参考資料2:ヒアリング内容のまとめ(第2回~第5回 学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議)

【発達障害者のニーズ】   1 綿貫愛子委員

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・学校から社会への移行期における発達障害者の学びについては、就労自立の基盤として、自分のことや社会のことを知る経験が大切。自己表現が自分を知ることにつながる。
・不登校、引きこもり状態にある発達障害者が多いことを踏まえると、就労や自立の前に、対人交流や社会参加へのモチベーションやQOLの向上というニーズがある。一方、周りの大人たちや家族が当事者の限界を決め付けてしまっていることが多い。
・特別支援学校の卒業生については、自分の大好きなこと、特技を生かせるプログラムの内容が求められている。興味が持てるテーマの提示が、参加のきっかけてとしてすごく重要。                                                                     
・学校段階では制限されやすい経験を丁寧に保障するということも必要。
・特性によるこだわりは増やしていった方が良い。こだわりを止めさせようとすると、他のことに支障が出てくる。逆にこだわりを増やしていくことで行動や選択のバリエーションを得る。自分を表現したり、知ってもらえるツールとしてこだわりが生きてくる。
・発達障害の当事者やASD(自閉症スペクトラム)の小集団によるピアサポートを実施している。ASD同士で社会性やコミュニケーションデザインが共有でき、共感が成立するとの医学的な示唆がある。
・余暇支援を中心に実施している。余暇支援のプログラムを受ける経験が、小集団以外での対人関係や就労自立にポジティブに寄与する可能性を示す報告もある。
・外部講師を招聘し、多様なワークショップを開催している。参加者のこだわりが強いのでマニアックな活動が人気である。

(2)一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策

・合理的配慮やアクセシビリティの向上など、調査や事例集などでも発達障害に関する知見が少ないので、検討していく必要がある。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・「みつけばルーム」の取組について、チラシやメールマガジンなどによる発信のほか、関係者が集まる会議において説明したりすることで、各地域に持ち帰ってやりたいという行政関係者が増えている。

(4)推進体制の整備等

・学ぶことの前段階の手続きとして、支援者が本人と面談し、ニーズや活動の段階等を丁寧に話し合うことが有効。
・ピアサポートのような特性が類似する他社との交流は、社会参加のきっかけとしてとても踏み出しやすい。

【知的障害者のニーズ】   2 町田市とびたつ会

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・みんなで本人活動の会を創ろうと話し合った。そのとき、青年学級は人がいっぱいだったので、私たちが青年学級を卒業して、新しい若い人に入ってもらおうとの思いで「とびたつ会」を創った。目的は「生きる力・働く力の獲得」、「自治」「生活づくり」「文化の創造」という柱を軸に活動している。本人活動があることで責任感を持つことができ、友達との関係性もあることで、個人的に苦しい状況にあるときも救われることがある。(当事者)
・青年学級から「とびたつ会」に移行するタイミングとしては、本人が、青年学級ではなく「とびたつ会」で活動していきたいという気持ちになったときとしている。
・参加者が多い一番の理由は、活動内容自体がすばらしいということである。それが、口コミで広がった。卒業すると、原則、青年学級の活動には参加できないといった形をとっている。
・とびたつ会の内容は、主に余暇活動が中心である。土曜日・日曜日に実施している。「朝のつどい」や「帰りのつどい」では学級性全員が集まりオリジナルソングを歌う。「行うコース活動」では各班に分かれて話し合いで活動内容を決めている。
・青年学級の学級性は166名。ボランティアスタッフは60名程度。
・青年学級の予算は年額で600万円程度。そのほとんどがボランティアスタッフへの謝礼と担当者会議の費用となっている。
・青年学級の意義と成果
 1 学校卒業後における教育機会の保障
 2 本人活動の支援(「自治」による自己決定のための道筋の獲得)
 3 職場、家庭ではない、地域における「居場所」づくり(思いを共有する仲間づくり)
 4 卒業生団体「とびたつ会」の誕生と継続
 5 生活面へのアプローチ・支援
 6 1974年から43年間事業が継続されていること
 ※継続できた理由:スタッフ集団の形成と安定(謝礼の予算化)、福祉との連携(ケースワーカー、直営施設職員の参画)、父母会の存在など

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・最近はなかなかボランティア(支援者)として学生が来てくれないため、活動の制限が出てきている。そのため、本年度は、13名の青年学級の参加申込みがあったが、4名ぐらいしか受け入れられない。
・青年学級を支援していただいているボランティアの方と、「とびたつ会」を支援していただいている方、その両方に参加していただいている方がいる。
・青年学級の課題
 1 学級生と保護者の高齢化(送迎問題、身体機能の衰えによる介助の増加)
 2 スタッフの不足(ベテランの高齢化、以前主力だった学生担当者の減少)
 3 スタッフの経験とスキルのばらつき(スタッフの入れ替わりが多く、理念とスキルの継承が難しい)
 4 新入生募集の抽選化(「卒業」がないため、1~3により、希望者全員の受け入れが出来ず)
・青年学級の今後の方向性
 1 大学等学校や、福祉関係団体との連携
 2 あり方の再検討

