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「がん教育」の在り方に関する検討会(第3回) 議事録

1.日時

平成26年12月1日(月曜日)15時00分~18時00分

2.場所

文部科学省15階15F特別会議室

3.議題

  1. 「がん教育」に関する関係者ヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

衞藤座長、青木委員、小林委員、柏原委員、後藤委員、田中委員、中川委員、野口委員、野津委員、堀部委員、前川委員、道永委員、南委員、横嶋委員、若尾委員

文部科学省

大路学校健康教育課長、濵谷学校健康教育課長補佐、森教科調査官、松永学校保健対策専門官

オブザーバー

厚生労働省健康局がん対策・健康増進課

5.議事録

○事務局
 それでは,定刻になりましたので,ただいまから第3回を始めさせていただきます。本日は,植田委員が欠席ですが,後の方は時間がそれぞれまちまちですけど,遅れていらっしゃいますので,席がある方は全員いらっしゃるというふうに思っていただければと思います。それでは,衛藤座長,よろしくお願いいたします。
○衞藤座長
それでは,ただいまから第3回,「がん教育」の在り方に関する検討会を開催いたします。本日は御多忙な中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。本日はマイクがないので,大きめの声を出すように,皆さんよろしく御協力,お願いします。それでは議事に入る前に,配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
〇事務局
失礼いたします。机上に,資料と一番上に次第がついていると思います。その次第のとおり,資料がありますのでよろしくお願いします。まず資料1として,ヒアリングスケジュールということで,本日のスケジュールになります。資料2が群馬県さんの資料,資料3が徳島県提出資料,資料4が静岡県提出資料,それから資料5が松浦参考人,林参考人の提出資料,資料6が日本対がん協会提出資料ということで,資料7については中川委員から資料が提出されておりますので,最後の議事進行のところで使うということでお含みおきください。それ以外に,山口参考人からの提出資料も机上に,禁煙指導パンフレット,防煙啓発下敷きということでありますので,そちらも御確認いただければと思います。足りないものがありましたら,事務局に言っていただければ。大丈夫でしょうか。それから,第2回議事録について,参考資料ということで,委員の机上の方に置いてあります。既にメール等で内容について確認をさせていただきましたが,また何かありましたらこちらにということと,それからもう一つ,12月10日に提出いただくようメールでお願いしている件については,今回,資料としては使いませんので御確認だけはというふうに思います。なお,本日は厚生労働省からオブザーバーに来ていただいております。よろしくお願いいたします。以上です。
○衞藤座長
それでは本日は,がん教育に取り組んでいる地域や,がん教育に関わっている専門機関等,全部で六つの団体から御発表をいただきます。初めに,文部科学省の委託事業を実施している三つの地域に御説明をいただき,三つの御発表後に質疑応答をすることといたします。それでは,最初に群馬県から,順番によろしくお願いします。
〇群馬県教育委員会(新井参考人)
お世話になります。群馬県教育委員会,私は健康体育課学校保健係長の新井と申しますが,よろしくお願いします。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
同じく学校保健係の山田と申します。日頃より大変お世話になっております。今日はよろしくお願いします。
〇群馬県教育委員会(新井参考人)
担当の山田の方から説明させていただきます。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
座って失礼いたします。本日は,がんの教育総合支援事業における本県の取組を報告させていただきます。今年度初めての取組ということで,不十分な点が多々あるかと思いますが,御指導のほど,どうぞよろしくお願いいたします。
まず推進する組織ですけれども,がんの教育に関する協議会を大学教授,三師会,がん患者会,PTA,保健主事,養護教諭,栄養教諭,保健部局の方々14名で組織しました。1回目につきましては,がんの教育に関する計画や,がんの教育の内容,進め方などについて協議をいたしました。様々な意見を伺うことができまして,がん教育への関心の高さを感じました。2回目につきましては,今年度の計画や取組,関係者の評価等につきまして報告,検証,そして次年度の計画や取組についての協議を行う予定です。
また,推進校における具体的な取組について検討するために,検討委員会を設けました。大学教授,医師,推進校の教諭,指導主事で組織いたしました。がんに関する授業や講演会の進め方の検討,指導案や資料の検討,事前の打合せや事後の話合いなどを行いました。
がんの教育に関する検討委員会の報告書を参考にしまして,本県におけるがんの教育の目標をこのように考えました。そして協議会で検討されたがんの教育に関する計画に基づいて事業を進めてまいりました。
7月に,植田先生を講師にお招きいたしまして,教職員を対象に『学校におけるがんの教育の考え方と進め方』というテーマで御講義をしていただきました。様々な資料やデータをもとに,がんの教育の必要性を始め,がんの教育の考え方や進め方等に関して御講義いただきましたことは,事業を進めていく上で大変有効でした。参加した教職員からも「がんの教育の必要性や有効性を感じた。」「がん教育の考え方や内容がよく理解できた。」「自他の命の大切さを知る,生き方を考える態度を養えるがん教育が進められるとよい。」など,前向きな感想が多々ありました。
学校における取組についてですが,本県では中学校1校,高等学校1校を実践推進校として進めてまいりました。まず中学校ですけれども,3年生を対象に,主に道徳で取り組みたいという学校の希望からスタートをしました。既に1学期に保健体育で病気の予防の指導が済んでおりました。
しかし,がんに関して正しい理解を図ってから道徳の授業に入った方が効果的と考え,また,道徳で扱う資料が,主人公が骨肉腫であったことから,生活習慣病によるがんとそうでないがん,これをきちんと整理させる必要があると考え,道徳の前に学級活動で指導を行いました。
日本対がん協会のDVD「がんって,なに?」を活用し,当初は養護教諭とTTで指導する予定でしたが,都合により担任が指導を行うことになりました。当日ですが,主人公の作文や映像をもとに,生命尊重について考えさせる授業を行いました。がん患者を招いてということも考えましたが,外部の方を呼ばなくてもできることが継続につながるのではないかというふうな意見も出て,資料を活用した授業を展開してまいりました。授業では余命宣告をされたときの主人公の気持ちや,伝えた母の思い,主人公の生き方や伝えたい思いなどについて,丁寧に考えさせ,最後は自分自身を振り返らせて考えさせました。
生徒からは今回の学習を通して,改めて命の尊さを実感し,自分や周りの人の命を大切にしようとする感想が多数見られました。また,「がんは恐ろしい病気だけれども,それとはまた別の,新しい何かを教えてくれる病気でもあるのだと思った。」とか,「身近な者は失う直前や,失って初めてその大切さに気付く。」など,深い感想も見られました。更に身近な人にがんの方がいたときの受け止め方や,接し方について考える感想もありました。
ここからは文部科学省からいただきましたアンケートをもとに集計したものですけれども,がんやがん患者についての関心,態度,考え方に関する生徒アンケートでは,授業後,多くの項目でよい変化が見られ,特に30%以上の変化が見られたのは,dの「がんを学ぶことで,命の大切さを考えることができると思う」,それからhの「家族や身近な人とがんについて話し合おうと思う」。そして20%以上の変化が見られたのは「がんは身近な病気だと思う」というaの項目でした。   
また,がんやがん患者に対する知識,理解に関する生徒アンケートでは,ほとんどの項目でよい変化が見られました。特に30%から40%の変化が見られたのは,aの「がんは体の中で異常な細胞が増えてしまう病気である」,dの「がんは日本人の死因の第3位である」という項目が大きく伸びました。
がんの教育の学習に関する評価ですけれども,教職員等,関係者のアンケートでは,関わった教職員や参観者13名全員が,がんの教育の必要性や治療の有効性を感じておりました。また,参観者からは指導の有効性,それから学年ごとに具体的な指導例が示されると取り組みやすいとか,配慮の必要性など,今後のがんの教育を推進していく上で必要となる感想を聞くことができました。
ここからは高等学校の取組です。主に講義を中心に行い,学校保健委員会につなげて実施をいたしました。講義では日本対がん協会の小西様にお世話になり,山王病院の奥仲哲弥副院長をお招きすることができ,1年生320名を対象に,『がんを考える~前橋女子高編』というテーマで講義をしていただきました。検討委員会の中で事前,当日,事後の指導や流れ,準備等について検討するとともに,講師へのお願い事項などについて協議をしました。
それらの内容も含めまして,小西様と打合せを重ねました。なお学校にもお越しくださったり,事前の生徒アンケートの結果,それから講師への質問事項を講師に伝えてくださるなど,惜しみない努力をしていただき感謝をしておるところです。
そして,奥仲先生には事前のお願いや質問事項を上手に組み込んでいただくなど,御配慮をいただくとともに,がんが身近な病気であること,早期発見の重要性,医療の進歩による最新の治療など,前橋女子高の生徒の実態やニーズに合わせた内容で講義をしていただき,生徒は,皆,大変熱心に学んでおりました。
講義後の生徒の感想ですけれども,がんを自分のこととして捉えるとともに,がんに対する認識を改めたり,不安を軽減したりすることができ,また,がんに対する向き合い方や生活行動の仕方などについて考える貴重な学習の機会になったことが分かる感想が多数見られました。さらに,自分だけでなく,家族や周りの人のことを考えたり,働きかけたり,将来の進路につなげて自分ができることを考えること。これらを考えられたことはがんの学習を通して大変価値のある学びができたと実感しております。少し字が小さいんですけれども,「将来,薬学部に入って抗がん剤の研究をしたい。」とか,「再生医療に関する研究員になって,がんで亡くなる人を減らしたい。」とか,「臨床検査技師になって少しでも多くの人を救いたい。」「教育関係で生徒にも伝えようと思う。」というような感想をたくさん見ることができました。講義後には新聞部の生徒が奥仲先生にインタビューをしまして,新聞にまとめて,全校生徒,家庭に紹介・啓発したり,奥仲先生からいただいた,がんに関する書籍を図書だよりの中で全校に紹介したりしました。また,学校保健委員会の中で事前,事後の意識調査の結果,そしてその分析,1年生による奥仲先生の講義から学んだこと,そして事前に1年生から報告を受けた後,2年生が調べ学習を行いまして,今からできるがんの予防の発表,そして協議を行いました。
まとめでは,保健委員長から,「がんに関する正しい知識,検査や治療を受ける勇気が大切。がんは決して怖い病気ではない。」という言葉や,生徒会長からは,「今日のこの内容を全校生徒に伝えていく場を設けてもらいたい。親子で話し合うきっかけにもなる。」という言葉を聞くことができました。そして学校医からは,「高校生の時期からがんについて学ぶことができるのはとてもよいこと。是非他校にPRをしてほしい。」という指導助言を受け,がんの教育の推進を願う声を聞くことができました。
講義の前後のがんやがん患者についての関心,態度,考え方に関する生徒のアンケートでは,全ての項目でよい変化が見られ,特に20%から30%近く変化が見られた項目は,bの「がんは怖い病気だと思う」,cの「がん検診を受けられる年齢になったら,積極的に検診を受けようと思う」,h「家族や身近な人とがんについて話し合おうと思う」でありました。10%以上変化が見られた項目は,a「がんは身近な病気だと思う」,d「がんを学ぶことで,いのちの大切さを考えることができると思う」,f「がん患者やその家族はがんと向き合い,一日一日を大切に生活していると思う」でした。
また,がんやがん患者に対する知識,理解に関する生徒のアンケートでは,このようにほとんどの項目でよい変化が見られまして,約20%から45%変化が見られた項目では,aの「がんは体の中で異常な細胞が増えてしまう病気である」,d「がんは日本人の死因の第3位である」,f「がんを予防するには,ワクチンを受けるなどの方法がある」,j「がんの痛みは我慢するしかない」,k「がんになっても充実した生き方ができる」などでありました。
がんの教育の学習に関する評価ですけれども,教職員と関係者のアンケートでは,関わった教職員,それから参観者34名全員が,がんの教育の必要性,指導の有効性を感じておりました。また,がん教育の必要性や有効性についての意見,それから教育課程への位置付け,カリキュラムの検討の必要性など,今後のがん教育を進めていく上で必要な意見を聞くことができました。
そのほかの取組として,これは昨年度,本県の保健予防課が作成した,がんに関するパンフレットです。小学校6年生を対象に配布いたしました。教育委員会も関わらせていただいたんですけれども,今年度はそれをどのように活用するかということを考えまして,その一つとして,シナリオ形式の指導資料を作成しました。現在,保健予防課で検討してもらっているところではありますが,このパンフレットの今年の配布と併せて,このシナリオ等も配布し,授業参観等で保護者にもがんの教育について理解を図ったり,啓発したりできるようにしていきたいと考えております。また,今年度の取組につきまして,県内の教職員に啓発していきたいとも考えております。
成果ですけれども,1点目は,生徒のがんに関する内容の理解が深まったり,認識の変化が見られたりしたことでした。アンケートや感想を見ましても,がんについて考える機会となったり,がんに対するマイナスのイメージが軽減されたり,身近な問題として感じたり,がんや治療など,がんに関することの認識の変容が見られたりしました。また,自分の生活の仕方について考えたり,積極的に検診を受け,早期発見・早期治療に意識を高める生徒の姿も多く見られました。さらには自分のことだけでなく,家族や周りの人のことを考えたり,将来の進路につなげて考えたりする姿も見られました。中には,今回の学習をきっかけに,これまでなかなか口にすることができなかったと思うんですけれども,身近にいる,あるいは身近にいたがんの方のことを言葉や文字で表現したり,質問や相談したり,今後の接し方などについて考える姿を見ることができました。
2点目ですが,協議会や検討委員会の委員,それから研修会や講義に参加した教職員などに,がんの教育の必要性を実感したり,がんやがんの指導に対する認識に変化が見られたりしたことでした。また,保健師などに生徒の学習の様子や,学校教育の様子を知ってもらう機会になったことも,今後に向けて大変よかったと思っております。3点目は,保健部局を初め,日本対がん協会など,関係機関との連携に広がりや深まりが見られたことでした。特に組織の立ち上げから県の保健予防課との連携を密に行いまして,情報交換を行ったり,いろいろな資料をいただいたり,有効ながんの教育の推進につながるとともに,つながりを深めることができました。
課題としてということです。今後に向けてですが,1点目はどの発達の段階,どの学年の児童生徒に,がんに関するどのような内容を指導することが適切なのか明確になっていなかったということがありました。学校で推進されることを考えましても,学習指導要領に記載されることが重要と考えますが,現段階では保健学習を柱としながら,現在行われている関連する教科,指導内容にがんに関するどんな内容を関係付けて指導するかということを考えていきたいと考えております。
2点目はどのように指導するかということです。指導事例,それから指導案,参考資料などがあまりありませんでした。今回の道徳でも資料探しやその活用について苦慮いたしました。また本県の医師からも意見が出されましたが,奥仲先生のような講義をお願いできる医師が県内を探しても探すのが難しい状況があります。そのような中で,医師会,保健部局,がん患者会などと連携して,ゲストティーチャーのような形でお願いできる講師を探したり,協力いただける内容を明確にしたりするなどとともに,モデル的な展開例を示していくことが必要と考えております。
