平成24年10月24日(水曜日)13時~15時
文部科学省東館13階スポーツ・青少年局会議室
北村委員、柴田委員、平野委員、間野委員、宮嶋委員、山口座長、河野協力員 ※この他、阿江通良筑波大学人間総合科学研究科教授が説明員として出席。
久保スポーツ・青少年局長、山脇審議官(スポーツ・青少年担当)、杉浦競技スポーツ課長、大槻スポーツ政策調査分析官
○:委員、協力員、説明員(随行者からの補足説明を含む)
△:事務局
1.ロンドンオリンピックにおける選手育成・強化・支援等に関する検証について
(1)個別事項に関する説明について
○国立スポーツ科学センター(JISS)診療部門の各部の受診人数について、延べ件数、一人で複数の部門を受診した場合には受診した数だけ数えるという数字で説明する。年間通して最初に診療を行ったのが平成14年だが、このときは8千件弱だった。徐々に増えて、平成15年から平成18年くらいで1万件を少し超えるくらいだった。平成20年以降は1万件を毎年超え、平成23年は1万5千件で、設立当初から比べると倍近くになっている。この中で半分くらいを占めるのがリハビリテーション。リハビリテーションの種目ごとの利用者については、1位は陸上競技で、平成23年度は1,208人。500人を超えて多い競技が、陸上に続いてフェンシング、柔道、サッカー、水泳の順。200人を超えて比較的多い競技は、上から順に、バレーボール、体操、レスリング、ウエイトリフティング、バドミントン。サッカーを除くといずれもナショナルトレーニングセンター(NTC)にその施設がある競技で、NTCと一緒にあることで診療部門が活用されていると言える。
○診療受診可能者数とでも言うか、利用対象者数の年次推移はどうなっているのか。
○受診できるのは、日本オリンピック委員会(JOC)の強化指定選手と競技団体の強化対象選手。JOCの強化指定選手の方はだいたい1,600人くらいでここ数年は推移していると思う。ただ、競技団体の強化対象選手については、ジュニアでも、競技団体がNTCに集めて直接強化するアスリートは含まれる。競技団体がどこまで対象にしているかすべて把握できないため、カウントは難しいと思う。
○カウントが難しい人は除いて、明らかに分かる人の数を明らかにすると、対象者数が増えたから受診者数が増えたわけではなく、希望者及び希望率が増えたから受診率が増えたという証拠になるのではないか。
○そういう意味では強化指定選手であれば、人数を明らかにできるのではないかと思う。
○アスレティックリハビリのところを指導されるスタッフは、理学療法士(PT)なのか、アスレティックトレーナーなのか、どういう方々なのか。
○ほとんどは理学療法士。一部、鍼灸、アメリカでNATAの資格を取った人などがいるが、日本体育協会のアスレティックトレーナーの資格を有する人というのが一つの条件になっている。
○日本体育協会の資格を持ち、かつ他のバックグラウンドを持っているということか。
○一般的に、おそらく医療の世界だけで見れば、診療件数が増えるということはネガティブに捉える可能性がある。対象者数は変わらず、発生率は変わらず、しかし、他の医療機関にかかっていた人がここにかかるようになった、ということが分かる示し方が良いのではないか。つまり、いろいろなサポートをしているにもかかわらず、ケガが増えている、と誤解されないように表現した方がいいのではないか。
○発生率は把握していないため難しいと思う。一度ケガでリハビリを受け、その後は特にケガがなくても定期的に通ってチェックするという利用法も多いため。
○そういう定性的な部分も含めて、きめの細かい医療サービスというか、医学的サービスが充実していることも付け加えた方が良いのではないか。ケガがどんどん増えていると誤解されないようにした方が良いのではないか。
○定性的なコメントはできると思う。
○特徴的なことは、リハビリテーションを1回に受ける時間。一般の医療だと、どんなに長くても15分から30分くらい。ここでは時間の単位で、選手によっては半日、場合によっては食事を挟んで一日。これは他の日本国内ではできないことなので、エビデンスとしては一番いいのではないかと思う。なおかつリハビリテーションをする施設と併設してトレーニング体育館があるため、医療のリハビリから、現場に近いところの橋渡しをしっかりできているということで、特にリハビリテーションの数字と同時に1回の医療時間、それがおそらく日本国内でここしかないと思うので、大きな意味があると思う。
○そういった説明があった方が理解されると思う。
○リハビリテーションがどこまでで、どこからがアスレティックのトレーニングなのかということが、非常にボーダーラインで、橋渡しで移行できるということだが、アスレティックリハビリテーションというのは、あそこのトレーニングルームでやっているものではないのか。
