戻る

子どもの体力向上のための総合的な方策について(抜粋)
〜中央教育審議会  答申  平成14年9月30日〜

III  子どもの体力向上のための総合的な方策
6  体力の向上に資する子どもの生活習慣の改善−よく食べ,よく動き,よく眠る“健康3原則”
   (調和のとれた食事,適切な運動,十分な休養・睡眠)の徹底−

(2) 食に関する指導の充実
  近年,食生活を取り巻く社会環境などが大きく変化し,人々の食行動の多様化が進む中で,偏った栄養摂取,肥満傾向の増加,生活習慣病の若年化などの食に関する健康問題が引き起こされているが,食生活は人間が生きる上での基本であり,望ましい食習慣や栄養バランスのとれた食生活を形成する観点から,学校における食に関する指導は極めて重要である。
  食に関する指導に当たっては,小学校低学年から学校の指導計画に明確に位置付け,食に関する知識を教えるだけでなく,知識を望ましい食習慣の形成に結び付けられるような実践的な態度の育成が必要である。その際,学校給食を食に関する指導の「生きた教材」として活用し,栄養バランスのとれた食事内容などについて,体験を通して学ばせることも重要である。また,教諭・養護教諭はもちろんのこと、食に関する専門家である学校栄養職員の積極的な参画・協力が重要である。
  例えば,教科,特別活動,総合的な学習の時間等における担当教諭とのティーム・ティーチングや,特別非常勤講師に発令しての指導のほか,児童生徒に対する個別的な相談指導などにおいて,学校栄養職員の専門性の発揮が期待される。
  なお,学校栄養職員については,食に関する専門家としての知識はもとより,児童生徒の成長発達やこの時期の心理の特性などについての正しい理解の上で、教育的配慮を持った食に関する指導を行うことが求められている。このような状況を踏まえ,これまでの研修等の事業の改善充実を図るとともに,教育活動を担うにふさわしい指導力を持った学校栄養職員の養成を図ることのできる制度を創設し,このような制度的な担保に裏付けられた学校栄養職員を各地域や学校の実状に応じて教育活動に効果的に活用していくことが求められる。このため,いわゆる「栄養教諭(仮称)」制度など学校栄養職員に係る新たな制度の創設を検討し,学校栄養職員が栄養及び教育の専門家として児童生徒の食に関する教育指導を担うことができるよう食に関する指導体制の整備を行うことが必要である。
  一方,国においては,小・中学生を対象とした食生活に関する学習教材や,指導者用解説書を作成・配布しており,学校での積極的な活用が期待される。また,この学習教材の充実を図ることも重要である。
  さらに,学校における指導のみならず,家庭や地域社会との連携により,食に関する指導の充実を図ることが重要である。具体的には,食生活に関する授業等を保護者と児童生徒が一緒に受けたり,学校栄養職員が「食生活連絡ノート(仮称)」やインターネット等により保護者からの食に関する相談に応じたり,親子料理教室や,地域あるいはPTA主催の食に関する行事に参画したりするなどの取組が考えられる。



ページの先頭へ