3点目は指導主事,教職員などへの研修の機会が必要かなと思いました。植田先生や奥仲先生の講義を伺いまして,まず,指導者にがんに関する内容の正しい知識や,正しい認識を持ってもらうこと。子供たちへの指導の必要性や有効性を認識してもらうこと。具体的な指導事例の紹介などが必要と考えております。あわせて,学校におけるがんに関する指導という観点から,保健部局や医師などに理解してもらえるようにすることも必要だと感じております。
4点目ですが,児童生徒が,あるいは身近な人にがんにかかっていたり,がんで亡くなったりした人がいる。そういう児童生徒に対しまして,指導を行う際に具体的にどのような配慮を行っていけばよいかという点が,検討委員会,協議会の中でも多数,協議をされた事項でした。
このように今年度,いろいろな方に御協力をいただきまして,がんの教育推進の第一歩を踏み出すことができたと考えております。今年度の取組をしっかりと検証しまして,今後のがん教育の推進に取り組んでいきたいと考えておりますので,今後とも引き続き御指導をお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
〇徳島県教育委員会(濱井参考人)
 失礼いたします。徳島県教育委員会の濱井と布川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。徳島県の方で現在行っております小中学校での取組を中心に御説明をさせていただけたらというふうに考えております。
 これは本県が現在取り組んでおります全体の計画でございますが,本県も例に漏れず,昭和56年度から死因の1位ががんということで続いております。にもかかわらず,ここにございますように,受診率の方は全国でも最下位に近いような状況が続いているということで,保健福祉部局の方で,学校の方にも出前授業という形で出向きまして,検診率を上げるというふうな取組を,これまでも取り組んでまいりました。しかしながら,やはり学校で行う以上は,教育課程の中でできる方法はないかということで,医師会の方からもがん教育にもっと積極的に取り組むことができないかというような要望は以前からいただいておったところでございます。
 そこで,今回は保健授業の中でということで,しかも1時間,教育課程の中でも今非常に学校は多忙でございますので,何時間もということはできませんので,1時間何とか余分にという時間の制限の中でできる方法はないかということで取り組んだ内容でございます。
 実質的には小中学校3校で,保健学習の中でのがん教育の在り方を研究する。それから授業実践前後の意識の変容を調査するという形で行っております。
 その内容なんですけれども,基本的に保健学習の中に位置付けたがん教育の在り方ということで,次のような形を作りました。一つは保健学習で,がんに関わる生活習慣病の内容を学習したその直後に1時間,がんに関する学習内容を特化してやってみるという方法でございます。もう一つは保健学習は保健学習として何時間か完結します。もちろん,この中ではどこかで生活習慣病の内容を含む学習を行うわけです。その直後にがんに関する内容を1時間行う。このいずれかの方法。そしてそのいずれかの1時間の中に,ここに書いてございますような行政,保健師,これは全県的な情報を踏まえた話がいただける方です。それから,担任や保健体育教師,養護教諭。これは発達段階においた指導支援がやりやすい支援者です。それから医師や研究者,これは科学的知見に基づいた知識をもとに指導をすることができます。そしてがん経験者や患者会,経験から説得力のある話や情報ができる。こういった者の中から選択していただいて,学校に取り組んでいただきました。
 この3校なんですが,鳴門市の小学校2校と,中学校1校,同じ校区でございます。同じ校区の小中学校です。鳴門西小学校は保健学習の中で行う。そして2クラス,行政,保健師,それから担任や養護教諭のTTという形で,これは12月,来週,実施する予定になっております。それから鳴門東小学校の方は,保健学習の後にがん経験者を招きまして授業を行うという方法をとりました。それから鳴門中学校につきましては,がんという知見に基づいた情報を活用してということで,保健学習の後,医師を招いて1時間学習するというふうな形で,保健学習にひっつけた形でのがん教育というのが模索できないかというのを現在やっております。
 結果についてなんですが,実は本来でしたら,私どもの方で処理をして考察して,ペーパーで皆さんのお手元にお届けすべきことなんですが,実は授業が行われたのが先週末でございまして,私どもの方も傾向をつかむ処理をするのに精一杯でございますので,本日はプレゼンだけということになりますので,御容赦いただけたらというふうに思います。
 まず,授業前後の意識,知識の状況でございますが,既に終わっている授業の後にがん経験者と担任が1時間,TTを行うというふうな形で,ちょっと粗い処理になりますけれども,このような形で,19項目中の13項目で,子供たちの意識や知識の量が上がっているというふうなことがあります。一方で3項目ほどは下がっているというところが見られました。下がっている3項目につきましては,まず差別や偏見の排除というところ。それから,自分が罹患(りかん)する可能性について,それから予防やワクチンについてということで,そういった項目,3項目ほどは下がっておりますが,それ以外のところは上がっている,若しくは同じであったという結果になっております。
 特に「がんは怖い病気である」というのは,これは100%,子供たちが思っておったところですが,それが約半数以上の子供がそうではないというふうに改善されているところが見てとれます。
 これは中学校の方なんですけれども,中学校の方は授業の後にお医者さんを招いて,担任とのTTという形で行いました。19項目中の上昇は17項目,下がったのは1項目のみで,下がっている項目については,治療法についての知識のところが,若干,子供たちの中で下がったというところでございます。
 これを,このままだとちょっと整理がしづらいので,このような整理をしてみました。
 授業前後の意識調査と,講師の講話案内も含めてなんですけれども,発生要因,疫学,予防,早期発見,検診,治療,緩和ケア,生活の質,共生,その他というふうにアンケート項目を分類しまして,それの平均値をとってみました。そうしますと,小学校の方では御覧のように,多くの項目で上がっております。特に疫学の部分,それから治療の部分,そして,生活の質の部分が非常に高い変化を示しております。これは推測しますに,やはりがん経験者のお話でございますので,子供たちにとって,やっぱり治療のこと,それからがんを経験しても,今は非常にこういうふうに私は幸せに生きることができているんだというふうなお話がありましたので,そういった項目は,やっぱり子供たちの意識に非常に残っていたんだろうなというふうに推測をしておりますが,これからまたその裏付けをしていくということになっていきます。
 一方,中学生の方ですけれども,御覧いただいたら分かるように,中学生の方では,専門のお医者さんの話ですので,疫学の部分でありますとか,予防の部分は非常に良好な方に変化をしております。一方,ここのバツのついているところは,直接,お医者さんの講義の中では触れられなかった部分ということになります。こういったふうに整理をしてみて,これから見える傾向について,今後,児童の感想等をもとに,もう少し詳しく裏付けをしていきたいなというところが現状でございます。
 それで,この結果をもとに,現在までのところの傾向でいろいろ私どもが考えているところは,やはり,がん教育というのは,学校の先生方だけでは難しい部分がある。いかに外部の皆さんの御協力を得るか。そういったところの手立てが一つは必要であろう。二つ目は,その際に,それぞれの支援者の特性がございますので,その特性をいかに生かすかということになります。ただ,そうなりますと,今度は逆に,小・中・高といった場合の系統性との関わりが出てまいりますので,ここの年代で,ここの発達段階で,こういった事柄を教えておきたいなということと,実際に支援いただく方とのマッチング,そういった事柄についても,今後,課題になってくるのではないかと思います。
 それから時数でありますとか,系統性でありますとか,あるいは,それに関わる教材でありますとか,そういった事柄については,やはり支援者の方からも何かあるといいですね,というふうな御感想をいただいております。
 それから本県は現在,小中でこれからもう一つ小学校で行うわけでございますけれども,意外に内容的には難しいんだけれども,小学校の方がやはり意識の変化がしやすい。やはり若い年代でということがあるなというのが,実際に授業なり,関わった者の感想でございます。これについてもまた最終の報告までには分析してまいりたいというふうに考えております。
 少し早いですけれども,以上で報告を終わらせていただきます。(拍手)
〇静岡県教育委員会(天野参考人)
 失礼いたします。静岡県教育委員会教育総務課,健康安全教育室の主席をしております天野と申します。それから指導主事の平野です。よろしくお願いいたします。本県は,今回,パワーポイントの資料は用意してございませんので,皆さん,お手元の資料の4を御覧いただきたいと思います。その資料に沿って御説明させていただきます。
 事業の実施内容というところで,最初に(1)というところで,ねらいがあります。本県では実践校を県立の高等学校にお願いして取り組んでおります。高等学校の教科保健体育,それから特別活動におけるがんの教育の実践により,生徒にがんに対する正しい知識を習得させること,関心を高めること。また,関係機関等との連携の在り方を検討していく中で課題を把握し,今後の静岡県でのがん教育に生かすということをねらいとして取り組んでおります。
 続きまして,組織についてですけれども,二つ,組織を立てております。一つ目ががんの教育に関する協議会,もう一つがワーキング部会になります。協議会については,主に実践校での取組,がんの教育に関する計画についての検討会,それからワーキング部会は更に具体的に,実際に生徒たちに行う授業の指導案,教材等の検討を行っております。協議会とそれからワーキング部会の構成メンバーですが,四角の枠の中にある皆さんに御協力をいただいて取り組んでおります。大学教授,それから県の健康福祉部,患者会,後は教育委員会,学校関係者で協議会。ワーキング部会の方も学校医,大学教授,福祉センター,保健センター等,それぞれ12名の皆さんに御協力をいただいて取り組んでいるところです。
 続きまして,(3)のがん教育推進に向けた取組の経過と今後の予定ということで,具体的に何月何日,こういうことをやってきたという,これまでの取組を時系列にまとめてあります。6月16日に,先ほども説明したように県立高等学校の方に行きまして,事業説明をしてきました。特にワーキング部会に入っていただく先生方に対しての事業説明でした。
 それから7月16日に,県立静岡がんセンターへの事業説明ということで,事業の具体的なお話をさせていただきました。それから夏休みに入る直前ですけれども,7月18日から23日ということで,実施校生徒に対しての事前アンケートの実施。981名に対して行いました。それから8月,実施校の教職員ががんの基礎知識を学ぶための研修会を開催しました。内容は,県立静岡がんセンターでの教職員研修です。がんについての講義,患者支援についての講義,それから院内の視察等を行わせていただきまして,教職員の意識を高めることができました。
 それから10月21日に,第1回の協議会を行って,事務局からこの事業についての説明を行い,ねらいを共通理解する場をもちました。また,委員の皆さんからも御意見を頂戴しました。10月22日には,第1回のワーキング部会ということで,第1回の協議会の報告,それから実際に生徒たちにどのような授業をやっていけばいいのか,生徒たちの実態は今どうなのか,目指す授業,保健の授業像というものを共通理解しました。
 それから10月26日ですけれども,生徒の学習会ということで,メディメッセージ2014というイベントがあり,そこに生徒が,がんについて学ぶ機会,よい機会だということで参加しました。参加人数は生徒が11名,教職員が5名,事務局が2名。それから11月26日に,実施校の生徒向けの講演会を行いました。がんの専門家,大学教授とがん経験者による講演会を全校生徒981名,全教職員60名,部会関係者,事務局関係者が参加し学びました。それから先週ですが,第2回のワーキング部会ということで,指導案と課題との検討を行ってまいりました。
 それから今後の予定になりますが,12月16日にワーキング部会で検討した授業,公開授業を行うということで,1年生の女子に対して,保健体育教諭による保健の授業を行います。これについては県内の県立高校の先生方に授業を見てもらいたいということで呼びかけをして,案内をしております。それから12月に実施校の生徒に対しての事後アンケートを実施して,生徒たちの当初のがんに対する認識,あるいは意識,それがどのように変動しているかというところをアンケートから把握をしたいと思っております。それから2月中旬ですけれども,今回,この授業を通して,高等学校の生徒がどんなことを学んだのかという発表を,学校保健委員会で行う予定です。2月下旬には第3回協議会ということで,本事業についての取りまとめを行っていきたいと思いますし,今年,我々が取り組ませていただいて出た成果というものを,県内各地に広げていけるように,成果の普及について考えていきたいと思っています。
 それから(4)の取組からというところですけれども,私たちも今回初めてこの事業に取り組むことになりまして,いろいろ試行錯誤している部分もあったり,生徒の実態がなかなかつかみにくいような状況が当初ありましたが,アンケートから生徒の実態がつかめました。5点ほど書いてあります。あまり自分の近親者とか身近な方でそういうような経験をされた方が少ないのか,がんが身近に感じられない。一方で,感じている子もいて,その子は怖いというイメージをもっている。後は学年によって差が見られました。1年生は理解度が少し低いのかなというような傾向がありました。
 それから,がんの早期発見のために検診が不可欠であるということは分かっていますが,検診を積極的に受けようかと思っている人はまだまだ少ないということも,このアンケートの中で確認できました。
 それから,これまで行ってきた協議会,ワーキング部会の中で私たちが得たこととして,(1)から(4)まで書いてありますが,その生徒だけではなくて,その生徒の家族にまで広げられるような,生徒が自宅に戻って,今日こんな授業を受けてきたよ,こういうことを勉強したよと。そのようなことを家族に伝えていってもらいたい。そのような授業をやりたいなと思いますし,家族に伝える役目というのを生徒たちに意識させたいなと思います。
それから(2)として,小学校,中学校,高等学校と学びを生徒たちはしていきますが,学校で実際に教えるというのは,高校の時点が最終段階なのかなということで,この時期を逃してはいけないなということを,協議会やワーキング部会の中で感じています。
 それから(3)ということで,一方的に講義形式の授業をやるだけでは,本当の生徒たちの確かな知識や,生きた実践力になっていかないということで,ワーク的な部分,作業的な部分も入れていく必要があるのかなということを感じています。
 そのような中で生徒同士のコミュニケーションが図られたり,がんに対する正しい知識,実践力がついたりするのかなと思っております。
 検診の大切さ,それから,がんは決して怖いものではないということ。不治の病から治っていくというイメージをもたせること。それから早期発見のメリット,こういったことを生徒たちに伝えていきたいと思います。
 続きまして,課題になりますけれども,課題については先生方の意識というものを更に高めていく必要があるのかなと思います。保健体育だけで扱う場合は保健体育科の教員ということになるんですけれども,特別活動であったり,総合的な学習の時間にやるということであれば,やはり全担任,全職員がこのがんに対する基礎知識を高めていく必要がある。そのための研修が必要になるなと思います。
