学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議(第5回) 議事録

1.日時

平成30年6月14日(木曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省東館3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 重度障害者の取組に係るヒアリング(訪問カレッジ@希林館における取組)
  2. 共生のまちづくりの取組に係るヒアリング(社会福祉法人佛子園における取組)
  3. 意見交換
  4. その他

4.議事録

【宮﨑座長】
 それでは,定刻となりましたので,ただいまから第5回学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議を開催いたします。本日は,お忙しいところ,お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 まず,事務局より発表者の紹介と,配布資料の確認をお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 それでは,本日のヒアリングにおける発表者の御紹介をさせていただきます。議事次第の別紙を御覧ください。
 まず,NPO法人地域ケアさぽーと研究所理事長でいらっしゃいます飯野様です。

【飯野氏】
 よろしくお願いします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 当理事でいらっしゃいます下川様です。

【下川氏】
 よろしくお願いします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 次に,社会福祉法人沸子園B's行善寺代表,速水様です。

【速水氏】
 よろしくお願いします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 次に,本日の配布資料の確認をさせていただきます。配布資料につきましては,議事次第にございますとおり,資料1から5になります。過不足等ございましたら事務局までお申し付けください。
 なお,本日も御協力をお願いしたいのですが,委員の皆様におかれましては,御発言を頂く際に,初めに名前をおっしゃっていただいてから御発言くださいますようにお願いをいたします。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 それでは,議事に先立ちまして,初めに,資料1に基づき,本日の会議の主なポイントについて,事務局より説明をお願いいたします。

【橋田障害者学習支援推進室長】
 それでは,資料1を御覧ください。今回,2件のヒアリングを予定しております。
 1つ目は,重度障害者の取組に係るヒアリングということで,訪問カレッジ@希林館における重度障害者の障害学習支援の取組等について御紹介いただきます。
 それを踏まえて,委員の皆様方には,重度障害者のニーズ・課題を踏まえ,卒業後の学びの推進のために求める方策について御議論いただければと思います。
 続いて,2件目は,共生のまちづくりの取組等に係るヒアリングということで,社会福祉法人沸子園における共生のまちづくりの取組等について御紹介いただきます。
 それを踏まえて,委員の皆様には,障害のあるなしにかかわらず,ともに学ぶ取組を始め,共生の拠点づくりのために求められる方策について御議論いただければと思います。
 この2件のヒアリングの後,意見交換の時間を取っております。これまでのヒアリング等で示されたニーズ,課題と,論点例を整理しておりますので,またそれを踏まえた意見交換をその時間はしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 それでは,議題(1)「重度障害者の取組に係るヒアリング」に入ります。
 NPO法人地域ケアさぽーと研究所,飯野理事長と下川理事より御発表を頂きます。それでは,飯野理事長,下川理事,どうぞよろしくお願いいたします。

【飯野氏】
 皆さん,こんにちは。今日は,このような機会を頂きまして,とてもうれしいと同時に,やっと私たちの願い,思いが届いたなと思いまして,すごく感慨深いものがあります。というのは,私たちはやっぱり知的障害の人たちと違って,肢体不自由の中でも医療的ケアの必要な,ごく少数の方たち,その人たちのQOLのことをやっているわけですので,そういう意味では,なかなか大きな話題に,あるいは取り上げにくい課題ではありますが,医療的ケアの課題は,最近,厚労省等々,文科省も含めて様々な取組をされておりますので,少し私たちもその追い風に乗れればいいかなと思って,今日御紹介します。
 皆さんのお手元には,写真がありません。なので,できましたら両方見ていただきたいと思います。この訪問カレッジ@希林館というのは,前のアパートの名称で,ちょっとすてきな名前ですので使わせていただいております。これは27年の文化祭と称していますが,こんな感じの人たちが参加している様子を,最初に見ていただきたいと思いまして出しました。10人の方たちの中で,4人だけが出席できるというような状況であります。
 私たち,始めてからちょうど5年間ですね。作品もたまりましたので,展示などもしています。モットーとしているのは,「生きることは,学ぶこと。学ぶことは生きる喜び。生涯にわたって,学び続ける喜びを! いつでも,どこでも,だれにでも」ということで,生涯学習をテーマに,その学びの機会と場を提供するということで,訪問カレッジを始めました。
 訪問カレッジというのは18歳以上の方を対象にしておりますけれども,これはモデルとしました方法は何かというと,特別支援学校には,学校に通学して教育を受けることが困難な場合には,教育課程上,訪問教育の仕組みがあります。週3回ですけれども,それをモデルにして同じようなものが必要ではないかということで始めました。
 私たちは平成9年に,医療と教育研究会を立ち上げ,養護学校の医療的ケアの課題にずっと取り組んできました。現在もなお,医療的ケアの課題に取り組んでいます。平成19年にNPO法人化しました。このNPO法人化したときにできることの可能性を探った中で,この仕組みをやることにしました。実際に考え始めてから5年後の24年,この事業を始めて,そして,5年目になります。
 どうして始めたかというのは,活動開始の理由のところに書きましたけれども,やはり医療的ケアの必要な人の卒業後の行き先がない。皆無に近いんです。なぜ皆無に近いかというと,例えば生活介護に行きたいとなっても,看護師がいません,入所基準にありません,規則には対象外ですといって,様々な理由でお断りされる方が結構おります。だから,最終的には,在宅生活を余儀なくされているわけです。それと更に入所した後でも障害が重くなって,医療的ケアが必要になった場合には,うちでは見られませんからということで,退所を余儀なくされるということもあります。
 4番のところに書きましたが,今そういうふうに在宅生活をしている人の支援はどんな制度があるかというと,ヘルパーの方や訪問看護師の方が家庭へ行って,支えているわけですけれども,両方とも身体介護や家事援助で,これは,非常に有効に使わせていただいていますが,制度上は家族支援なんですね。私たちは,本人主体の訪問系のサービスがないので,それを何とか実現させたいかと思って,やってきています。
 この後は更に細かく生涯学習のニーズについて申し上げますと,まず保護者の方たちがいろんなことを言っています。その中で,今,旧重症心身障害児施設,現在の療養介護施設に併設した通所施設(生活介護事業所)があります。そこに行っている方たちも5日間,最初は通っていますけど,次に新しい人が入ると日々の定員がきまっていますので通所日数が3日間に減らされたりします。通所日数が減らされていく一方で,親御さんが非常に高齢化になっておりますから,この先やっぱりどうなるんだろうという不安感を毎日抱いています。送迎が必ずしも行き届いているわけではないので,通所の送迎も自分でやらなきゃならないとなると,もう無理だとなってくる方が多いと思います。
 最近,東京都の施策として生活介護事業所に重症心身障害者が通えるようにする「施設活用型」の取り組みも増えてきていますけど,これとて,場所があっても,中身はどうかです。本人主体の日中活動として,本当に学校のようにやっていただけていないんじゃないかということや,ある保護者のお話なので全ての方ではないと思うんですけど,お風呂に入る日は,待ち時間をずっとDVDを見ながらリラクゼーションで過ごすということで,だんだん本人たちの通う意欲も低下しますし,子供たちの表情も乏しくなってくるというのです。こうした現状を見ると,選択先,通所先はあるんだけれども,プログラムの面で更なる充実を求めているという声だと思っています。
 また,2番目は,通えなくなるとどうしても親子2人の生活が中心になってくるわけです。皆さん,やっぱり学校と違って,あるいは通所先に行けないことによって,社会から隔離されているような孤立感がすごく強いです。話す人もいない。そういう親御さんのニーズも非常にあるということですね。
 (3)の2のところに書きましたけれども,学校時代のように本人が意識を集中して,意欲的,主体的に活動する学習をしたい,そういう仕組みを欲しいという声が非常に多いです。私たちのやっている方たちはその一部にすぎないと思っています。
 このスライドは写真が入っているので皆さんのところにないんです。すみません。前を見てください。まず誰から始めたかと。山○利○さんと,個人名を挙げさせていただきますけれども,今は,夢と希望に満ちあふれ,もうニコニコして,前向きな姿勢で行っていますけれども,山○さんが独りで在宅,自立生活をしていて,筋緊張が高まることによって,肺炎になりました。気管切開しました。それで声を失いました。なので,絶望のどん底に落ちましたと,これは本人が書いているんです。
 一方,親御さんも,どういう手術を選ぶかというのはあるわけですけれども,やっぱり声の出なくなる手術を選んだ。もともと本人は,「体が不自由でも,私には口がある。だから,口を武器にして生きていくんだ」と本人の誇りであったわけですけど,声が出なくなって,毎日,親御さんに,「死にたい,死にたい」と訴えていたそうです。
 この山○さんのことを担任の方から,私たちのメンバーですけれども,こういう人がいますと話を聞いたときに,私自身はもう鳥肌が立ちました。ああ,私たちの訪問カレッジはこういう方たちのためにやるんだ,やらなきゃいけないんだと思いました。ここに書いたのは私たちのチャレンジスピリットですよね。制度がない。新たに始めるわけですから,チャレンジスピリットが起きて。山○さんに背中を押してもらって,「飛び立つ勇気と飛び続ける使命をもらいました」と,私は,山○さんが『私のこころ』を発刊したときに「はじめに」に書いたんですね。
 そんなことで,山○さんの始まりはそういうことなんですが,この山○さんが意思伝達装置「伝の心」を使って,今年の元日の朝日新聞に,「脳性マヒの私から両親に感謝を」ということで,本人が書いた文が掲載されました。私たちから見ると,通るとは思ってなかったと言うと本人に怒られそうですけれども,やっぱり心を打つ文があったと思うのです。この方が,両親もすっかり年を取った,私の夢は両親が優しい気持ちで余生を送れるようにすることという話を双子のお姉さんと相談していますと,この辺が心を打ったのかと思います。このことによって,山○さんは,自分の生き方,そして,社会的な広がり,非常に接点が大きくなったという感じがします。こういうことにもつなげることができるというのは,私たちの「訪問カレッジ」のよさであり,その支援をしている学習支援員の方の力量かなと思っています。
 今,訪問カレッジではどんな状況かといいますと,本年度15名の学生が在籍しています。御覧になって分かるように,ほとんどの方が医療的ケアがあります。人工呼吸器の方が9人です。気管切開も10人です。やはり非常に重い方たちがおりまして,このコメ印のところを見ていただきたいんですけど,この5年間で毎年一人ずつぐらいお亡くなりになっています。中には主治医から「ターミナルです」と言われた方もいるんですけど,急にある日突然お亡くなりになった。その短い,私たちの訪問機会の中で,意義のある生活を送っていけたんじゃないかというのが私たちの一つの声でもあり,誇りでもあります。
 施設入所の方は,どうして入所したかというと,親御さんがお亡くなりになったからですね。私たちは,在宅の方だけじゃなくて,病院入院や施設入所の方の対応もしております。この辺も一つの課題としています。
 3番のところに,どういう取組をしているか書きましたけど,あとで映像を見ていただきます。週1回2時間,授業料年間1万円,学習支援員の人が今現在15人で,この方たちに1回に付き,交通費なしの3,000円のお支払いで,本当にボランティア精神で現在やっていただいています。授業料は年間1万円。月じゃないです。みんな,「安いんじゃない」と言ってくれますけど,高くもできないなと思っています。
 私たちは学校と同じように入学式をやっています。入学式のときのメインイベントは何かというと,訪問カレッジの学生証を配ることです。この学生証は,おうちの方によっては,すごく有り難いと思っていただいて,玄関とか,一番大事なところに置いていただいている御家庭があります。実際には学割などにも使えない代物ですが,そういうのをとても有り難く思っている,その思いに応える意味では,少しでも何か前進した制度に結びついて,「制度に則った訪問カレッジの学生である証拠がこの学生証です」と言えるといいなと思っています。
 この写真は入学式です。元担任の先生からすばらしい祝電など頂いて,この御家族だけじゃなくて,みんなで入学をお祝いしてくださっています。
 次は学習内容に行きます。おうちの方たちは,日本文化について学びたいというので,学習支援員の方は,安藤広重の絵を教材に水道橋が出ているところとか七夕とか季節の行事と関連して学習を展開しています。この教材を選んでいるということを,私はすごいなと思っています。
 この方は入所している方ですけれども,額につけたスイッチでパソコンを操作し,作曲しています。お聞かせしたいところですが,時間がありませんので残念です。彼は学校時代に音楽の授業で作曲を学んでいました。病院のリハビリスタッフからパソコンを教えてもらい,その具体的活用として,周りの方もすばらしいなと思うほどの曲を作曲しています。
 次に行きましょう。散歩に行ったときに,枯れ葉をこんなふうにして絵本作りしています。お母さんが文を書いています。親子合作ですね。この方は,今,座っていますけれども,骨盤骨折でほとんど起き上がれないので,寝たきりの状態でやっています。笑いヨガで授業が始まり,お母さんも笑顔になる。お母さんへの支援にもなっているかなと思っています。
 訪問カレッジの目指しているのは,学びの場,キャリア形成の場で,余暇活動ではないと思っています。学びというのは,その人の存在,アイデンティティの形成です。東京学芸大学の加瀬先生がここに書いてあるようなことをおっしゃっていただいていますけれども,私たちの活動もそういう理念でやっています。
 次です。意義と役割をまとめさせていただきますと,日常生活の空間を知的刺激のある学びの環境に変えること。本人主体の活動を作ること。親の活動,孤立化を防ぐこと。そして,最も大切なのは,命の価値,価値観の形成ですね。相模原事件でいろいろ言われました。この辺のところは,社会へのチャレンジだと思っています。
 この写真は学習支援員の人たちですね。平均年齢65ぐらいでしょうかね。
 何でカレッジ,大学なのかというところに触れたいと思います。やはり特別支援学校を卒業後,「大学はないの?大学に行きたい,学びたい」という声があります。そういう意味では,大学,カレッジと付けました。何でカレッジかというと,カリキュラムを作っています。そして,カリキュラムも系統的・継続的にやっておりまして,単位制を取っていまして,履修届けが皆さんのお手元にありますので,後ほど見ていただきたいと思いますし,特別支援学校との連続性,移行支援的な要素も考えてやっています。
 訪問カレッジに取り組んでよかった点は,どんな方でも緩やかに発達し続けるという信念。そして,1週間に1回であっても,やっぱり生活リズムを整えて授業を待ってくれています。こうした取組は本人支援ではありますが,家族への大いなる支援でもあると思っています。
 運営面を申し上げますと,今,私たちのメンバーは都立特別支援学校の外部指導員として仕事をして,その一部を謝金に充てています。派遣費用が約100万円掛かっています。同じようなことはどこでもできるわけではありません。なので,もっと新たな仕組みを作っていただいて,全国でやれるようにしたいと思っています。
 もう一つ,私たちは弱小の集団ですので,生涯学習ネットワークを作りました。これも皆さんのところにネットワークの中身について,33ページに触れさせていただきまして,一つ一つの団体は小さいんですけれども,手を組んで一緒にやることによって,拡大していこうと考えています。
今後,取り組んでみたいことの中にスクーリングがあります。6番目はコミュニケーション支援機器の活用です。ICT機器を活用した支援を大いに進めていくというのも課題だと思っています。
 訪問カレッジのような取組には,大田区の「おおきなき」,新宿のHome Collegeなどがあります。杉並区にはNPO法人かすみそうが,訪問療育「いるか」という事業をホームヘルプサービスを使って実施しています。福祉制度で「学習する」となるとやはり窓口で断られますので,訪問介護に加えて500円の教材費をもらって学習をやっています。
 今後について書きました。特に,私たちはやっぱり3番です。私たちの訪問カレッジのようなものの充実も必要ですけれども,生活介護事業者から在宅医療が推進されている現在,派遣制度,訪問系の福祉サービスが創設されると,在宅生活を送られている方にメリットがあるかなと思っています。
 私たちのような福祉制度によらないNPOでも取り組める仕組みがあるといいなと思います。重症心身障害者対象の生活介護事業所が増えるなど,もっと通えるようにして欲しいと願っています。しかし,実際には障害が重いと欠席率も高くなり,赤字運営しているところが結構多いのです。私が理事長をしている秋津療育園の通所も赤字なのです。やり方の問題があるとはいえ,何か通年の支援があるといいかなと思っています。そこが改善されると良いなあと思います。そうした上で,私たちは,必要な人に必要な学びを提供する。そして,もっと学習したい人に学習する場を作ってあげることも拡大できるかなという気がしています。
 その他,入所施設であっても,やはり日中活動の中で,もう少し生涯学習を入れたらいいかなと思っています。
 ちょっと持ち時間が過ぎましたが,あらかた,私はやっている様子を見ていただけたかと思います。以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 ただいまの御発表を踏まえて,重度障害者のニーズ・課題を踏まえて,学校卒業後における学びの推進のために求められる方策についての意見交換を行いたいと思います。まず皆様から御質問,御意見等を頂いた後に,発表者からまとめて御回答をお願いします。
 なお,御発表いただく際は,質問なのか,意見なのかを明確にしていただければと思います。たくさんの委員の皆様から御発言を頂けるように,時間配分等には御協力をお願いします。
 それでは,どなたからでもどうぞ。山田委員。

