平成24年10月10日(水曜日)15時~17時
文部科学省東館13階スポーツ・青少年局会議室
朝原委員、北村委員、柴田委員、平尾委員、平野委員、間野委員、宮嶋委員、山口座長、上村協力員、河野協力員 ※この他、阿江通良筑波大学人間総合科学研究科教授が説明員として出席。
久保スポーツ・青少年局長、山脇審議官(スポーツ・青少年担当)、杉浦競技スポーツ課長、大槻スポーツ政策調査分析官
○:委員、協力員、説明員(随行者からの補足説明を含む)
△:事務局
1.ロンドンオリンピックにおける選手育成・強化・支援等に関する検証について
(1)検証の方向性について
事務局より検証の方向性(案)について、「競技結果」「国立スポーツ科学センター」「ナショナルトレーニングセンター」「マルチサポート事業」という構成としてはどうかという説明があった後、質疑応答・意見交換が行われた。
○事務局から説明のあった検証の方向性(案)が最終的な報告書につながっていくと考えてよいのか。
△この柱立てが中心になるのではないか。
この後、この方向で議論進めることで委員一同了承した。
(2)スポーツ予算等について
事務局より資料2について説明があった後、質疑応答・意見交換が行われた。
○この検証の対象年度を何年度とするのか。前回の会議では、2000年からさかのぼるべきだという意見と、北京オリンピック以降のみを見ればよいのではないかという意見と、両方あったと思うがどうか。
△今回は、ロンドンオリンピックに向けての検証であり、北京オリンピック以降という考え方がよいのではないか。
○今回は北京以降、ロンドンまでというこれだけを期間として考えようということ。2000年のスポーツ振興基本計画からとすると長く、スポーツ・青少年分科会の方の仕事になるかもしれないため、絞っていこうということ。
○資料2の2ページの「スポーツ関係予算(諸外国との比較)」だが、日本の場合、スポーツに関係する予算は文部科学省だけではなく、様々な省庁が出していると思うが、そういう予算も包括した数字なのか。
△他省庁は含んでいないのではないかと思う。
○いわゆる体力づくり関係予算ではなく、文部科学省に特化した予算ではないかと思う。
△純粋にスポーツ、文部科学省の予算だけに限定している。学校体育の人件費はおそらく入っていないと思う。純粋にスポーツの予算ということで狭くなっているかもしれない。
○スポーツ基本計画のなかで書かれたスポーツ推進会議は今までに何回開催されているか。
△スポーツ基本計画を策定するにあたり意見を聞くということで1回開催している。
○国際比較は大変難しい。当該政府の中の担当省庁がエリートスポーツに使っている予算というような比較の方が、政府が行っている行政評価、政策評価という観点からよいのではないか。それを国際比較できるのであれば比較してもよいのではないかと思う。
○スポーツ予算も、国の直接のものや、スポーツ振興くじ、スポーツ振興基金といった分け方があり、中教審スポーツ・青少年分科会で整理されて出てきたが、難しいところ、区別しにくいところもある。
○ドイツのように中央政府ではなく連邦政府に集中しているケースもあるため、かなり慎重にやる必要がある。比較できるところとだけ比較するなど、そういう考え方も必要ではないか。
○国によりかなり違うので、国対国で同じレベルで比較というのはなかなか難しいと思う。国によって所管する省庁が違うため、まったく同じように比較はできないと思う。
○資料2の数字を使うとすると、対GDP比がどういう形になっているかというような数字は、タイトル的には意味のある数字と思うが、読む人がどう読めばいいのかという基準が一定ではないため、これで比べても、あらかたこのようなものだというならば、参考資料ではないかと思う。本文に書き込むべき資料なのか、ひとつの参考資料として出す資料なのか、使い方も変える必要があるのではないか。金額的な問題は、他と比較するというのはやや無理なのではないか。
○例えば、「国のスポーツ関係予算」のところで、競技スポーツ68パーセント、生涯スポーツ9.6パーセントと出ているが、各国共通のモデルがなく、どこに力を入れているかによって予算はまったく違う。資料2の1ページの「競技力向上関係予算」はそのまま使えると思うが、他は参考資料となるのではないか。
○日本オリンピック委員会(JOC)では、北京オリンピックが終わった後、ロンドンオリンピックに対して各競技団体から強化プランを出してもらった。自分たちの立ち位置がどのくらいのところにあるのか、力がどのくらいあるのか、目標はどのくらいにするのか、何をしたらいいのか、何をしなければいけないか、について各競技団体と議論した。その後、それをチェックしながら、選択と集中をするための強化配分をした。