 それから,「言葉」から生徒が連想するイメージというのがあるなということを,アンケートから感じています。例えば,5年生存率という言葉があったんですが,これだと生徒にとっては5年しか生きられないのかという,そのような,ちょっと怖いようなイメージをもってしまうということで,どのような言葉を生徒たちの前で使っていくのかということは,教育的観点で検討する必要があるのかなと思います。また,成果の普及ということで,指導案を作って授業を実践していきますが,当然,自分の近親者,肉親ががんで亡くなったとか,つらい思いをしているとか,そういう生徒さんもいます。ですので,その子たちを前に授業をやるときにどういう配慮をしていけばいいのか。その辺のところもきちんと,教員として配慮,ケアというものをしていかなければならない。その都度,確認していく必要があるなと思います。
 それから,大きな3番の授業の進め方ですが,今回,動き出しに時間がかかってしまったということもあったものですから,実際の高等学校の学習指導要領における内容に沿ってはいますが,学校の年間指導計画の時期と若干ずれてしまったものがありました。本来でしたら,9月に学習済みの生活習慣病のところなのですが,今回,12月に授業をやるということで,その辺のずれというものが生まれてしまったので,課題というか,反省材料としてあります。
 それから協議会やワーキング部会,それから実施校と3段階の会がありますが,それぞれの会を有機的につなげていくというか,連携させていく。それぞればらばら,独立したものではなくて,つながりをもたせていくということが,やはりこれから私たち,県教委として果たすべき役割であるかなと思います。今後,更に研究を重ねていきたいと思っているところです。
 以上です。ありがとうございました。
○衞藤座長
 ありがとうございました。それではただいま3県の教育委員会の方々から御説明を受けましたが,その御説明を受けまして,御質問等がございましたら,どなたからでも結構ですので,御発言をお願いいたします。野津委員,お願いいたします。
○野津委員
 いずれも貴重な御報告,ありがとうございます。群馬県の御発表について質問させていただきます。
 まずデータをとられていて非常に参考になるので,是非確認をしておきたいと思うんですが,調査された時点は中学校の場合ですと,10月7日の特活をやる直前で,事後が道徳をやった10月14日の授業実施の直後に調査されたのか。それとも少し間があって事後調査をされたのか。調査の時期のことが一つです。高校の方も同様に,確認したいと思います。次に2点目としまして,中学校の方が特活と道徳で実施し,高校は講演方式で行ったということですがそこに何か積極的な意図やねらいがあるのか,何かお考えがあったとすればお伺いしたいと思います。それから三つ目ですけれども,「がんは怖い病気だと思う」というデータに関して,中学校は事後で,「思わない」というのが1人増えたにすぎなかったんですね。それに比べて,高校では30.8%,およそ100人弱が「思わない」というふうに増えて,効果が出たということになりますが,高校の講演方式のところでは,「がんが怖くない」というようなことに関わって,どんな内容を,どのようなふうに展開されたのか。少しお伺いできればと思います。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
 ありがとうございます。まず1点目の時期なんですけれども,具体的に何日ということはちょっとこちらの方で把握しきれていないところがあります。ただ,中学校につきましては,特別活動を行う前にアンケートを事前に行っております。また道徳の授業が終わった後すぐに,それほど時間を空けずに,中学校につきましてはアンケートを行っております。高等学校につきましてはまとめて講師の方に送ったところもあるんですけれども,講演よりも少し前でした。それを集計しまして,集計結果,それから事前質問を講師の方に送ったという経緯があります。事後につきましては講演会が終わった直後で,その日のうちにアンケートを行いました。
 それから2点目の意図というところですけれども,まずスタートも本県も遅れてしまいました。年度が明けて,学校の方に働きかけを行ったのが6月以降ということで,どのようなことができるだろうかというところからスタートをしました。中学校につきましては保健体育科の教員ではあったんですけれども,保健体育科の授業,病気の予防のところは既に済んでいたというところで,道徳の方で是非やってみたいということで,道徳の方になってきました。ただ,それではちょっと足りないということで,特別活動も是非やってみましょうということで,加えて指導した経緯があります。
 高等学校につきましては,やはり時数の確保というところが難しいところがありました。養護教諭が中心になってくれたんですけれども,講演会形式,あるいは学校保健委員会でできないだろうかという話になりまして,その方向からどのようなことができるだろうかということで考えていきました。そうしたところ,日本対がん協会の小西様にお世話になりながら,今回のような指導につながっております。
 それから3点目なんですけれども,中学校のところでなかなか増えなかったのは,やはり高等学校の指導と比べてみても,やはり医師による指導というのがあったらよかったな。そんなふうに思っています。DVDを活用させてもらいながら,保健体育科の担任が指導したんですけれども,やはり,そこのところでがんが怖い病気であるということの変容までいかなかったかな。そんなことを強く感じます。これが奥仲先生のようなお話をいただけたら,また大きく変わっていたろうな。そんなふうに思います。
 それで,小西さんの前で,自分の方から少しお話させてもらうのは大変申し訳ないんですけれども,がんは早期発見,早期治療をすれば治る可能性が高いとか,そういう,非常に,早期発見・治療ということに関しての内容が非常に多かったかな,そんなふうに思いました。
 また,がんの種類の中でもこれは発見しやすいがん,発見しづらいがんというような内容もありましたし,中には,最近の手術の様子等に関するお話,あるいは治療の話もしていただくことができました。そうした医師による科学的な話によりまして,高等学校ではこういう大きな変化につながってきたかな,そんなふうに考えております。
○衞藤座長
 よろしいでしょうか。それでは中川委員に御発言いただきます。ほかに御意見がある方は名札を立てていただくと,後で整理しやすいので,よろしくお願いします。では,中川委員。
〇中川委員
 前回に引き続き遅れまして,申し訳ございません。徳島県さんにお尋ねしたいんですが,医師が小学校と中学校で話をされて,その中でどういった項目について触れたかというポイントがございました。あの中で,小学校の方は三角が一つありましたが,基本的には全部触れていただいていて,項目が学校保健会の中の報告書にあった項目ですね。基本的にはああいったことを是非伝えていただきたいということになると思うんですが,一方,中学校でなさった結果では,治療と緩和ケアと生活の質の部分,そこについてはバツがついていて,これは例えば外部の講師に完全に任せてしまうと,非常に不均一というか,どの学校で授業を受けても,やはり最低限教育されるべきことってあると思うんですね。そういう意味では,私はかねてからある程度教材というのをしっかり作って,しかもそれが子供たちに受け入れられるような,校医さんが後でお示しいただけるかもしれませんけれども,そういったものを活用していくということが非常に重要かなというふうに思います。そうでないとかなり,教育の不均一,不公平という問題が出てしまいますので。 
それと先ほど,野津委員から御指摘いただいた,群馬県さんについての質問です。私も神奈川県を初め,かなり,50校ぐらいでしょうか。授業をしてまいりましたが,やはり学年が上がるにつれて,がんが怖くないというような割合が上ってくるんです。ここはなぜかということもまだ十分アクセスできていませんが,恐らく学年とともに,授業の,この怖くないという効果が高まってくるのはまず間違いないので,そういうことが裏付けられているような気がいたします。
以上です。
○衞藤座長
 御意見というより,御質問はないですか。
〇中川委員
 ごめんなさい。今のは意見なんですけれども,例えば,事前にそういう外部講師と打ち合わせて,授業の内容を検討されていたのかどうかだけ教えていただければ。
〇徳島県教育委員会(濱井参考人)
 事前の協議ということでございますが,基本的に,今回,がん経験者の方も,大学の医学部の先生も,なかなか小中学生に話す機会というのがございませんで,どんなふうに話したらいいのか。どこまで話したらいいのかと,非常に御心配なさっておりました。また,我々も保健学習の中で行っていただくということで連続性,あるいは学習を踏まえての講義というふうなことをしていただきたかったので,指導主事の方が仲立ちをしまして,こういった内容を今までしております,こういった疑問を子供たちは持っているようですということをお伝えして,その上で1時間TTをお願いしたという経緯でございます。
○衞藤座長
 それでは青木委員,お願いします。
〇青木委員
 それではまず群馬県の方に質問させてください。中学校で外部講師による講演会とか使わない方が継続できるというようなお話を聞いて,学校の中で保健体育の授業と特活や道徳を含めて。今まで私は保健体育の授業と外部の方に来てもらって講演会をしてもらうと,より効果的かなと思っていました。このような取組をお聞きして,ああ,そうかな。継続させるためには,長くさせるためには,やはり外部に頼るというのは継続するのが難しいのかと,今改めて勉強させていただきました。でも,先ほど,指導主事の先生の話だと,やっぱり外部講師が入って,講演会があったらよかったというようなお話があり,奥仲先生の講義が中学校でもあったらよかったとおっしゃっていましたので,その辺はどうなのかなとか思いました。
 それから静岡県の方にも質問させていただきます。12月16日,間もなく子宮頸(けい)がんに焦点を当てた授業を女子に保健体育科の教員がやるということになっていますが,子宮頸(けい)がんに焦点を当てるということは女の子だからと思うのですが,今,ワクチンの問題がすごく難しいじゃないですか,子宮頸(けい)がんについて取り扱うことはどうなのかな,不安だなと思いました。その点どのようにお考えでしょうか。
 それから,徳島県にお伺いしたいのですが,やはり小学校でこのように取り組むということは,何か配慮が必要だと思います。中高生だと割とすんなり入っていくところはあると思うんですが,小学生に入れるというところの難しさがあると思います。そのことで判断されたことをお聞きできればと思いました。
各県ごとにお願いいたします。
○衞藤座長
 まず,群馬県からお願いします。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
 ありがとうございます。まず中学校ですけれども,協議会の中で,県の中で一緒にお願いできる方がいないというような意見が医師の代表からありまして,まさに難しさもあるなということを感じておりました。
 それで道徳ということになったときに,やはりがん患者会の方って,すごく生徒にとってもインパクトがあって,すごくいいと思うんですけれども,話合いの中で出たのはどういう話になるか分からないという点が一つでした。
 また,保健予防課との話の中で,がん患者会の中で話ができる人はいるんだけれども,道徳という視点からとなるとどうかななんていう話もありまして,そうであれば今後,継続していけることを考えて,資料が何かないだろうか。そうすれば,どこの学校でも同じようにまず,取り掛かりとしてやってみようじゃないか。また継続できるのではないかということで,道徳の資料から探して,つなげてきたわけです。ただ,このアンケートの中のいろいろな項目を見ますと,また,奥仲先生の講義をいただいた後を振り返ってみますと,これが中学校の生徒に,内容は若干変わってくるかと思うんですけれども,そういう講義が中学校であったら,またそのほかの項目もまた大きく変わってきたろうな。そんなふうに考えております。
 ですので,全く外部講師を入れないということではなくて,そういう必要性もあるし,道徳では道徳で今回はこういう形でということでやってみたんですけれども,外部講師は外部講師のよさがあると思いますし,資料には資料の継続性のよさ等もあるのかな。またじっくり考えていくことのよさもあるかな。そんなよさがそれぞれあるかな,そんなふうに考えております。
○衞藤座長
 ありがとうございました。静岡県さん,お願いします。
〇静岡県教育委員会(平野参考人)
 静岡県です。先ほどの説明の中で子宮頸(けい)がんに視点を当ててということで説明をさせていただきました。授業の方が12月に行われますが,全て1時間を子宮頸(けい)がんに視点を当ててというわけではありません。
 子供たちが初めてがんの学習をします。女子だけの保健体育ということもありまして,女の子たちが自分のこととして捉えやすいように,導入部分で子宮頸(けい)がんのことを少し扱うように計画を立てています。
 ちょうど中学時代にワクチンが積極的に勧められた子供たちで,中に子宮頸(けい)がんのワクチンを打っている子供たちもいます。そのような中で,今まで中学時代にワクチンを接種した経験を取り入れて,子宮頸(けい)がんと,それから予防できるがんという内容で話を進めていこうと,授業者は考えています。
 やはり私たちも協議会の中で,この子宮頸(けい)がんを取り扱うのにはどうなのかという意見は出ました。ワクチンの副反応もあって,今,積極的な勧奨を控えている状態でもあるのですが,実際,子供たちの中から子宮頸(けい)がんのワクチンを,私は打っているけれども,これは大丈夫なのだろうか。予防接種に関しての疑問なのですが副反応というのが今後私の体に出るんだろうかというような,がんとは離れていますが,そのような質問が高校生の中から出ていますので,ワクチンを打っていて,今何もなければ,あなたたちに副反応は出ることはないよ。正しい知識を伝えたいというようなことでした。
 ワクチンについては,ワーキングの中に市の保健師さんが入っていますので,保健師さんから正しい情報を得て,導入部分で子宮頸(けい)がんを扱おうと思っています。その後,授業者ががんは予防できる部分があることや,生活習慣とか,ワクチン,それから早期発見,早期治療に移って,授業を展開していく予定を組んでおります。以上です。
○衞藤座長
 ありがとうございました。それでは徳島県さん,お願いします。
〇徳島県教育委員会(濱井参考人)
小学生にがん教育を行う上での配慮事項と難しさという御質問でございますが,まず配慮事項といたしますと,やはり家族や身近な方にがんの患者,又は,それによる死亡された方がいらっしゃるという子供がいますので,その子供たちに対する配慮,それをいかに把握して,その子の状況に応じたような内容に調整するかというところは,今回も配慮をさせていただきました。
それから難しさということなんですけれども,発表の中でも申し述べましたように,がんのイメージを改善するという意味では,むしろ小学生の方がすんなりとがんのイメージを払拭しやすいというふうな,関係者の共通の感想があります。一方で,やはり知識的なことにつきましては難しい。それから子供たちの興味関心が非常に多様でございますので,そのあたりは教材か何かで,そういったものを中心に教えるというふうなのが望ましいのではないかという声が,たくさん出ておりました。以上でございます。
○衞藤座長
 ありがとうございました。お願いします。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
 先ほどの,がん患者の方の外部講師の件なんですけれども,以前,伊勢崎の中学校と話をする前に,実はがん患者会と連絡をとったことがありまして,やはり今仕事をしている人が多いということで,なかなかこの時間のここに来てくれというところについて,ちょっと難しさもあるなという話もしていたのが,すみません。落としておりました。
○衞藤座長
 ありがとうございました。それでは続いて,柏原委員,お願いします。
〇柏原委員
 貴重な御報告,ありがとうございました。徳島県と静岡県の両県に御質問いたします。
 先ほどと少しかぶったことがあるかもしれませんが,徳島県の方は小学生が意識が変容していたという捉え方をしていらっしゃいます。その指導内容の決め手となったのはどういった内容で,どういう意識が変容したのかということを把握していらっしゃるのであれば教えていただきたいというのが,質問の一つです。
 それから一方で,静岡県の方では,事前アンケートで1年生の理解度が低かったという評価をされています。これを受けて,1年生にはどういう工夫をされたのか。この理解度というのは何を示していらっしゃるのかということを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○衞藤座長