【山田委員】
 山田と申します。5ページに訪問カレッジの現状というのがございましたけれども,週に1回訪問されて,どのくらいの時間されるかをちょっと教えていただければと思います。

【飯野氏】
 2時間です。

【山田委員】
 併せて,その15人の方が教えておられて,15人の方が受ける方というふうになっていますよね。これは15名が対象者で,先生が15名いるということですかね。

【飯野氏】
 たまたま人数が合っているだけで。

【山田委員】
 だから,一人一人とマンツーマンで決まっているかどうか。

【飯野氏】
 お一人のところに一人で行く場合と,一人ではなかなか難しい。起き上がりさせるとかいろいろあったりして,二人で行く体制も取っています。それと,お一人の方が主で,もう一人の方が音楽の担当だとか,組合せを日によって変えてやっています。ですから,毎週行けている人と月1回の人とか,やっぱり一人一人の体調によって,特に冬場は難しいですね。体温など対応がありますので。なので,月数,行く回数が減ったりします。

【山田委員】
 一人の対象者に対して一人の先生がいるわけじゃなくて,複数の先生で,交代で行っているということですか。

【飯野氏】
 行っている場合もありますし,一人で2か所行っている方もいますし,やっぱりその方に応じてやっています。

【山田委員】
 分かりました。ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 すみません。やりとりをしたいんですが,まとめて対応させてもらいます。

【飯野氏】
 すみません。

【宮﨑座長】
 大丈夫です。どうぞ,お願いします。

【田中(良)委員】
 愛知の田中です。
 養護学校が義務制になった時点で,かつての肢体不自由の養護学校の重身の親たちが集まって,卒業後の取組を始めました。私はNPO法人,社会福祉法人の理事として,ずっとこの三,四十年関わっています。そういう立場からちょっと質問したいのですが,訪問カレッジというこういう手もあったのかと思うのですが,名古屋市で,私たちは,重症心身障害児地域療育事業を始めて,補助金をいただいていました。ところが,制度がどんどん変わってきまして,現在,重身中心の生活介護事業をやっています。ここでは,日常をどう輝かすかということで努力しているのですが,これは私の感想ですが,福祉分野では特に介護ということになると,教育とかこういう訪問カレッジのような,人間を輝かすような取組という視点が,弱いのではないかと思っています。だから,そこを何とかしていきたいということで,東京の方にこういう訪問カレッジという形で,私たちのような生活介護事業所みたいなところにも訪問していただいて,刺激を与えていただくというか,そういうことができないかなと思いましたが,もしこれに関連することがありましたら,お話しいただきたいと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 じゃ,綿貫委員,お願いします。

【綿貫委員】
 綿貫です。
 質問なんですが,私も脳性麻痺の小学生のお子さんと,もう五,六年ぐらい関わっている子がいて,その子は重度のお子さんなんですが,彼女はすごく学びたい意識がすごく高くて,学んだこととかを自分でちょっと動かせる範囲とか,頭の中で考えたりして,結構復習とか予習をしたがる子なんですけど,実際に健康上の問題もありますし,家族の手も必要なことなので難しいですが,訪問していない時間にこの方たちが,利用されている方たちが何か活動を,この訪問に向けて準備したりとか,何か気持ちの準備とか,こういうことをやってみたいとかされていることがあると思うんですけど,そこの訪問していない時間との利用者さんとの関わりみたいなこととかもありましたら教えていただければと思います。