○「強化戦略プラン」は、各中央競技団体(NF)が、主に直近のオリンピック大会を見据えたて策定した強化計画である。JOC選手強化本部では、このプランをもとにNFとコミュニケーションをとり、併せてJISSと連携し様々な分析を行い、NFの強化活動の進捗状況や、チームジャパンの総合力の把握に努めている。この情報の一部は「Team JAPAN Date Book」として毎年、冬季競技と夏季競技に分けてまとめている。また、このデータブックには、オリンピックが開催されていない年度に関しても、仮にオリンピック大会が開催された場合を想定した「日本のメダル獲得シミュレーションが世界ランキングとともに示されている。
○仮想オリンピックについて説明いただきたい。
○「仮想オリンピック大会」のような総合成績のシミュレーションは、他国でも行われている。仮想のオリンピック大会を設定し、各競技団体の強化責任者と綿密なコミュニケーションをとりながら日本の総合力をシミュレーションすることは、国全体の競技力向上施策の進捗状況などを把握する上でも重要なことだと考える。
○今回のロンドンオリンピックの結果とどのくらいの整合性があったのか。
○目標としては、金メダル獲得ランキング5位を打ち出した。JOCは、トップを目指さなければ2位も3位もないということで、頂点を目指すという意識改革をやってきたつもり。それをやった結果、過去最高のメダル獲得数を達成できたが、残念ながら金メダル獲得だけは目標は達成できなかった。
○データブックは2011年版だけでなく、過去のものもあるのか。
○全部ある。
○傾向で結構なので、2009から2010、2011となるほど精度が高くなってきているのか。
○年々精度が上がってきている。データブックはJOCとJISSが主導して作っているが、情報戦略担当から1回各競技団体に返して了解を得た上で公開している。今まではこういったものはなかった。2006年以降こういったものを作るということにしたのは、より情報をオープンにしていくためと、そうすることで競技団体を守るため。例えば、勝った選手はメダル候補と言われる。実際過去はどうだったかを見ておかなければならない。各国がこういったデータを扱っているが、海外にデータを売っている会社があり、各国はそれを基にして同じような分析をするため、ほぼ同じ順位になる。
○資料1の中に競技力向上関係予算があるが、「メダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業」は平成24年度の新規事業なのか、平成23年度からあったのか。
△「メダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業」は平成24年度からの新規事業。
○平成24年度からということは、今回のオリンピックにはあまり使われていないということか。
△平成24年度からなので使われていない。メダル獲得率を上げても、我が国は前年度の大会で勝ち抜いている選手層が他の国に比べると薄く、厚みを持たせる必要がある。そのためには行政が施策を立てて厚みを作らなければならないということで、次世代のタレントを発掘するようなイメージで、もう少し頑張ればメダルに届くというようなアスリートを支援しようという形で作り出したもの。
○国の先駆的なモデル事業ということで、成果を期待したい。
○JOCの強化費の配分とデータとの関係を教えていただきたい。
○成績が残せそうな競技を選んで配分した。優先度をつけて、ある程度選んでやっていった。北京オリンピックが終わった段階で、各競技団体に強化プランを出していただき、自分たちの立ち位置をしっかり理解して、そして目標を明確にして、何をすればそこに届くかということをお互いに話し合いをして、合意したところがその対象に選ばれている。
(3)国立スポーツ科学センターについて
