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資料2 有識者会議において出された論点

1 防災教育

(1)自分の命を守るための教育

○被災者の話を聞いていると、たまたま助かった方も多いが、これを臨機応変の判断により助かったとすることが、防災教育の重要な課題ではないか。

○知識ではなく、どういう状況下にあっても、臨機応変に自分で判断ができ、自ら最善の行動がとれるという「姿勢」そのものを与える防災教育が重要である。

○マニュアル等を与えると逆に対応の固定化を招いてしまう恐れがある。例えば、ハザードマップを越える災害もあり、想定にとらわれない正しい判断に基づく状況下で、最善を尽くすことが重要である。

○子どもだけではなく、日本社会全体が、防災という観点、自分の命は自分で守るということに対して、他人任せの状態になっている。

○情報理解の非対称性というが、自分の命にかかわるようなリスク情報は、人間はまともに理解できない側面がある。例えば、ハザードマップの色付きの場所は危ないと言うと、色なしの場所は安全だとは言っていないのに、安全だと思ってしまうような傾向がある。

○宝くじに当たるといった自分に都合の良い情報は起こりそうに思えるが、交通事故にあうといった都合の悪い情報は自分には起こらないと思ってしまう。客観確率は同じでも主観確率は異なる。

○防災教育で、ここにはどんな地震、津波が来るのかなど、敵でもある自然災害を知りたがるが、より大事なことは、自然に対してまともに向き合えない、自分が死ぬとは思えない、非常ベルが鳴っても行動に移さないなど、おのれを知るという部分だと考える。

○ハザードマップも整備されていて、明治、昭和の三陸津波でも浸水域ではなかったため、津波は全く来ないだろうと想定していたが、今回は来た。あまり想定を信じ込まないということが非常に重要だということが、今回の地震の教訓だったのではないかと感じる。

(2)支援者となるための教育

○防災教育の基本は、避難訓練など、サバイバーになるための教育となっているが、被災地のお手伝い等、サポーターになるための教育、支援する側の教育という視点を入れていくべきである。

○被災地に赴き、泥かきなどの支援に関わることによって、支援者としての視点を教育に取り込むことができる。

○防災教育を広げるためには、防災教育をもっと生徒の日常に近づけるべきではないか。例えば、子どもたちの将来の夢と防災のかかわりを考えさせ、そのかかわりを見つけさせるなど、子どもたちは災害を身近で日常的なものと感じさせる教育が必要である。

○生徒は、毎年、防災訓練とは別に消防署の行う救急蘇生法の講習会(3時間)を受講しており、避難直後から、2・3年生は、落ち着いて、人工呼吸やAEDを用いた救助活動を行っていた。

(3)過去の教訓を踏まえた教育

○明治29年、昭和35年等の三陸沖地震、また、新潟県で江戸時代に2回ぐらい起きた大地震等、過去の震災の教訓を伝える地域教育は重要である。

○今回の大きな災害を後世に残すということが非常に重要であると思う。本来の自然の姿の一部として災害の姿というのもあるので、それをいかに残して、教育に使うのかが重要である。

(4)防災科学技術(緊急地震速報等)を活用した教育

○緊急地震速報による避難訓練を実施することにより、子どもたちが自分でその危険を回避するために、倒れてこない、落ちてこない場所をとっさに判断して、身を守ることができるようになった。

○緊急地震速報による避難訓練により、子どもたちは、今回の震災時にも、大変素早く、冷静な対応ができた。このことは、学校にいる時だけでなく、家庭にいる時、外にいる時にも非常に有効な手段である。

○緊急地震速報による避難訓練により、情報収集への関心度の向上という意味で、いろんな情報に関して、非常に過敏になって、より得たいと思う一方で、最終的な判断などの場合には、経験があるので冷静に最終決定をするという2つのいい効果が表われているのではないかと思う。

○学校の下に地震計が埋まっているので、6年生全員でジャンプした地震計の波形と実際に遠くで起きた地震計の波形とを比べ、地震エネルギーのすごさを実感させるなどのユニークな防災教育を実施している。

