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文体学第55号
平成10年6月12日

附属学校を置く各国立大学長
国立久里浜養護学校長
各都道府県知事
各都道府県教育委員会教育長
殿

文 部 省 体 育 局 長    
工 藤   智 規

「食」に関する指導の充実について(通知)


  最近、児童生徒の心の健康問題の深刻化が憂慮されているところですが、これらの背景には、朝食欠食率の増加、カルシウム不足や脂肪の過剰摂取等の偏った栄養摂取など、「食」に起因する健康問題もあると指摘されております。
  昨年9月の保健体育審議会答申においても指摘されているように、生涯にわたって心身ともに健康な生活の基礎を培う健康教育の一環として「食」に関する指導が果たす役割は、非常に大きなものが期待されるところであります。
  このため、文部省では、中学校において、新学期での「心を育む学校給食週間」の実施をお願いするとともに、このたび改訂された教育改革プログラムにおいても、「食」に関する指導の充実のための取組の推進を盛り込んだところであります。
  つきましては、貴職におかれても、下記事項に留意の上、貴管下の市町村教育委員会、学校に周知を図り、「食」に関する指導のより一層の充実を図られますようお願いいたします。

  「食」に関する指導に当たっては、学校の教育活動全体を通して行う健康教育の一環として、児童生徒に「食」に関する知識を教えるだけではなく、知識を望ましい食習慣の形成に結び付けられるような実践的な態度を育成するよう努めること。

  教科、道徳及び特別活動を通じ、「食」に関連した指導を要する局面においては、発達段階に応じた指導に取り組むよう努めること。その際、各学校の自主的判断により、「食」に関する専門家である学校栄養職員の積極的な参画・協力を得て、学校栄養職員と担当教諭がティームを組んで教科指導や給食指導を行ったり、いわゆる特別非常勤講師として学校栄養職員が「食」に関する指導を行うなど創意工夫を加え、効果的な指導を行うことが重要であること。
  なお、「食」に関する指導について特別非常勤講師の対象となる教科の領域の一部としては、小学校の教科「家庭」の「食物」、教科「体育」の保健領域における「健康な生活」や、中学校の教科「保健体育」の保健分野における「健康と生活」、教科「技術・家庭」の「食物」などが考えられること。

  特に、給食指導においては、栄養バランスのとれた食事の摂取の重要性はもとより、望ましい食習慣の形成、食事を通しての好ましい人間関係の形成や集団生活に基づく社会性・協調性の涵養などに留意して適切を期すること。

  なお、去る4月28日に改訂された教育改革プログラムにも示されているように、文部省では、特別非常勤講師として学校栄養職員が「食」に関する指導を行うなど校内外の専門家も活用した健康教育の在り方について実践的かつ総合的な調査研究を平成10年度より3年計画で実施しているところであり、これにも留意されたいこと。

  去る6月10日に教育職員免許法の一部を改正する法律が公布されたことにより、特別非常勤講師制度については、平成10年7月1日以降、小学校における対象が全教科に拡大されるとともに、授与権者(都道府県教育委員会)による「許可制」が「届出制」に改められるが、同法の施行については別途通知される予定であるので、制度の運用に当たっては、この通知に十分留意すること。


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