学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議(第14回) 議事録

1.日時

平成31年1月24日(木曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省東館13階 13F1~3会議室

3.議題

  1. 「障害者の生涯学習の推進方策について(報告案)」について
  2. その他

4.議事録

【宮﨑座長】
 それでは,定刻になりましたので,ただいまから第14回学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を開催いたします。
 本日は,お忙しいところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。この有識者会議も第4コーナーを回ったというようなところに差し掛かりました。どうぞ本日はよろしくお願いいたします。
 まず,事務局より配付資料の御確認をお願いいたします。

【星川障害者学習支援推進室室長補佐】
 本日の配付資料の確認でございます。本日の配付資料は議事次第にございますとおり,資料1-1,1-2,資料2,それから参考資料1,参考資料2となります。そのほかに机上の方に置かせていただいてございますが,まず,オープンカレッジのお知らせとしまして,菅野委員の方からチラシを1枚頂いているところでございます。また,戸田委員の方からパンフレットを頂いてございます。
 そして,事務局の方から「障害者の生涯学習推進に関する研修セミナー」開催についての資料を配らせていただいております。そのほか,ドッチファイルに関係資料を御用意していますので,適宜御参照いただければと思います。過不足等ございましたら,事務局までお申し付けください。
 以上です。

【宮﨑座長】
 本日は,前回に引き続き,本会議の報告案についての議論を行います。
 初めに,参考資料1,参考資料2について,事務局より御説明をお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 それでは,資料1-2に先立ちまして,参考資料1と2ということで私の方から御説明をさせていただきます。参考資料1は,文部科学省の方からイノベーション・デザイン&テクノロジーズという株式会社に委託をいたしまして,障害者御本人や家族の方への学校卒業後の学習活動に関するアンケート調査を行った結果の概要になります。また,参考資料2は,諸外国の大学における知的障害者の受入れについてということでお示ししておりますが,この2種類の資料につきましては,前回お示しいたしましたものと同じ内容ですけれども,前回御欠席の委員の方も多かったので,簡単にこの内容につきまして,私の方から概略を御紹介したいと思います。
 まず,参考資料1の方ですけれども,1ページ目,2の実施時期を御覧いただければと思います。昨年の11月末から12月の頭にかけて実施いたしまして,障害者及び家族に障害者がいる方をモニターに有するインターネット調査会社による,無記名式のインターネット調査ということで行いました。対象といたしまして,リサーチモニターのうち,18歳以上の方を対象にいたしまして,計4,650名程度ということで人数を確保しております。各障害種400名以上の方に御協力をいただくということで全体の概要をつかむようにいたしました。
 1ページをおめくりいただきまして,2ページを御覧ください。学校卒業後の障害者の学習内容別の生涯学習の経験,それから今後のニーズについて伺いました。上の四角囲みの一番下の丸を御覧いただければと思います。経験よりも今後のニーズが高かったものといたしまして,下のグラフの右の方にございますが,「一緒に刺激し合う仲間づくり」と,それからその2つ隣の「社会生活に必要な知識・スキル」,こういった点が,青いグラフが経験,赤いグラフが今後のニーズを表しておりますが,赤が青を上回るという結果になっております。
 少し途中のデータを割愛させていただきまして,6ページを御覧ください。生涯学習を実施した理由について経験者に尋ねました。こちらはライフステージ別にまとめておりますけれども,左側にございます「様々な経験を通して,成長するため」というところに回答した方は,若い方ほど多くなっているという傾向がございます。また,真ん中あたりですが,「健康の維持・増進のため」という回答につきましては,御高齢の方ほど多くなっているという傾向が見られました。
 その次の7ページを御覧ください。こちらに関しては,メディア・学習拠点として,これまでどのようなところを活用した経験があるか。また,今後はどういったところで学びたいかというニーズを伺いました。御覧いただきますとお分かりになりますとおり,左側3つの自宅での学習活動,テレビやラジオ,インターネット,これに関しては経験が非常に高く,ニーズに関しても一定程度の高さが見られるところではありますが,特に御紹介したいのは,経験に対してニーズがかなり落ちているというところを御紹介したいと思いますのと,逆に青よりも赤が高いところを見ますと,真ん中から少し右側ですけれども,「公民館や生涯学習センターなど公的な機関における講座や教室」,あるいはその2つ隣ですが,「カルチャーセンターやスポーツクラブなど民間の講座や教室,通信教育」,こういったあたりが高くなっているという状況がございます。
 また,割愛させていただきますが,11ページを御覧ください。こちらは「共生社会」の実現に向けて,障害者の学習機会の充実を図る必要があると考えるかというふうにお伺いしたところ,青が「そう思う」,赤が「まあそう思う」という御回答ですけれども,一番上のグラフが障害種全体の状況を表しておりまして,8割以上の方が青又は赤という回答をしていただいているという状況がございます。
 このとおり重要性の認識は非常になされておりまして,一方で,もう1枚おめくりいただきまして,12ページですけれども,学べる機会や学習につながる情報が身近にあると感じているかどうか,こういったことをお伺いいたしました。若干見づらいんですけれども,こちら2つずつグラフがセットになっておりまして,上の段に「学習に関する情報があると思うか」,下の段には「学ぶための場や学習プログラムが身近にあると思うか」ということを伺いましたところ,全体的な状況といたしまして,学習情報は比較的あるという回答が多いのに対しまして,実際,学ぶための場やプログラムが身近になかなかないという御回答が多くなったという傾向がございます。
 そして最後に,13ページですけれども,生涯学習に関する課題について伺いました。こちらたくさんグラフが並んでおりますが,下の5本のグラフを御覧いただければと思っております。下から5番目ですけれども,「学習に充てる時間があると思うか」ということに対して,比較的「ある」という回答が多くなっています。また,一番下のグラフ,「学びたいという意欲があるか」,こちらも比較的「ある」という回答が多くなっています。
 一方で,下から4番目ですけれども,「一緒に学習する友人,仲間がいると思うか」,その下の「学習にかかる費用を支払う余裕があると思うか」,こういった点に関しては「ある」という回答が比較的低い。また,「外出すること自体に困難を感じると思うか」,これに対しては「ある」という回答が比較的高い。こういった状況が見て取れるかと思います。こちらも課題に関する実態ということで御紹介をさせていただきます。
 14ページ目以降は,回答者の基本属性をお示ししておりますけれども,特に,16ページ,17ページを御紹介したいと思いますが,16ページについては,最終学歴ということでお伺いしております。こちら障害種別にまとめたグラフになりますけれども,全体的には黄緑色の高校卒業,あるいは黄土色の大学卒業,こういったところが比較的多くなっていますが,知的障害又は自閉症ありの発達障害の方に関しては,特別支援学校の高等部卒というところが多くなっている状況が分かります。
 17ページでは,日中の活動状況について伺いましたところ,「家庭内で過ごしている」という,一番右側にありますけれども,これが比較的高くなっているという状況がございます。また,一番左の「企業等で一般の従業員と一緒に働いている」と,こちらも比較的高い。また,その3つ隣ですけれども,「障害者のための通所サービスを利用している」,この回答も知的障害の方と自閉症ありの発達障害の方に関しては比較的高い傾向にあると,こういった状況が見て取れるかと思います。こちらがまず御本人の状況ということを総じて見たときに押さえておきたいポイントということで,改めて御紹介をさせていただきました。
 次に,参考資料2番を御覧いただけますでしょうか。こちらは諸外国の大学における知的障害者の受入れにつきまして,文部科学省の調査企画課の協力を得ましてまとめた内容になってございます。ポイントのみ御紹介させていただきます。
 アメリカのところを御覧いただければと思いますが,制度的枠組みを一番初めに書いてございます。1990年に「障害のあるアメリカ人法」というふうに訳される法律ができまして,この中で相応の措置をとることでプログラムへの参加やサービスの享受が可能な障害者に対する障害に基づく差別を禁止するということが規定されました。こちらが1990年というかなり早い段階でできた法律になります。
 その後,2008年には「高等教育機会法」というものができまして,知的障害者の大学等の受入れ振興事業を創設しましょうということですとか,連邦奨学金規定の改定,それから大学内の連絡調整部門の設置などが規定されたという内容になってございます。
 その結果,1枚おめくりいただきまして,次のページの左上にアメリカにおける大学での知的障害者の受入れの規模について書いてございますが,少なくとも全米で262プログラムが受入れを実施しているという状況がございます。なぜこういった知的障害者の受入れが進んでいるのかという大学側のメリットということも,こちらはネット情報ですけれども調べましたのが,一番後の4ページ目の最後の段に整理しておりますけれども,アメリカにおきましては,一般に大学が多様性を機関としての強みと認識していると。知的障害者も多様性を高めるものとして捉えているというふうに推察されるというふうにまとめてございます。
 アメリカにおいては,こういった形で非常に進んでいる状況がございますが,一方のイギリス,フランス,ドイツ,中国,こういったところの状況については,最初に端的に状況について書いてございますけれども,基本的に,全ての機関・課程が障害のある学生に開かれているということで,入学者選抜をクリアさえすれば,どんな障害があっても受け入れますし,それ相応の配慮はしますというスタンスで,これらの国においては受入れがなされているという状況で,やはりアメリカにおいて先進的に進んできた状況があるというふうに読み解けると考えてございます。
 私からの参考資料1,2の説明は以上になります。

【宮﨑座長】
 それでは,今,資料について説明いただいたわけですが,障害者本人の調査については,津田委員と菅野委員に御協力を頂戴しているんですね。ですから,その点,大学の受入れ等についても含めて,何か補足があれば,お二方の委員からお願いしたいと思いますが,まず,津田委員からお願いいたします。