 では,徳島県の方からお願いします。
〇徳島県教育委員会(濱井参考人)
 小学生におけるということでございますけれども,小学生で御支援いただいたのががんの経験者の方でございますので,やはり心情的な面,あるいは共生といった面,つまり小学生が道徳でありますとか,人権でありますとか,そういった面で学習している内容と非常に似通った部分がございましたので,そこに小学生が共感しやすかったのかなというふうに思います。
 一方で,これはちょっと,先ほども申していないんですけれども,逆に一般的に仲良くしましょうとか,がんの患者の人には親切にしましょうという一般的な意識としては,事前には答えていたんだけれども,学習をすると,本当にこれ,自分にできるのかなというふうに,我がこととして考えた場合にクエスチョンマークが出る。これはこれで非常に一歩前進だろうと思うんですけれども,そういったところが小学生の課題になってくるというふうなことがありますので,今回に関しては,そういう心情的な面がプラスに働いたことが大きいと思います。
○衞藤座長
 静岡県,お願いします。
〇静岡県教育委員会(平野参考人)
 静岡県です。文部科学省から示されている生徒アンケート,他県と同じように,この授業が始まる7月に子供たちに実施していますが,今日はすみません,そのデータを準備していなかったのですが,学年別に同じ質問項目で比べたときに,がんに関する関心,態度が2年,3年生に比べると,1年生が少し数字的に低かったと,ここに書かせていただきましたが,保健体育の教員に聞きましたら,2年生,3年生は保健学習の生活習慣病のところで,がんも一部扱った学習している生徒たちで,1年生はまだその学習をしていない時期なので,そこの差が出たのではないかと学校の方では分析しています。
 ですので,保健学習でがんを扱ったか,扱っていないかという差かと感じています。以上です。
○衞藤座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは,次に,前川委員,お願いします。
〇前川委員
 御発表,ありがとうございます。静岡県の方にお尋ねなんですけれども,徳島県では目的に,命を大切にするがん教育とあります。静岡県の,最後の方なんですけど,授業で生徒に伝えていく視点で,命という言葉が全く出ていないので,がんだけの教育に特化しているのかということをお尋ねしたいと思います。
 それと先ほどから,外部講師のことで御意見が出ていますけれども,資料も大事,がん患者の生の声も大事だと思っております。これはどこの県というのではなくて,今のモデル事業が各県でされているので,今度終わったら取りまとめて,それでまた考えていただきたいんですけれども,患者の生の声というのも,患者さんによっていろいろな考え方があるとは思いますけれども,実際に生の声を聞くと,共感,本当に共感してくれる子供たち,生徒がいます。資料と違う心に響くものがあると思いますので,今度,まとめのところでこういう意見があったということを覚えておいていただきたいなというふうに思っております。よろしくお願いします。
○衞藤座長
 それでは御質問は1点目の御質問ということで,静岡県からお願いします。
〇静岡県教育委員会(天野参考人)
 ありがとうございます。本県のがんの教育総合支援事業のねらいの部分と,この取組を進めていく中で,協議会,ワーキング部会の中の協議で得られたことの中の,授業で生徒に伝えていく視点の中に命という言葉がないという御指摘だったかなと思います。
 確かに,この中に命という文言は入っていませんが,当然,命というものを強く意識して,これらにあるものにポイントを絞った授業というか,指導をしていきたいと考えておりますので,決して,命という文字がないことがそれを軽視しているということではございませんで,その辺は御理解いただきたいなと思います。以上です。
○衞藤座長
 ありがとうございました。それでは,野口委員,お願いします。
〇野口委員
 御報告,貴重ないろいろな御報告,ありがとうございました。
 1点目は,実は今私も,前川委員から出ましたように,静岡県さんの,実践で命をどんなふうに高校生たちに考えてもらったのかなということで,もう少し具体的に,どのような形で,がんに対する正しい知識もそうなんですが,この981名に対して伝えようとしたのか,教えていただければと思います。
 もう1点は,群馬県さんの成果の中で,生徒の方で,がんに関する内容の理解が深まったり,認識の変化が見られた。その中に身近にいるがんの人のことを言葉や文字にして初めて表現をしたというような状況があったというお話があったと思います。これ,多分,ケアが必要な子供たちを発掘したんじゃないかなということになるんですが,これに対してどのような対応を,学校さんや,あるいは親御さんになさったのか。もし分かっていれば教えていただければと思います。
○衞藤座長
 それでは最初に静岡県さんからお願いします。
〇静岡県教育委員会(天野参考人)
 静岡県です。生徒向けの講演会ですが,全校でしたので,981人ですが,その中で,がん患者さんが実際に講演会に参加してくださいまして,子供たちに語りかけるようにお話をしてくださいました。命ということは文字としては現れてはいませんが,先ほども説明があったように,扱っていないわけではなく,ベースとしては必ずそこが基本にあるということで,特にがん患者さんのお話というのは,先ほども委員の先生からお話がありましたが,大学の先生からバトンタッチを受けて,がん患者さんに変わったとき,本当に体育館の空気が変わって,子供たちが一斉にシーンとなって,一生懸命聞いていたというふうに伺いました。
 私は当日そこにいなかったので,子供たちの空気が分からないのですが,真剣に聞いていたそうです。講師の患者さんの講演が終わった後にも,校長室にいらっしゃるがん患者さんを生徒が尋ねてきて,実はがんの身内がいるのだけれども,私はその方にどういうふうに接したらいいですかというような,個別に相談に来たというふうにも伺っています。
 子供たちの意識をすぐに変えることはできないのですが,そういう生の声を届けることによって,命の大切さであるとか,一生懸命生きる姿というものを子供たちに伝えていけたらなというふうに思っています。
 それを今後の12月に行う授業の中でも,がんを患った親に対して悩んだ高校生の相談を,患者会の方から提供していただいていますので,その高校生が親のことをどういうふうに相談しているのだろうという事例も,授業の中で扱うように考えています。以上です。
○衞藤座長
 ありがとうございました。群馬県さん,お願いします。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
 ありがとうございます。高等学校の方につきましては,全部の生徒ではないんですけれども,終わった後に養護教諭が個別に話を聞いてということはあったという話を聞いております。
 中学校の方は,資料の中の生徒の感想からというところで,ちょっと字が違っているんですが,おじいさまが肺がんで亡くなったという子供がおりまして,担任がしっかり承知をしておりまして,その後,担任も話をしているという話を聞いております。ただ具体的に,申し訳ありません。どんなふうに,どのようにということは,こちらの方でも把握しておきたい,聞いておきたいと思います。
○衞藤座長
 ありがとうございました。それでは,横嶋委員さん,お願いします。
〇横嶋委員
 それでは,群馬県と徳島県の取組についてお伺いいたします。
 まず群馬県の方なんですけれども,中学校と高等学校の取組,実践ということで,今回,最後のページに,今後に向けての(1)何を学ばせるかというところで,課題として挙げられていましたが,がん教育の内容について,この中学校と高校で差をつけた部分。小・中・高,それぞれ発達段階に応じたという,言葉で言うのは簡単なんですが,内容の部分で,どういう差をつけたか。もし分かれば教えていただきたいというところ。
 それから徳島県さんの方では,資料3の1枚目のところです。やはり,真ん中あたりに,「児童生徒の発達段階に応じたがん教育の実施」とありますけれども,こちらは小学生と中学校を実践校としてされたわけですけれども,その下の「小中校積み上げ型プログラム」という表現がありますけれども,この辺で,もし具体的にこんな内容を小・中・高で変えていった。又は議論になった,みたいな情報があれば提供いただければと思います。
 以上です。
○衞藤座長
 では群馬県さん,お願いいたします。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
 ありがとうございます。まず,各学校段階で学習している内容に基づいて,ということで考えてみました。保健体育でもやはり違いますし,生物等の教科でも,免疫システム等々,学習をしていたりということで,また,キャリア教育的な視点にしましても,それぞれ中学校と高等学校では違いがあるのかなというところで,その学校段階に応じた内容が必要ではないか。学習内容に基づいて関連付けたものが,やはり位置付く方がよりよいのではないかということで,違いを考えております。
○衞藤座長
 続きまして,徳島県さん,お願いします。
〇徳島県教育委員会(濱井参考人)
 御質問をいただきました小・中・高積み上げの内容でございますけれども,最終的にはそれを私どもが目指しているということでございまして,特に,現在こういったイメージがあるというわけではございません。
 ただ,今回,実践をしていく中で出てきた意見として,やはり系統性が必要であろうということが一つ。それから,内容について網羅的に指導するのは無理であろうというので,その辺は軽重をつける。あるいは選択をする,重きを置く,重点化を図るという内容が必要になってくるだろうなというような意見が出ておりますので,それも含めて,今後の資料として役立てられるように取りまとめていきたいと考えております。
○衞藤座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは,後藤委員,お願いいたします。
〇後藤委員
 それぞれの県の学校さんは,貴重な御報告をしていただいて本当にありがとうございます。
 今回,こうやって御報告を伺って,教育的に非常に有効であると感じました。大学教授や医師,がん経験者の方の講演だとか,本当に有効だなということを感じました。ただその一方で,事前準備にかかわる御苦労は相当なものだったと思います。今回,三つの県に発表していただいたんですけれども,講師の先生方との打合せや日程調整,指導案の作成や資料の作成など大変な労力だったと思います。今後これが普及するとして,それぞれ各県の小・中・高,毎年実施していくこととするならば,講師の方の人数の確保や実施時期が重複してしまうことなども可能性としては考えられると思いますが,御負担も含めて可能でしょうか。今後は,この実践事例を参考に,実践しやすい形で,より簡素になっていくとは思うのですが,今回の事例における,現場の先生による生の声といいますか,御苦労なさった点なんかを,質問という形ではないですが,お聞きしたいなと思っています。それぞれ,各県でお願いしたいと思います。
○衞藤座長
 それでは事前準備の御苦労に関して,最初に,群馬県さんから。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
 まず高等学校で講義が終わった後に,薬物乱用防止教室だとか,エイズ講演会だとか,いろいろ各学校にお願いして,これからがんの教育の講演会も学校が必須になるのかなという話を伺いました。学校としては本当にいっぱい,いっぱいでというところもあるかと思うんですけれども,事前の打合せがあったからこそ,充実した,こういう授業であったり,講演会になったかな,そんなふうに考えております。
 また,これから先の話になるかと思うんですけれども,より,そういう学校の中で行ってもらえる中でやられるに当たって,より大変じゃないような形,なるべく資料提供なり,モデル的な形なり,あるいは難しさはあるんですけれども,がん患者会の方,あるいはがんのサポーターの方,医師,保健師の方,いろいろな協力できる方のデータベース等々を作成しながら,なるべく負担が少ないような形で行ってもらえるような体制を考えていきたいな,そんなふうには考えております。
○衞藤座長
 徳島県さん,お願いします。
〇徳島県教育委員会(濱井参考人)
 外部講師活用についての御懸念での御質問ということなんですけれども,同じような意見が,やっぱり出ました。基本的に外部講師を全校でということになると,とても無理な話でございます。また,一つ一つ調整するとなると,それはもう,それぞれの学校さん,学級さんごとにも違いますので,膨大な作業量になるということでございます。
 今回はできるだけ子供たちの疑問でありますとか,そういったものに合わせた形で御自身の知見を下ろしてくださいというふうなことをベースにして調整をさせていただきましたので,非常に協力的にしていただきました。
 結論から申しますと,こういったような,様々な調整の難しさとか,あるいは,人的にできないという部分が,最後には教材という形で収れんされていくのかなというふうに思っております。以上です。
○衞藤座長 それでは静岡県さん,お願いします。
〇静岡県教育委員会(平野参考人)
 外部講師の活用というところでは,人材を見付けるのにとても苦労しました。子供たちに話すがんのお話は一体どなたが適任なのだろうかということを,私たちも人材がなかなか分からなく,県の福祉部等に相談しながら,協議会の構成員や講師等を依頼してきました。
 医学生等の学生に話すのと,子供たちに話す内容と違うので,そのような教育的な話はしたことがないので,調整に担当は苦労をしました。患者さんも看護系の生徒には話したことはあるけれども,高校生であるとか,中学生には,やはり使う言葉も選ばなくてはいけないだろうし,いろいろな家庭環境の中での子供たちなので,やはり言葉も慎重に選ばなくてはいけないしというところで,講義内容に苦労されていました。
 それともう一つ,資料となる検診データを集めるというところでも苦労しました。私たちは地域の保健師さんに伺えばいただけるかなと思っていましたが,がんの検診のデータが欲しいと思っても,いろいろ細分化されていることが分かりました。学校として使いたいデータを作り上げるまでに,いろいろなものを集めて一つにしなくてはいけないということが分かりました。
○衞藤座長
 ありがとうございました。それでは小林委員,お願いします。
〇小林委員
 日本PTA全国協議会の小林と申します。3県の皆さん,お疲れさまでした。
 それぞれの,3県の御担当の課は,多分,義務教育課関係ではないかというふうに,恐らく,資料から見ると判断いたしますが,最終的にこのがん教育が教育課程の中に,授業の中に取り組むということも多分,文科省の方でも考えているということであると思うんですが,三つの県でなくても結構ですが,このがん教育が,多分,今後これが入ってくると,先生たち,現場でもかなり大変だと思いますし,授業日数も足りないでしょうし,そういった中でこれを,うまく言えませんが,しっかり取り組んでいくということが,それぞれのお立場で可能かどうかということを,正直,どう思っているかというところを是非聞きたいのと,それから,群馬県はPTAの会長が推進協議会の中に入っておりますが,先生たちが大変,学校現場が大変であれば,家庭教育にこれを今度求めていく。中には,家族で命の大切さを話し合うということも,3県ともそういったことを訴えておりますが,正直,PTAは名ばかりで,こういった協議会に入っているというのが現実ですので,PTAを巻き込んでやっていこうというような余裕があるのか,ないのか。気持ちがあるかどうかというようなところも質問したいと思います。以上です。
○衞藤座長
 全ての県にですか。3県それぞれに。
〇小林委員
 ええ。答えられる範囲で。
○衞藤座長
 時間が押しておりますので,簡単で結構ですので。群馬県さん。
〇群馬県教育委員会(山田参考人)
 本当に難しいところだなと思います。話の中で協議会,あるいは検討委員会の中でも新たにがん教育というところを,別ものとして学校教育の中に入れていっていくのは難しさはあるだろうということで,例えば,保健体育でやっている内容の中に膨らませていくとか,今ある,関連する教科の中での指導の中に組み込んでいくとか。そういうところを関連付けながら行っていくのがよいのかなという話を,いろいろな学校の先生から,あるいは,委員の中から聞くことができました。PTAの方も非常に熱心で,PTAの方も,全体を巻き込んでというところまではいかなかったんですけれども,やはり配慮のことを親としては一番心配しておりました。身近な方にがんの患者の方がいるとか,そういう視点の配慮は大事,どういうふうに配慮していったらいいのか。大事にしていかないといけないねというところは非常に熱心にお考えいただいていたんですけれども,その先のことはまだ,申し訳ありません。
