学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議(第13回) 議事録

1.日時

平成30年12月19日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 学校卒業後における障害者の学びの推進方策 とりまとめに向けた議論
  2. その他

4.議事録

【宮﨑座長】
 それでは,定刻になりましたので,ただいまから第13回学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を開催いたします。
 本日は,お忙しいところお集まりいただき,まことにありがとうございます。ここのところ暑かったり寒かったりと非常に不順な天候が続いたりしたことで委員の皆様に大分体調不良の方が多くなりまして,急に御欠席の方も何か出たようで,事実上ワーキンググループ状態になりました。とにかく冗談はおきまして,どうぞ皆様お体をお大事になさってください。
 それでは,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【星川障害者学習支援推進室長補佐】
 本日の配付資料は,議事次第にございますとおり,資料1-1から資料4となります。また,委員の皆様には机上配付資料としまして推進方策について報告案に関する各委員の皆様から事前に御提出をいただいた御意見をお配りしているところでございます。また,そのほかドッチファイルに関係資料を御用意しておりますので,適宜御参照いただければと思います。過不足等ございましたら,事務局までお申し付けください。
 以上です。

【宮﨑座長】
 本日は,本会議の取りまとめに向けた議論を行います。最初に取りまとめに関連するものとして,先日実施しました障害者本人等への学校卒業後の学習活動に関するアンケート調査,結果の概要の速報値でございますが,その説明及び質疑,次に諸外国の大学における知的障害者の受入れについての説明及び質疑を行い,それらを参考として報告書についての議論に入っていきたいと思います。
 まず,障害者本人等への学校卒業後の学習活動に関するアンケート調査結果概要・速報値の説明を事務局よりお願いします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 お手元の資料の2番を御覧ください。障害者本人等への学校卒業後の学習活動に関するアンケート調査ということで,こちら文部科学省から株式会社のイノベーション・デザイン&テクノロジーズというところに委託をいたしまして実施をした調査の結果概要・速報値になります。
 下の枠囲みの中ですが,目的といたしまして,障害者及び家族に障害者がいる方を対象に,生涯学習活動への参加の状況,阻害要因や促進要因,学習ニーズ等に関する情報を収集するために行いました。
 実施時期に関しましては11月29日から12月5日という比較的短い期間にはなってございますが,こちら障害のある方等をモニターに有するインターネット調査会社による無記名式のインターネット調査になっております。
 対象は,こちら調査会社に登録をされているリサーチモニターの方のうち以下の方ということで,障害のある方御本人,あるいは同居する家族に障害のある方がいらっしゃる方で,対象の年齢といたしましては18歳以上,計4,650名ということで,これだけの方に御回答をいただいております。右側に障害種別で書いてございますが,それぞれの種別で400名以上の方に御回答いただけるようにということで設定をいたしました。
 1枚おめくりいただきまして,早速ですが,2ページから結果の概要について御説明を申し上げます。
 2ページ目が学校卒業後の障害者の学習内容別の生涯学習の経験がありますかということと,今後のニーズについて確認をいたしました。下のグラフを御覧いただきますと,青くなっているグラフはこれまでの経験についての回答,赤いところが今後のニーズについての回答になります。経験につきまして,また,今後のニーズについて,いずれも余暇レクリエーションというところ,それから,健康の維持・増進,スポーツ,こういったところの割合が高くなってございます。一方で経験よりも今後のニーズが高いものとしましては,一緒に刺激し合う仲間作りですとか,社会生活に必要な知識スキル,こういったものが挙げられております。
 次に3ページでございますが,こちらは生涯学習の経験を障害種別にグラフ化したものになります。左側の余暇レクリエーションのところを御覧いただきますと,紫色のグラフが突出して高くなっておりますが,こちら知的障害の方の回答となっておりまして,知的障害がある方は余暇レクリエーションに関する経験をした割合というのが他の障害者に比して高くなっているという状況が読み取れると思います。
 次に,4ページを御覧ください。こちらは経験を今度はライフステージ別にあらわしたものになります。18歳から24歳の移行期から,オールド・アダルトということで55歳以上ということで全体を5つの年齢段階に区切りまして回答をしていただいていますが,特に御確認いただきたいのは,余暇レクリエーション,先ほどの知的障害の方と層としては重なるところもあると思いますが,こちらは移行期の方の回答が高くなっているということ,それから,一番右側の特になし,経験をしていないという回答については,年齢が高くなるほど経験していないという回答が高くなると,つまり,若い方ほど何かしらの経験をしてきているという状況が読み取れるかと思います。
 次,5ページでございますが,こちらは生涯学習を実施した理由について障害種別に回答をしていただいている内容になります。全体といたしましては,様々な経験を通じた成長をしたいから,又は暮らしの中で生じる課題の解決をしたいから,あるいは健康の維持・増進,こういったところが全体の割合として高くなっております。
 おめくりいただきまして,6ページを御覧ください。こちらの生涯学習を実施した理由の今度はライフステージ別の分析になりますけれども,左側の様々な経験を通して成長するためという部分は移行期の若い方の回答が高くなっている傾向がございます。一方で真ん中の健康の維持・増進のため,ここを御覧いただきますと,55歳以上の方の回答割合が高いという傾向が読み取れます。
 次に,7ページでございますが,生涯学習をどのようなメディア,あるいは学習拠点で行いましたかという経験と,今後どうしていきたいかというニーズをお聞きした全体の分析になります。こちらは経験としても今後のニーズといたしましても,自宅,インターネット,テレビやラジオ,こういったところの割合が高くなっているという傾向は変わらないのですが,経験に比べまして,今後のニーズが高いものとしては,公民館や生涯学習センターなど公的な機関における講座や教室,カルチャーセンターやスポーツクラブなど民間の講座や教室,通信教育,同好者が自主的に行っている集まり,サークル活動,障害福祉サービス事業所等の講座,余暇活動,こういったところが挙げられます。分析といたしまして,いずれも,経験もニーズも左側の3つが高いんですけれども,経験に比べますと今後のニーズが20ポイントですとか下がっている傾向が読み取れまして,これまでは自宅等でしか学んでいないけれども,今後は外に出ていって共に学びたいと考える方もいらっしゃると読み取れるかなと思っております。
 1枚おめくりいただきまして8ページでございますが,こちらはメディアや学習拠点の活用ニーズ,今後のニーズの部分ですけれども,これを障害種別に見たものですが,真ん中の障害福祉サービス事業所等の講座,余暇活動の部分ですが,こちらは知的障害のある方の紫と発達障害の自閉症ありの方の割合が高くなっておりまして,こういう方々が障害福祉サービス事業所等での学びというものを期待しているという傾向が見えるかと思っております。
 9ページに関しましては,同じく活用ニーズの今度はライフステージ別のものになっておりますけれども,一番左側の青い移行期に着目をしていただきますと,障害福祉サービス事業所の講座,余暇活動,それから,職場の教育研修,こういったところがほかのライフステージに比較して高い傾向が読み取れるかと思います。
 おめくりいただきまして,10ページを御覧ください。こちらに関しましては障害者権利条約の中に生涯学習の確保に関する規定があるということを御存じかどうかということを伺いましたところ,青が御存じの方,赤が御存じでない方という状況ですが,認知している方は非常に少なかった,2割強ぐらいという状況になっております。
 という状況ではあるのですが,11ページには一方でこの共生社会の実現に向けた障害者の学習機会の充実の重要性があると思うかということをお聞きしましたところ,障害者の学習機会が充実されることについて8割以上の方がそう思う,まあそう思うというふうに回答していただいている状況です。
 おめくりいただき,12ページでございますが,今度は学べる機会,生涯学習に関する重要性があると言っていただいた上で,では,学べる機会や情報,学習にたどり着くための情報が身近にあると感じているかどうか,こういったことも伺いました。下のグラフの見方なのですけれども,左側に2本ずつセットで5セットという書き方をしておりますけれども,2本ずつのグラフで見ていただきたいのですが,それの上側が,例えば,一番上でしたら,知りたいことを学びたいと思うときに学習に関する情報があると思うかというところでして,学びの場にたどり着くための情報が身近にあるかどうかというのが上側にグラフでお示しをしています。それに対して下側が実際に学ぶ場や学習プログラムが身近にあると思うかということについてお聞きをしています。5つのカテゴリーは,知りたいことを学びたいと思うときに学習に関する情報があるかとか,場があるかということ,2つ目は身に着けたい技術があるときに学ぶ場があるかどうか,3番目は文化や芸術に触れたいと思うときに,4番目は体を動かしたいと思うときにどうかと,最後が仲間と学び合いたいと思うときに必要な情報があると思うかということでそれぞれ,細かかったのですけれども,確認をいたしましたところ,全体的な傾向といたしまして,学習に関する情報はあると。ですが,実際に身近に場やプログラムがあるかというと,それに比べる,情報に比べると低くなっているという傾向が全体に見て取れるかと思います。
 それを踏まえた上で13ページが生涯学習に関する課題について伺いましたところ,下から4番目と3番目のグラフを御覧いただきたいのですが,一緒に学習する友人,仲間がいない,余りいないという方,それから,学習費用を支払う余裕がない,余りないという方が全体に比べて比較的高い状況になっております。それから,学ぼうとする障害者に対する社会の理解があるかどうかというのが真ん中のあたりにグラフであらわしておりますが,これに関してもない,余りないというのが合わせて6割を超えるということで,こういったあたりが上位の課題として挙がってきたという状況にございます。
 というのが調査結果の概略・速報値でございまして,14ページ目以降は回答していただいた方々の属性について簡単にお示しをしている内容になります。これも併せて御紹介をしたいと思います。
 15ページを御覧いただきますと,一番上のグラフに関しましては回答の対象となる障害者の続柄ということで御本人が回答した割合が47%,それ以外,配偶者であったり,御両親であったり,兄弟姉妹であったり,お子様であったりというところをお示しをしています。2番目が障害当事者の性別ということで,男女比がおおむね半々になるような形で設計をしております。また,障害当事者の年齢ということですけれども,これも余り高齢期に偏らないように各年代層にある程度均等に御回答いただけるような形で設計をしております。
 また,16ページを御覧いただければと思いますが,最終学歴についてもお伺いをしております。各障害種別に学歴を伺ったということなのですけれども,全体としては高校卒,大学卒というところが比較的多くなっておりまして,知的障害のある方,それから,発達障害の自閉症のありの方に関しては特別支援学校高等部卒の比率もかなり高くなっているという状況でございます。
 17ページには日中の活動状況ということで伺いました。そうしたところ,かなり全体的な傾向といたしまして右側にございます家庭内で過ごしているという方の割合が高かったというのが実態として挙げられております。それから,それに続きまして一番左側の企業等で就労しているという方が多いと。一方で知的障害の方,それから,発達障害(自閉症あり)の方に関しては障害者のための通所サービスを利用しているという方の割合が高くなっております。
 最後,18ページですけれども,日頃どのような情報源,メディアや施設を使っているかということをお伺いをしましたところ,青いグラフが日頃利用する情報をあらわした内容になりまして,赤い方が生涯学習に関する情報をどこで入手しているかというのの結果になっております。日頃使っている情報源といたしましては,テレビやラジオというのが6割となっておりまして,続いて,新聞・雑誌・書籍,インターネットの順番になっています。生涯学習につきましても同様の傾向となっております。こういったことも踏まえまして今後の学びの推進方策というものを検討していく必要があるということで材料の1つとしてお示しをさせていただきました。よろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 はい,ありがとうございました。御説明いただいて,かなり新しい知見が発見できたのかなというふうに思っておりますが,この事務局の説明から何か皆様で御質問・御意見がある方はどなたからでもどうぞお願いいたします。
 前回の,今年の3月の特総研がおまとめいただいたアンケート調査でまずは基礎的な実態がわかったわけです。更に突っ込んだ中身で今回調査をしていただいている,ここも大事にしなければいけないという点で是非何か,御感想でも結構ですから,お願いいたします。
 じゃ,お願いします。