【津田委員】
 失礼いたします。調査設計から関わらせていただきましたので,大変関心を持って結果も見ることができています。調査会社の方から生データを送っていただいて,自分なりに加工を施したりしているところの結果も含めて,少し気が付いたことを二,三点手短に申し上げようと思います。
 1つ,先ほど高見さんの方からも少し言及がありましたけれども,例えば,11ページの「共生社会」の実現に向けて,障害者の学習機会が充実されることは大事だと思うという人がとても多いので,意欲的かというところが1つポイントになってくると思うんですけれども,2ページ目を見て,一番右側に,ニーズが「特になし」というところが40%あるというところ,それから,これもどういうふうに読むかというところの問題ですけれども,13ページで,「学びたいという意欲があると思いますか」というふうに尋ねているところで,45%の人が「ある」というふうに言っているんですけれども,逆から読むと,53%の人が「あまりない」「ない」と答えているということですね。13ページの一番下の行です。
 これ,どういうふうに読むかなんですけれども,やはり層とか背景とかを知る努力が必要かなと思っていますが,恐らく大事だというふうに総論としては思うけれども,じゃ,自分が体を動かして学ぶかというと,そこまで意欲はないというか,ちゅうちょするというか,そういうような状況にあるのではないかなと推察される結果というふうに思っています。これが1点目です。
 それから,3ページ目です。全体的に,障害のある人たちが学習機会を活用したりとか,学ぶという経験を大事にしているか,あるいは経験しているかというようなところで見ていったときに多いのか少ないのかということです。調査設計のときから生涯学習に関する世論調査という,障害あるなしに関わらずやっている調査があるので,これと比較できるといいねみたいな話はしていたんですけれども,実際には比較できるようなデータではないかなと思います。生涯学習に関する世論調査の方では,「この1年で学習したことがあるか」という聞き方をしていて,58.4%の人が「ある」というふうに答えています。
 今回の皆さん御覧いただいている調査の結果に関しては,今年1年というふうに限っていないので,ずっと生まれたときからのこと,学校を卒業してからのことをイメージしますかね。ずっとのことですので単純な比較はできませんけれども,ただ,全体でいうと58.4%は1年間で学んだ経験があるということを考えると,38.8%の人が学んだという経験を意識化していないということは,控えめに言っても,学習経験が決して多いとは言えないというぐらいのことまでは言えるのではないかなというふうに感じています。
 特に,この表を見て気が付くのは,視覚障害のある人たちの学習経験の低さが目を引きます。それから,余暇・レクリエーション活動についての知的障害のある人たちの突出した部分も目を引くんですけれども,恐らく障害の重さによっても様々な差異が出てくるんじゃないかというふうなことを感じまして,これをクロス集計でやってみたんですけれども,身体と精神については,障害の重さは余り関係ありませんでした。知的障害に関しては,障害の重さに対して有意差が出たので,知的障害についての障害の重さと学習機会との関係,経験との関係というのは,今後少しディスカッションする必要があるかなというふうなことを感じたところです。
 それから, 5ページ目で,看過してもいいところかと思うんですけれども,谷間になっているところが,「現在の,または当時就いていた仕事において必要性を感じたため」学ぶということをした。あるいは「地域や社会におけるボランティア活動などに生かすため」に学ぶという経験をしたというところの割合が随分低くなっています。こういうところは,恐らく社会で活躍する機会とか経験,場というものが制約されていることと関連があるのかなというふうなことを推察します。
 ちなみに平成23年の社会生活基本調査という,障害のあるなしに関わらず行った調査の結果によると,ボランティア活動行動率は26.3%でした。障害のある人たちがボランティア活動をするというようなことについては,そもそも余り社会的なプッシュ要因がないのかなというふうに思いますけれども,こういうような社会的に活躍する場と学習行動というのも関連があるんじゃないかというふうなことを感じた次第です。
 それから,7ページ目,実は先ほど高見さんから御紹介いただいたデータなんですけれども,2ページ目のところとも関連しますが,青い部分よりも赤い部分が高い値を示しているものです。つまり,経験よりもニーズの方が高いという部分について,どういうものが挙げられるかということを抜いていったときにどういう傾向が見えるのかということです。
 左から読んでいくと,「同好者が自主的に行っている集まり,サークル活動」,「障害福祉サービス事業所等の講座,余暇活動」,「公民館や生涯学習センターなど公的機関における講座や教室」,それから「カルチャーセンターやスポーツクラブなど民間の講座や教室,通信教育」というところかと。これに2ページ目の先ほど御紹介いただいた,赤い方が青い方を上回っているという部分を総合して考えると,1つは,他者との関わりというところの希求が1つあるのではないか。もう1つが,関心のあること,好きなことをやりたいという,この2つの特徴があるのではないかなというふうなこと,これは解釈ですけれども,感じた次第です。
 それから,12ページ目と13ページ目を御覧いただきたいと思います。これを最後にします。12ページ目の方から申し上げますと,実はこのデータを僕自身は調査設計のときからとても重視しています。というのは,この会議も障害者の生涯学習の機会をいかに増やしていくかというところが1つの目標になっているのではないかと。どういうようなところを押せば機会が増えるという結果をもたらすのかというところを考えたときに,こういう調査はとても重要ではないかというふうに考えたからです。
 ところが,分析してみると,幾つも情報と機会について文節化して尋ねているんですが,内部相関がすごく高いんです。つまり,全部に丸をつけるとか,全部にバツをつけるとかいう人がとても多いので,ざっと見たところ,どういう点が弱くて,どういう点が強いのかみたいなことの分析が今のところうまくできていません。調査会社の方と少しこの辺を協議をしながら,ちゃんとここを扱いましょうという話をしているので,この部分については更なる協議をしていきたいというふうに思います。
 ただ,ざっと見たところ,全ての項目で情報よりも機会の方が高い数値になっています。ということは,情報が行き渡っていても,身近に学ぶ場がないので学ぶという行動に結び付いていないというようなことがあるのでないかということは何となく分かると思います。ざっとそんなところにしておきます。

【宮﨑座長】
 津田委員,ありがとうございました。
 それでは,引き続いて,菅野委員からお願いいたします。

【菅野委員】
 私も津田先生と同じく設計の段階から関わらせていただきまして,私はいつも話していますけれども,生涯学習の機会の場はどこがいいのかというのと誰が提供するのか。人をどう養成していったらいいのかということと,どのようなプログラムが必要なのかということが分からないか。それを阻害している要因は何かというのは,津田先生との話ですけれども,何かというのを明らかにするような調査ができたらいいなということで御協力いたしました。
 後半部分の対象者のところを見ますと,日中の活動状況が,家庭が一番多いというのが,ちょっとこれはどういうことかな。初めは障害の問題かと思ったんですけれども,年齢構成を見ると,比較的全般に広がっているので,年齢が高くなってくると,やはり在宅の方が多くなってくる。さらに75歳以上が15%以上いるということも含めると,年齢が高くなってきて,在宅の方が多くなってきているというところがこの反映かなというふうに思いました。比較的,集団としてはというかな,対象としてはいい対象なのかなと思いますが,ただ,経験した人を更に分析していっているわけですので,ここにちょっと偏りが出てきているのかもしれません。今回そこまで見ていませんから。
 僕も最初に気が付いたところは,津田先生と全く同じでして,共生社会の実現に向けて機会,充実がというので,賛同が81%というところ,しかし,期待は必ずしもしていない。期待というか,具体的にはというのは少ないというところに非常に大きな課題があるのかなと思いました。なぜこの課題があるのかというと,プログラムの内容のところからいくと, 2ページ目のところと12ページ目のところの情報,先ほど事務局からもありましたけれども,健康と余暇に関しましては,経験もニーズもあるというふうに書いてあるわけです。ここは,この2つのプログラムに関しては,かなりそれなりに準備されているということの表れかなというふうに思いました。さらに経験としては,学校での学習の内容の維持,再学習,これもそれなりに準備されているので経験がある。しかし,年齢が高くなってくると,社会生活に必要な知識,技能というのがどうしても求められてきたときに,これはニーズとしてあるわけですね,当然社会生活に苦しさが出てくるけれども,必ずしも十分に整っていないというところは情報のところでも出てくる。
 12ページ目の情報のところを見ましても,文化・芸術・スポーツの情報は,情報も場もあるという分析になっているんですけれども,しかし,もう1つは知りたい,学びたい情報はあるけれども,身に付けたい技術と学ぶ場がないというのは非常に厳しい状況なのかなと思いました。
 それから,仲間がいない。ですから,学習って仲間としていくというのを皆さん期待しているんですけれども,そういう場がない。そういうのは,結局,場であったり,誰がという提供のところが問題として挙がってくるのかなという気がいたしました。まだたくさんありますけれども,年齢が高くなってくると健康の問題が出てくるというのは,私たちが調べたとおりでして,やはり年齢に合わせたプログラムを,特に,20代から30代前半にかけてのニーズが高いけれども,それ以降ニーズがほとんどないというのは,移行期のプログラムはかなり整備され,あるいはニーズとしても出てくるけれども,その後の生涯学習のニーズ,あるいはプログラムが十分そろっていないので諦めてしまっているというような印象を受けました。さらにクロスをして分析していけば,もう少し詳しいことが分かるのかなというふうに思いました。
 もう1つ,大学に関して,私は,アメリカ,イギリス,韓国を見学させていただきまして,確かにこの調査のとおりで,よく調査できているなというふうに思いました。私も大学の公開講座からオープンカレッジへ移行して取り組んでおりますが,報告書の15ページのところにも調査の,大学のオープンカレッジや公開講座の問題として,一方というところで書かれていますけれども,ここが一番大きな課題かなと私も思っています。担当教員任せでは持続が困難である。大学の組織的で継続的な取組としていくことが期待される。これが本当にないので,私も最初は松矢先生から引き継いで大学の公開講座としてやってきましたが,今の大学組織で公開講座を賄うだけの事務的な力か随分少なくなっているというのと,もう1つは,アンケート調査にも出てきましたけれども,経済的な問題が出ています。公開講座とすると,本人が5,000円とか何千円とか払わなくちゃいけない。しかも,運営している者に対して,大学がそのとおり5,000円分戻してくるかというと必ずしもそうではないという。こういう運営ではやり切れないという状況を考えていかないと,内容としては,多分利用者が求めています人との関わりとか,年齢相応の生活経験の機会というのは与えることはできると思いますけれども,何せ仕組みとしてそれが準備できるのかというと,私は今年で定年なんですけれども,定年すると,多分,学芸大からこの取組は全部なくなりますので,どうなるのかなというのが本当に厳しい現状です。
 相談されていまして,「誰か引き継ぐ人がいないんですか」と言われていますけども,今の大学の現状で,皆さん,若い先生もみんな忙しくて,月曜日も授業しなくちゃ,11日も授業しなくちゃいけないというような状況で,誰がしてくれるかというと,ほとんど誰もしてくれないというところの仕組みをどう作るか。ただ,公開講座としてやりますよというだけではうまくいかないだろう。じゃあプログラムを大学の何かに位置付けてとなるともっと大変なことになると思いますので,そこが今の日本の大学における大きな課題かなと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。この障害者本人等への調査について,最初から関わってくださった津田先生,菅野先生から補足を頂きました。