○アスレティックリハビリテーションはリハビリテーションルームで実施している。ただ、リハビリテーションルームにもトレーニング室に近いような器具がある。置いてある器具や内容は、一般向けのリハビリとは全然違う。
○JOCでは、現在、いくつかの競技団体を除いて、ほぼすべての競技団体のヒアリングを終わった。内容としては、実力を向上させる時期と実力を現地で発揮する時期、そして結果検証、リオデジャネイロオリンピックに向けてということで、体系、システム、環境、戦略、要望、意見、感想等を聞いている。あわせて中核拠点のNTCを使っている15競技団体、競技別強化拠点を使っている9競技団体にはすべてアンケート調査を終えている。常時専有利用できる練習環境は有効だったかについて、競技別強化拠点では100パーセント有効であったと、NTC及びJISSでは、9割以上が有効であった、という答えがそれぞれ出ている。
○基本的には専有利用できることが有効である、というヒアリングの結果はだいたい想像できるが、種目別に言うと、個々の問題はいろいろあるようなので、ヒアリングでおそらくそういう負の部分と言うか、現状に対するリクエストが出てきていると思うので、そのあたりはきちんと吸収してあげて欲しいと思う。
○いろいろな意見が出ていると思うが、だいたい満足した部分と、少し満足した部分と、要望みたいな部分とに分けられると思う。グルーピングすると割と整理ができて分かりやすい。
○マルチサポート事業については、現場の声について日本スポーツ振興センター(JSC)で整理しているが、選手・コーチからはかなりポジティブな声が出ている。
○マルチサポート事業の中での現場、日常の現場でのサポート状況について。分野ごとにどういったサポートをどのくらいやったかという実績では、心理から映像技術まで、非常に幅広い活動を日常から行っており、こういった日常のサポート活動が基盤となりロンドンオリンピック本番のマルチサポート・ハウスの活用に繋がっている。各スタッフがフルタイムでナショナルチームの方に張り付いてサポート活動を展開していることが、非常にマルチサポート事業の基盤として良かったことだと思っている。ロンドンオリンピックの競技が終わった段階で、各競技でハウスを使っていただいた方にアンケートをとり、使用方法に関すること、立地に関すること、機能に関することについてコメントをいただいた。そのコメントの内容を、満足したもの、一部満足、不満足、若干要望というふうに分けて整理すると、マルチサポート・ハウスの利用面、立地面、機能面に関しても、ほぼ9割の方が満足または一部満足という形になった。したがって、その日常のサポートのフェイズがあって、そして現地でこういった体制を整えて、それを利用できたことが、今回のマルチサポート・ハウスでは非常に有効なサポート体制になったと思う。
○研究開発について、選手個人からいろいろとコメントをもらった。アンケート用紙、自由記述で行った。比較的良い、良好というもの、実際に試合で用いたがもう少し改善して欲しいというもの、実際に試合では用いなかった、あるいはほとんど用いなかった、改善の必要があるというもの、の三段階で分類して整理した。競技も数多くあるため、数競技を挙げ、トレーニング及びコンディションについて、比較的、共通性の高いものを挙げる。競技用具について、使いやすいというコメントもあれば、個人的に差が非常に大きいため、改善が必要という意見もあった。トレーニングに関しては、非常に良いという評価を大部分いただいている機器があった。普通できないトレーニングができるため、非常に良いというコメントがある一方で、開発を繰り返したため導入時期が遅れ、導入時期が遅かったのが残念だったというコメントもあった。ただ、ケガをしても実践的なトレーニングができるので非常に良いという評価もいただいている。コンディショニングに関する研究開発では、選手からの感覚的なコメントと、実際のデータが合っているという感じだった。
○トレーニングに関する機器で、導入時期がもう少し早かったら、という説明があったが、実際に導入されたのはいつなのか。
○4月、5月くらいに提供した機材があり、少し間に合わないものがあった。次はそれがいかせるようになるかと思う。