○国立スポーツ科学センター(JISS)では競技力向上のために「スポーツ医・科学支援事業」、「スポーツ医・科学研究事業」、「スポーツ診療事業」、「スポーツ情報事業」という4つの事業を主に行っている。各事業については、外部有識者によるJISS業績評価委員会を設置して毎年評価を受けている。各事業とも、競技力向上に資する事業を十分に行っているという評価を受けている。「スポーツ医・科学支援事業」には、アスリートチェックと医・科学サポートとがある。アスリートチェックはメディカルチェック、それから体力、心理、栄養などを総合的にチェックするもの。普通は年に1回か2回実施してアドバイスをするというもの。年度によって件数が上下するが、オリンピック、アジア大会などの代表選手は義務づけられているため。それとは別に大会とは関係なく、各競技団体が自ら要望してやるものもある。医・科学サポートは、NFの必要性に応じ、強化上の課題について、様々な医・科学分野から総合的、組織的、継続的に支援するというもの。必要なスタッフを配置して、チームを編成し、年間を通して支援する。設立以来増えてきているが、平成21年度からはマルチサポート事業が立ち上がり、トップについては主にマルチサポート事業で支援している。次世代やあるいはジュニアに対する要望、ターゲット種目以外については、スポーツ医・科学支援事業で行っている。「スポーツ医・科学研究事業」は、競技力向上や支援に必要なことを研究するもの。最初10くらいの研究プロジェクトがあり、途中少し増えて最近減っている。平成17年度からは競技別、課題別など、細かいものを別々に立てるようにしたため研究プロジェクト数が増えたが、似たようなものはまとめてグループでやった方がよいということでまとめたため少なくなっている。研究成果がどのように競技力向上に役立ったかについては、直接的ではないため、成果がどう活用されたかといったことで左右される。研究開発でインターネットを介して閲覧できる映像データシステムを構築したが、これが特に対戦競技や格闘技等でかなり活用されている。高地低酸素トレーニングに関する研究では、低酸素に強いか弱いかの判定、高地でのコンディション維持や事前の調整などが現場に役立っているのではないか。コンディショニングの評価方法の研究では、自律神経機能の評価などが、少しずつ現場でも使われてきているのではないか。技術分析に関しては、世界とかなり差がある競技において日本の技術の問題点を明らかにすることができた。「スポーツ診療事業」について、メディカルチェックをすると、代表選手の半分くらいは故障を抱えており、1割近くが競技に支障をきたすような故障を抱えている。こういうクリニック、リハビリテーションがあるということは、選手の支援に役立っている。内科系でも、アトピー、花粉症、ぜんそくなどのアレルギー疾患が多い。最近、トップ選手にぜんそくが多いということが明らかになり、積極的に治療をやっている。「スポーツ情報事業」については、様々な情報を配信しているが、年々増えてきている。JISSは設立当初から一部、トレーニング拠点があったが、2008年にナショナルトレーニングセンター(NTC)が完成してそこで集中してトレーニングできたような競技が今回成績を出したと思うので、拠点とJISSが一緒になっていくということが重要なのではないかと思う。
○スポーツの様々なサポートをする医・科学の部分で、今は世界的に見ても理学療法士(PT)やアスレティックトレーナーが大変大きな力を発揮しているということが、世界の潮流だと思う。本来、JISSのようなトップアスリートを扱うところにいる医・科学のスタッフは、日本でトップの人たちが研究を重ねながら最高のものをやっているべきだと思う。ところが、雇用形態や、その他選手との関係、NFとの関係もあり、腰掛け的な形で契約している方が多いのではないかということが選手の声から聞かれ、少し残念に思っている。将来的にトップアスリートを扱うのであれば、日本のトップの人々をサポートスタッフにつけて欲しいし、さらにそういった研究も進めて欲しいという気持ちがある。
○リハビリテーションに関しては、アスレティックリハビリテーション、あるいはいわゆるリハビリテーションを含めて、NTCの新築のときに場所を広げ、そこでかなり活動も高まってきており、最近はトップ選手がそこを活用している。ということは、非常に力量が高いということを認めてくれているということではないか。次に、トップの人がそこにいるかどうかということに関しては、いろいろな見方があるので、一概には言えないが、成功事例をあげているところなどは、トップの人がいるのではないかと思う。ずっと置いておけるかというところは、独立行政法人ということで、定員の縛りがあるため、定員の枠だけでというのはなかなか難しい。つまり、行政改革の問題もあるため、いわゆる短期の契約の職員を活用せざるを得ない。日本スポーツ振興センター(JSC)としても問題になるのは、人事交流を活発にする必要があるということで、いま手をつけ始めたところ。したがって、特に選手の方から、非常に接点が近いので若い人になるが、若い方が定員となる枠が必ずしもふんだんにあるわけではないものの、そこを工夫していく必要があるし、継続性に関しても工夫の部分でやっていく必要があると思う。