【朝日委員】
 オールド・アダルトの朝日でございます。とてもこの調査の結果を見て本当に気付きがたくさんありました。特に13ページでしょうか,生涯学習に充てる時間はあると,あって,学びたいという意欲がある,それが赤と青合わせると半,50%ぐらいですけど,恐らくこれから情報が広がったり,機会があればこれはもっと高まるはずなのですけども,一方で学習の機会がない,物理的障壁はあるということなので,こういったところから障害のある方が卒業後も学びたいという思い,意欲があるのだということを私たちの報告書の前提にしたいと思います。
 そして,ほかにもいろいろあるのですけれども,最終的に学歴のところで私はびっくりといいますか,本当に特徴が出たと思います。最後の16ページですかね,今までの議論でほかの身体障害の方から特別支援学校の卒業生以外のことをもっとちゃんと対象にすべきという御意見もあったのですけれども,全体を見る限り,知的障害や発達障害の方以外は一般の高校とか大学を出ていらっしゃって,それなりにいわゆる高等教育を受けていらっしゃるわけですよね。その方たちが更に学びたいと思えば恐らく情報源があるだろう。しかしながら,知的障害,発達障害あり,そういう方々が非常にこれだけたくさん特別支援学校卒ということはその後の学びの機会がないということで,この報告書が主に知的障害者の例を当てて書いてあるところに最初に違和感はあったのですけれども,知的障害,発達障害(自閉症あり)の方たちに照準を合わせるということは報告書の方向性としては間違いではなかったと思います。
 ただ,一方でこのグラフだけではなく,では読み取れない,例えば,身体障害の方は数としては特別支援学校卒は本当にごくわずかで,恐らく重度の身体障害の方は数としては少なく,パラリンピック等で活躍する方々の身体障害の方は後から障害になられた方も多いかと思うのですけども,こうしたところにもきちんと目を届かせていかなくてはならない,難病者のこともそうですけども,そういうふうな気を付けた読み取り方をしなくてはいけないことは自分では押さえたいと思います。
 以上2点でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。はい,お願いします。

【松矢副座長】
 大変興味ある調査だと思います。
 8ページ,今後のメディア・学習拠点別活用ニーズのところで,自宅での学習活動,テレビやラジオ,インターネットと,こうありまして,ここが多いのですけれども,これはさっきの学歴のこととも関連したりするとは思いますが,できればクロス集計をしてもう少しいろんなことが分かるといいなと思うんですね。障害福祉サービス事業のところが高いのですが,ここのところも内容の分析があったらいいなと思うのです。例えば,この場では委員の中でも福祉事業所の方が委員になっておられますけど,話題にずっと取り上げられてきた,いわゆる自立訓練とB型,あるいは移行支援事業の抱き合わせの,いわゆるカレッジというのはありますが,ここの内容は必ずしもそれだけではないと思うのですね。私はA型と生活介護の事業をやっている社会福祉法人の理事長をやっていますけれども,平日の通所,作業所とか,あるいは生活介護の,土日は何かというと,やはり多く利用しているのはガイドヘルパー,移動支援,それで,今移動支援,今日は厚生労働省の担当官がいらっしゃらないのですけど,お聞きしたいなと思うのは,その移動支援の場合に目的地に行くというのが目的なのです。でも,大体そこで一緒にヘルパーさんが活動して,そして,帰ると。もう活動と抱き合わせなのです。それをやっているのは結構福祉事業所なのです。その訪問,移動支援も中に入れてですね。ですから,私のところもそういう感じで,いわゆる楽しみにしているお出かけですよね。お出かけも個別的に行くのとみんなで行くというのがありまして,だから,内容の分析が必要かなと思うのです。新しく起きている自立支援事業プラス他の事業所のいわゆるオープンカレッジというか,というのと,それはまだ始まったばかりなので,やっぱりガイドヘルパーの普及というのは非常に大きくて,それプラス,もうお出かけの楽しみなので,ヘルパーさんの,ヘルパーさんが行ったら一緒に,もう手当と関係なしに一緒に楽しんでくるという方が多いと思うのですね。そんなところも非常に重要で,制度のいわば充実なんていうことを考えると,意外に生涯学習でガイドヘルパーが大きな役割を果たしているというところ,知りたいものだなと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。はい,田中先生。

【田中(良)委員】
 愛知の田中です。今まで委員の先生方がおっしゃったことも私も感じてきていましたが,それ以外に17ページ,日中の活動状況とありますよね。その中に全体としては家庭内で過ごしている38.5%,あと,企業等で働いているのが28.7%,障害者のための通所サービスの利用,11.4%,上位に上がるということですが,家庭内で過ごしているというのが,これは,例えば,年齢の高い方とか,そこら辺がやはりクロスさせて,これだけ家庭内で過ごしているというのはどういう人かなと思って,例えば,身体障害で年齢が高い人は多分そういうふうになるのかなと思いますし,それで,その場合に情報をどこから手に入れているかといったら,これはテレビやラジオとか,そういうふうになると思うのです。発達障害の人でも行き場がなくて自宅にいらっしゃればそうなっちゃうということで,ここら辺のことをもしおわかりになれば,簡単でよろしいですから,教えていただければと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 一応全部合わせてにしたいと思います。

【高見障害者学習支援推進室長】
 はい。

【宮﨑座長】
 ほかに御意見・質問あれば。
 どうぞ是松委員,お願いします。

【是松委員】
 是松です。これは主にメディア・学習拠点活用経験と今後のニーズのところで,ページでいうと7から9ページですか,特徴的なのはやはり学習拠点というか,学習のメディアが自宅での学習活動,テレビ・ラジオ,インターネットというのが圧倒的に多いということは,先ほど田中先生も少しお話になっていましたけども,障害者の特性としては仕方ない結果なんだろうなとは思います。ただ,自宅での学習活動とテレビとラジオ,インターネットは,何かこの自宅の学習とテレビ,インターネットというのはどうも同じような感じがするのですが,どういう区分になっているか分からないところなのですけども,いずれにしても,テレビやラジオというのは,一時放送教育ということでNHKはじめ放送局かなり力を入れていましたから,放送教育の中での学習というのを一つメディアがあるだろうと思うのですが,最近やはり特徴的なのはインターネットだと思います。放送教育だともう一方的に送り手からの学習内容しか学べませんけども,インターネットですと,むしろ自分から検索して様々な学習内容に入っていけるということで,今後インターネット等の更なる学習内容の充実というのを,インターネットを使った学習の充実というものも放送教育と併せてやっていかなきゃいけないだろうなと思います。ただ,これは飽くまでやっぱり自宅での個人の孤独な学習だろうと思います。やはり学習というのは共に仲間がいて,集団がいて,その中で学んでいく,それから,様々な人々といろんな話合いをしながら自分の世界観や考えを高めていくというのが学習のあるべき姿だと思いますので,この左の3つのグラフ以外にあるグラフの内容をいかに高めていくかということが今後の課題になるのだなと実感したところです。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 山田委員,何かございますか。

【山田委員】
 山田です。ちょっと興味があった9ページのニーズのところですけれども,ここが年齢別に分かれておりますけれども,我々が今まとめようとしているところは移行期のところが多いと思うんですけれども,オールドとか,年齢の結構高い方にもすごい学習のニーズが出ているというところをこの報告書の中にどのように反映していくかというところがちょっと大事かなと思いました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 皆様からいろいろ御意見,御質問に近いものもでましたので,事務局から何かコメントをお願いします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 田中先生からいただきました家庭内で過ごしている方の年齢別,ライフステージ別というのも実はクロス集計が速報値なんですけれども,ございまして,ちょっとお出しはしていないんですけれど,それを見ますと,御指摘のとおり,55歳以上の方というのが突出して多くなっているという状況がございます。そこに向けまして若い段階から徐々に上がっていくといいますか,年齢が上がるにつれてこの家庭内で過ごしていると回答する方の割合が高くなるという傾向が見られます。
 本日お出ししているものは説明し切れるものといいますか,わかりやすくお示しできるところをまずお示ししたという速報値でございまして,次回も含めて今後もう少しほかにございますクロス集計も含めて御説明はしていきたいというふうに考えております。

【宮﨑座長】
 はい。あくまでも速報値ということで全体を見て,またこのアンケート結果を念頭に置きながらほかの今後の検討に寄与していくような仕組みになればいいなというふうに思います。
 それでは,続いての説明に移りたいと思います。諸外国の大学における知的障害者の受入れについて,岸本外国調査官がいらしておりますので,御説明をお願いします。よろしくお願いします。