○今回の震災に関しては、科学技術の限界というのも指摘されたわけだが、学校現場においてもこういう限界があるということを認識して、それを克服する若い世代を形成、育成する必要がある。

○幼稚園や保育所等は、小さな組織であるので、緊急地震速報のような技術を使った対策が取られている所は、極めて少ない。

(5)災害を理解する教育

○自然には二面性があり、自然からの恩恵、自然の良さということとその怖さの裏表を理解させていくことが重要である。

○地震、津波が発生する仕組み等に関する知識は必要。その知識を自分で生かすことができる教育が必要である。

○日本海中部地震の際のアンケートでは、地震のことを知っていれば、避難行動が変わっていたかもしれないという結果が出ており、理科等でも教えているのは良いこと。

○日本の陸地面積は、世界の陸地面積の0.25%に過ぎないにも関わらず、多くの巨大地震が発生している。地震と共存せざるを得ない我が国独自の防災教育があっても良い。

2 防災管理

(1)避難場所・避難経路

○テレビで得た津波警報によれば、10分後に大津波が到達とのことであったため、訓練で行っていた校庭での点呼ではなく、校舎の2階で点呼をした。

○日頃の避難訓練とテレビで得た情報をもとに、20分離れた二次避難場所ではなく、屋上への避難を即座に決断することができた。

○毎年の避難訓練の中で、教職員同士、いろいろな状況別に、避難経路、避難方法などについて議論することにより、状況に応じた対応方法について、教職員同士で共有することができていたため、素早い避難行動の指示につながった。

○学校外で行う部活動中に何か起こった場合、まずは顧問の指示に従い、顧問がいない場合には施設の管理者等の誘導に従うように指導していた。

○テレビ映像で海の様子を見た、海に詳しい海洋システム科の職員等の意見も要因となって、一次避難場所からより高台である二次避難場所に避難し、被害を押さえることができた。

○校庭に集合する意義を今一度考える必要がある。耐震基準を満たしていて倒壊する恐れがないようならば、ただちに校庭に集合する必要はないのではないか。建物が倒壊する危険性のある場合や校内から出火があった場合など必要であるが、大雨の日や液状化によって校庭に出られない場合もある。つまり、必ずしも避難訓練だからといって、校庭に出るということには課題がある。

○「高さ(津波の規模)」と「時間(津波の到達時間)」の2つの軸で、避難経路を見直す必要がある。

(2)指導者の養成

○防災教育のを実施する教職員には、直接災害を体験すること、被災地で支援する体験をすること、それらの体験を持った人から学ぶ姿勢を持つことのいずれかが必要である。

○防災教育を含めた総合的な安全教育を充実させるためには指導者の養成が不可欠である。

(3)児童生徒等の引き渡し

○地震が起きた時には、停電になった時の対応、児童生徒等の引き渡しの連絡などの情報伝達の方法、避難時の食料確保の方策が課題となる。

○学校と保護者との連絡、児童の引き渡し方法等について、震災時には通信網が不通となることを想定して、事前に保護者との間で取り決めておくことが必要。

○下校をした子どもたちの安否確認は、津波被害のなかった地域でも4、5日かかった。電話、メールが通じないという状況の中、夜半過ぎから教員が家庭訪問に回って確認をした。

○児童の引き渡し名簿は整備されていたが、金庫の中に入っていて取り出せなかったが、普通の児童名簿はあったので、今回はそれが使えた。引き渡しは、津波の対策ではできないだろうし、学校が全部守るというつもりの方が良い気がする。

○児童の引き渡し方法について、地震の場合と、津波、豪雨災害等とでは、被害状況が異なることから、保護者との対応も異なると考えられ、非常に臨機応変に対応していかなければならないところが出てくると思われる。

○幼稚園における送迎バスについて、送迎バスが発車しているのに保護者が逆に迎えに来てしまったり、携帯電話がつながらず、保護者がずっとバス停で待ち続けることになった。