○衞藤座長
 徳島県さん,お願いします。
〇徳島県教育委員会(濱井参考人)
 がん教育については,この段階でしたら,するか,しないかというよりも,どこでどういった方法で,どう盛り込んでいくかという議論の段階になっているんだろうなというふうに考えております。PTAの方には常日頃,貴重な意見をいただいておりますので,自分もPTAの一人として,その視点を失わないようにしたいというふうに考えております。
〇静岡県教育委員会(天野参考人)
 今後のがん教育についてはどう現場で受け止められているかというところですけれども,やはり必要である,生徒にとっても有効であるということを,今後,更に伝えていく努力は私たちしていかなくてはならないと思います。保健学習の中で,生活習慣病の中の一つとして取り組むということもこれから必要であると思いますし,今は,可能なやり方を模索していくという段階ではありますが,是非,その教育課程中に組み込んでいくという努力をしていきたいと思います。それからPTAということでしたけれども,本県としても保護者にその授業のことについて伝えるとか,あるいは保護者からコメントをもらうとか,そのような取組はしていきたいと思っています。ただ,それがこのPTAの組織をどう巻き込んでいくかという部分には,まだ我々の視点も向いていませんでしたので,今後,検討,協議していきたいと思います。以上です。
○衞藤座長
 それでは3県の皆さん,どうもありがとうございました。それでは,先へ進みます。次に,がん拠点病院,がんプロ,対がん協会より御説明いただき,三つの御発表の後に質疑応答をすることといたします。
 それでは静岡県がんセンター総長,山口様から,順番に,よろしくお願いいたします。
〇山口参考人
 静岡がんセンターの山口です。
最初に,後付けで資料を出させていただいたので,資料の説明だけ先にさせていただきます。「君たちとたばこと肺がんの話」というパンフレットと下敷き。これがお手元に届いております。それからクリップで留めた三つの資料。今日のハードコピーと,「がん診療連携拠点病院等の整備について」という文章と,それからお話の中で出てくる「アンケート調査結果報告」。こういうお話を今日はさせていただこうと思っております。
 本日は,最初に3県の皆さんのお話を聞きながら,こういうお話で大事なことは,何のためにこのがん教育を行うのか。それから,対象となる年齢が非常に異なりますので,小学生なのか,中学生なのか,高校生なのか。さらには,少なくとも一つの目的は,日本の国民ががんからできるだけ命を救われるということなんでしょうから,その効果が出るのは多分,30年,40年後になる。その教育が30年,40年後に生きるかというところも一つ重要なことなのかなというふうに思いました。
 今日の私の話は,基本的に小学生,中学生を意識したお話にさせていただこうと思います。
 拠点病院の話ですけれども,本日,私が厚生労働省から紹介されたのは,国立がんセンターの職員として,構想の段階から拠点病院に関わり,その後,指定のための委員会で十数年,委員を務めており,拠点病院の裏表は厚労省の皆さんよりも知っておりますので,この場でお話をすることになったんだと思います。まず,簡単に,どういう制度かをお話しします。
 47都道府県に原則,都道府県の拠点が1か所。それから二次医療圏別に地域拠点が1か所,近年,新たな制度が二つほど加わっていますけれども,総数400余りの拠点病院が指定されています。
 こういう仕組みの中で,拠点病院が一般病院,診療所と連携を保ちながら,患者が,どこに住んでいるかということをあまり意識せずに,等しくレベルの高いがん医療を受けられるようにする。これがこの制度の目標です。
 各都道府県には,都道府県拠点,あるいは地域拠点が厚生労働省によって指定され,さらには,一部の都道府県が独自で指定するがんの診療に従事する病院を加え,そういうグループが一緒になって協議会を構成し,活動しています。この都道府県拠点や地域拠点など,厚労省が指定する拠点病院には,相談支援センターが設けられています。これがないと指定が外れますので,必須要件です。私どもはがんよろず相談と呼んでいますが,静岡がんセンターのがんよろず相談がモデルとなり,全国にこの制度が始まりました。最強の静岡がんセンターよろず相談では,年間1万2,000件の相談を受けています。
 なぜ,この話をここでさせていただくかというと,この相談支援センターの業務の中に,患者,家族,地域住民,医療機関,こういった方々を対象として,「がんの病態,標準的治療等,がん診療及びがんの予防,早期発見等に関する一般的な情報の提供」という業務が真っ先に書き込まれています。したがって,その地域で教育する場合,教育者がお困りになったり,情報を求める場合には,これが使える制度だと思います。
 がん教育をこれから推進していこうとすると,関わる方々は教育機関,そして行政であり,また,その知識という意味では医療機関になるかなというふうに思います。すると,担当者は,教育機関の教師の方とか,あるいは,今日,御発表なさっている教育委員会の皆さん,それから行政で役人,医療機関で医師などになります。一般的に言われるのは,教師,役人,医師,特に医師ですけれども,大体,常識をあまり持っていない,常識を欠く人種だとよく言われます。役人,教師も似たようなところがあって,この三者が一緒になって事業をやろうとすると,大体うまくいかないことが多いのです。
今回,先ほど静岡県の御発表がありましたが,スタートではトラブりました。それを,現在,厚労省から出向している秋月医監がうまくまとめたというようなこともおきました。
したがって,大事なことは,この三者の連携をどうしっかりするか。みんな,やや独善的なところがあって,自分がやっていることが正しいと思ってしまう傾向があります。そこをちょっと修正せねばならない。なぜかと言うと,これで恩恵を受けるのは児童,生徒,家族です。ここを無視して,それぞれの職種が自分の考えだけで頑張り出すと厄介なことになってしまう。だから,児童,生徒のためのプログラムですよということを徹底して,意思統一を図る必要があろうかと思います。
静岡県はすべてトラブっているわけではなくて,非常にうまくいっているプログラムもあるので,それを紹介させていただきます。教材という話がありましたので。
静岡がんセンターは,設置の時点で疾病管理センターを開設しました。これは,370万人の県民を対象にがん対策を実践する部門です。ここで,小学生を対象としたたばこ対策を行いました。
私は,国立がんセンター時代に,がん研究振興財団のパンフレット「君たちとたばこと肺がんの話」の作成,構成,あるいは改善に関わっておりました。このパンフレットは配布開始が1986年度で,1年間に最大70万部を配布し,累計の配布数は583万部に上っている,この分野では超大ベストセラーです。このコピーをお手元にお届けしております。
国立がんセンターを含めて,その後,少し色が変わったり,立派な冊子になったのですが,学者,専門家の独善的なところも出てきたように感じています。立派な冊子にはなったが,多分,多くの子供たちにとって,理解できないようなものになって,結局,全て現在配布中止ということになってしまいました。私はこの財団の理事を務めているので,この状態は何とか改善をしなければいけないだろうなと思っています。 
一方で,静岡では,今日お手元に配布させていただいている下敷きを作りました。これは静岡県健康福祉部と静岡がんセンター,並びに静岡県医師会,県教育委員会,県の学校保健会,対がん協会の合同作業です。この下敷きの状況は2005年度から配布を開始して,県内の小学5年生全員に配布しています。毎年4万枚ずつを小学5年生に配布し,累計の配布数が現在42万枚,約10年間です。作成費用は年間あたり200万円です。費用対効果ですけれども,4万人の中の二人の児童がこの下敷きを見て,自分は,たばこは吸わないぞと,一生それを通していただけると,投入した200万円の元は十分にとれます。今,肺がんになると,生涯医療費が多分500万以上かかりますので,200万で元がとれる。なぜ二人かというと,喫煙者の健康被害が出るのは大体二人に一人とされていますので,安全を見て,二人に一人。多分,4万人の児童の中で,この下敷きでたばこを吸うのに手を出さなくなる。そういう人が必ずいるはずだと思いますので,ちゃんとした分析はなかなか難しいのですが,そのように考えています。
小規模なアンケート調査を実施し,教育現場の皆さんに伺ったところ,91%の児童が何らかの反応をちゃんと示しているということで,一定の効果は上がっているだろうと思います。
公衆衛生研究会に発表したアブストラクトをお手元につけてございますので,御興味があれば御覧いただきたいと思います。
それから,右の上に書いてある,静岡県がん対策推進計画でも,下敷き配布を書き込み,行政として今後も推進する根拠としています。
先ほど申しましたように,何十年後かにこれだけは覚えてほしいという項目の中で,一番,重要なのがたばこです。もともと,最初にお示ししたブルーのパンフレットは,後に日本医師会長を務められた坪井先生の発案で,国立がんセンターで作成したパンフレットです。坪井先生の福島での経験では,中学生を対象とした喫煙対策では遅過ぎるという結果が出ていまして,それ以降,小学生を対象に,たばこを吸ってはいけないんだという教育を始めました。このパンフレットが1986年にできて,それで静岡県としてはそれをフォローする形で,下敷きにしました。その理由は,簡単にごみ箱にいかない。それから家に持って帰ると,吸っているお父さん,お母さんもこの下敷きを見る。こうした二重の効果を狙って,10年配付を続けてきました。その間,文部科学省からも,厚生労働省からも,あるいは幾つかの都道府県からも,これが欲しい,あるいは使わせてほしいという申出をいただいていますので,何人かの方は御覧になっているかもしれません。
子供たちに伝えるべきことなんですが,端的に言えば,がんというのは,今や治る病気であるという,がんの一般論に加えて,「予防,検診,それから受診。この三位一体が大切である。どれ一つだけやっても駄目で三つそろえてやらねばならない」ということを伝えねばなりません。万が一,がんにかかってしまったら,最善の医療を受けることを目指します。
子供たちだけではなくて,今日この部屋にいる皆さんのうちで,私も含めて,半数はいずれがんと診断されますので,皆さんのためにも,今日このスライドを持ってまいりました。
がんの予防は決してオールマイティーではありません。がんの予防が3割,検診が3割,そして自分の症状に気を付けて,いざというときはちゃんと受診をすることが3割。それで9割。後の1割は神頼みということになります。
がんの原因ですけれども,いろいろな分析がありますが,たばこが30%,食事肥満が30%,運動不足が5%,感染等々,お酒で,このあたりを全部足すと,大体7割から8割になります。こうして,約8割は生活習慣が原因となっています。ということは,予防が可能ということです。ただ,食事を一切食べなければ餓死します。一方,たばこをやめても命には関わらない。よって,私たちが徹底的にフォーカスを当てているのはたばこですし,さらに,今後,学校教育の中でと言われると,食事や肥満の問題が重要になります。しかしあまり多くなり過ぎて,結果的に何も覚えずに終わったということは避けなければいけない。この辺が多分,学校教育の中に取り入れるとすると非常に難しい部分だと思います。
30年後,40年後に,その1時間の講義を,そのことを覚えていて,それを自分の一生に生かせるのかどうか。ここが多分,ポイントになろうかと思います。
がんを防ぐための12か条というのが,やはり財団から出ています。この中に書いてある12か条を,全て覚えて実践するというのは,大人にとっても至難の業(わざ)です。私はいつも大人向けの講演では,「たばこは吸ってはいけません。アルコールは控えめにしてください。塩分,脂肪は控えめに,日本食を腹八分目にして,肥満を避けてください。野菜,果物はたくさんとって,運動を適度にやって,清潔な生活を送り,ストレスを減少させましょう」という三行にとどめています。
この三行は,がん対策の重要なポイントなのですが,同時に,この全ての項目が心臓病,脳血管障害を予防する生活習慣にもなります。がんのためだけの教育というのはどうも小学生では無理だと思いますので,がんを含めた成人病対策,生活習慣病の基本をいろいろな段階で記憶に残るように,しっかり伝える。繰り返し伝える。そういうことがむしろ望ましいのかなという気がいたします。
1時間の講義で三日たったら,3割ぐらいの記憶しか残らない。30年たって,それを全部覚えているというのは,天才でないと無理だろうなと思います。ただ,これだけは覚えなさい。これだけはやっちゃいけません。そういうことがやはり必要なのかなというふうに思います。
児童生徒に伝えるべきことは何か。理解して,それが記憶できるか。人生の糧になるか。このあたりはしっかりした議論が必要なのではないかなと思います。
 今,私が申し上げたのは,小学生,中学生を意識して話をしたと言いましたけれども,教育現場は,集団生活を上手に送る。それから新聞等,ちゃんと文章が読めるようになり,読み書きができる。算数がちゃんとできて,買物に行って問題がない。こういう生活の手段を教育する場として重要です。
 今日,私は,将来のがんという病気について,この生活の手段という形で生活習慣を改めていっていただく。あるいは悪い習慣には手を出さない。そういうことを中心に申し上げてきました。ただ,幾つかの県の方がおっしゃっていた,がんという病気が命にかかわるというところは,私は大変大事だと思います。
 したがって,単なる生活の手段としてではなく,人生の糧になること,あるいは豊かな心を育てる。教育者であれば,「巨人の肩の上に立つ」という格言を御存じだと思いますが,がん教育についてもそういう部分が必要です。
 先ほどから,「静岡県は,命を軽視する」がごとくの議論が若干出ておりましたけれども,決してそうでないということを,自分の例で話をします。
 平成15年ですから,もうはるか昔なんですけれども,命の学習ということで,「沼津発いのち学入門」というテーマで,小学5,6年生を対象に授業をしました。私は,これまで,一般向けの講演を1,000回以上はやっていると思うんですが,これが唯一の,小学生に対しての講義でした。かなり準備をしました。一般向けに比べて100倍ぐらいの時間をかけて準備をしたと思います。これは先生の言葉ですけれども,『学校保健委員会で静岡がんセンターの山口先生の「沼津発いのち学入門」の話を聞きます。命についてもう一度考えてみましょう。』というのが目標でした。終了後の感想も全員から聞いていただきましたが,その聞き方は「これまで考えていた命のイメージと比べながら,感想を書いてください。」というものでした。小学5,6年生の意見の中の一つに次のようなものがありました。字はあまり上手ではないし,言葉遣いも洗練はされていませんが,私は,この感想を見て大層驚きました。それは,「先生が言っていた。人には絶対,死がある。」ここはかなり工夫した講義をさせていただいた部分への感想ですが,さらに「命は今を大切にすることだと思いました。」との感想が書かれていました。これは,大したものだと思いました。講義の中でこういう言葉には全然触れず,がんという病気についていろいろな工夫をしながら話したんですけれども,子供が教育の中で大切なことを学んでいく。こういうことががんに関する教育,あるいは,病気でも良いと思うのですが,にとって大切なことだと,私は認知させていただきました。生涯1回だけというのは,これ以降,小学校へのこういう講義は全てお断りするようにしました。理由はいろいろありますけれども。
 最後のまとめですけれども,がん拠点病院は,がん教育のための一つの資源であることは間違いない。ただ,がん拠点はそういうことに答える義務をもっているんだという上意下達的なアプローチをすれば,あっという間に破綻するだろうと思います。関係者の連携が必須です。それから,がん教育の中で伝えるべきことはたくさんあるけれども,子供たちに一体何を伝えるのかということを徹底的に議論することが大切であって,それが大人の自己満足や建前主義になってはならないと思います。その理由はいろいろ述べてまいりました。