○実は選手にとって一番マルチサポート・ハウスが効果的なことのひとつとして、家族と会える場ということがあると思う。実際に選手村に入ると家族は入れないし、会場でも規制がすごく厳しく、実際に会ってコンタクトをとって話をする場がないため、マルチサポート・ハウスはそういった意味でとても大きな意義を持っていると思う。選手が家族に会うということは、単に我々が家族に会うということとはまったく違い、戦う前に、精神的な満足度という意味で非常に効果があり、良かったと思っている。分析・サポートについて、現実にロンドンで使用するものの分析なのか、今後将来に向けての分析なのかについて、選手に話を聞くと、分析スタッフも向こうでやることがなく困ってしまったという話をしている人や、現場での分析が必要な競技と、現場ではなく将来的に必要な競技もあると思う。そのあたりを区別して、必要な人だけ行くとした方が、今回は初めてで大がかりになったのも無理もないことだと思うが、端で見ていてもこれが全部有効なのか、日本でできることは日本でやってもいいのではないか、と思った。
○家族とのミーティングは意図的に仕掛けて設置したため、利用してくれて良かった。分析に関しては、日本とロンドン市内と3カ所でやっていた。日本でやれるところは日本でやっていた。今後の課題としては、チームの強化サイドもすべてがパーフェクトかというとそういうわけではないため、それも含めてオールジャパン体制でいくようにしたい。特に、情報関係は、競技団体によって差が非常に激しいという認識を持っており、きちんとした注文が出てくるところは十分に使ってもらったという印象。
○競技団体はこれだけ支援してくれて、国策として強化に携わってくれることに関して、2つ思っている。1つは、スピード感を持って追いついているところは、これはありがたい、これは使わない手はないな、と。まさにマルチサポートがそうだと思う。マルチサポートをふんだんに使って、100パーセント使ってやろうという競技団体もあれば、何をやっていいのか分からない、JISSの活用も十分ではないという競技団体もあるのではないか。そういった意味では、こういった団体にいろいろな情報を提供し、レベルを上げていく作業というのも、JSCとともにJOCが一緒にやっていかなればならないのではないか。
○最近、大きな会議があると、資料にも動画DVDなどが付いてくる。報告書にこういったものを付けると、競技団体がこういったことやっているのか、こういったものも使いたい、といった関心が出てくると思う。難しいかもしれないが。報告書が出るが、最終的に、動画として見ることができるのは、かなりPRになると思う。
○パラリンピックでは、マルチサポート・ハウスはなかったのか。
○マルチサポート・ハウス自体はランニングコストがかかるので、セットアップはしたが、ランニングコストの点でそれは難しかったということで、畳んでしまったが、情報活動については、JSC情報国際部としてJSCのロンドン事務所を活用し、日本からもスタッフを送ってサポートした。それもいくつかあるが、ひとつは、今回は現在の状況を見つつも、その次に向かってどういうことをしたら良いか、さらにそれをやるためのネットワークをどうすれば良いのかということで、パラリンピックの現場とも連携をとりながら行ったため、ADカードを取る必要なところは取ってというところもあったが、こちらに関しては将来に向かっての部分も課題があった。
○マルチサポートに対する理解は中央競技団体(NF)によって差が非常にある。前回の会議で、マルチサポートにおいて、選手が一体これは何をやっているのか、という目でJISSの研究員を見ていることが少なくないという話をした。確かにそれぞれのNFの問題ではあるが、こういう支援を国がやっているのであれば、NFの専務理事レベルではなく、各現場のコーチ及び選手一人ひとりが理解することもすごく重要ではないか。マルチサポート、お金出しました、やりました、ではなく、選手一人ひとりのニーズも本当は吸い上げるくらいの細やかさが必要だろう。実際にスポーツを行うのは選手なので、選手が今何を必要としているのか、そのための研究とか、こういうことが知りたいとか具体的な要求にも耳を傾け、そしてマルチサポートの仕事を理解してもらうことが重要だろう。もちろんコーチや専務理事の言葉も大事だが、マルチサポートに対する無理解を「それはNFの問題でしょう」と言って片付けるのではなく、しっかりやらないとマルチサポートが空回りすることになってしまうと思う。
○それが典型的に表れているのが、先ほどのマルチサポート・ハウスに関するアンケート。特に、立地に関することに満足が50パーセント。これはよく考える必要があり、現場で行く選手は1回きりの人が多い。したがって、数回行っているスタッフは、あのロケーションがどれだけ近いか分かる。しかし、1回しか経験したことがない人には何でこんなに歩かないといけないのか、ということになる。したがって、選手もスタッフも、その辺はいろいろなバイアスがかかることを十分に考えながら、本当に選手が欲していること、現場が欲していることをとる必要がある。特に、この立地に関しては、不満足が50パーセントだが、あれだけ近くて不満足と言われたら、一体どうすれば良いのか、ということになってしまう。リオデジャネイロでは100パーセント無理ではないか、というくらいのところなので、おそらくこのところは、単純に満足度が83.7パーセント、平均されているが、これは数字が逆に歩き過ぎてしまう例だろうと思う。