(4)学校におけるマニュアルの整備

○県立学校に対し、津波警報が出た時に、具体的に学校で取り決めた計画があるかを調査したところ、沿岸に近い学校については二次避難場所として校舎の上層部に上がるというような対応は示しているが、津波に対するその他の避難行動に係る部分の内容が薄いことが判明したため、県で学校の津波対策マニュアルの暫定版を作成し、各市町教育委員会や県立高校に対して、学校で取り決めた防災計画を作り直すように指導した。

○沿岸地域の津波対策に係る緊急の取組みについて、沿岸部にある学校だけではなく、海洋訓練等の校外学習で沿岸部を訪れる機会がある県中心部や山にある学校など、県内の各学校にも周知し、そういう時の実践例として取り入れるよう指導することにしている。

(5)地域と連携した学校の体制整備

○県教委では、防災教育推進専門委員会(学校の津波対策会議)を設置し、県沿岸部に位置する津波が心配されるであろう地域から、学校の防災担当者、管理職の方を招いて、津波に対する具体的な対応、学校と地域との連携、津波対策推進上の課題について情報共有した。

○県の危機管理部と教育委員会等と連携しながら、今回の震災の教訓等を踏まえて、先生や児童生徒への学校全体での研修会等を実施している。

○自主防災組織、市町の防災担当部局、県の出先機関である地域危機管理局と避難所となる学校との連携を強化するために、定期的に連絡会議を開催している。

(6)心のケアへの対応

○子どもたちの心のケアに加え、教職員たちの心のケアも重要だと感じた。

○子どもたちの心のケアの観点から、津波を見せないように、屋根がかかっていて外が見えない場所に避難した。

(7)施設・設備の整備

○第三次被害想定で浸水域に入っている学校については、屋上避難階段等の設置を計画している。また、その他の学校においても、生徒の安全な避難はもとより、地域住民から上層階への避難を要望されている学校があることから、施設の安全性の確保対策について検討することにしている。

○地域によっては、最善を尽くして避難しようにも高い場所が全くないところもあるので、逃げるべき高い場所を何らかの形で確保した上で、防災教育を行うことが重要である。

○普段の避難訓練では校内放送で緊急連絡をするということになっていたため、停電となり、校内放送が使えない状態となった時には、非常に困った。

(8)避難所としての対応

○懐中電灯は職員室に1つしかなく、震災当日は取り出すことができず、屋上の避難場所に持って来ることができなかった。職員室ではなく、避難する先の屋上に最初から置いておくか、いくつかの場所に分散して置いておく必要がある。

○避難時における情報は、ラジオと携帯電話のワンセグで得ていたが、おおよその周囲の状況が分かり、随分と安心材料があったと感じる。

○地震により停電となったため、職員室、各教室等にある防災無線の受信機は使用できず、町で行っている防災無線と職員室にあったラジオの情報だけが頼りであった。

○屋上での避難は非常に寒かったが、防寒着を用意したり、子どもたちは防災ずきんを全員かぶっていたこともあり、一晩過ごせたことにもつながっていると思う。

○屋上での避難は非常に寒かったが、体育館に、何か別の避難所になった時のために備えていた毛布があり、たまたま、津波によって流されず、しかも真空パックになっていたこともあり、使用することができ、寒さを凌ぐことができた。毛布についても、避難先の屋上に最初から置いておくべきである。

○学校は避難所には指定されていたが、食料の備蓄対象になっている学校ではないということで、避難をしている人たちに配る水、食料等はなく、最初に隣町の方々がおにぎりを持ってきてくれたのが、震災翌日の夕方近くであった。

○避難指定所になっていなくても、地震直後からほとんどの学校が避難所になった。また、子どもが下校する前の学校では、学校の先生は押し寄せる避難民と子どもたちの安全を確保するという2つの作業をしなければならなかった。

○震災の日から数日間、教職員は24時間体制となった。本来、避難所を運営する予定だった行政機関の職員が配備されるまでというわけにはいかなかったようで、数百人、千人近い人を動かせるのは、やはりそうしたトレーニングを積んでいる教員が何よりであったと聞いている。