【障害当事者のニーズ】   3 株式会社ミライロ

(2)一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策

○ 社会に存在するバリアは、「環境」「意識」「情報」の壁の3つ。
 1 「環境」のバリアとして、例えば車椅子等で、エントランスに入れなかったり、階段を上れなかったり、トイレに入れなかったりという現状がある。校舎にたどり着くまでの公共交通機関が利用できないこと、点字ブロックが敷設されておらず、視覚障害者が自力で施設にたどり着けないことなども想定される。また、万一、火災や地震が起こったときに、障害者が逃げるための設備が用意されておらず、不安を感じていることも考慮すべき点である。環境のバリアを感じている人たちにとって有効な手段に、インターネットを使ったオンラインセミナーがある。
 2 「意識」のバリアについては、障害について正しく理解をしてもらえず、講座への申し込みや参加を拒否されることもある。環境のバリアのある校舎や教室に行く際、人の助けが必要な場合であっても、サポートしてもらえないこともある。また、規則やルールの柔軟な対応を行ってもらえないこともある。この対応の一環として、ユニバーサルマナーの普及を行っている。
 3 「情報」のバリアについては、例えば聴覚障害のある方は、講師の声が聞こえず、グループワークの話が分からず孤立してしまう。手話通訳のほか、口の動きで伝える口話や筆談などが求められている。また、目が見えない方、見えづらい人は、点訳、あるいは拡大コピーの資料を必要としている。このように、障害のある人が障害のない人と同じように情報を受け取ることが難しいこともある。この対応の一環として、電話リレーサービスや文字リレーサービスによる問い合わせ対応にも当たっている。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・自分とは違う誰かのことを思いやり、適切な理解の下、行動することがユニバーサルマナーである。企業に二ユニバーサルマナー検定研修を受けていただいている。

【視覚障害固有のニーズ】 4 大河内 直之 東京大学先端科学技術研究センター特任研究員

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・視覚障害者の現状は二極化、視覚障害者のうち、社会参加し、生涯学習への参画を実現できている者が一定数いる一方で、学校卒業後に在宅生活になるような主に重複障害のある方は、外出することがなくなり、学びの場が断たれている状況がある。
・視覚障害については、聴覚含め他の障害と異なり、視覚障害者団体の高齢化等により団体の存続自体が危ぶまれている状況があり、地域で活動する機会が少なくなっている。
・施設に通う者は施設内の行事・プログラムに参加し、在宅の方は特別支援学校時代の同窓会のような集まりへの参加を楽しみにしている。
・親の会、元教師が作っている青年学級等の会に参加することで社会とつながっている状況がある。そうした会について、親や教師も高齢化しており、活動が縮小傾向にある。
・先天性の視覚障害者は特別支援学校のネットワークが使えるような状況の方が多くいて、一人で何でも解決する、自立の感覚を持っている方が多い。
・中途失明の方は障害受容が大変だが、受容後は社会で自分の問題意識を表明したり、他者の支援を上手に利用、活用する方が多い。日々見え方が異なる等の体調面での不安を抱える方が多い。
・盲ろう者について、視覚障害と聴覚障害という記載が障害者手帳にある人たちの数は1万4329人(うち6割~7割が60代、70代の高齢者と推測)(平成24年)、また通訳介助を利用している者が940名、1万3500名くらいの盲ろう者の実態がつかめておらず、特別支援教育の中でも、盲ろう者の教育は手探りで行われている状況。
・ブラインドバレーボールやブラインドベースボールなど視覚障害者に特化したスポーツは、特別支援学校から行ってきている人が多くコミュニティもあるため盛んに行われている。
・音楽演奏や映画鑑賞、演劇鑑賞などの文化芸術活動は、見える人たちと一緒に楽しんだり、自分たちで演じたり映画を制作したりしている。写真や絵画など美術を言葉で鑑賞する新たな取組も広がっている。
・趣味としては、ICTの活用、語学の学習、ゲーム、スポーツ観戦・活動などの取組が見られる。また、アマチュア無線の資格取得などは、以前から視覚障害者が広くコミュニケーションをとる学び場として、盛んに行われている。
・学校教育の盲ろう者向けのカリキュラムの充実と、卒業後の盲ろう者の学びの場の充実を一体的に図っていくべきである。

(2)一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策

・視覚障害者向けのスポーツセンター等で活動することはできるが、一般の人たちと一緒に活動することが難しい。スポーツジムへの入会を希望したら、けがの保障ができないとの理由で拒否されてしまうことがある。また、観劇、映画鑑賞に行く際、様々な情報保障が不十分で参加しにくい。語学教室に行くと、資料やビデオ教材など視覚を活用するものが多く、配慮が不十分で参加できない。
・施設入所の場合、地域生活者が使える福祉的制度が使えないことがあり、施設入所と地域生活の格差をなくしていくことも重要。そのことにより地域住民が交流できるようにしていくことが必要。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・盲ろう者にとっては、生涯学習の場の確保以前に、盲ろうという障害が視覚障害や聴覚障害と異なる独自の障害であることを国内外で認めてもらうことが最大の課題であり、地方と都市部の格差をなくしていくことも急務。その上で、学校もそれ以外においても一体的に盲ろう者の教育、学習支援に取り組むべき。