○先ほどのマルチサポート事業アスリート支援のスタッフ数は、延べ人数だが、延べではなく、専任のスタッフ人数を分野ごとに分かっていたら教えて欲しい。
○次回、お答えしたい。
○実際、平成22年度から平成23年度でスタッフの実人数はどれくらい増えているのか。
○実人数は平成22年度と平成23年度とでそこまで大きく変わっていない。
○要するに、要請が増えたということが言えると思うので、平成22年度で要請があった競技団体数と平成23年度で要請があった競技団体数を明記してはどうだろうか。
(2)報告書骨子案について
事務局より、報告書の骨子(案)の内容について、「1.はじめに」「2.競技結果」「3.国立スポーツ科学センター」「4.ナショナルトレーニングセンター」「5.マルチサポート事業」「6.おわりに」という構成とし、これまでの会議における委員等からの指摘事項や、配付資料の内容を盛り込んでいく旨の説明があった後、質疑応答・意見交換が行われた。
○この4つということでいいと思うが、逆に言えばこの4点に絞っているということだろうが、基本的にはスポーツ振興基本計画からスポーツ基本計画に移るフェイズにあるということは書いておいた方がいいのではないか。もうひとつは、これは御議論いただければいいのだが、ずっと国の方が示してきた主要な強化戦略と言うか、強化政策であった「一貫指導」という言葉がまったく出てきてないが、どういう取扱いにするのか。一貫指導の成果もかなりあると思う。それが欠落すると、これまで政府が示してきた政策はどうなのかということには戻れなくなるため、それはどこかで触れていただいた方が良いのではないかと思う。
△いま御質問の一貫指導の話について、今までこの場でも、それについての検証とか位置づけとかという議論はなかったと思うので、その辺りをまた盛り込むということであれば、少し考えてみたいと思う。
○逆に言えば、一貫指導については今回ではなく、これまでに既にまとめられているのではないか。スポーツ振興基本計画が終わってスポーツ基本計画になってから、スポーツ振興基本計画で挙がっていることについては整理されていると思う。よって、その中の主要施策である一貫指導システムについては、そこで何らかまとめたから基本計画に移っていると理解しており、今更ここでの話ではないと思う。
△スポーツ振興基本計画やスポーツ基本計画については、今まで中教審とかの流れで議論していただいて進んでいるので、それはそれとして、今回はJISSやNTCという舞台で進めているので、そことの整理は必要。もしそういった事項をもう少し盛り込んでやるということであれば、検証チームの報告書はどちらかというと、NTCの効果などという書き方になるため、そちらの方から見た形で、今までのスポーツ振興基本計画やスポーツ基本計画のことも少し振り返りながら、このような効果が出ている、このような結果が出てさらに進めていく、という話になるのではないか。
○JISSと書くからこそ。つまり、これまで国が指導していたのは、一貫指導をしっかりやろう、それについてはNTCが非常に重要だ、ということで、かなり力を入れて一貫指導をやってきて、それがなかったらおそらく結果に結びついていないと理解している。よって、NTCのことを言うのであれば、一貫指導のことに触れないというのはいかがなものか。ほとんどの競技団体は、前のスポーツ振興基本計画で一貫指導が重要だからやりましょう、その流れの中でJISSができて、そのJISSを中心にジュニア育成をやってきて、ということなので、その要素を抜いてしまうと、前提条件をなくしてしまうのではないか。
○設置要項の中で検討事項が挙げられており、ロンドンオリンピック競技結果の分析、JISS、NTC、マルチサポートということが書いてあるが、その他に必要な事項という項目がある。そこにそれ以外の部分での付帯的な評価や取るべき政策など、そういう御意見をまとめるという方法論で、今までこの「1.はじめに」と2.~5.まではこの話にずっと積み重ねをしてきたことだと思うが、将来リオデジャネイロオリンピックに向けたアスリートを取り巻く環境整備の問題や、セカンドキャリア対策、今まで進めてきた一貫指導の部分にどう取り組むのかとか、あるいは他の諸問題についても必要な事項だと思われるところにまとめたらどうか。
