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新国立競技場整備計画経緯検証委員会(第2回) 議事録

1.日時

平成27年8月19日(水曜日)8時~9時

2.場所

旧庁舎6階第2講堂

3.議題

  1. 新国立競技場整備の経緯について
  2. 討議

4.出席者

委員

柏木委員長、横尾委員長代理、國井委員、黒田委員、為末委員、古阪委員

文部科学省

前川事務局長、伊藤事務局次長、柳事務局員、生田事務局員

5.議事録

【柏木委員長】  それでは、少し定刻より早いのですが、皆さんおそろいのようなので、第2回新国立競技場整備計画経緯検証委員会を開催いたします。
 本日は、御多忙の中、また、第1回委員会に引き続き朝が早い中、御参集いただき、誠にありがとうございます。委員長の柏木でございます。
 第1回委員会以降、委員の皆様におかれましては、長時間にわたるヒアリングへの参加、それから膨大な資料の読み込み等大変な御尽力を頂きました。誠に感謝しております。
 本日の委員会では、新国立競技場整備の経緯について、特に工事費の変遷という観点から議論していただくことにしております。この問題を的確に検証するために専門的な知見も必要と思われるところでありますが、前回は御欠席でした建築が御専門の古阪委員にも御出席いただいておりますので、皆様から、どうぞ御遠慮なく質問、御発言を頂き、検証を深めていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、カメラの方々は、申し訳ありませんが、ここで御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
【柏木委員長】  さて、本日の議題に入ります前に、委員長として委員の皆様に1点御相談申し上げます。皆様の御協力もありまして、ヒアリングは順調に進んでおります。検証に必要な情報は適切に収集及び確認してきているものと認識しております。一方で、関係者、関係機関が多数に上ることもあり、本経緯に係る事実認定の難しさを痛感しているというのもまた正直な感想であります。
 当初は委員会の間に実施したヒアリングについて、その概要を基に公開の場である委員会において議論を深めていくことで検証を進めていくというのも一案だと思っておりましたが、黒田委員が第1回委員会のときにおっしゃられたように、その議論を公開することで、言葉は悪いですが、証拠の隠滅、あるいは口裏合わせというようなことが今後のヒアリング対象者の間で起き得る可能性が強いと言い切れないことも考えますと、公開のタイミングというのは慎重にならざるを得ないと感じているところです。
 したがいまして、厳格な検証を実施するため、ヒアリングに係る情報につきましては、本日は公開せず、委員会としての事実認定ができる、しかるべきときまで非公開ということを徹底したいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【柏木委員長】  ありがとうございます。それでは、今後も引き続き慎重な事実認定及び厳格な検証を進めてまいりたいと思います。
 それでは、本日の議題1、「新国立競技場の工事費・解体工事費の変遷について」に入ります。前回の資料6又は本日も参考資料2としてお配りしている新国立競技場の計画の経緯を通じ、前回の委員会で明らかになり、為末委員からも御指摘のあった数字の乱高下につきまして、これは委員会としてしっかり検証しなければならないということでJSCの方に関連の資料を提出させました。こちらにつきましては、まず、事務局の方から御説明をお願いします。
【前川事務局長】  それでは、資料1を御覧いただきたいと思います。「新国立競技場の工事費・解体工事費の変遷について」でございます。今、委員長から御説明がございましたけれども、この資料は検証委員会からの資料要求に基づきまして、JSCが作成したという性質のものでございます。この資料に記載されております工事費・解体工事費は、最下段の「事項」という欄にもございますように、第1回の検証委員会における資料6、また、本日も参考資料2として再度配付しております資料の中で言及があったものでございます。
 上の段から御説明をいたしますと、グレーの矢印がございますが、これは各工事費がフレームワーク設計、基本設計、そして実施設計のうち、どの段階のものであったかということを示しております。
 続きまして、日付でございますが、これはその工事費への言及があった時点を示しているものでございます。
 その下の段の出所でございますが、これは誰が、どの者が算出した工事費なのかということを示しております。具体的には、緑、青、赤の3色で色分けしておりますが、JSCが外部コンサルや設計JV等の協力を得て算出したもの、JSCの責任で出した数字、これが緑色でございます。それから、設計JVが算出したもの、これは青色でございます。そして、施工予定者が算出したもの、これが赤色というふうに色分けしております。
 続きまして、工事費・解体工事費ですけれども、これは一段下の内訳の欄にもございます新競技場建設工事、それから周辺整備工事等(立体公園、ブリッジ等)、それに解体工事費を合計した金額を億円単位で記載しているものでございます。
 なお、注のところにもございますけれども、この金額には設計・監理等に係る経費は含んでおりません。
 また、右の方へ参りまして、実施設計段階に入った平成27年以降でございますが、この時期の数字につきましては、スタンド工区、屋根工区というように工区別の内訳で記載しているものでございます。
 また、1つの下の段では、各工事費の予定工期・竣工時期を示しております。
 続きまして、設計の与条件等の欄でございますが、ここでは各工事費が算出された際に前提とされた延べ床面積、その他のスペック、それから算出の際に用いられた単価がいつの時点のものであったか、更に消費税を何%で算出したのかと、こういった類いの与条件がまとめられております。以上、申し上げましたことが、この資料の読み方でございます。