(4)推進体制の整備等

・図書館は視覚障害の中で一番充実している分野だが、今後は、読書困難者というカテゴリーの中で大きな図書館を中心にネットワーク化し、各地域図書館、公立図書館も参加することが大事。これは、視覚障害者だけの取組ではなくて、読書困難者のために図書館サービスを充実させていく必要。
・盲ろう者について、早く福祉課などで域内の状況を把握して、とにかく社会に参加していただくようにすべき。同じような境遇にある方がたくさんいることを、盲ろう者の方々に知っていただくことが必要。

【聴覚障害固有のニーズ】  5 松崎 丈 宮城教育大学准教授

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・ろう学校の現状として、補聴器と人工内耳の技術が大変進んだことにより、日本語を習得することはできる状態にある。一方で、クラスでのコミュニケーション手段として、補聴器を使ってお互い声を聞きながらの交流はなかなか難しい。そのため、学校では、共通手話を使って教育を受ける機会を保障することが重要。特に、先天性の聴覚障害者の場合、手話を使ってのコミュニケーションも必要だが、学校にいる間では足りないため、卒業後もずっと継続して手話を学ぶ機会を保障することが重要。
・共通して求められるのが、社会的障壁や必要な配慮について、主催者側に意思表明する方法や内容を学ぶ学習プログラム。自分の問題状況、ニーズ、必要な配慮を表明できるようになるための学習が、学校教育の段階から十分に行われていない。聴者が怖いという心理的問題の解消も含めて、意思表明ができるような学習プログラムを学校卒業後も継続していく必要。
・ICT利活用に関する学習プログラムも必要。スマートフォンやタブレットを所有していても、ICT利活用によって、自身の課題状況をいかに解消できるのかを学ぶ機会が少ない。SNSなどウェブからの自分のニーズに合った情報の取り出し方、周囲の人への意思表明や意思疎通の仕方などを学ぶ学習プログラムが必要。
・日本手話や視覚による文化芸術活動に触れることで、聴覚障害のある当事者が主役になれる学びを実現する学習プログラムも必要。手話や視覚によってどのような文化芸術活動を実践できるのかは学校教育において紹介されず、学ぶ機会もない。
・先天性難聴・乳幼児期に失聴した方々の場合、家庭や学校教育の影響で、日本語を十分に身に付けることができないまま学校を卒業することがある。各ライフステージで必要となる日本語(読み書き)と意思疎通の方法等を学べるように環境整備することが必要。
・中途失聴者が、自立や社会との関係に必要な知識、スキルを身に付けるために、聴覚障害などに関わる社会資源や対処技法を学ぶ学習プログラムが必要。
・聴覚障害の中で多い感音性難聴者は、生涯学習の場でも、補聴器や人工内耳のみで音声や音楽を十分に聞き取って楽しんだり学んだりすることは難しい。

(2)一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策

・一般的な学習活動における手話通訳や要約筆記の派遣の要件を緩和することにより、聴覚障害者の意思疎通や情報発信ができるようになる。
・主催者が聴覚障害者との対話の上、通訳サービスや音声認識アプリなどの積極的活用、台本や進行シナリオなどの内部資料の貸し出しや、通訳への事前の詳しい情報提供、補聴器や人工内耳装用者のための情報支援システムの設置などの環境整備を進める必要がある。
・問い合わせ窓口に「電話リレーサービス」が必要。これがあれば、聴者と同等に問い合わせや相談などを何度も細部までやりとりできるので、公的サービス化の実現が急務。
・生涯学習関係の案内に通訳などの支援内容の有無を明確に記載する必要。また、主催者側のホームページの行事や事業の案内で手話映像や分かりやすい日本語による案内があるとよい。
・中途失聴者の中には、周囲の環境や健康状態などによって聴力の変動や耳鳴りが起きることがある。主催者や意思疎通支援関係者を対象に、障害の状態像が変わることやそれに応じた意思疎通、情報発信が必要であることを理解啓発していくことが重要。
・聴覚障害者の手話や見る力を使った芸術的な創造や活動が活発に構築されてきているが、一般の生涯学習の場との交流はまだまだ足りない。一般的な生涯学習は聞こえる人がやるイメージがあり、なかなか参加しにくく、お互い交流ができないという状態。
・中途失聴と言っても聞こえ方に個人差があるため一概にこうとは言えない。聞こえの程度が重い場合には手話を使ってコミュニケーションが良いし、軽い人の場合にはICTを使って細かい情報をとることも可能。ニーズに合わせて色々と選択肢を提供することが大事。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・スポーツ、文化芸術などの各分野に対応できる専門性のある通訳者の育成・確保。ろう通訳者の有効活用。
・スポーツ、文化芸術などの各分野で、聴覚障害者・通訳者、主催者との調整・交渉を担うコーディネーターの確保が必要。現状では、主催者との調整や交渉を障害者側の家族や友人知人などが担わざるを得ないが、自治体や各分野の関係機関に、そうしたコーディネート的機能を担うスタッフを配置することが必要。
・ろう重複障害者が生涯学習に参加するためには、通訳や移動の支援、主催者とのコーディネートが必要になるが、家族や知人に頼らざるを得ず、過重負担もあって在宅傾向になる。したがって、自治体やろう重複関係団体の法人団体などに、通訳、移動、コーディネートを担える支援者を配置する仕組みが必要。