○今回のマルチサポート事業は、医学、科学、情報面でのサポートだったと思うが、一貫指導の中にJISSをうまく活用して選手の育成をしようということがあったと思う。また、これも御指摘があったが、すべての競技団体がもう一貫指導を作ったという結果が、実はアンケートで出ている。しかし、うまく回っていたところと回っていなかったところが実際にはあるということをJOCのヒアリングも含めて伺っている。
○今の議論は第1回目の会議で出た議論。この検証はどこの範囲を検証するかということ、スポーツ振興基本計画からするのか、それとも北京オリンピック以降にするのか、こういう議論があったと思う。最終的には、今回は、北京以降4年間にしようということで、ある程度コンセンサスができてきたと思う。ただ、これは国際競技力向上の評価であるので、ミクロのところだけではなく、2000年にスポーツ振興基本計画で国際競技力向上が出ており、2006年に見直している。そして、2012年にスポーツ基本計画の中にも出てくる。こういう流れの中であり、こういった政策過程をどこかはじめのところで少し触れて、あくまで今回の検証の期間は4年間だと、そういうまとめ方にしてはどうか。
○まさにそういったことを言いたかったわけで、別にここでもう一回検証すべきということではなく、ずっと10年間以上一貫指導と言ってきたので、それもあってここに来ているということを入れれば、それで自己矛盾をしないのではないか、ということを言いたかった。それを書かないということであれば、これまでの10年間は何を言っていたのかということにならないか、という心配だった。もう一点だけ。この中で、マルチサポートのところで非常に大きな役割を果たしたのは文部科学副大臣主催の「2012ロンドンオリンピック強化タスクフォース」だという認識をしている。タスクフォースがあったおかげで、いろいろな意味で、今回極めてフレキシブルに動けた。特に、アスリート支援とマルチサポート・ハウスと研究開発が連携できるようになったため、タスクフォースのことについてはどこかに盛り込んでいただいた方が良いのではないか。
○6.の前に「5.その他」として、「一貫指導プロジェクト」、他にも「日本アンチ・ドーピング機構(JADA)」、「日本スポーツ仲裁機構」、あるいは「日本トップリーグ連携機構」とか、様々なところがおそらくロンドンオリンピックの競技成績に貢献しているので追記してはどうか。これらの団体等の活動もこの4年間での国際競技力向上に繋がったと考える。関係団体等には目配りはしておいた方が良いのではないか。JISS、NTC、マルチサポート事業の3つだけで結果を出したと誤解されないように整理すればいいと思う。
○今回の論議が、競技結果とNTC、マルチサポート事業とJISSのことを中心に、ということは理解しているし、これまでの論議にまったく異論はないが、その他必要な事項をどの程度の規模でどういう項目で入れていくかは非常に難しい問題。一つポイントになるのは、今こちらは結果と医科学情報分野が主だったと思うが、他の分野で、スポーツ基本計画に盛り込まれていて、将来的にやらなければならないことをどう取り組むかということについて、きっかけ作りをしておく必要はあるのではないか。この部分だけ見ると、スポーツ基本計画に盛り込まれた内容をどう実行していくかということに繋がらない分野も出てくると認識している。例えば、キャリア支援というものは、スポーツ選手を取り巻く環境の整備の中で極めて重要な部分だと認識している。そういったものに取り組むということだけでも結構なので、官民挙げて取り組むというようなことは、盛り込んだ方が良いのではないかと思う。もう一つ。実は、1972年のミュンヘンオリンピックから始まったことだが、選手宣誓の後にジュリー、ジャッジの宣誓が公式に行われるようになり、今回のロンドンオリンピックでも、日本を代表して国際審判員が多数参加しているが、非常に環境的には厳しいものがあり、スポーツ基本計画の第3章の4に初めて「審判員等」という言葉が出てきたが、そういった方々に対する支援、これをどうしていくのか、と。実際にオリンピックに参加するにあたっても、審判員の方々は所属長の了解を取らないといけない、有給休暇を取って行くというような厳しい環境に置かれている。実態調査をしたところ、6割以上の方が公務員。公務員のオリンピックの参加については、選手、指導者は諸手を上げて賛成、送り出す姿勢があるが、審判員については所属長の個々の了承が必要という状況。ミュンヘンオリンピックでジャッジ、ジュリーの宣誓が行われたということは、やはり、指導者と選手と国際審判員は同格と見ていいと思うため、日本から国際舞台で審判を務められる方のステータスというものをもう少し認知し支援するシステム。公務員の方であれば、所属長に対しての御高配依頼というような文書ひとつでかなり違うと思う。そういった社会的支援をしていくことがスポーツ基本計画に盛り込まれた審判員等を含めた国際競技力の向上に繋がる。