 そして最後に子供たちはすばらしい感性をもっている。このことをしっかり,この議論の中に取り入れていただければ幸いかと思っています。どうも御清聴,ありがとうございました。
○衞藤座長
 ありがとうございました。続きまして,がんプロに関して,大阪府立成人病センター総長の松浦様,東京女子医科大学がんセンター長の林様,よろしくお願いします。
〇松浦参考人
 大阪大学の松浦です。東京女子医大の林センター長とがんプロについてお話します。私は,全国がんプロ協議会の会長,林先生は教育部会の会長です。私たちの行っているがんプロ事業ががん教育にも役に立つのではないか,そういう話をしたいと思います。
 まず,がんプロということを御存じない方もいらっしゃると思いますので,簡単に説明させていただきます。がんプロは文科省の行っている教育事業の略語で,2007年から11年までの5年間にがんプロフェッショナル養成プラン,2014年からは現在進行中ですが,プロフェッショナル養成基盤推進プランという事業が実施されていますが,どちらもがんプロという略語で呼んでいます。
 私たちがんプロ事業実施大学は,2007年から全国各地でがん医療のプロフェッショナルがん医療に必要な専門家の養成と,そのための教育基盤の構築・整備を行ってきました。2010年に全国で15のがんプロ実施グループ(拠点)100大学が,自主的に全国がんプロ協議会というのを結成して,互いの協力,連携をとるとともに,新しい課題にみんなで取り組んでまいりました。例えば,全国e-learningを実施したり,緩和医療部会を組織して,取組が不十分であった緩和医療の事業を充実させたり,様々な活動を行ってきましたが,本年8月に,今後の課題の一つでありますがん教育部会を立ち上げました。がんプロはがん医療の人材を養成するための事業ですが,その教育のリソースを国民への啓発活動や子供たちへのがん教育等,幅広いことにも利用したいと考えております。
 がん医療全体の流れを考えますと,何らかの症状があったり,検診で発見されたりして,患者さんが病院に来ると,がんと診断されて治療を受けます。普通の病気と違いまして,がんの場合はサーベイランス,経過観察をして,5年,あるいは長いものは10年たって治癒ということになります。その間に現在では4割の方が再発されます。再発されたら,また治療に戻るわけですが,一部の方は死亡されます。
 このがん医療の中で,我が国で非常に優れた所もあるかと思いますが,様々な問題点があります。先ほどの山口先生の話にもありました予防対策,あるいは検診ということはまだまだ不十分でございますし,三大治療であります手術は比較的,欧米に比べても遜色のない,よい成績をあげていますが,薬物療法,放射線治療というのは,日本は遅れております。
 最終的に亡くなる患者さんもおられるわけですが,そういう患者さんに対しての終末期医療も非常に乏しいというのが問題です。これらの問題点は,多くは人材不足が原因であり,人材育成を十分にする必要性があるということになるわけです。
 また予防対策や検診が不十分というのは,国民の意識の低さ,裏返せば,私たちからの啓発不足ということがあり,この点はがん教育につながっていくのではないかと思います。
 御存じのように,がん対策基本法は,2006年に公布されました。これは大阪の山本たかし参議院議員が胸腺がんになられて,自分の経験をもとに作られたわけです。最終的にお亡くなりになりましたが,がん医療には多くの問題があることを身をもって体験されたと聞いています。その中の一つが人材不足であり,専門医等の育成というのががん対策基本法に盛り込まれています。
 それを受けて,平成19年からがんプロフェッショナル養成プランの事業が始まりました。この事業は大学院教育であり,対象者は医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師,放射線技師など,資格をもっている人で,そういう人たちが大学院に入って,それぞれ勉強をして,専門の資格を取るというようなプログラムになっております。医師コースは博士課程,ほかの医療スタッフは修士課程の大学院で学んでもらいます。全国的にがん医療の専門家を養成する教育基盤を作って,優れた医療従事者を養成してがん医療水準の向上,均てん化を図ろうというのが目的でございます。
 がんプロ事業により各分野で多くの人材が養成されてきました。その中で一番顕著な例をお示しします。専門看護師にはいろいろな分野がありますが,がんプロで養成されているがん看護専門看護師の資格取得者ががんプロ開始の2007年から非常に急増しているのがお分かりになるかと思います。
 がん看護専門看護師が最も顕著ですが,ほかの職種も着実に増加しております。
 がんプロの歩みを見ると,第1期は全国で18拠点,95大学が参加して,各地でそれぞれの拠点で数大学が連携して,教育体制を構築して,最初は日本で遅れていた薬物治療,放射線治療,緩和医療を中心に実施されました。多数の人材養成を達成して,高い評価を得たので,第2期につながったということであります。
 これは人材養成事業ですが,付随的ないろいろな効果が得られまして,例えば,様々な専門職の人材養成をする必要性が一般の市民の方,マスコミにも認識されましたし,チーム医療の重要性が理解されました。また,地域レベル,地域を超えた連携が始まり,その一つが全国がんプロ協議会です。私たちは,ある意味,15拠点がライバルではありましたが,目的は教育ですから,共にいいところは連携し合って,一緒に協力しましょうということで協議会をつくりました。
 現在では2期目の途中でございますが,15拠点,100大学が参加しております。2期目は教育改革に加えて,研究者養成も必要である。地域連携も実施する。こういう形の事業になっております。それから名前のように教育基盤の構築,大学で教育するわけですから,基盤となる講座が必要でありますし,教員が必要であります。それを重点に置こうということで,全国的に約30から40の講座がこの教育基盤として整備されております。
 1期目よりも幅広い人材養成が実施されていますし,更に行政と連携する。患者会と交流する。市民啓発活動なども実施しております。こういう人材養成がうまくできると,がんの予防,検診,それから診断,様々な治療,終末期医療まで,それぞれの専門職がしっかりと診て患者さんに満足していただく医療を提供すると同時に,将来の新しいがん治療につながる研究を担う人材も養成していき,全体として日本のがん医療が向上することが期待されます。
 全国がんプロ協議会は,繰り返しますが,全国がんプロ実施の15拠点,100大学が自主的に結成したものです。これまで競争していたのを教育を中心に互いに連携しようということになりました。幹事会,総会を開催して,活動方針を決定しています。様々な活動をしておりますが,今年は全大学が東日本,西日本に分かれて,市民公開シンポジウムを実施して,啓発活動をしました。
 また,新たな課題への取組として,分科会を作って活動しています。緩和医療はがんプロ全体の中で養成がまだまだ遅れておりますので,緩和医療部会を作って,もう少し推進していきたいと思っています。今年はがん教育部会を今後の課題として立ち上げました。
 これは私たちの現在の全国がんプロ協議会のマップでありますが,15拠点,100大学。全ての都道府県に,それぞれの地域で,その地域に合わせた特色を生かして人材育成をしています。
 今後の課題について,今議論をしておりますが,育成をした人材のフォローをするとともに,新たな課題を解決する人材養成が必要であります。そのうちの一つにがん教育というのがあると思いますので,これはがん予防,あるいは検診にもつながるので,私たち自身は力を入れていきたいと思っております。今後,先生方と是非連携したいと存じます。
 ここからは,がん教育部会の会長の林先生に,お願いします。
〇林参考人
 東京女子医大の林と申します。このがんプロ協議会のがん教育部会をこの夏に立ち上げていただいて,そこの部会長を仰せつかりましたので,実際に,先ほど来議論にありましたように,やるにはどうするかというところを少し,プラクティカルな話をさせていただきたいと思います。
今の資料を拝見しますと,小学校が2万,中学生が1万,高校が5,000ある中で,先ほどの先生方のお話にも出ていましたけれども,医学部なんかは80校しかないです。それで実際に全部の学校,区切ったにしても,がん教育を担当する医師の不足が,これは拭えないんじゃないかという危惧が皆さんもおありかと思いますし,普通に考えるとそうなると思うんですが,こういったことに関して,少し別の取組から皆様への回答になるかどうか分かりませんが,お知らせしたいと思うんですが,これは,がんを,先ほど来,松浦先生にお話しいただきますけれども,法律で決めて,しっかり国を挙げてやっていこうという法律ができました。
がん対策基本推進計画というのができまして,その中の重点項目の一つに,全てのがん診療に携わる医師は,研修等により緩和ケアについての基本的な知識を習得する。こういうのがあります。これはなぜかというと,緩和ケアというのが非常に遅れていまして,まだまだ痛みに苦しんでいる患者さん,たくさんいらっしゃるような状況で,ただ,かなり高い目標をここで掲げています。全てのがん診療に携わる医師が,研修といっても,この研修はマスの研修はできませんので,最大で30人ぐらいの研修です。お互いにやり取りをするような,ワークがあるような研修でして,それを全てのがん診療に携わる医師,これは普通に考えるとなかなか難しい話に聞こえると思うんです。
当初の受講目標,10年以内に10万人です。10万人の医師。しかも,がんの専門医たちに,この研修を丸々二日かかります。土日を通常潰して,朝から晩まで二日かかります。この研修を受けさせられるか,というのが我々の大きな課題だったんですけれども,当然,そのためには全国的な研修のシステムの構築が必須となりまして,緩和研修,PEACE研修会と我々は呼んでいますけれども,その全国展開を図ってまいりました。
結果だけ申しますと,昨年度末の時点で5万人ぐらいの医師が,この研修を受講しています。医師の中ではいろいろな考えがあるとは思うんですけれども,ただ,その中ではこの5万人というボリュームを皆さんに研修を受けていただいているというのは,大きなインパクトの話かと思います。
じゃ,どうやっているのかと申しますと,二段重ねでやっております。これは日本緩和医療学会,日本サイコオンコロジー学会,精神腫瘍学の学会ですけれども,PEACEというプログラムを組んでいまして,最初にやったことは,指導者の研修です。全員に研修会を開いて,全国の先生方に集めるというのは非常に効率も悪いですし,内容もなかなか難しくなります。まずは,指導者の研修会を開いて,指導者を作りました。そこで指導者研修会,これも二日がかり,三日がかりになったりすることもあるんですけれども,徹底的にそのステージに対する緩和ケアの教育法とか指導を学んでいただく。
この研修の修了者が,各地でコアになって,緩和ケアの研修会を自施設,あるいは協働して行っていただく。そういった二段構えの方針をとりました。
ただ,先ほど来,やはり問題になっていました。教材がないとか,あるいは内容がばらばらになるんじゃないか。今まさにこのがん教育の問題で,皆様方,我々も直面している問題だと思うんですけれども,このPEACE研修会では全国一律の基準なり,あるいは教育内容を定めまして,指導者研修に関しましても,こういった研修会を開催の手引き,それなりのボリュームのあるものです。ここでは60ページになっています。全部で78ページでしたか,あるものです。そういったものをきっちり作りまして,全国一律で均一の緩和ケアのプログラムが展開できるような工夫をしております。
これを仮にがん教育の方に当てはめたと考えますと,がんプロの各施設が最低一人,がん教育のコアのリーダーとなってくれるような,指導者を養成して,そのリーダーがその地区の100人の先生方に対する研修を担当していただけば,先ほど来,80というと非常にボリュームが少なく聞こえますけれども,1万人のがん教育の担当医ができるのではないか。これが実際にやるからには,もちろん,先ほどの緩和ケア研修のような,国を挙げての大きな動きとしなければなりませんが,私はがんプロにはその力があると思っています。
全国の大学における医学部の集合体であるこのがんプロというのは,元々が大学ですから,教育に関して一定の意識と,プライドなり思いがある職員が多いと思うんですけれども,そういう中で,医学部は必ず1都道府県に一つありますし,都道府県,人口の多いところには幾つかもあったりしますが,全国の大学に展開するということで,まず,先ほどの緩和ケアのように,教育の標準化と均霑化(きんてんか)を行いやすい。それから,先ほど山口先生からプレゼンがありましたけれども,全国に400ある地域がん診療連携拠点病院。大学がこれを兼ねている場合も多いですが,あるいは,今日,道永先生もいらっしゃっていますけれども,地区医師会。拠点病院や地区医師会のアクセスが非常に容易であるというのが,大学のがんプロの主幹校,あるいは医学部の特徴であると思います。
それから,がんプロ,1期目,2期目でも行ってまいりましたけれども,医学部だけに限らず,ほかの文系の学部なんか,あるいは社会系の学部なんかと連携事業を組んでいます。がんプロではそういったこともやってまいりまして,私どもなども地域連携なんかで別の文系の大学に入っていただいています。総合大学であれば教育学部がおありでしょうし,あるいは我々のような,私の大学は単科大学ですから,そうしますと何とか教育大学みたいなところ,いわゆる児童や生徒の教育の専門の先生方との連携が可能であるのではないか。そして,これは国の大きな目標でもありますけれども,がん教育のプロジェクトを通じて,今まだ乖離(かいり)していると思いますが,地域と医療との連携,これは本気で地域包括ケアという観点からも考えていかなきゃいけないことだと思います。
やはり,先ほど来何人かの先生がおっしゃっていましたけれども,がん教育,我々は医療のときに,よくチーム医療という言葉,最近,まるでどこの世界でもテーマにはなっているんですけれども,チームが必要だよ。当然,中心にいるのは子供たちです。私も地元の新宿区で,来週ぐらいから小学校の授業を展開しますけれども,私の場合を御説明させていただくと,学級の担任の先生,それから養護の教諭の先生,そして私が入って,お互いに問答みたいなことをしながら,教材も作って,それで我々三位一体と呼んでいますけれども,三人で教育を行っています。これは私,非常にいいパターンではないかと自分で感じました。右に書いてあるように,どの学年から始めるかとか,何を目的とするか。誰が教えるか。どんな内容を伝えるか。どんな教材を使うか。これはまさにこの検討会で皆様に考えていただき,教えていただきたいと思っておりますけれども,まず,このがん教育というのは,私は教育の専門家である教師が中心だと思います。我々医師,あるいは,がんの経験者というのは必須の要素として加えていただけたら,できる限りの協力をさせていただきたい。今後,がん教育部会というのは,今後の活動を,そういった意味で,この検討会と歩調を合わせていきたいと思っておりますけれども,私もこういうところに少しリポートするつもりでおりまして,少し先生方の気持ちを分かる必要もあると思います。やはり,教育現場がどんなに大変かというのもかねがね聞いておりますし,そういった意味で,私も一大決心しまして,これも個人事になりますけれども,とある大学の通信教育課程,あるいは保健体育一種免許を取るべく,今,学生でございますけれども,そういった中で先生方とお話をしていますと,あるいは,がん教育に携わるに当たって,どんな内容をしようかとお話していますと,我々医師と教師の先生方の共通点が幾つか浮かび上がってきました。
まずは,全ての国民を対象とする必要があるということです。選んだ子たちじゃなくて,みんなに教えなくてはならない。みんなを治療しなきゃならないというのは非常に心地いいところでもありますけれども,苦しいところでもあります。それから,国民からは,質が高くて,しかも均質のサービスを常に要求されています。ただ,しかしながら,実際には地域差であったり,施設差であったり,非常に大きいのも,非常に医療と教育は似ているなと思います。
ただ,これを実践するに当たって,先ほどなかなか難しいんじゃないかというお話もありましたけれども,我々と先生方の共通点,もう一つあるのは,国の動きとか,あるいは義務化されると,我々は非常に従順に,もう羊のように従う。例えば,法律の文言になった途端,あるいは,何かの要求になった途端,先生方でいえば教育指導要領に書き込まれた途端,非常に従順に,ひたすら真面目に任務を遂行される。そういったことを考えますと,私は十分可能なのではないかと思っています。  