【宮﨑座長】
 ほかにどうですか。じゃ,箕輪委員,そして,松矢委員。

【箕輪委員】
 横河電機の箕輪と申します。いつもお世話になります。
 質問です。まずスタッフの方の平均年齢。先ほどちょっと65歳ぐらいというふうに聞こえたような気がするんですが,ほかの事業所さん,こういう機会を提供する側の課題として,やはりスタッフ自身も増えないで,若者に引き継ぐことはできないということの危機感を感じていらっしゃる事業所が今までもヒアリングの中であったので,その辺り,今後,すばらしい活動なので,継続していくためにどういうような仕組みがあったらいいかというのが一つです。
 その中の一つとして,例えば結構写真の中ではICTの活用の話があって,私もいろいろ制約がある方には今後もICTは必要だと思うんですが,例えば訪問するだけではなくて,ケアサポートさんのところに共有でアクセスするサーバみたいなのがあったらば,企業側がアクセスして,そして,家の利用者の方もアクセスすると,例えば決まった時間に,毎週水曜日9時~10時,企業の人が交代で講義をしますということでやれるかなと思ったりするんですけれども,その場合に,恐らく企業側がオーケーする場合には,1対1だと,Aさんに対してというのは支援がしづらいんですが,研究所の方で,全国でお家の方からなかなか出にくくて,ただ学習の機会が欲しいという方で,よくやっているのはウエブ上の大学みたいな感じで,全国でこういう重い障害の方,医療ケアが必要な方がそういう学習する場が欲しいというふうに言っていただくと,会社側も乗りやすいというか,何かそういったところがある。
 ただ,個人情報の保護などもあると思うので,研究所の方でお互いにアクセスするという,そういうふうにしていただくと,今,スタッフが限られた方でとおっしゃっていたんですけれども,組織対組織の中で少し継続した活動で持続するものというのが見えてくるのかなと思ったので,そういった機会が,今までもされているのであればなんですけれども,今後そういった可能性があるのかということを伺いたいということと,あと併せて,英語も勉強されているとなっていたんですが,私も今日午前中,シンガポールの拠点とウエブ上で会議をしていて,非常に大変だったんですけど,そういうふうに,せっかく学んだことを生かす先として,今どきスカイプとかで無料というか,お金も掛からずに海外とつながることもできるので,そういったところで学んだことを,働くも含めてなんですけど,せっかく学んだものを何か日常の中で更に生かすようなチャンスとか,絵が得意とかいろんなものがあるならば,それを対価に変えるような活動にも後につなげていくような流れがあるのか。その辺りを教えていただければと思います。
 以上です。

【宮﨑座長】
 松矢先生,どうぞ。

【松矢副座長】
 今日はどうもありがとうございました。趣旨がはっきり分かっているんですね。この有識者会議では,生涯学習ということで,広義では,広い意味では厚生労働省のいろんなサービスメニューも使いながらということなんですが,私が画期的だと思うのは,文科省の広報の中に出ているように,特別支援教育の生涯学習化ということで,文科省の施策であるということなんですね。そこが,今日の発表も,厚生労働省の重症心身の通所事業,いろいろありますけれども,それと並行して,やっぱり文科省の学びということの施策が欲しいということですよね。それをもう一度確認のために聞きたいと思います。

【宮﨑座長】
 ほかにありますか。菅野委員。

【菅野委員】
 単位制を取っているということで,一つ,1訪問が2時間とおっしゃったんですよね。そうすると,5日間,週1回ずつ行くとすると,1単位が5日間掛かるのかな。もう一回確認です。1年間にちゃんと1日ずつ行くと何単位か取れるわけですよね。12単位取れるわけですよね。10単位を目安としていますというふうに25ページにありますけれども,その10単位を取ったら,次どうなるんですかというのを質問したいんです。目標がどこにある。参加者の目標はどこにあるのかというのを知る上で,それを教えてくださいというのが一つです。
 もう一つ,受講者の15名ですか。平均年齢が何歳かというのも教えてください。
 以上です。 

【宮﨑座長】
 それでは,今,各委員から,質問,御意見もあったかと思いますが,それを踏まえて,5分程度ぐらいで,すみません。お願いします。

【飯野氏】
 じゃ,私と下川でお答えします。
 最初の御質問ですけれども,東京には生活介護事業所が沢山あります。沢山あるにもかかわらず,医療的ケアが必要となると,やっぱり受け止めるという意識が低い。その辺がネックですね。今,本当に医療的ケアがいろんな形で制度化されたり,法律化されたり,介護福祉士法が変わったりしている中で,それでもなおかつ,現場では意識の面でそういう方は受け入れられないという状況です。呼吸器となると更に怖いとなります。その問題,いわゆるその辺の底辺の問題が解決されると,もうちょっと違った展開になると思います。ですから,私たちはそういうことで在宅のままになっている人を中心に,多摩地区限定でやっているんですね。なので,広げるにはどうするかというのが課題だと思っています。
 それと,スタッフの問題ですけれども,スタッフは,先ほど言ったように3,000円で,ボランティアみたいなものだと言ったのと,平均年齢があると言ったのは,ほとんど学校の先生を辞めて退職した後に,ベテランですから,来ていただいている。そして,安心して派遣できるというのが現状ですね。でも,それはやっぱり限度があるんです。だから,うちの仕組みは,Aさんが希望して,そこに誰か行ける人がいたらということでマッチングできなければ行かないという仕組みです。そこはもう大変大きな限度で,だから,本来なら,そういう若手の人たちを育成して,プールして,それである程度の謝金も出してとなると,今の現実的なところでは無理ですね。そこがちょっと,平均年齢の話を出した意味はそこにあります。
 それと,やっぱり学びって何かなんですよね。私たちもどういう仕組みで行くかと,悩んだんですけど,私たち全員,みんな養護学校出身ですから,やっぱり教育。キャリア教育も言われている,生涯学習も言われてきた。そして,学ぶことを喜びに感じていけるものを,その人のニーズに応じて適用する。これが教育だと思っているんですね。そういう意味で言えば,例えば社会教育からいくと,みんな障害者は福祉です。そういう世界で,はざまにあるというところから言うと,はっきりと生涯学習はやっぱり生涯学習だというか,社会教育の一環として,きちんと学びの仕組みがあるんだというふうにしていただきたいというのは本当にそう思っていますね。そこは確認させていただきたいと思っています。
 あとは,先生,答えてもらって。ICTと。

【下川氏】
 訪問カレッジの担当理事をしています。下川と申します。よろしくお願いします。
 私の方からは,まず訪問していないときの時間帯での活動ですけども,結構彼らは忙しいんですね。それは在宅の訪問看護とかヘルパーとか様々な福祉の利用をされている上で,更に我々が入ってくるということもあるので,時間的には限られているんですけれども,そうした中でも次の事業に向けて課題を出していますので,それをクリアするようにということで,結構難しいことを残しています。彼らには課しています。
 そして,ICTの関係で言うと,サーバを使ってということも,実に在宅就労の関係で,そういうふうな形の取組がありますけれども,実際にスカイプを使っての授業,例えば授業に出れないときがあったりするんですね。例えば病院なんかだと,閉鎖,病棟閉鎖といって,全く外から関わりができないという状況の中でも,彼らのスカイプを使ってアクセスすることができるというような形の取組もしております。
 あと,学生の平均年齢ですけれども,一番若い方が18歳,この3月に卒業生が3人います。そして,一番年上が60歳ですね。還暦を迎えました。平均で27.4歳です。
 以上ですね。

【飯野氏】
 あと何かありましたっけ。

【菅野委員】
 単位制で行ったときに,1年で10単位を目標にするということ。

【飯野氏】
 分かりました。この単位表は今年から作ったんですね。やっぱりこういうふうにきちっとしなきゃいけないだろうと思っています。その研究はまだといいますか,今後の課題です。要するに,作った意図は,私たちは訪問カレッジといっても,年限を設けていないんですね。年限を設ける必要があるかというのは,これこそ議論の余地です。年限を4年として設けている「おおきなき」というところもあります。その辺がばらばらですので,ネットワークを作った意図は,そこにそういう未解決,新たな課題について情報を収集しながらやっていく必要があるというふうに思ってやっていますね。
 なので,本人にとって,こういう目標を持つ,目標を持ちながらやることができる。自分のやることはこれなんだと明確にするという意味では,単位制を取るというのが非常に重要だと担当の方がおっしゃっていて,それでこれを作ったということです。
 今後またこの辺については,是非学芸大の方からの御指導も頂きたいと思います。

【宮﨑座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは,NPO法人地域ケアさぽーと研究所の飯野様,下川様,ありがとうございました。
 続きまして,議題2,共生のまちづくりの取組に係るヒアリングに入ります。社会福祉法人沸子園B's行善寺,速水代表より御発表いただきます。それでは,速水代表,どうぞよろしくお願いいたします。