○今の提案の、例えば6.の前の5.として反映して、例えば、「国際競技力の向上に向けた課題」とか大きな括りにして、新たなスポーツ基本計画の中に国際競技力の向上のために何をすべきかと具体的に出ているし、実際に今、指摘のあった審判等の部分、こういったいろいろな課題とか、こういうふうにした方がいいのではないかと、もう少し広げていくことは次回ぜひ議論し、反映するようにしていければ、と思う。
△この検証チームの主旨、目的というのを失わないように、結果的に課題という部分にも触れることができればいいと思う。御意見、御議論いただければ、と思う。
○将来的な大きな枠、今後の課題に入れるべきなのか、それともJISSに入れるべきなのか。女性のトレーニングに関する研究などをもう少し強化していただきたい。今回もロンドンオリンピックで復帰してくるかどうかという選手がおり、結局、彼女は復帰できなかったが、日本は圧倒的に妊娠・出産時、その後のトレーニングというメソッド、サポート体制が遅れているため、こういったことに対してもう少しきちんと体制を整えていただけないか、と思っている。JISSの中にはすばらしい宿泊施設があり、あそこは低酸素室になったり、低圧室になったりするシステムがある。ところが、聞いた話だと、部屋が何十室あって、半分使わないと低圧や低酸素にならないようになっているらしく、二人、三人で使いたくても使えない、という話もあった。結局、そのために鹿屋体育大学まで行って、トレーニングするとかいう話も聞いたため、お金がかかるかもしれないが改修工事等を行い、利用しやすい形にするともっといい形なのではないかと思う。
○やはりトレーニングをするのであれば、アメリカやスペインに行って高地トレーニングをするのが一番なので、どうしてもそちらの方に行ってしまう。JISSについて、結局、寝ているところだけ低酸素になっても、トレーニングをしているところは酸素がたくさんあるため、そこは少しもったいない部分だと思う。ただ、あの大きなプールを低酸素にするというのも難しいと思うので、何か良い方法があり、何コースかだけでも低酸素にできれば、選手がもっと使うようになるかと思う。
○実は1コースだけ低酸素にできるが、もう少しコースを広げてくれという声がある。部屋の設定の問題については、最初の設計にはなかった低酸素装置を途中で入れたため、換気の関係からブロックごとに低酸素設定をしなければならなくなった。最初から計画されていれば、個別にできたが。ただ、部屋ごとに酸素濃度の調節はできる。NTCができる前は少人数での低酸素利用は難しかったが、NTCに宿泊施設がたくさんできたので、こちらは少人数でも低酸素にして使えるようになっている。
○JISSのところで、さらに体制を充実させていくということで、前回の会議でも出ていたスタッフの問題、独立行政法人なのでどうしても定員や総人件費で、スタッフが任期付きという形でしか採用できないということがあると思うから、独立行政法人自体の評価というときにはそれはまたそれを前提として評価するため何とも言えないが、この場は独立行政法人の評価ではないため、ここだけの問題ではなく、すべての大学法人含めた問題となっているため、どこかに入れておいた方が良いのではないか。
○競技結果等について、これからいろいろなデータ、図表等が入ってくると思うが、できるだけぱっと見て分かりやすい表みたいなものにすると理解されやすいのではないかと思う。例えば、最初は目標にして、2番目に過去4年間の事業。3番目にオリンピックの成績。どのような種目でどのようなメダルで何位、どのような人が取ったなど。そして最後に評価と、4つくらいのテーブルを作り、例えば、最初の目標であれば、国の目標はスポーツ基本計画に3つ掲げていると。3つぽんぽんぽんと書けばすぐ分かる。それに対して事業のところは、過去4年間、国際競技力の向上のために何をしてきたかという、大まかなところでタイトルだけでも入れて、詳しいことは参考資料でいいと思う。その結果が成績に繋がると。最後の評価というところは、ここの議論であったり、選手からの評価であったり、こういったところの評価をずっと書けば一つの表にして見ることができる。整理するときに可能であれば考えていただきたい。