【津田委員】
 参考資料1の方だけだと思っていましたで,そちらだけさせていただきました。参考資料2の方もコメントするようにということで事前に準備しておりましたので,ちょっとだけ補足的なことを申し上げさせていただきます。

【宮﨑座長】
 どうぞお願いします。

【津田委員】
 僕の知っている限りで言うと,実はフランス,ドイツ,中国についてはほとんど知らないので,アメリカ,イギリス,韓国についての話になります。イギリスは,確かに基本的な,1ページ目の一番初めに書いてあることですけれども,開かれているということ。ただ,知的障害者に特化した履修プログラムは開設されていないと書かれていますけれども,ないことはなさそうです。調べていただけたらと思いますけれども,ウェストミンスター・キングスウェイ・カレッジというところにLDDプログラムというのがあったり,Barking & Dagenham Collegeにcourses for learning difficulties and disabilitiesというのがあったりとか,あとロンドン大学の演劇コースにディプロマコースがあるということとか,あるいはウィルアム・モリス・カレッジというところが,どうやら知的障害学生に特化した大学になっているということとか,いろいろなやり方で実践自体は展開しているということが分かります。
 私自身もピープル・ファーストの調査でアメリカに行ったときも,どれぐらい前かな,10年近く前ですけれども,行ったときに,親しくなった知的障害のある人が,どんな生活をしているのと言ったら,普通にカレッジに通っているという話が出てきましたので,カレッジで学ぶということが普通に生活の中に位置付いてというような実感を私自身も持っています。
 それから,アメリカに関しては,ここに書いてあるとおり,よく調べていただいていると思いますが,ちょっと補足的に申し上げますと,多様性がとっても幅広いというところを強調しておくべきかなと思います。障害のある人たちが通常の学生と同じように統合クラスで統合的に学んでいるというような大学から,障害のある学生のためのスペシャルコースがあるという大学まで,その中間であるというところもあったりとかいうような多様性,それから職業教育に重点を置いているところから教養教育に重点を置いているところまでという多様性。それから,日本でいうと教育委員会ですね。スクールボードとの関係がすごく強くて,スクールボードから推薦で大学に入ってくるという意味で移行教育が制度化されているところから,独自に大学の取組として発展している大学もあるし,とても多様性に富んでるなという印象を持っております。
 もう1つ,韓国なんですけれども,これは制度的には確かにないんですが,障害学生を受け入れるというところで特性化大学といって大学の特技を生かした,特殊性を生かした評価というのを教育省がしているというようなところを存じ上げています。韓国ナザレ大学と交流があるんですけれども,そこでは知的障害のある人たちの専門のコースがあります。今は学部に昇格していて,リハビリテーション自立学部というんですけれども,そこの学部の在学生は全て知的障害を持っているという構成になっています。そんな取組も政府のバックアップというか,すごく手厚いバックアップではないですけれども,特性化大学というような称号というか,認知をされてやっているというようなことになっていますので,これが制度的というかどうかですけれども,全くないわけではなさそうだということです。知り得ている情報でした。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。まず,参考資料1のところでの補足も含めて,お二方の先生に御意見を頂戴しました。今の参考資料1,2についての御質問,あるいは確認をしておきたいことがございましたら,どなたからでもお願いいたします。
 箕輪委員,お願いします。

【箕輪委員】
 箕輪です。久しぶりの参加で,すみません。これまでにも確認があったのかもしれないんですが,このアンケートの調査はインターネットによる調査ということなので,インターネットが使える環境のある方のみということですよね。かつ,53%は本人ではなくて,家族の方の意見ということなので,いろいろこの中にもありますけど,本人をなしに語らないでくださいという部分でいうと,半分以上が本人じゃない方の意見になっているような心配があって,それがこのデータの中に全部混ざってしまっているのか。それともここに出てきているのは障害のある方だけのことになっているのか。そのあたりが,もし混ざっているとすると,本当に御本人のニーズなのかなというのが少し心配になったというのがあります。
 そういったものの中で,私も2ページの「特になし」が一番気になったんですけれども,これが御本人の中での,例えば菅野先生と一緒に学校運営協議会とかの特別支援学校の生徒さんへのアンケートとかするときに,言葉がしゃべれる人に限られたアンケートになってしまっていて,本当に言葉を発することができなかったり,意思を表することが,いろんなセンサーとかくっつけないと難しいかもしれない形の意見というのは全然拾われないで,大人たちの代弁によって,こんなことを考えているんだろうということで終わってしまうことが多いので,それがちょっと気になったということが1つです。
 あと4ページも含めて年代別になっていると思うんですが,じゃ,障害のない人たちのこの年代の人たちはどういうふうな,ここに差があるのかとか,アダルト55歳以上が全体の40%を占めてしまっていますけれども,世の中の手帳を持っていない,55と75では大分違うと思うんですけれども,このあたりの人たちのこういった活動とどれぐらい差があるのかも,世の中全般,この年代はこういうふうなことなのかとか,そこがちょっと知りたいところなのですが,いかがでしょうか。

【宮﨑座長】
 今,2点ございましたが,どうぞ,事務局からお願いします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 まず,家族等からの回答と混ざっているかどうかという点に関しましては,この結果は混ざっています。ただ,障害のある方があくまでどうかというところを知りたいための調査であるということはお伝えをしているので,なるべく御本人が回答できない場合には御家族の方ということで設定をして御回答を頂いている。ですので,御本人抜きの御家族の思いを集計する調査ではないという前提で実施しています。
 それから年齢に関しては,55歳以上という言い方をすると確かに広くなってしまうんですが,15ページにありますような年齢区分で,各年齢に均等に人数がいくようにという形で割り振って実施したということはあるので,実際,障害のない方に関しての傾向については,先ほど津田先生から御紹介のあった生涯学習に関する世論調査というのがありますので,そこの中で年齢別をとっていたかどうかというのは確認させていただけたらと思います。

【宮﨑座長】
 津田先生,そのあたりの一般的な方の年齢の分け方ってあるんですか。

【津田委員】
 当然年齢,データが公表されているかどうかというところがありますので,さっと対応させる関係ができるかどうか分かりませんけれども,そのデータさえあれば,おっしゃっていただいた比較というのは意味があると思いますので,ちょっと興味が湧きますね。
 それから,当事者の答え方がどうかというところで,ちょっと記憶があいまいなんですけれども,本人抜きで保護者なりが答えているという状況と,隣に本人がいて,どうかなって一緒に考えながら保護者が答えている状況と,完全に本人が答えている状況というふうな分け方をしようと思ったんですけれども,そうなっていましたっけ。二分法になっちゃったんでしたっけ,結局。

【高見障害者学習支援推進室長】
 障害のある方御本人なのか,それとも配偶者なのか,父親なのか,母親なのかということで聞いていっているので,そのときに隣に障害のある御本人がいて確認しながらやっているのかということは,問い立てはしてないですね。

【津田委員】
 してなかった。残念,そうですか。失礼いたしました。

【宮﨑座長】
 何か補足ありますか。

【箕輪委員】
 今のに関連してなんですけれども,特別支援学校でいろいろと話を聞いていると,家族には障害がなくて,子供にだけ障害がある場合は家族が吸い上げることができるんですけど,どちらにも障害があってという場合には正しい答えがというか,こういうものをやっても参加してもらえることさえ難しいと言われている中で,情報が得られるかどうか,まずインターネットを使える人というのは,使わない人よりも情報が今はあふれ過ぎていてというのがあるんですけど,そうじゃないところへの情報がそもそも得られにくい,インターネットが使える環境にない方とか,家族そろって障害があって,こういったものの意見を述べることが難しい方々への調査というのは何か検討されていましたでしょうか。

【高見障害者学習支援推進室長】
 第1弾の調査ということでありますので,まず,把握できるところ,そして一定のモニター数が得られて,傾向が見られるところというので今回実施をさせていただいています。ただ,おっしゃるとおり,インターネットを使えない方もいらっしゃると思います。そういったあたりは,秋にやりました関係団体のヒアリングで聞き取りはしておりますけれども,今後,どういった形でそういった方へのアクセスができるのかも含めて考えたいと思います。

【宮﨑座長】
 こういう調査の場合には,まず概要を知るということから出発をするということで,今回の制度設計というか,アンケートをされているので,今,箕輪委員からお話があったようなことは,次の段階の大きな課題として残されているということでいいでしょうかね。
 それでは,ほかにありますか。ちょっと時間が押しておりますが,よろしいでしょうか。
 はい,どうぞ。綿貫委員。

【綿貫委員】
 すみません,確認じゃなくて,今後のというところでちょっと言おうかと思ったんですけど,この結果を生かすときに,参考資料1の2ページの「特になし」の43.4%のところとか,現状の混ざっている状態でのところも含めてですけど,家族も本人も自分の今後のニーズがよく分からないということは大きなというか,ここを探っていくというところがすごくこの調査の大事なところなのかと思います。本人の視点で考えたときに,私自身もそうですし,ほかのふだん関わっている方たちもそうですけど,自分がどういうことがしたいのかということがそもそもよく分からないということだったり,それは今までの経験の限られている部分だったりとか,あと社会にどんなものがあるのかというのを知らなかったりとか,というところがあるので,そういったところもこの結果から拾う,解釈できるところの1つかと思います。
 それから,もし本人が答えている場合なんですけど,本人の主体性のこともあると思うんですね。それは自分がどう思うかよりも,親がどう思うかどうかとか,そういうことの方を考えてしまうというか,そういう部分で本人のニーズを拾うというところはいろいろ,単に聞き方だけではなくて,本人の意識の問題として難しいところもあるなと思いますし,そういった部分も含めて,学校卒業前からいろいろなことを考えていくというのが必要なのかなと思いました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 はい,どうぞ。