【速水氏】
 社会福祉法人沸子園,速水といいます。よろしくお願いします。今日はお呼びいただいてありがとうございます。
 ごちゃまぜのまちづくりということでお話をさせていただきたいなと思いますが,沸子園自体は,現在200を超えるような事業があるわけなんですけれども,これまでの生涯学習というところを調べましたら,あらゆる機会にあらゆる場所において学習することができるということが言われているわけなんですが,これまでの福祉と言われると,どうしても保育であれば保育士,障害者であれば支援員,学生といってもボランティアさん。そのほか,高齢者も同じですね。介護者。支援する側・される側というのがはっきり分かれるような支援だったんじゃないかなと思います。
 それでは,彼らが支援される側と言われるような人たちがいろんな人を支援できないのかというと,そうではないんですね。こんな1枚があります。ここに写っている彼は重症心身の彼。どれだけ理学療法を入れても首の可動域が広がらなかった。後ろにいるのが認知症のおばあちゃんで,深夜徘徊が結構多くて,デイサービスに来ているおばあちゃん。この方を一緒に活動する場を作ると,ある日,このおばあちゃんが彼にゼリーを食べさせようとするんですね。でも,年齢いっていますので,手がブルブルブルッと震えながら,ほっぺたに当たったりとかしながらうまく食べれないと。そんなのを何か月か見守っていると,彼の方から首を向けるようになるんですね。そうすると,どれだけ理学療法士が関わっても無理だったものが,認知症のおばあちゃんが関わると,彼の首の可動域が広がってくるんですね。
 もう一方で,おばあちゃんにも変化がありまして,毎日彼に関わってゼリーをあげないと,彼が死んでしまうと。死ぬわけないんですけど,死んでしまうということで,生活改善をしなきゃいけない。深夜徘徊がパタッと止まるんですね。そういうのを見ていると,僕たちが全てのことをカバーし過ぎているんじゃないかと,何かそういう気持ちでい過ぎるんじゃないかと。そういう空間を,そういう場を提供すると,近隣の方たちがたくさん集まってきて,この野田町という,小さな55世帯のところが,ここは面白いということで,75世帯に世帯数が増えるんですね。
 そして,こういうのを見ると,障害とは何だろうと改めて考えると,WHOでは,人と環境の相互作用であると。その人だけの成長ではなくて,環境を整えることが大事なんですよというふうに昔から言われております。さらに,地域とは何だというと,継続性と密着性ということが言われております。ということは,いかに日常的であるかということかなと思います。
 じゃ,人が集まると本当に良くなるの? ということがありますが,こんなデータがあります。あくび。あくびって移りますよね。あれは何で移るか。酸素が薄くなるからとか,そういうわけではなくて,動物って誰かがあくびしているのを見ると,自分がそれを見て,自分まで眠くなってくるのは共感力があるからだと言われています。ということは,人は生まれ持って共感力がある。人が集まれば,更に共感力が出てくるということです。
 こんなデータもあります。誰かがハッピーだと言うと,その知り合いの知り合いの知り合いまでもが6%,幸せが伝播していくということになりますが,もはやこの方とこの方は直接知り合いではなくても幸せは伝播すると言われています。昔からこういうのを縁という言葉で言われていたりするわけなんですけれども,これがデータ化されています。
 ところが,この真ん中の方が,例えばダウン症だった場合。施設,地域から少し離れたところで生活している場合が多いんじゃないかなと思いますが,非常にもったいないんですね。ダウン症の方たち,92%が自分は幸せだと思っているんですね。そうすると,本当はつながっていると,倍増していく幸せ感が途切れてしまっているということは非常にもったいない。
 なので,たくさんの方,障害ある,なしにかかわらず,みんながつながっていければまち中が幸せになっていくんじゃないかということで,駅を障害の方に任せたりとか,Share金沢,これはもともと児童施設,30人定員でいたんですけれども,大きな建物に住んでいたんですね。でも,30人家族とか,日本はなかなかいないじゃないですか。なので,小さな家をポコポコポコ建てさせてほしいと。おばあちゃんとも関わりたいねとなったときに,敷地内にサービス付きの高齢者住宅を作ったりとか,まちには音楽が欲しいねと。ライブハウスを作っちゃえばいいんじゃないかとか,なかなかボランティアさんが集まらないねというときに,学生住宅を作って,アパートを作って,ボランティアしてくれたら家賃半額でいいよと言うと,たくさんの方が集まってきた。そんないろんな方が住める状況を作ると,何かまちみたいになってきて,自分たちがこのまちをよくしようということになってきたんですね。それがShare金沢。
 こういったことを,時代は「参加する」社会と言われています。これまで障害の分野で言えば,ノーマライゼーションというのが始まりにあって,ソーシャルインクルージョンという時代が来たと思いますが,これからの福祉はポジティブウェルフェア,参加型福祉の時代が来ると言われています。それを自分のここのまちに置き換えてみるとどういうことが起こっているか。温泉施設に障害のある方が働いていたりとか,いろんなことをしていくわけなんですが,たくさんの方が集まってくるんですね。いろんな住民の方が,地域雇用もできるだけまちの方を雇用しています。ここにたくさんの人が集まるところに,障害の方が日常的にくつろいだり,楽しんだり,いろんな活動をしたり,就労したりしているわけなんですね。まちの方も一緒に飲んでいると。
 でも,実は,うちはビールも作っていまして,障害の方々がビールを作っている。じゃ,,一般的に朝からビールを飲んでいたらどうなんだみたいな話がありますが,ここは飲めば障害のある方の給料に跳ね返ってきますので,飲めば飲むほど,「いいことしているね」とまちの方から言われるようなことになりますので,たくさんビールも飲む機会が増えると。こんなになると,まちの方が大きな声を上げたりとか,そんなのを見ると,障害とか高齢とかあんまり関係ないなと思ったりします。それを支えている人たちが障害のある方たちの就労の方たちですね。
 最初,接客,大丈夫かなという心配をしていたんですけども,たくさん来るまちの人たちが,例えば,「すみません」という声が聞こえなかったりすると,「ああ,お兄ちゃん,あそこの人,呼んどるよ」とか,スタッフ側になってくれたりもする。そんな雰囲気が何となく優しい雰囲気になったのか,北陸で,接客ランキング1位になったんですね。あれは驚きでした。僕たちが更に驚いたことは,そのほかに弱い立場とされているような人たちが自然に集まってきたんですね。障害児のママさんサークルがここで行われたりとか,高齢者の茶話会が始まってくると。それを見て,小学生が勉強しに来ると。たくさんの人たちが集まってくるようになりました。
 どのぐらいの人が来ているのかというと,年間に40万人が施設に集まっています。うちの特徴としましては,黄色が障害福祉とか医療とかの利用者及びスタッフ,青色は,全く関係ない人たちで,地域の人たち。ここだけだと支援する側・される側の二極でしかないんですね。じゃ,重症心身の方がニコッと笑って,それが地域の方が何かこう,優しい気持ちになれるのだとしたら,それを支援する側・される側とかということではないので,できるだけいろんな人たちを混ぜているというやり方です。
 もう一つここにはスポーツジムがあるわけなんですけれども,今,平均寿命,83.何歳ですね。高齢の方,障害の方,運動した方がいいという話ですけれども,10年に2歳ずつ平均寿命が延びていまして,僕の年でいえば,多分90ぐらい。今年生まれた子供の平均寿命,107歳と言われています。ところが,大体50ぐらいから皆さん,運動した方がいいんですよ。顔に染みができてくるように,脳にも50ぐらいから染みができてきて,20年,25年辺りで認知症になりやすい。それをカバーするには,運動したりとか,栄養を取ったりと。
 でも,スポーツジムに行くのというのは,体のラインがきれいな人たち,たくさんいますから,ジムに行く前に運動しなきゃみたいなイメージなんです。ダイエットしなきゃとか。ところが,ここも障害者特化プログラムとか,高齢者特化プログラムを分けてないんですね。みんな一緒になって運動すると,例えばバレエ。年とってからバレエとかなかなかしないと思うんですが,背筋を伸ばすには非常にいいんですね。入りづらいわと思っているときに,ダウン症のスキンヘッドの子が一生懸命楽しそうに運動していると,私もできるかなということで,地域の方々がたくさん集まってくるんですね。
 いろんな話をしながら,今,田んぼから上がってきたんですかみたいな格好でも自然に来れる。通いですね。障害のある方,高齢の方が一緒に運動すると。ここのインストラクターの一人にも障害のある方が働いています。彼はADHDで,木に登ったりするのが得意だったので,じゃ,それを生かしてインストラクターになろうよと。まちの方を健康にしていく一人にもなっている。
 こういう場所だと,一般的なスポーツクラブだと,会員のうち27%が通っている率だと言われていますが,うちの場合,40%,今,5割超えてきていますので,非常に運動しやすいのかなと思っています。これは障害の方,高齢の方のおかげかなと。うちのこの場所では本当に,保育園とか児童発達支援センター,高齢者,クリニック,様々な事業があるわけなんですが,みんな一緒に活動するとどういうことが起こるのか。ダウン症の女の子が保育園の子供のミルクをあげたりとか,小学生が大学生と関わりながら,まちのための企画を生んでいくと。それに高齢者,認知症のおじいちゃんたちが協力しながら,大みそかには230人も集まるようなイベントを作る。こんな企画がたくさん生まれてきます。
 じゃ,グループホームの人たちは,どんな過ごし方をしているのかというと,問題行動って結構何もない時間に多いんですね。することがない時間に多い。ところが,こういうたくさん集まるような場所を作ると,問題行動というのがグッと減ってくるんですね。施設の方もフルオープンです。いろんな方たちが来ています。そうすると,他害とか物損,無届け外出と言われるようなもの。3年間でゼロです。なので,僕たちは楽しいことだけ考えていればいいと,そんなことになってきています。いかに管理する・される生活というのが人にストレスを与えているのかというのが分かるかなと思います。ここに通っている人たちは,結局,グループホームの人たち,誰としゃべっているんやみたいなのをデータを取ってみたら,支援員とほとんどしゃべっていないんですね。一般客としゃべっている。温泉入ったりとか店舗で。やっぱりこういうことなのかなと思います。
 もう一つ,これはマズローの5原則というのがあると思います。人の欲求というのは,生理的,食べたいとか寝たいとか,満たされたら安全でいたいと。家とか職場とか地域に所属していて,そこで認められて,自分を成長させていきたいという欲求があるそうです。マズローさん,晩年,もう一つあるんじゃないかと言っていて,それが人の欲求で一番満たされるのは,誰かのために何かをしたときに人の欲求が一番満たされるんじゃないかなと言われています。
 彼,愛着障害,学校ではどういうことかというと,学校でほかの生徒を褒めたりすると,その生徒,ボコボコにされたりとか,新任の,新卒の先生とかも骨を折られたりするので,じゃ,どうなるかといったら,病院ですね。安定剤をたくさん増やしていって,こういった入院しながら作業療法して。彼は器用だから,こんなことできますけど,ここで支援する側・される側の二極ではなかなかこれを披露する場がない。褒められる機会も少ない。そうすると,病院でも暴れてしまって,ドクターはたたかれたりするんですね。
 じゃ,どうなるかといったら,世の中から要らないとなったんですね。要は,少年刑務所に放り込んでしまいましょうかみたいな話になったときに,ちょっとうちに来てみますかと。僕らも自信なかったんですが,たくさんの人が来ている中に彼がいると,ギター,うまく弾けるわけじゃないのに,こんな持っているだけで,「うわっ,お兄ちゃん,何持ってんの? これ」とか。たくさんの人たちに必要とされていきます。スポーツジムに来ると,いろんな人に声を掛けられると。じゃ,彼の中で何かが満たされてくるんですね。満たされると,人は誰かのために何かをしたいという気持ちになっていきますので,こういう募金活動したりとか。今,児童発達支援センターの支援員をしています。世の中から要らないと言われた彼が,ほかの子供たちを救っていくと。そういったところを見ると,何となく人と人のつながりが,お互いを健康にしたりとか,いろんな学びの場を生んだりするんじゃないかなと思います。
 又は,ほかに障害のある方の就労の場といったら,なかなか僕らは一般的にはいろんなアルバイトをしながら,自分の合うような仕事を見つけていくわけなんですが,なかなか障害のある方は選択肢が少ないと。そういったこともいろんな人が集まる場ですと,たくさんの仕事ができるので,いろんな経験をしながら,自分に合った仕事を探す。
 沸子園の生涯学習の取組は何だということをまとめますと,いろんな人が集まって,ともに関わり合うような場を作るということです。場を作るだけで,支援する側・される側だけだった関わりが,たくさんたくさん増えていく。それがお互いの教育になり,それがまた,しいてはまちの教育になっていくんじゃないかなと思っています。
 ごちゃまぜとは何だというと,人と人は人で,人は交わるだけで健康になると。そして,人が集まって,つながっていけば,そこには公的じゃないソーシャルサポートが生まれるということになるんじゃないかなと思っています。
 報告は以上になります。ありがとうございました。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。ただいまの御発表を踏まえて,障害のあるなしにかかわらず,ともに学ぶ取組をはじめ,共生の拠点作りのために何が求められるかという,そういう方策についての意見交換を行えればと思います。
 御質問,御意見のある方はどうぞ。どなたからでもお願いいたします。じゃ,田中委員,どうぞ。