【岸本外国調査官】
 調査企画課で外国調査官をしております岸本でございます。障害者学習支援推進室からの依頼によりまして,添付資料の3にあります6か国の大学における知的障害者の受入れについて制度面を中心にインターネット等による調査を実施しました。
 最初に,調査結果の概要を申し上げますと,アメリカは知的障害者の大学受入れに関する支援策を持っておりますけれども,そのほかの国々におきましては知的障害に特化した施策は見られませんでした。もう少し詳細に申し上げますと,アメリカ以外のイギリス,フランス,ドイツ,中国は障害者に対しての門戸は開かれているのですが,一般学生と同様の試験を合格した場合には入学を認めるというものでございます。入学後のケア等は手厚いところが見られるんですけれども,入学そのものにおきまして障害者の受入れ枠を設けるといったことは行われておりません。韓国につきましては障害者全般の受入れ枠というものを設けております。しかし,知的障害者に特別の枠を設けるということはございません。ただ,障害者の受入れについてはアメリカと同様積極的な方だということが言えるかと思います。
 以下では資料に沿いまして知的障害者の受入れに関して制度的に充実しておりますアメリカを中心に御説明申し上げたいと思います。
 まず,1ページ目の背景・経緯・制度的枠組みとでございます。アメリカの大学における知的障害者政策に関する重要法令は,1973年のリハビリテーション法と1990年の障害のあるアメリカ人法の2つです。前者は連邦の財政支援を受けた全てのプログラム,サービスにおきまして障害を理由とした差別を禁じております。さらに後者は相応の措置をとることでプログラムへの参加とか,サービスの享受が可能な障害者に対する障害に基づく差別を禁じました。さらに,知的障害者の大学での受入れにより積極的な役割を果たしましたのは2008年の高等教育機会法です。この法律では連邦奨学金規定の改正や,新しい事業の創設,大学内の連絡調整部門の設置などを規定して大学における知的障害者の受入れを促進しました。この高等教育機会法に基づく受入れのモデル事業は,現在第2期に入って48プログラムが全米の大学で展開されています。
 続きまして,2ページ目でございます。受入れの規模・実態ですが,知的障害者の大学での受入れ規模・実態につきましては,州立のマサチューセッツ大学が連邦教育省と連邦健康福祉省の補助金により実施しております知的障害者の大学受入れに関する促進プロジェクト,シンクカレッジといいますけれども,このプロジェクトが調査してインターネット上でデータを公表しております。このプロジェクト,シンクカレッジによりますと,高等教育機関で提供されている知的障害のある学生の受入れプログラムというのは,オクラホマ州とウエストバージニア州を除く48州にある254の高等教育機関で合計262プログラムが提供されています。このうち4年制で提供されているプログラムが最も多くて148,次いで2年制大学の96プログラムとなっております。
 3枚目の最後にあるプログラムの就業年数,受入れプログラムの就業年数をみると,2年プログラムが一番多くて94プログラム,次いで学生の状況によるというのが70プログラムです。4年プログラムは28プログラムです。
 さらにこのプロジェクトのシンクカレッジで4年プログラムと2年プログラムの個々の規模を見ますと,ほとんどが20人以下ということで非常に規模が小さな状況でやっているということが言えます。
 以下では基本的にこのシンクカレッジにあります4年プログラムと2年プログラム,合計で122の個別情報の分析に基づいて報告します。
 2ページ目の受入れている知的障害者の層ですが,多くのプログラムで志願者の要件となっていますのはハイスクールの卒業者で,一般の課程の修了者に授与されるのとは別の修了証の取得者であるということ,そのほかに年齢制限とか,居住条件などが設けられています。各プログラムの願書,これは大学のそのプログラムに直接入って確認したものですが,数時間にわたって自立的に活動できることとか,第3学年程度の読解力を持っている等の一定の能力を有していることを求めている場合が多いようです。ただし,プログラムによっては重度の知的障害を主たる対象としていることを明示している場合もございます。
 次に,学習集団,専用のクラスかインクルーシブに交流するかという点でございますが,多くのプログラムはプログラム在籍者のみの授業を設けております。が,ほとんどのプログラムはそれと同時に一般学生との交流機会も用意されております。1つの単体のプログラム全体に占める在籍者のみの時間の比率を見ますと,最も多いのが25%未満,逆にいいますと,プログラム全体の4分の3の時間は一般の学生とともに学んだり,あるいは活動したりというケースが多いようです。すなわち,在籍者のみの授業を核としつつもインクルーシブな環境で学ぶということが一般的であると見られます。ただし,2年制のプログラムの中にはプログラム在籍者のみの授業がないというものが結構な数あります。これは多くの場合,ハイスクール在学者が,4年制ハイスクール在学者の後半2年間をコミュニティカレッジ等で過ごす二重登録プログラムの応用編として,同プログラムを知的障害者の受入れに使っているケースということが言えます。
 次に,学生の身分,学生か聴講生かということでございますが,4年プログラムにおきましては聴講のみを認めているというケースが多いです。それから,2年プログラムは単位取得と聴講の双方を認めているということが多いです。
 3ページでございます。学習のねらいで,学位取得か資格,あるいは履修証明かという点でございますが,4年プログラム,2年プログラムの計122のプログラムの全てを調べたところ,いずれについても学位に直結するプログラムはございませんでした。ただし,これはプログラムの修了という点についてでありまして,プログラムの修了後,独自に大学の規定に沿って単位等取得すれば,学位に結びつくので,ここで申し上げているのは,受入れプログラム自体の状況でございます。それから,多くのプログラムは修了者に対して資格あるいは修了証を授与しているんですけれども,その性格はプログラムによって異なっております。すなわち,大学が認めた資格・修了証である場合と,大学としては承認していない,すなわち当該プログラムが独自に授与しているという場合がございます。
 次に,授業形態ですが,通学しているか,あるいはその生活施設を拠点にしているかということについて,4年プログラムの場合は多くは大学内か,あるいは大学の外に生活の施設を有していることが多いです。これに対して2年プログラムについては半数以上が生活施設が用意されておりません。したがって,通学制ということが言えます。
 次に,入学者の選考方法ですが,多くのプログラムに共通しているのは,志願者の情報とか職歴,学歴等を内容とする願書と,それから,入学後に学びたいことなどを記したエッセーなど,非常に多様な材料を総合的に判断して決定するということです。プログラムによりましては二,三通の推薦状を求めている場合,あるいはハイスクールや職場などでの本人の観察,それから,関係者との面談等を実施している場合もございます。通常の大学ではアドミッションオフィスというところが多様な情報で入学者決定を行っていますけども,やり方としては非常に近いように思います。
 それから,履修する科目ですが,いずれのプログラムにも自立した生活と就職を目的とするものであって,そのための学習を核として,これに加えて一般学生が履修する科目も履修しているという状況のようです。通常は各学生のニーズに合わせた学習計画が定められるようですが,多くの場合はインターンシップとか,サービスラーニングなどの実地で学ぶ機会が設けられています。
 それから,授業料の有無ですが,4年プログラム,2年プログラムとも一般に有償です。4年プログラムは1万5,000ドルから2万ドルの範囲,それから,2年プログラムは5,000ドル未満の範囲で設定しているところが多いです。それから,特徴的なのは授業料とは別に手数料というものが課されているケースが多く,プログラムによっては1万ドル近い手数料が課されているプログラムもございます。
 最後に,知的障害者を受け入れる大学にとってのメリットというものもお題として頂戴しましたので,いろいろ調べたのですが,政府の公的見解というものはございませんでした。ただし,アメリカの大学の場合,一般に多様性をその大学の強みとして捉えることが多く,知的障害者の受入れも多様性を高めるものとして捉えているものと思われます。
 以上で調査結果の報告を終わりたいと思います。

【宮﨑座長】
 岸本調査官,ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明について御質問・御意見のある方はどなたからでもどうぞお願いいたします。

【松矢副座長】
 松矢でございます。とても知りたいなと思っている情報で,ありがとうございます。
 それで,アメリカの場合,私が注目しているのは,アメリカは移民の国ですから,中等教育の修了が,多くは22歳まで中等教育を受けられますね。23歳というところもあるんですけど,その中等教育の期間で大学で学ぶというのをボストンなんかではやっていたと思うんですね。で,どういうふうに選抜しているのかというと,ハイスクールの先生が推薦を書くということで,人数もそこにあるように少ないと,だから,全て開放されているわけではないということが分かりました。恐らく中等教育と絡むと授業料などはかなり安いんじゃないかと,移行支援計画との関係で多分授業料の徴収というのは,公教育のハイスクールは無償だと思うので,ほとんど,それがあると,要するに,アメリカはその23歳までの中等教育のところで比較的大学で交流したいとか,そういう希望の人たちがいて,で,そんなところから大学が積極的に,要するに授業料を徴収して,そういうニーズがあるならばというのもどんどん進んでいったんじゃないかなというふうに推測しているんですけども,やはりアメリカの場合,授業料は相当高いと思うんですね。ですから,そういう意味では生涯学習,要するに公的な保証に基づく学校卒業,中等教育修了後の学びという点ではちょっと異質かなという感じはしながらも,ただ,大学で知的障害,発達障害の方々が学ぶ機会があるというのはやはり大いに注目すべきだなという感想を持ちます。