○もう少し世界は次のステップに進んでいると感じた部分があり、例えば、もはやトップアスリートの世界では、PTはリハビリテーションではなく、ムーブメントの部分までケアをする人というような動きになってきている。そう考えたときに、まだまだ日本の場合のPTというのはリハビリテーションの域を出ていないということが現実的にあると思う。そういう意味で、もっと次のステップにということができたらお願いしたい。
○おそらく日本の場合は必ずしも他国と一緒にならないと思う。ただし、リハビリテーションから次へというところに関しては、できているところとこれからのところがあるが、幸いハイパフォーマンスセンターという予算をつけていただいているため、いわゆる「トレ体」と言っているところ、科学による優位性を出したものをハイパフォーマンスというところでさらに現場に落とせるようにして、それをトレーニング体育館で使って、そしてNTCで使う。つまり、動きの面についても、かなり意識をして進めているところで、この10月からは衣替えをした。実際には来年度から動き出すことになると思う。
○設立したときに定員があまり確保できなかったため、どうしても任期付きでやらなければならない。7割以上が最大5年までの任期付きの研究員。現場からも、担当者が途中で変わるのは何とかしてくれと言われているが、行革もあるので定員を増やすことができない。競技団体などに少しきいてみたが、全体としてのPTの評価は割と高い。ただ、個人差や、種目で得意不得意があるため、その辺でレベルが必ずしも高くない部分もあるかもしれない。総体的にはかなり高い評価を受けている。
(4)ナショナルトレーニングセンターについて
○NTCは、実際上は2008年からだが、北京オリンピックの後から稼働したため、今回のロンドンオリンピックはこれについてフルに活用したオリンピックということになる。
○東京都北区西が丘にあるNTC中核拠点は、競技別の専用練習場、および宿泊施設である「アスリート・ヴィレッジ」から構成されている。中核拠点で対応できない冬季競技、海洋・水辺系競技等については、日本各地の専用施設が「ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点」に指定され、ナショナルレベルのトレーニング施設の充実とネットワークの構築が図られている。また、JOCは、中核拠点において各競技共通のプログラムを実施している。このJOCアカデミー事業として実施されているプログラムには、丸1 日本を代表するエリートコーチやスタッフを育成する「JOCナショナルコーチアカデミー事業」、丸2 オリンピックをはじめとする国際大会で活躍できる選手をジュニア世代から一貫して育成する「JOCエリートアカデミー事業」、丸3 トップ選手の生活設計をサポートするとともに、そのキャリアの社会還元を進める「JOCキャリアアカデミー事業」などがある。この他、地域自治体が行っている優れた能力を持つジュニア選手を発掘・育成するタレント発掘・育成事業との連携や中核拠点と競技別強化拠点とのネットワークを構築することを目的とした「拠点ネットワーク・情報戦略事業」なども展開されている。
○質問が出るまで、補足ですけども、資料4の3ページを御覧いただくと、メダル38個のうち、34個くらいはNTCに中核拠点がある競技からメダルが出ているということは、今回のミッションの参考になるのではないかと思う。
○NTC中核拠点の効果に関して各競技の選手や関係者の声を拾うと、「優先利用できる」練習環境の有効性や、競技者が同一拠点において集中的・継続的に強化活動を行うことで他競技からの刺激を受けたことや「チームジャパンとしての意識が醸成された」こと、また、JISSと併用しているため「情報・医・科学のサポート」が受けやすくなったこと、あるいは、「栄養やコンディショニングに非常に配慮された形でトレーニングできる」アスリート・ヴィレッジの存在などの効果、そして「大会本番と同じような環境(器具等)で練習できた」など、5つくらいに集約できると思う。
○資料4の3ページに「NTC中核拠点、競技別強化拠点いずれもない競技」とあるが、なぜこれらの競技はないのか。
○拠点を一ヶ所に決めることが難しい競技もある。
○競技別NTCという形でどこかに作ることができると思うが。
○今は競技別強化拠点というのは文部科学省の事業としてやっているので、競技団体がどのくらい熱心にそれを持ちたいかというところが非常に関係するのではないか。