【戸田委員】
 戸田です。話を聞いていて,これって地域性って調べているんでしたっけ。

【宮﨑座長】
 お願いします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 地域に関しましては都道府県で確認をしていまして,都市規模として,大都市なのか,中都市,小都市,町村なのかというところも含めて確認しています。

【戸田委員】
 環境で大分変わってくると思うので,そこは一つ今後やるときに,より深く踏んでいくときには必要かなと思ったので聞きました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。この調査での成果と課題というのが,まだ速報値ですので分析が十分できているわけではないという,先ほどお話もありましたように,次のステップでどんなふうに考えていくか。特に,「特になし」というのはやっぱり気になるので,非常に数も多い,パーセンテージがかなり高いので,このあたりをどういうふうに処理をしていくかというのは,今後の大きな課題になるのではないかなと思います。
 先ほど菅野先生からは今回の報告案の15ページの話まで出していただいたんですが,次のところに行きたいと思います。今後,具体的に報告案全体についての審議に入るわけですが,まず事務局から資料1-1,資料1-2に基づいて,これまでのところに追加・変更点の御説明をお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 それでは,資料1-1に構成案をお示ししております。また,資料1-2が報告案の本体になります。これらを御覧いただきながらお聞きいただければ思います。
 今回,加筆修正を行った部分というのをそれぞれ青字でお示しをしています。第1章の2.障害者の学びを取り巻く現状と課題というところで,集計中ですとか,前回お示ししたときには中を書いていなかったんですが,障害者本人等へのアンケート調査,地方公共団体等への調査,大学等への調査の結果を概括的にお示ししています。詳細な調査結果は1-2の中の本文に溶け込ませるような形で文脈を補強しています。
 それでは,変更点を中心に御説明をしたいと思いますので,資料1-2の15ページを御覧ください。各ライフステージにおいて求められる学びというところの3番といたしまして,障害の特性を踏まえ特に考慮すべき事項というのを書き起こししておりますが,前回お示ししたものに加えて,ヒアリングを行いましたことも踏まえて,肢体不自由者の学びと,17ページのところでは,重度・重複障害者の学びについても追記をしているところでございます。
 ざっと御説明をさせていただければと思うのですが,19ページを御覧いただければと思います。こちらは障害の有無にかかわらず共に学ぶ場づくりの中の(2)多様な形態の「共に学ぶ場づくり」というところですけれども,ここのアイデアを書いている部分になります。本会議においても報告をいたしました,昨年秋に行った超福祉の学校に関する記述を冒頭に追記しております。こういった形で国が,障害者本人が企画に関与するようなフォーラムを継続していくことが重要だということで中身を構成しています。
 また,20ページでございますけれども,こちらでは障害者スポーツの促進ということで,前回山田委員から御指摘を頂きました御意見を踏まえて記述を書換えております。
 また,21ページを御覧いただければと思います。こちらに関しては,障害に関する理解促進について述べている部分になりますけれども,(1)学校教育段階における障害に関する理解促進,この部分については,朝日委員からの御指摘を踏まえまして,障害理解の促進につながることとして,障害のある子とない子が日頃から共に学ぶ教育システムの重要性についても追記をしております。
 また,(2)ですけれども,多様な主体と連携した障害理解の促進,この中では津田委員から,これまで福祉教育の流れで推進をされてきた取組があるので,そことの関係性についても触れるべきという御意見を頂戴しましたので,全国にございます社会福祉協議会と連携した障害理解の促進ということについて記載をしております。
 22ページの4.障害者の学びを推進するための基盤の整備,こちら以降が今回初めてお出しする部分になります。4ポツにつきましては論点整理の内容を生かして構成をしていますけれども,(1)地方公共団体における連携体制といたしまして,まず,庁内関係部局との連携を推進する必要性というふうに述べています。我々の方で障害者の学習支援担当ということで都道府県,指定都市,それから市区町村まで含めて御担当の窓口を設置するというところは実施をしているんですけれども,必ずしもその担当が障害者の学習ということに関する知見があるかというと,まだまだというところがありますので,まずは庁内で連携をして,そういった知見は,福祉部局ですとか,スポーツ・文化部局とかにあったりしますので,そういうところを吸収していきましょうということで書き起こしをしております。加えて,関係機関,団体等との連携も図るということについて触れ,この会議の中でも御議論をいただきました,自立支援協議会について記載をしております。
 23ページですけれども,地方公共団体内の連携推進に当たりまして,「障害者の文化芸術活動の推進に関する法律」が成立しておりますので,これに基づく取組とも連動させていく必要があるというふうにしております。
 次に,(2)障害者の生涯学習推進を担う人材の育成・確保ということで述べています。地方公共団体の職員の育成の必要性,また,障害者の学びの場づくりを担う中核的な人材に期待される役割や育成の過程で身に付けるべき専門性について,国が研究をすることへの期待ということで述べております。
 加えて,来年度の予算事業で行います全国をブロックに分けて実施するブロック別コンファレンスにおいて,参加者の,地域における人材育成・確保に向けた情報交換又は交流を行うこと,それから障害者の生涯学習において中核的役割を担うことが期待されます社会教育主事の研修の機会に,障害者の生涯学習について取り入れることなどについて記載をしております。
 下の方ですが,(3)幅広い人々の参画を得た障害者の学びの推進というところでは,大学の公開講座を活用して障害者の学びの場を設けまして,そこに当該大学の学生がスタッフとして参画することで学生の育成と運営スタッフの確保,これの両方を達成するような例について記載をしております。
 次に,(4)当事者のニーズを踏まえた,学びに関する相談支援体制づくりというところですけれども,こちらに関しては,地方公共団体の障害者学習支援担当部局と論点整理の段階でお示しをしましたけれども,障害者総合支援法に基づく基幹相談支援センター,それから雇用促進法に基づく障害者就業・生活支援センター,こういったところが連携をして学びに関する相談支援体制を整備していくことについて記載をしております。
 また,個別の教育支援計画を進路先に引き継ぎ,活用していくことについて,論点整理のとおり,引き継ぎますと書いておりますけれども,その文脈で個別の教育支援計画に生涯学習の項目を位置付けるということにつきまして,国から教育委員会に周知すること,生徒の在学中から教員が福祉の相談支援に携わる職員との連携を強化しまして,障害福祉サービスの利用の流れなどについて,教員,本人,それから保護者の理解を深めていくことなどについて記載をしております。
 (5)基盤の整備に向けた取組におきましては,企業やNPO法人など,様々な団体や法人が協力して,障害者の生涯学習に関する社会環境の整備を行っていくことの重要性についてまとめております。
 次に,第4章ということで,国,地方公共団体に求められる役割等としております。本有識者会議における御議論や御検討の成果につきましては,第3章の推進方策の中にかなりいろいろと入れ込みをしているところなんですけれども,国や地方公共団体に求められる役割等といたしまして,実施主体ごとの取組として記載していくことで,本会議としてのメッセージを分かりやすく発信することができるのではないかというふうに考えております。
 リード文にございますとおりですが,国においては,本報告において提言した内容を踏まえ,障害者の生涯学習を総合的に推進していくことが求められるとしながらですが,幅広く提言した内容のうち,特に,国及び地方公共団体において早急な対応が求められる内容ということで以下を示しています。
 国に求められる役割といたしましては,項目のみ御紹介させていただきたいと思いますが,障害者の学びの場づくりに関するモデル開発・普及,次のページに行きまして,障害者の学びの場づくりを担う中核的人材の育成,それから地方公共団体における体制整備,取組促進,こちらに関しましても地方公共団体が一義的にはやる話なんですけれども,国としてもそこのフォローアップをしっかりやっていくというふうに書いてございます。また,障害の有無に関わらず共に学ぶ環境づくりに向けた啓発ということで整理をしております。
 これらに加えまして,その次のところになりますが,国においては,本報告の提言内容を踏まえ,国及び地方公共団体に求められる役割を整理し,政策の目標と具体的な施策を総合的に示し,着実に実行することが期待されるというふうにしてございます。
 次に,地方公共団体に求められる役割というところですけれども,まず,庁内連携,関係機関・団体等との連携の推進,それから障害者の生涯学習推進を担う人材の育成,また,障害者本人のニーズを踏まえた学びに関する相談支援体制の整備,域内の障害者の学びの場に関する実態把握・情報提供,また,実態把握をした結果,十分でない場合には学びの場の確保まで求めるという内容にしてございます。その上で,地方公共団体における取組については,国においてもフォローアップを行い,着実に進めていくことが求められるとしてございます。
 その次,3ポツといたしまして,この報告の中で,学校とか民間団体との連携といいますか,こういったところで実際の障害者の学びの場づくりが行われているという実態に鑑みまして,こういったところに期待される役割ということで整理をしてございます。
 特別支援学校をはじめとする学校には,学校教育段階から卒業後を見据えて,生涯学習への意欲を高める指導,社会教育との連携を図った教育活動の推進,また,心のバリアフリー学習等を通じて,障害に関する理解促進を図ること,在学段階からの福祉との連携推進,卒業時に個別の教育支援計画を進路先の企業,福祉施設等に適切に引き継いでいくことなどを期待するとしています。
 大学についても書いてございまして,障害学生支援に加えまして,知的障害者の学びの場づくりの積極的な参画ということも記載をしてございます。社会福祉法人やNPO法人等の民間団体には,地方公共団体や関係機関・団体との連携を図りまして,障害者の学びに関する知見を周囲と共有していくなどが期待されるというふうにしてございます。
 以上がこの会議での検討を踏まえた内容ということですけれども,この中で議論し切れていない内容ですとかも多くございますので,第5章といたしまして,今後の検討課題を追記してございます。まずは,障害の有無に関わらず共に学ぶ場づくり,こちらに関して,この会議の中でも幾つかの推進方策について議論し,まとめていますけれども,より早く効果的に進める観点から,更なる推進方策について検討することが必要だとしております。
 また,先ほどの当事者の実態調査を踏まえますと,御自宅で日中,生活をしている方もたくさんいるということを踏まえますと,自宅等での遠隔での学習の在り方についても今後の検討というふうに整理をしております。加えて,この会議の中でも議論がございましたが,学校段階における放課後の学びの充実方策,こちらについても今後の検討というふうにしてございます。
 こうした個別の検討課題を挙げた上で,本会議といたしましては,国において以下のような成果指標を掲げて取組のフォローアップを行っていくことを提案したいというふうにしておりまして,成果指標の例を5つほど挙げてございます。これは先ほどの国や地方公共団体に求める役割の中に挙げた内容をしっかりと指標に掲げてフォローアップしていくという提案になってございます。
 以上になりますけれども,国においては,今後,関係する団体との連携を深めながら,新たに生じてきた課題への対応も含めて,全国における障害者の生涯学習を総合的に推進していくことが望まれるということで締めてございます。
 参考までに,29ページには参考資料としてお付けしようとしている内容についても記載してございますが,今回の有識者会議の中ではかなりヒアリングを重点的に行いましたので,その内容についてもしっかりと共有していきたいというふうに考えてございます。
 御説明は以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 それでは,報告案の最後まで説明を頂きました。全体を通じて,皆様から御意見を頂戴したいと思います。進め方ですが,1章についてはこれまで議論をしてきた,生涯学習について,なぜ今取り上げるのかということと,2章以下については,3章以下に掲げてあるものの頭出しをしてあるということですので,今回は,もし1章,2章についても何か御意見があればお受けしますが,基本的に第3章から協議をできればというふうに思っています。第3章の1から3までのところを前半として20分程度でどうかと。あと1時間ちょっとしかございませんので,後半の,今回新たに議論する第3章の4から5章までをちょっと時間をかけて協議したいというふうに思っております。よろしいでしょうか。積み残しはまた後に送るということで,というふうに思っております。