【宮﨑座長】
 はい,どうぞ。

【田中(良)委員】
 愛知の田中です。どうもありがとうございました。私の周りでというか,今いろいろ詳しく各国の知的障害者の懸念についていろいろ調べていただいて,御報告いただいて,より細かに分かりましたというか,というのは,私どももこの間学会で報告したりやっているんですね。1人は今慶應義塾大学の大学院博士後期課程にいる方で,ハカタさん,それと,私が半ば指導してきたといっていいかな,ミズノさんと言って名古屋市立大学の大学院の博士号を持った方,この人たちを中心に外国のことを今実は,特にアメリカなんですね,調べていただいていまして,ほかの国のことは何となく聞いていて余り進んでいないな,アメリカは2008年の高等教育機会法が改正されてそれ以降急速に進み始めたというのは聞いていたんですけども,そういうことで,今日は他の国の状況も詳しく教えていただいて大変参考になりました。
 少し私的なことになりますが,後期中等教育,特に3年間でなくて専攻科含めた5年間を終えて,更にもっと学びたいという知的障害,発達障害の人たちに応えて今から5年前,2013年の10月に見晴台学園大学というのをつくったんですね。そのときにまた外国がどうかということは全然知らなかったんです。で,やっぱり私大学に長いこと勤めておりましたし,それから,オープンカレッジも10年間やってまいりました。そういう中である条件・制度整えば可能なのではないかと思って,それをやはりすぐに一般の今の大学で証明するのは結構難しいと思いますので,NPO法人の自由な立場で少し実績というか,実験,実証的にあれしながら日本の状況に適した形で,という形で進めてきておりまして,名古屋大学の現職の先生とか,大学を経験している先生たちに実は教えていただいているんですけど,全く未開的なところなんですね。いろんなところに突き当たったりします。実は来週もそういうことで皆さん集まっていただいて,教育研究委員会,運営委員会とやっているんですけど,その1つの議題は何かというと,やっぱり多様な子が出てきて,最近の1つのカリキュラムで単位を取ってという形だけではうまくいかなくなってきているんですね。そういう意味では今日,この後論議になると思うんですが,障害者学習推進支援室から送っていただいたこの案の中に入っていますが,やっぱり外国のそれを見てみますと,大きくですけど,2つの方向がありますよね。1つは,一般の学生と一緒に単位を取って卒業もしていけるようなものと,そうではなくて,そこにちゃんと在籍しながらも生涯学習的にそこに同年代の人たちと一緒に学びながら社会性,あるいは興味関心のある文化芸術,教養を学んで出ていく。だから,それは我々が言う一般の大学卒という資格にはならないんですけれども,そういう形でやっぱり大学の中に生涯学習的なところが一応占めていくんだということをこの間学んでおりまして,今度来週のいろんな学生が出てきたのにどう対応していこうというときに今日いただいた資料なんかをもとにしながら,実践的にですけれども,少し進めていきたいなということを改めて教えていただきました。ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 ほかにありますか。よろしいですか。
 どうぞ山田委員。

【山田委員】
 非常に外国の状況はよくこれで分かるんですけれども,この表の中に日本はこれに入れたらどういう形になるのかというのが分かると,そんな詳しくないものですから,アメリカと比較して日本はこうなのかというのがあると,わかりやすいのかなと思いますので,もし整理ができるんだったら,今度のときにお願いします。すいません。

【宮﨑座長】
 要望ということで。はい。
 アメリカの2008年の高等教育機会法で考えられている受入れの体制というか,私もちょうどこの頃,カリフォルニアを中心に見て回ったので,状況を少し理解しているんですが,基本的にはここに書いてあるような受入れの体制の問題,それから,受入れに当たっての学習能力のこと,それから,身分をどうしているかというあたりは非常に私どもやっぱりきちんと考えておかなければいけないことなのかなと思った次第です。それぞれ独自のプログラムを持って対応しているので,かなり幅が広いということで,学位を取るということを念頭に置く,どうもそういうことではなさそうだというのが実体的にはあるかなというふうに思った次第です。改めて貴重な資料をいただいて,今後の議論に生かしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは,障害者の生涯学習の推進方策報告案について議論を始めていきたいと思います。
 初めに,事務局から報告案についての説明をお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長】
 それでは,お手元の資料1-1と1-2に基づきまして御説明を申し上げます。
 まず,1-1,報告の構成案を御覧ください。
 論点整理の段階から大きく第1章の背景の部分,それから,第2章の生涯学習推進の方向性といった中で社会像ですとか,特に重視すべき視点,こういったところの加筆をしているということ,そして,第3章といたしまして,障害者の生涯学習を推進するための方策ということで具体的にどのように進めていくのかといった点について整理をいたしましてお示しをしております。
 まず,第1章の部分でございますが,背景といたしまして,本有識者会議において障害者の生涯学習の推進方策を検討していることにつきまして,この意義の確認と障害者の学びを取り巻く現状と課題について記載をしたいというふうに思っております。
 第2章といたしまして,こちらは政策の大きな方向性を見据えるということで,目指す社会像と特に重視すべき点をまとめまして第3章の議論につなげていくということで考えてございます。今回の会議におきましては第3章の3ポツ,障害に対する理解促進というところまでの部分につきまして御議論をいただいて,4ポツ以降は次回の1月の会議において改めて御議論をいただくということでお願いしたいと思っております。
 それでは,資料1-2を御覧ください。
 1ページ,第1章の1,障害者の生涯学習推進の意義,(1)番,障害者をめぐる社会情勢の進展におきましては,障害者権利条約の批准に至ります過程で障害者基本法の改正等の国内法の整備ですとか,制度改革が一挙に進められたといったこの経過について,また,その中で特に教育分野につきましてはインクルーシブ教育システムの構築の理念を踏まえた教育制度の在り方等について議論がなされたこと,平成24年の中央教育審議会初等中等教育分科会の報告が取りまとめられまして,それを踏まえた制度改正が行われてきた経過を記載してございます。
 1枚おめくりいただきまして,2ページですけれども,平成25年に策定をされました第3次障害者基本計画には障害者の生涯学習という文脈での記載はなかったんですが,平成29年の大臣メッセージ,また,文科省における取組の開始に伴いまして平成30年の3月に策定をされた第4次計画においては生涯を通じた多様な学習活動の充実ということで明示的に盛り込まれたという経過について記載をしてございます。
 (2)「共生社会」の実現の必要性という部分ですけれども,先ほど申し上げました24年にまとめられた中央教育審議会の報告におきましてこちら共生社会の理念につきまして丁寧に説明をしているという文脈がございましたので,その旨を記載してございます。また,併せて平成27年に国連において採択をされました持続可能な開発目標という,いわゆるSDGsですけれども,ここにおきまして教育がグローバル目標の1つとして位置付けられ,全ての人に包摂的,公平で質の高い教育を提供して生涯学習の機会を促進するというふうにされている旨をまとめております。その後,今後の社会の展望といたしまして,人口減少ですとか,人生100年時代と言われますけれども,長寿化が進みます。こういったことでSociety5.0の実現が提唱されているような時代におきまして,障害の有無にかかわらず,一人一人が生涯にわたり学びを通じてその能力を維持・向上し続けて,その成果を個人の生活や地域での活動に生かすことのできる社会の実現に向けた方策も総合的に検討する必要性があるということで述べております。
 3ページ目の2ポツ,障害者の学びを取り巻く現状と課題ですけれども,本有識者会議においてこちら論点整理から変更ございませんが,障害者の定義としては障害者基本法第2条の規定に従って捉えること,それから,(1)以下は先ほどの当事者のアンケート調査も含めましてこれまでに行った実態調査・アンケート調査の結果についてまとめてお示しをし,この現状と課題を語っていきたいと思っております。
 (1)に先ほどのアンケート調査の結果を述べたいと思っておりますが,こちらは何よりも障害のある方御本人の実態ですとか,意向が検討の規定にあるべきと思っておりまして,まずはこのことについて記載をしたいと。
 また,(2)は学習機会の提供側の実態といたしまして,昨年度実施をいたしました都道府県市区町村特別支援学校への調査,それから,大学等での公開講座の提供状況ですとかについても調査をしておりますので,その実態についても併せてお示しをしたいと思っております。
 また,1枚おめくりいただいて4ページには今年度の調査研究の中で実施をしているところですが,公民館や生涯学習センター等への調査,それから,都道府県や市区町村の障害福祉サービスの一環ですが,地域生活支援事業の御担当者への調査,こういった調査結果についても記載をしてまいりたいと考えております。
 また,(3)番ではこの間,秋に行ってまいりました関係団体のヒアリングや意見募集の中でも現状と課題に関する指摘がございましたので,そういったものも合わせてこの中で御紹介をしていきたいというふうに思っております。
 (4)番は少し離れますが,内閣府が行いました障害者に関する世論調査というものがございますので,その内容について今概略をお示しをしているところでございます。
 次に,第2章ですが,障害者の生涯学習推進の方向性ということで,目指す社会像を「誰もが,障害の有無にかかわらず共に学び,生きる共生社会」とお示ししております。こちらにつきましては,共生社会について先ほど御紹介しました中央教育審議会の中での定義といいますか,説明ですとか,あるいは障害者基本法の1条の中でも共生社会に関する説明があるんですけれども,これを学びの観点から説明するとどうなるかということでかみ砕いてこのようにお示しをしております。
 これを,このような社会像の実現に当たって特に以下の点が重要だということで,5ページ目ですけれども,(1)番,障害者が,自立や社会参加に向けて,学び続けることのできる社会であること,こちらの論点整理のときにもお示しをしておりますが,ライフステージ全体を通じて本人が希望する学習を主体的・継続的に行うことができるような条件整備を行っていく必要性について書いてございます。
 また,(2)番,こちらも重要な視点ということですけれども,障害者が,健康で生きがいのある生活を追求することができ,自らの個性や得意分野を生かして参加できる社会であることといたしまして,この中では,下の方ですけれども,2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を大きな契機の1つとして捉えて,スポーツや文化芸術活動も含めた学びを推進していくことなどについて述べております。
 おめくりいただきまして,6ページでございます。こうした社会像を見据えた上でこの障害者の生涯学習推進において特に重視すべき視点として4点挙げております。
 論点整理のときから1つ順序を変えておりますのが,1番目にこの本人の主体的な学びの重視ということを挙げております。障害当事者の間で「私たちのことを私たち抜きで決めないで」という考え方が大切にされているということに触れながら,本人の学ぼうとする意志を出発点に,本人が学びたいこと,課題を自ら発見して取り組む学習となるようにすることが重要であることなどについて記載をしております。
 また,2点目といたしましては,学校教育から卒業後における学びへの接続の円滑化ということで,生涯にわたって学びつづけられるようにこの視点も大事にしたいということ。
 (3)番といたしましては,福祉,労働,医療等の教育学習以外のこういった分野との連携の強化ということで記載をしております。
 そして,4番目に,こちら追記ですけれども,障害に関する社会全体の理解の向上ということで,こういった障害者の学びの推進のための環境整備をしていくに当たりまして,社会全体の意識といいますか,障害に関する理解を深めるということであったり,何に困っているのかとか,どういった配慮をしたらいいのかとかいう理解を向上していく必要性についても重視すべき視点として掲げております。
 次に,第3章でございます。
 障害者の生涯学習の推進方策についてですけれども,1ポツの(1)番では学校から社会への移行期の学びといたしまして,知的障害等の障害のある方の中には学校卒業後においても学び続け,生活や就労の基盤となる力を身に付けたいというふうに考える方もいらっしゃいますが,卒業後の継続的な学びの場が少ない。そうした現状において自立訓練事業等と連携しながら学びの場をつくる取組が最近増えてきているというような状況についてまず述べています。
 その上で7ページ目,1.番ですけれども,学校教育段階からの将来を見据えた教育活動の充実ということで,まず1つ目が学習指導要領を踏まえた取組の推進を図る必要性について記載をしています。特別支援学校小・中学部の学習指導要領でございますが,高等部は現在作成中というところですので,まず,小・中学部の指導要領には生涯学習への意欲を高めること,社会教育等様々な学習機会に関する情報提供に努めること,生涯を通じてスポーツや文化芸術活動に親しみ,豊かな生活を営むことができるよう配慮すること,こういったことについて規定がされております。このことを踏まえて在学中から地域の社会教育施設等における学習機会に関する情報提供を行うことなどによって学校と卒業後の学びの継続,連携を図る重要性について指摘をいたしまして,そのための具体的な手法といたしましては,地域学校協働活動の中で地域の資源に関する情報収集や整理を進めることですとか,教員が指導する際に参照できるような資料を国の実践研究事業の中でモデル開発をすることなどについて述べております。
 8ページ目ですけれども,特別支援学校における卒業生のフォローアップといたしまして,これまでも各学校の御判断で実施してきていますこの卒業生のフォローアップの有効性についても研究をいたしております。
 次に,2.番,移行期に求められる学習内容といたしまして,こちらはおおむね論点整理でお示ししている内容に沿った内容になっておりますが,ヒアリングですとか,意見募集の中でも指摘がございました性に関する学び,それから,防犯教育につきまして特に重要と考えられる学習内容を9ページの上の方に追記をしたところでございます。
 また,3番ですが,学校卒業後の組織的な継続教育の検討といたしまして,これまでも検討を進めてまいりました障害福祉サービスと連携した学びの場作りということに加えて,先ほど資料3として御説明をいただきました諸外国の状況も踏まえて,こちらは10ページに加筆をしておりますけれども,大学における障害者の学びの場作りについて記載をしております。先ほど田中委員からも御指摘がありましたけれども,いわゆる学位取得までを目指す学生として大学に入学する方についても昨今急激な増加をしているという状況がございます。その中で不当な差別的取扱いの禁止ですとか,合理的配慮に関する大学等の取組の促進を図るという取組を進めてきておりますので,そういった取組を進めることで障害のある学生の就労移行の円滑化による社会進出の促進を図る重要性についてまず述べております。そのうちの知的障害のある方のニーズを踏まえた対応の1つといたしまして,大学における学びの場作りを挙げて公開講座等の機会の提供などによって大学が知的障害者の学びの機会を継続的につくることについてこちらも国が実践的な研究を行うことについて求めるという内容で構成をしております。
 11ページでございます。次に,(2)番,各ライフステージにおいて求められる学びの部分ですけれども,こちらに関しては1.番の各ライフステージで求められる学習内容の冒頭の部分でございますが,親元からの自立を見据えてどのような障害があっても必要な支援を得ながら地域において自立して生活できるようになることを見据えて学びの場作りを推進するんだという必要性について指摘をしております。
 その後,2.番のところまでは論点整理でまとめた内容を生かしまして,13ページの3.番ですけれど,こちらに関係団体からのヒアリング等を踏まえまして,障害の特性を踏まえ特に考慮すべき事項といたしまして記載をしております。それぞれの障害に着目をしたときにどのような観点からの学びの場作りが求められるのかといった視点で視覚障害,聴覚障害,発達障害,精神障害,重度障害,難病患者の学びということでヒアリング等でいただいた内容を踏まえながら特に留意が必要な事項について記載をしてございます。
 15ページでございますけれども,2ポツといたしまして,障害の有無にかかわらず共に学ぶ場作りとして,ここから続きますが,16ページにございます(1)番,生涯学習分野における合理的配慮の在り方についてこちらは国が調査研究を通じて明らかにしていくことが必要だということ,それから,17ページの(2)番では多様な形態の「共に学ぶ場づくり」としてヒアリングをいたしました佛子園も参考にして多様な人の地域社会への参画による共生地域のモデルの普及,それから,障害のある方が働くカフェのように就労の場が住民の交流ですとか,相互の学びの場になる可能性を踏まえた取組の推進,それから,障害の有無にかかわらず一緒に親しめるスポーツレクリエーションの推進等についてまとめております。
 (3)番,多様な社会参加の在り方の提示というところですけれども,こちらは障害のある方にとって企業への一般就労というのが最良のゴールということで一律なのではなくて,それぞれの方の個性を生かして多様な形で社会に参加していく選択肢を増やしていくことが大事なんだというメッセージと社会参加の在り方の一例をお示ししたいということで構成をしております。
 最後になりますが,18ページ,3ポツ,障害に関する理解促進の文脈ですけれども,ここまで述べてきた「誰もが,生涯の有無にかかわらず共に学び,生きる共生社会」の形成のために何よりも社会における障害の理解を一層進めていって,もっと身近に障害の有無にかかわらず交流をして共に活動するような環境の醸成をしていくことが必要なんだという問題意識から,まず,(1)番,学校,教育委員会が中心となった「心のバリアフリー学習」を,これまでも進めてきているところですけれども,引き続き一層充実を図っていくことが大事なんだということ,(2)番として,多様な主体と連携した障害理解ということですが,まずは地方公共団体,障害のある方が一番身近にいらっしゃる地方公共団体の担当者の障害に対する理解促進を図っていくということ,また,そういった方を巻き込みながら,国において来年度構築を図ろうとしている全国各地のブロック別のコンファレンスにおいて関係者が集い考える必要性等について記載をしております。
 今回まずこのところまででございまして,19ページには1月開催予定の第14回会議において具体的に御議論いただきたいと思っております項目についてのみお示しをしております。具体的な施策の4ポツとして,障害者の学びを推進するためのシステム作り,基盤の整備というところでは,実際に国が何をやっていくべきなのか,都道府県や市区町村に求められる役割が何なのか,それに加えまして特別支援学校や大学,社会福祉法人,NPO法人等の民間団体に期待される役割についてまとめていきたいというのが4ポツでございます。加えてこの有識者会議における検討で全てを語り尽くせるわけでもないというところもあるかと思いまして,こういった課題について更に検討を深める必要があるということについて第4章の中で述べていきたいということで構成を考えているところでございます。
 御説明は以上なんですが,皆様に事前にお送りをしまして御意見を頂戴しているところなんですけれど,その内容から少し加筆をさせていただいている関係で一部皆様からいただいているペーパーのページ番号とずれている可能性もあるんですけれども,御了承いただければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。事務局で大変御苦労して,おまとめいただきました。
 ただいま報告のありました案につきまして委員の皆様に事前にお送りして,更に加筆修正を加えていただいているわけですが,前のものの御指摘・御意見を事前に提出していただいております。本日はこちらの机上配付資料に基づいて各委員から御意見を頂戴したいというふうに思っております。なお,少し時間が押してまいりましたので,できるだけ発言は簡潔におまとめいただきますようにお願い申し上げます。
 それでは,第1章の第1に関して御意見をいただきたいというふうに思っております。この部分については朝日委員から御意見が出ておりますが,朝日委員。