【重度肢体不自由等】   6 訪問カレッジ@希林館 <訪問・福祉サービス事業>

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・在学生 15名(今年度入学者4名)
 気管切開:10名 人工呼吸器:9名 吸引:11名 酸素療法:7名 経鼻経管栄養:7名
 胃ろう:3名 IVH:1名 人工肛門:2名
・訪問先 家庭:11名 病院:2名 入所施設:2名
・学習の実施:週1回 ・授業料:1万円/年
・学習支援員(元特別支援学校教員):15名(1回につき3000円支給、交通費なし)
・学校卒業後、重い障害のため通所施設等の毎日の利用が困難な18歳以上の当事者に対し、自宅へ学習支援員を派遣して生涯学習の支援を行っている。
・モデルは特別支援学校の訪問教育。
・入学すると学生証を提出。自然科学、社会科学、人文科学、芸術、健康、選択科目の分野から学びたい科目を選択し、1年間に10単位学習することを目標とする(具体的な学習内容は相談により決定)。目標を設定することで本人のモチベーションを高めることにもつながっている。
・訪問カレッジの目指していることは、学びの場、キャリア形成の場であって、余暇活動ではない。学びとは、その人の存在、アイデンティティの形成。
・日常生活の空間を知的刺激のある学びの環境に変えること、本人主体の活動を作ること、親の活動を行い孤立化を防ぐこと。
・特別支援学校を卒業後、「大学はないの?」「大学に行きたい、学びたい」との声がある。
・重症心身障害児の通所施設は、赤字経営しているところが多い。
・カリキュラムがあり、系統的・継続的に学ぶことができる仕組みがある。単位制をとっており、特別支援学校との連続性を重視し、特別支援学校との連続性、移行支援的な要素も増えてやっている。一人一人の学びのニーズを把握して学習プログラムを作成している。
・医療的ケアが必要な当時者の場合、施設に看護師がいない、入所基準(規則)対象外といった理由で断られたり、入所後に障害が重くなって医療的ケアが必要になった際に退所を余儀なくされるという現状があり、重い障害のある当事者の卒業後の行先は皆無に近い。
・学校時代のように本人が意欲的、主体的に活動する学習の場が欲しいとの声は非常に多い。
・コミュニケーション支援機器を使った活動を大いに進めていくことも課題。(訪問カレッジに限らず。)
・在宅生活者へ支援としては、ヘルパーや訪問看護師による身体介護や家事援助があるが、これらは家族支援である。本人主体の訪問系のサービスがないという課題を踏まえ訪問カレッジを立ち上げた。
・通所施設では、入所者で通所日数を分け合っているため、登所日数を徐々に減らされていくような現状があり、高齢化していく保護者にとって不安や負担、維持してきた生活リズムの乱れなどが問題となっている。
・通所の送迎も行き届いているわけではないため、高齢の保護者による自主送迎に不安があったり、自主送迎ができなくなり通所できなくなることもある。
・生活介護事業所の活用もあるが、中身としては、当事者本人の主体の活動になっておらず、入浴、DVDの鑑賞といったリラクゼーションタイムのみというところもあり、通所先はあっても充実したプログラムになっていない状況がある(日中活動が少ない)。本人の通う意欲も低下し、表情も乏しくなっていく様子を悲しく感じている保護者の声もある。
・学校教育との関わりがなくなると、社会から隔離されて孤独感がある。卒業後も継続して訪問教育のようなサービスが欲しいとの声があった。これは、保護者のニーズでもある。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・平成29年12月より、重度障害者への学習機会や場を提供している団体による「重度障害者・生涯学習ネットワーク」を設立し、活動の拡充を図っている。
・学習支援員は、特別支援学校を退職した先生に御協力いただいている状況(平均年齢65歳以上)。本来は若手を育成し、プールしていつでも派遣できるようにした方が良い。
・多くの事業所ではスタッフの不足が課題となっているが、例えば決まった時間にオンラインで複数の当事者に対し講義を行うというような形態であれば、企業も乗りやすいのではないか。【箕輪委員】

(4)推進体制の整備等

・医療的ケアが必要な当時者の場合、施設に看護師がいない、入所基準(規則)対象外といった理由で断られたり、入所後に障害が重くなって医療的ケアが必要になった際に退所を余儀なくされるという現状があり、重い障害のある当事者の卒業後の行先は皆無に近い。