【朝日委員】
 委員長,すみません,いいですか。

【宮﨑座長】
 はい,どうぞ。

【朝日委員】
 朝日でございます。基本的に賛成なんですけど,私は,5章に関しては,皆さんですごく集中して議論した方がいい内容で,例えば今日の会議がもし時間で終わってしまったら,5章は次の回になるという,そういう理解でよろしいですか。

【宮﨑座長】
 はい。

【朝日委員】
 5章については,それこそ事前に皆さんから意見をペーパーで出したりとか,そうした深い議論が進むことを望みます。
 以上です。

【宮﨑座長】
 時間的なことを言うと,先ほど申し上げたように,3章の1から3ぐらいをまず協議をして,その後,残りの時間で3章の4から,残りは,今,朝日委員からありましたように,5章については皆さんの意見を膨らますということや,それから,ここに指標が5点ほど出された,中身についても当然第5章の中にあるわけですが,そのあたりについての御議論をしなければいけないというふうに思いますので,まずはとりあえず行けるところまで行きたいと思います。
 それでは,まずは3章の1から3ぐらいまでを分けて協議をしたいと思います。どなたからでもお願いいたします。この構成案も含めて,どうぞ自由に御発言ください。
 山田委員,お願いします。

【山田委員】
 ページは20ページです。障害者スポーツの促進というところですけれども,私の方から意見を出して直していただいたんですが,これだと少しぼけて意味が分からない部分がありますので,次のように直してもらいたいんですけれども,「スポーツの分野では,障害者が身近にスポーツに親しめる環境を整備することにより」の後ですが,「障害者のスポーツ参加が進み,それが」,次のところの2行目の「共生社会の実現につながっていく」というふうに直していただきたいと思います。じゃないと,何かスポーツに親しめる環境を整備すれば,もう実現につながっていくかのように読めるので,それじゃ余り短絡的過ぎるので,障害者のスポーツ参加が推進していくということが間に入った方がいいと思います。

【宮﨑座長】
 はい。ありがとうございます。今のようなことで,どうぞ御自由に御発言ください。
 朝日委員,どうぞ。

【朝日委員】
 細かなことですけど,9ページの一番下の方にコンファレンスが出てくるんですけれども,ここはちょっと来年度の事業のことはよく分からないというのが正直なところです。同じく23ページにもブロック別コンファレンスが出てくるんですけれども,これは注釈というか,このコンファレンスで本当に深まるのかというところも含めて,どういう会議なのか御説明いただき,必要であれば注釈を入れていただきたいという要望でございます。

【宮﨑座長】
 事務局からありますか。お願いします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 このコンファレンスは人材の育成と実践の拡大を目標にするものとして構成したいと考えているんですけれども,まず,実践について,特に自治体の方だと思いますが,自治体の職員はイメージが湧かない状況に今はあると思っております。市の担当する職員もいなければ,コーディネーターや組織もないという状況ですので,まず,実践者が集まって,自治体の職員も参加をして,実践のイメージを持ち,これをどう関係者が連携して推進していくのかということを研究・協議するようなものとしてコンファレンスを作っていきたいと考えております。この点について,少し注釈で加筆をすることについて検討させていただきたいと思います。

【宮﨑座長】
 いいですか。はい,どうぞ。

【朝日委員】
 そうすると,それを主催するのは,ここの生涯学習の担当がなさるということなのでしょうか。それとも別の部局なのでしょうか。

【高見障害者学習支援推進室長】
 やり方としては,国の事業としてやりますので,国も関わりながら,ただ,実働といいますか,事務局を担っていただくのは,自治体がやってくれる場合もありますし,あるいは実践を中心になって担っているNPO法人ですとか,あるいは社会福祉法人がやるようなケースもあるかもしれません。そういったものを想定して,必ずしも自治体じゃない。ただ,やるときには必ず自治体を巻き込むというようなやり方でやっていたただきたいと思っています。

【朝日委員】
 今日はこれ以上よろしいですけれども,要するにコンファレンスというのは,どこが主催して,どういう人が対象になっているのか。本当に生涯学習のために特別支援学校や関係者,あるいは20ページでは地方公共団体,民間団体の関係者が集まるのであれば,ネーミングも生涯学習のためのコンファレンスとか,もうちょっとはっきりさせた方がいいだろう。何の,カンファレンスという言葉は分かるけれども,コンファレンスというふうに,ちょっと違和感があるので,その辺も含めて,もしこれが有効であろうということであれば,その辺を含めた注釈をお願いしたいという要望です。この件については,これで結構でございます。

【宮﨑座長】
 はい。今の件に関しましては,もし朝日委員,こんなことがアイデアとしてあるというようなことを提起,あるいは,今,注釈の部分というか,9ページと23ページ,同じトーンで書かれているわけですけど,ここをもう少し膨らますという点ではこういうことがあるよというのがあればお願いします。

【朝日委員】
 はい。

【宮﨑座長】
 ほかにありますか。どうぞ,田中先生。

【田中(良)委員】
 あちこち飛ぶ形になりますけど,愛知の田中です。11ページの障害福祉サービスと連携した学びの場づくりで,4行目から「社会福祉法人,NPO法人等が自立訓練や就労移行支援,就労継続支援(A型・B型)等を行う中で,実態として」とありますよね。実は前にも少しお話ししたことがあるかと思いますが,学校から社会への移行期を集中的にこの間,明確な意識を持って取り組んでいるのは全国専攻科研究会参加の人たちなんですね。今40か所ぐらいが福祉型専攻科と言って,学校は私立の特別支援学校と,あとは国立の鳥取大学附属特別支援学校だけで,一般の公立は今それどころじゃないみたいなところがあって,それでもう15年たつんですね。最近は,自立訓練,就労移行支援,就労継続支援,僕はA型でやっているというのはよく知らないんですけど,B型はかなり多く取り組んできています。
 それと,最近は生活介護事業が積極的に学びに取り組み始めています。というのは,どういうことかというと,僕らは20年前に名古屋市の教育委員会から委託を受けて,障害者の学びについて調査したことがあります。身体障害者だけという話だったのですが,知的障害も含めてやりました。そのときは障害の軽い人は学びという機会がなくて,むしろ重い人たちですね。就労とか仕事に関われない人たちが粘土細工とか焼き物とか,絵を描いたりして取り組んでいました。それって仕事が難しいからということで創造活動なんていう言葉でやっていましたけども。だから,障害の軽い人と重い人にとってはこういう感じで,重い人に積極的に学びとして位置付けているわけではなくて,やっぱり何か一日過ごさなければならないというような感じで非常に消極的でした。
 今,逆に障害の軽い人は,学びは可能だけど,重い人はどうするんだという意見は,実は専攻科研究会でも最初からありました。障害の重い人を福祉型専攻科で取り組んでいる所はなくて,私立の特別支援学校で取り組んでいました。今,それに応えようとして生活介護事業所が障害の重い人たちの学びに取り組み始め,増えつつある傾向にあります。
 私も生活介護事業所に実際に見学,調査に行きましたし,夏に、北海道に行ってきましたけれども,再び、12月24・25日にも行ってきました。知的障害者の介護事業所がミュージカルに取り組んでいるんです。これはすごかったですね。ダウン症の人とか,自閉症の人たちが,その特長を生かしながら,役に成り切って1時間やり切るんです。それは非常に感動的でした。
 ということで,障害の重い人も学びが必要なんだと,今そこを切り開こうとしています。「等」に、何が含まれるかということですが、「等」ではなくて,生活介護事業所の取組みも増えつつあるわけですから,生活介護という言葉を入れてもらえると関係者は励まされるのではないかと思います。御検討いただけたらと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 つまり,就労移行支援,就労継続支援,それから生活介護というふうに入れた方がいいと,そういう意見ですね。

【田中(良)委員】
 そうですね。私の希望はそうです。

【宮﨑座長】
 分かりました。少し検討するということで。
 はい,どうぞ。お願いします。

【松矢副座長】
 僕はちょっとニュアンスが変わっているんですね,その点。今,こういう自立訓練とB型と,それから移行支援ですね。この3つを活用してというのは,それなりに意義があると思っています。ただし,これは力のある社会福祉法人でなければできない。私自身,自立訓練とB型,それから自立訓練と生活介護の社会福祉法人として経営している理事長なんですね。実際担っているのは生活支援員で,福祉の専門家ではあるけれども,あるいは福祉から雇用へという,要するに働くということをキーワードにして,その力をだんだん伸ばしていって,力のある子供は,必ずしも障害の重さじゃないんですね。生活の力がしっかりと整っている子が就職できるのです。ですから,それには家庭の協力も必要だし,福祉の力も必要,そこから始めていくんですね。
 それはそうなんですけども,本来的に社会福祉法人として職員は,福祉とそれに基づく地域社会で生きていく力を養っていくということなんです。結果的にそれが福祉と雇用を結びつけていくという総合支援法の目的,これが機能しているから,これの図はどこにありましたっけ。福祉から雇用への移行はどこに資料がありますか。前にちょっと僕,利用したんですが,どこにありますか,この資料集の。何ページですかね。