【田中(良)委員】
 どうもありがとうございました。
 いろんな人が交わって,障害を超えてとか,地域の人とか高齢者の方とかまちづくり的な役割を果たしてみえるすばらしいなと思いますが,私は,何かの機会に昔聞いたことがありますが,沸子園は,昔,精神薄弱児施設を持っていましたよね。

【速水氏】
 はい。

【田中(良)委員】
 その時代とは全然違うとは思うんですけれども,今に至った何か節目というか,変わり目になった沸子園の歩みですが,簡単でいいですからお聞かせいただけると有り難いと思います。

【宮﨑座長】
 ちょっとまとめて対応したいと思います。
 ほかにどうぞ。山田委員。

【山田委員】
 山田ですが,今のお話,大変勉強になったんですけれども,いい方向での話はずっとあったんですが,何かやることによって反対する人とか,逆にマイナスの部分はなかったのか。そういった人たちに対してどういう取組をされたかというのがありましたら,ちょっと教えてもらえますか。

【宮﨑座長】
 ほかに。箕輪委員,そして,是松委員。

【箕輪委員】
 横河電機の箕輪と申します。よろしくお願いいたします。
 本当にとてもすばらしい仕組みであると同時に,いろんな地域で抱えている課題を一気に解決するような。結果的にかもしれないんですけど,こういったものを広げていけたらいいなと思う中で,この取組が実現するためにはどういう条件がそろえばできるのか。それとも逆に,こういう課題があるとなかなかうまくいかないですよ。ちょっと重なるんですけれども,そういった辺りを教えていただければ,ほかの地域でも広がれるのかなと思います。よろしくお願いします。

【是松委員】
 国立市教育委員会の教育長の是松と申します。すばらしい御報告ありがとうございました。
 様々な方々が,それから,地域の方々がとにかく共生して,ごちゃまぜの中で皆さん助け合って,ともに発達していくというような報告がありました。そうした中でも,当然ながらピアサポートが効果も発揮されているということもおっしゃられていたんですけれども,これだけの地域資源を生かしていくとなると,それなりにやはりしかけや仕組みが必要だと思うんですね。特にピアサポートだけじゃなくて,一般の方のサポートも随分あるということで,町内ボランティアも1.4倍に増加してきているというようなことがありました。
 それから,行善寺やShare金沢においては学生ボランティアの活用も進められているということで,こうしたボランティアを確保していく仕組み。特に学生が非常に力を発揮している部分もあるようなんですが,この学生,Share金沢の場合は,学生の居住スペースを提供する代わりに,ある程度の時間数のボランティアを課すということで,家賃も安くして,学生を引き寄せるというようなこともあったんですけれども,地元の大学との学生を率いるための提携方法のようなものを何か,大学と協定のようなことをやってらっしゃるのかどうか。例えば学生が単位をある程度それで獲得できるというようなこととか,そういうことを一つ,どういうふうな仕組みでサポート確保しているかということをお聞きしたいのと,もう一個は,ここで地元の自治体とか行政が,御報告の中では見えてこなかったんですが,どういう関わりを持っているのかを教えていただければというふうに思います。

【宮﨑座長】
 ほかにありますか。よろしいでしょうか。
 それでは,各委員から御質問,御意見に近いものもあったと思いますが,説明を5分程度ぐらいでお願いできますでしょうか。

【速水氏】
 まずはたくさん御質問いただいてありがとうございます。
 まずまちづくりに関わるようになったきっかけといいますけども,いろんな,沸子園は大きなイベントをやっていたんですね。何千人も来るようなイベントをやっていたんですけれども,やっぱりイベントじゃ,そのときだけで終わってしまうんですね。人と人の関わりって,何となくこう,一発の大きなイベントよりも毎日一緒にお風呂に入って,一緒に御飯食べたりとか,何となく自然な関わりが一番名前で呼び合えるような,そこの日常性にいかに持っていくかというところかなと思います。
 それに気付かされたのが,大きなイベントをやっていても,グループホームを立てるときに,うちの隣に来られたら困ると言われたんですね。沸子園,50年以上あったわけなんですけれども,やっぱりそういうことじゃなかったのかなと思うと,何となく自然に関われるような場所を作りたいなというのがきっかけでした。
 反対する人がいなかったのかというのは,もちろんそうだと思います。ただ,ここには青年海外協力隊の支部を使わせてもらったんですけれども,協力隊というのは2年間現地に行って,2年後には退いてこなきゃいけないじゃないですか。そうすると,3年目からは自分たちでやらないといけないんですね。なので,計画の最初の段階からまちの人に入ってもらうという。まちの人が自分たちで作ることに自分が反対しないですから,自分が作ったものを自分が否定しないということがある。ほかの反対する人をまちの人が抑えていってくれるというようなことが今の現状じゃないかなと思いますし,僕ら自身は,施設を僕たちが一切コマーシャルしないんですね。僕らがコマーシャルすると,僕らの施設になってしまいますので,一切しない。全部まちの人たちが口コミで広げてくれる。これは強いですね。障害のある方がいるというのが最初から分かってきてくれていますから,何があっても大丈夫だということになっています。
 あと,どういう条件がそろえばこういうことができるんですかということなんですけれども,僕が福祉の世界に入ったとき,最初,介護の特養に行ったんですけれども,上司と言われるような人たちがどんな人たちだったかと。何かもうみんな死にたいとか言っているんですね。帰りたいとか。何か楽しませなきゃいけないと思ってあれこれ提案するわけなんですが,いや,ほかの人と均等性が取れないからだめだとか,これは監査に通らないからだめだとか,危ないからだめだと。だめだ,だめだと言える人たちが中間層にいて,何て世界だと思ったのが福祉です。
 その根底に何があるのかというと,システム・センタードというか,施設のリスク,使節側のリスクを守るという観点が強過ぎて,障害のある方,高齢者の方を犠牲にしてしまうということがネックなのかなと思います。
 いろんなこと,先ほどあったように,問題行動を抑えるために,囲うのではなくて,その人が何をしたいのかというのをしっかり追求すれば,門とか壁とかなくても,問題行動は起こさないというのは,僕らが今,証明していますので,皆さんもそうだと思うんです。あしたから狭い部屋に鍵を掛けられたとしたら,みんなどうやって出ようか考えますよね。窓とか簡単に割ると思います。そういうことなのかなと思ったりすると,その人の思いを酌んでいくというところが取組条件なのかなと思います。
 あと,一般サポート,学生ボランティア,どんな形で集めていますかということなんですが,まちの方が40万人も来ますので,これといってボランティアというのは募集してないんです。ただ,人が集まる仕組みを作らないといけないんですね。うちも園庭あるんですが,障害のある方のお子さんを持つ方は結構,公園デビューができなくて,こもってしまったりとかという話がある中で,いろんな人が遊べる公園を作ったと。ただ,支援員が全部見ると,なかなか見切れないので,お母さん方に集まってほしいと。ただ,ボランティアで集まってくださいと言うと,お互いに負担なんですね。じゃ,自然に来れるような仕組みを作る。公園をずっと眺めていると,お母さん方に特徴があって,お母さん方,まず日陰がないと来ないんですね。なので,たくさん日陰を作ると。集まってきたら集まってきたで,すぐ座るんですね。なので,一番見てほしいポイントに最初から椅子とか机とか設置しておけば,そこにわらわら集まってきて,お弁当を広げて,施設の子供まで見てくれるという,そんなシステムがあります。
 じゃ,父親は何しているんだという話なんですけれども,僕も我が子のことはなかなか面倒見ないので,休みの日にたまに面倒見ると疲れるんですね。すぐファミレス連れていって,パフェとか食べている間も携帯をいじくっていたりと。横にそういう,園庭のすぐそばにそんな場所を作っちゃえば,お父さんも来れるんじゃないかということで,お父さんが集まりやすいようなカフェを園庭の横に設置する。お父さん,見てなくても,見たていで家に帰れますので,そんな場所も作る。そういう形で自然なボランティアというか,人を集めるという手法を作っています。
 大学の関わりに関しましては,COCプラスとかCCRC,Share金沢はCOCプラス,B’s行善寺はCCRC,金沢大学及び金城大学という学校と提携しておりますが,ここも学生さんたち,授業の一環として,地方創生とか地域創造学部,そういうのがあるわけなんですが,その中の1コマとして,うちが授業として行ったりとか,ボランティアをしたりと,そういったことが組み込まれているということです。丸々1年通して,何か単位制度になっているわけではなくて,1コマとしてということですね。
 あとは,能登の方では,農福連携ということで,ほかの大学と羊を一緒に飼ったりとかしております。
 行政,自治体はどうかという。行政は,この私たちの活動がみんなのためになるんですよという活動として認めてもらえれば,それでいいかなと思っています。どうしても行政の方たちが主導に入ってしまうと硬くなってしまうので,自由にやらせてくれるというところが一番有り難いかなと思います。
 自治体は,先ほど言ったように,自然に入ってきていただいて,自分のものとして捉えていただくということ。なので,僕たちは黒子に回るというところを念頭に置いています。
 皆さんの回答になったか,ちょっと分かりませんが,以上になります。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 議題2につきましてはここまでにしたいと思います。本日の御発表,2つの事例発表だったんですが,飯野理事長,それから,下川理事,そして,速水代表,ありがとうございました。(拍手)
 それでは,続きまして,議題3でございますけれども,これまでのヒアリングで示された主なニーズ・課題と論点例を踏まえて,意見交換を行いたいと思います。
 まず,資料4について事務局より御説明をお願いいたします。

