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カビ対策専門家会合(第2回)議事概要

1. 日時
  平成18年7月11日(火曜日) 13時30分〜15時10分

2. 場所
  文部科学省10F3会議室(10階)

3. 出席者
 
(委員) 宇田川主査、高鳥委員、岡田委員、佐野委員、細矢委員、堀江委員
(文科省) 吉野大臣政務官、田中大臣官房政策課長、三浦社会教育課長、森学術機関課長、小松伝統文化課長、その他関係官

4. 議事等
 
(1) 国文学研究資料館の青木睦氏から記録史料の保存管理におけるカビ被害と対策の現状について説明があり、その後、質疑応答が行われた。主なやりとりは以下のとおり。(●説明者、○委員)
 
委員  標本の保存では虫害対策でナフタリンを大量に使う例がある。国文学研究資料館でも同様の化学物質を使用した防虫策を講じているのか。また、燻蒸によるカビ対策も行っているのか。
説明者  殺菌については燻蒸など、化学物質を用いた対策は講じたことはない。殺虫についてはナフタリンは効果が弱く、パラジクロロベンゼンは化合物としての問題性もあるため、臭化メチルのみを用いて行ってきた。しかし、毎年行ってきた殺虫を1992年から1年おきにし、臭化メチルの使用禁止に向けた動きもあり、1998年からは行わないこととした。とはいえ、民間での収蔵物についていえば、市販の防虫忌避剤を用いているというのが実情である。いずれにしても化学薬剤に頼らない殺虫、殺菌という考え方が重要である。
委員  通常の文書と貴重な文書について、扱いを分けているのか。
説明者  文学関係で貴重な書籍があり、現在は密閉性の高い収納庫に隔離して保存している。しかし、高い密閉性に伴う問題点もあり、移転に向けて見直していこうと考えている。
 それ以外は中性紙で包んだ上で保存箱に入れており、基本的に一律の取扱いになっているが、良い状態で管理できていると考えている。ただし、寄託資料については、お預かりしているものであり、中性紙で包んだ上で専用棚に収納している。また、酸性紙など材質的に弱い資料については、酸性紙の劣化の状況を調べるなどして取扱いを見直し、新しい保存計画に反映させていきたいと考えている。
委員  適正な相対湿度について、どのようにお考えか。
説明者  紙の資料を管理する中では65パーセントを超えないように、例えば60パーセントで制御するなどしている。とはいえ、空調の問題等で常時制御することが困難な施設もあり、それぞれの施設によって適正な湿度は異なるのだろう。
 また、乾燥により紙がパリパリになり、閲覧に適さなくなるという問題もあり、逆に湿度が下がり過ぎないようにすることも重要。

(2) 三康文化研究所附属三康図書館の志多伯峰子氏から三康図書館におけるカビ被害と対策の現状について説明があり、その後、質疑応答が行われた。主なやりとりは以下のとおり。(●説明者、○委員)

 
委員  除湿機の増設、アルコール殺菌といった対策を講じているとのことだが、基本的に有効ではないのではないか。カビ被害は深刻であり、収蔵庫全体を燻蒸するなどの抜本的な対策が必要なのではないか。
委員  建物が老朽化しており、気密性の観点から燻蒸は不可能だった。移動燻蒸車の使用も検討したが、お客様が使用する図書資料であり、残留薬剤の心配から燻蒸を避けた経緯がある。
 そのため、カビの生育速度を下げる観点から、乾燥と物理的除去に取り組んだ。その中でも塩素系漂白剤を用いた床清掃の効果が大きかった。カビの死滅は難しいということを十分に認識した上で、可能な限りの対応を取っているのが実情だとご理解をお願いしたい。
委員  燻蒸という用語を用いるが、本質的には注射器のガス滅菌と変わらず、残留薬剤が危険だということにはならない。カビの中にはセルラーゼを出すものもあり、本の繊維が分解される危険性がある。ご英断を期待したい。
説明者  こういった図書館など、文化財や資料を保管している現場では、まずは今の場所のままで何とか段階的に環境を改善していくという対応を取らざるを得ないところがほとんどであり、ご理解をお願いしたい。材質に悪影響を与えない滅菌方法など、さらなる研究の進展を期待したい。
委員  経費が少なく、作業量が多いというつらい状況は非常に理解できる。

(3) 伊能忠敬記念館の青木司氏から同記念館と旧大利根博物館のカビ対策の事例について説明があった。

(4) 次回は7月18日(火曜日)14時30分から開催することとなった。

(大臣官房政策課)

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