【朝日委員】
 第1章の第1ですか。

【宮﨑座長】
 はい,お願いします。

【朝日委員】
 私の意見の1で,2ページとあるところが実際新しい方では3ページの5から6行のところです。3ページ目の5行目からのところですけれども,ここの表現の問題なんですけれども,(2)「共生社会」実現の必要性という項目の最後の結論としてはちょっと弱いなというのが意見です。検討が必要なんですよというのではなくて,共生社会を実現するのは必要なことなんですよと。国や主語は何なんだろうということで,国はその実現に向けた方策について総合的に検討し,自治体は全ての国民がその実現に寄与できる仕組みを地域の実現に応じて構築していく必要があるという,ちょっと力強い書き方にしたらどうかという提案です。
 以上です。

【宮﨑座長】
 はい,ありがとうございます。3ページの4行にわたって書いてある最後のところを少し強めにしたらどうかという御意見でした。
 それでは,ほかにこのことに関して皆さんからあればお願いします。3ページのところまでを何かありましたらお願いしたいと思います。1の1についてまず,細かな文言に関する御指摘でも結構でございますので,お願いいたします。
 第1章の1,2に関して,朝日委員から1章の1についてありましたけれども,2については特に皆様から何か御意見は頂戴していないんですが,2も合わせて第1章全体の考え方等でございましたらお願いしたいと思います。2章の2に関しては今回のアンケート調査等,それから,29年度に実施したものと今回のものと合わせてまず実態調査,報告をするということで,そのほか世論調査が入るわけですけど,ここは加えてみないと分からないですね。特に第1章よろしいでしょうか。とりあえずは……。

【松矢副座長】
 いいですか。

【宮﨑座長】
 どうぞ。

【松矢副座長】
 後の方の障害特性のところと関連するし,これまでの討議のところでも出たんですが,障害特性のところでは知的障害を出していないんですよね。ただ,障害者の学びを取り巻く現状と課題の中でこの障害者基本法を引き出して障害種別をやっているんですが,例えば,特別支援教育を受けている児童生徒の多くが知的障害か知的障害の重複が多いというところを指摘しておいた方がいいんじゃないかと。要するにここのベースは,生涯学習で一番機会が少ないのはそういう学校卒業後というと,やっぱり知的障害者が多いというところをどこかで言っておきたいと。ただ,特性というところはこの議論の中では特に視覚障害とか,聴覚障害,それは合理的配慮との関係であったと思うので,知的障害の場合にはもうある意味ではほとんどがそこに入っているという,視覚障害も聴覚障害も今結構知的障害との重複が多いわけですよね。だから,そういったことをちょっと触れておいて,ここの机上ではやっぱり知的障害を持っているという方々の範囲が大きいというところは実態として,せっかく実態を挙げているので,しておくと,このさっきの特性のところ,抽出のところ,知的障害出てこなくても多くの方が納得するんじゃないかなという気がいたします。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 ここの書き表し方を少し留意する必要があると思いますが,今の松矢委員のお考え,そうだろうなというふうに思ったところで。
 それでは,第1章についてはこのぐらいにして,第2章の障害者の生涯学習推進の方向性について検討したいと思います。
 まず,2章の第1の目指す社会像のことに関しては朝日委員と津田委員から御意見が出ています。
 朝日委員のお考えをお願いいたします。