【橋田障害者学習支援推進室長】
 それでは,資料4-1を御覧ください。これまで会議では,障害当事者のニーズ・課題など,多様な実施主体の取組に関するヒアリングを実施してきました。また,並行して,事務局の方でも,障害者関係団体への調査によって,ニーズ・課題の把握に努めてきたところでございます。これらの詳細につきましては,資料4-2にまとめております。団体一覧については,その11ページ目にも添付しておりますので,参照いただければと思います。
 その上で,資料4-1でございますけども,今後その具体の検討を深めていただく前提といたしまして,まずそのヒアリング等で示された主なニーズ・課題というのを整理できればと思っております。それと合わせて,論点例のポイントを整理したものというのがこちらでございます。
 まず障害種共通というものといたしましては,例えば,学校で身に付き維持していた能力も,卒業後の場では求められずにできなくなるということで,継続する学びの場が必要といったようなこと。また,ライフステージに応じた学び。就労や生活の場で活用できるプログラムが必要。さらに,その学びの場がある場合でも,参加者の高齢化,スタッフ,ボランティアの不足といったような課題を抱えるということ。
 さらに,一般の学習活動への参加については,差別解消法の理解がなかなか進んでいない。障害の理解の促進,合理的配慮の対応が必要といったようなこと。
 基盤整備の関係では,相談の場の不足,情報を入手することが困難といったようなこと。2020年のオリ・パラに向けた障害者のスポーツ,文化芸術の取組を学びの中に入れてほしい。総合的に統括する拠点が必要といった点を整理しております。
 これらを踏まえまして,論点例といたしましては,学校から社会への移行期,各ライフステージにおいてどのようなプログラムが求められるか。この資料の4枚目には,第1回会議でのプログラムで示しておりますけれども,これまでのヒアリング内容等も踏まえて,更に深めていただければと思います。
 また,効果的な実施体制,さらに,障害福祉サービス等との連携の構築,あるいは強化というのをどのようにやっていくかというところを挙げております。
 一般の学習活動への参加でございますけれども,合理的配慮の関係で申しますと,この資料4-3に,文部科学省の所管事業分野における対応指針を御用意させていただいております。
 例えば9ページを御覧いただきますと,例えば3の(1)でございますが,物理的環境への配慮や人的支援の配慮の具体例。
 さらに,その次の10ページのところでは,意思疎通の配慮の具体例といったようなところで,ここは社会教育施設をはじめ,生涯学習に関わる内容が盛り込まれております。こういったことを踏まえながら,この合理的な配慮の対応としてどのような工夫が求められるか。また,障害福祉サービス等との連携の構築,強化というものがまた論点になろうかなと思っております。
 その他,基盤整備の関係では,ニーズの把握,相談の対応,情報収集,提供,推進体制,関係者の役割といったところを深めていく必要があるというところでございます。
 資料4-1の2ページ目でございますけれども,これ以降は,障害種別の課題を整理したものでございますけれども,特に,主に知的障害の関係で申しますと,18歳から20歳ぐらいの間にもう少し学ぶことができれば非常に変わってくるということで,現在では,その自立訓練事業等を活用した学びの場が増加傾向にあると。ニーズが多様化して,期間も2年から3年,4年と長期化傾向にあるといったようなところがございます。
 また,特別支援学校の関係では,卒業3年程度,フォローアップが行われておりますけれども,その中でも学びの場を提供する例があるといったようなところがございます。
 また,生涯の各ライフステージの関係では,これはオープンカレッジ東京でございましたけれども,各ライフステージのニーズ・課題調査に基づいて,学習内容を4領域で構成されまして,自己決定の問題解決能力等が課題となるのではないかといったようなこと。さらに,当事者の件といたしましても,地域で仲間と過ごせる場所等で,自分を自由に出し合うということが仕事を頑張り続ける支えになるといったような御意見もございました。
 一般の学習活動への参加についてはなかなか進んでいない。誤解や偏見が根強くある。また,活動への参加が難しいといった点を整理しております。
 以下,課題の方を先に説明させていただきますと,続いて,主に発達障害の関係でございますけれども,こちらの方,特に綿貫委員からも御紹介いただいたところでございますけれども,就労・自立の基盤として,自己表現し,自分や社会のことを知る機会の提供。多様な就労や生活の選択肢を想定した内容。
 あるいは,対人交流や社会参加のきっかけ,意欲につながる内容の提供が必要といったようなこと。特にピアサポートが有効であるといったような点。
 さらに,合理的配慮について,この発達障害の知見が少なく,対応が遅れているといったような点を整理しております。
 さらに,3ページ目でございますけれども,こちらの方は,身体障害者に共通のものとして,社会に存在する「環境」「意識」「情報」のバリアを解消するといったような観点での施設整備,あるいは移動,情報保障の対応といったようなところを整備しております。
 次に,主に視覚障害の関係でございますけれども,保護者,元教員の高齢化に伴い,周りの活動範囲が縮小傾向にあるといったようなこと。また,自立して生きるための歩行能力,ICTスキル,コミュニケーションスキルの習得といったようなこと。
 また,一般の学習活動の参加については,スポーツジムへの入会拒否,語学教室での配慮の不徹底。情報保障が不十分といった点を整理しております。
 さらに,主に聴覚障害についてでございますけれども,直面する障壁や配慮について意思表明する実践,ICTの活用,日本手話や視覚活用により文化芸術活動に触れる機会などのプログラム。
 一般の学習活動への参加については,意思疎通支援事業の制限,地域差の解消などといった点を整理しております。
 このほか,盲ろう者のニーズについては,地域格差の解消,サービス・社会資源の活用等のあらゆる面での取組について考えていく必要があるのではないかということで,論点例については,それぞれのニーズの特性を踏まえた部分を深めていく必要があるかと思っております。
 なお,重度障害等については,本日,関係機関の取組を紹介いただきましたので,その辺も踏まえて整理を進めていきたいと思っております。
 事務局の方では,一旦こういった形で整理させていただいておりますけれども,委員の皆様方には,今後の検討に向けまして,ニーズ・課題に関して,特に留意すべき点について御議論いただければと思います。これと併せて,論点についても,深めるべき点について御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

【宮﨑座長】
 それでは,資料4,今,御説明あった主なニーズ・課題等を踏まえての意見交換を行いたいと思います。
 あと,35分ぐらいですかね。非常に,ちょっと短くなっておりますので,1人2分程度ぐらいでお願いできればと思います。
 なお,委員全員の方に御発言を頂きたいと思いますので,よろしくお願いいたします。どなたからでもどうぞ。お願いいたします。どうでしょうか。
 それじゃ,田中委員からお願いします。

【田中(秀)委員】
 一麦会の田中です。
 この卒業後のというところから少し論点が外れるか分からないんですけれども,卒業後のときに,本人であるとか,家族であるとか,学校の生涯学習にどれだけ意識を持っているかというのが非常に問われるわけですね。だから,私どものところに通園施設があるんですけれども,その通園施設であるとか,学校教育の中でどれだけ楽しい経験ですね。いろんな経験をして,こういう情報が,卒業したらこういうのがあるよというような,そういう情報がその期間に提供されるかというのが非常に大事なことだと思います。また,家族も,先ほども報告ありましたけれども,家族が孤立化する。家族も含めて,生涯学習と言うんですかね。そういう参加できるような機会というのが非常に大事だと思います。特に母親が本人の生涯学習であるとかそういうところに参加するのに支援する,そういう大きな支えになっていると思うので,母親と一緒に学ぶ,成長する,みんなとつながるというのは,そういうことが系統付けていければ有り難いかなというふうに考えます。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 それでは,田中良三委員,お願いします。

【田中(良)委員】
 愛知の田中です。お願いします。
 これからこういう,障害者の生涯の学びをどう支援していくかという,地域支援体制をどう作っていくかということに関わって,行政,NPO法人,株式会社,社会福祉法人,いろいろありますが,それを誰が統括と言いますか,間に立っていくのかと。私は自分の経験から言って,大学人がもっと関心を持って育ってほしいと思います。福祉の分野は障害者福祉,障害教育は特別支援教育と分かれていますが,生涯学習に関心を持っている研究者は,松矢先生のような非常に貴重な存在で,そういらっしゃらないと思います。こういう時代に,これから進めていこうとするときに若手研究者をどう育てるかということで,その担い手となる人たちを育てていくために,今後どういうことができるのか,私は,大学人にかなりの期待を掛けています。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。箕輪委員。

