセプトのもと、チーム一丸となって失敗から学び、たゆまぬ改善を繰り返し、あの感動が生まれたのだと思います。世界中から祝福される五輪を開催するために、日本中がこの件から学び、一つのチームとして五輪に向けて仕切り直していくきっかけになってほしいと思います。

 為末委員、どうもありがとうございました。それでは最後になりましたけれども、私から委員の皆様に、一言御礼を申し上げます。委員の皆様におかれましては、本委員会が設置された8月4日以降、文字どおり休日返上、昼夜関係なく、深夜・早朝にeメールが飛び交っておりましたけれども、検証作業に励んでいただきまして、ありがとうございました。皆様がそれぞれ有する専門性なくしては、ここまで踏み込んだ議論はできなかったと思います。一般的には考えられないような短期間で、これだけの複雑な事案の検証をしなければならないプロジェクトチームだったわけですけれども、プロジェクトマネジャーが適切であったかどうかは別問題として、皆様の尽力のおかげで、何とかチームとしては成果を出せたかなと思います。
 個人的な感想を言えば、一番最初に私は、こんな短期間では検証は不可能だと申し上げましたけれども、検証報告書が出来上がってみれば、自画自賛かもしれませんけど、大学の成績で言えばA+とはいかないまでも、Dは不合格、Cが可、Bが良、Aが優とすれば、Bの一番下ぐらいは取れたのではないかなという感じを持っております。皆様にも同様の思いを持っていただけたら幸いであります。
 これまでの関係者の皆様の全ての御尽力・御協力に、改めて感謝を申し上げます。皆様、本当にありがとうございました。それでは、これで新国立競技場整備計画経緯検証委員会は、委嘱されました検証を完了し、これで終了となります。ありがとうございました。


── 了 ──

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