【公民館】   7 西宮市教育委員会

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・健常者のように、目的に向かってまっしぐらに学習を進めることはできず、毎年同じようなことをしているように見えても、自分たちなりに設定した課題解決に向けて主体的に学ぶ姿勢は大切であり、生きていく上で基本的な力(人それぞれの「キー・コンピテンシー」)は、人間関係の中で培われるものである。青年生活学級の事業を、「生涯学習」として行う意義はここにある。シチズンシップの育成にもつながる。
・本人にとっては、いつもと同じ落ち着いた環境の方が学習環境として適切な場合もあるため、特別支援学校・学級、青年生活学級など、「いつもの場所」に出向いて講座を行うことも必要。
・青年生活学級発足時以来のボランティアグループの方々は、一貫して、「この事業は、福祉施策ではなく、社会教育としてやるから良い。」という信念をもち、健常者と障害者が、共に行事に参加し、共に楽しむという理想を追い続けている。福祉施策の中では、障害者がサービスの対象者としか見てもらえず、サービス提供者とサービス受領者の関係が固定してしまうということがある。学級生は、年間行事の企画・運営に参画し、何を学びたいかを意思表示し、それが反映される。
・昭和50年頃、読み・書き・計算等の「勉強会」にシフトしたら、学級生が激減し、レクリエーションを含む行事の中でその力を育む方向性が定着した。
・青年生活学級は、知識や技術・技芸を身につけることよりも、自分たちの学級を自分たちで運営し、主体的に学び、居場所を作るという意義の方が大きい。
・ボランティア活動をNPOの形に高めて、NPO法人に運営を任せる等、多様な実施方法を検討していくことが必要。
・障害者基本法(16条、25条等)、障害者差別解消法(第3条、第7条等)の趣旨に基づき、行政としては、希望されれば、何としてでも参加していただけるようにする必要があると考えている。
・現在のところ、土曜日の児童対象文化講座(宮水ジュニア事業)で、何らかの障害があり他の児童のペースについて行けない子供が、事前の相談なしに参加される場合があるが、講師や公民館職員が適切に配慮したり、主催者として受講補助のボランティアを配置することで対応している。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・公民館事業として知的障害者対象の青年生活学級の最大の課題は、学級生が年々増加する中でボランティアの数が圧倒的に不足していること。
・ボランティアは自費で会費を払って参加しており、集まりにくい状態。
・また、ボランティアが高齢化して若手が育っていないため、会を大きくすることができない。市内及び近隣の特別支援学校の高等部の卒業生に入会案内を出しているが、それ以上の一般的な公募ができない。
・青年生活学級も、現在の社会教育行政が担う運営形態は、いずれ限界が来る。学級運営に協力してもらっているボランティアグループを財政的に支援し、独立して事業を担ってもらう案など、研究を始めたところである。
・公民館の職員の不足も大きな課題。教育委員会が首長部局から独立した行政委員会という位置づけであることと、教育委員会の出先として公民館があるため、公民館自体の役割が見えづらい中で人が減らされる傾向にある。公民館を廃止して、場所貸しの施設にしてはどうかとの話も持ち上がるくらい、不安定な中での運営を迫られている。

(4)推進体制の整備等

・公民館が実施した手話講座や点訳講座の成果として、受講生の中からグループが生まれて、自主的に活動するというケースが見られる。一方で、課題としては、講座修了後の次の学びの場としては、選択を本人の意思に任せている。

【特別支援学校】   8 東京都教育委員会・朝日委員

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・都立学校公開講座として、特別支援学校においては障害者本人講座(障害者本人の自立と社会参加のための学習機会の提供)、ボランティア養成講座(障害者理解、ボランティア体験を通してのボランティア養成、地域や学校の支援活動につなげる人材育成)を実施している。本人講座では、例えば、社会人の心得、ソーシャルスキル、スポーツ・音楽等のプログラムが取り組まれている。
・特別支援学校本人講座を活用して、年に2回、母校に集まっての学習と交流(職場報告会等)を行っており、現役教員や市民講師が講師を務めている。卒業後、3年程度はアフターフォローとしての学びの場を学校が提供し、その後のスキルアップや就労継続支援は、企業や産業労働へつなげたい。卒業生の姿は、在校生の教育の改善にもつなげることができる。
・都立学校活用促進モデル事業により、障害者や団体等が身近な地域でスポーツ活動ができるよう、都立特別支援学校の体育施設を平日夜間や土日に開放。東京都スポーツ文化事業団が対応。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・人材育成は本来企業が担うものだが、母校としてアフターフォローの役割を果たすことができる。
・都立学校公開講座の課題としては、講師の謝金を予算措置しているが、実際には学校の教員が講師となるケースが多い。
・ボランティア養成講座の受講者が参加したり、企業と連携し人材確保に努めたりしているが、保護者のOBが運営している場合は、なかなか次の担い手が見つからず、同じ方々が長年にわたって運営するというケースも少なくない。

【大学】   9 菅野敦委員(オープンカレッジ東京)