 これを踏まえまして、一例といたしまして1つの金額を実際に見てみますと、例えば、真ん中のあたりですけれども、平成25年9月24日、これは東京オリンピック・パラリンピックの招致が決定した直後の時点でございます。この9月24日にJSCから文部科学省に報告され、また、同じ年の11月26日に同じJSCから国立競技場将来構想有識者会議において、基本設計条件案として報告された1,852億円という数字がございます。この1,852億円というのは、設計JVの協力の下でJSCが算出したもので、その内訳は、新競技場建設工事に1,413億円、周辺整備工事に372億円、解体工事費に67億円であったということでございます。その数字における予定工期は42か月で、平成31年3月に竣工という予定だったということ。そして、平成25年7月の単価及び消費税5%を用いて算出されたものであり、延べ床面積が22万平米、開閉式遮音装置、可動席というスペックを備えていたことなどの設計の与条件があったということが読み取れるというものでございます。
 この資料の御説明としては以上でございます。
【柏木委員長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして古阪委員から、まずは資料1につきまして、建築の専門家としての補足又はコメント等を頂ければと思っております。その後、古阪委員提出資料である資料2、「建築プロジェクトの概算工事費はどのように変化しながら、『目標工事費』になっていくのか」に基づき御説明いただきます。前回御欠席ということもありますので、冒頭簡単に自己紹介からお願いできれば幸いです。よろしくお願いします。
【古阪委員】  初めましてでは既になく、ヒアリングには随分参加させていただいている古阪と申します。よろしくお願いします。
 前回はのっぴきならぬというか、大学の本務である大学院の入学試験の責任者の一人として、申し訳ないのですが、欠席させていただきました。以後、よろしくお願いします。
 私の専門は、建築を造る立場、建築生産とかプロジェクトマネジメントとか、そういう言葉でいうところがメインです。そういう中で、建築を造る仕組みの全体をいかに合理的にするかということが中心的なテーマです。私は、大学卒業後、建設会社の方に勤めておりまして、大学に戻ってからは、設計と施工の連携はどういうふうにあるべきなのかということを一貫して研究しております。いまだにそれを続けているというところです。そういう中で、まだ終着駅ではないのですが、発注・契約方式と品質確保の仕組み、これは設計と施工の連携ということだけでなく多様な解くべき課題がありますけれども、そういう研究を日本、中国、韓国、台湾、アメリカ、イギリス、シンガポール、この7か国の人たちとともにやっております。大ざっぱには10年近く毎年国際会議を開いていて、まさにこの新国立競技場の抱えている問題と近いものを、仕組みの問題として検討してきている部分があります。
 端的に申しますと、新国立競技場というのはプロジェクトをマネジメントするという大きな問題の中に、幾つかの個別の問題があるわけですけれども、日本の“ものをつくる”という仕組みは、特に発注者、設計者、施工者が相互に信頼をしながら、落ち度、あるいは抜けなどがあれば相互補完しながらやってきたということになります。そういうところに国際化が始まり、海外に出ていく、あるいは国内で外国の人と一緒に仕事をする中で様々なフリクションが生じました。これはもともと1990年代に日米建設協議というのが始まりましたけれども、そういう中で、日本を何とか変えるためにということを、政府としても、あるいは国交省としても考えられたわけですけれども、そのまだ途上にある。新国立競技場はそういった中で起こった問題領域だろうというふうに私は理解しております。
 そういう中で、できるだけ欧米のやり方を検討しつつ、あるいは日本のいい面を残しながら、どういう形で今回の問題を解いていくべきか。その点に真剣に取り組んでいきたいと思います。できるだけ冷静に、あるいは誠実にやっていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 早速ですけれども、この中では、建物を造るという意味での専門家は私しかおりませんので、できるだけ分かりやすく、一般の方が理解できるようにという意味で今日の資料を用意させていただきました。
 委員長の方から資料1を見て、何かコメントがないかということですが、多分、この委員の方、あるいは傍聴されている皆さんも、数字はよくお分かりになる。それからたくさん日本語が書いてあることもお分かりなると思いますが、具体的にどう読み取るのかという点は、おそらくお分かりにならないと思います。ですから、資料1へのコメントいう意味では、ブルーとグリーンと赤に分かれて、誰がそれを積算したかということが書き分けられたことで、前回の委員会で為末委員が「乱高下」とおっしゃったことの乱と高と下というのが見分けることができるという意味では非常に分かりやすくなったと思います。
 このあとは、私が資料2として提出させていただいたものに基づいて、この乱高下ということではないという点と、それからこの積算、あるいは概算というのがいかに難しい問題かということを、まずは委員の皆さんに御理解いただけたらと思います。
 では、早速ですけれども、資料の説明の方に移らせていただきます。「建築プロジェクトの概算工事費はどのように変化しながら、『目標工事費』になっていくのか」という極めて分かりやすい表現をしております。新国立競技場の諸問題を考える原点という意味でこの資料を用意させていただいております。
 先ほどと繰り返しの部分がありますけれども、委員の先生方、事務局の方、並びに傍聴席の報道の方、一般の方にできるだけ理解をしていただこうという意味で少し丁寧に説明させていただきます。まず、前半の4枚ほどは私が大学2年生の学生への講義で使っているもので、もちろん建築の学生ですけれども、建築の積算というのはこういうことだよと、わずか30分ないし40分程度の時間をとってですけれども説明しているものです。それを受けて、今回の問題の方にできるだけ近づけて、皆さんに御理解いただきたいという資料として用意させていただきました。
 では、早速ですけれども、1枚めくっていただいて、「概算法の種類」というシートを見てください。この概算法の種類というのは、一番上の段に概算時期、概算の対象、工事の範囲、概算区分、手法となっております。この概算の仕組みが十分に説明、理解されていないままに、今回の新国立競技場の工事費等が、数字として前回の委員会で、あるいはその前から様々な数字が報道の中で出たものですから乱高下というように言われ始めた。説明が不十分であれば、それはやむを得ないことなのですけども。