【高見障害者学習支援推進室長】
 参考資料13ですね。厚生労働省が出してくださった資料です。

【松矢副座長】
 そうですね。13ですね。13を見てください。これが基本ですね。これ毎年出ている資料なんですね。10ページのところに障害福祉サービスということで就労移行支援,A型・B型が出ているんですが,ここには自立訓練が入っていませんけれども,自立訓練は……。

【宮﨑座長】
 その後に出てきます。

【松矢副座長】
 そうですね。自立訓練も出てくる。大体,自立訓練とB型,それから自立訓練と生活介護ってくっつけて,要するに境界領域にある人の評価をしながら,この方はB型に行った方がいいのか,あるいはB型のところの自立訓練は生活介護の方でしっかり生活を見ていくかという,そういう評価のところもあるんですね,自立訓練の。私はそれをやっています。その結果,就職できたり,それから生きがい的なまさに生活の力を付けるための方に移行したりしてやっています。
 もともと生活介護の方は目的的に生きがい活動が入っているんです。ですから,私の場合には,午前中は企業からの受託した簡易作業だったり,あるいは喫茶サービスをしていますから,コースター作りというようなことをB型と連携してやるというような,そういうのを午前中やって,午後は生きがい的な活動なんです,創作とかリズムとか,体づくりとか。それは当然なんですね。障害が重いですから,そういう生きがい的なことをやらないと翌日元気よく出てこられないんです。B型の方は働くことを目的としてできるんですね。翌日も来て働きます。その中にもちろん生きがい的なものも入っているんですけど,そういうふうに営んでいます。
 そこに継続学習的な,つまり,高等部の後に2年間専攻科がありますね。そういうものを入れていくというだけの制度設計はここにはありません。制度設計ないんです。だから私はうまくやっているところは,どういう人材,優秀な人材を得てやっているのかというのを知りたいんです。その話はまたここでは出ていないんですよ。僕はそれを非常に早くからやった福岡の鞍手ゆたか福祉会にお聞きしたら,とにかくたくさんの優秀な職員が応募してくるんだそうです。教員免許状を持った人もね。それは老舗みたいなもので,評判を聞いてやりたいなと。生涯学習プラス,働く力の育成プラス生涯学習って面白いじゃないか。そういうのはよく分かるんです。でも,それをやり切れる社会福祉法人がどれだけあるかというと,やっぱりここでも人材をどう育てるかというのが問題なんです。課題なんです。
 大学,オープンカレッジもそうなんですね。オープンカレッジも,菅野先生,私も今まだ目白台でやっているんですが,私が転べば,全部転んでしまうという非常に基盤が弱いんです。ただ,大学は会場の費用とか,そういうのは全部ただで,我々の場合にはNPOの組織を大学が支援する,NPO活動支援センターというのを形の上で作ってもらっていますので,大学で催物をするときは全部負担なしでできるんです。とってもやりいいんですね。それと講師は,私の専門性であちこちからお願いして,ボランティアです。毎回ボランティア。受講生からもらっている,受講料を取ります。1回1,000円。彼らにとっては高いんですね。だけどそれは,必要経費分は使いますけど,あと全部残しておいて,最後は修了証を出すときのパーティーの費用で全部還元しております。ですから,実質的にはNPOは黒字,何もなしで人材だけ,ボランティアでやっているというのが現実ですので,多くの大学が研究室単位の学生の力をかりながら,あるいは先生方が連携してやるということで,要するに人材のところが空っぽなんですね。
 ですから,恐らく福祉型の学びの場の提供もかなり人材のところは法人の力でいろいろな講師,市民講師の協力もそうですが,そういうものを得ながらやっているんだろうというふうに想像しています。私自身そうですから。それで運営できるんですね。ですから,担っている人の専門性というか,要するにそのレベルの専門性を持った人がたくさんいれば継続する。ですから,オープンカレッジ東京も連合型でやっています。だけど,中心が東京学芸大学ですから,ほかの連合している研究室で,じゃ,次俺がやるよということであれば継続するかもしれないということなんです。
 だから,私が,こういう有識者会議ができたのは,まさに間に合ったというのは,ゼロのところから始めるというところの,どういうふうにゼロから作るのかということを議論していくのがこの場だろうと思っています。多くはゼロなんですね。

【宮﨑座長】
 先生はこれでいいだろうということになる。

【松矢副座長】
 そうですね。はい。

【宮﨑座長】
 そこが一番大事なんです。

【松矢副座長】
 そうなんです。今のままの記述でいいんじゃないかと思っています。

【宮﨑座長】
 じゃ,田中委員,お願いします。

【田中(正)委員】
 今の松矢副座長の発言としては,11ページに書かれているのは,卒業後に就労に向けた場として,どのように進めていくかという文脈だと思いまして,田中委員の言われた部分は,その後の15ページの方の15行目から始まる障害福祉サービス等という中で,生活介護も地域活動支援センターも放課後デイサービスもというふうに列記するかどうかということで少し分けた方が,文章としては,11ページの11行目からは,就労に向かう人たちにも学びの場が必要だという文脈なんだろうというふうに理解していますので,どちらの方の御意見でも学ぶという視点でプログラムを改良していっている実態を踏まえていますので,そのように分けた方が,これを書かれ出した背景としては理解されるのかなと思います。
 あと,付け加えますと,今,厚労省の方でのぞみの園に研究を委託して,就労継続事業と生活介護事業のそれぞれのガイドライン作りというのをやっていまして,特にB型の事業に携わっている皆さんからは,今までは余暇という表現でやっていたプログラムも評価してほしいというふうに,ガイドラインに盛り込むようにという意見があるので,私の方からも生涯学習の話題提供もして,余暇というふうに位置付けるとちょっとインパクトが弱いので,学び,若しくは生涯学習というような視点でプログラム化することも今ガイドラインの中では検討しているということですので,全体の中に盛り込んでほしいという田中委員の意見としては,15ページの方で強化した方がいいかなというふうに思って聞いておりました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 はい。ありがとうございました。今の議論はよろしいですかね。田中良三委員,よろしいですか。

【田中(良)委員】
 了解しました。

【宮﨑座長】
 11ページと15ページを分けて,その文脈で書いてもらうと。それから,今,育成会の田中正博委員からあったことに関しては,余暇という考え方について,生涯学習という観点で整理をし直すという提案は,この後にもあると思うんですけど,そういう項目を出すというようなことについて,たしか朝日委員からもそういう御意見があったと思いますが,そういう仕組みで個別の支援計画等でも入れていこうというようなことで,ここは大事なところだと思いますので,また御意見を頂戴できればと思います。
 あと,私は時間ばかり気にして,すみません。なかなかうまく仕切りができなくて申し訳ありません。第5章に入る前までのところで,今の御議論も踏まえて,どこからでも御意見をください。
 どうぞ,津田委員。

【津田委員】
 ごめんなさい。何回か発言しているので,今日はと思いましたけども,今の田中先生の御発言,すごく大事だと思ったので,それに輪を掛けてという話からさせていただきたいんですけれども,7ページ,11ページ,15ページで,福祉との連携というところがあって,どういうニュアンスなのかということがとても大事だというふうに思いました。表現が少しぶれているというのも気にはなるんですけれども,これは微調整だと思いますが,誰が主体で,誰と連携をするのかというところが若干ぼやけている気がするんですね。よく読んでいくと,国が障害福祉サービスと連携をするということなのかというところです。
 今の話でも出てきていますけれども,学習の機会を提供するのは障害福祉サービスの提供者ではないかというふうな気がするので,障害福祉サービスの提供者が主体的に学びの場を提供できるように様々な関係機関が連携するというようなイメージではないのかということです。そういうイメージであれば,そういうふうな方向で書いた方が良いのではないかなというふうに思いました。
 田中さんが先ほどおっしゃっていた学びというものが,これまで障害福祉サービスの中にちゃんと位置付けられていないということははっきりしたわけで,それは僕の知っている限りでは工賃重視というところに相当学びが押しやられているという個人的な印象があります。それが少しずつ変わっていくという話を伺って希望があるなというふうに思ったんですけれども,その辺のことを障害福祉サービスの方がどのぐらい主体的に制度を変えていただけるのかというところがとても興味深いところなんですが,そこまで書き込むのは無理なんでしょうかね。
 国の方がどういうような変化を作っていくのかという,5章の前までというふうに,ちょっと5章に入っちゃいますけれども,自治体が連携したところだけが指標じゃなくて,国がどういうふうに連携を,この縦割り行政を乗り越えたかというところも指標に入らなくていいのかなというふうに考えてしまったんですが,すみません,ちょっと言い出しにくいことで,思ったわけなんですがね。
 それと関係してですが,第4章の1の国に求められる役割というところで,今,様々な委託研究ということで実施している事例が出てきています。こういうところも1年の委託研究費でやってみたはいいけども,継続できるのかというところに多くの実践は戸惑いを持ちながらやっておられるんじゃないかというふうな印象を持っています。この継続性というところを国の役割というところで書いておく必要が,継続性,いきなりは難しいでしょうけれども,継続性に努力するための基盤づくりみたいな,ちょっと持って回った言い方になっちゃうかもしれませんけれども,少なくともそういう方向性,例えば法制化に向けた準備を進めていくとか,何かそんなニュアンスのことを書いていただけると有り難いなというふうに思う次第です。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ここは事務局からコメントをお願いします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 まず,障害福祉サービスと連携した学びの場づくりというところは,あくまで障害福祉サービスは障害福祉の目的があってやっているところでありまして,ただ,報告の中に書きましたけれども,目的として,生涯学習といいますか,学びと共通する部分もあるから自立訓練であったり,就労継続支援や就労移行支援の仕組みとうまく連携を図りながら,その仕組みの中で学びの活動も行われているという実態だと思います。ですので,津田先生がおっしゃるとおり,担い手が誰なのか,実施主体が誰なのかというのは,障害福祉サービスを提供している主体が学びに関する活動も提供するという話ですけれども,それを制度上位置付けるというところは,少し協議が必要かと思います。学びに関する仕組みではないというところで,あくまで連携していい形で学びに関する活動もできるという,そういった優れた事例を、国として,まずは文科省として,広めていくというところが必要というふうに今考えているところです。
 それから,継続的なというところは非常に課題だと思っているんですが,御指摘がありました法制化,これは田中良三先生からも御指摘を頂いているところですけれども,そのあたりの含みも込めて,新たに生じてきた課題への対応も含めてというあたりは,最後に書いた論点も念頭に置きながらというふうに書いたところなんですけれども,結局,今,第4章の中で提案しているいろんな取組の推進,モデル開発であったり,地方公共団体における体制の整備であったり,中核的な人材の育成だったり,こういうことを総合的に進めていって,まず,前も言いました実態を作り,実態がどうなっているのかというのを把握し,足りない部分を今できることでやっていくというプロセスがまず必要で,その上で,どうしても法律がないと対応ができない課題が出てきましたということが明らかになって法制化という話なのではないかと思っていまして,その意味で,現段階で法制化も含めて検討と書くのは時期尚早というのが今の考え方です。