○競技用具等の研究開発の現状と評価に関して、一般の人たちが、トップアスリートだけに税金が投入されることに違和感を覚えることがあると思う。よって、そこで得られた情報のうち、公開しても差し支えがないようなものに関しては、広く日本国民のために利用できるような仕組みを作る、そういう機会を設ける、というようなことを加えることができれば、結構印象も変わるのではないかという気がするが、そのつもりはあるのか。
○開発した競技用具を安価なものにして、お金は取るが、小学生、中学生に供給すると底辺拡大に繋がるという提案をしている競技団体もある。そういったことは十分可能。成果は十分ではなかったが、日本製のすごく良い競技用具が作れた競技もあり、外国製を買うよりも、日本で作るので安い。それは学生に供給できる。それは競技団体からもぜひやってくれということなので、そういうものはいくつかある。今は無理だが、もう一回オリンピックがあれば次出せるものもあると思う。今やると、次に外国がやってしまうので、少しずらしてやるなど、そういうものは実はたくさんある。これで開発したものを既に売っているケースもあり、一般の方にもかなり出ているため、そういったものは公開できると思う。バイ・ドール法というのがある。国の税金を投入して返すから、ある程度市場に流して、企業が経済的なもの、全体が潤うような、そういうことも十分にできると思う。実際には、今いくつか企業から指名があり、その前にはマルチサポートの研究をベースにしたものであることをきちんと書いて欲しいとと言っている。特許も実はいくつか取っている。
○特許料はどこに。
○これも文書にあり、特許申請額の方が高いくらいだが、それについては権利が何分の一、何分の一というように決めている。
○これはマルチサポートによる開発である、とかそういう一言が非常に重要だと思うし、こういうリリースを出すときも、こういう形で一般の人々の生活に還元されている、競技する人だけではなく、そのコンディショニングやリカバリー方法などもノウハウとしてフィードバックできるような形にしている、ときちんと伝えることが重要ではないかと思う。
○今般こういった形で、最先端でスポーツ技術とか開発が進んで、いろいろな製品化ができたというところで、これをマーケティングに資さない手はないと思う。アメリカ航空宇宙局(NASA)は、いろいろ宇宙開発に関連してできてきた製品を、民間にロイヤリティを取って販売権を契約して儲けている。マルチサポートやJISSでやったスポーツ科学の技術開発は世界最先端のものと思う。こういうものを後手に回らずにあるところが一括して管理して、JISSもしくはJSCが管理して、それをマーケティングに資する際には、業者のコンペをして高いところからロイヤリティをとるなど、一般に販売に供することで、ひとつは資金を管理できる、二つ目はJSC自体の社会的な認知と権威も上がることと、そういう研究をしているということが国民にしっかり伝わる。一石三鳥くらいだと思う。ここはあまり野ざらしにしないで、早めにマーケティングシステムとか認知とかといった部分をトータルで考えた方がいいと思う。
△大変ありがたいお話だと思っている。先ほどのバイ・ドール法などもあるので、それをどううまく使うかということは考えなければならないため、そこがまだ弱く、開発することで手一杯であり、今の話を伺って、よく考えたいと思う。
○事業レガシーのようなものがあるのか分からないが、そのようなこともこの検証結果に入れていいのではないかと思う。今回4年間やったことにより、新たな競技団体にノウハウが生まれたとか、何かカルチャーが変わったとか、そのようなことを定性的に聞いて回ってもいいのではないか、と思った。
○私たちの小さいときには東京オリンピック、小学生の頃だったが、かなり小学校の教材でオリンピックに関するものが配布され、オリンピックにどのような種目があるのか、小学生ながらもチャスラフスカの名前を知っていた、ということもあった。今回、例えばオリンピックを見た子どもたち、興奮冷めやらぬうちに、小学生、中学生あたりに簡単でいいが、オリンピックで活躍した選手達や、オリンピックの結果を、何か冊子にして、教育現場で子どもたちが手にすることができたら、さらにいろいろなことについて理解が進むと思う。小学生であった私が手にした東京オリンピックのパンフレットはもう手元にはないが、非常にオリンピックに対してよく分かった。よって、そういうことを子どもたちに、この結果も踏まえて、教育現場にオリンピックというものをしっかり伝えていくようなことを大元の文部科学省が、せっかく検証するわけなので、企画してはどうかと思う。
○思い出したが、東京オリンピックの後に映画ができたと思う。
○学校でまとまって見に行った。
○あれは見てものすごく感動した。