○市の消防局が、市内のすべての小・中学校に防災無線を整備したことにより、電話、メールが通じなくても、学校と教育委員会との間の防災無線は通じた。ただし、必要な情報が届いたかという点については、電波の強弱があったり、充電式であったため、停電により何回か使えば使用できなくなる等の問題もあった。

(9)幼稚園での対応

○幼稚園において、これまでの避難訓練では、1回の地震で収まるという前提で行っていたたが、今回の地震では余震が2回、3回と続き、どうしたら良いか分からず、焦ってしまった。

○幼稚園において、ゼロ歳時には毛布をかけて守ったけれども、外への避難に大変時間がかかった。

○幼稚園において、余震、寒さ、暗さ、空腹で、泣きやまない園児が多かった。

○幼稚園において、園庭に避難したが、幼児が教師にしがみついて身動きができず、残留園児のための避難に時間がかかってしまった。

○幼児を持つ保護者は若い方も多く、パニックになって帰ることができなくなったり、保護者の方が興奮して、その対応をどうしたら良いか分からなくなってしまった。

○幼稚園において、防災ずきんやヘルメットの備えがなかったり、待機させたくても食料や水を備えていなかった。

○幼児や高齢者といった弱い人たちをどうやって守っていくのかというのも、やはり地域や国で考えていかなければならない。

○できるだけ小さいうちから、安全は一番重要であることを繰り返し教えていくということが学校においても基本ではないかと考える。

3 組織活動

(1)地域と連携した防災訓練

○毎年、町の防災訓練として、地域の方々と連携し、炊き出しや救急救命の研修などの訓練を実施している。

○学校と地域住民が連携し、有効な避難訓練や炊き出しの練習などが必要である。

○地域との防災訓練の時には、学校行事、部活動の予定を調整するなど学校と地域とが連携して実施している学校もある。

○学校に教職員がいる時間帯に地震が起きる可能性は、1日8時間、週5日としても23%である。その他の約80%近い時間帯には、学校に教職員は不在であり、その時に避難所を開設する必要に迫られることから、地域住民が主体となって避難所設営を行うことが必要である。そのために、普段の避難訓練も住民とともに実施するなどの取組が大切である。

○学校が避難所となった場合において、地域の方との間では、学校の備蓄倉庫にあるものは、すぐに使って良いというルールになっている。そのため、備蓄倉庫の鍵や避難所となる体育館の鍵は、地域の人がすぐに開けられるように、受付に置くようにした。

4 その他

○岩手県、宮城県に関しては、津波の規模については想定を越えていたが、過去の三陸沖地震、宮城県沖地震と連動タイプが同じであったので、到達時間については想定内であった。

○マグニチュード9の地震に対しては、マグニチュード7クラス以上の余震は、おそらく1年以上続く。場合によっては、7以上になるかもしれず、余震に対する対策というのいが重要になる。御存知のとおり、沿岸部では地盤の沈降もしており、防潮堤、防波堤などの防御施設も一部壊れており、非常にリスクの高い状況にある。

○今回の余震の北側と南側、又は場合によっては東側のエリア、つまり今回の本震の隣側でも地震の発生する可能性は通常よりも高い状況にある。

○子どもや女性、高齢者など災害弱者を守ることを考えなければならないが、逆に子どもが地域に元気を与えることもある。

○「防災教育」と他の学校安全の領域である「防犯教育」、「交通安全教育」とをどのように理論的・実践的に連動させるのかという議論も必要である。過密な時間割の中で、教育効果を上げていくためにも、安全教育の3領域が連動することが望ましい。例えば、「その場で最善を尽くす」という態度が、不審者侵入時の対応に連動するのかどうか、「自分の安全は自分で守る」という交通安全教育の学習目標が防災教育に反映されるかどうかなど、学習経験が3領域間で相互に応用されるのであれば、より効果的な安全教育が期待できる。

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スポーツ・青少年局学校健康教育課

(スポーツ・青少年局学校健康教育課)

-- 登録:平成23年10月 --