あと,例えば費用のことなんですが,山口先生,こういった具体的な要件,こんなぶ厚いのをお示しいただいたと思うんですけれども,こんな大変なことを,我々,厚労省からは一病院2,000万ぐらいの予算でやっています。そういう意味では幾らもがん教育に関しても,モチベーションのある医師を集めるのは可能だと思いますので,今後よろしくお願いいたします。以上でございます。どうもありがとうございました。
○衞藤座長
 ありがとうございました。続きまして,日本対がん協会マネジャーの小西様からお願いします。
〇小西参考人
 日本対がん協会の小西です。皆様,今日はどうもありがとうございます。このような機会を与えていただき。
 私ども,日本対がん協会が取り組んできていることを紹介させていただきつつ,これからどうやっていったらいいかということを,皆さんと一緒に,これから私たちも考えさせていただきたいと思います。
 それでは始めさせていただきます。日本対がん協会,がん教育への取組。ちょうど2009年の12月,5年前になります。がん教育基金というものを作って,というか,その前に委員のお一人でいらっしゃる中川先生から,子供たちにがんのことをもっともっと伝えていかないと,日本のがん検診の受診率も上がらないし,がん全体への,いわゆるがんに負けない社会を創るというのは,やはり子供たちの教育から始めなきゃいけないんじゃないかということで,それで私たちも賛同して,がん教育基金,がん教育を進めるための寄附を集める。対がん協会は基本的に皆様の寄附で成り立っている団体ですので,がん教育に特化した寄附を集めるということを始めました。
 それをもとに,今日,皆様のお手元にお配りさせていただきましたけれども,DVD,「がんちゃんの冒険」というものを作りました。やはり,子供たちに分かりやすく伝えるためにはどうしていったらいいか。これも当時,今も試行錯誤しているんですけれど,何も目安がない中で,とにかく手探りでつくっていったというところであります。ですので,少しその当時の状況が反映されたDVDで,絵のところに子宮頸(けい)がんのワクチンの部分がその当時推奨されていたということもあって,そんな内容になっております。今,現在使っておりません。今現在は修正をしようということで準備しております。
 それとともに,DVDを作るとともに,朝日新聞と一緒になって,このドクタービジットという出前授業を企画いたしまして,実際に始まったのは2011年の秋からなんですけれども,途中,東日本大震災があったのでちょっと滞っておりましたが,これまでに16校で実施しました。これが体育館で実施したり,これは奄美大島の学校です。これは長野県の高校,長野市内でした,確か。こういう視聴覚教室のようなところで実施したり。これは横浜の高校です。この場合は少人数でやったもので,非常にざっくばらんなディスカッションを行いました。これを朝日新聞の記事を載せて,がん教育をとにかく普及させよう。
 これは去年の6月に,奈良県の高校で行ったもので,ちょうど6月だったので,子供たち,夏休みの宿題として,自分たちの町からがんで苦しむ人を一人でもなくす。一人でも減らそうということで,自分たちで何ができるかということを考えてほしいということで,夏休みの宿題にしました。
 子供たち,生徒さんたちは一生懸命考えてくれて,自分たちで,周りの方だとか,病院とかに行って話を聞いて,それで一つのレポートをまとめて,秋の文化祭で発表されたというふうに聞いております。もちろん,これはきっと担任の先生が非常に御苦労されたんだろうなというふうに,あとで感じた次第ですけれども,非常に内容のいいレポートができていました。
 これは「生きること」ということをきちんと考えていかなきゃいけないということで,これは中川先生に行っていただいた授業であります。委員の植田先生にもインタビューに登場していただいて,がん教育をこれからどう進めていくかということを少し考えました。
 これは神戸の教育委員会と一緒になって,というか,神戸市教育委員会が実施した授業に私たちが協力させていただくという形で行ったものです。
がん教育,2009年から準備して始めてきたわけですけれども,がん対策推進基本計画の中で普及させていかなければいけないということがうたわれている一方で,一つの学校とか,一つの学級単位で,私どもは日本対がん協会という小さな組織が行っていくには当然限りがありますし,人的にも限りが,非常に制約が強い。そういった中でどうしていったらいいか。一つの学校に行って,そこでお話させていただくというか,先生に行っていただいて,お話していただく。そこで,やっぱりすごくよかったねというふうになるんですけれど,これがその地域全体に広げるにはどうしたらいったらいいかということを考えて,だから,いずれ,多分私たちも,これは希望でもあるんですけれども,がん教育というのが義務教育の中,若しくは高校の教育の中で一つの教育課程プログラムに入ってほしいというところが,期待しているわけですけれども,その場合に,先生方が自分たちで教えるというふうに多分なっていくだろうということの推測で,じゃあ,どうしていこうかというと,私たちが御協力させていただいて,授業に関して,その地域の養護の先生,保健の先生,御興味のある先生方に見ていただいて,それをまな板の上にのっけてたたいていただこうじゃないか。そこで御意見をいただいて,私たちも勉強をしたいし,先生方にも勉強していただきたいし,生徒さんたちも勉強。みんなが勉強していこうというふうな姿勢で活動を,今年から,少し変えて始めました。
実は神戸の学校で,今年2月に実施したんですけれども,このときは養護の先生を中心に,30人ぐらいの方に集まっていただいて,これは体育館で行った講義。それを見ていただきました。この後,その養護の先生たち,教育委員会の方々,並びに市会議員の方も参加されていたかと思いますけれども,ディスカッションをしました。
そうすると,どうしても講義の中では,こういう生活なり,夜8時までに御飯を食べましょう。バランスのよい生活。朝は起きて,朝ご飯を食べて,そういったことをどうしても触れざるを得ないというか,触れるのが当たり前なので,そうするとそのディスカッションの中で,いろいろな家庭がある中で,そういったことが望めない子供さんたちもいる。そういった子供さんたちの配慮をもう少ししたらいいんじゃないかとかいう指摘がありました。語弊があるかもしれませんけれども,建前ばっかり言っていても,目の前の子供さんたちにどう映るかということは,きちんと考えないと駄目だなというふうに,このときは感じた次第です。
それで,神戸市の話ばかり,しばらくさせていただきますけれども,学校の先生方の研修会でがん教育をテーマにしたフォーラムがありました。60人ぐらいが参加されて,そこで少し話をさせていただいて,ディスカッションしました。ちょっと細かくて恐縮です。皆さんのところに送らせていますけれども,クラスの子供たちのお母さんが乳がんで闘病をしているとか,そういう先生方は,その子供さんたちにがんのことをどう話していったらいいのか。死とか,そういったことにつながる話をしていいんだろうかという悩みもある。一方で,まだまだ,がん教育というのは人ごとだというふうに感じていたというふうに正直に書いて,これは感想ですけれども,書いていただきました。
結局,先ほどからもお話されていらっしゃいますけれども,誰が,いつ,どのように,何を伝えていくのかとか。がん教育がもし導入されたら,環境教育だとか,食育だとか,いろいろなことを学校現場にどんどん負荷がかかってきている。そういう中で今度,がん教育だ。自分たちもがんのことを勉強したこともないし,自分たちでさえ,もちろん学校の先生方,喫煙率がゼロだとは思いません。やはり,たばこ吸っている先生もいる中で,たばこのことをどう伝えていったらいいのか。そういったことをきちんと伝える内容,並びに教材,そういったものが欲しいというふうな声がありました。
これは今年7月,島根県,江津市という非常に田舎,日本海側に,夕日が非常にきれいな町でありました。そこで同じような形で講義を行ったわけですけれども,そこでサバイバーの方に来ていただいて,後でディスカッションに加わっていただきました。そのときは講師の先生。これはがんの専門医ではなくて,循環器の専門医に来ていただきました。この方は自分がサバイバーになり,肉腫を発症し,非常につらい抗がん剤治療をやった。髪の毛も抜けた,眉毛も抜けた。それを自分の子供にどう話していいのかというときに,はたと困ったという体験を個人的に聞いていたので,その先生にその体験を中心に話してくれませんかと言って話をしてもらいました。
事前に内容についてはかなり打合せをして,非常にある意味,がんの知識に関して網羅的なことをしてやったわけですけれども,その後で行った地域の方たちとのディスカッションの中では,大人は気にし過ぎる。サバイバーとして私がいろいろなところで話しに行っているけれども,子供たちはきちんと受け止めてくれる。そういったことを教育関係者,並びに日本対がん協会,そういったところはきちんと受け止めてほしいと言われました。
だから,あまり考え過ぎるといけないのかな。大人の分別というのが子供の成長にとって,逆に働くこともあるんだなということを,私たち自身が学んだ次第です。
それで,皆様のお手元に配布させていただいていますけれども,今,アンケートも実施しています。これは聖心女子大学の植田先生と一緒に,御相談して作っていったんですけれども,こういうイメージを,文部科学省の以前の検討会で作られた質問をもとに,アンケートをもとに作りましたけれども,授業の前と後,これは実施する前ですけれども,その数か月後に聞いてみよう。その行動がどう変わったのかということを聞いてみようというのも,一つの取組にしました。それがこの内容です。授業前と授業後,がんは身近な病気。6か月たって,ほぼ少し下がっているとはいえ,ほぼかな。がんが怖い病気とかそういったイメージも,授業の後よりも,授業の前に少しは戻っていますけれども,それなりに子供さんたち覚えているかな。知識に関しても,こういう傾向でした。
この授業を受けた後の行動を少し見ています。これは抜粋ですので,ちょっとあれなんですけれども,家族に授業のことを話しましたかというと,5割以上の生徒さんが話をしていたとか,がん検診を受けているかというのを御家族に尋ねましたかというのを聞くと,2割余りの人が聞いたとか。いろいろ難しいところもあるんですけれども,評価は非常に難しいんですけれども,ただ,こういうふうな結果が出たということです。
このアンケートもそうなんですけれども,事前に講師になってもらった先生と相談したのは,こういったことを子供に伝わるようにお願いしたい。これは友達と一緒に,下のところなんですけど,これは単に講義形式では非常に難しい。何らかの形で子供さんたちもその授業に加えるといったことが必要じゃないかなという感じがいたしました。
どの学年で,どんな内容を,私たちがそういう体験の中で,目安がない中でこれまで試行錯誤してきているわけですけれども,事前に現在対象とする学年の生徒さんたちが,どういう授業になっているかということと,聞いておくことが非常に重要だな。その内容をある意味補完する。少し予習という形もとれるかもしれませんし,補完する形もとれるかもしれません。こういったことは一つ工夫できるのではないかなというふうに思いました。
そういった中で,ベースになっているのは,これは私たちの考えなんですけれども,知識はもちろん知っていただかなきゃいけないんですけれども,自分たちが何ができるか。何しろ自分にとって何なのか,考えてほしいというのが願いです。
ただ,課題も見えてきました。正しい情報をあまねく伝える。これは非常に難しい。これは先生方に誤解を招くことをあえて承知の上で出させていただいたんですけれど,医師が語れば,それが正しいかというと,決してそういうこともないだろう。もちろん,専門の領域,そうじゃない領域。例えば肺がんのことを話をする。たばこの害の話をする。子供たちから質問が出ます。「どうして,そういう悪いものが売られているんですか」。これについてなかなか答えるのが難しい。そういうときはもう止めようとしちゃったんですけど。
一方で,体験者の方,サバイバーの方たちの語り。これは非常に共感を呼びます。先ほど前川委員もおっしゃっていましたけれど,共感を呼んで,子供たちに非常に。逆に,医師がしゃべると子供たちは寝ています。でも,体験者の方がしゃべると寝ません。それほど食い入るように見ます。でも話している情報が正しいかどうか。ないしは,この方の個人的な体験であるということをやはり理解した上で聞いてほしいなという部分もあります。ただ,その共感は非常に大切にしたいと思います。
日本対がん協会の少しPRなんですけれども,来年度,多くの先生方,迷われる。私たちも悩んできたことを素直に情報公開していきたいということで,こういったがん教育支援プログラムというものを考えていきたいというふうに思っております。
少し時間をいただいて,ここで今お配りしたDVDを少し御紹介させていただきたいと思います。
                                  (DVD鑑賞)
〇小西参考人
 これは「命を考える授業」という副題をつけております。
 申し訳ありません,機械がうまくいかずに。お配りしていますので,是非一度御覧になってください。ただ,これも少し修正を加える予定です。最後にテロップをつけたりしてお配りしたいというふうに。修正を加えた上で,これをがん教育の一つとして,日本対がん協会のDVDとして提供していけないかな。このDVDは,中川先生に監修をしていただいております。 
 最後,申し訳ありませんでした。これで終わります。ありがとうございました。
○衞藤座長
 ありがとうございました。
 これで3名の方からの話を聞いて,質疑応答をする予定が,時間の方がかなり遅れておりますので,中川委員から資料の提供があって御発言をしてもらうのを,先にしていただいて,その後,残りの時間で質疑応答をしたいと変更したいと思いますので,中川委員の方から,続きましてお願いします。
〇中川委員
 資料7を御覧ください。この,がん教育が国として取り組まれているこの背景は,がん対策基本法のマスタープランであるがん対策推進基本計画,第2次のものの中に,この学校での健康教育が書き込まれて,そして平成29年6月までに,学校での教育の在り方を含め,がん教育についてどうすべきかを検討し,また,検討結果に基づく活動の実施を目標とする。これを受けてのものでございます。
 そして,多くの方,御存じだと思いますが,昨年度,日本学校保健会の中に設置されたがんの教育に関する検討部会の報告書が上がり,その中には教師の先生方による授業とともに,医療者やがん経験者を外部講師として活用することを推奨している。現在,この報告書は教育委員会,ないし,がん対策の保健福祉部局にも送付されています。
 今日,三つの自治体からの御発表もありましたが,このがんの教育を行う自治体も増えているわけでありますけれども,その中で命の大切さを学ぶという視点が大事だというのは,今日の議論の中でもございました。
 そして,教材を,学校現場での忙しさということも触れられておりましたので,できるだけ先生方の授業構成に資するような,しかも,またそれが正しく,医学的事実やがんの患者さんに対する偏見などがないような,そういう教材が必要であろうかと思います。今日,小西さんが御指摘になりましたが,「がんちゃんの冒険」という古い方は,これは御覧いただければですが,文部科学省の学校健康教育課の製作協力というクレジットも出てございます。新しい方の「がんって,なに?」。これは私としては,将来,自由に,許可は必要かもしれませんが,できるだけ自由に活用できるような形をとりたいと思っておりますけれども,これは現在まだ待ってもらって,是非先生方のお力,また,学校健康教育課の御指導を得て,何らかのクレジットをいただければというふうに思っております。
 それから,現在,がんに関しては学習指導要領の中で,生活習慣病の中で扱われてございます。これは山口先生が御指摘になったように,完全な生活習慣じゃないんです。女性で3分の2,女性で半分ぐらいですかね。男性はもう少し多いわけですが,いわゆる,この辺の記載ががんの患者さんに関する偏見につながっているという指摘もございます。この辺を総合的に考えていきたいなと思っております。