【宮﨑座長】
 よろしいですか。
 戸田委員,お願いします。

【戸田委員】
 やっとしゃべれるなと思っていますけど。私は委員の中でもちょっと特殊な経歴だと思っていて,事業家なので,福祉の専門でも何でもないというか,取組はやっていますけどね。その中で,今,皆さんの話である継続性,今日は資料を持ってきたので,これの紹介をしようと思っていますけども。

【宮﨑座長】
 これも含めてお願いします。

【戸田委員】
 はい。実は障害の有無は,例えば有無に関わらずにという言葉って簡単なんですけども,ここはすごい実は難しいところですよね。学ぶのは全員が学ぶことができる。障害者と言った瞬間,障害の手帳があるかないかみたいな話になる。そのサービスを受けられるか,受けられないかというところも全部変わってくるので,僕らが取り組んでいるのは,例えばはざまといいますか,手帳はないんだけど,課題があるみたいな人たち。その人たちってどうするみたいになると,いや,どっちなんですかねみたいな話になってしまうことがある。定義としては障害者じゃないので,障害者サービスは受けられないんですけどね。そういう人たちの学びをどうするのかとなったときにどうするのかということを考えています。
 これですね,私,今まで幾つか会社を経営する中で,地域の課題解決みたいなことをかなり取り組んできています。その中で課題になるのは,結局財源の確保なんですね。ここにも3章の最後の方にある基盤の整備に向けた取組とか,これ総論は分かりましたと。じゃ,どうやるんですかとなったときに,庁内の連携,それはするでしょうと。それは国がやるのか,県がやるのか,市町村レベルでやるのか。前も発言したかもしれないんですけれども,結局やるのは現場だと思っていまして,地域性がかなりあって,それぞれのモデルが全部違うので,国レベルで決められることはないでしょうし,都道府県レベルでも決められないだろうなと思っているんです。そうすると,小さい単位でどうやってそれをやっていくのかということが必要になってきます。
 この資料の最後,どんなことがしたいかというのは,見ていただければ分かるんですけれども,ここに絵があって,いわゆる新電力と言われる電力会社を私は経営しています。その理由は,地域の課題解決をするための財源を生むために電源供給をしています。なので,具体的なモデルとすると,皆さんも○○電気とか聞いたことがあると思うんですけれども,削減しますというのが普通ですね。何%安くなります。それを削減するんじゃなくて,それを予算化して,こういう取組に充てるということをやっています。
 なので,地域のまさに我々山梨の方で取り組んでいる社会福祉法人さんとはそういうコラボレーションをしようとしていまして,そこの電源を我々は供給します。そして,収益的なところを削減でコストダウンするんじゃなくて,その部分を予算化します。予算化して,ブリッジスクールという取組に入れるというやり方をするんですね。そうすると,自主財源を作ることができます。かつ,地域で共感する方たちは,我々と電気を契約して,そこに協力したいと言うのであれば,我々がその財源を預かって,そこの取組に入れるというようなことをするための、財源を作るための電力会社なんです。
 こういったものが地域,これは地域の新電力という事業モデルを活用した経済の仕組みづくりなんですけれども,なので,まず,今回こういう議論をやっていると,基本的に税金で何とかするんだよねってみんな思ってしまうと思いますけれども,それはなかなか厳しいなと。現実問題,いわゆる1枚の絵があった中で,文科省が担当する,厚労省が担当するとか,ぱっくりきれいに分かれていれば,それは接続できるぐらいきれいに分かれていればいいんですけれども,穴が空いていたりとか,重なったりすると使えないとなるので,そういうときに地域で持続的な財源。これはアメリカとかだと財団法人が担ったりするんですけれども,日本は寄附文化がかなり弱いので,志だけじゃだめだろうと。そういうところに経済的合理性も含めた仕組みを作ると,うまくワークするだろうということで。今,実際山梨では我々が社会福祉法人と組んでやっているので,財源をどう作るか。持続可能性を確保するには絶対必須なので,そこは民間の資本を呼び込むですとか,そういった仕組みを活用するとか,実際我々の事業ではこれを使っていますので,それを事例で載せても良いので,地域でどうやって持続可能性を担保するかが重要です。
 今,書いてあるところを読むと,企業もウイン・ウインになるとか,一応人材の教育になったりするみたいなことが書いてあるんですけれども,これは結構CSR的な発想,しかも古いタイプです。古いタイプのCSR,社会的責任があるからやりなさいみたいな発想になっているんですけど,そうじゃなくて,しっかり経済合理性もあるんだと,ある中でそれをワークさせる仕組みが重要だということは,私がここにいる意味だと思っているので,書ければ,ある意味かなり,国民が見たときに,そういうことを地域でも考える必要があるなという発想になるのではないかなと。そうでないと,ずっと施し型というか,税金が来るからやるという話からずっと逃れられなくなってくるので,そうじゃなくて自立してやっていくことが重要だみたいなことが書けると,この基盤のところ,あとは5章にもつながるかもしれないですけど,ということかなと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 箕輪委員。今のことで何かありますか。

【箕輪委員】
 関連してですか。

【田中(秀)委員】
 先いいですか。関連ではないんです。

【宮﨑座長】
 はい,どうぞ。

【田中(秀)委員】
 基盤整備の点ですけども,先ほどの調査の報告でもありましたように,障害を持った人が家庭内で過ごしている人が多い,年齢的な問題もいろいろあってと言われていましたけれども,それでもかなり多いということと思います。もう1つは,3ページの特に経験がないというような内容なんですけども,障害を持った人の家庭的な状況というと,家族との,特にお母さんの支援の中での同居というのが圧倒的に多いわけですね。ですから家族の意向であるとか,環境であるとかというのが非常に影響されると思います。特に支援しているお母さんというのは孤立しがちであるというようなことがあります。私のところの通園施設ではずっと乳幼児期から母親教室で毎月のように学習して交流して,お互いいろいろな子供の発達の問題であるとか,社会的なことも含めて学習するわけですけれども,そういう母親であれば,成人期というんですか,青年期になって生涯学習をするというときには後押しをしてくれる意識というのは非常に高まっていると思います。孤立化した家庭であると,なかなかそこまでいかないということになると思います。
 だから,家庭内で,そこにネットであるとか,いろいろな通信でというような話もありましたけれども,なかなかそういうことだけでは情報が伝わらないかなと思うわけです。ですから,乳幼児期,学齢期のときに親子でいろいろな経験をする。そういうことを積み重ねていく中で,初めて成人期の社会参加が進んでいくのではないかというふうに思います。ですから,余り論議を広げるとなかなか実現が難しいかも分からないですけれども,家庭のところの支援というのも1つの視点として入れていただけたらというふうに思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。ちょっと待ってくださいね。
 今,戸田委員からの御意見と田中委員の御意見のところ,25ページの5番の基盤の整備に向けた取組のところだろうと思うんですけど,このあたりを戸田委員の観点でまとめると,さっき古いとおっしゃったんですが,そのあたりの提案,こうすればいいというようなことがあれば,ちょっと御意見をください。

【戸田委員】
 なので,ここには,僕のメッセージは財源確保なので,そこの仕組みを行政の仕組みだけに頼るんじゃなくて,民間の仕組み,具体的な新電力どうのこうのというのは1つの各論でしかないので,そこを民間の資金,事業モデルというのか,ビジネスモデルという言葉を使っていいんだったら,それでもいいかもしれませんけど,そういうものも活用して継続的な金銭面でも事業費を捻出するような仕組みを検討するとか,活用するとかというのがあるといいかなと思います。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 それから,田中委員がお話しされた家庭支援のことですが,実はこれを読んだときに話題に私の中でなったのは,ぷれジョブの話が出た。岡山を中心に活動が始まって,東京でもされていて,小学生段階から企業等で,要するに学校教育とは別段階で支援をする仕組み等が今動き始めているわけですけど,そのあたりも下の4行と関わってあるのかなという話をしていたんですが,今の御意見,重要なところなので,どんな形で入れられるか,少し考えておいていただければと思います。ごめんなさい,ちょっと口を差し挟みました。
 箕輪委員,どうぞ。

