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シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議

2002/08/05 議事録
シックハウス症候群に関する調査研究協力者

シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議
(第一回)議事概要

1  日時  平成14年8月5日  (月)14:00〜16:00
 
2  場所  日本財団ビル  2階会議室

  出席者
<協力者>  石川(哲也)委員、荒記委員、石川(哲)委員、市木委員、逢坂委員、岸委員、齋藤委員、白石委員、田辺委員、土屋委員、内藤委員、永井委員、西川委員、西間委員、山本委員
<文部科学省>  中岡健康教育課長、山崎健康教育企画室長、鬼頭健康教育調査官、大金専門官、田嶋健康教育調査官

  議事要旨

(1)開会
 
(2)座長選出
  全会一致で、石川哲也委員が座長に選出された。
 
(3)シックハウス症候群に関する調査研究の趣旨について、事務局より説明
 
(4)協議


  シックハウス症候群に関する調査研究を行うに当たっての課題等について、大要、以下のような意見交換が行われた。(△座長、○協力者、●事務局)

  実施期間内に調査研究内容の全てが実施できるのか。
 
  基本的には、できる限り本年度中に検討を行いたいが、内容が非常に専門的で、また、難しい問題でもあるので、会議の進行状況を見ながら今後のことを考えていきたい。
 
  化学物質過敏症は基本的には3つの原因から成り立っており、一番目はいわゆる中毒であり、低濃度の化学物質の量によって起きる健康影響、低濃度曝露の問題である。二番目はアレルギー反応であり、中毒とアレルギーはメカニズムが全然違う。アレルギーは非常に低濃度で起こる。三番目は、現在欧米で問題となっているが本態性多種化学物質過敏状態(MCS)である。シックハウス症候群はこの3つの違ったメカニズムで成り立っている健康影響によって様々な反応や症状が発生するものであると理解している。本態性多種化学物質過敏状態は非アレルギー性の、主に神経の影響を通して発生する、健康影響、症状等を指していると理解している。
 
  遺伝的原因により病気になりやすい体質があると思う。アレルギーだけに絞って言うのではなくて、過敏反応といったほうがいいのではないか。小児の場合は、まず、呼吸器系に異常が生じて、次に皮膚、最後に神経的に問題が生じるステップがある様に思う。
 
  家では普通に生活できるが、学校に来ると具合が悪くなる児童生徒について、原因が分からず対処に苦慮している。
 
  この問題は、必ずしも新設校のみで発生している問題ではないので現在の学校での化学物質の使用状況を調べる必要があるのではないか。
 
  過敏症の児童生徒について、その症状の原因が学校にあるのか、あるいは家庭や通学途中にあるのかを特定するのはかなり難しいのではないか。
 
  カビと自覚症状の関連がかなり強くあり、室内環境の問題は必ずしも化学物質の問題だけでない。
 
  内装工事が終わってからの引渡しが早いのではないか。最近建物が高気密化しており、換気の重要性が増している。
 
  学校と一般住宅とでは存在している化学物質がかなり違うと考えられる。また、学校環境以外で通学路やライフスタイル、食事など様々な原因があると考えられるので、調査方法は慎重に検討する必要がある。
 
  学校では、改装や新築後、一定期間必ず換気をすることが重要である。
 
  ワックスついても極力土曜日に使用し、日曜日には換気を行うようにすることが望ましい。また、パラジクロロベンゼンについても何らかの対策が必要である。
 
  学校においては、翌年度より検査を行うという学校もあるが、検査費用がかかり、検査機関も限られている。財源をどうするかも問題になっている。
 
  検知管で調べるという方法があるが、この検査は基準では認められていない。
 
  カビ、ダニの問題はきちんと換気を行うことでかなりこの問題は防げると考えられる。
 
  文部科学省が実施した実態調査でも音楽室、図工室については一部の学校で濃度が指針値を超えており、換気等についての注意が必要である。
 
  空気中の濃度だけでなく個人の暴露データが取れると非常に良い。パソコンからも化学物質が出ており、クレヨンなど児童生徒が使うものに関しても調査を行えるとよいのではないのか。
 
  測定法に関しては、経済産業省においてJIS化の整備が行われており、これらを踏まえながら、発生源の調査、暴露源の調査が行えるとよい。
 
  自然材の使用や、エコ教育、冷房と換気の関係などを普及啓発していくことで、個人が暴露されることから少しでも遠ざかることができるよう学校で教育を行うことも重要である。
 
  建築業者にとっては学校環境衛生の基準は大きな影響があり、これをきちんと徹底することで業者の意識が変わって来ると思う。またコストの面はどうするか考えることとなる。
 
  本年二月に学校環境衛生の基準が改訂されたが、改訂後間もないこともあり、現場では混乱しているところもあるようだ。
 
  今後の厚生労働省の指針値の設定の状況も踏まえ、学校環境衛生の基準についても順次、改訂を行う必要がある。
 
  机の放散量を調べた際に、高濃度のトルエンが検出されこともあるので、特徴的なものを含めた調査を事前に行うことである程度実態がつかめるのではないか。
 
  シックハウス症候群の症状は多岐にわたるので、学校医としては、児童生徒の症状がシックハウス症候群なのかという判断が非常に難しい状況にある。
 
  学校医の立場としては、現場に結びつくような調査結果であって欲しい。
 
  アレルギーがどんなかたちで化学物質過敏症に関連するかは、恐らく3つの可能性がある。1番目は物質自身がアレルギーの可能性となること、2番目は免疫学的なアジュバント作用として働いて免疫を取ろうとしてしまうこと、3番目はスラッグ性対炎症反応を促進することによって過敏になってくることで、濃度的にどのくらいまで許容範囲があるのかなどの問題が対策に反映できる調査ができればいい。
 
  シックハウス症候群は2つの側面があり、一つは一般の方が発症しないレベルをどう考えていくか、もう一つは化学物質過敏症と診断されている人たちをどう対応していくのかがある。
 
  化学物質過敏症の児童生徒の実態はわからないが、保護者がアレルギー系または本人がアレルギーをもっていた場合には反応が出てくる傾向が見られる。
 
  厚生労働省が示した指針値を下回っていても体調不良なった例がある。
 
  小児のアレルギー、呼吸器、化学物質過敏症などの患者が集まる病院でも、現在のところ小児のMCSはまだ3例しかなく、日本の小児アレルギーの分野でも化学物質過敏症については客観的に病気であると判断する手法を得ていない。疫学調査、実態調査をどれだけ精度の高いプロトコールを作ってやれるかがポイントである。
 
  化学物質あるいは各種の非常に微細な刺激を皮膚が受けた時に、疾患までいかなくても定量的に数値的にその状況を見出す方法がある。
 
  対象とする小学校、中学校の数はどれくらいなのか。
 
  調査対象についても、今後この場で議論していただきたい。
 
  実際に、児童生徒が健康被害を受けている実状はどの程度か。
 
  保護者の方等から、こういった事例があるという話は伺っているが、全国調査を行ったことはない。この調査研究の中で、児童生徒の実態を把握したい考えている。

以  上

  今後、調査研究を進めるに当たって、調査内容ごとに「児童生徒の実態調査部会」、「測定方法等部会」の2つの部会を設置することについて、事務局から提案が行われ、全会一致で了承された。
  また、両部会の部会長については、全会一致で、石川哲也座長が選出された。


(スポーツ・青少年局学校健康教育課)

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