 まず、一番上の段の概算時期は、企画時、基本設計時等とありますように多段階になっております。それから、概算の対象もも工事の範囲もまだ正確には読み取れませんけれども、どういうような事項、設計の与条件であったかということが含まれておりますので、それらが確定して、同じ範囲で計算をするということが非常に重要なことになる。そんなことがここにざっと書いてあります。
 次のページに移っていただきますと、「工事費の変動要因」とあります。乱高下の原因というのは全部この中にあるわけです。要は建物のグレードでありますとか、規模でありますとか、形状でありますとか、あるいは構造、用途、立地条件、地域差、あるいはその他発注・受注の形態、あるいは突貫でやるのか、標準的にやるのか、あるいは物価的な変動はどうなのかということが考えられることでありますけれども、これだけ全てのことを勘案しながら物価は決まり、あるいは工事費は決まる、そういうような立て付けになっているわけです。これはあくまでもこれぐらいの変動要因がありますよということをお示ししたにすぎなくて、今回の案件で、どうなっているのかというのは、これから検証、あるいは既にヒアリングでかなり分かりつつありますけれども、そういう状況にあるわけです。
 続いて、次のページを御覧いただきますと、「概算段階別数量算出手法」が表になっています。ここでは、まず、坪単価幾らで計算しちゃうという乱暴な概算のやり方がある。これは一番初めに建築主の方、ここで言えば、発注者の方が大体どれぐらいの予算でできるのかという目途を立てるためには極めて重要なことです。今回の新国立競技場に関しても、坪単価で概算されているのか、もう少し細かいところから始まっているかというのは、これから検証しないといけない部分ですけれども、一般的に申しますと、坪単価幾らというようなことで、一番左の列に書いております企画段階の概算というのは、最初のステップで過去のデータより算出するわけです。ほとんど過去のデータでやる。だから、マンションを建てる場合、デベロッパーの方が、例えばある地域で坪単価幾らぐらいだから、100平米だったらどうだと、そんな勘定をする。そういう企画段階はラフな数字、ラフな概念でやる。
 それから、基本計画の段階では、もう少し用途・内容が発注者の中で意思が固まる。大体造る面積と、そこには駐車場が要るのか、マンションでいいますと駐車場が要るのかどうか、あるいは空調なんかはどうするのかということがラフに決まる段階です。ここまでは基本的には建築主、発注者がやることです。発注者はプロではないので、基本計画の段階に専門の方という意味で設計者の方が参加されたり、あるいは別のコンサルタントの方が参加されたりして作り上げるということもあります。それが基本計画の段階です。これを基にいよいよ設計を始めるわけです。
 その次の基本設計は、建築士法、建築基準法で法的に独占業務が与えられている建築士が基本計画の段階で与えられた与条件を基に設計をやる。ただ、設計と言っても、具体的な仕様が決まるのはまだ先の話でして、この段階でも、あくまでも壁を二重線で書く、その壁のコンクリートの内容とか、あるいは仕上げはどうするのというのはまだ決まらない段階。そういうところで専門家、国家資格を持った建築士の人が設計をするというのが基本設計です。
 実施設計完了までは、何度もそういう設計を見ながら数量を計算し、お金を入れて全体の工事費を出していくという手順が繰り返される。その結果として実施設計段階の最終段階、ここで初めて精算積算、数量が確定する。それはある程度信頼できる。ある程度というのは、最終的には取引で決まることですけれども、過去のデータからの単価を使って、数量と単価を掛けると建物の工事費が出てくる。これが設計段階の最終です。
 その流れの次は、、それを基に一般的には施工者の方に入札なり、見積もり合わせなり特命でやってもらうという段階になるわけです。それが一般的な建物の積算概算の進め方ということになる。
 その次のページを見ていただきますと、いよいよここからは新国立競技場にだんだんと頭を転換していくための図になっております。ここでは、「目標工事費と設計仕様に基づく概算工事費の変化」ということで、上の折れ線グラフは、新国立競技場のために、その数字は全然違いますけれども、模式図として書いております。下側のコスト関連設計情報というのは、先ほどの一般的な概算の流れの中で使っているものの一部を挙げています。上側の折れ線グラフは設計仕様に基づいて、先ほど申しました企画、基本計画、基本設計、実施設計の段階でどういうことが行われるのかを説明するものです。新国立競技場の場合には企画、基本計画という名前は使われずに、設計ブリーフ、フレームワーク設計という言葉が使われています。
 ここに1つ問題がありますのは、新国立競技場に限った意味ではなくて、企画、基本計画というのは日本の言葉で一般に通用しているものです。設計ブリーフ、フレームワークというのは英語の世界です。もう少し丁寧に申しますと、企画というのは、イギリスの英語ではブリーフィングと言います。アメリカの英語ではプログラミングと言います。それから、その後は基本計画、これはこのプロジェクトの場合にはフレームワークと言われていますけれども、それ以外に多様な言葉が使われます。そういうふうに日本でも必ずしも企画だけの言葉ではないのですが、大きくはこの4段階の立て付けになるということです。
 さて、その折れ線グラフを見ていただきます。企画の段階で、例えば赤線を見ていただきますと、坪単価ぐらいで見積もったら随分高い額が出ました。それを少し基本計画の段階で、高ければ、もう少しこうしようか、ああしようかというような我慢する部分、あるいはここは大事にしようという部分が議論されます。そういう中、基本計画で、これは多分我慢し過ぎて、赤の細い線が横に入っていますが、これが目標工事費としますと、それを下回る額で基本計画が進んだ。それじゃちょっとまずいということで、発注者の要望で、ここをもう少し充実させようとかいうことで基本設計が少し上がる。最終的には、そこでまたいろいろと検討した結果として、実施設計の最終的な予算としては目標工事費のところにたどり着いたということになる。