△選ぶときには、それぞれの競技団体がトップを作る拠点としてかなり利用するものか、それが相当な計画プランでもって対応しようとしているのか、などについて審査していただいている。予算の制約もあるため、たくさん作れるというわけでもない。まだできていないところはある。どういった形で対応していくかが課題。
○昨年、スポーツフォーラムの国際会議があったときに、韓国の代表が、国際テコンドーセンターをいま建設中ということで、韓国中部に、ものすごいホテルから何から、大トレーニングセンターを作っていろいろなことをやっているそうで、今年くらいにできるのではないかと思う。
○資料4の3ページの資料は非常に良い資料だと思う。例えば、1.の「NTC中核拠点がある競技」に「金」「銀」「銅」「入賞」とあるが、実際にこのメダルリスト、あるいは入賞者が利用したかどうか、競技は合宿に来ていたけれども、メダリストは全然違うところで練習しているとか、ここにきてナショナルチームのトレーニングをして、というような事実がついてくればさらに補強になるかと思う。
○90パーセント以上がここでトレーニングしていると思う。日常的に使うことが物理的に無理な競技もあるかもしれないが、朝練のときから陸上トレーニング場を使っている競技や、ほぼ100パーセント使っている競技も多くある。また、NTCがあったからメダルが取れたと選手が言っている競技もある。NTCがあることで、企業に属さず、全国大会だけに出ればよく、フルにナショナルチームレベルの合宿、活動ができると言っている競技もある。
△資料6からも、だいたいどのような傾向にあるかということはわかるのではないか。
○寄宿しながらやっていくような時代に向かっていると思う。ロンドンオリンピックが終わってすぐパリのINSEPに行ってきたが、ナショナルチームの選手600人がそこでトレーニングして、そのうち400人は住んでいると言っていたし、そこから大学に通っているとも言っていた。彼らの滞在のスペースがあればもっとメダルに繋がるとか、そういう課題の抽出をしてもいいのではないか。
○NTCの検証について、例えば、強化事業やアカデミー事業は成績に定量的に評価しやすいところだと思う。いくら予算をかけたからどういう結果が出たというのはこの資料にも書いてあるとおり。ただひとつ、あまり定量的に評価できない部分で、強調していただきたいという個人の希望がある。NTCの交流場所としての機能が非常に有効に働いているのではないかと感じている。これは、いくつのメダルに結びついたと言えない部分だが、スポーツの世界はそれぞれ競技ごとの団体で成り立っており、あまり交流がないまま過ごしてきたというところがある。NTCはいろいろな競技の、トップ、選手、指導者の方が合宿をしており、自然発生的に横の交流ができてくるということで、その効果が計り知れないものがあるのではないか。そういったところは強調した方が良いのではないかと個人的に思う。昔、アメリカのコロラドスプリングスのNTCに行ったときも、そこのディレクターが言っていたのは、NTCの機能というのは強化というものの以外に、競技間のコミュニケーションを重視しているということだった。その辺を強調していただければ。
○オーストラリアのキャンベラにはNTCがあり、2回くらい行ったが、一番長い人は何年いるのかときいたところ、10年くらいとのこと。器械体操のチャンピオンがそこで生活していると言っていた。日本の選手も入っていた。誰でも行ったら非常に安い費用で定期的にツアーが出ており、NTCで合宿している選手がツアーガイドとして案内してくれる。自分でアスリートカードを持っており、どういう種目で、どこの出身で、どういう競技成績で、というのが全部書いてあり、ずっと案内してくれる。質問したら完璧に答えてくれる。そうすると、自分も説明するために勉強しないといけないし、なおかつそれがアルバイトにもなるとのことだった。生活しやすく非常にいいシステムだと思う。参加型の我々が行って一緒に体験できるような、体験型のテストなどがあり、非常にすばらしいと思った。
○競技のコミュニケーションはすごく大事だと思っており、そのコミュニケーションだけでなく、競技それぞれの選手の特色があると思う。体力的、性格的いろいろなものがある。今の日本のシステムは、その競技に行ってしまうと競技を変えることが難しい。NTCというところは、トップアスリートが集まっているので急にチェンジするということは難しいが、もっと年齢の低い段階で、選手を適性競技にチェンジさせるシステムが将来的に成り立つのかどうかということが知りたい。