【箕輪委員】
 横河電機の箕輪です。
 このいろいろまとめを拝見していて,すみません。企業というところで,資料4-1の一番後ろの参考資料の中にある,この視点1・2,この辺りまとまっているものは本当にそのとおりだなと思うんですが,この学習する内容をどういった場で学ぶかなんですけれども,これは視点2にある3つの箱の中の全てこれももしかすると職場の中で日常の会社生活の中で自然に習得できることも含まれているのかな。あえて外に出て,どこかに習いに行かなくてもという辺りを考えると,学びの場というものをどう考えるかなんです。本当に場所なのか,機会なのか,経験なのかという辺りを,どうしても場所をイメージしてしまう。建物をイメージしてしまう可能性があるので,その辺りは,それも必要なんですけれども,そうではなくて,特に下の長方形の長いところ,自立して,生きる基盤となる力で,人と関わる力とか,主体性を持って物事に取り組む意欲とか,こういったものを例えば外の場で学んでも,それを生かす機会がないと,せっかく学んだことが資格だけ取って全然使わないみたいな,何かそういうものになってしまう。
 先ほど速水様のイベントで1回やるよりは,日々の中で,本当にそのとおりだなと思っているので,日常の生活,働くに限らないんですけど,働くことがあって,そこにもし足りないものがあったり,もっとステップアップしたいことがあるならば,それを学んで,それをすぐに生かせる機会とか,あと,学んだことを振り返る,自分が成長しているということに気付けてない方も,私たちもいろいろ出会ってきて,働いている人の中にはあるので,そういった成長の,今どこまで行っているのか。更にどこを目指したらいいかというのはやっぱり永遠に,自分でできる人は自分であれなんですけれども,人の関わりが必要なときにはそういった機会も必要なのかなと思うので,何か一回ものの研修プログラムとかではなくて,やはりそれを生かす場とか,継続性とか。
 そのためにはずっと,ヒアリングにも出てきましたけれども,チャンスを提供する人たちに資源を持続させるための仕組みというのも並行して考えていかないと,今うまくいっているところが年齢的な関係でなくなったり,予算がなくなったらできなくなったりとかいうことが起こらないようにして,そこも併せて考えていく必要が今あるのかなというふうに,皆さんのヒアリングが終わった後で感じました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 山田さん。

【山田委員】
 山田です。
 卒後の支援ということですので,これは多くは特別支援学校というふうに見ているんですけれども,参考資料のところにもありましたけれども,今,特別支援学校の在籍者の中で,9割が知的障害というような数字が出ておりましたけれども,だから,この取組は,基本的には知的障害の子供を中心とした考え方でいいのかなとちょっと思いましたけれども,必ずしもそれだけじゃないんですけれども,そうすると,先ほど今日のヒアリングで速水さんがおっしゃったのが非常にヒントになったんですけれども,何もないときに問題行動が多いと。やっぱり忙しいと少なくなるという,さっきおっしゃったように,何か本人に集中するものを持たせるというところが非常にポイントじゃないかと思うんですね。そのためのいろんな施策がいろんなやり方であると思います。だから,そこを中心に捉えていったらいいのかなというふうにちょっと思いました。

【宮﨑座長】
 松田委員,どうですか。

【松田委員】
 千葉県教育委員会生涯学習課の松田でございます。
 どうしても私ども,こういったものを今後新たに企画,実施していかなければいけないものとして,やはりボランティアさんというか,担い手さんをどういうふうに内々に取り組んでいくのかという部分がすごく大きな課題だなというふうに考えております。先ほど御発表の中に,そもそもボランティアというような感覚ではなくて,巻き込むだというような視点というのは非常に感銘を受けたようなところではあります。さはさりながら,現実的なことを考えていくと難しいのかなと考えております。ボランティア育成というような視点がやはり論点例の中にも書かれていますように,ここをどうやって実際取り組んでいけるのかが問われているのかと。先ほどボランティアの高齢化というような問題もありましたが,やはり全く障害を持たれた方々と関わってこなかった人をどう取り込むかということがすごく重要なんだろうと考えています。
 一方で,生涯学習そのもののボランティアさんというのは結構いらっしゃる。結構というのはちょっと語弊があるかもしれませんが,各公民館さんは,ボランティア育成に取り組んでいらっしゃるので,そういった人たちをいかに対象が変わっても同じような形で,ボランティアとして御貢献いただけるのかなということを今後,我々として考えていかなければいけないんだなというふうに考えたところでございました。
 あと,なかなかこの辺は難しいと思うのですが,どうしても何か新しい事業を行っていくときに,これは福祉とどう違うんだというようなことへの回答を求められる場面というのは,行政サイドとしてはどうしても出てくるのかなというふうには思います。もちろん縦割りであるべきだというような意味ではもちろんないんですが,そこのところをどっちがイニシアチブを取るのか,取らないんだとか,そういうような話ともまた違うんだとは思うんですけれど,そこのところをうまく整理して,やっていくというようなことが我々自身に突き付けられている部分だなとも感じたところでございました。
 まとまりませんが,以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 綿貫委員,お願いします。

【綿貫委員】
 東京都自閉症協会の綿貫です。
 幾つかあるんですが,まずライフステージに応じたという話とか,あと,学校卒業後のというふうになっているんですが,いろんな団体のヒアリングをしている中で,それぞれの団体が調べていることとか実態みたいなお話はあるんですが,やはり実態のところから私たちが把握できていない部分が多分にあるなというふうに思いました。
 それは支援者とかの目線だけではなくて,やはり本人たちが何をしたいかという調査の結果もかなりあったと思うんですが,その辺りを整理していくことが制度とかプログラムの内容を考えていく上で必要かなというふうに思いました。
 あと,生涯学習ということと,学校卒業後ということで,どうしても社会とか地域とのつながりというところがありますし,今日も共生社会作り,地域の包括的なというところが出てきたと思うんですけれども,ICFに基づく障害概念を考えてきたときに,障害者の健常者というような二項対立的な考え方ではなくて,やはり自分の中にある障害特性とかそういったリスクとか,そういったことを見つめていくということも必要だと思うので,社会とのつながりというところを考えていくというのも論点の中では必要だというふうに思いました。
 それに本人たちが居場所としても大切なんですが,滞留するのではなくて,やはり本人の意欲とか目的を持って,本人の評価も伴って,次のステップというか,流れていくということも必要かなというふうに思います。
 それから包括してなんですが,やはり今までの支援とか福祉とか教育ではなくて,新しい価値社会を作っていくという視点も必要かなと思いました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 是松委員,ありますか。

【是松委員】
 是松です。
 先ほどの松田委員とちょっと関係するんですが,やはり卒業後の学びの場の多くの設定がいろんな場でされるということが必要だと思います。これのためにはやはり自治体だけでなくて,企業,大学,それから,NPO法人等のそれぞれの役割をしっかり発揮するような連携体制を構築していく必要があるんだろうと思います。特にスタッフやボランティア等の不足の問題等については,そこら辺の連携がますます重要なのかなというふうに思っております。
 それから,もう一方で,そういった学びの場に障害のある方が来ていただく,来やすくするということについてはやはり合理的配慮をいかに進めていくかということに尽きるのかなというふうに思います。一般の生涯学習を学ぶ方とは,やはり障害者の方は違うわけですから,障害者の,しかも,障害の特性も様々に,知的障害から身体障害まで様々にあるわけですから,それぞれの特性のニーズに応じた合理的配慮の具体例みたいなものを学びの場を設定する側が意識しておかないと,なかなか来ていただいても楽しい学びにはならないんじゃないかなと思いますので,そういった合理的配慮の具体例をもっともっと共通認識していくということも必要なのかなというふうに思った次第です。

【宮﨑座長】
 菅野委員,どうぞ。

【菅野委員】
 ヒアリングをずっと聞かせていただきまして,それぞれの今日まとめてくださった障害種別とか,全体を通してというのはよく分かるところです。私はいつも生涯学習と考えるときに,一つは内容について,一つは方法について,そして,学ぶ場についてというのをいつもそれで整理して,そういうふうにしていくと,具体的に,じゃあ,どういうところから取り組まなくちゃいけないのかというのが分かるのかなと思いました。
 内容について何を学ぶのかについては,参考資料で随分まとめてくださいました。ただ,まだ生涯学習の機会が障害者にもあるということがなかなか知られていないというか,あるいは学べるんだという機会はなかなか分かってもらってないというところがあるんだと思うんですね。ですから,やはり早く,成人期になってもこんなことが学べるよという魅力あるというかな,豊かな学習内容を早く整理することなのかなというふうに思います。それはニーズや学びたいに応じたというのが一つだし,もう一つはライフステージに応じたというものをいかに早く整理して作るのかということだろうと思います。
 そういう魅力のあるものがあると,僕もとか,私もこれを学びたいというところにすぐ行けるんだろうと思っているんですね。もう一つ,今日の飯野先生のところからもありましたけれども,学ぶこと,学んだことをどのように認めてもらうか。さっき箕輪さんもお話しされていましたけれども,どのように認めていくのか。やっぱり生涯学習というのは自己満足だけではないと思うんですよね。単位制とか学び方,いわゆる社会がそれをどう認めていくのか,役立つだけではない,認めるというのがどこかに考えなくちゃいけないのかなというのは,それは一つ思いました。
 それから,どこでという学びの場に関しましては,もう皆さんおっしゃってくださったとおりで,企業や社会教育施設や大学法人等があるんだと思いますけど,さっき言ってくださったとおりで,所管,どこがそれをまとめて,うまく機能させるのかというところがはっきりしないと,もう一つ,どこで学ぶのかという中には,誰が教えるのか。まあ,教える,教えられるという関係が果たして適切かどうかは分かりませんけれども,いずれにしても,教える人というのは何らかの形で要請しなくちゃいけない。誰が教えるのかということをしっかりと考えていかないと続かないだろうと思います。
 最後にどのように学ぶかということに関しては,恐らくこのどのようにというのは,単に,ニーズに合わせたスキルを教えるという学びも一つあると思いますけれども,やっぱり彼らにもちゃんと私たちと同じようにというか,私たちが望まれたように,主体的に物事に取り組めるような意欲とかやり遂げる力とか書いておりましたけれども,そういうものを育てたいというか,目指したいということがあるんじゃないかな。じゃ,そのようなものをどのような形でどのような方法で身に付けてもらうのかというのはなかなか難しいと思いますけれども,そういうところを目指していかなくちゃいけないのかなと。学ぶことで何ができるようになって,人や社会とどう関わるのかというのが恐らく大きな目標だと思いますので,そこを考えた学習の方法という整理の仕方をする必要かあるのかなというふうに思いました。
 以上です。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 朝日委員。