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・オープンカレッジ東京は1995年から知的障害の方を対象にしている生涯学習支援の取組。2004年からは一般の方も一緒に学ぶインクルーシブな学習の場として展開。
・一つのテーマを3カ月かけて指導案形式のプログラムとして立案。
・どのような講座内容がいいのか全国調査(相談支援事業所6,458か所にアンケート調査、1,644か所から回答)をすると、行事的な内容やスポーツ・文化的な内容、働くことに関連する内容が中心となっているが、もう少し広がりが持たせられないかと考え、講座の領域を考えた。
・オープンカレッジ東京の取組を進める中で、ライフステージ各期におけるニーズ・課題を調べ、学習内容の領域を「学ぶ・楽しむ」「くらす」「はたらく」「かかわる」という4領域に絞った。「はたらく」「くらす」については、成人期以降、ニーズが非常に高まる。「かかわる」コミュニケーション支援については生涯にわたりニーズが在り続ける。ところが「学ぶ・楽しむ」学習に関するニーズは(成人期以降)急激に減少する。これまで資源がなかったせいもあるだろうが、学ぶ楽しさや学び続ける喜びが自主性につながるので、純粋な学習に関するプログラムについて整理していくことが必要であり、その試作に取り組んでいる。
・「自立生活支援」「学習・余暇支援」「作業・就労支援」「コミュニケーション支援」「健康支援」の5つの領域の取組が必要。
・学習を、一貫して学齢期からつなげていこうと考えると、学習指導要領の方向性が変わったので、「何ができるようになるか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を成人期知的障害者に即してまとめていこうと整理してきた。
・自己決定のための問題解決能力の獲得に向け、理解、計画、実行、振り返りを協働的に学習している。本当の主体性とは自分で問題解決する力を身に付けること。

(2)一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策

・「いっしょに学び、ともに生きる」ことを掲げており、学習発表会としてスタッフが学んだことに関する発表も行っている。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・運営委員会として、大学教員、小・中学校の教員、特別支援学校の教員、自治体職員、特例子会社の社員、福祉関係職員、大学院生・学生等の計30名程度の参加を得て、毎月会議を開催。

(4)推進体制の整備等

・成人期は健康支援に積極的に取り組む必要があると思い、成人期以降の支援内容ニーズを調査した。青年期、成人期において、様々な学習支援領域への要望があるが、受け皿となるサービス等がないことから、結果として支援に関する相談がないのだろう。

 【社会福祉法人】   10 田中秀樹委員(一麦会)<自立訓練、就労継続B型>

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・なぜ障害者は18歳で働かなければいけないのか、障害のある人ももっと学習の機会が必要ではないかという想いから自立訓練事業所を作った。
・一般企業に就職した障害者は5年ぐらいで離職する率が非常に高く、離職により知的障害に精神障害を重ねる、二次障害を起こす者も見られる。
・「結い」では、自分探しをしながら日常生活の中で生き抜く力を付けていくことがねらい。重点は、1)居場所・学習、2)集団でお互いの意見を出し合って物事を決め、実行していく活動、3)労働について考えていくことを大切にしている。
 1 居場所・学習:自分たちの育ちの課題を超えるプログラムを、「生活」「実用計算」「文化」「健康」などのテーマ設定により実施している。
 2 集団活動:いろいろな集団の中で討議をして物事を決めながら、プランを作成する。その中で所属感や発言力を付けている。
 3 労働:模擬喫茶をしながら働く経験をし、就労継続A型、B型での実習体験をし、一般企業を見学しに行き、就労に向けて就業・生活支援センターで相談に乗ってもらいながら自分の将来を考えていく。その上で就労継続に行くなり、一般企業に就労するという流れで進めている。
・障害者のアートを単なる余暇活動や趣味という形で考えるのではなく、仕事にならないかということにこだわりを持ってポズック(就労継続B型)を立ち上げた。
・体系的な学習プログラムは未整備なので、様々な実践交流をしながら体系化することが必要であり、実践研究事業の委託は有効な手段。
・精神障害者、知的障害者、ひきこもりの青年である当事者が、自分たちの課題を解決していくという考えから、半分の障害者が半分の障害者を支える活動として、知的障害者の当事者活動である「青年学級すばらしい仲間たち」を実施している。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・一麦会以外の人との出会いとして、共助のまちづくり協会、みんなでおどり隊、スペシャルオリンピックス和歌山、障害者映像文化研究所とも連携に取り組んでいる。
・文化祭、運動会、登山、スキーなどを通じて、地域協働により社会とのつながりを深めている。

 (4)推進体制の整備等

・自立訓練事業を活用した学びでは、本人の課題に集中的に向き合えるというメリットがある。そのことにより2年間を過ぎた後の就労B、A、一般就労につながっている。

【社会福祉法人】  11 たんぽぽの家・Good Job!センター <就労移行、就労継続A型>

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

(1. たんぽぽの家)