【箕輪委員】
 箕輪です。私も5番のところでの意見なのですが,ここのところに書かれているのが大きく,最初の4行と真ん中のCSRのところと3つ目と違うことが書かれていると思うんですが,1つ目のところの職場の教育とか研修というのは,もともと障害がない人であれば,きっと企業は普通に企業の責任として,役割として社員教育というのを実施していますし,あと私たちも初級の部分というか,OJT,職場の中でできる部分というのをやっているんですが,それ以外のところは,障害があってもなくても,外に行って中級レベルアップとか,上級レベルアップとか,自分のキャリアを積むために自己啓発でやってもらうことが多いんですけれども,そのときにこの全体の中で出てきている,一般のプログラムにいかに参加できるかといったところで,障害のある人は断られるケースがあるというところで機会を失う。それがさらに,東京でもそれなのに,地域性があって,全国に事業所があるんですけれども,そもそも誰のためのプログラムもないみたいな地域もあったりするので,そのあたりが,1つは社内でできるOJTの部分は責任を持ってやりましょうということと併せて,手帳を持っていない人は外に出ていってどんどんキャリアアップできる機会がある部分が遅れているのは事実かなと思いますし,それが職リハとか,しごと財団さんがやっている在職者向けの障害者向けのプログラムというのももちろんあるんですけれども,機会がすごく少ないし,限られた,いろいろな条件が整わないといけないですし,先ほど戸田さんがおっしゃった手帳は持っていないけれども,困り事があって,一般的なプログラムに参加すると置いていかれちゃうみたいな人というのは,きっとそこには参加してこられないのかなと思うので,そういったところで,この書きぶり,何となく企業が全部やっていく感じになってはいるんですけれども,企業は企業としてやることはやりつつ,誰でも地域の,民間も含めて,そういったプログラムが活用できるようにといったところを前の章のところで触れていますので,それとの関係というのを,文章には私できていないんですけれども,そこが1つだと思う。だから,これは厚労省との連携になるのか分からないですけど,そのあたりがあります。
 2つ目のCSRといったところでは,昨日も障害者雇用とかダイバーシティ&インクルージョンというところでCSRとか,こういったダイバーシティを進める部署の人が50社ぐらい集まったところで私も障害者雇用の話をさせていただいていたんですけれども,各企業は,こういったフレーズを入れていただくと,そうだなというふうに思う会社もまだまだ多いと思うので,これはこれで触れていただきたいんですけれども,ただ,これを推し進めるに当たっては,経済産業省さんからの通達とか,どうなっていますかみたいな聞かれぶり,文科省さんからの配信だと,なかなか企業というのは,余り意識的に,いろんな省庁との連携という中では,ここの部分でも,もっとちゃんとやりましょうよというふうにやっていただくと,企業は今よりも加速しますし,SDGsとかダイバーシティ・インクルージョンとかCSRという言葉を盛り込んでいただくのはとても効果的だと思いますが,進め方,省庁のどこと関わるかというのを少し工夫をしていただいた方が,せっかくいいことが書いてあるんですけど,このまま文科省の資料としてだけあると,なかなか実際には広がりにくいかなと思います。今,戸田さんがおっしゃった財源のところとか,民間の企業のメリットをもう少し盛り込むことで経産省への心に響く部分が増えてくるかなと思いますので,そのあたりを入れていただくと,よりこれが実現することに近づくのかなというふうに思いました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 ほかに,どうぞ。今のところ。

【松矢副座長】
 ここにも出てきているけれども,障害者による文化芸術活動も他の経済産業省のあれが出てきますね。その協力のもとというのが法でうたわれていますので,要するにここでいう部局を超えてというか,部局間,それから部局を超えてというところをしっかり入れないと難しいだろう。僕は東京都の障害者施策推進協議会の専門部会長を3期12年間ぐらいやっているんですが,これなかなか難しいんですよね,部局を超えるって。教育委員会,保健福祉局,それから産業労働局,そういう部局を超えて,間が抜けているところがたくさんあるんです。それをなかなか,みんな部長さん,課長さんが来るんですよ。来るんだけど,ここは福祉のことを議論しているんだなという感じがどうしてもしてしまう。私は特別支援教育をやってきたし,厚生労働省では雇用の方の審議委員だったのでみんな分かるわけですよね。なぜもっと協力しないのかって。それがとても難しいことなんです。だから第5章のところは少しそういう意味で,厚生労働省とか,他の関係省庁とどういうふうに連携して,要するに財源とか,それもありますね。それは企業のCSRとか頼っていくところもあるし,そういうところから人材も出てくる可能性もあるので,少し工夫をする必要があるだろう。
 私は社会福祉法人の理事長として,これをやるには高齢者福祉も含めて,市民の人たちと一緒に生涯学習というか,学びの場を作っていくという法定しかないだろうと。市内の企業の協力を隈なく歩いて取る。あるいは作業に関わる団体,そういうのを隈なく,商店街もそうですけど,それ以外にないだろうという気があります。ボランティアの人材も含めてね。だからカリキュラムの内容を作っていくのは,地域に文化人,要するに大学の関係者じゃなくても,長く趣味としてやってきた方々がいい文化人なんです,講座提供の。だから地域の中での人材をしっかり掌握するというような形で作っていかないと難しいだろう。これだけの分量のことをやるんですよ,地域で。市町村でやるとなると,ですからそこで佛子園ですか,ああいう地域を作っていくという発想がとても大切というように思いました。

【菅野委員】
 1つよろしいですか。

【宮﨑座長】
 どうぞ,お願いします。

【菅野委員】
 細かいところなんですけれども,3章の1の(2)のところですけれども,各ライフステージにおいて求められる学びというところがありますよね。その3番目に障害特性を踏まえた特に考慮すべき事項というのがあって,ここにこれが入っていると,ライフステージと障害特性とで薄まっていくのかなという気がするので,やっぱりライフステージはライフステージということでしっかりと入れたらいいのかなと思いまして,3のところの位置付けを少し考えたらどうだろうかというふうに思いました。どこに入れるか悩みまして,1つは,すごい勇気が必要なんですけども,次の2のところの障害の有無に関わらず共に学ぶ場づくりのところの合理的配慮の次のところ,1で合理的配慮していますので,次のところにそれを入れると,少し流れとしてはいいかなというふうに思いましたので,ちょっと御検討ください。

【宮﨑座長】
 19ページのところに入れるんですね。

【菅野委員】
 そうですね,19ページのところに。それを1つ御検討くださいというのと,もう1つは,ここに知的障害がないので,知的障害は是非。というのは,10ページのプログラムに有効なとか,特に重要と考えられる学習内容というのは,かなり知的障害に関連するようなことだと思いますので,これはちゃんと入れておかないと,特に問題になってくるのは,知的障害を併せて持った人たちの問題が非常に大きくなると思いますので,これを入れておかれたらどうかと思いましたので,以上,御検討をお願いします。

【宮﨑座長】
 はい。構成上の問題ということで,これは検討しなきゃいけないですね。
 それから,今かなり御意見を頂戴しているのは,25ページ,先ほど24ページとか23ページのコンファレンスのことなどはあったんですが,22,23,24ですね。24のところは,先ほどあった余暇・地域生活等の項目のところを生涯学習という項目で位置付けるという提案がしてあるので,これは何か共通基盤ができそうな気がするんですけど,今回,4章のところ,少し津田委員からお話があったんですが,この25,26のあたりで何か御意見があれば是非頂戴したいと思います。少し主語がというような問題もありましたけど,どうでしょうか。
 26ページの25行目以降については,かなり具体的に国として動きを,この報告の提言内容を踏まえて,政策に関する対応していきますよという,そういうトーンで書かれているんだと思いますが,このあたりについて,何か御意見があればお願いします。若干5章のところも入っていましたので,それも含めて何かあれば。

【箕輪委員】
 ちょっといいですか。

【宮﨑座長】
 はい。お願いします。

【箕輪委員】
 今の5章のところで出てくる自宅など遠隔での学習ニーズというのは,障害の重い方とか,移動が難しいとか,左右される方などはとても大事だと思うんですが,最初にアンケートで聞いていて,自宅での学習活動というのをもう既にされている方もいらっしゃる。これが自宅から出られなくて仕方なく家でやっているのか,それとも自宅でのインターネットのこういった遠隔地によるものを有効活用しているのか。捉え方がどっちかなとこのアンケートのときに思っていたんですね。今後,多分ますますAIとかIoTとか,そういった中ではここが,ニーズもですし,作ることもできてくるんだと思うので,このあたりはもう少し技術的なところの進化に伴って,在宅にいることが悪くないというか,そこにいた方が有益にいろいろできる可能性が出てくるので,今までだと家から出られないことが何か残念な感じで取り上げられていましたけれども,そうでもなくなってくるので,そこの扱いを,気をつけた方がいいかなと思います。

【宮﨑座長】
 はい。そうですね。28ページの中で今後の検討課題の中に自宅等での遠隔学習の在り方について,学校段階,それからそのほかの動きなども非常に大きくなってくると思うので,これあたりについては,今後の大きな課題になるんだろうと思うんですね。これはちょっと前の重度障害者と重複障害者のところでも書き込みがあるんですけど,そことの連動があるというふうに思ったりしているわけですけど,次の段階の課題として残されているのかなというふうに思います。
 時間が来てしまって,非常に中途で終わりそうなんですけど,とりあえず時間が来ましたので,今日の意見交換はここまでとして,本日の議論を終了したいと思います。ただ,積み残しが大分多いようなので少し,これやっぱり当初の計画どおりですかね。
 それじゃ,事務局から事務連絡をお願いします。
 どうぞ。ちょっと待ってください。

【山田委員】
 細かい言葉の使い方とかで気になるところが何点かありますので,それは後で事務局の方に申しますので,よろしくお願いします。

【宮﨑座長】
 そうですね。今日積み残して,どうしても言えなかったという部分は事務局に是非御連絡をして,細かいことでも結構ですので,是非御提案を頂きたいと思います。ブラッシュアップしていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それじゃ,事務局にお返しします。事務連絡をお願いします。

【星川障害者学習支援推進室室長補佐】
 それでは,事務局の方から今後の予定について御説明をさせていただきます。資料2を御覧ください。次回,第15回が2月14日,第16回が3月14日と予定をさせていただいているところでございます。本日の御意見につきましては,今,座長の方からも御意見いただきましたとおり,少し回収し切れていない部分がございます。細かい文言の修正も含めまして御意見等,また御指摘等ございましたら,来週の水曜日ぐらいをめどに,こちらの文部科学省の方まで御意見として御提出を頂けますと助かります。来週30日です。1月30日をめどに御意見の方を,御連絡を頂ければと思います。
 また,本日たくさんの御意見を頂きました。関係省庁,関係課と幾つか協議をするに当たって相当の時間を要する部分もございますので,今後の進め方につきましては,座長の方と御相談させていただいて,また次回の開催予定も含めまして,改めて御連絡の方をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 それでは,本日の会議はこれにて閉会をいたします。どうも皆さん,ありがとうございました。またどうぞよろしくお願いいたします。

―了―

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