○いわゆるタレント発掘ということで、各地域、自治体とともにいろいろなところでモデルケースになっていただいている。
○JISSとJOCと地域とが連携して、タレント発掘事業というのを全国12地域でやっている。それは、自分の適性スポーツに繋げていくというシステムづくりを展開している。その中で、NTCのアカデミー事業に入ってきており、国際的なレベルの段階に出場する選手も何人か出てきている。そういった意味では、種目を変更する、あるいは、自分の適性に合ったスポーツに入っていくというシステムづくりは少しずつだができてきていると思う。
△「メダルポテンシャルアスリート育成システム構築事業」でもそれを意識している。種目ごとで育つやり方もあるが、横断的に科学の力を使いながら適性を見ていくということがやれないかということで、この予算で各地域のタレント発掘事業とも絡みながら、新しい方法ができないかと考えている。
○私はフランス、スペイン、韓国のNTCに行き、選手達がそこに寄宿しながらトレーニングする姿を見たが、学校を併設するところもあり、同時に次のキャリアのための勉強を自分でできるようなシステムになっていた。ナショナルの選手であろうと、練習が終わった後、近くの学校に行く人もいるし、すごい顔をして、昨日課題をするために全然寝ていないと言った選手もいた。日本の場合はどちらかというと一つと決めたらそれだけ、種目だけというものもあるし、人生を大きく考えて、スポーツもやっているけれども、次のこともやりながら、それはある意味、その人の精神力を強くしてくれることにも繋がると思う。フランスとかスペインの場合にはNTCに住んでいる選手もそういう形でトレーニングをしている現状がある。
○今のお話は大変重要なこと。最近、日本ではセカンドキャリアという言葉の方が先行しており、それはそれで悪くはないが、選手の間に、スポーツ界に進んでもいいし、スポーツ界以外に進んでもいいという選択肢を広げられるように、デュアルキャリアということが重要視されている。イギリスではTASSというところが大学と連携してやっており、いま実際にJSCでもこれを取り込もうと動き出しているので、早晩そういったシステムができるのではないかと思う。
○スポーツ基本計画にもあるデュアルキャリアが実際にも進んできているということ。
(5)マルチサポート事業について
事務局より資料5について説明があった後、質疑応答・意見交換が行われた。
○マルチサポート事業については、実際には5年以上の歴史がある。2008年の初期の段階と2010年の予算額が増えてきた段階の2つのステージがある。今回御議論いただいているところは前のステージではなくて、2つ目のステージのところ。コンセプトチェンジが2010年に行われて今に至っている。
○マルチサポート事業のアスリート支援の活動については、年間を通じて、あるいは、北京オリンピック以降、ロンドンオリンピックまでの間にかなり密着した形でサポート活動を展開した。ターゲットスポーツごとのサポートスタッフについては、基本的には競技団体の要望に基づいて配置しているため、幅広いスタッフが配置されていると言える。ターゲットスポーツ別のサポート実施回数については、2009年の段階からターゲットスポーツとして選定された8つのスポーツについてはトータルとしてもサポート回数が多い。同様に、サポート帯同日数についても同じような傾向にある。マルチサポート・ハウスは、ロンドンオリンピックで設置し、トータルで4千人を超える利用があった。主な利用としてはリカバリーミール、栄養面や、疲労回復用の携帯ランチボックス、メディカルのケア、高気圧カプセルといったところが非常に高頻度で利用されたことがわかっている。ターゲットスポーツ別に利用状況を見てもほとんどのスポーツで利用されていることがわかる。ロンドンオリンピックで試合が終わった後に、マルチサポート・ハウスを利用いただいた競技団体の選手に対し、アンケートを行った。設置する前から要望として高かったアクセス、すなわち立地条件については、基本的には徒歩15分から20分のところに設置しており、非常に肯定的な意見が多くあった。中には、アクセスの混雑、人の混雑の問題で、多少否定的な意見を出された方もいたが、非常にわずかだった。利用した機能については、リカバリー関係、栄養関係、炭酸泉、高気圧、コンディション、幅広く利用していただき、非常に好評だったということがわかった。