・たんぽぽの家は、芸術文化活動を通じて、障害のある人の学び・社会参加・仕事づくりを支援しており、福祉×異分野(テクノロジーなど)の共感による社会とのつながりを意識して活動。障害者自身が、語る、書く、歌う、踊る、作る、発信するといった表現する機会が少ないことを受け、可能性の芸術運動を進めてきた。学ぶ機会が少ない者に対しては、フリースクール、コミュニティカレッジ、セミナーなども開催。
・たんぽぽ自由学校は障害と学びにフォーカスを当てて、試行錯誤しながら取組を進めている。ポイントは5つ、1)知識を広めて表現力を付ける基礎学習、2)それぞれの能力に応じて陶芸、絵画、手芸などに取り組む技能学習、3)クラブ活動を通して助け合いの中で学ぶ共同学習、4)合宿を通して生活技術を身に付ける生活学習、5)機能回復訓練とスポーツを楽しむリハビリスポーツ。
・可能性の芸術運動(エイブル・アート・ムーブメント)として、全国各地で福祉とアートの活動を行ったほか、芸術文化を地域で広めるような人材を育成するフォーラムを34地域で計63回実施した。
・事業において、学校卒業後に自分を表現する場所がなかったり、職場で自分を出せなかったりする障害者を、施設利用者以外であっても受け入れるためにオープンアトリエを実施している。
・障害者芸術文化活動支援事業により、相談窓口、研修事業、ネットワークづくり等を実施。
・障害者のための講座のほか、子どもから高齢者までを対象にした一般の人のための講座も開いたり、若しくはともに学ぶ講座を開いたりという形で、初めから地域に開かれた学びの場所を意識してフリースクールを作ってきた。Learning Exchange(ラーニング・エクスチェンジ)というコンセプトでやってきた。学校外の学校を地域の人たちと一緒に作ろうということで、生きた知識を提供できる人と知識を学びたい人を募集して、交流し学び合う場を作ってきた。具体的には、書道講座、万葉集、文化財、古代史、暮らし、自立、自然、歴史、仕事、ギター、英語、油絵、詩吟、コーラスなど、約30個の講座を実施。

(2.Good Job!プロジェクト)

・Good Job!というコンセプトで全国各地で障害のある方々の仕事、暮らしに関する先駆的な活動を選定し、事例として社会に発信する「Good Job!プロジェクト」も行っている。学びについて、以下の4つにカテゴライズしている。
 1 「心の学び」が、人の痛みや悲しみ、喜びや悔しさなどを知る・感じるというところで、精神障害の人の居場所について考えるきっかけになっている。
 2 「身体の学び」では、自分の身体について知るとか、身体を通して学ぶというところでスキンケアとメイク講座を行っている。自分の身体をケアすることを通して自分に誇りを持ったり、自立を促したりしている。
 3 「生活の学び」では、暮らしや職業のための知識や経験を積むということで、例えばディスレクシアの方や弱視者を対象とした眼鏡を製作し、「読む行為」をサポートしている。
 4 「関係の学び」ということで、ニートの方に対してのキャリアアッププログラムを行っている。
・成長の評価を、いわゆる個別支援計画のような形で一人一人に対して1週間とか1か月とか、半年、1年に対して目標を作っている。

(3.Good Job!センター)

・就労継続A型・B型、就労移行支援、生活介護の4つの障害福祉サービス事業を活用。障害のある人が豊かに生きるための「はたらく」、「まなぶ」、「くらす」、「からだとむきあう」ということで、「所得の再分配から可能性の再分配へ」ということをコンセプトに行っている。
・各事業共通のプログラムは、製造、流通、カフェ、アトリエ、コミュニティカレッジ(例:新聞を読むワークショップ、実家・一人暮らし・グループホームなど住まいの方法や経費等)。さらに、就労移行支援事業では、週1回、就労移行に向けた学びや外部機関への訪問を行っている(例:就業・生活支援センター訪問、ハローワーク登録、実習、職場体験、仕事の工程表・出来高表の作成、マナー等)。

(2)一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策

・障害のある方が描いた作品を、地域の商店街や店に飾ってもらうプライベート美術館をやることを通して、美術館のイベントが終わった後でも関係性が続いている。
・天文台といった社会教育施設において視覚障害のある方とか、聴覚障害のある方と共に学ぶ場を作っている。

(4)推進体制の整備等

・「障害のある人の主体的・対話的で深い学び」を支える学習環境ポートフォリオとして、多様な学び方のオプションや、レパートリーを持つことが必要。利用者が1つの作業を習熟するというだけではなくて、アートや、デザイン、工芸、情報リテラシー、創作活動、他者との交流など、自分の出番・舞台を見付けることができる可能性が増える。自分たちだけでは実施できないレパートリーをどのように増やすか、一般雇用に向けた学び(訓練)と、一人一人の能力に合った仕事を見付ける学びがなかなかマッチしないところをどのように改善するかが課題。
・障害者の文化芸術に関するアンケートの結果、文化芸術に触れる機会が少ないという声が強くあがっていた。