○オリンピック競技会というのは、オリンピック・ムーブメントの4年に1回の最高到達である。オリンピック・ムーブメントというのはオリンピズムを伝える活動。本当はこれを評価しようと思ったら、勝った、負けた、もあってもいいと思うが、オリンピックは単なるメガスポーツイベントではない。オリンピズムがどのくらい人々に浸透したかということが本質的に重要なこと。これはどうやって検証したらいいのか分からないが、次の東京オリンピックの招致も、勝った、負けた、ではなく、本質的にはオリンピズムをきちんと普及できるような4年に1回の最高到達点のイベントができるかどうかということが、本質的には重要である。オリンピズムとかオリンピック・ムーブメントとか、そういう言葉が出るような文章が「その他」のところにでもあっていいのかなと思った。今回の4年間の様々な取組によって、またロンドン五輪での選手の活躍によって、オリンピズムが広まったのではないかと思う。
○このロンドンの検証というとどうしてもメダルのことだけになってしまうが、本当に日本人というのは世界の中でどうしても、ちょっとバイアスがかかって見られている、あまり好かれていない現状の中で、やっぱりオリンピックというのは日本人って素敵じゃないかと思ってもらえるチャンスだと思う。ロンドンに駐在されていた方が、日本人ってあまりよく思われていないから、一人が友達になるとすぐに友達になり、何だ、日本人って素敵じゃないか、と言われる。その話を聞いたときに、そういう役割を選手一人一人が担っているということをもっと意識する必要があると思う。だから、こうやってマルチサポート事業などいろいろなことを進めると同時に、バランスを取って、きちんと選手たちにオリンピックのことを理解してもらい、世界で友人を作るとか、世界の友達に手をさしのべるとか、そういうことがものすごく重要。相手がいるからスポーツができるという原点的な話をきちんとできるように、仕組みを作っていただきたいと強く思った。
○筑波大学は、IOCから公認していただいてオリンピック教育を推進する活動を進めており(オリンピック教育プラットフォーム)、今、筑波大学附属中高などで活動している。それをさらに広めることも非常に効果的だと思う。それから、オリンピックのときに女子サッカーのフランスとの試合が終わった後、英国の新聞に、リアルスポーツマンという見出しで、フランスの選手が負けて座り込んでいるのを慰めている宮間選手についての記事があった。そういうことも最後にトピックとして書いたらどうであろうか。
○オリンピックはレガシーというような話が出たが、スイスのローザンヌに行くと、すばらしいIOCのミュージアムがあった。そこのコレクションが信じられないくらい、下にはライブラリーがあって、いろいろなところ見せてもらったのだが、すばらしい資料があり、常時誰が来ても見ることができる、ライブラリーも常時誰が来てもいい、と。海外からの留学生を受け入れるとか、それに対してサポートの資金も出しているし、これはIOCだけではなく、オリンピックを開催してきた国、例えば、オーストラリアスポーツコミッションの中には、NTCの横に体験型のすばらしいミュージアムがある。スペインのバルセロナに行くと、そのスポーツミュージアムの中にシアターがあり、映画を見ることができる。バルセロナオリンピックの前と後でどういう街が変わったかということを、定点観測のビデオで高速道路ができてこんなふうに変わってきたとか、そういうふうにしている。お隣の韓国でもオリンピックセンター、オリンピックヴィレッジの中に体験型のオリンピックミュージアムを作り、子どもたちがそこに来て、実際に体験して、見て、まさにレガシーだが、ずっと再生産できる仕組みがある。残念ながら日本には国立競技場に少しあるだけだが。もし、改築されるのであれば、ぜひ日本のすばらしいスポーツのレガシー、スポーツの文化はたくさん残っていると思うため、海外はいいところがあり、子どもたちが来て、実際に見るだけでなく体験する、そういうことで憧れる、自分たちもやっていくという、こういうものを作っていくことも、国際競技力の向上に対して、平成24年度は全体のスポーツ予算の70パーセントを使っていると、240億の百数十億は使っていると、こういうところのサポートを、国民の理解を得るというためにこういったものを作っていくことも大事ではないかと思う。
○ローザンヌのミュージアムは相当、日本からのお金が入っている。外に寄附するのもいいが、日本にもという考え方もある。
○入口に入ると、建てるのに寄附してくれた企業のロゴがずらっと並んでいるが、圧倒的に日本の企業ばかり。
最後に事務局から今後の日程について説明があった。また、次回会議は非公開とすることで委員一同了承し、会議が終了した。
以上
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