○マルチサポートの研究開発については、競技に関する研究開発、主として用器具を作っている。それから、トレーニング法に関する研究開発、選手のコンディショニングに関する研究開発をやっている。基本的には競技団体の要望を聞いて、それにどのくらい対応できるかというのを判断してやっている。まあまあ成果が出たのではないかと思っている。ただ、開発はモノを作るのに時間がかかるため、もう少し時間があればできたかと思う。
○現場の人たちが、マルチサポート事業で開発されたものを使って強化をするということがまったく知らなかった競技もある。その過程がうやむやになったというところが少し気になる。開発されたものを使いながらでないと合宿が組めないとか、100パーセントうまく活用できたかといわれるとそうでもない気がする。研究者は非常に熱心にされていると思うが、実際は現場の声というのが非常に大事で、日本のコーチ、指導者に対する評価も一般的には高くないということもあり、こういったサポート事業のお金の権限などを、コーチがうまくコントロールして、それがうまく使われるようなシステムになれば非常にいいシステムになるのではないかと思う。
○開発する場合には、競技団体の専務理事や理事から話を聞いて、そういうのに従ってやっているので、本当は選手の要望も聞いていただいてやった方がいいとは思うが、2回聞いて、これでよろしいでしょうかということでやっている。
○普通は、競技団体の強化委員会が何をしてくれという要望を出すもの。それは内部の問題。これはいろいろ開発するときに、選手を見ながらコーチ達と強化委員会が話をしながら決めるのが普通。意思の疎通がなかった競技があるというのは残念。
○他の種目でも同様の声は非常によく聞く。海外に多くの分析員が来て、何のためにこの人たちは来ているのか、選手は首をかしげていて、これがフィードバックされた覚えはないと選手が言っている事実がある。専務理事に聞くと説明があるが、そこが全然繋がっていないことがあるので、もう少しそこのあたりを徹底していただくことが重要ではないか。
○それは、競技団体の内部で強化委員会と専務理事が密接な関係がなかったということだと思う。
○それはそうだと思うが、同じお金を投下するとなると。
○連盟がお願いするわけなので、それは連盟の代表として受けとられると思う。
○ある競技はうまく使えたが、別の競技はうまく使えなかったというのは何なのかを検証することがこの審議ではないかと思う。
○いろいろな課題はもちろん出した方がいいと思う。一つは、ステップとしては、確実に代表の責任者を通しているため、おかしいと言われてしまうと、もう競技団体のトップを抜かして直でやってしまうことになるし、声が大きい選手の言うことを聞けばいいということで統制が取れなくなるため、そこが今後の課題だと思う。その次に、研究開発の打率がいいということ。研究開発でこんなに成功すること普通は考えられない。なぜかと言えば、よく現場と話をしていたから打率が高いということであり、そこを外してしまうと非常にまずい視点である。
○マルチサポート事業は、強化現場での直接的「アスリート支援」、「マルチサポート・ハウス」と呼ばれる大会時の支援拠点の設置・運営、そして用具・トレーニング機器の開発、トレーニング方法やコンディショニング方法の開発を行う「研究開発」の3つに大別されるが、それぞれの事業の必要性などの背景についてその一例を紹介する。例えば、「研究開発」だが、各国がオリンピックの舞台での競い合いにおいてアドバンテージを得るためにテクノロジーの応用やマテリアルの開発に乗り出している。ウェアーやシューズ、あるいはトレーニングやコンディショニングの効果を高めるための用具や器具に関する成果の一部には、選手個々の特性やニーズに合わせて開発されたものも多く、これらの一部には、選手個々のアドバンテージが失われないような配慮が必要なものもある。また、開発された用具や器具の中には使い慣れるまで時間のかかるものもある。コンディショニングに関する研究の中には、長期間に渡るデータの蓄積が必要なものもある。4年に一度開催されるオリンピックにおいて選手から信頼されるものを生みだすためには、トライアンドエラーも含めた実戦経験を積み重ねる時間も重要な要素となる。マルチサポート・ハウスの設置に至る背景だが、そのひとつとして選手村でのサポートの限界がある。選手村の中に入れるスタッフの数や時間、場所には限りがあり、ロンドンオリンピック大会以前では、各競技団体が別々に自分たちの拠点を設置し運営するということをやっていた。大会前の早い時期から物件を探し、仮押さえし、そして会場までの交通手段の確保などを競技団体が行っていた。体重調整などのある競技では食料の搬入や調達、調理も独自に行っていた。このような準備も含めた取り組みは、出場選手が確定していない段階、あるいは予選通過以前から行わないと本番に間に合わないような状況も見られた。