【NPO法人】   12 エスアイエヌ <地域活動支援事業>

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・青年教室の設立の際、一番大切にしたのは、当事者運営と自己決定。
・講座運営の在り方を考えるため当事者を対象とした学習ニーズ等の調査を行い、生涯学習講座のプログラムとして6つの視点を立てた。
 1 「就職活動」「日常生活スキルの獲得」「職場内での人間関係」などのキャリアスキルアップ型の学習ニーズ
 2 「異性との付き合い」「資格取得」「漢字や計算の学習」等、内心の潜在的なニーズ
 3 「災害」「健康」などの転ばぬ先の杖型学習ニーズ
 4 「福祉・就労制度」「金銭管理」「自分のことは自分で決めたい」人のための権利意識型学習ニーズ
 5 「人間関係」「福祉サービスの利用」「お金の使い方」等に関する個別の困り事解決型の学習ニーズ
 6 「食生活」「外出時のマナー」「文化・教養」などの家族・支援者の提案型の学習ニーズ
・生涯学習の場づくりにおいては、性別、年齢、生活の形態、障害の違い、発達段階、生活経験など、様々な問題に留意する必要。支援者の立場で考えると、分かりやすい教材や支援方法の理解が必要になる。
・当事者がどのように主体的に関わっていくかということが課題であった。実践から学んだのは、学びを生かす相談支援というのは、実際に生活の中で生かされる、問題解決できるというところまで至らないと、学んだだけで終わってしまうということ。
・就労している人は、自分の生活や仕事に裏打ちされた学習への要求が非常に強く、そうしたことが能動的な学びにつながっている。自分が経験したことを、他の人の学びにつなげるためのグループワークも効果的。
・実際にプログラムはウィークデーの取組と、日曜日の講座という2つの流れで作っている。
・利用者は大半が就労しているが、給料、年齢構成、家庭生活、生活状況は様々である。これからは比較的軽度の知的障害の人や、発達障害の人たちにターゲットを絞って支援をしたい。
・相談から援助、解決していくことも学びの過程となるよう、学習プログラムを作っていく必要があると思っている。

(3)人材の育成・確保

・運営側としては必要なネットワークを作りつつ、プロの講師陣が支える体制を作ること。色々な団体とネットワークを広げること。

(4)推進体制の整備等

・15年ぐらいで青年教室の継続が難しくなり、継続できる運営を目指しNPO法人を設立。その中で青年教室ではない方法を模索し「レッツ・オープンカレッジ」という広島国際大学と連携したオープンカレッジの取組となった。また、多様な人たちとネットワークを作っていく際、コーディネーターの存在が不可欠。生涯学習は安定的・継続的な運営ができることが非常に大切。

【社会福祉法人】   13 佛子園  <共生のまちづくり>

(1)障害者に真に求められる学習プログラム・実施体制等

・現在200を超える事業がある。
・障害者自身が利用者となるだけでなく、温泉施設、スポーツジム。児童発達センターのスタッフにもなっている。
・地域の方の雇用の場にもなっている。
・Share金沢では、障害ある、なしにかかわらず、みんながつながっていければまち中が幸せになっていくのではないかということで、駅を障害の方に任せたり、敷地内にサービス付きの高齢者住宅を作ったりとか、まちには音楽が欲しいとなれば、ライブハウスを作ったりした。なかなかボランティアが集まらないとなれば、学生住宅やアパートを作って、ボランティアしてくれたら家賃半額というようなことをやっていくと、たくさんの方が集まり、まちのようになってきて、自分たち自身がこのまちをよくしようという動きが生まれてきた。
・更に驚いたことは、そのほかに弱い立場とされているような人たちが自然に集まってくるようになり、障害児のママさんサークルや高齢者の茶話会が行われ、それを見て、小学生が勉強をしに来たりと、たくさんの人たちが集まってくるようになった。
・愛着障害のある方の事例では、支援する側・される側の二極では、能力を披露する場がない。褒められる機会も少ないが、この仕組みでは、たくさんの人たちに必要とされ、いろんな人に声を掛けられると、彼の中で何かが満たされてくる。満たされると、人は誰かのために何かをしたいという気持ちになり、募金活動や、児童発達支援センターの支援員をしている。こうした様子を見ていると、人と人のつながりが、お互いを健康にしたり、いろんな学びの場を生んだりするのではないか。
・問題行動を抑えるために、囲うのではなくて、その人が何をしたいのかというのをしっかり追求すれば、門とか壁とかなくても、問題行動は起こさない。その人の思いを酌んでいくというところが取組条件。
・ボランティアは募集してない。ただ、人が集まる仕組みを作っている。例えば、公園では、支援員が全部見ると、なかなか見切れないので、日陰を作ったり、椅子、机を設置しておけば、自然にお母さん方に集まってきて、施設の子供まで見てくれるというようなシステムでやっている。

(2)一般的な学習活動への障害者の参加の推進方策

・支援する側、される側という二極ではなく、地域の人を巻き込んでできるだけいろんな人を混ぜるというやり方している。

(3)人材の育成・確保、普及啓発

・大学との関係については、Share金沢はCOC+、B's行善寺はCCRCで金沢大学及び金城大学と連携しており、学生に対し、1コマ授業を行ったりすることはある。また、農福連携も行っている。

(4)推進体制の整備等

・これまでもイベントをやってきたが、その時だけで終わってしまう。イベントをやって多くの人が集まってくれたとしても、いざグループホームを建てようとするとまちの方の反対にあった。この経験から、人と人との関わりは、毎日の自然な関わり大事。計画の最初の段階からまちの人に入ってもらい、自分たちで作る。自分たちの口コミで広げていくという仕組みをつくった。


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総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室

(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室)