 それから、グリーンのところは、もともと坪単価幾らでやると、目標工事費にぴたっと当たっていたわけですけれども、少し設計の内容を検討し、具体的に設計を描いていくと、だんだんと上がっていって、基本設計の段階から次に、最終的な実施設計に至る過程で頑張って幾つかの提言、努力をしたんだけれども、目標工事費には達しない。これで仕事を外注に、請負に出すかという判断は発注者の責任でやるということ。もちろん、その後で施工者側の様々な努力によって下がるという可能性もありますし、発注者が、いやいや、目標工事費を上回っているけれども、それでやろうという判断をされることもある。
 それから、ブルーの方はそれがもう少し、いわゆるある意味の乱高下をしているという。どういうタイプもあり得るということです。これは誰かが正しいことをやれば大丈夫ということではなくて、あくまでも発注者が何を要望し、市場がどういうような単価で流れているかということによって様々に変わり得るということの一つの模式を書いたに過ぎません。
 さて、それじゃ乱高下というのを、本当の市場の動きでどうかというのを見ていこうということで、その次のシートの用意がされています。シートは発注・契約スケジュールというものです。委員の方々もずっと眺めていただきますと、いろいろな物語と言いますか、ここでこういうことが行われたのかという確認と前後関係の理解ができます。これは事実と実際に交わされた書面、あるいは誤解の情報とか、そういうことを具体的に検証しながら、今回のこの委員会としてやるべきフレーム、それこそフレームワークが書かれていると御理解いただければありがたい。
 非常に密な内容です。描いていることは単純ですが、これは是非とも理解をしていただきたいと思います。その中に、赤の縦線が3本入っています。これが先ほどの中にもありましたけれども、工事費、今回検証の資料から出てきた工事費というものが、いつの段階でどうなっているかというのを大きく3つ取り上げています。公開されている資料によりますと、平成25年7月時点の価格というのが始終出てまいります。これは2013年7月のところの赤い線がこの段階ですから、フレームワーク設計が始まったところで、ザハ事務所がフレームワーク設計のデザイン監修をやるところはまだ契約をしていなくて、設計JVだけが関わっている段階ということです。
 実質的にその価格が押さえられたのが第5回有識者会議での概算工事費額ということになっていますが、単価としては平成25年7月という意味です。そういう意味で、有識者会議での概算工事費というのを赤線引きますと、基本設計が終わり、ザハ事務所のデザイン監修業務の契約期間が終わり、設計JVの期間も終わると、ちょうどそのころにそういう額が出たということになります。
 それから、その後、関係者間での目標工事費合意ということで、先ほどの資料にもありますけれども、これが2015年7月、つまり今年の7月頃に出されたところです。その間に、プロジェクトの流れとしてはどういう段階であったか、ザハ事務所、設計JV、あるいは建設会社がどういうタイミングであったか、あるいは建設会社の方で言いますと、施工予定者をプロポーザルで公募して選んだというものもここに入っておりますが、それらがどういう関係にあるのか、導入のタイミングはどうか、様々なことをきちんと検証する。その結果、恐らく価格の乱高下ではなくて、価格が変動していることのそれぞれの立場で違うベースがなにかが分かってくることになろうかと思います。
 あとのところは、物価が結構上がっているという、これ本当かなというふうに疑問に思われる委員の方もいらっしゃると思って用意しました。1枚目は、建物全体の工事価格の動向、つまり、建築の集合住宅を建てる、あるいは事務所ビルを建てる。そういうことの用途別にですけれども、全体としてどれぐらいの物価変動、つまり、工事費が上がっているかという変動を表したものです。これは指数であり、額ではありません。ある年を100として、どれぐらいかというもの。先ほど申しました基準価格の時点、平成25年7月のところに赤線が入っている。それから、関係者間で目標工事費合意の時点の指数でいいますと、大体十数%上がっているということになります。
 その次は、その建築工事費の中の大きくは労務費と材料等の関係になる。まずはその労務費。次のページは「平成27年2月から適用する公共工事設計労務単価」というもので毎年国が調べている「公共事業労務費調査」を基に作成されてものです。。そして現在、建設技能労働者の社会保険未加入問題が顕在化し、これは委員の先生方も御理解いただいているかもしれませんが、非常に技能労働者の賃金が安くて保険に入れないというような状況で、かなり逼迫し、昨年には国交省の太田大臣も社会保険問題を日本建設業連合会に、何とか改善の方法というように直に申し入れされています。
 そういうようなことから公共工事に関しては、棒グラフの後ろの方の平成25年度からは赤で書かれていますが、設計労務単価を上げました。いろんな理由がもちろん付けられていますけれども、市場単価の平均をとって次年度の設計労務単価を決めると、どんどん下がってしまうが、それは保険に入っていない等の状況の下でやられているからですね。ですから、何とか設計労務単価を上げることによって保険加入をさせ、建設労働者が本来の保険を掛けることができる単価に戻そうじゃないか、そういうことで上がったわけです。
 この額を見ていただきますと、やはり平成25年度から平成27年にかけては10%ほどの額が上がっている。さらに、次のページですと、各種専門工事ごとの工事費、これはちょっと御理解いただきにくいですが、建築工事というのは、様々な専門工事の方々の仕事によって成り立ちます。その全体をまとめるのがいわゆる元請業者、ゼネコンと言い、総合建設会社と言われるところですけれども、非常に多くの職種が動いています。具体的にいうと、コンクリートを打設する会社、型枠をする会社、それから、いろんな話題になりました鉄筋工事をやるところ、鉄骨工事をやるところ、設備をやるところそれぞれの様々な工種の工事の単価、これは材工共の単価になりますけれども、これがどうなっているか。ここは一部が書かれているものにすぎませんけれども、これは「建築コスト情報」というところから引いてきております。これも先ほどの平成25年7月の時点のところに赤線が入っている。それから、今年の7月に出されたものが最後のところにある。この間の上がり方は物によって違う。これほど違うわけです。極端なもので言えば、20%から30%どんと上がっています、わずか2年の間に。