【朝日委員】
 私の意見の2枚目に書いた4ページというのが5ページの5から6行になります。本当に,5ページの5から6行目に当たるところですけれども,この定義付けが大変すばらしいと,できれば太字にしてほしいというような意見です。あとは2章の1だけです。あればそこまでですかね。

【宮﨑座長】
 はい,そうですね。

【朝日委員】
 以上です。

【宮﨑座長】
 はい,ありがとうございます。
 津田委員の御意見に関しては事務局からお願いいたします。

【星川障害者学習支援推進室長補佐】
 津田委員からはこの部分について2点御指摘をいただいております。
 まず,5ページの3行目にございます「心のバリアフリー」というところに関係してでございます。「心のバリアフリー」の政策動向の関係も気になります。学校教育中心で会議が進められているようですが,学校の持つ限界を超えるためには,生涯学習の側からの働きかけが重要だと思います。この分野を扱うのに,福祉教育という語が入っていないことも気になります。道徳教育の文脈に落とし込まれてしまわないようにするためには,学校教育以外の分野の文脈も主張しておく必要があると感じます。具体的には,例えば「各地で展開されてきた優れた福祉教育実践に学びながら,障害者を一方的に「教材化」することがないように留意しつつ,障害者との生活に根ざした人格的な出会いを創出することで,単に「思いやり」を育てるだけでなく,障害者との関係の背後にある障害者問題,社会福祉課題に気づくことができる学びの支援方策を検討する。」(ここは管轄外なんだろうと想像していますが)ということが1つ。
 また,次に,P5,1,(2)あたりにかかわってということで,5ページの後半部分にございます(2)全体についてでございます。総論としてはよいのですが,障害者文化芸術振興法に関わる動向との連携が気になっています。この法律の趣旨の実現に当たって,生涯学習の観点がどの程度,どのように反映されるのかというあたりのことです。生きがいという観点で機会を増やしていくというだけなら教育的観点は余り必要ありませんが,文化芸術活動の人間形成機能に着目すれば,活動のプロセスをどう支援していくかということが重要だと思います。具体的には,すいません,ここも行数変わっておりますけれども,33行目,4行目ぐらいですけれども,「障害者が,一人一人の特性に応じて,学習・スポーツ・文化芸術等の得意分野の能力を開花させ,就労の場を含め,社会の中で誇りを持って活躍できる可能性を広げられるよう,多様な主体が連携して取り組むことが必要である。」をもう少し分節化して丁寧に述べるのがよいと思います。例えば,「ことさらスポーツ・文化芸術活動においては,心技体の修養を通した人格形成の機能が十分に発揮されるよう,活動プロセスを丁寧に支援していく体制が求められる。」といったような記述を追加していただくのは難しいでしょうかという2点御意見いただいております。
 以上です。

【宮﨑座長】
 はい,ありがとうございました。かなり突っ込んだ内容の御指摘・御意見も頂戴しております。今朝日委員,津田委員の御意見等も踏まえて皆様から何かありましたら,お願いいたします。

【朝日委員】
 すいません。

【宮﨑座長】
 はい,お願いします。

【朝日委員】
 たくさんしゃべって,すいません。朝日です。津田委員の障害者を一方的に「教材化」することがないようにという言葉は大変気付きがありました。今学校現場では,例えば,道徳の教科書には障害者を扱ったものがたくさんありますし,いろいろな教科書でも障害のある方たちを取り上げたものがあって,それは喜ばしいことだと単純に思っておりました。でも,こうなると,こういうふうに考えると,もう本当に「教材化」ということというふうに扱われてしまう危険性があるということは今回初めて知りましたので,ここは何らかの形で,「教材化」という言葉を残すのではなく,本当に人格のふれあいですか,それが大切だというのが何か生きるようにしてほしいなというふうに思いました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 確かに障害者観をどう規定していくかとか,考え方は非常に奥が深いというふうに思っておりまして,この問題だけでも相当語り尽くせない問題,問われている問題だというふうには思いますので,ここをどんなふうな取上げ方をするかは非常に難しいですよね。この「教材化」という言葉はちょっと重みがあるなというふうに思っています。
 それから,ちょっと余談になりますが,津田委員の中で特性に応じて学習・スポーツ・文化芸術の得意分野に開花させるという,このことの考え方などで出てきたことで,先日大臣表彰のときのパフォーマンス,例えば,石見神楽を見せていただいて,非常に施設の中で着実に身に付けてきていて,本人たちが日常的な活動の中に生かしていて,あれだけのパフォーマンスができるようなことになっているんだということを考えると,一概に何というか,ここに書いてあるものを私どもが述べることがいいのかどうなのかというのも含めて体制整備というのを国がこういうことがいいよということを,言うことがいいのかどうかというのもまた考えなきゃいけないなと思いながら,この文面はちょっと見ていたんですけど,これは何というか,活動の中身によって随分違いが出てくるのかなと思った次第です。これは皆さんで少し検討していただく必要があるかなというふうに思います。どうぞいろんな観点からお願いします。
 じゃ,細かく区切りながら進めているんですが,後で思いついたらまたどんどんお話をいただいていいんですが,2の1について細かな文言に対する指摘でも結構ですので,お願いできますか。
 とりあえず先に進めたいと思います。2章の2についての御意見をお願いできればというふうに思います。この部分については朝日委員から意見が出ております。すいません,丁寧に書き込んでいただいているので,ありがとうございます。

【朝日委員】
 私の意見,その3で5ページと書いてあるのは6ページの1行目です。とにかく一番上ですけれども,(1)本人の主体的な学びの重視,これが入ったことは非常にこの報告書の価値が深まったと言えるということですばらしいことだと思いました。そして,この最後の意見4ですけれども,6ページの30行から32行のところ,これは表現上の問題ですけれども,理解の向上を徹底というのは,徹底というと何か上から事故防止を徹底しろというようなことなので,理解というのはそういうものではないというイメージで書き方が変わった方がいいかなという意見なので,そこはもう事務局にお任せします。
 以上です。

【宮﨑座長】
 はい,ありがとうございます。

【山田委員】
 私もそこのところはひっかかっていて,やっぱり言おうと思ったんですけど,促進とか,推進とか,何か徹底はおかしいのだと思います。私も同じ意見です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 とりあえず3章まで行きます。今日は一通りなぞりたいと思いますので。3章の1についての御意見を確認をまずしたいと思います。朝日委員から複数出ております。お願いします。

【朝日委員】
 すいません,ここら辺は私が今回一番言いたかったところでございます。7ページの20行目です。1.学習指導要領を踏まえた取組,ここの項目全体に関わることでございます。ここの表記は大変すばらしい表記であります。ただ,学校教育が変わるためにもう一歩突っ込んだ議論が必要ではないかという意見です。この検討会もずっと終盤に差しかかって,あと数回で終わってしまうわけですけれども,いろんな議論はして,私たちはヒアリングで非常にすばらしい取組を見て,努力している自治体とか,団体の姿を見て,参加している私たちは非常にいい勉強になっているんですが,学校現場にどう降りるかというところです。学習指導要領に生涯学習や生涯を通じてという文言が入ったということは大変すばらしいのですけれども,更に突っ込んで考えると,ちょっと慌てて現行の学習指導要領を検索しながらやったところで,間違っていたら中村課長に訂正をお願いしたいんですけれども,例えば,知的障害の職業,家庭の中で余暇とか,余暇活動という言葉は,よく利用という言葉をもって余暇の活用の仕方を教えるというのはあるんですけども,生涯学習の中身を教えるというのはないわけですよね。総則の中で全体を通して生涯学習は大事だというのは書いてあるけれども,それは恐らく教員は多分読み飛ばして,読んだとしても,実際の授業のところではどうすればいいかと。家庭科の授業の中では余暇活動とあるから,余暇の過ごし方はどうしようと,勉強につながるわけですね。なので,職業,家庭というような学習指導要領の中に生涯学習や余暇活動という言葉が入れば,そこは教育の中身に突っ込められるんじゃないかと。高等部の職業とか,家庭が発表前なので,もし入れられたら入れてほしい。多分これは無理だと思うので,次の10年後を待てないので,できればそういうのを入れた指導資料とか,恐らくこれから解説とか,いろんな各教育委員会の説明のときに,余暇活動というのは単に余暇活動ではなくて,もちろん余暇活動も生涯学習の1つとして,更にということを,教育の中身として学校は取上げなさいというふうに,ここに根っこがあるんだよということを文科省からも言っていただきたいし,校長会もそれを浸透させなくてはいけないというのが1つ主張です。
 もっと何かいいのがないかなと思ったときに,個別の教育支援計画の様式で,特に個別移行支援計画,最後の高等部3年に出るときにいろんな都道府県で様式例が様々なんですけれども,余暇活動という項目があるんです。余暇地域生活の利用という項目があって,これは学校と保護者が卒業したら余暇活動をどうしようかねという話合いをするんだけれども,ここに生涯学習を入れれば,卒業するところで教員も家族も本人もこれって何だろうと,ところで,生涯学習って自分たちの地域に何があるんだろう,どこに聞けば分かるんだろうという意識改革の起爆剤になるのかな。ですので,今度の報告書が出るときに何か通知等でこの報告書が学校教育の中にどういうふうに生かされるのか,具体的には職業,家庭の教育内容,そして,移行支援計画,移行支援計画だけではなく,もっとその前からの学習の中で自分が将来どんな働き方をするかプラスどんな生涯学習をするかをきちんと学校の中で教える,そういった形に残る仕組みをつくっておかないといけないかなということでございます。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 ほかにありますか。今の点は8ページの移行期に求められる学習内容などと密接にかかわりますよね,朝日委員。

【朝日委員】
 はい。

【宮﨑座長】
 それで,今この最後のところを恐らく次回検討されるシステム作りとか,基盤整備の中の特別支援学校をはじめとした学校に期待する役割の中に今のような観点の考え方を入れる,それから,今モデル事業で生涯学習に向けた特別支援学校の役割について,何校でしたっけ,各県に投げている,委嘱しているんですか,あれは。

【高見障害者学習支援推進室長】
 都道府県や市区町村にも含まれていますが,18団体に対して委託をいたしまして。

【宮﨑座長】
 その中に特別支援学校はどのぐらいありますか。

【高見障害者学習支援推進室長】
 都道府県が……。

【宮﨑座長】
 で入っているところもある?