【朝日委員】
 特別支援学校の校長です。大塚ろう学校の校長,朝日と申します。
 この委員会に加えていただくには,松野前の文科大臣が私の学校に来て,親が留年してでも学校に残りたいという言葉を残してですね。親御さんにとってみれば学校が魅力で,卒業した後,学びが続かないことに対する不安だという,そういう印象があったので,ここの会に私は出させてもらう意味を感じて,このヒアリングを聞かせていただきました。
 今日の飯野先生,速水さんの発表を見ると,学校を出た後も結構すてきな世界が待っているじゃないかと。むしろ学校時代よりももっと高度なですね。重度の子に,安藤広重の絵を僕たちは教えていたかなとか,本当に反省することばかりです。
 例えば速水さんが重度の子を見たときに,あの子たちが,卒業生たちがどんなふうに役に立つかという,そういう発想も今日も聞いてみたいなというふうに思って,今までのヒアリングの団体の方は,橋田室長が本当に全国からすごいパワフルな人たちをお集めになって,すごくいい刺激的な,先駆的な報告をしていただいたので,生涯学習って,こんなにすてきなんだということがよく分かりました。
 逆に,特別支援学校は,今までは親たちが留年してでも学校に残りたいからと言っていて,自分たちがただ単にカリキュラムを教えることに満足していたんじゃないかと。もっと世の中に出た後に障害のある子供たちが生き生きと世の中に役に立ったり,あるいは学んだりするということを考えてやっていかなきゃ,私たちの教育をしっかり考えなきゃいけないなというふうに思いました。
 それで,提案ですけども,卒業生はもっともっと,例えば企業でも成長させていただきます。企業に就職した後も,資格を取ったり,給料が上がったり,「先生,何とかできるようになったよ」と言って,学校に帰ってきて,後輩たちにそれを発表すると,本当に生き生きと発表してくれる。
 また,重度の子も,それから,学校では,親の会といいますかね。なかなかPTAも今,加入率が下がっている中で,従来型の父母の会の活動をやってきたお母様方が大分高齢になって,後継者がなかなか育たない。あとの方が入らないというようなことで悩んでいるけれども,でも,元気なお母様たちがたくさんいらっしゃって,そうした方たちと学校の力と,あるいは企業の力がしっかりと何かタッグを組んで,子供たちの学びの場を費やしていくと。その後,いずれ学校を巣立っていって,学校外のところで,学校には戻らないで外で活躍するというような子供たちを育てていくという姿,すごいなと思ったので,是非教育委員会や,企業や,いろんな生涯学習をたくさんやってくださっている方とちょうど学校とがうまくそこがパワーが集まれるように,援助なり,サポートなりの仕組みがあるといいかなと思いました。
 最後に,今回のヒアリングのすてきな発表を一校長が現場に伝えにくい。こんなにすてきな取組をたくさんやっているのに,レポートにまとめて話したいぐらいですけれども,なかなかそれができないので,だったら,学習指導要領の解説に書いちゃえという,本当に生涯学習の視点をもっともっともっともっと考えて,今の授業を組み立てていこうよということですね。まだ高等部の解説は書いていらっしゃる途中かもしれませんし,あるいは校長会がそういう立場の手引書なり,そういうのをどんどんやっていくべきかなというふうに思いました。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 ありがとうございました。
 じゃ,松矢委員,お願いします。

【松矢副座長】
 今日,速水さんと飯野さん,どうもありがとうございました。今日は生涯学習のおへそのところを具体的に示してくれたような感じがいたします。綿貫委員もおっしゃったけど,やはりこのICFですよね。人間が関わりの中で生きているという,その関係性の。速水さんからも出ましたけど,そして,特別支援教育も10年経過して,11年目ですかね。学校教育法が改正になって,その特別支援教育,特殊教育から特別支援教育への転換の中で,通知文ですね。特別支援教育は共生社会を形成するための重要な役割があると言っています。それとやはりICFの考え方ですね。きちっと生き続けていかなきゃいけない。
 特に僕,今年,東日本の震災で,その日のラジオの放送を聞いていて,埼玉県に避難されている人の救済するNPOの話を聞きまして,要するに,避難すると,働くとか,市民が活動する。そして,家庭生活,その地域資源全て失って,孤立する。そうすると,自殺,精神の病,いろんなことが起きてくるんですね。そういうことを本当にそのNPOの活動で取り上げられていて,そういうものだなと思いますね。
 要するに,ICFは障害者の問題じゃないんですね。人間が関係性の中で生きていて,環境因子というものがとても重要なんだと。要するに,生きやすいというか,生活しやすい。そして,必ず関係を持って参加していくという。だから,参加とか活動があると,機能そのものも全面的に,調和的に発達していくということなんですよね。
 だから,そこの基本的な考え方が機能の障害からずっと行くんじゃなくて,参加から機能の発達に及ぼしていくというですね。そういうところが非常に重要であって,ですから,生涯学習というのは,何も障害者だけじゃなくて,一般の国民にとって非常に重要なんですよね。だから,教育基本法の中に位置付けられているんですけれども,だけど,そのことの重要性を知らしめていくというのはやっぱり障害のある人たちが孤立しているということです。
 ここでは,盲,ろう,聴覚の方も出ましたけど,コミュニケーションの問題なども非常に重要だということですね。合理的配慮も先ほど出ましたけど,そういったことを一つ一つ。だから,今日は,共生社会を作っていくという,速水さんのそういう営み,地域にみんな例外なく参加できる,開かれた地域を作っていくというところをやっぱりベースに置いて,この障害者の学びというのをきちっと整理していくというのがとても重要かなと思っています。
 そして,私自身思うんですけれども,こういう仕事は特別な仕事じゃなくて,やっぱり見えるように,私自身は,もう目白大学へ行って,ずっとパンを売る教授なんですよね。地域の作業所のパンを大学で売ってくれませんかというので,学生と一緒にパンを売るのを始めまして,それから,今,大学が地域連携というので,地域の作業所のパンを売っているんですけど,僕がNPOを大学に置いてもらっているので,私が責任者なんですよ。客員研究員という肩書きで,学生と一緒に作業所の方々と一緒にパンを売っているんです。
 それで,そういうパンを売っている私,今は授業を持っていない。教授会に出ないというのが一番,今,私自身困っていることなんですよ。教授会に出て,いろんな専門の先生に声を掛けるんですね。「知的障害者のオープンカレッジやっているんですけど,やってくださいよ」と言うと,断られたことないんですよ。みんなやってくれるんです。「僕,できるかな」と言うから,「先生,専門家でしょう」と。そのことについては何でも知っているんだから,彼らに興味あるように分かりやすくお話ししてくださればいいんですよということで,みんな,本当にこの方々というのは,学生は居眠りしますけど,居眠りしないですよ。とても大学の先生のお話を楽しんで聞いているんですね。だから,「へえー」,「おお」なんて言って聞いてくれるので,先生方,びっくりして,もう本当に時間が延長されてしまうんですね。
 和菓子の短大の製菓学科の教授の,和菓子ではとても有名な先生なんですけど,2回にわたって和菓子のお話,歴史から,それから,おこわとまんじゅうを作る。短大の調理室を使って本格的にやりましたけど,まあ,本当に先生も一生懸命やってくれ,学生も聴講生も一緒に勉強するというですね。ですから,そういう,コロンブスの卵じゃないですけど,沸子園さんもそうですよね。ちょっと視点を変えて動き出したら,まちの人たちが応えてくれたということだと僕は思うので,やっぱりそういう観点で人材養成ということも考えていかなきゃいけないのかなと思います。
 ちょっと長い話になりましたが,以上です。

【宮﨑座長】
 委員の方々,ありがとうございました。
 資料4-1に,ニーズ,課題,それから,論点類を整理していただいて,先ほど箕輪委員からあった,最後の参考資料のところですね。この辺りについて,視点1というのは,学校から社会移行期のところを,冒頭のヒアリングのときに幾つかでお話を頂いたわけですけど,この辺りのところはある程度整理がされているのかなというふうに思うんですが,問題は障害の各ライフステージで必要な内容については,整理をしていただいた。例えば菅野先生の御発表等にあったんですけれども,この障害に,ライフログという視点で,各ライフステージというのは一体どんなふうに考えていくのかというのは,やっぱり次の課題として見ておかなければいけないかな,この辺りの整理の仕方で随分方向性が違うのかなというのが,まだ整理されていないところが第1点です。
 2点目は,そういったところを生涯を通じて必要な内容ということで,それぞれ場によって,学ぶスタイルというのも違うし,方法があるのだろうと。今日,学びの場の話が随分出たんですが,その辺りをどう考えるかというのももう少し論点を絞って,中身を検討していく必要があるんだろうと。そういう点では,それぞれが活動する場によって違いが出てくるので,その辺りをきちっと整理していくことがこれから求められるのかなというふうに思っております。
 今後,論点整理をしていきますので,今日の発表まで事例を頂いた方々に感謝しつつ,それから,今日の資料の中で,幾つか出してくださっていて,各団体のヒアリングもしていただいておりますので,その辺りで必要があれば,更に少し加えて,論点整理をしていければいいなというふうに思っているところです。
 もし,あと,まだ足りない点がありましたら,事務局に御意見を頂戴できればというふうに思います。
 時間的に,あと2分ぐらいになりましたので,議題3についてはここまでとしたいと思います。今日の議事はこれで終了としたいと思います。本日のヒアリングをした内容と,皆様に頂いた御意見は,事務局の方で整理をしていただきますようにお願いいたします。
 先ほど申し上げましたように,会議内で発言してなかった御意見等があれば,事務局までメール等で御連絡を頂ければというふうに思います。
 最後に,事務局より連絡事項があればお願いいたします。

【高見障害者学習支援推進室長補佐】
 では,お手元にある資料5を御覧ください。次回の会議ですけれども,6月29日,金曜日の14時から16時,旧庁舎6階の第2講堂にて開催することを予定しております。追って正式に御案内をお送りいたします。
 また,本日の配布資料につきましては,机上に置いていただけましたら,後日郵送させていただきます。
 以上でございます。

【宮﨑座長】
 それでは,本日の会議はこれにて閉会いたします。
 なお,今日の御発表の2事例については,お忙しいところ,大変ありがとうございました。それでは,閉会いたします。

―了―

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