 日本全体の平均ですから、今、東京、あるいは東北地方の災害復旧、あるいは震災の影響による復興をやろうというところで様々な資材が流れています。そうすると、手に入れにくいということを加味しますと、もっと上がっているというのが実態です。
 その実態の一部は、最後になりますが、H形鋼と書いてありますけれども、これは鉄骨工事です。新国立競技場で言えば、屋根を、あるいは大梁を架ける。これは全て鉄骨になっています。ですから、鉄骨の価格というのは非常にデリケートになります、新国立競技場に関してはですね。この図は、長年の流れを見ていただくために1970年から2015年までのグラフです。右の方で、2007年、8年あたりで急激に上がっている。これは中国で様々な工事が活発化して、日本の鉄骨等が流れるのももちろんありますし、いろいろな国から集めるから、日本の中で鉄骨を使った工事がなかなかうまくいかなくなった。非常に単価が上がった。
 実は、文科省の7号館もこの時期がまさに工事中でありまして、これは国土交通省が発注したものですけれども、PFIでやった。大変に高騰しまして、物価スライドでどう処理するのかということがありましたが、PFIですから、SPC(特定目的会社)が請けておりますので、SPCと実際の鉄骨工事業者との関係ですけれども、随分と紛糾した。鉄骨は額でいうとほぼ倍になっているわけです。わずか1年で、そういう極端なこともあります。
 さて、平成25年7月から今年の7月というのはわずか2年ですけれども、その赤線2本の狭い範囲ですら、一番下でいうと、6万強から8万を超えて、最終的には8万を切った額ですけれども、大体これざっと6万から8万としますと、30%上がっている。そういうようなことになるわけであります。したがいまして、この単価の流れからいって、総額がどうなるかというのは非常に難しいことになる。その辺もしっかりと検証することになるわけです。ですから、乱高下ということではなくて、市況がどう変わっていくかということも含めて、きちんとした原因を探るということが非常に大事なことだと思います。特に、事実、あるいは正確な情報というものを検証しながら、その時々に正確な情報を世の中に向けて発信するということが恐らく求められるんじゃないかと思います。
 少し長くなりましたけれども、御理解いただけたでしょうか。
【柏木委員長】  ありがとうございます。
 それでは、ここから自由討議としたいと思います。古阪委員への質問等も含め、御意見、御質問のある委員は挙手をお願いします。為末委員。
【為末委員】  指数のところが実際の金額に当てはめると、どのぐらい上がったのかというところがちょっと感覚的に分かりにくいんですけども。建築費のところなどですね。
【古阪委員】  分かりやすく言うと、100円のパンがあるとして、これを100とします。300円のパンになりましたということは、100の指数からいうと300になりますから、やっぱり300になったということですね。
【為末委員】  じゃ、パーセントで見ても大丈夫ということですね。
【古阪委員】  そういうことです。単純に基準になる年で割ればいい。指数にするというのはそういうことで、簡単にほかの資材と比較がしやすいという意味で指数化されるわけですね。
【為末委員】  もう一つ、正確に言いにくいかもしれないが、建築費と人件費のところの向上と、あとはその他の材料費が上がっていっていると思いますが、単純にこれだけの上昇でいくと、どのくらい結局上がった可能性があるのか。仮に1,300億円が正しい数字だったとすると、どのくらい、何億ぐらい上昇していた可能性が。
【古阪委員】  冒頭に言いましたように、1,300というのは企画段階で、坪単価幾らで計算したものだと、このプロジェクトはどうかわかりません。通常で言えば、坪単価幾らでやっちゃいます。ですと、それから比べてどのぐらい上がったかということは言えない。言えないというのは、最初の数字に意味がない。
【為末委員】  そこが既に正確でなく、ざっくり。
【古阪委員】  だから、国立競技場というよりも、一般的に、例えばデベロッパーの方がマンションを建てるとして、そのときに坪50万円でやる。全体として、これが3億5,000万円だ。それで市場で本当にできたときにライバル会社に勝てるかという計算する。そのための坪単価です。ですから、デベロッパーの方はそれだけでは信用しません。どうするかというと、もう少し具体的に試設計をして、それがおおよそどれぐらいになるかということをやった上で、どの土地を買うか決める。だから土地が売りに出て、買うとすれば、1週間とか2週間の勝負。その間に、誰が正確な数字を出してくれるのかというのが勝負なんです。でも、通常は坪単価幾らでやりますから、当たるも八卦の世界になってしまう。だから、1,300がどれぐらいに今だったらなりますかということですが、1,300にベースがあるわけじゃないので、それはその当時どういう見積もりをしたかということをきっちりと検証しないといけないということだと思います。
【横尾委員】  質問いいですか。
【柏木委員長】  はい。
【横尾委員】  この発注・契約スケジュールですね。今御説明いただいた資料2の3ページ目の裏ですかね。ここで赤線の縦が3本入っていまして、今御説明いただいた感じはある程度理解できたつもりですが、この平成25年7月時点価格というのは、2013年の7月という意味ですよね。
【古阪委員】  はい。
【横尾委員】  そうすると、この変遷のところの表に必ずしも当てはまらないのかもしれませんが、非常にラフな話を申し上げると、工事費とか解体工事費のマル1プラスマル2の3,535億円という数字がありますね。左側の赤線は、ここを指しているのですか。あるいはこの中の中身を指しているのですか。ちょっとよく分からないのですが。
【古阪委員】  そういうことでは全くありませんで、平成25年7月をなぜ線を引いたかというのは、この資料の様々なところで平成25年7月の価格ですよと制限されていますね。それは先ほどの指数でいうと、ここを起点にやっています。物価変動とかそういうのはあるけれども、それはこの価格を今は見ています。本当の価格はどうかというと、その時点で単価とかを入れると変わる。でもそれを初めから入れると、それこそ乱高下ということになりかねないので、そこはまず止めましょうと。それが確定、つまり、図面がどんどん出来上がって確定すると、そこで単価を入れ直してきちんとやればいいでしょう。だから、本当は平成25年7月の単価、工事費というのは、数量も含めてどの程度の精度があるかは別として、それを含めて固定して考えるとこうだというふうに計算すれば比較ができるんですけれども、あくまでも基準にした単価はここですということにすぎません。