【高見障害者学習支援推進室長】
 そうですね,はい。4県ぐらいに対して委託をしていまして,特別支援学校と連携をしながらやっているというのが,秋田ですとか,千葉ですとかというところになっております。

【宮﨑座長】
 今朝日委員が言われたことについては是非そのモデル事業の中でこういう要望があって,次年度以降に考えていただくというのも可能性としてはありますよね。で,恐らく学習指導要領の解説,小・中学校版はもう出ていますし,高等部もかなり着々と進んでいらっしゃるんだろうと思いますので,朝日委員の要望が解説に出るというのがなかなか難しい,この時点では難しいのかなというふうには思いますので,これは次の展開として私どもの議論の中でどう反映させていくかというのはちょっと検討,移行期に求められる学習内容の中で少し中身を出していくというのも1つだろうというふうには思いますが,これは私の案ですけれども,何か中村課長ありますか。

【中村特別支援教育課長】
 朝日先生,どうもありがとうございました。
 小学部,中学部についてはこの7ページの24行目から27行目に書かれているようなことをきちんと規定をさせていただいたところでございます。また,その高等部につきましてもその系統性の観点から,ここの部分についてはしっかり学習指導要領にも書かせていただいております。なかなか言えないところがあれなんですが,もうすぐ公表させていただければと思っています。
 それで,先生,学習指導要領もほぼ方向性が整理できておりますので,解説書をもとにこれから説明会ということになってまいりますし,あと,いろんな協議会の場がございます。今日は御指摘・御指導いただきましたようなことについてはしっかり我々として教科調査官とも共有した上で整理をさせていただければと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 またこの書きぶりについては特別支援教育課とよくすり合わせをしながら書き込みをしていくことになるかと思いますので,その点はまたよろしくお願いします。
 次回等で期待される役割のところで是非御意見を更に深めて出していただけると有り難い。

【朝日委員】
 すいません。

【宮﨑座長】
 はい,お願いします。

【朝日委員】
 ついでに一言言わせていただきますと,学校の方はこういうふうに枠を決めると生涯学習って何だろうというふうに探し出す。問題は,地域にいいレストランが必ずありますよとか,カフェのお店がありますよと言ってもない地域もあるわけですから,だとすると,私たち学校の方が探したときに,やっぱりそれを紹介する自治体であるとか,それが紹介できる相談先であるとかが充実していかないといけない。もちろん学校もそうやって探す努力とか,子供に紹介する努力,卒業生のフォローアップの3年間,3年間終わった後は生涯学習があるよというふうにきちんと言ったときにここがあるというふうになっていってほしいというのが私の願いです。学校としてこういうふうにやっぱり働きかけるけれども,それは自治体なり,方へそれをまとめる中心のところ,前回の秋田のような取組があるといいなというふうに思っています。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 あと残された時間がちょっと迫ってまいりましたので,第3章の2と3について合わせて御意見を頂戴したいと思います。
 3の3については朝日委員,田中委員,それから,津田委員から御意見が出ています。朝日委員と田中委員については御本人から少し簡単に。

【朝日委員】
 私文言調整だけなので,結構です,はい。読んでいただいて。

【宮﨑座長】
 じゃ,田中委員,お願いします。

【田中(良)委員】
 津田委員の先ほどの御指摘だとか,朝日委員の御指摘とも重なるかと思いますが,というのは,17ページの3の障害に関する理解促進のところ,箇所です。私の意見としてここで書かせていただきましたのは,障害理解においては飽くまで障害者一人一人を人間として理解することが大切だと思っているんですね。木を見て森を見ないというか,ことのないように,特に障害特性,障害特性といいますと,今スマートフォンでも障害出てきますし,テキストも障害についていろいろ解説もあります。そういうふうで障害についての一般知識や理解もちろん大事なんですけども,それに合わせた形でこの人はこういうのに合っているかどうか,ちょっと違っているなとか,こういう見方って意外と多いんですよ,パターンにはめて。これはやっぱり警戒する必要があるというふうに私は,この間学生を指導したり,いろいろ現場にいて感じていることです。実はこの12月15日土曜日に大学連携オープンカレッジにて文科省の委託事業を受けているところで,第2回目だったんですが,共に学び,共に生きるというふうに7つの大学,短大一緒に,金澤翔子さんと泰子さん,お母さんを招いて席上揮毫講演会を行いました。実際にそういう姿を見て,しかも,この泰子さん,お母さんのお話を聞いて,翔子が,つまり,どういうふうに変わってきたか,育ってきたかみたいなところで,やっぱりああいう境地に達して,つまり,一般的にはこの方はダウン症なんですよね。ダウン症というと,皆さん御存じのように,知的障害も結構重度な人が多くて読み書きが難しい,だけど,音楽的リズムにこうして乗れる人が多いとか,心は天使のような人だとか,確かに当てはまっているところも多々あるんですけども,やはり個性なんですね。教育とか,そういう中で育てられてきて,輝く個性なんですよ。障害特性というと何か病気で何々のがんで,どこどこに,部位にどういうのがあってというふうに,やっぱり障害を医学的,あるいは心理学的な捉え方をするのが多いですね。私は泰子さんの,お母さんのそれを聞いて,みんな感動していました。やっぱりダウン症というのは間違いないんだけども,一人の人間としてやっぱり独り暮らしをして,その中でいろいろ必要に迫られて,お母さんがかつて思ってもみなかった力をその子なりに獲得してきている。よくお母さんと翔子さんが一緒に個展を開いたらどうかということを言われるんですけど,私は絶対に断わっていますと,お母さんはもう有名な書家だと思いますが,というのは,並べても,一生懸命書いて,いろんなことを考えて,普通の書家は考える,それはそれですばらしい世界があると思うんですが,翔子さんはとにかくみんなに喜んでほしいということだけで書いて,これが幾らで皆さんに買っていただけるとか,そんなことは全然なしに,そういう世界に入れないというんですね。それがやっぱり皆さん涙を流して受けとめていただける,そういうのはダウン症とか,何か障害の特性から説明できないものが多いんですよ。だから,私はやっぱり人間としてどう見る,それと障害というものを,とのかかわりを見ていかないと,やたらと障害についてみんな理解をして,個人の人間としての個性とか,すばらしいところはやっぱり見逃していくことのないようにという,そういう意見であります。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 事務局から津田委員のところお願いいたします。

【星川障害者学習支援推進室長補佐】
 津田委員からも今田中委員と同様,障害に関する理解促進の部分についての御意見をいただいております。
 障害に関する理解の促進についてもう少し書き込みが必要だと思います。「障害理解教育等のプログラムの開発と実施」「障害者の学習活動を支援することによって実践的に学ぶ機会を増やし,省察的実践を支援する方策を検討する」といったような方向に触れていただけたらと思います。という御意見をいただいております。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 ほかに皆様からこの2,3について何かありますか。

【是松委員】
 よろしいですか。

【宮﨑座長】
 お願いいたします。

【是松委員】
 是松です。18ページになります。今問題,課題として挙げられていました,障害に関する理解促進の中の(1)の学校,教育委員会が中心となった「心のバリアフリー学習」の推進ということでいただいて,書かれておりますけれども,もちろんここは納得するんです。特別支援学校と地域の学校,それから,地域の学校の中でも固定の特別支援学級と通常学級との交流,共同学習というのはまだまだ遅れていますし,これはどんどん進めていかなければいけないし,それを進めることが確かに子供たちにとって,あるいは教員にとっての障害者理解につながっていくというのは確かだと思います。ただ,日本は今インクルーシブ教育の構築を目指して特別支援教育を充実させていこうということの立場に立っています。そうすると,当然ながらできるだけ多くの,障害を持つ多くの子供が特別支援学校ではなくて地域の学校へ,それから,地域の学校の中でも固定の特別支援学級ではなくて通常学級の中でいかに共に学んでいくかということを進めていかなきゃいけないというのが大きな命題として一方であるわけですね。そんな中で様々合理的な配慮を行ったり,それから,就学支援委員会等で親のニーズに基づく合意形成にも徹底して努めたりする中で学校現場,今いわゆるインクルーシブをどこまで進められるかということで,もちろんフルインクルーシブは無理なんですけども,できるだけインクルーシブ的な教育環境を作っていこうということで四苦八苦しています,正直。
 そうした中でやはり交流・共同学習というのは一部限定的な,そういった特別支援学校や固定の支援学級の子たちとの交流・共同学習であって,実際はもう通常の学級の中に多くの発達障害の子供たちが共に学んでいます。それから,就学支援,就学先決定の中でも合意形成の中でどうしても親や本人のニーズの中では知的障害のある子供でも,本来固定の支援学級や特別支援学校が必要な子供でもやはり必要なニーズを実現できるのであれば,通常の学級に入れて共に子供たちと学ばせています。そうした中で子供たちや教員も少しずつ障害者に対する理解をしていっているというのはもう現状ですので,交流及び共同学習の機会の推進というだけで「心のバリアフリー」を捉えるというふうにちょっと捉えられると困るなと。「心のバリアフリー」というのはもう全ての子供たちが共に学ぶ中での必要な「心のバリアフリー」学習であるので,そこら辺ちょっとどう書いたらいいんだか分からないですけど,誤解のないようにしていただければなというふうに思った次第です。

【宮﨑座長】
 はい。この2章の3に関してはもう少し御意見を頂戴しながら成案にしていく必要がどうもあるなというふうに思います。
 残された時間がほぼ10分を切ってしまいましたので,4のところについても御意見を頂戴しているんですが,これに関しては朝日委員,田中委員からちょっと御意見をいただいて,それから,第4章の今後の検討課題についても今3つ丸で表記したんですが,ここについては改めて皆さんの御意見を頂戴して加筆していかなければいけないところなので,御意見を頂戴したいんですが,とりあえず4のシステム作り,基盤の整備のところの5つ書いてあることについて,朝日委員と田中委員の御意見を頂戴したいと思います。
 朝日委員,お願いします。