○マルチサポート事業については、非常に大きな効果があったと思っている。いま個別の競技種目とか個別の研究開発について、検証して欲しいという声もあったが、それはむしろJISSとかJOCにやっていただき、私たちはもう少しマクロのレベルで、アテネオリンピックであれだけ金メダル取った、北京オリンピックで落ち込んだ、このオリンピックサイクルと、北京オリンピック、ロンドンオリンピック、ここでマルチサポートも大きく変わり、NTCもできたという、これが影響しているということをマクロで見る。そして、同時に、リオデジャネイロオリンピックに向けて4年間で何をやらなければいけないのかという政策的な大きな枠組みで、個別のどの競技がどうとか、どの用具がどうとかということではなく、そこが、確実にインパクトがあったことを、国民や財政当局に伝えることがこの検証チームの仕事ではないかと思う。細かいところを言えばいろいろあるかもしれないが、全体として見て、北京の反省を踏まえて明らかに変えている。効果があったというこの4年間、きちんと努力を測るべきではないか。もちろん課題もあるため、それも抽出する必要もあるかと思うが、私たちが検証する対象はどの大きさなのか、マクロなのかミクロなのか確認しておいた方がいいと思う。
○個別にマルチサポートの研究開発を検証して欲しいということではなく、なぜ強化委員会にヒアリングがいかなかったのかなど、全体を把握しておくことが次のステップに進むことであるため、それも含めてマクロで検証していただきたいということ。
○個別の競技について見ていくのはこの検証チームではないと思っている。ただ、それはみなさんで決めることだと思っている。
○JOCが各競技団体にヒアリングをする機会があるようなことを伺っているので、そちらの方に反映させていただければと思う。
○この検証チームでは、初めて今回ロンドンオリンピックで採用されたいろいろなことについてどう効果があったのかをマクロな意味でまとめるということに賛成。2つ提案がある。一つは、この成果については、非常にわかりやすく、その効果のポジティブな部分とネガティブな部分を、一般国民にきちんと伝えていくということが、国民の方々の理解を得てさらにこの事業が拡大していくことに繋がる戦略になると思う。今回マルチサポート事業の成果の中にいろいろなことが出ていたが、定量的な部分と選手の生の声が一番国民に対しては説得力があるように思う。今回、38個のうち35個をマルチサポートの事業ターゲットで獲得したということがあったが、今回293名の日本選手団が参加されたと思うが、実際にメダルを手にした方はおそらく83名か84名になるのではないかと思う。これは選手団総数の28パーセントがメダルを手にしているということだが、その要素も北京オリンピックとアテネオリンピックを比較してみたら、1個のメダルではなく、バドミントンは2人とか、フェンシングは3人とか、そういったカウントの仕方もアピール要素としてはあるのではないか。リレーも4人で4つ取っているため、そういう数字の評価もきちんと伝えていくことも必要ではないかと思う。
○現場でマルチサポート・ハウスを見学させていただき、いろいろなことを考えた。いま日本が内向きになっていて、少し過保護だったり、なかなか外に出て行く人がいなかったり、こういう世界から見た日本の情勢の中で、マルチサポート・ハウスを作ってこういった結果が出たことはすばらしいと思うが、同時に、これをリオデジャネイロオリンピックに向けてやるのであれば、選手村を出てマルチサポート・ハウスに行くのであれば、選手村に戻ったときにできる限り他の国の人と交流するなど、そこで本来のオリンピックの目的である交流などをするように、選手一人ひとりへの教育をして欲しいと思う。そうしないと、皆日本にいるのと同じ状況を作るわけなので、マルチサポート・ハウスに行ってメダルを取った、それは取れるよね、偉いよね、と終わってしまうと、何でオリンピックがあるのということにもなるため、もしリオデジャネイロオリンピックに対してこういったものを作るのであれば、一人ひとり選手、コーチに対してメッセージを発信していただきたいと思う。
最後に事務局から今後の日程について説明があった。また、次回会議は非公開とすることで委員一同了承し、会議が終了した。
以上
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