【横尾委員】  おっしゃっている意味は、こっちの表とこっちの表の数字とリンクしているものではないと、そういうことですか。
【古阪委員】  それは最初に前川事務局長の方から御説明があったように、これは含まれているものがそれぞれ違います。ですから、マンションの例で言いますと、マンションを造ることと、駐車場とか自転車置き場を造るというのをまとめて計算しているものもあれば、外して計算しているものもあります。
【横尾委員】  与条件が違うということですね。
【古阪委員】  与条件が違いますので、これはこれで、この中を検証するのがこの委員会の使命であり、変化した理屈も考えないといけないということですね。
【柏木委員長】  ただ、これ12月下旬の1,699、この一番下の事項のところを見ますと、これが平成25年7月時点の単価をベースにしています。この辺が1つの原因で、平成25年7月時点がその後の基準になったのかなと思うのですが。その次の平成25年12月27日の1,692ですけれども、これが工事費の小計が1,625になっている。古阪先生の今の表ですね、赤い縦線が3つある表、発注・契約スケジュール。これで2014年、第5回有識者会議での概算工事費額、これが1,625になっているんですね。だから、この赤線、2014年5月に確かに第5回有識者会議でこの概算工事額が確認されているんですけれども、元を正せば、この12月27日の価格がそのままここに来ているという関係になるんだろうと思います。だから、一応平成25年(2013年)12月から、施工予定者の3,088が出るまでは平成25年の7月時点の物価をベースにしていろいろと計算をしていたと、それは変わっていないということになるのかなと思います。そういう理解でよろしゅうございますか。
【古阪委員】  大体そういうことで、実は3本書かない方が本当は明解だったんですけれども、なぜ3本書いたかというと、平成25年7月というのは、こういうプロジェクトの段階ですよということですね。それから、先ほど、その後諸物価の変動を見ていただきましたが、その赤線は平成25年7月と関係者間での目標工事費の合意ができた段階、その2年間ということなので、まずそれを入れておいた方がいいだろう。それから、概算工事費が1,625で固定されたというのは2014年5月の末ですから、それはそこで線を入れた方がいいだろうということでやっています。ですから、既にその時点で1年間の平成25年7月から動きがありますので、かなり単価的には上がってくると、そういうことです。
【柏木委員長】  ほかに御意見ございますか。為末委員。
【為末委員】  もう一つ、これ我々としては多分認識があると思うんですけど、JSCの方は1,300から大体1,000億台をずっと言ってきていて、一度コンパクト案が出たときには大きな数字も出ていますけれども、最終的に2,520億円だと思うんですが、そのほかの設計JVというものと施工予定者というところから出た数字が毎回乱高下の結構大きなところを示している気がするのですが、この数字が出たところというのをもう一回、先ほどの説明でもあった気がするんですけど、具体的な設計JVの役割と施工予定者の役割というところを説明いただいた方がメディアの方は分かりやすいのかなという気がします。
【古阪委員】  これは私が説明する立場にないかと思う。一般論で言いますと、新国立競技場というのは検証しないと正確なことは言えませんけれども、もともと設計段階というのは、日本の場合は法的には設計者にコストをはじくことの責任はありません。概算工事費というのを発注者に知らせるという義務はあるが、その精度は問われていません。工期とお金に関しては、建築基準法上、あるいは建築士法上、その義務はない。何で決まるかというと、それは設計者と発注者がどういう内容で契約するかという設計・監理等業務委託契約という中で、コストをどれぐらい正確にやってくれということを入れれば、契約によって決まる。ですから、法的なベースではなくて契約ベースです。ですから発注者によっては、それは後のゼネコンにお任せするということで、それを期待していない発注者もあれば、割と厳密に数量を出して、お金もはじいて、間違っていたらこれだけの損害賠償をするというようなことまで書き込む発注者もいます。それは全て契約に依存します。法律的には、概算工事費というのが、告示レベルで指定はしていますけれども、ここに当てはめて、すぐにどうかということは言えませんが、一般論で言いますと、JSCと設計JVが常に一緒になっているということは本来なくて、発注者は設計者の数字を信頼してやるということであって、JSCが出すということではないんですね。恐らくこのメモはJSCから出されたので、ここはJSCが責任をとっていますよという意味じゃないかと見えますけどね。それも検証しないと分かりません。
【柏木委員長】  横尾委員、どうぞ。
【横尾委員】  恐れ入ります。今の先生の説明を素人なりに理解すると、まずは設計の与条件というところを、仮にかもしれませんけど、そろえて試算してみないと、先生に今御説明をいただいた、建築費が上がっていますとか、労務費が上がっていますとか、材料費が上がっていますとか、いろいろありますよね。こういったもの、特にこの2年間上がっていることは確かだと思うので、そういった面の与条件をそろえた上で、この数字の単価をはじいて掛ける量ということをやってみないと正確なところは分からない。
 ただ、どうも発注者として私も自分の家を造った経験とか、それからシステムの1,000億円ぐらいのプロジェクトの責任者をやったときの経験から申し上げると、ここで言う実施設計の段階というのがかなり現実に近いというか、実現可能に近いと言ったらいいんでしょうか、そのような数字になるのかなという気は経験的には思うんですね。そういう理解でよろしいんですかね。