 それから,小西さんの御発表に近いんですけども,私も対がん協会さん以外に,「生きる教室」という出前授業をやってございます。これは林先生が御指摘になった,また,学校保健会の中の報告書でも指摘されている学校の先生方とともに,医療者,また,がん経験者が各チームを作って,授業をしてまいりました。医療者の方は私ですけれども。現在,10校,約1,300人の中学校2年生に実施をしてまいりました。そのうちの1,100名の生徒さんを対象にしたアンケートの一部を,裏をめくっていただきまして,これは毎日新聞の記事の抜粋ですけれども,授業の直前,直後,そして6か月後にデータをとってございます。予防できる病気が84,そして6か月後だと64%。生活習慣病は1位というのもやはり86,更に65等々。6か月後についてもかなり残っているというふうに私は思っております。そしてまた6か月後,実際に家族にがん検診を受けるように勧めたというお子さんが半数にも上っておりまして,山口先生もおっしゃるように,30年後,教育の本来の意味が出てくるかと思いますけれども,現在,日本男性の60%,これは2010年ですから,恐らく数年後には日本の男性の3人に2人ががんになる。そして,人口10万人当たりのがん死亡率がアメリカの1.6倍までになっているんですね。こういった現状を少しでも変えていくためにも,こういう取組が広がることが望ましいと思います。以上です。 
○衞藤座長
 ありがとうございました。それでは,がん拠点病院,がんプロ,対がん協会より御説明いただいた点,中川委員からの御発言も踏まえて,御意見,御質問などありましたら,どなたからでも結構ですので,御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。青木委員,どうぞ。
〇青木委員
 ありがとうございました。
 いろいろなところで専門の方を養成していただいていて,学校現場としては有り難いなと思いました。今日のお話もお聞きして,教師と医師は仲があまりよくないなんておっしゃいましたが,本当に連携してやっていかなければならないという反面,やはりお医者さんが話されると難しくなるときがあるのですね。高度な専門的な知識が必要な場合もあるのですが,やはり小中高等学校なりに,発達段階に応じて工夫していただかないと,子供が理解するのは難しいと思います。
 それから,このように大勢の養成をしていただいて,全部が全部回らなくても,T1は担任だと思います。T2にそういう専門家の方,あるいは経験者の方等をうまく組み合わせていけば,子供の心に訴えるような,怖くないけど,でも生活習慣をしっかり直していかなければいけないとか,こういう対応をしていけばよいということが,子供たちの中に入っていくのではないかと思います。期待しておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
○衞藤座長
 ほかにいかがですか。どうぞ。田中委員。
〇田中委員
 本県でも今年度,文部科学省の委託を受けまして,モデル事業を既に中学校3校で終了したところでございまして,こちらにいらっしゃいます中川先生に講師をお願いしまして,極めて順調にモデル授業が終わりまして,期待する成果とか,生徒の反応は得られてございます。
 ただ,これは中川先生ですからうまくいったのかなと思っていまして,今後,来年度以降の課題として,やはり全校でやる場合の外部講師の先生方が不足している点,それから,教員がいざ担うとなった場合の教員の研修,それから教材,これは皆さんおっしゃっていましたけど,そこがやはり大きな課題だなというふうに認識しておりまして,そういった取組をこれから県としてもやっていかなくちゃいけないと思っているところでございます。
 そういった中で先ほどお話にありました外部講師に,そのがんプロとして養成された方に支援をしていただけるという,大変心強いお話がありましたけど,これは近い将来,現実的なお話として期待させていただいてよろしいのかどうかという。その辺だけお伺いしておきたいなと思ったので。
〇松浦参考人
 松浦です。がん教育は議論を始めたところで,どれぐらい近い将来かわかりませんが,できるだけ早急に協力させていただけたらと思いますし,私たちがんプロも,今,2期目ですが,3年たちましたので,残りは,あと2年です。次の課題を見つけて,がんプロを更に発展させていきたいと思いますので,目標としては2年後ぐらい先に協力させていただくのが現実的ではないかと言うのが,私自身の個人的な考えです。
 ただ,がん教育の現場がもっと早く協力してほしいということでしたら,全力を挙げてそれに応えられるよう取り組みたいと思います。
○道永委員
 いろいろと御発表,ありがとうございました。対がん協会の,いろいろと今お仕事をなさっていることと,がんプロとあまり齟齬(そご)がないようにしていただきたいなと思いました。それぞれから恐らくいいものができるとは思いますが,使うサイドが,どっちがいいのか分からないということがないようにしていただければと思います。このがん教育というお話が出ていますが,この1,2年の間にすぐ結果が出るものでなくて,その本当の教育の結果というのはこれから20年,30年後に出てくると思っています。今の教員の方々に対しては,今,モデル事業をこれだけやってくださっている県がありますので,その好事例みたいなことで話を進めていけばよろしいのかなと思います。  
 がんプロの中で,巻き込んでいる大学が教育学部も入っているということで,今後は教師を目指す方が全部,がんについての,本当に少ないものでもいいんですが,命という,その教科だけでなくて,そういった教育を入れていただければと思いますので,それはがんプロの方から働きかけていただければと思います。
 あとちょっと。今,静岡県の方が残っているので,12月16日の講演のことで,ちょっとだけ付け加えさせていただきたいと思います。
 がん教育の中で予防が非常に大切だということを教える必要があります。その中で,ワクチンによる予防はとても大事なことです。子宮頸(けい)がんワクチンは今,残念なことに,積極的勧奨が止められていますが,それについて触れないというのではなくて,やはり,今そのワクチンを差し控えていることで,今後不利益をこうむる女性が出るかもしれないということを念頭に置いて講演会をやっていただければと思っています。これは要望です。よろしくお願いします。
○衞藤座長
 松浦先生。
〇松浦参考人
 どうもありがとうございました。現時点では教育学部はまだ巻き込んでおりません。将来的に教育学部と一緒にやろうというところでございます。
 それから先生がおっしゃったように,今は,がんプロをやっている一部の大学で個々の先生がそれぞれの地域でばらばらにやっていますが,今後,統一化したいと思います。対がん協会も随分熱心にやっておられますし,がん拠点病院とはまたいろいろ連携して,みんなで統一した形でやっていきたいと思います。ありがとうございます。
○衞藤座長
 そのほか,いかがでしょうか。中川委員。
〇中川委員
 度々発言して申し訳ございません。先ほど神奈川県からの御意見がありましたが,実は神奈川県でも,結構,当初なかなか難しいところがあったんです。その経験は実は,がん治療学会でも神奈川県の方がお話されているんですが,ポイントは,もともとこの問題には健康福祉部局の方が関心があると思うんです。そして,その中のがん対策のセクションというのは,様々なチャンネルがあって,これは対がん協会もそうですし,もちろん拠点病院とものすごくパイプがあって,がんプロも今後そうなってくる。そして,その患者会とか,つまり外部講師のリソースは,むしろそちらがもっているんです。
 ただ,これは教育ですから,その本体というのは教育委員会で,それが非常に手を携えることが大事で,しかも,当初はむしろ,がん対策セクションの方に中心になってやっていただきながら,そうすると例えば,当初のがん対策セクションが主催していた会の中で随分,この必要性を認識していただいていたんです。今年度からは教育委員会の方が主催するようになって,そういうウエートを変えていって,バトンタッチするような形が非常に望ましいのかなという気がいたします。そうすると自然にうまくいくんですね。
 もう1点。道永委員がおっしゃった子宮頸(けい)がんの問題は,これは非常に前の言い方をされましたが,これはある学年でがくっと罹患(りかん)が減り,また,ある学年で増える。これは明らかです。国際的に見ても,工場は一つしかないんです,あのワクチンは。そして副反応。副作用ではなくて,副反応の発生率が,これもう世界共通なんです。しかし,それが今,日本でだけ止まっている。これは非常に大きな問題で,もちろん,政治的な取り上げられ方もしていますので,余り正攻法でいくのもいいかどうかわかりませんが,この問題は非常にここにお集まりの皆さんが正しい認識をもっていただかないと,その上でどういうふうな見せ方をするかというのは別だと思うんですけど,それが必要なのかなというふうに思っています。以上です。
○衞藤座長
 そのほか,いかがですか。野津委員,どうぞ。
〇野津委員
 今日は多くの専門家の方が来られているので,是非お伺いしたいんですが,アンケートにしばしば,がんは怖い病気であるということに関して,「そう思わない」というのが教育効果があるというようなことで聞くんですけれども,子供たちは怖い病気でないと思うようになると,予防行動をとろうということにつながりにくくなると思います。本当に,「がんは怖くない病気である」という方向の教育が望まれるのか。その辺はどうなんでしょう。
 「むやみに怖がる病気ではない」というのがねらうところだと思うんですが,このようなアンケートの文章で,今後も測定,評価されていくんでしょうか。
〇松浦参考人
 私も少し,同じ感想をもちました。私や山口先生の世代は,がんは不治の病と言われていましたが,がんはもう不治の病じゃないという意味の質問だと思うんです。一般的にはがんが死ぬ病気だと思っている人はたくさんいるので,それほど怖い病気じゃないということを教える必要はありますが,一方でがんは死ぬ可能性のある病気ということも教えるべきだと思います。
 質問紙にもありましたけれど,早く見付ければ治りやすい。ある程度の時期でも助かる可能性は高い,でも,やはり死ぬ可能性もある病気ということを教えるべきだと思います。
〇小西参考人
 おっしゃるとおりであります。それはアンケートにはそういう質問で出しているんですけれども,講義の授業の中では説明はしております。だから,早く見付かった場合はこれくらいだとか,進行して見付かるとこうなりますよといったようなことは話しておりますし,やはり手術ができる段階で見付けるというのが,今のところの治療としては,その手術ができるということ自体が,まだラッキーというか,そういう状況です。そういった詳しい説明の中で実施した後に,そういう形で聞いておりますので。
〇野津委員
 私も同感で,少しほっとしました。是非,この項目に関しては,「むやみに怖がる病気ではない」というような,ほかにも表現はあるかもしれませんが,見直すことで検討されてはいかがでしょうか。
○山口参考人
 一事が万事だと思いますが,やはり教育する以上,正しい知識を子供さんたちに提供し,正しく理解してもらうということが全てだと思います。
 一方で,実際,大人の患者でも,同じ言葉で伝えようとしても,一人一人で受け取り方が違います。ですので,そういう理解力がまだ十分ではない,特に小学生,中学生に対する教育というのはかなり慎重でなければいけないかなと思います。その怖いということはおっしゃるとおりだと思います。
 それと同じことが先ほどから話題になっている子宮頸(けい)がんのワクチンについても言えて,現在,がんの医学で,正しい答えがまだ出ておらず,したがって,専門医は皆,慎重な対応をしています。よって,教育の現場で安易な教え方をすべきではありません。がんの分野には,まだまだ分からないことがたくさんあります。一般の教育内容とは異なり,「すべてが理解されていない」,「物理法則などとは異なり,真実はまだ明らかにされてはいない。」ということも教えなければいけない。そうすると教育の現場で,何をどこまで教えるかというのは非常に大きな問題になってくると思います。その辺の議論をしっかりこの委員会でやっていただけるといいのではないかと思います。
〇野津委員
 もう一つ教えていただきたいと思います。山口先生にですが,先ほどのデータのところで,生活習慣が7割ないし8割,感染症が5ないし10%。これらは1996年のデータですので,その後多少変わってきているとは思いますけれども,学校教育で教えるときに,がんは感染症として教えるべきか。生活習慣病として教えるべきか。あるいは,いろいろあるというような教え方もあると思うんですが,その辺,御意見はいかがでしょうか。
〇山口参考人
 生活習慣病という名前が出てきたのは,1990年代ですかね。成人病という言葉がよくない。生活習慣が関与しているということをしっかり伝えるべきだという議論の中からあの言葉ができたんです。
 当時,私,国立がんセンターにいたんですが,国立がんセンターの中でも大きな問題になりました。がんは生活習慣病か,違うだろう。結論は,生活習慣関連病だったらいいだろうということで,たしか厚労省にはそういう言葉を使っていただいております。
 感染症ががんを引き起こすというのは,1980年代は誰も信じていなかった。それが肝炎ウィルス,HPV,それからピロリ菌など,直接,間接は別にして,感染症ががんの原因になっている。あるいは,がんを悪化させる重要な因子になっていることが明らかにされてきました。ただ,感染症が関与しないがんの方が圧倒的に多いので,そのあたりを正確に教えることが重要です。
○衞藤座長
 ちょうど時間が来て,野口委員で簡単に,それで終わりにしたいと思います。
〇野口委員
 すみません。まず,静岡県,命を軽視していると思っておりませんので,この場を借りてということで,簡単にいきます。
 がんプロの話の中で,がん教育にもチームが必要ということで,本当にそう思いまして,実は私これから,このモデル事業とは別のもので,本校独自のものとして,がん教育をやるに当たって,実はこのがんプロの緩和医療の先生にお世話になるわけですけれども,既にどういう思いをお互いにもって,今この教育をしようとするのかというディスカッションをしました。
 それで,そのときに,教員で子供を見ている立場と,医者として臨床の現場で,高校生にこういうことを伝えたいというところで意見交換をしていると,なるほどなということが多々出てくるのと,それからもちろん共通点もたくさん出てまいりました。
 たくさん,今ここに委員の方がいらっしゃいますけれども,私これから手探りでやってみますので,もし今までもこういう経験,がん教育したよと,こんなふうにやったらよかったよというのがございましたら,オブザーバーの方も含めて,皆さんどなたか教えていただきたいんです。
○衞藤座長
 ありがとうございました。お答え,要りますか。
〇野口委員
 どれぐらいの方が,がん教育に関わったんでしょうか,実際。
〇林参考人
 私,自信をもって言ったのは,がん教育部会を立ち上げると言ったときに,大学に戻って,うちのがん関係のメーリングリストがあるんですけれども,200人ぐらい登録しているんですけれども,その医師に,がん教育をやった場合にボランティアで,がん教育を年に一遍学校で教えるつもりのある人といって,募集したら,3日間で68人集まったんです。
 ですから,基本的に我々,常に診療やいろいろな説明等に追われていますけれども,がんの子供たちへの教育というフレッシュな,とってもやりがいの分野には,かなりモチベーションの高い医師が多いのではないかと私は確信しています。
○衞藤座長
 御質問の意図はここまでしたいということで,時間が過ぎてしまっておりますので,本日は大変,活発な御討議,大変ありがとうございました。
 追加でもし御意見がある場合には,12月8日の月曜日までに事務局の方にメール又はファックスで連絡をいただきたいと思いますので,そのような形でしていただければと思います。
 最後に,事務局から連絡事項があればお願いします。
〇事務局
 本日はヒアリングに御協力いただきまして,大変ありがとうございました。
 次回は,1月末を予定しております。いつもと同じように,また日程調整の方をさせていただきますので,よろしくお願いします。
 次回は,今日のヒアリング,それからこれまでの議論を踏まえまして,フレームワークについて,座長案を出させていただきますので,その協議が中心になるということで,よろしくお願いします。
 以上です。
○衞藤座長
 それでは,本日予定しておりました議題は,以上で終了いたしました。
 本日は,これにて終了いたします。
 皆様,どうもありがとうございました。

お問合せ先

スポーツ・青少年局学校健康教育課

(スポーツ・青少年局学校健康教育課)

-- 登録:平成27年03月 --