【朝日委員】
 私は先ほど申しましたとおりで,学校も頑張らなくてはいけない。それをつなぐ国,都道府県も頑張らなくてはいけないというふうに思います。
 もう1つ,ちょっとこのペーパーには書いてなかったんですけど,この間,ちょっと事務局と話す中で,大学に期待される役割で,例えば大学でオープンカレッジをするというところがあったと,今日菅野委員いらっしゃいませんけれども,一部の教授とか,そういう先生方が頑張るのではなくて,その学生さんたちがそのオープンカレッジをどうやって運営するかというところが物すごく意味があると思うんですね。そういう大学がそういう運営に学生さんたちがどうかかわるか。今まで学生さんたちは教育実習で学校に来たり,介護等体験で数日間は来ていますけども,大学に迎え入れて障害のある方をどうやって学びの満足度を得ていくかというところをやっぱりマネジメント,コーディネートするというのは学生さんたちのとってもいい機会だと思うので,オープンカレッジが一部の頑張っている先生方のものではなくて,大学の本当にカリキュラムとしてやれば,先ほどのアメリカがこれだけ進んでいるというところも,日本もそうやって学生の学びにとっての障害者の学習の場作りというような,そういう課題が大学の中に生まれると,そういう経験をした人たちが教員になったり,企業に出たり,地域に出たりすると,青年期の知的障害だとか,身体障害の方々と接して,本当に対等な関わりができるのではないかなということを付け加えさせていただきます。
 4章の部分はもう1個指標というのを足してほしいという意見を書きましたので,これはどうぞお読みください。

【宮﨑座長】
 田中委員,お願いします。

【田中(良)委員】
 前回の会議のときにここで報告としてまとめていく,そのことにも関わるんですが,今後の見通しといくとか,どういう方向に向けて我々議論してまとめていくのかということがあって,少し高見室長と,それから,宮﨑座長から御説明を受けまして納得したことなんですけど,まず,実践というか,積み上げていく,そういうことを通しながら国としてはということをお聞きしました。そのことで,例えば,国が学校卒業後における障害者の学びの推進に関するは仮称ですけど,制定するなど,やっぱり基盤整備を是非図っていただきたいということが私のここで言いたかったことです。
 それから,今度のときに多分御提案していただくことになると思うんですが,これは松矢副座長なんかもこの間言っていただいていますけども,学校段階における放課後の学び充実です。ここでは放課後とデイサービス事業がものすごく膨らんできている,私もこの2月に名古屋市のこの研修に立ち会い,研修したりしますが,この間やっているんですけど,どうもやっぱり囲み,こういうふうに言ったらちょっと叱られますけど,なっちゃうんですね。やっぱり私自身は20世紀初めごろに名古屋市学童保育連絡協議会の中に乗り込んでというか,一般学童保育の中に障害児をちゃんと受け入れてということを,どういう取組にすればいいのかということで地域でもまとめましたし,全国的にも軽い冊子を出したこともあります。ところが,その後,放課後のデイサービス事業という感じで制度ができまして,それは大変すばらしい,大切なことなんですけれども,どうも一般の学童保育の,一般の子供たちと一緒に学び,育ち合うというところが見えてこないんですね。そこら辺を,例えば,放課後デイサービス事業の中でも恐らくあると思うんですけど,一般の学童と交流したり,共同に交流したりするとか,そういうふうに,ここは特に共に生きる共生社会ということを目指しているわけですから,学校でも特別支援学校,特別支援学級,地域でも障害児だけというのはやっぱり非常に狭まる可能性がある。共生社会と我々が言っていることと,やっぱりこの中でどういうふうに更に説明していくかというときに,一般学童保育所のこういう,共に育ち合うということをちゃんと述べていくべきではないかというのが私の意見です。

【宮﨑座長】
 はい,どうぞ。できるだけ手短に。

【松矢副座長】
 次の議論とも関連すると思うので,今の関連でいくと,やはりここは学校卒業後の学びとなっていますが,生涯学習は,もう要するに,誕生期からの学び,つまり学校以外の,学校外の活動,地域活動とか,ですから,障害のある人たちはその地域活動の中でそういうサービスが必要なんですね。だから,数は少ないけれども,この前,文部科学大臣を受けた中には少年教室という幅を広げて,クラブ活動みたいのに入っていました。それから,幼児期ではもう全ての療育施設におもちゃ図書館があるわけですよね,おもちゃライブラリーが。ただ,そういうものをちゃんと位置付けどこかにしておかないといけないですね。この報告書の中で子供も生涯学習ありますよと。それはとても重要なんですよね。恐らく広い意味のキャリア教育というのは家庭があり,地域があり,地域の中に家庭があるわけだから,本当はキャリアの発達というのが誕生期から始まっていく,それが学校卒業後の学びはないので,継続しないというのが現実だから,ここの有識者会議があるわけですよね。学校教育もその教育部分だけど,学校外教育というのをもっとしっかり児童期,そこに放課後支援も出てくるんですが,いわゆる学童クラブというか,学校での,要するに,障害のある子もない子も一緒に学校の中にある学童保育で受けていますね。それも本当は学校外教育なんですよ。ええ。ですから,そういうことも入れながらいかないと完全なものにならないので,どこかで工夫が必要ですよね。はい。ブラッシュアップのところで少し考慮してほしいと思います。
 それから,もう1点いいですかね。

【宮﨑座長】
 はい。できるだけ短く。

【松矢副座長】
 いろんな調査がなされていていいんですけど,1つお願いしたいのは,この7ページのところの,自立訓練等のところで福祉事業のところが生涯学習に関与してきたというのが僕も注目しているんですが,これは流行になっちゃいけないですね。学校,放課後活動等と同じように。鞍手ゆたか福祉会ですか,長谷川さんと一緒に意見交換する場を持った機会もあるんですが,それは立派な社会法人だからできることじゃないのと,実力のある。そうでないところがやったら,要するに利用期間というのは定められているわけです。B型だけは利用期間ないので,B型をつけるところでは卒業なくてそのまま利用していくということが可能だけど,自立訓練も移行支援事業も2年間という区切りがあるので,だから,それは区切りがあったときにそこで終わっちゃう人のサービスというのは大きい法人だとできるんですよね。そういうことがないとできない。私自身社会福祉法人の理事長をやっていて,生活支援員にその生涯学習のことを任せるだけの専門資質はありません。ええ。ないです。ですから,今日厚生労働省の方が来ていないのは残念なんですが,福祉から雇用へつながっていく大きな流れで,学校から企業へというよりも福祉から企業へと,雇用って多いんですよね。それは全体の総合支援法の重要な観点だったので,福祉と雇用の結びつきが,その中の1つなんですよね,ある意味では。それは生涯学習を強調しているサービスとしてでてきたわけで,全体のところをちゃんと押さえなければいけないし,更にその中で力があるところがやるからで,是非次年度こういうあれが続くようだったら,そこの調査をやっていただきたいんですね。長谷川先生のところはもう学校の教員にもなれる有資格者がどんどん来て,もう選べることができるというんです,支援員を。そこまでなっているんなら,可能だけど,とても生涯学習のいわゆる講座の内容を考えていくというのはやっぱり必要な資質があると思うんですね,能力も専門性も。そこがちょっと心配なので,1つ,次回のときには何かそういう調査をしていただいてくれると有り難いと思います。すいません。

【宮﨑座長】
 前段の部分については今松矢委員からお話があったことについては少しどこかで触れるということでちょっと検討してください。
 じゃあ,最後に。山田委員。

【山田委員】
 さっきのところで言おうと思ったんですけど,17ページの真ん中の23行目ですが、「障害者スポーツについては」というところの下りですけれども,これを読むと,「障害者スポーツについては,スポーツを通じた共生社会の実現を目指しており」になっていまして,一緒に楽しめる,推進の観点から,こういうことがあるというふうになっていますが,障害者スポーツというのは究極的には共生社会の実現を目指しているわけですが,これは障害者がスポーツをして自分で社会に出て,社会参加して,就職してとか,そういう障害者の社会参加を推進することによって共生社会の実現に障害者スポーツが寄与するということなんですけれども,これだけ読んでいくと,何か共生社会の実現は一緒にやることが共生社会の実現みたいに読めるので,言い方を少し変えてもらいたいなと思っているんですが,例えば,これがいいかどうか分かりませんが,「障害者スポーツは,スポーツを通じた共生社会の実現を目指していますが,その中でも障害のある人と」,こういう形で,共生社会の実現の全部が一緒にやることじゃないというふうにしておかないと,障害者スポーツは何か一緒にやることだけが共生社会につながるということになってしまうので,ちょっと気になるところです。
 それから,ボッチャというのをいきなり言っても何か分からないと思います。「ボッチャ競技」というふうに競技をつけていただくのと,ユニファイドスポーツというのは障害者スポーツの中に健常者の人が一緒に入って車椅子に乗ってやるとか,そういうスポーツなんですけれども,これも分からない人がいるので,下の方に米印か何かで注釈して,例えば,車椅子のバスケットで一緒に車椅子,障害のある人とない人が車椅子に乗ってやるゲームみたいな,そういうわかりやすいように紹介していただくといいなと思います。

【宮﨑座長】
 ありがとうございます。
 すいません。全体を通して協議をしなければいけなかったんですが,とりあえず修文された報告案について1回なぞっただけということで申し訳ありません。まずは資料1-1の推進方策についての全体構成等についての検討をしていないので,ここも御意見あったらお出しください。それで,先ほど松矢委員からあった幼児期からの生涯学習の基本になるところはどこに入れるのかとか,どんな形で整理をしていくかというあたりも,これは構成案の中で是非考えていただければと思います。
 次回は今回の御意見を頂戴したものを修文して,なおかつ,第3章の4のところと第4章についての検討をしたいと思いますので,また事務局から御意見等についての調査というのですか,来ると思いますので,よろしくお願いいたします。
 ちょっと時間が延びてしまいましたが,本日の意見発表,意見交換はここまでにしたいと思います。
 最後に,事務局から連絡事項をお願いいたします。

【星川障害者学習支援推進室長補佐】
 事務局より事務連絡となります。資料4にございますとおり,次回,第14回の会議は,年明け1月24日木曜日,13時半から15時半で開催を予定しております。追って正式に御案内をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【宮﨑座長】
 それでは,本日の会議はこれにて閉会をいたします。年度内はこれで終わります。皆さんいいお年をお迎えください。どうもありがとうございました。

―了―

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