【古阪委員】  こういう定義はしていませんけれども、私が学生に教育するときに、基本設計と実施設計の主目的は何か。基本設計は設計者と発注者が合意するため、つまり、与条件を与えられて、大体これぐらいの設計になりますが、よろしいですねというのが目的。実施設計は、今度は設計者と施工者、つまり、発注者が背後にいますから、発注者と設計者と施工者がこれだけの額、この内容でやりますよという合意をするための図面ということになると思うんですね。それが多分一般の方には分かりやすいんじゃないか。実施設計というのは、本来、法律でいう設計図書を作成する。工事ができるものを作ります。それが実施設計です。ですから、基本設計を作ることが本来法的な意味で設計をしているんじゃなく、それを踏まえた実施設計ということになる。ですから、大体今おっしゃったこと、理解でいいと思いますけど、より分かりやすく言うと、少し誤解もあるかもしれませんけど、私はそのように学生には教育しています。現実にもそういう目的として使われることが多いです。
【柏木委員長】  國井委員。
【國井委員】  古阪委員の方の話とちょっと話がずれちゃうかもしれませんが、今、資料1をずっと見ていて、この資料は、実は2つほど空白で何も書いていない期間があって、1つは、平成24年7月20日から平成25年7月30日までは1年間空いています。それから、平成26年にはもう一つ丸々書いていない。ここには数字が入らないという2つの空白がある。この間に何が起きているかというと、1つは24年7月のところはいわゆるデザイン決定の話。ここもかなり重要な経緯検証の中の1つと思います。
 もう一つは、平成26年に行われている、古阪先生の資料のスケジュールを見ると、基本設計から実施設計に変わる段階ですね。ですから、まさに我々が検証しなければいけないというのは、数字が何かというのは当然ですけど、ここに入る空白の2つの期間にどういうことが実質行われていたかということを我々として、今ヒアリングを進めている段階ですが、ここがどうも何かぼやけているので、きちんと検証しなければいけないかなと思っています。ずっとヒアリングして思うことは、このタイミングでよかったのか。いわゆる空白の期間が2つありますが、このタイミングより前のタイミングでこの時系列が入っていた方がよかったなということが、もう一つ検証しなきゃいけないのかなというところです。まだヒアリングが全部終わっている段階ではないですが、今出てきた表と今までのヒアリングを合わせると、そんなような今印象を持っているということでございます。ちょっと感想的な話で恐縮です。
【古阪委員】  よろしいですか。
【柏木委員長】  はい。
【古阪委員】  私が作ったものを見ていただきますと、その間に施工予定者のプロポーザルとかが行われている。基本設計と実施設計に移る間がある。ここは通常もありますけれども、プロポーザルで施工予定者を選ぶとかということは、いろんな工夫を考えられてやる。結論的にはここでプロポーザルして施工者が入る。その間は、1年間というのは結構あります。そこに、別に疑っているという意味ではなく、いろんな工夫、何とかコスト縮減をしないといけないなどがされていたのではないかと思いますが、非常に重要な時期です。
【柏木委員長】  黒田委員。
【黒田委員】  古阪委員、ありがとうございます。説明大変分かりやすく、理解できました。1つ、前回、為末委員からも出ましたけれども、今回の検証の過程で、そもそもなぜこれを検証するのかということで、なぜ国民がなぜ怒っているかというところは、そこの検証自体は非常に難しいですけれども、1つの新聞報道なりあるいは自分の実感として思っているというのは、1つはコストの乱高下だというのがあって、コストの乱高下とは言うものの、この発注者が出しているか、設計JVが出しているか、施工予定者が出しているかによっても随分意味が違ってきますが、さはさりながら、例えば資料1を見たときに、発注者であるJSCが出しているもの自体もかなり差が出ている。しかも、2,520億円と最後にありますけれども、これは設計の与条件等というところを御覧いただくと、ここから開閉式遮音装置を先送りとか、可動席簡素化、結構大きな変化がこの資料上でも分かっているということなので、そもそもコストの管理ですかね、もちろんフレームワーク設計、基本設計、その過程でそこの管理というのは非常に難しいし、あるいは資材価格の高騰とか、そういう事情もあるにはあるんですけれども、本当にそれが合理的に進んでいたかどうかというのが、我々今後検証していくポイントになるんじゃないかなと思っております。
【柏木委員長】  ありがとうございました。
 ほかにございますか。古阪委員。
【古阪委員】  こういう公開されている場ですので、是非ともやるべきだというのは、情報もより正確に、ここで傍聴されている方とか、特に報道の方には正確な情報を理解して誤解のないようにしていただきたいんですね。そうすると、委員会だけの公開じゃなくて、もう少しレクチャーしてあげないといけないと思うんですね。でないと、やっぱり国民の方が様々な興味を持たれて、それが変にひとり歩きしちゃいますと、今回もある部分ではそういう場面もないこともないですね。ですから、ここでの公開というものとは別の意味で、レクチャーするとかってあるじゃないですか。そういう意味では、何らかの形でそういう機会を何度か設けた方がより正確にこの動きも分かるし、ということがあっていいんじゃないかというふうに思います。
【柏木委員長】  ありがとうございました。
【横尾委員】  その点で1点だけ。私も同感ですけど、国民から見ると、今先生が御説明していただいたようなことは分からないですよね。数字がひとり歩きしちゃった。1,300億円ということについて、そんなに大きな意味があるわけではなかったということは御説明を受けると分かりますが、マスコミの方を通じて、出ると分からない。やっぱり情報発信の仕方というか、このところは1つの課題だったのかなというのは思いますので、これにどういう形で今おっしゃったような工夫をして、マスコミの方々にもお話をしていくかというのは必要かなと私も思います。
【柏木委員長】  ありがとうございます。確かに1,300という数字は非常に腰だめの精度の非常に粗い数字であるということが今日はっきり分かったと思います。それから、設計ジョイントベンチャーの試算に基づくJSCの試算にしても、これは設計ジョイントベンチャーが工事をやるわけじゃないですから、あまり信用できないですよね。
【古阪委員】  信用できないというより精度が粗い。
【柏木委員長】  信用できないというよりも精度が粗いと言った方がいいですね。信用できないというと語弊がありますね。精度が粗い。最終的には施工予定者の請負価格になるわけですよね。
【古阪委員】  そうです。
【柏木委員長】  しかも、請負価格だって後で変動するわけでしょう。設計変更とか何とかで。価格というのは、とにかく工事が終わってみないと本当の価格というのは出てこないわけですよね。その段階における精度というのも、我々はよく考えていかなきゃいけないのだろうと思います。それで、確かに今日の古阪委員のレクチャーにもありましたように、特にこういう大プロジェクト、それから非常に複雑な工事では積算というものは大変複雑で難しいということがよく分かった。よく分かったと言って、どこまで素人が分かったかどうか分かりませんけれども、分かってきたのではないかと思います。こういうところも含めて、これから更にヒアリングを充実させていきたいと思います。
 ほかに何か委員の方から御意見ございますか。國井委員、どうぞ。
【國井委員】  一般的にずっとヒアリングしていて思ったのは、いわゆる最初の段階であるいわゆるオリンピック招致に向けた、あるいはラグビーのワールドカップに向けた夢物語みたいな話と、それから実際に招致が決まって、いざ作るぞという現実的なプロジェクトに変わっているのですが、そこの変わり目がよく分からないんですね。本来であれば、決まったので、さあというところが本来あってしかるべきだったのかなというのが率直な感想ではありますが、最初の夢物語のいろんなワーキンググループの要望を抱えながら、そのまま引きずりながら、こんなものもこんなものという感じでなっているので、きちんとそこがマネジメントできているかなというのが少し思うところで、今後またほかの段階のヒアリングを進めていくと思いますが、そのあたりの責任の所在も含めてきちんと議論しなきゃいけないなということで、頭の中で、通常、予算と工期とデザインというお話を前にヒアリングのときに聞いていますが、その辺の関係が、最初の段階からすると、デザイン、工期が決まって予算ですけど、途中から多分逆転するときがあるのかもしれないなと思っています。いわゆる公共工事は、ある程度予算というのがあって、いつまでに、どんなものを作りましょうという思考のプロセスになっていくのに、その前段階はデザインがあって、こんな夢物語があって、工期があって、予算があるという流れを逆にするタイミング、潮目が本来はあったのかなという感じは受けたのですが、そこがぼやけていると思います。さっき空白期間と私言いましたけど、その辺の中のどこかに潜んでいたんじゃないかなというのが正直な感想です。
【横尾委員】  今の点に関連して、よろしいですか。
【柏木委員長】  横尾委員。
【横尾委員】  前回の最初の委員会で委員長からも御指摘があったと思いますが、いわゆるプロジェクトマネジメント体制というんでしょうか、関係者の決裁権限とか、意思決定とか、誰が決めるとか、手順とか、この場合ですと、JSCさんと文科省さんとの間の管理とか監督とかという関係でのコミュニケーションの共有化とか、今、先生おっしゃった信頼関係というものですかね、こういったものがそれぞれないとできないですけど、私がちょっと気になっていますのは、第1時点、整備計画着手時点での体制で、意思決定のあり方がどうだったのか。
 それから、第2時点、東京大会決定時点で体制は、政権が変わっているわけですけど、どうだったのか。それで第3時点で白紙撤回直前時点での体制はどうだったのか。ここの絵がないと、ヒアリングをしても、そこら辺に絞ってヒアリングしていかないと、誰がどうだったのかというところはなかなか見えてこないと思われますので、是非その点、時点、時点での体制があったのかなかったのかも含めてですけど、あるいは一般的な、従来の特別なプロジェクト体制ではなくて、今までの体制の中で消化しようとなさっていたのか。ここら辺の違いによって随分異なるだろうと思うんですね。ちょっとそこら辺が気になっています。
【柏木委員長】  はい、どうぞ。
【古阪委員】  まさにそこですね。私、1回目が出られなくて残念。意見書を書いていますけども、この大プロジェクトをどうやるのか。一番重要なプロジェクトマネジメントの専門ですから言いますと、コンペをやるというやり方を取るのか、そうじゃないのか。コンペもデザインコンペなのか、実施を込みでやるのかというのもあります。それから、設計JVとか、様々なことですね。これ全てプロジェクトをうまくやるためによかれと思ってやるわけですけれども、誰の責任でやるのか。どういう根拠か。これが基本的に、必ず今回のものにもあるんですね。それが適切だったかどうかは別として。それを押さえるということが極めて重要で、その中で、日本ではプロジェクトマネジメントはもともとあまり強く意識することなく、何となくやっているということが多いんですね。前のヒアリング時に申し上げた、マネジメントという言葉が日本語にならない。残念ながら我々も日本語をたくさん並べないとできない。私の講義で、これは大学院ですけど、その講義のために1こま使っちゃうんですね。それはさっきの相互信頼とか、そういうのがある中では約束事は要らないわけです。契約を結ぶ必要がない。そこが多分に影響します。ですから、今おっしゃったことは大賛成で、私の頭の中はそれをどうきちんと整理するかというふうに思っています。
【横尾委員】  その整理がないと、なかなかこれからの作業が非効率になるんじゃないかなというちょっと心配をしているんですね。
【柏木委員長】  おっしゃるとおりだと思います。その点も非常に重要な検証の対象だと思います。
 いろいろ御議論を頂きましたけれども、時間の関係もございますので、本日の第2回新国立競技場整備計画経緯検証委員会はここまでとさせていただきたいと思います。
 なお、第3回の日程は現在最終調整中でございますので、決まり次第、事務局を通じて御連絡いたします。
 また、委員の皆様におかれましては、今後もヒアリングへの御協力等よろしくお願い申し上げます。
 本日は御多忙のところ、どうもありがとうございました。

── 了 ──

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新国立競技場整備計画経緯検証委員会事務局

電話番号:03-5253-4111(内線4073)

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-- 登録:平成27年10月 --